JP2003055567A - 制電性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

制電性熱可塑性樹脂組成物

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JP2003055567A
JP2003055567A JP2001243001A JP2001243001A JP2003055567A JP 2003055567 A JP2003055567 A JP 2003055567A JP 2001243001 A JP2001243001 A JP 2001243001A JP 2001243001 A JP2001243001 A JP 2001243001A JP 2003055567 A JP2003055567 A JP 2003055567A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 制電性に優れ、かつ成形時の熱安定性、物理
特性などに優れた熱可塑性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 下記成分: (a)極性基を有する熱可塑性エラストマー 100重
量部、(b)エチレンと(メタ)アクリル酸またはその
塩との共重合体、及び/又は、環状イミノエーテル化合
物 0.01〜15重量部、および(c)アルカリ金属
又はアルカリ土類金属のカチオンと、イオン解離可能な
アニオンとによって構成される金属塩 0.001〜5
重量部を含む事を特徴とする制電性熱可塑性樹脂組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制電性に優れた、
極性基を有する熱可塑性樹脂組成物に関し、特に、制電
性に優れ、かつ成形時の熱安定性、物理特性などに優れ
た熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、熱可塑性ポリエステルエラストマ
ー及び熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、優れた耐
摩耗性、機械強度を有し、広く使用されており、導電性
充填剤を含む導電性熱可塑性ポリウレタンエラストマー
も広く使用されている。近年、精密機器の急速な普及に
ともない、より高い制電機能が要求されており、従来の
帯電防止水準では、安定性、恒久性の点から十分では無
くなってきている。
【0003】例えば、熱可塑性ポリエステルエラストマ
ー及び熱可塑性ポリウレタンエラストマーにカーボンブ
ラックに代表される導電性充填材を複合化したものは、
導電性は優れるものの、柔軟性、加工性の低下を招く
他、摩耗性の低下に起因する導電性物質の脱落による導
電性能の不安定化などの問題がある。また、導電性充填
材が黒色であるため、成形品の色調が黒色に限定され、
意匠性が乏しいという問題もある。
【0004】さらに、従来、ICチップの包装に使用さ
れるICトレーなどの素材としての制電性組成物は、軽
量化、薄肉化、コンパクト化が検討されるようになり、
強度と高い剛性が求められる傾向にある。さらに、IC
の種類の識別などを目的として、トレー、キャリアテー
プの着色性などの意匠上の要求もある。導電性フィラー
において汎用されているカーボンブラックは、経済的で
あり、抵抗値の低いものが得られるが、黒色に限定され
るのと、一般的には加工性や材料強度などに問題がある
ことから、通常は種々の改質材と共に複合化されて使用
されている。
【0005】帯電防止剤は、表面にブリードさせて機能
を持たせる界面活性型のものと、いわゆる高分子型帯電
防止剤と称する親水性高分子材料をポリマーアロイ化す
ることによって機能を発現させるものがある。高分子型
帯電防止剤は、熱可塑性樹脂に対し、親水性高分子をポ
リマーアロイ化することによって永久的な制電性能を付
与するものであり、産業上の利用価値が高い。しかしな
がら、アロイ化される制電性樹脂の添加量は比較的多く
必要であり、しかも制電性樹脂は親水性セグメントであ
り、柔軟性を有するものが多いため、樹脂の剛性が低下
し、成形品の変形が生じる。これらの樹脂については、
無機の充填材、ガラス繊維などを併用することによって
改質が試みられているが、上記の制電性組成物と同様、
表面に、艶ムラ、ウェルドマーク、フラッシュマーク、
毛羽立ちなどを生じ、成形品の表面平滑性が満足のいく
ものではない。表面平滑性が阻害されると、表面固有抵
抗値のバラツキが生じたり、電気電子用品の接触状態に
影響を及ぼすことによって制電機能が阻害される。いず
れも、通常、帯電防止レベルの指標とされている表面固
有抵抗率は1011〜1013Ω/sq.であり、体積固有
抵抗率は、1011〜1013Ω・cmである。
【0006】近年、ICやLSIなどの高性能化と大容
量化により、トレーなどの包装用途に求められる電気特
性として、表面固有抵抗率が1011Ω/sq.以下、及
び、体積固有抵抗率が1011Ω・cm以下であることが
求められるようになり、いわゆる従来の帯電防止領域の
水準では充分でなくなっている。そして、この電気特性
を満たすために、カーボンブラックを使用する例が圧倒
的に多い。しかし、これは、強度や曲げ弾性率の低下を
招くため、無機系の充填材が比較的多量に添加されるの
が一般的である(特開昭59−96142号公報)。し
かしながら、無機系の充填材として広く使用されている
マイカ、タルクなどは比較的多量に添加されるため、導
電性フィラーによって構成されている材料では、加工性
の低下、耐衝撃強度の低下などが助長されるほか、導電
性のバラツキが大きくなるなどの問題がある。
【0007】一方、これらの強度特性の低下を防ぐため
に、ガラス繊維、炭素繊維などのチョップ繊維を併用す
る例もあるが、これらのチョップ繊維は、剛性、強度の
付与には効果的ではあるものの、艶ムラ、ウェルドマー
ク、フラッシュマーク、毛羽立ちなどの点で成形品の表
面平滑性が満足のいくものではない。さらに、成形品の
表面状態の悪化とともに、機器との接触が不充分とな
り、支障を来す。
【0008】近年、これらの熱可塑性エラストマーに、
高機能化を目的とし、各種改質剤を添加したり、他の高
分子と混合する(ポリマーブレンドやポリマーアロイを
形成する)などして、新たな用途に対応する試みがなさ
れている。
【0009】一方、これらの改質剤を添加することによ
