JP4097919B2 - 油性インク受容性マーキングメディア - Google Patents
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Description
本発明は油性インクで印刷したり、あるいは油性インクを用いたインクジェットプリンターで記号、表示、写真等を印刷し、被着体に接着して、被着体に意匠性を付与する油性インク受容性マーキングメディアに関するものであって、特に屋外や過酷な使用条件に耐え得る高耐候性マーキングメディアに関するものである。
【0001】
【従来の技術】
最近、インクジェットプリンターの普及によって、インクジェットプリンターで記号や表示等をプリントしたフィルムを各種基材に貼り合わせ、表示板、広告看板、シャッター、車両等の表示や装飾に使用することが行われている。
【0002】
インクジェットプリンターによるプリントは、小さなノズルからインクを微小流滴で噴射し、メディア上に、インクの粒によるドットを付着させて文字や図柄を形成する方式である。微細なノズルからインクを噴射しなければならないため、ノズルの詰まりが起こりにくい水性染料溶液や親水性顔料を水に分散させた水性インクが用いられることが多く、たとえば、シアン、マジェンタ、イエロー、ブラックの4色の水性インクを重ねて目的の色を得る方法が一般に行われている。
【0003】
このような水性インクを使用する水性インクジェットプリンターのメディアとしては、使用場所(屋内・屋外)、使用方法(貼り替えのあるなし、基材への貼り合わせ方法)等の用途別に、紙や樹脂フィルム(ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、アクリル樹脂等)に親水性受容層を塗布したものから選択されている。
【0004】
ところが、例えば、車両の外観装飾用、屋外看板用途等高度の耐候性が必要な用途においては、水性のインクにおける印刷は本来的に親水性の印刷層を形成するので、過酷な条件(特に雨や湿気等)における使用により表面の印刷層が劣化したり、流出、変色したりする不都合が発生した。
【0005】
最近では、水性染料からなるインクジェット用インクを用いて基材上に図柄を印刷し、耐候性・耐水性を向上するために透明塩化ビニルシートや透明ポリエチレンテレフタレートシートをオーバーレイして、表面光沢を保持することも行われているが、オーバーレイフィルムを使用することは、樹脂によっては基材の持つ柔軟性が損なわれ、屋外看板等に用いると耐候性が劣り、柔軟性が不十分でフィルムが裂けてしまったり、白化したりして、長期間使用される場合は耐候性が十分ではなかった。
【0006】
そこで、印刷層の耐候性に優れた油性インクをインクジェット用インクとして用いるシステムが開発されており、例えば NUR社、SCITEX社、VUTEK社、3M社、武藤工業株式会社等から供給されている。
このようなシステムに用いられるインクはいずれも、芳香族系、ケトン系、エーテル系、エステル系等の混合有機溶剤に合成樹脂を溶解し、顔料を分散させたものである。
【0007】
このような油性インクジェットシステムはインクが油性であるため、印刷層のインク自体の耐水性は水性インクと比較して格段に優れるものの、従来の水性インクジェット用のメディアにそのまま印刷すると、メディアの表面が親水性であるため、インクのメディアへの密着性が不十分であり、インクがメディアから剥がれてしまうという問題が起こった。
【0008】
油性インクとの親和性が高い樹脂材料として塩化ビニル等の塩素系樹脂を油性インクジェット用のメディアとして使用する試みもなされているが、比較的短期間で最新情報に貼り替えることの多い看板等の用途においては、使用後のシートを廃棄する頻度も高く、使用後の廃棄処理が大きな問題となってきた。特に基材に塩化ビニルシートを用いたメディアは、使用後に廃棄する際、焼却すると塩素系ガスが発生するのでそのままでは焼却することができず、焼却炉の塩素ガス除去用の装置を設ける必要があり、また、処理に際して、有害塩素含有有機化合物が副生する可能性があることも社会的な問題となっている。
これは単にインクジェット用のメディアのみの問題にとどまらず、従来から使用されていたスクリーン印刷用のメディアについても同様である。
【0009】
また基材に塩化ビニルシートを用いたメディアは油性インクの溶剤に対し侵され易いことも大きな問題となっている。たとえばインク濃度の高い部分は必然的に面積当たりの溶剤量は多くなるがそのような部分では、シートが膨潤、溶解したり、さらには接着層にも溶剤が浸透し様々な問題が生じることがある。
【0010】
シートが膨潤、溶解するとマーキングメディアとしての物性が損なわれ、セパレーターから剥離する際、シートが伸びたり破れたりすることがあり、貼り付けの際の作業性が著しく悪くなる。さらに貼り付け後、溶剤の乾燥につれてシートが収縮し、クラックや剥がれや繋ぎ合わせ部分の目開きの原因となる。
【0011】
また溶剤が接着層に浸透すると、接着層の粘着性(タック)が著しく高くなり貼り付け作業性が損なわれるほか、接着性そのものが損なわれ自然剥離したり、接着層と基材層と層間密着性が悪くなり、貼り直しや使用後の剥離の際、接着層のみが被着体に残留することがある。
