JP2003055529A - プロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

プロピレン系樹脂組成物

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JP2003055529A
JP2003055529A JP2001249096A JP2001249096A JP2003055529A JP 2003055529 A JP2003055529 A JP 2003055529A JP 2001249096 A JP2001249096 A JP 2001249096A JP 2001249096 A JP2001249096 A JP 2001249096A JP 2003055529 A JP2003055529 A JP 2003055529A
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propylene
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resin composition
ethylene
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JP2001249096A
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Yoshihiro Sobashima
好洋 傍島
Masaaki Isoi
政明 磯井
Shigeo Mizukami
茂雄 水上
Kenjiro Takayanagi
健二郎 高柳
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Japan Polychem Corp
Original Assignee
Japan Polychem Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形(射出成形・射出圧縮成形)性、物性バ
ランス(高い剛性・衝撃強度)および耐傷付性、耐突出
白化性に優れたプロピレン系樹脂組成物及び該プロピレ
ン系樹脂組成物を用いて成形した高性能な工業部品等の
提供。 【解決手段】 (a)特定の結晶性ポリプロピレン単独
重合部分と特定のエチレン・プロピレン−ランダム共重
合部分からなり、そのMFRが10〜120g/10分
であるプロピレン・エチレン−ブロック共重合体100
重量部、(b)特定のオルトジクロルベンゼン溶媒によ
る温度上昇溶離分別の溶出量等を有し、そのMFRが
0.5〜100g/10分であるプロピレン・エチレン
−ブロック共重合体1〜60重量部、及び(c)タルク
0.2〜80重量部からなことを特徴とするプロピレン
系樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】 【発明の属する技術分野】
【0001】本発明は、優れた成形(射出成形・射出圧
縮成形)性、物性バランス(高い剛性・衝撃強度)、耐
傷付性と共に耐突出白化性に優れた新規なプロピレン系
樹脂組成物に関し、特に、各種工業部品、自動車部品と
りわけ自動車内装部品用の素材として好適なプロピレン
系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、工業部品分野における各種成形
品、例えば、バンパー、インストルメントパネル、ファ
ンシュラウド、グローブボックス等の自動車部品、テレ
ビ、VTR、洗濯機等の家電機器製品の部品用などとし
てプロピレン系樹脂組成物がその優れた成形性、機械的
強度や経済性の特徴を活かし多く実用に供されてきてい
る。
【0003】近年、上記各用途は益々高機能化や製品大
型化が進みつつあり、それに伴い、使用されるプロピレ
ン系樹脂組成物には、例えば、自動車内装部品分野にお
いては、高度な成形性、物性バランス(高い剛性・衝撃
強度)や耐傷付性が求められてきている。プロピレン系
樹脂組成物の耐傷付性の改良に関しては、特定のポリエ
チレンを添加する技術、特定の粒経を有するフィラーを
利用する技術や、核剤添加、結晶性向上による表面硬度
を向上させて改良する技術が知られている。
【0004】しかしながら、これらの改良は、その効果
がある程度達成されているものの、成形品シボ模様の多
様化に伴い、耐傷付性が不充分な場合が多いほか、耐傷
付性を高めるため表面硬度を向上せしめた組成物は、例
えば、射出成形時に冷却固化した成形品を金型から離型
する際、突出ピン先端部分周辺にピン形状に沿って白い
模様が発生する現象、すなわち突出白化による環状白化