り、熱可塑性エラストマーや追加の他のポリマーの熱分
解を促進する場合が多様にある。また、長時間にわたり
成形加工を行うと、樹脂の熱分解による分子量低下、物
理特性の低下や成形加工性の悪化、成形機の老朽化の促
進等の不具合を生じる場合がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、以上のよ
うな従来の技術的課題を解決すべく鋭意検討した結果、
極性基を有する熱可塑性エラストマーにエチレンと(メ
タ)アクリル酸またはその塩との共重合体及び/又は環
状イミノエーテル化合物ならびにアルカリ金属又はアル
カリ土類金属のカチオンと、イオン解離可能なアニオン
とによって構成される金属塩を添加することにより、表
面固有抵抗率が1011Ω/sq.以下であり、体積固有
抵抗率が1011Ω・cm以下であり、かつ成形時に発泡
を生じることのない、熱安定性、物理特性などに優れた
制電性熱可塑性樹脂組成物が得られることを見出し、本
発明に到達した。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、下
記成分: (a)極性基を有する熱可塑性エラストマー 100重
量部、(b)エチレンと(メタ)アクリル酸またはその
塩との共重合体、及び/又は、環状イミノエーテル化合
物 0.01〜15重量部、および(c)アルカリ金属
又はアルカリ土類金属のカチオンと、イオン解離可能な
アニオンとによって構成される金属塩 0.001〜5
重量部を含む事を特徴とする制電性熱可塑性樹脂組成物
である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の熱可塑性樹脂の各成分に
ついて、以下に説明する。成分(a):極性基を有する熱可塑性エラストマー 本発明の組成物に用いられる成分(a)は、分子構造内
に極性基を有するものであればいかなるものでもよい
が、なかでも、ポリエーテルエステルアミド系樹脂、ポ
リエステル系エラストマー、脂肪族系ポリエステル、ポ
リウレタン系エラストマー、およびポリアミド系エラス
トマーが好ましい。
【0013】(a−1):ポリエーテルエステルアミド
系樹脂 本発明の(a−1)ポリエーテルエステルアミド系樹脂
は、ポリエーテルセグメントを有する高分子の非イオン
系界面活性剤の1種である。具体例としては、ポリエチ
レングリコール・ポリアミド共重合体、ポリエチレング
リコール・メタクリレート共重合体、ポリエチレンオキ
シド/ポリプロピレンオキシド共重合体、ポリエチレン
グリコール系ポリエステルアミド共重合体、ポリエチレ
ングリコール系ポリエステルエラストマーなどポリエー
テルセグメントを有する制電性エラストマーが挙げられ
る。
【0014】(a−2):ポリエステル系エラストマー 本発明の(a−2)成分であるポリエステル系エラスト
マーとは、分子内のハードセグメントとしてポリエステ
ルを、ソフトセグメントとしてガラス転移温度(Tg)
の低いポリエーテルまたはポリエステルを用いたマルチ
ブロックコポリマーである。具体的には、ハードセグメ
ントとして、ポリブチレンテレフタレートなどの芳香族
系結晶性ポリエステルを、ソフトセグメントとしてポリ
エーテルを用いたポリエステル/ポリエーテル型、ハー
ドセグメントとして芳香族系結晶性ポリエステルを、ソ
フトセグメントとして脂肪族系ポリエステルを用いたポ
リエステル/ポリエステル型などが挙げられる。
【0015】ポリエステル/ポリエーテル型は、例えば
テレフタル酸ジメチルと1,4−ブタンジオールおよび
ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどを出発原料
として、エステル交換反応、重縮合反応によって合成さ
れるものである。また、ポリエステル/ポリエーテル型
は、テレフタル酸ジメチルと1,4−ブタンジオールお
よびε−カプロラクトンなどを出発原料として、エステ
ル交換反応、開環反応によっても合成することができ
る。本発明の(a−2)成分としては、通常のポリエス
テルエラストマーが全て使用でき、1種単独で、あるい
は2種以上を併用することができる。
【0016】(a−3):脂肪族系ポリエステル 本発明の(a−3)成分である脂肪族系ポリエステル
は、生分解性として一般的に市販されているものを用い
ることができる。例えば、昭和高分子(株)より販売さ
れている商品名ビオノーレ(ポリブチレンサクシネー
ト、ポリブチレンサクシネートアジペート)やダイセル
化学工業(株)より販売されているセルグリーン(ポリ
カプロラクトン)などが挙げられるが、用途や特性に応
じた樹脂を任意に選定することができる。工業的には、
脂肪族ジカルボン酸と過剰のジオールを出発原料とし
て、脱水重縮合反応および脱ジオール反応によって合成
されるものなどが挙げられる。このような脂肪族ポリエ
ステルとしては、ポリブチレンサクシネート、ポリエチ
レンサクシネートおよびその共重合体が一般的であり、
各種高分子量タイプが工業生産されている。
【0017】本発明に好適に用いられる(a−3)脂肪
族ポリエステルとしては、ポリブチレンサクシネート
(コハク酸と1,4−ブタンジオールの2元系縮合
物)、ポリブチレンサクシネートアジペート(コハク酸
およびアジピン酸、ならびに1,4−ブタンジオールの
3元系縮合物)などが挙げられる。また、本発明の(a
−3)脂肪族ポリエステルには、イソシアネート基、ウ
レタン基といった反応基を構造中に導入することも可能
である。さらに、本発明の(a−3)脂肪族ポリエステ
ルとして、ポリ乳酸などを共重合したコポリエステルの
ような種々の共重合体を用いることもできる。
【0018】(a−4):ポリウレタン系エラストマー 本発明のポリウレタン系エラストマー(a−4)とはウ
レタン基を持つ熱可塑性エラストマーである。具体的に
は、ソフトセグメントとしての、長鎖グリコールとイソ
シアネートの反応で得られるポリウレタンと、ハードセ
グメントとしての、短鎖グリコールとイソシアネートか
らなるポリウレタンとの、直鎖状のマルチブロックコポ
リマーであり、必要に応じて、架橋剤(鎖延長剤)も用
いられる。ここで、長鎖グリコールとしては、ポリエー
テル系としてポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオ
キシド、あるいはそれらの共重合体が挙げられ、ポリエ
ステル系としてポリアジペート、ポリラクトン、ポリカ