【0012】
上記のような問題を低減するため、印刷後速やかに、バッチ式の熱風オーブン等を用いシート中に浸透した溶剤を強制的に乾燥することも行われるが、作業工程が増え生産性が低下する上、別の問題が生ずる原因ともなっている。
その一つは、印刷の濃度の違いにより場所毎の収縮の度合いが異なり、印刷画像に
歪みが生じてしまうことである。このため特に大きな画像を分割して複数のシートに印刷した場合にはシート毎に収縮が異なるため繋ぎ合わせて貼ることが出来なくなる。
さらにもう一つの問題は、大量に溶剤が浸透した塩ビシートを強制乾燥するとシートが著しく脆化してしまうことである。このため貼り付け作業性が著しく損なわれ、特にコルゲート面やリベット打ちされた被着体に貼りつけようとしても裂けてしまい、凹凸面に追随して貼ることが困難であった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術が有していた前述の課題を解決しようとするものであり、油性インクを使用する印刷用メディアであって、印刷性、貼り付け作業性、耐候性に優れかつ使用後の焼却によって有害物質を発生することのない、屋外看板や車体貼り付け用のマーキングメディアを提供することを課題とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、本発明は、層厚が5〜100μmであって、溶剤浸透性変成オレフィン系樹脂を含有する樹脂層(I)と、該樹脂層(I)によって被覆され層厚が20〜200μmであるエラストマー成分含有熱可塑性オレフィン系樹脂層(II)と、該樹脂層(II)に積層され層厚が10〜100μmの接着剤層とを有することを特徴とする油性インク受容性マーキングメディアを提供するものであり、
【0015】
好ましくは、該溶剤浸透性変成オレフィン系樹脂がスチレン−オレフィン系共重合樹脂、(メタ)アクリル酸エステル−オレフィン系共重合樹脂のいずれかである前記油性インク受容性マーキングメディアを提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明におけるマーキングメディアは溶剤浸透性変成オレフィン系樹脂を含有する樹脂層(I)と、該樹脂層(I)によって被覆され層厚が20〜200μmであるエラストマー成分含有熱可塑性オレフィン系樹脂層(II)と、該樹脂層(II)に積層され層厚が10〜100μmの接着剤層とを有する。
【0017】
樹脂層(I)は、溶剤浸透性変成オレフィン系樹脂を含有する。
溶剤浸透性変成オレフィン系樹脂とはエチレン、プロピレン等のオレフィンモノマーとスチレン、アクリル等のオレフィン以外のモノマーを共重合した樹脂でオレフィン樹脂と相容性を有し、かつ有機溶剤が浸透するものを指す。
【0018】
ここでいう溶剤浸透性とは、芳香族系、ケトン系、エーテル系、エステル系等の油性インクに使用する有機溶剤のうちいずれかが浸透し、膨潤あるいは部分溶解することを指す。
【0019】
より具体的には、平滑にした樹脂表面に例えば1μlの有機溶剤をマイクロシリンジ等で滴下し実体顕微鏡等で経時観察すると溶剤が浸透し、樹脂が膨潤して行く様子が確認できる。 1μlの溶剤の完全な浸透に要する時間は特に短時間である必要はなく、10分〜1時間程度かかっても実用上問題は少ない。
【0020】
より短時間での浸透乾燥性が特に 必要となる場合には湿式シリカ等の充填剤の併用により浸透スピードおよび浸透量を向上させることが出来る。
【0021】
また溶剤浸透性の確認は溶剤の飽和蒸気雰囲気内での接触角の経時変化によっても確認できる。
【0022】
樹脂層(I)に油性インクを滴下した場合の好ましい初期の接触角は10〜50度、より好ましくは12〜40度、さらに好ましくは15〜35度である。
【0023】
ここでいう変成オレフィン系樹脂とは、オレフィンとオレフィン以外のモノマーを任意の割合で共重合した樹脂を指す。
【0024】
オレフィン系モノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、イソプレン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン等が挙げられる。
【0025】
共重合するモノマーとしては、スチレン、アルキルスチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、(無水)マレイン酸、酢酸ビニル、ビニルエーテル、等が挙げられるが、中でもスチレン、(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
【0026】
スチレン−オレフィン系共重合樹脂には、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体(SEP)、スチレン−エチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、等のブロック共重合体があり、いずれも炭化水素溶媒中にて主にアルキルリチウム触媒を用いて、リビングアニオン重合により合成される。スチレンの含量は任意に調整できるが、インクの受容性、樹脂層(II)との相容密着性の観点から10〜80重量%の範囲内であることが好ましい。