が生じ易いという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、この様な状
況下で、成形(射出成形・射出圧縮成形)性、物性バラ
ンス(高い剛性・衝撃強度)および耐傷付性に優れ、さ
らに、耐突出白化性にも優れているプロピレン系樹脂組
成物を提供すること、及び該プロピレン系樹脂組成物を
用いて成形した、低コストで高性能な工業部品、自動車
部品とりわけ自動車内装部品を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために、種々の研究を重ねた結果、耐突出白
化性の向上には有効であるが、柔軟で耐傷付性が悪化し
易い、エチレン−プロピレン共重合ゴム・エチレン−オ
クテン−1共重合ゴム等のいわゆるエチレン−α−オレ
フィン共重合体(ゴム)を適用しない手法であって、特
定の2種のプロピレン・エチレン−ブロック共重合体
に、特定のタルクと、場合により、特定のプロピレン・
エチレン−ブロック共重合体、特定のポリエチレン、脂
肪酸アミド及び/又はその誘導体を特定の比率で配合す
ることにより得られたプロピレン系樹脂組成物が、優れ
た成形(射出成形・射出圧縮成形)性、物性バランス
(高い剛性・衝撃強度)、耐傷付性と耐突出白化性を発
現することを見出し、本発明を完成するに至ったもので
ある。
【0007】すなわち、本発明の第1の発明によれば、
下記の成分(a)〜(c)からなることを特徴とするプ
ロピレン系樹脂組成物が提供される。 (a)結晶性ポリプロピレン単独重合部分(A単位部)
を50〜80重量%と、エチレン含量が35〜55重量
%で且つ重量平均分子量(Mw)が200,000〜7
00,000であるエチレン・プロピレン−ランダム共
重合部分(B単位部)を20〜50重量%とを含有し、
この成分(a)全体のメルトフローレート(MFR:2
30℃、2.16kg)が10〜120g/10分であ
るプロピレン・エチレン−ブロック共重合体:100重
量部 (b)結晶性ポリプロピレン単独重合部分と、エチレン
・プロピレン−ランダム共重合部分とからなり、オルト
ジクロルベンゼンを溶媒に用いた0〜140℃間の温度
上昇溶離分別において、40℃以下の溶出量が全溶出量
に対し20〜50重量%であり、この溶出分のエチレン
含量が5〜25重量%で、且つ重量平均分子量(Mw)
が200,000〜900,000であり、さらに10
0℃以下の溶出量が全溶出量に対し50〜80重量%で
あり、且つこの成分(b)全体のメルトフローレート
(MFR:230℃、2.16kg)が0.5〜100
g/10分であるプロピレン・エチレン−ブロック共重
合体:1〜60重量部 (c)タルク:0.2〜80重量部
【0008】また、本発明の第2の発明によれば、第1
の発明に記載の成分(b)が、メタロセン触媒にて重合
されたものであることを特徴とするプロピレン系樹脂組
成物が提供される。
【0009】また、本発明の第3の発明によれば、第1
又は2の発明に記載のプロピレン系樹脂組成物に下記の
成分(d)を、成分(a)100重量部当たり、1〜2
0重量部含有することを特徴とするプロピレン系樹脂組
成物が提供される。 (d)密度が0.920g/cm以上のポリエチレン
【0010】また、本発明の第4の発明によれば、第1
〜3のいずれかの発明に記載のプロピレン系樹脂組成物
に下記の成分(e)を、成分(a)100重量部当た
り、0.05〜2重量部含有することを特徴とするプロ
ピレン系樹脂組成物が提供される。 (e)脂肪酸アミド及び/又はその誘導体
【0011】また、本発明の第5の発明によれば、第1
〜4のいずれかの発明に記載のプロピレン系樹脂組成物
に下記の成分(f)を、成分(a)100重量部当た
り、1〜80重量部含有することを特徴とするプロピレ
ン系樹脂組成物が提供される。 (f)結晶性ポリプロピレン単独重合部分と、エチレン
・プロピレン−ランダム共重合部分とからなり、オルト
ジクロルベンゼンを溶媒に用いた0〜140℃間の温度
上昇溶離分別において、40℃以下の溶出量が全溶出量
に対し45〜65重量%であり、この溶出分のエチレン
含量が30〜50重量%で、且つ重量平均分子量(M
w)が300,000〜900,000であり、さらに
100℃以下の溶出量が全溶出量に対し50〜75重量
%であり、且つこの成分(f)全体のメルトフローレー
ト(MFR:230℃、2.16kg)が0.1〜10
0g/10分であるプロピレン・エチレン−ブロック共
重合体
【0012】また、本発明の第6の発明によれば、第1
〜5のいずれかの発明に記載のプロピレン系樹脂組成物
を用いて射出成形法または射出圧縮成形法を用いて成形