ーボネート、脂肪族系としてポリブタジエン、ポリイソ
プレンなどが挙げられる。
【0019】また、短鎖グリコールとしては、エチレン
グリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオールのような脂肪族グリコール、シクロヘキサン
ジメタノールなどのような脂環族グリコール、ハイドロ
キノンビス(2−ヒドロキシエチル)エーテルのような
芳香族グリコールが、通常、使用される。一方、上記イ
ソシアネートとしては、4,4′−ジフェニルメタンジ
イソシアネート(MDI)、2,4′−および2,6−
トルエンジイソシアネート(TDI)などが用いられ
る。また、上記架橋剤(鎖延長剤)としては、3,3−
ジクロロ−4,4−ジアミノジフェニルメタン(MOC
A)などの芳香族ジアミンなどが用いられる。上記(a
−4)ポリウレタンエラストマーは、1種単独であるい
は2種以上を併用することができる。
【0020】(a−5):ポリアミド系エラストマー 本発明の(a−5)成分であるポリアミドとは、アミド
結合をその繰り返し単位中に有するアミド系樹脂を総称
するものであり、例えば、ナイロン6、ナイロン6,
6、ナイロン12などや、ポリアミドポリエステル共重
合体、ポリアミドポリエーテル共重合体などが挙げられ
る。本発明の(a−5)成分であるポリアミド系エラス
トマーとは、ハードセグメントであるポリアミド拘束相
と、ソフトセグメントとしてのポリエーテル及び/また
はポリエステル構造を有する熱可塑性エラストマーの総
称である。例えば、ポリアミド(PA)拘束相としてP
A12成分を用いたポリアミド系エラストマーは、ラウ
ロラクタム、ジカルボン酸、およびポリエーテルジオー
ルを、ラクタム開環触媒としての水を加えて加圧加熱下
で反応させてカルボキシルテレケリックナイロン12オ
リゴマーを得、次にポリエーテルジオールと縮合反応さ
せることにより得られる。ポリアミド拘束相としては、
この他に、PA6なども用いられる。
【0021】ポリアミド系エラストマーは、上記合成方
法により、基本構造的には、ポリエーテルブロックポリ
アミドエラストマーまたはポリエーテルエステルブロッ
クポリアミドエラストマーの形態のものとなり、使用さ
れるジオールの種類などによって様々な特性を持ったポ
リアミド系エラストマーが得られる。ポリアミド系エラ
ストマーは、高温特性と機械特性、耐油性、低温特性な
どに優れているため、機械部品、自動車部品などの他、
スポーツ用品関係など広範囲に使用されている。
【0022】また、加工性、特性を改質する目的とし
て、ポリアミドやポリアミド系エラストマーに他の樹脂
を混合してポリマーアロイ、ポリマーブレンドなどの形
態で使用することも可能である。なお、本発明における
成分(a)は、好ましくは、ガラス転位温度が室温以下
である。
【0023】成分(b):エチレンと(メタ)アクリル
酸またはその塩との共重合体および環状イミノエーテル
化合物 成分(b)としては、以下に説明するエチレンと(メ
タ)アクリル酸またはその塩との共重合体および環状イ
ミノエーテル化合物の両方またはいずれか一方を使用す
ることができる。
【0024】(b−1):エチレンと(メタ)アクリル
酸またはその塩との共重合体 本発明におけるエチレンと(メタ)アクリル酸またはそ
の塩との共重合体は、エチレンと一般式(I):
【0025】
【化1】 CH=C(R)−COOM (I)
【0026】[式中、Rは水素又はメチル基を表し、
MはLi、Na、K、Zn、Mg、Ag、Cu、Ca、
Ba、Feなどの金属、炭素数1〜10個のアルキル基
又は水素を表す。]で表される単量体との共重合体であ
る。上記一般式(I)で表される単量体としては、メタ
クリル酸金属塩、アクリル酸金属塩、メタクリル酸エス
テル、アクリル酸エステル、メタクリル酸、アクリル酸
等が挙げられる。中でもメタクリル酸金属塩が好まし
い。この共重合体は、高い反発弾性率を持つイオン架橋
結合を有するイオン性共重合体であって、具体的にはエ
チレンとアクリル酸又はメタクリル酸の如き不飽和有機
酸との共重合体であり、カルボキシル基の全部又は一部
が金属イオンにより中和又は架橋されているものが良
い。一般式(I)におけるMは、好ましくはNa、Zn
である。
【0027】エチレンとの共重合体において、上記単量
体は、3〜20重量%、特に4〜15重量%を占めるこ
とが好ましい。特に、メタクリル酸金属塩含量が3〜2
0重量%、特に4〜15重量%のエチレン−メタクリル
酸金属塩共重合体が好ましい。上記単量体が3重量%未
満では、得られる組成物中に単量体が充分に分散しない
という問題点があり、20重量%を超えると必要な反発
弾性が得られない。また、上記共重合体は、0.5〜1
5g/10分のメルトフローレート(JISK 676
0に準処し、温度190℃、荷重2160gで測定)を
有することが好ましい。ここで必要に応じて、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィン共重
合体を配合することができ、3種以上の樹脂の混合物を
用いることもできる
【0028】(b−2):環状イミノエーテル化合物 本発明における環状イミノエーテル化合物としては下記
式(II)で示されるものが使用される。
【0029】
【化2】 (II)
【0030】式(II)中、Xは2価の炭化水素基であ
り、具体的にはエチレン、置換エチレン、トリメチレ
ン、置換トリメチレン等があげられる。置換エチレン又
は置換トリメチレンの置換基としては炭素数1〜10の
アルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数5〜
12のシクロアルキル基、炭素数8〜20のアラールキ
ル基があげられる。上記アルキル基としてはメチル、エ
チル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチ
ル、ノニル、デシル、イソプロピル等が例示できる。上
記アリール基としてはフェニル、ナフチル、ジフェニル
等が例示でき、さらには、下記(III)のアリール基で
もよい。
【0031】
【化3】 (III)
【0032】(ここでRは−O−、−CO−、−S−、
−SO2−、−CH2−、−CH2 ・CH2−、−C(C
32−である。)また、シクロアルキルとしてはシ
クロヘキシルが例示できる。
【0033】上記Xとしては、これらのうちでもエチレ