【0027】
また耐候性の観点からは主鎖中の2重結合は水素添加により飽和されている方が望ましく、その意味でSEBS、SEPS、SEP、SEEPSの中から選ぶことが好ましい。また他にはスチレン/ブタジエンランダム共重合体(SBR)、水素添加型スチレン/ブタジエンランダム共重合体(HSBR)等のランダム共重合体を使用することも出来るが、同様の理由でHSBRが好ましい。
【0028】
(メタ)アクリル酸エステル−オレフィン系共重合樹脂としては、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−メタクリル酸グリシジル−アクリル酸メチル共重合体(EGMAMA)、エチレン−メタクリル酸グリシジル−酢酸ビニル共重合体(EGMAVA)、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体(EGMA)、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸共重合体(EEAMAH)等が挙げられ、いずれも使用出来るが、溶剤浸透性、基材層との密着性、受容層表面の粘着性(タック)等のバランスより(メタ)アクリル酸エステル含量が10〜50重量%のものの中から選定することが好ましい。
【0029】
本発明の樹脂層(I)は前記溶剤浸透性変成オレフィン系樹脂の他に他の樹脂を含有してもよい。該溶媒浸透性を妨げない範囲で適宜選択されるが、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、スチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオキシエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、等が挙げられ、前記溶剤浸透性変成オレフィン樹脂との相容性が良好であり、かつ基材層との層間密着性を阻害しないものであれば、いずれも好ましく使用できる。
【0030】
上記溶剤浸透性変成オレフィン系樹脂層(樹脂層(I))は、上記樹脂の他に、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤等の製造時あるいは使用時の劣化を防止する為に各種添加剤や印刷の鮮明性や印刷密着性、あるいは印刷インクの浸透乾燥速度を向上させる為に充填剤や顔料、その他の各種添加剤を含有することができる。
【0031】
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、ベンゾエート系等の有機系紫外線吸収剤、超微粒子酸化チタンや酸化セリウム等の無機系紫外線吸収剤が使用出来る。また合わせて紫外線遮蔽性のある酸化チタン等の無機顔料を使用することもできる。
【0032】
光安定剤としては、ヒンダードアミン系のものが好ましく使用出来る。
【0033】
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系、フォスファイト系、ラクトン系、αトコフェロール系のものが好適に使用できる。
【0034】
以上の紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤は相乗効果が得られる場合が多く、個々のグレードにつき効果の高い組合わせを選定し併用することが出来る。
【0035】
充填剤あるいは顔料としては、無色であること以外には特に制限はなく、湿式シリカ、乾式シリカ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、ガラスビーズ、ガラスバルーン、アクリルビーズ、スチレンビーズ、シリコーンビーズ、ゼオライト、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられ、目的に応じ適宜使用出来る。
【0036】
また受容層(樹脂層(I))には蛍光増白剤を入れることができ、ベンゾオキサゾール系、スチルベン系のものが好ましく使用出来る。
【0037】
また、上記溶剤浸透性変成オレフィン系樹脂層は受容層(樹脂層(I))として、その膜厚が5〜100μm、好ましくは10〜70μm、より好ましくは20〜50μmである。膜厚が5μm以上であれば溶剤浸透性が十分であり、特に濃色部分の乾燥が早く、乾燥前に画像が流れずに鮮明な印刷が得られる。また100μm未満であれば、マーキングメディアとしての曲面貼り適性も良好で好ましい。
【0038】
本発明の油性インク受容性マーキングメディアは、前記の溶剤浸透性変成オレフィン系樹脂を含有する樹脂層(I)(受容層)によって被覆され層厚が20〜200μm、好ましくは30〜150μmであるエラストマー成分含有熱可塑性オレフィン系樹脂を含有する樹脂層(II)(基材層)を有する。
【0039】