加工された自動車用部品が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】[I]プロピレン系樹脂組成物 1.構成成分 本発明プロピレン系樹脂組成物は、下記成分(a)、成
分(b)、成分(c)からなる樹脂組成物であり、さら
に、必要に応じて、成分(d)、成分(e)又は成分
(f)を配合した樹脂組成物である。
【0014】(a)プロピレン・エチレン−ブロック共
重合体成分 本発明において用いられるプロピレン・エチレン−ブロ
ック共重合体成分(a)は、プロピレンの単独重合によ
って得られる結晶性ポリプロピレン単独重合部(A単位
部)とエチレン・プロピレン−ランダム共重合部分(B
単位部)とを含有し、各単位部が次の性状を有するプロ
ピレン・エチレン−ブロック共重合体であり、成分
(a)は、1種単独で用いても2種以上組み合わせて用
いてもよい。
【0015】上記A単位部の密度は、剛性等の点から
0.9071g/cm以上が好ましく、特に0.90
81g/cm以上であることが好ましい。
【0016】上記B単位部のエチレン含量は、35〜5
5重量%、好ましくは35〜50重量%、特に好ましく
は35〜45重量%である。また、B単位部の重量平均
分子量(Mw)は、200,000〜700,000、
好ましくは250,000〜700,000、特に好ま
しくは300,000〜700,000である。B単位
部のエチレン含量が上記範囲より少な過ぎると衝撃強度
が不足し、一方、上記範囲より多過ぎると、剛性や耐傷
付性が不足する。B単位部のMwが上記範囲より大き過
ぎると、外観を著しく損ねたり、衝撃強度が低下し、ま
た、上記範囲より小さ過ぎると、耐突出白化性が低下す
【0017】上記A単位部と、B単位部との組成割合
は、A単位部が50〜80重量%、好ましくは55〜7
9重量%、特に好ましくは60〜78重量%であり、B
単位部が20〜50重量%、好ましくは21〜45重量
%、特に好ましくは22〜40重量%である。A単位部
の含有割合が上記範囲より少なすぎると、剛性、耐傷付
性や耐突出白性が不足し、一方上位範囲より多過ぎる
と、衝撃強度が不足する。B単位部の含有割合が上記範
囲より少な過ぎると、衝撃強度が不足し、一方、上記範
囲より多過ぎると、剛性や耐傷付性が不足する。
【0018】さらに、成分(a)全体のメルトフローレ
ート(MFR)は、10〜120g/10分、好ましく
は15〜50g/10分、特に好ましくは20〜40g
/10分である。プロピレン・エチレン−ブロック共重
合体全体のMFRが上記範囲未満であると、成形性や外
観が劣り、一方、高過ぎると衝撃強度が不足する。
【0019】ここで、プロピレン・エチレン−ブロック
共重合体中のB単位部含量は、1gの試料を沸騰キシレ
ン300ml中に30分間浸漬して溶解させた後、室温
まで冷却して、それをガラスフィルターで濾過乾燥して
求めた固相重量から逆算して求めた値、すなわち、室温
のキシレンに可溶な成分の量である。エチレン含量は、
赤外スペクトル分析法等によって測定したものである。
B単位部のMwは、上記のガラスフィルターで濾過(通
過)した溶解物を別途濃縮乾燥し、それをゲルパーミェ
ーションクロマトグラフィー(GPC)に供して測定し
たものである。MFRは、JIS−K7210(230
℃、2.16kg)に準拠して測定したものである。
【0020】上記プロピレン・エチレン−ブロック共重
合体成分(a)は、チーグラー系やメタロセン系の触媒
を用いてスラリー重合、気相重合あるいは液相塊状重合
により製造されるもので、重合方式としてはバッチ重
合、連続重合どちらの方式も採用することができ、例え
ば、プロピレンの単独重合を行い、次いでプロピレンと
エチレンとのランダム共重合を行うことによって製造で
きる。
【0021】(b)プロピレン・エチレン−ブロック共
重合体成分 本発明において用いられるプロピレン・エチレン−ブロ
ック共重合体成分(b)は、プロピレンの単独重合によ
って得られる結晶性ポリプロピレン単独重合部分と、エ
チレン・プロピレン−ランダム共重合部分とからなる次
の物性を有するプロピレン・エチレン−ブロック共重合
体であり、成分(b)は、1種単独で用いても2種以上
組み合わせて用いてもよい。
【0022】プロピレン・エチレン−ブロック共重合体
成分(b)のオルトジクロルベンゼンを溶媒に用いた0
〜140℃間の温度上昇溶離分別における、40℃以下
の溶出量は、全溶出量に対し20〜50重量%、好まし
くは22〜45重量%、特に好ましくは25〜45重量
%である。また、100℃以下の溶出量は、全溶出量に
対し50〜80重量%、好ましくは55〜80重量%、
特に好ましくは55〜75重量%である。40℃以下の
溶出量が上記範囲より少な過ぎると衝撃強度や耐突出白
化性が不足し、上記範囲より多過ぎると剛性や耐傷付性