ン、トリメチレンが特に好ましい。なお、式(II)中の
2個のXは互いに同一であることが好ましいが、相異な
る基であっても差支えない。
【0034】式(II)中のDは、2価の炭化水素基であ
り、その具体例としては、炭素数1〜10のアルキレン
基、炭素数6〜12のアリーレン基、炭素数5〜12の
シクロアルキレン基、炭素数8〜20のアラールキレン
基等があげられる。さらに具体的には、上記アルキレン
基として、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレ
ン、ペンチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ノ
ナメチレン、デカメチレン等が例示でき、またシクロア
ルキレン基としてシクロヘキシレンが例示できる。ま
た、アリーレン基としてはフェニレン、ナフチレン、ジ
フェニレン及び下記の基が例示できる。このDは上述の
Xと同一の炭化水素基でもよく、異なってもよい。
【0035】
【化4】 (IV)
【0036】(ここでR′は−O−、−CO−、−S
−、−SO2−、−CH2−、−CH2・CH2−、−C
(CH32−である。)また、式(II)中、
【0037】
【化5】 (V)
【0038】で示される環状イミノエーテルは5員環又
は6員環を形成するが、5員環のものはビスオキサゾリ
ンと呼ばれる化合物であり、6員環のものはビスオキサ
ジンと呼ばれる化合物である。これらの具体例として
は、次の如き化合物をあげることができる。
【0039】(i)ビスオキサゾリン類:2,2′−p
−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−m
−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−o
−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−p
−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、
2,2′−p−フェニレンビス(4,4−ジメチル−2
−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレンビス(4
−メチル−2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニ
レンビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、
2,2′−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,
2′−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,
2′−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,
2′−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,
2′−デカメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,
2′−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリ
ン)、2,2′−テトラメチレンビス(4,4−ジメチ
ル−2−オキサゾリン)、2,2′−3,3′−ジフェ
ノキシエタンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−シ
クロヘキシレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−
ジフェニレンビス(2−オキサゾリン)。
【0040】(ii)ビスオキサジン類:2,2′−メチ
レンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジ
ン)、2,2′−エチレンビス(5,6−ジヒドロ−4
H−1,3−オキサジン)、2,2′−プロピレンビス
(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、
2,2′−ブチレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−
1,3−オキサジン)、2,2′−ヘキサメチレンビス
(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、
2,2′−p−フェニレンビス(5,6−ジヒドロ−4
H−1,3−オキサジン)、2,2′−m−フェニレン
ビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジ
ン)、2,2′−ナフチレンビス(5,6−ジヒドロ−
4H−1,3−オキサジン)、2,2′−p・p′−ジ
フェニレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オ
キサジン)。
【0041】本発明における式(II)で示される環状イ
ミノエーテル化合物としては、なかでも2,2′−m−
フェニレンビス(2−オキサゾリン)が特に好ましい。
【0042】成分(b)を配合することによって成分
(a)の粘度低下、すなわち分子量の低下を抑制するこ
とができ、従って、成形時の発泡を抑えることができ
る。成分(b)の配合量は、成分(a)100重量部に
対し、0.01〜15重量部である。好ましい配合量
は、使用する成分(b)によって異なり、成分(b−
1)を単独で用いる場合は、好ましくは0.1〜10重
量部、さらに好ましくは1〜8重量部、特に好ましくは
3〜5重量部である。成分(b−2)を単独で用いる場
合は、好ましくは0.01〜5重量部、さらに好ましく
は0.05〜3重量部である。成分(b−1)、(b−
2)を併用する場合は、好ましくは0.1〜15重量部
である。成分(b)が下限値未満の場合、必要とする粘
度低下防止効果が得られず、上限値を越えた場合、加工
性が悪くなるという問題が発生する。
【0043】成分(c):アルカリ金属又はアルカリ土
類金属のカチオンと、イオン解離可能なアニオンとによ
って構成される金属塩 成分(c)におけるアルカリ金属又はアルカリ土類金属
のカチオンとしては、例えば、Li+、Na+ 、K+、M