本発明のエラストマー成分含有熱可塑性オレフィン系樹脂とは、主成分の熱可塑性オレフィン系樹脂に他の樹脂を共重合またはブレンドしたり、あるいは結晶性や立体規則性の制御によって、ゴム弾性を付与した樹脂である。
【0040】
熱可塑性オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂等が使用出来るが、耐熱性、加工性、マーキングメディアとしてのフィルム物性バランスの点よりポリプロピレン系樹脂をベースとすることが特に好ましい。
【0041】
これらの熱可塑性オレフィン樹脂は重合の際、主成分とは炭素数の異なる小量のオレフィンモノマーを配合したり、触媒や重合条件を変更することにより、様々な物性を有するグレードが得られ、その中から自由に選定できる。
【0042】
例えば、ポリプロピレンについては、重合の際、立体規則性を制御することにより高分子量のアタクチック体を一定量形成させることができる。この高分子量のアタクチック成分は単一組成のポリプロピレンに、エラストマーを配合したのと同様の効果をもたらし、本発明品の基材層 (樹脂層(II))に好適に使用できる。
【0043】
共重合あるいはブレンドする樹脂としては、エラストマーとしての性質を付与するものであれば何でも良く、例えばスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、水素添加型スチレン−ブタジエンランダム共重合体(SHBR)等のスチレン含有エラストマーや1,2−ポリブタジエン系エラストマー(RB)、トランス1,4−ポリイソプレン系エラストマー(TPI)、エチレン−プロピレンゴム(EPM、EPDM)、ポリイソブチレン、ポリエチレン−ポリブチレン、等がある。
【0044】
またこれらの共重合あるいはブレンドする樹脂があらかじめ上記熱可塑性オレフィン樹脂に配合され製品化されたTPO(ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー)と称せられる樹脂をそのまま用いても良い。
TPOには製造形態により、▲1▼単純ブレンド型TPO(バンバリーやプラストミル等の分散機で熱可塑性ポリオレフィン樹脂とEPDMのようなエラストマー性付与成分を物理的ブレンドをして、オレフィンマトリクス中にゴム成分を分散したもの)、▲2▼インプラント型TPO(オレフィンを2段階で重合することにより、リアクター中でハードセグメント部分とソフトセグメント部分とを順次形成しエラストマー性を付与したもの)、▲3▼動的架橋型TPO(バンバリーやプラストミル等の分散機で物理的混合するとともに、ゴム成分の架橋反応をさせたもので熱可塑性ポリオレフィンマトリクス中に架橋されたゴム成分が細かく分散している。)等がありいずれも好適に使用できる。
【0045】
本発明に使用するエラストマー成分含有熱可塑性オレフィン系樹脂の用途はマーキングメディアの基材層であり、貼りつけ作業上、適度の弾性が必要である。しかし過度のゴム的性質は不必要であるばかりか、むしろ有害ですらある。基材層コンパウンドとして好ましい引張り弾性率は100〜1000MPa、さらに好ましくは150〜800MPaの範囲である。
【0046】
本発明の樹脂層(II)(基材層)は使用する油性インクの溶剤に対して侵されないことが好ましい。 特に濃色印刷部分において大量の溶剤が受容層から移行してきた場合でも基材層自身は溶剤を実質的に浸透させず、膨潤軟化あるいは溶解することなく、かつ接着層への溶剤の移行を阻止するものが好ましい。
【0047】
本発明の樹脂層(II)(基材層)はまた印刷表示の視認性、難燃性、フィルム物性等の向上の目的で無機あるいは有機充填剤を含有してもよい。本発明のマーキングメディアを内部照明付き表示板に使用する場合には、光拡散性と適度の隠蔽性を有する必要があり、また通常の反射光でのみ見る表示を目的とする場合には隠蔽性があり出来るだけ白色度の高いものにすることが好ましい。
【0048】
特に隠蔽性が必要な場合には接着層を積層する前に樹脂層(II)(基材層)の表面にアルミニウム等の金属の薄膜を蒸着やスパッタリングにより形成することが出来る。
【0049】
使用できる無機あるいは有機充填剤には無色であること以外には特に制限はなく、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、シリカ、ガラスビーズ、ガラスバルーン、アクリルビーズ、スチレンビーズ、シリコーンビーズ、ゼオライト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ等が挙げられ、目的に応じ適宜使用出来る。
【0050】
本発明の樹脂層(II)(基材層)は、上記充填剤の他に、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、帯電防止剤等の添加剤を含有することができる。
【0051】
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、ベンゾエート系のものが使用出来る。
【0052】