が不足する。100℃以下の溶出量が上記範囲より少な
過ぎると衝撃強度や耐突出白化性が不足し、上記範囲よ
り多過ぎると剛性や耐傷付性が不足する。なお、全溶出
量とは、温度0〜140℃の間で溶出された全量を意味
する。
【0023】また、上記40℃以下の溶出分のエチレン
含量は、5〜25重量%、好ましくは10〜23重量
%、特に好ましくは12〜20重量%である。さらに、
この溶出分の重量平均分子量(Mw)は、200,00
0〜900,000、好ましくは220,000〜90
0,000、特に好ましくは300,000〜900,
000である。40℃以下の溶出分のエチレン含量が少
な過ぎると衝撃強度が不足し、上記範囲より多過ぎると
耐突出白化性が不足する。40℃以下の溶出分のMwが
上記範囲より小さいと、耐突出白化性が不足し、また上
記範囲より大きいと、外観が不良となり好ましくない。
【0024】さらに、成分(b)全体のメルトフローレ
ート(MFR:230℃、2.16kg)は、0.5〜
100g/10分、好ましくは0.5〜10g/10
分、特に好ましくは0.5〜3g/10分である。成分
(b)全体のMFRが上記範囲より低いと、成形性や外
観が劣り、一方、高すぎると衝撃強度が不足する。
【0025】なお、温度上昇溶離分別(Tempera
ture Rising Elution Fract
ionation:TREF)による測定は、ジャーナ
ルオブ アプライド ポリマーサイエンス「Journ
al of Applied Polymer Sci
ence,Vol 26,4217−4231.(19
81)」および「高分子論文集 2P1C09(198
5年)」に記載されている原理に基づき、以下の様にし
て行われる。
【0026】まず、測定の対象とするポリマーを溶媒
(オルソジクロロベンゼン)中で完全に溶解させる。そ
の後、冷却して不活性担体表面に薄いポリマー層を形成
させる。かかるポリマー層は結晶しやすいものが内側
(不活性担体表面に近い側)に、結晶しにくいものが外
側に形成されてなるものである。次に温度を連続または
段階的に上昇させると、低温度段階では対象のポリマー
組成中の非晶部分、すなわちポリマーの持つ短鎖分岐の
分岐度の多いものから溶出し、温度が上昇するとともに
徐々に分岐度の少ないものが溶出し、最終的に分岐のな
い直鎖状の部分が溶出し測定は終了する。かかる温度で
の溶出成分の濃度を検出し、その溶出量と溶出温度によ
って描かれるグラフによってポリマーの組成分布を見る
ことが出来るものである。また、それぞれのフラクショ
ンの分子量は、TREF装置に接続されたゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー(GPC)により測定する
値である。
【0027】具体的には、測定装置として、試料を溶解
温度の差を利用して分別する温度上昇溶離分別(TRE
F)機構と、分別された区分を更に分子サイズで分別す
るサイズ排除クロマトグラフ(Size Exclus
ion Chromatography;SEC)をオ
ンラインで接続したクロス分別装置(三菱化学社製「C
FCT150A」)を使用した。
【0028】溶媒としてオルソジクロルベンゼンを用
い、濃度が4mg/mlとなるようにポリマーを140
℃で溶解し、これを測定装置のサンプルループ内に注入
する。サンプルループ内の試料溶液を、不活性担体であ
るガラスビーズが充填された内径4mm、長さ150m
mのTREF装置付属のステンレス製カラムに注入した
後、1℃/分の速度で140℃から0℃の温度まで冷却
し、不活性担体表面にコーティングする。該カラムを0
℃、30分保持した後、0℃の温度で溶解している成分
2mlを1ml/分の流速でTREFカラムからSEC
カラム(昭和電工社製「AD80M/S」、3本)に注
入する。SECで分子サイズの分別が行われている間
に、TREFカラムを次の溶出温度(5℃)に昇温し、
その温度で30分間保持した後、SECカラムに注入す
るという操作を繰り返す。SECでの各溶出区分の測定
は39分間隔で行った。溶出温度は、0、5、10、1
5、20、25、30、35、40、45、49、5
2、55、58、61、64、67、70、73、7
6、79、82、85、88、91、94、97、10
0、102、120、140℃の各温度とし、段階的に
昇温した。
【0029】SECカラムで分子サイズに分別された溶
液は、装置付属の赤外分光光度計でポリマー濃度に比例
する吸光度を測定(波長3.42μmのメチレンの伸縮
振動で検出)し、各溶出温度区分のクロマトグラムを得
る。内蔵のデータ処理ソフトを用い、得られた各溶出温
度区分のクロマトグラムのベースラインを引き、演算処