2+、Ca2+などが挙げられる。好ましくはイオン半径
の小さいLi+、Na+、K+であり、特に好ましくはリ
チウムイオン(Li+)である。
【0044】イオン解離可能なアニオンとしては、例え
ば、Cl-、Br-、F-、I-、NO 3 -、SCN-、Cl
4 -、CF3SO3 -、BF4 -、(CF3SO22-
(CF3SO23-などが挙げられる。好ましくはCl
4 -、CF3SO3 -、(CF3SO22-、(CF3SO
23-であり、特に好ましくはClO4 -、CF3
3 -、(CF3SO22-、(CF3SO23-であ
る。
【0045】上記カチオン及びアニオンによって構成さ
れる金属塩類は数多く存在する。好ましくは過塩素酸リ
チウムLiClO4、過塩素酸ナトリウムNaClO4
過塩素酸マグネシウムMg(ClO42、過塩素酸カリ
ウムKClO4、トリフルオロメタンスルホン酸リチウ
ムLi(CF3SO3)、ビス(トリフルオロメタンスル
ホニル)イミドリチウムLi・N(CF3SO22、ビ
ス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドカリウムK
・N(CF3SO22、ビス(トリフルオロメタンスル
ホニル)イミドナトリウムNa・N(CF3SO22
トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンリチウ
ムLi・C(CF3SO23、トリス(トリフルオロメ
タンスルホニル)メタンナトリウムNa・C(CF3
23である。より好ましくは過塩素酸リチウム、過塩
素酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウ
ム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチ
ウム及びトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタ
ンリチウムである。特に好ましくは過塩素酸リチウム、
過塩素酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸リ
チウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
リチウム、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メ
タンリチウムである。
【0046】成分(c)を添加することによって、得ら
れる樹脂組成物の表面固有抵抗率、および、体積固有抵
抗率を低減することができる。成分(c)の配合量は、
成分(A)100重量部に対して、上限値が5重量部、
好ましくは3重量部、より好ましくは2重量部である。
下限値は0.001重量部、好ましくは0.01重量
部、より好ましくは0.02重量部である。上記下限未
満では、充分な導電性を得ることが難しく、一方、上記
上限を超えては、結晶化の進行や材料劣化等を招き制電
効果が低下する。
【0047】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、更に、
下記の成分(d)を含めることができる。
【0048】成分(d):成分(c)を溶解する有機化
合物 成分(d)は、本発明の樹脂組成物において、成分
(c)の金属塩の成分(a)への溶解性及びアルカリ金
属又はアルカリ土類金属カチオンの解離安定性を高める
ものである。
【0049】好ましくは、成分(d)は、−{O(A
O)n}−基(Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは
1〜7の整数を示す)を有し、かつ全ての分子鎖末端が
CH3基及び/又はCH2基である有機化合物である。上
記分子鎖末端のCH2基とは、二重結合をしている炭素
原子を有するものである。
【0050】成分(d)は、例えば、炭素数1〜9の直
鎖又は分岐脂肪族アルコール1モルに、炭素数2〜4の
アルキレンオキシドを1〜7モル付加して得られるアル
コールと、二塩基酸とを原料として、一般的なエステル
化合物の製造方法によって製造することができる。
【0051】ここで、上記アルコールの例としては、プ
ロパノール1モルにエチレンオキシド1〜7モル、プロ
ピレンオキシド1〜4モル、またはブチレンオキシド1
〜3モル、ブタノール1モルにエチレンオキシド1〜6
モルまたはプロピレンオキシド1〜3モル、ヘキサノー
ル1モルにエチレンオキシド1〜2モル、ペンタノール1
モルにエチレンオキシド1〜5モル、プロピレンオキシ
ド1〜3モル、またはブチレンオキシド1〜2モル、オ
クタノール1モルにエチレンオキシド1〜5モル、プロ
ピレンオキシド1〜3モル、またはブチレンオキシド1
〜3モル、ノナノール1モルにエチレンオキシド1〜4
モル、プロピレンオキシド1〜2モル、またはブチレン
オキシド1〜2モルをそれぞれ付加させたヒドロキシル
化合物が挙げられる。
【0052】なお、これらの化合物の中で、ブタノール
1モルにエチレンオキシド2モルを付加させた2−(2
−ブトキシエトキシ)エタノール、ブタノール1モルに
エチレンオキシド1モルを付加させた2−ブトキシエタ
ノールが、加工性とのバランスの点で好ましい。
【0053】また、上記二塩基酸としては、アジピン
酸、セバシン酸、フタル酸、コハク酸などのカルボン
酸、およびこれらのカルボン酸無水物などが挙げられ
る。
【0054】上記原料を使用して製造される成分(d)
は、好ましくは、末端にヒドロキシル基を有さないアル
キル基である化合物である。
【0055】更に好ましくは、成分(d)は、下記一般
式(VI)で表される化合物である。
【0056】
【化6】
【0057】上記式中、Zは炭素数1〜9の直鎖または
分岐のアルキレン基、芳香族を含む2価の炭化水素基、
又は2価の脂環式炭化水素基を示し、Aは夫々独立し
て、炭素数2〜4のアルキレン基を示し、Qは夫々独立
して、炭素数1〜9の、直鎖又は分岐のアルキル基を示
し、nは夫々独立して、1〜7の整数である。
【0058】特に好ましくは、下記化学式(VII)に示
されるアジピン酸ジブトキシエトキシエチル(ビス〔2
−(2ブトキシエトキシ)エチル〕アジペート)、また
は下記化学式(VIII)に示されるビス(2−ブトキシエ
チル)フタレートである。
【0059】
【化7】
【0060】
【化8】
【0061】成分(d)は、成分(d)/成分(c)の