光安定剤としては、ヒンダードアミン系のものが使用出来る。
【0053】
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系、フォスファイト系、ラクトン系、αトコフェロール系のものが好適に使用できる。
【0054】
蛍光増白剤としてはベンゾオキサゾール系、スチルベン系のものが好ましい。
【0055】
本発明の油性インク受容性マーキングメディアは、前記のエラストマー成分含有熱可塑性オレフィン系樹脂層(II)に積層され層厚が10〜100μm、好ましくは15〜70μm、特に好ましくは20〜50μmの接着剤層を有する。
接着剤層の層厚が10μm以上であれば被着体の表面状態によらず密着し易く、自然に剥離しない。膜厚が100μm以下であれば、端面にはみ出した接着剤層へ汚れが付着することもなく、また経済的にも有利になるのでいずれも好ましい。
【0056】
使用される接着剤層を形成する樹脂は、特に制限されるものではないが、前記エラストマー成分含有熱可塑性オレフィン系樹脂層の全面に積層されて接着剤の層を形成するものであり、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、熱可塑性エラストマー系樹脂、シリコーン系樹脂等が好ましい例として挙げられる。これらの中でも、耐候性に優れ、比較的安価で加工適性の優れている(メタ)アクリル系樹脂あるいは、熱可塑性エラストマー系樹脂が特に好ましい。
【0057】
このような(メタ)アクリル系樹脂としては、たとえば、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、2−メチルブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、イソノニルアクリレート等のアクリル酸のC2〜C12アルキルエステルの少なくとも1種(モノマーA)とアクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の官能基含有アクリル系モノマーの少なくとも1種(モノマーB)とが共重合されることにより得られるものを挙げることができる。上記モノマーAとモノマーBの共重合割合はモノマーA/モノマーBの重量比で99.5/0.1〜70/30特に99/1〜75/25の範囲内が好適である。
【0058】
接着剤を形成する樹脂の中でも特に好適なアクリル樹脂としては、ブチルアクリレート(BA)とアクリル酸(AA)とを、BA/AAの重量比が99.9/0.1〜70/30特に99.5/0.5〜80/20の範囲内で共重合させる事によって得られる共重合体を挙げることができる。
【0059】
上記アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは20万〜100 万、より好ましくは40万〜80万であり、斯る分子量は、重合開始剤の量によって、または連鎖移動剤を添加することによって調整することができる。
【0060】
熱可塑性エラストマー系樹脂としては、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SEPS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン/ブタジエンのランダムコポリマーの水素添加物(HSBR)等が挙げられ、これらは改質樹脂としてエチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリイソブチレン、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂、クマロン/インデン樹脂、スチレン系樹脂、
等と組み合わせて使用することが出来る。
【0061】
本発明の接着層は印刷表示の視認性、難燃性、耐熱性、接着性、耐候性等の向上の目的で無機、有機の充填剤や添加剤を含有してもよい。
本発明のマーキングメディアを内部照明付き表示板に使用する場合には、光拡散性と適度の隠蔽性を有する必要があり、また通常の反射光でのみ見る表示を目的とする場合には隠蔽性があり出来るだけ白色度の高いものにすることが好ましい。
【0062】
これらの光学特性は接着層のみでなく、受容層および基材層と相俟って実現すべきものである。たとえば基材層あるいは受容層に酸化チタンを配合した場合、接着層に有色あるいは黒の顔料、染料、金属フレーク等と配合することにより白色度を保ちつつ高度の隠蔽性を得ることが出来る。
【0063】
使用できる無機あるいは有機充填剤には特に制限はなく、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、シリカ、ガラスビーズ、ガラスバルーン、アクリルビーズ、スチレンビーズ、シリコーンビーズ、ゼオライト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、アルミフレーク、ステンレスフレーク、カーボンブラック、その他の顔料等が挙げられ、目的に応じ適宜使用出来る。
【0064】