理する。各クロマトグラムの面積を積分し、積分溶出曲
線を計算する。又、この積分溶出曲線を温度で微分し
て、微分溶出曲線を計算する。計算結果の作図をプリン
ターに出力し、出力した微分溶出曲線の作図は、横軸に
溶出温度を100℃当たり89.3mm、縦軸に微分量
(全積分溶出量を1.0に規格化し、1℃の変化量を微
分量とした。)0.1当たり76.5mmで行った。
【0030】上記の積分溶出曲線に基き、0〜40℃の
溶出量、0〜100℃の溶出量、及び0〜140℃の全
溶出量を求めた。また、0〜40℃の重量平均分子量
(Mw)は、0〜40℃の間の各温度区分における溶出
量と各々の分子量分布から算出した。
【0031】エチレン含量の測定は、0〜40℃の間の
各温度区分における溶出成分に対して赤外スペクトル分
析法によりエチレン含量を測定し、それぞれの溶出量か
ら算出した。
【0032】また、MFRは、成分(a)と同一の方法
による。
【0033】このプロピレン・エチレン−ブロック共重
合体成分(b)は、チーグラー系やメタロセン系の触媒
を用いてスラリー重合、気相重合あるいは液相塊状重合
により製造されるもので重合方式としてはバッチ重合、
連続重合どちらの方式も採用することができ、例えば、
プロピレンの単独重合を行い、次いでプロピレンとエチ
レンとランダム共重合を行うことによって製造できる。
メタロセン系触媒を用いて重合したものは、チーグラー
系触媒で重合したものに較べ、耐突出白化性が優れるた
め、どちらかと言えば、メタロセン系触媒を用いて重合
したものが好ましい。
【0034】(c)タルク成分 本発明において用いられるのタルク成分(c)は、平均
粒径が1.5〜15μm、好ましくは1.5〜10μ
m、特に好ましくは2〜8μmのタルクである。該タル
クは、剛性の向上、成形品の寸法安定性・調整等に有効
である。さらに、該タルクは、平均アスペクト比が4以
上、特に5以上のものがより好ましい。
【0035】該タルクは、先ず例えば、タルク原石を衝
撃式粉砕機やミクロンミル型粉砕機で粉砕して製造した
り、更にジェットミルなどで微粉砕した後、サイクロン
やミクロンセパレーター等で分級調整する等の方法で製
造する。ここで原石は中国産が金属不純物成分が少ない
ので好ましい。また、該タルクは、各種金属塩などで表
面処理したものでも良く、さらに見掛け比容を2.50
ml/g以下にしたいわゆる圧縮タルクや顆粒状にした
タルクを用いても良い。
【0036】タルクの平均粒径は、レーザー回折散乱方
式粒度分布計を用いて測定した値であり、測定装置とし
ては、例えば、堀場製作所製LA−920型が測定精度
において優れているので好ましい。タルクの直径や長さ
及びアスペクト比の測定は、顕微鏡等により測定された
値より求められる。
【0037】(d)ポリエチレン成分 本発明のプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、
ポリエチレン成分(d)を配合することができる。本発
明で用いるポリエチレン成分(d)は、密度が0.92
0g/cm以上、好ましくは0.940g/cm
上、特に好ましくは0.950〜0.970g/cm
のものである。また、成分(d)のMFRは、2g/1
0分以上、好ましくは4g/10分以上、特に好ましく
は15〜30g/10分である。上記範囲外の密度やM
FRのポリエチレンは、外観・耐傷付性や耐突白化性が
劣り不適である。
【0038】ここで、ポリエチレンの密度は、JIS−
K7112に準拠してそれぞれ測定されたものであり、
ポリエチレンのMFRは、JIS−K7210(190
℃、2.16kg)に準拠してそれぞれ測定されたもの
である。
【0039】(e)脂肪酸アミドまたはその誘導体成分 本発明のプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、
脂肪酸アミドまたはその誘導体成分(e)を配合するこ
とができる。成分(e)としては、例えば、ラウリン酸
アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ベヘ
ン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリン
酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチ
レンビスステアリン酸アミド等が挙げられる。モノアミ
ドとビスアミドではどちらかと言えばモノアミドが好ま
しい。
【0040】(f)プロピレン・エチレン−ブロック共
重合体成分 本発明のプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、