重量比が1/1〜99/1の範囲になるように配合され
るのが好ましい。より好ましくは2/1〜19/1の範
囲で、更に好ましくは3/1〜9/1である。成分
(d)の配合量を上記範囲にすることにより、ブリード
のない安定した導電性を得ることができる。上記上限を
超えては、得られる組成物の粘度が著しく低下し、ドロ
ーダウンなどの成形加工性が低下し、成形品の寸法安定
性が悪くなるほか、物理的特性の低下を招く。また、取
り扱いを容易にする為には、室温で液状の有機化合物が
好ましい。
【0062】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、制電性を
損なわない範囲で下記成分(e)をさらに含有して、樹
脂組成物の熱安定性を高めることができる。成分(e):非極性熱可塑性エラストマー、及び、ガラ
ス転位温度が室温以上の極性樹脂 成分(e)としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリス
チレンやアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重
合体(ABS樹脂)などのポリスチレン系樹脂、アクリ
レート/メタクリレート系樹脂などのビニルモノマー重
合体または共重合体;低密度ポリエチレン、中密度ポリ
エチレン、高密度ポリエチレン、低圧法低密度ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ4−メチ
ルペンテン−1などのポリα−オレフィン;プロピレン
−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンラ
ンダム共重合体などの、α−オレフィン同士またはα−
オレフィンと他のモノマーとの共重合体;その他のポリ
オレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロ
ン12などのポリアミド;ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレートなどの芳香族系ポリエ
ステルおよび脂肪族系ポリエステル;液晶ポリエステ
ル;ポリフェニレンオキシドなどの芳香族ポリエーテ
ル;ポリアセタール系樹脂ポリカーボネート系樹脂;ポ
リイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどの
スルホン系ポリマー;エポキシ樹脂、フェノール樹脂、
ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂などが挙げられ
る。
【0063】本発明においては、上記の熱可塑性樹脂の
中から1種または2種以上の混合物が目的に応じて適宜
選択される。なかでも、成形性の点から、ポリ塩化ビニ
ル、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−ス
チレン共重合体(ABS樹脂)などのビニルモノマー重
合体または共重合体;ポリプロピレン、結晶性プロピレ
ン−エチレン共重合体や結晶性プロピレン−ブテン1共
重合体などの結晶性プロピレン共重合体、ナイロン、ポ
リブチレンテレフタレートなどが好ましく、特にポリ塩
化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエ
ン−スチレン三元共重合体(ABS樹脂)などのビニル
モノマー重合体または共重合体が好ましい。また、耐熱
性の点からは、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフ
タレート、芳香族ポリイミド、芳香族ポリエーテルなど
が好ましい。本発明の制電性樹脂組成物を上記成分
(e)とのポリマーアロイの形態とすることで、制電性
樹脂組成物が成分(e)中に分散し、その結果、制電性
効果を有し、且つ、熱安定性を有する樹脂組成物が得ら
れる。
【0064】成分(a)100重量部に対する成分
(e)の添加量の範囲は、好ましくは50〜3500重
量部、更に好ましくは100〜3500重量部である。
特に、成分(a)がポリエーテルエステルアミドの場合
は、200〜3500重量部が好ましい。
【0065】本発明の制電性熱可塑性樹脂組成物には、
各種充填材、安定剤、着色剤、強化用ゴム、エラストマ
ー成分、可塑剤、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、
難燃剤、安定剤、補強剤、滑剤、発泡剤、耐候(光)
剤、金属粉などの添加剤を適宜配合することができる。
【0066】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各成分を
予備混合し、溶融混練して、通常の2次加工原料形態で
あるペレット状コンパウンドとして使用することができ
る。ペレット加工することによって、各種成分を均一に
予備分散ならしめ、高分子特性としての安定性を得るこ
とができる。ペレット状コンパウンドの加工において用
いられる予備混合機としては、予備分散、分配、拡散混
合を目的とするブレンダーが用いられる。ブレンダーの
代表例としては、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサ
ー(スーパーミキサー)、タンブラーミキサー、タンブ
ルミキサー、エアーブレンダーなどが挙げられる。これ
らの予備混合機は、各配合物の形態や拡散レベル、およ
び、溶融混練機に応じて選定される。また、予備混合機
を用いず、各成分をそれぞれ異なるブラベンダーなどの
定量切出機や定量液体添加装置を用いて、溶融混練機に
投入してもよい。溶融混練機としては、一般的には単
軸、二軸押出機、バンバリー式、ロール式などが挙げら
れる。これらも、組成物の形態や目的、生産性に応じて
選定し、溶融混練することにより、ペレット状の原料を
製造することが可能である。
【0067】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各
成分をドライブレンドして得られるパウダー状としても
使用できる。上記ペレット状コンパウンドの加工におい
て用いられる予備混合機を用いてドライブレンドして、
パウダー状の混合物の原料を製造することも可能であ
る。
【0068】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、あらゆる