本発明の接着層は、上記充填剤の他に、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、帯電防止剤等の添加剤を含有することができる。
【0065】
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、ベンゾエート系のものが使用出来る。
【0066】
光安定剤としては、ヒンダードアミン系のものが使用出来る。
【0067】
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系、フォスファイト系、ラクトン系、αトコフェロール系のものが好適に使用できる。
【0068】
蛍光増白剤としてはベンゾオキサゾール系、スチルベン系のものが使用出来る。
【0069】
接着剤層を基材層(樹脂層II)に積層するため、基材層(樹脂層II)の接着剤層と接触する面に適当な処理を施してもよい。処理方法としては、グロー放電処理、低圧水銀灯照射処理、エキシマレーザー照射処理、電子線照射処理(EB処理)、フレームプラズマ処理、薬品処理、コロナ処理、バリア放電処理などがあり、いずれも効果があるが、コロナ放電処理、バリア放電処理などが容易に実施可能である。
【0070】
このような処理をする場合は、該表面のぬれ指数が32〜70、好ましくは 35〜65、特に好ましくは40〜60とするのが良い。
【0071】
ぬれ指数が32未満の場合は基材層(樹脂層II)と接着剤層とのぬれが十分でないために、油性インク受容性マーキングメディアを貼り直したり、剥がしたりする際、接着剤層のみが被着体に残ってしまうことがある。 またぬれ指数が70を超える場合には基材層表面の樹脂の主鎖が過度に酸化的に切断されることがあり、その場合には表面付近に凝集力の乏しい低分子量成分が多く生成するため、むしろかえって層間密着強度が落ちることもある。
【0072】
本発明の油性インク受容性マーキングメディアを製造する方法は特に制限されるものではなく、各層をTダイ押し出し成形、インフレーション成形、溶液キャスト成形等の公知のフィルム製造方法でそれぞれ成形し、加熱あるいは常温圧着で重ね合わせれば良い。
【0073】
生産性の観点からは、接着剤層を樹脂溶液もしくは樹脂分散液より形成する場合には、まず受容層である樹脂層(I)と基材層である樹脂層(II)とをTダイ押出し法、またはインフレーション法によって2層同時成形し、得られたシートに、接着剤層を直接コーティングするか、もしくは一旦、剥離処理したシートにコーティングした接着剤層をラミネートロールを用いて積層することによって製造する方法が好ましい。
【0074】
さらには、接着剤層が常温で固体状の樹脂から直接加熱形成可能であり、かつ形成した接着剤層の粘着性が工程上許容できる程度に小さい場合には、生産性の観点から、樹脂層(I)、樹脂層(II)、および接着層をTダイ押出し法、またはインフレーション法によって3層同時成形する製法が特に好ましい。
【0075】
このようにして製造された油性インク受容性マーキングメディアは屋外や過酷な使用条件に耐え得る高耐候性マーキングメディアとして、油性インクジェット印刷やスクリーン印刷を施した上、自動車車体の装飾や、屋外の看板・表示等に有効に使用できる。
【0076】
【発明の実施の形態】
以下実施例により、発明を説明する。
【0077】
受容層コンパウンドAの調製
スチレン含量65%のSEPS樹脂、セプトン2104(クラレ製)100重量部、ルチル型酸化チタンCR90(石原産業製)20重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、チヌビン329FL(チバスペシャリティーケミカル製)1重量部、ヒンダードアミン系光安定剤、キマソーブ119FL(チバスペシャリティーケミカル製)1重量部、αトコフェロール系酸化防止剤、ユビナール2000AO(BASF製)0.3重量部を2軸押出機、PCM−30(池貝鉄工製)にて混練しペレット化した。
熱プレスにより厚さ50μmの受容層コンパウンドAの単体のシートを作成した。
ガラス板の上にこのシートを置き、1μlの油性マジェンタインク PJ−SOINK−MA(武藤工業製)をマイクロシリンジにて滴下し30分後にシートを剥がし、観察したところインクは浸透乾燥しており、シートが侵されて穴が開くことも無かった。
【0078】
受容層コンパウンドBの調製
MMA含量30%のEMMA樹脂、アクリフトCM5019(住友化学製)100重量部、吸油量 270ml/100g、平均粒径4μmの湿式シリカ、ニップジェルAY−401(日本シリカ工業製)30重量部を、2軸押出し機、TEM−41(東芝機械製) にて混練しペレット化した。
ガラス板の上にこのシートを置き、1μlの油性マジェンタインク PJ−SOINK−MA(武藤工業製)をマイクロシリンジにて滴下し30分後にシートを剥がし、観察したところインクは浸透乾燥しており、シートが侵されて穴が開くことも無かった。
【0079】
受容層コンパウンドCの調製