プロピレン・エチレン−ブロック共重合体成分(f)を
配合することができる。成分(f)は、結晶性ポリプロ
ピレン単独重合部と、エチレン・プロピレン−ランダム
共重合部分とからなる次の物性を有するプロピレン・エ
チレン−ブロック共重合体であり、1種単独で用いても
2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0041】プロピレン・エチレン−ブロック共重合体
成分(f)のオルトジクロルベンゼンを溶媒に用いた0
〜140℃間の温度上昇溶離分別における、40℃以下
の溶出量は、全溶出量に対し45〜65重量%、好まし
くは48〜62重量%、特に好ましくは45〜60重量
%である。さらに、100℃以下の溶出量は、全溶出量
に対し50〜75重量%、好ましくは55〜70重量
%、特に好ましくは55〜65重量%である。40℃以
下の溶出量が上記範囲より少な過ぎると衝撃強度が不足
し、上記範囲より多過ぎると剛性や耐傷付性が不足す
る。100℃以下の溶出量が上記範囲より少な過ぎると
衝撃強度が不足し、上記範囲より多過ぎると剛性や耐傷
付性が不足する。
【0042】40℃以下の溶出分のエチレン含量は、3
0〜50重量%、好ましくは35〜50重量%、特に好
ましくは35〜45重量%である。また、40℃以下の
溶出分の重量平均分子量(Mw)は、300,000〜
900,000、好ましくは350,000〜900,
000、特に好ましくは450,000〜900,00
0である。40℃以下の溶出分のエチレン含量が少な過
ぎると衝撃強度が不足し、上記範囲より多過ぎると剛性
や耐突出白化性が不足する。また、40℃以下の溶出分
のMwが上記範囲より小さいと、衝撃強度が不足し、ま
た上記範囲より大きいと外観が不良となり好ましくな
い。
【0043】成分(f)全体のメルトフローレート(M
FR:230℃、2.16kg)は、0.1〜100g
/10分、好ましくは0.5〜10g/10分、特に好
ましくは0.5〜3g/10分である。成分(f)全体
のMFRが上記範囲より低いと、成形性や外観が劣り、
一方高過ぎると衝撃強度が不足する。ここで、溶出分、
エチレン含量、Mw、全体のMFRは、成分(b)と同
一手法で測定されたものである。
【0044】プロピレン・エチレン−ブロック共重合体
成分(f)は、チーグラー系やメタロセン系の触媒を用
いてスラリー重合、気相重合あるいは液相重合塊状重合
により製造されるもので、重合方式としてはバッチ重
合、連続重合どちらの方式も採用することができ、例え
ばプロピレンの単独重合を行い、次いでプロピレンとエ
チレンとのランダム共重合を行うことによって製造でき
る。
【0045】(g)その他の配合成分(任意成分) 本発明のプロピレン系樹脂組成物においては、本発明の
効果を著しく損なわない範囲で、或いは、更に性能の向
上を計る為に、上記成分(a)、(b)、(c)、
(d)、(e)及び(f)以外に、任意の添加剤や配合
材成分を配合することが出来る。具体的には、着色する
ための顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外
線吸収剤、核剤、難燃剤、分散剤、上記成分(a)〜
(f)以外の、ポリスチレン等の各種樹脂、EPR、E
PDM、EBR、EOR、SEBS、SEP、SEPS
等の各種ゴム、各種フィラー等の配合材を挙げることが
出来る。
【0046】上記帯電防止剤はとして、非イオン系、カ
チオン系などの帯電防止剤が挙げられ、本発明のプロピ
レン系樹脂組成物や該樹脂組成物からの成形品の帯電防
止性の付与・向上に有効である。具体例としては、例え
ば、グリセリン脂肪酸エステル、アルキルジエタノール
アミン、アルキルジエタノールアミド、アルキルジエタ
ノールアミンエステル等が挙げられる。
【0047】上記光安定剤や紫外線吸収剤としては、例
えば、ヒンダードアミン系、ベンゾエート系、ベンゾト
リアゾール系、ベンゾフェノン系等の各化合物等が挙げ
られ、本発明のプロピレン系樹脂組成物や該樹脂組成物
からの成形品の耐候性の付与・向上に有効である。
【0048】上記核剤としては、例えば、タルクなどの
無機系、または芳香族カルボン酸塩、ソルビトール系ま
たは芳香族リン酸塩などの有機系の核剤が挙げられ、本
発明のプロピレン系樹脂組成物や該樹脂組成物からの成
形品の剛性、硬度や耐突出白化性、耐傷付性の付与・向
上に有効である。
【0049】上記分散剤としては、例えば、各種金属塩
等が挙げられ、無機フィラーや着色顔料の分散性を高
め、本発明のプロピレン系樹脂組成物や該樹脂組成物か
らの成形品の剛性、耐熱性、硬度、外観や耐突出白化
性、耐傷付性の向上に有効である。