成形方法に対応でき、異形押出を含む押出成形、射出成
形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形、エンボス
成形など各種成形機による成形加工が可能である。上記
の各種成形機は、通常使用される一般的な仕様のものが
採用できる。
【0069】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、その優れ
た特性を生かし、即ち、中程度の均一かつ安定した導電
性を生かし、種々の用途に使用することができる。上記
のようにカーボンブラック含有樹脂は、中程度の均一か
つ安定した導電性が得られないと言う欠点を有してい
る。従来、該欠点を認めつつも、代替品がないことから
カーボンブラック含有樹脂が使用されて来た中程度の導
電性を必要とする、下記の様々な用途に好適に、本発明
の熱可塑性樹脂組成物が使用され得る。例えば、特に、
LCD関連分野、LSI関連分野、IC関連分野、OA
機器、AV機器、家電機器等の導電性あるいは帯電防止
性が要求される分野、特に電子写真技術を用いたプリン
ター、複写機等の帯電・現像・転写ロール等に極めて好
適に使用することができる。導電ロールは、電子写真、
静電記録によるプリンター等の用途に好適である。近
年、電子写真技術の進歩に伴い、乾式電子写真装置の転
写材、トナーに対する接触帯電部材などとして半導電性
弾性ロールが注目されており、現像ロール、転写ロール
等に用いられている。家電機器カバー、OA機器カバ
ー、FDケースカバー、帯電防止カバー、静電防止薄
板、静電防止袋、ICカバーテープ、静電防止衣服、無
菌服などに好適に使用することができる。
【0070】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例により説
明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるも
のではない。なお、実施例中における部および%は、特
に断らない限り、重量基準である。
【0071】実施例および比較例で使用した成分は、以
下の通りである。 <成分(a)> (1)ペルプレン P−70B(商標):東洋紡績株式
会社製 種類:ポリエーテル/エステル系熱可塑性ポリエステル
エラストマー(TPEE)(Tg:−10℃以下) (2)パンデックスT−8180N(商標):ディーア
イシーバイエル株式会社製 種類:熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(TPU
E)(Tg:−10℃以下) (3)ペレスタットNC6321(商標):三洋化成工業
株式会社製 種類:ポリエーテルエステルアミド(PEEA)(T
g:−45〜−55℃) (4)ペバックス2533SA01(商標):東レ株式
会社製 種類:熱可塑性ポリアミド系エラストマー(TPAE)
(Tg:−60〜―70℃)
【0072】<成分(b)> (b−1):ハイミラン1605(商標);三井デュポ
ン・ポリケミカル株式会社製 種類:エチレン−メタクリル酸共重合系アイオノマー
(Naイオン系) (b−2):CPレジンA(商標);三国製薬株式会社
製 種類:2,2'−(1,3)−フェニレン−ビス(2―
オキサゾリン)(略称:1,3−PBO)
【0073】<成分(c):> (1)LiClO4: 過塩素酸リチウム (2)LiN(CF3SO2)2 : ビス(トリフルオロ
メタンスルフォニル)イミドリチウム (3)LiCF3SO3:トリフルオロメタンスルホン酸
リチウム:
【0074】<成分(d)>アジピン酸ジブトキシエト
キシエチル(下記式(IX)で示される化合物);三光化
学工業株式会社製
【0075】
【化9】
【0076】<成分(e):> (1)KODA PETG 6763(商標):イース
トマン・ケミカル製 種類:極性樹脂、 PETG(下記式(X)で示される
化合物)(Tg:81℃)
【0077】
【化10】 (X)(2)ユーピロンS−1000R (商標):三菱
ガス化学製 種類:極性樹脂、ポリカーボネート(Tg:145〜1
55℃)
【0078】実施例 下表の配合処方に従い、成分(a)〜(e)を直径47
mmの2軸押出機にて混練温度190℃〜230℃で溶
融混練を行った。実施例1〜4および比較例1〜4は2
20℃、実施例5〜7および比較例5〜6は200℃、
実施例8および比較例7は220℃、実施例9および比
較例8は210℃、実施例10および比較例9は230
℃であった。得られた樹脂組成物の制電性(体積固有抵
抗率、表面固有抵抗率)および成形性(発泡性)の結果
を下記表1及び2に示す。
【0079】なお、実施例および比較例において用いた
評価方法は次の通りである。 <試験片の調製及び成形性(発泡性)>サンプルペレッ
トを型締め力120tonの射出成形機に供給して、射
出成形機内にて所定の温度で滞留させた後、成形をおこ
ない、成形品の状態を観察した。成形条件は、シリンダ
ー温度=200または230℃、金型温度=40℃であ
り、ゲートは、幅40×厚み0.5mmのフィルムゲー
トを使用した。試験片形状は、厚み3mmのプレートで
あり、外寸は80×40mmである。成形品の発泡の有
無を目視で確認した。
【0080】<表面固有抵抗率、体積固有抵抗率(制電
性)>幅6×長さ6×厚み0.3(cm)の射出成形試
験片を用い、三菱化学(株)製、ハイレスタにて、AS
TM D257に準じて測定を行った。測定条件は温度
23℃、湿度50%、印加電圧500Vであった。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】表から明らかなように、実施例1〜10の
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、体積固有抵抗率が
1011Ω・cm以下であり、表面固有抵抗率が1011Ω
/sq.以下であり、しかも、200℃または230℃
での成形において発泡を生じなかった。一方、成分
(b)を含まない比較例1〜3および5〜9の樹脂組成
物はいずれも、成形時に発泡を生じ、正確な体積固有抵
抗率および表面固有抵抗率を測定することができなかっ
た。また、成分(c)を含まない比較例4は、体積固有
抵抗率が1012Ω・cm以上であり、表面固有抵抗率が
1012Ω/sq.以上であり、制電性に劣るものであっ
た。
【0084】