スチレン含量65%のSEPS樹脂、セプトン2104(クラレ製)60重量部、EA含量35%のEEA樹脂、NUC6940(日本ユニカー製)40重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、チヌビン329FL(チバスペシャリティーケミカル製)1重量部、ヒンダードアミン系光安定剤、キマソーブ119FL(チバスペシャリティーケミカル製)1重量部、αトコフェロール系酸化防止剤、ユビナール2000AO(BASF製)0.3重量部、吸油量 250ml/100g、平均粒径4μmの球状湿式シリカ、サイロスフェアC−1504(富士シリシア製)20重量部を、2軸押出し機、TEM−41(東芝機械製)にて混練しペレット化した。
ガラス板の上にこのシートを置き、1μlの油性マジェンタインク PJ−SOINK−MA(武藤工業製)をマイクロシリンジにて滴下し30分後にシートを剥がし、観察したところインクは浸透乾燥しており、シートが侵されて穴が開くことも無かった。
【0080】
基材層コンパウンドDの調製
ホモPPとEPMから成るインプラント型TPO樹脂、ゼラスZT701(三菱化学製)、100重量部、ルチル型酸化チタン、タイペークCR−90(石原産業製)20重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、チヌビン329FL(チバスペシャリティーケミカル製)1重量部、ヒンダードアミン系光安定剤、キマソーブ119FL(チバスペシャリティーケミカル製)1重量部、αトコフェロール系酸化防止剤、ユビナール2000AO(BASF製)0.3重量部を、2軸押出し機PCM−30(池貝鉄工製)にて混練しペレット化した。
基材層コンパウンドDを単層で押し出したシートの引っ張り弾性率を測定したところ、350MPaであった。
【0081】
基材層コンパウンドEの調製
ホモPPとEPMから成るインプラント型TPO樹脂、ゼラスZT701(三菱化学製)、80重量部、MMA含量30%のEMMA樹脂、アクリフトCM5019(住友化学製)20重量部、ルチル型酸化チタン、タイペークCR−90(石原産業製)20重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、チヌビン329FL(チバスペシャリティーケミカル製)1重量部、ヒンダードアミン系光安定剤、キマソーブ119FL(チバスペシャリティーケミカル製)1重量部、αトコフェロール系酸化防止剤、ユビナール2000AO(BASF製)0.3重量部を、2軸押出し機PCM−30(池貝鉄工製)にて混練しペレット化した。
基材層コンパウンドEを単層で押し出したシートの引っ張り弾性率を測定したところ、
220MPaであった。
【0082】
基材層コンパウンドFの調製
高分子アタクティック体を10%内包するポリプロピレンからなるインプラント型TPO樹脂、F3900H(出光化学製)80重量部、スチレン含量65%のSEPS樹脂、セプトン2104(クラレ製)20重量部、ルチル型酸化チタン、タイペークCR−90(石原産業製)20重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、チヌビン329FL(チバスペシャリティーケミカル製)1重量部、ヒンダードアミン系光安定剤、キマソーブ119FL(チバスペシャリティーケミカル製)1重量部、αトコフェロール系酸化防止剤、ユビナール2000AO(BASF製)0.3重量部を、2軸押出し機PCM−30(池貝鉄工製)にて混練しペレット化した。
基材層コンパウンドFを単層で押し出したシートの引っ張り弾性率を測定したところ、
620MPaであった。
【0083】
受容層コンパウンドAと基材層コンパウンドDとを2種2層用のフィードブロックを用いて溶融状態で積層して単層Tダイ金型に供給し、共押出し成形して実施例1の油性インク受容性マーキングメディアの原反を得た。
走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察の結果、受容層は30μm、基材層は70μmの厚みであった。
【0084】
接着層Gの形成
シリコーン処理したポリエチレンコート剥離紙、SLK110W(カイト化学製)にアクリル系粘着剤溶液 PE−121(日本カーバイド工業製)100重量部と架橋剤CK−101(日本カーバイド工業製)2重量部、希釈剤として酢酸エチル30重量部を混合攪拌したものをダイレクトコンマコーターにて流延塗工し、熱風オーブン乾燥(95℃、3分間)後、先に製膜した原反の基材層側と貼り合わせて実施例1の油性インク受容性マーキングメディアを得た。 なお原反の基材層側には貼り合わせ前に濡れ指数が約45となるようコロナ処理を施した。
同様の手法でそれぞれの原反に粘着剤を積層して、表1に示すように実施例2、および比較例1〜2のメディアをえた。
【0085】
接着層コンパウンドHの調製
スチレン含量10%のHSBR樹脂、ダイナロン1320P(JSR製)100重量部、粘着付与剤、スーパーエステルE−702(荒川化学工業製)5重量部、ルチル型酸化チタンCR−90(石原産業製)20重量部、ヒンダードアミン系光安定剤、チヌビン622LD(チバスペシャリティーケミカル製)1重量部、αトコフェロール系抗酸化剤、ユビナール2000AO(BASF製)0.5重量部を、2軸押し出し機PCM−30(池貝鉄工製)にて混錬しペレット化した。