【0050】2.配合割合 本発明のプロピレン系樹脂組成物中に配合される成分
(b)、成分(c)、必要に応じて配合される成分
(d)、成分(e)、成分(f)の各成分は、成分
(a)100重量部を基準として配合される。
【0051】本発明のプロピレン系樹脂組成物中に配合
されるプロピレン・エチレン−ブロック共重合体成分
(b)の配合割合は、成分(a)100重量部に対し
て、1〜60重量部、好ましくは2〜55重量部、特に
好ましくは3〜50重量部である。成分(b)の配合割
合が1重量部未満では衝撃強度や耐突出白化性が不足
し、60重量部を超えると、剛性や成形性が劣り各々不
適である。
【0052】本発明のプロピレン系樹脂組成物中に配合
されるタルク成分(c)の配合割合は、成分(a)10
0重量部に対して、0.2〜80重量部、好ましくは1
0〜80重量部、特に好ましくは20〜50重量部であ
る。タルク成分(c)の配合割合が0.2重量部未満で
は、剛性や耐熱性が不足し、80重量部を超えると外
観、衝撃強度、成形性、耐傷付性や耐突出白化性が劣る
様になり、各々不適である。
【0053】本発明のプロピレン系樹脂組成物中におい
て、必要に応じて、配合されるポリエチレン成分(d)
の配合割合は、成分(a)100重量部に対して、好ま
しくは1〜20重量部、特に好ましくは2〜8重量部で
ある。ポリエチレン成分(d)配合割合が上記範囲を超
えると外観、剛性や耐熱性が劣る様になり不適である。
【0054】本発明のプロピレン系樹脂組成物中におい
て、必要に応じて、配合される脂肪酸アミドまたは同誘
導体成分(e)の配合割合は、成分(a)100重量部
に対して、好ましくは0.05〜2重量部、特に好まし
くは0.2〜1重量部である。脂肪酸アミドまたは同誘
導体成分(e)の配合割合が上記範囲を超えると、剛性
や耐熱性が劣る様になり不適である。
【0055】本発明のプロピレン系樹脂組成物中におい
て、必要に応じて、配合されるプロピレン・エチレン−
ブロック共重合体成分(f)の配合割合は、成分(a)
100重量部に対して、好ましくは1〜80重量部、特
に好ましくは5〜60重量部である。プロピレン・エチ
レン−ブロック共重合体成分(f)の配合割合が80重
量部を超えると、剛性、突出白化性や成形性が劣り不適
である。
【0056】3.プロピレン系樹脂組成物の製造 本発明プロピレン系樹脂組成物は、上記成分(a)、成
分(b)、成分(c)、必要に応じて、成分(d)、成
分(e)、成分(f)を上記配合割合で配合して、一軸
押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキ
サー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダー等通常の
混練機を用いて混練・造粒することによって得られる。
【0057】この場合、各成分の分散を良好にすること
が出来る混練・造粒方法を選択することが好ましく、通
常は二軸押出機を用いて混練・造粒が行われる。この混
練・造粒の際には、上記成分(a)、成分(b)、成分
(c)、必要に応じて、成分(d)、成分(e)、成分
(f)の配合物を同時に混練しても良く、また性能向上
を計るべく各成分を分割、例えば、先ず成分(a)と成
分(b)の一部または全部を混練し、その後に残り成分
を混練・造粒することも出来る。
【0058】上記のようにして得られたプロピレン系樹
脂組成物は、射出成形(ガス射出成形も含む)または射
出圧縮成形(プレスインジェクション)等にて成形する
ことによって各種成形品を得ることが出来る。
【0059】[II]プロピレン系樹脂組成物の物性 上記方法によって製造された本発明のプロピレン系樹脂
組成物は、射出成形性、射出圧縮成形が良好であるほ
か、曲げ弾性率が、好ましくは1800MPa以上、と
りわけ好ましくは2100MPa以上であり、ノッチ付
Izod衝撃強度(at23℃)が、好ましくは25K
J/m以上、とりわけ好ましくは30KJ/m以上
に制御されて、物性バランスに優れるとともに、良好な
耐突出白化性と耐傷付性を発現することが出来る。
【0060】[III]用途 本発明のプロピレン系樹脂組成物は、上記性能を発現出
来るため、各種の生活資材用製品、自動車部品や家電機
部品など各種工業部品用等の成形材料としての実用性能
を有しており、なかでも、自動車用内外装部品、とりわ
け、インストルメントパネル、コンソール、トリム、ピ
ラー、ドアトリム等の内装部品用成形材料として好適で
ある。
【0061】
【実施例】本発明を更に詳細に説明するために、以下に
実施例を示して具体的に説明するが、本発明はこれらの
実施例によって限定されるものではない。なお、実施例
で用いた原材料及び評価方法は、以下の通りである。