【発明の効果】本発明は、制電性に優れ、かつ成形時の
熱安定性、物理特性などに優れた熱可塑性樹脂組成物を
提供する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 23:08)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記成分: (a)極性基を有する熱可塑性エラストマー 100重
    量部、(b)エチレンと(メタ)アクリル酸またはその
    塩との共重合体、及び/又は、環状イミノエーテル化合
    物 0.01〜15重量部、および(c)アルカリ金属
    又はアルカリ土類金属のカチオンと、イオン解離可能な
    アニオンとによって構成される金属塩 0.001〜5
    重量部を含む事を特徴とする制電性熱可塑性樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 成分(a)が、ポリエーテルエステル
    アミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、
    脂肪族系ポリエステル、ポリウレタン系エラストマー、
    およびポリアミド系エラストマーの群から選ばれた少な
    くとも1種以上である事を特徴とする請求項1記載の制
    電性熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 成分(d)として、成分(c)を溶解
    する有機化合物をさらに含有する事を特徴とする請求項
    1または2記載の制電性熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 成分(d)が−{O(AO)n}−基
    (Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは1〜7の整数
    を示す)を有し、かつ全ての分子鎖末端がCH3基およ
    び/またはCH2基で構成される有機化合物である事を
    特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載の制電性熱
    可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 成分(d)/成分(c)の重量比が1
    /1〜99/1である事を特徴とする請求項1〜4のい
    ずれか一項に記載の制電性熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 成分(c)においてアルカリ金属又は
    アルカリ土類金属のカチオンがLi+、Na+ 、K+、M
    2+およびCa2+から選ばれる1つであり、イオン解離
    可能なアニオンが、Cl-、Br-、F-、I-、NO3 -
    SCN-、ClO4 -、CF3SO3 -、BF4 -、(CF3
    22-および(CF3SO23-から選ばれる1つ
    である事を特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記
    載の制電性熱可塑性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 成分(c)においてアルカリ金属又は
    アルカリ土類金属のカチオンがLi+およびNa+から選
    ばれる1つであり、イオン解離可能なアニオンが、Cl
    4 -、CF3SO3 -、(CF3SO22-および(CF3
    SO23-から選ばれる1つである事を特徴とする請
    求項1〜6のいずれか一項に記載の制電性熱可塑性樹脂
    組成物。
  8. 【請求項8】 成分(c)が過塩素酸リチウムLiC
    lO4、過塩素酸ナトリウムNaClO4、過塩素酸マグ
    ネシウムMg(ClO42、過塩素酸カリウムKClO
    4、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムLi(CF3
    SO3)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミ
    ドリチウムLi・N(CF3SO22、ビス(トリフル
    オロメタンスルホニル)イミドカリウムK・N(CF3
    SO22、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミ
    ドナトリウムNa・N(CF3SO22、トリス(トリ
    フルオロメタンスルホニル)メタンリチウムLi・C
    (CF3SO23およびトリス(トリフルオロメタンス
    ルホニル)メタンナトリウムNa・C(CF3SO23
    である群から選ばれる1つ又はそれ以上である事を特徴
    とする請求項1〜7いずれか一項に記載の熱可塑性樹脂
    組成物。
  9. 【請求項9】 成分(c)が過塩素酸リチウムLiC
    lO4、過塩素酸ナトリウムNaClO4、トリフルオロ
    メタンスルホン酸リチウムLi(CF3SO3)、ビス
    (トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムLi
    ・N(CF3SO2 2、ビス(トリフルオロメタンスル
    ホニル)イミドナトリウムNa・N(CF3SO22
    トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンリチウ
    ムLi・C(CF3SO23およびトリス(トリフルオ
    ロメタンスルホニル)メタンナトリウムNa・C(CF
    3SO23である群から選ばれる1つ又はそれ以上であ
    る事を特徴とする請求項1〜8いずれか一項に記載の制
    電性熱可塑性樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 成分(a)100重量部に対し、成
    分(e)として非極性熱可塑性エラストマー、及び/又
    は、ガラス転位温度が室温以上の極性樹脂50〜350
    0重量部をさらに含有する事を特徴とする請求項1〜9
    いずれか一項に記載の制電性熱可塑性樹脂組成物。
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