【0086】
接着層コンパウンドIの調製
スチレン含量10%のHSBR樹脂、ダイナロン1320P(JSR製)100重量部、粘着付与剤、スーパーエステルE−702(荒川化学工業製)3重量部、ヒンダードアミン系光安定剤、チヌビン622LD(チバスペシャリティーケミカル製)1重量部、αトコフェロール系抗酸化剤、ユビナール2000AO(BASF製)0.5重量部を、ヘンシェルミキサーにて十分混合し接着層コンパウンドIを得た。
【0087】
実施例▲3▼の油性インキ受容性マーキングメディアの作成
受容層コンパウンドC、基材層コンパウンドF、接着層コンパウンドHを口径300mmの3層丸ダイ付の押出し機(プラコー製)を用いてブロー比約3にてインフレーション成形した。接着層が外層になるようにし外層が接するロールはすべてテフロン(登録商標)加工したものを使用した。折りたたみ両端をスリット後、それぞれの接着層がシリコーン処理面に接するよう剥離紙とともに巻取り、実施例▲3▼の油性インク受容性メディアを得た。
【0088】
実施例▲4▼、比較例▲3▼のメディアの作成
受容層コンパウンドA、基材層コンパウンドD、接着層コンパウンドIを用いて同様の工程で実施例▲4▼、比較例▲3▼のメディアをそれぞれ得た。
上記実施例、比較例をまとめると以下表1、表2のとおりである。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
得られた各シートの特性を表3に示す。
【表3】
【0092】
なお物性評価は以下に述べる方法で行った。
(1)試験片の調整
油性インクジェットプリンター、ラミレスPJ−1304NX(武藤工業製)を用いて出力濃度100%設定にて5cm角のマジェンタ単色ベタ印刷を行い30分室温にて放置後以下の試験をした。 なお密着性、耐温水性、耐候性の試験の際には、あらかじめ
7cm×15cmのアルミ板に貼り、室温にて一日放置したものを使用した.
【0093】
(2)曲面貼り適性
12cm角のインクジェットメディアが直径約30cmの半球状をした料理用ステンレスボウルの凸面にシワ、浮きなくきれいに貼れるかどうか試験した.
○:シワ、浮きなく容易にきれいに貼れるもの
△:注意深く行えばシワ、浮きなくきれいに貼ることができるもの
×:シワ、浮きなくきれいに貼ることが困難であるもの。
【0094】
(3)インク受容性
インクのハジキ、濃度むらの有無を目視にて判定した.
○:ハジキ、濃度むらが認められないもの
△:ハジキ、濃度むらがわずかに認められるもの
×:ハジキ、濃度むらの著しいもの
【0095】
(4)浸透乾燥性
インク層に濾紙を押し当て色の移行の有無を判定した.
○:色の移行が認められないもの
△:色の移行が認められるもの
×:一見して浸透乾燥していないことが明らかであるもの
【0096】
(5)密着性
インク層にセロテープ(登録商標):ニチバン製 を押し当て急激に剥離してインク層のセロテープ(登録商標)への転着の有無を判定した.
○:まったくセロテープ(登録商標)への転着が認められないもの
△:一部のみセロテープ(登録商標)への転着が認められるもの
×:セロテープ(登録商標)への転着が著しいもの
【0097】
(6)耐温水性
40℃の温水に72時間浸漬後、引き上げて表面状態の異状の有無を観察した。
○:原片と比較して明らかな変化の認められないもの。
×:インク層、受容層、基材層のクラック、剥がれ、変色等の異状が認められるもの。
【0098】
(7)耐候性
サンシャインウェザオメーター(ブラックパネル温度63℃、降雨18分/180分)に入れ、500時間暴露した後のインク層、受容層、基材層のクラック、剥がれ、変色等の異状の発生を目視にて評価した。
○:原片と比較して明らかな変化の認められないもの。
×:インク層、受容層、基材層のクラック、剥がれ、変色の異状が認められるもの。
Claims (4)
- 層厚が5〜100μmであって、溶剤浸透性スチレン−オレフィン系共重合樹脂、または溶剤浸透性(メタ)アクリル酸エステル−オレフィン系共重合樹脂を含有する樹脂層(I)と、該樹脂層(I)によって被覆され層厚が20〜200μmであるエラストマー成分含有熱可塑性オレフィン系樹脂層(II)と、該樹脂層(II)に積層され層厚が10〜100μmの接着剤層とを有することを特徴とする油性インク受容性マーキングメディア。
- ハロゲン元素を組成物として実質的に含有しないことを特徴とする請求項1に記載の油性インク受容性マーキングメディア。
- 樹脂層(I)と樹脂層(II)がTダイ押出し法、またはインフレーション法によって2層同時成形された請求項1〜請求項2いずれかに記載の油性インク受容性マーキングメディア。
- 樹脂層(I)、樹脂層(II)および接着剤層がTダイ押出し法、またはインフレーション法によって3層同時成形された請求項1〜請求項3いずれかに記載の油性インク受容性マーキングメディア。
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