【0062】1.原材料 (1)成分(a)(酸化防止剤含有済) a−1:密度が0.9092g/cmのA単位部を7
4重量%、エチレン含量40重量%、重量平均分子量
(Mw)380,000のB単位部を26重量%各々含
有し、且つ成分(a)全体の重合MFRが30g/10
分である気相重合で製造したプロピレン・エチレン−ブ
ロック共重合体(ペレット) (2)成分(b)(いずれも酸化防止剤含有済) b−1:オルトジクロルベンゼンを溶媒に用いた0〜1
40℃間の温度上昇溶離分別に於いて、40℃以下の溶
出量が全溶出量に対し31重量%であり、この溶出分の
エチレン含量が16重量%で且つ重量平均分子量(M
w)が410,000であり、さらに100℃以下の溶
出量が全溶出量に対し62重量%であり、且つこの成分
(b)全体のメルトフローレート(MFR:230℃、
2.16kg)が1.0g/10分の、チーグラー系触
媒を用いて重合されたプロピレン・エチレン−ブロック
共重合体(ペレット) b−2:オルトジクロルベンゼンを溶媒に用いた0〜1
40℃間の温度上昇溶離分別に於いて、40℃以下の溶
出量が全溶出量に対し37重量%であり、この溶出分の
エチレン含量が14重量%で且つ重量平均分子量(M
w)が390,000であり、さらに100℃以下の溶
出量が全溶出量に対し61重量%であり、且つこの成分
(b)全体のメルトフローレート(MFR:230℃、
2.16kg)が1.5g/10分の、メタロセン系触
媒を用いて重合されたプロピレン・エチレン−ブロック
共重合体(ペレット) b−3:オルトジクロルベンゼンを溶媒に用いた0〜1
40℃間の温度上昇溶離分別に於いて、40℃以下の溶
出量が全溶出量に対し35重量%であり、この溶出分の
エチレン含量が15重量%で且つ重量平均分子量(M
w)が690,000であり、さらに100℃以下の溶
出量が全溶出量に対し64重量%であり、且つこの成分
(b)全体のメルトフローレート(MFR:230℃、
2.16kg)が1.2g/10分の、メタロセン系触
媒を用いて重合されたプロピレン・エチレン−ブロック
共重合体(ペレット) (3)成分(c) c−1:平均粒径5.1μm、平均アスペクト比が6の
タルク (4)成分(d) d−1:MFR(190℃、2.16kg)が18g/
10分、密度が0.958g/cmの高密度ポリエチ
レン (5)成分(e) e−1:エルカ酸アミド (6)成分(f)(酸化防止剤含有済) f−1:オルトジクロルベンゼンを溶媒に用いた0〜1
40℃間の温度上昇溶離分別に於いて、40℃以下の溶
出量が全溶出量に対し51重量%であり、この溶出分の
エチレン含量が42重量%で且つ重量平均分子量(M
w)が730,000であり、さらに100℃以下の溶
出量が全溶出量に対し60重量%であり、且つこの成分
(f)全体のメルトフローレート(MFR:230℃、
2.16kg)が0.9g/10分の、チーグラー系触
媒を用いて重合されたプロピレン・エチレン−ブロック
共重合体(ペレット)
【0063】2.評価方法 (1)成形性:射出成形機にて100×360×2.5
mmtのシートを成形し、その際の成形流動性、成形品
外観を次の基準で評価した。 良好:充填性、外観とも問題ない。 不良:充填が不可能であったり、外観が実用上問題あ
る。 (2)曲げ弾性率(剛性):JIS−K7203に準拠
して、23℃の温度下にて測定した。本値は耐熱性の目
安ともなる。 (3)Izod衝撃強度:JIS−K7110に準拠し
て、23℃の温度下にてノッチ付きで測定した。 (4)耐突出白化性:120×120×3mmtの射出
成形シート(シボ付)を、外径60mm、内径30mm
の金属製円筒の上にセットし、そのシート中央部表面に
上部から、10mmφ(先端は平板で角部の半径2m
m)の鋼製棒を10mm/minの速度で3mmの深さ
まで突き出し、シートに生じた環状白化部を目視観察し
て次の基準で評価した。 A:環状白化部がわずかに認められるが目立たない。 B:環状白化部が認められるが、目立ち難い。 C:環状白化部が認められ、目立つ。 (5)耐傷付性:120×120×3mmtの射出成形
シート(シボ付)の中央部表面を、1mmφ(先端半径
0.5mm)の鋼製針を用いて、荷重500g・10m
m/secの条件下で擦過し、該針傷跡部分を目視観察
して次の基準で評価した。 a:針傷跡がわずかに認められるが目立たない b:針傷跡が認められるが目立ち難い c:針傷跡が認められるが、比較的目立ち難い d:針傷跡が深くまたは白く認められ、目立つ この場合、dは成形品として実用不可能なレベルであ
る。
【0064】実施例1〜6及び比較例1〜5 成分(a)、成分(b)、成分(c)、成分(d)、成
分(e)、および成分(f)をステアリン酸カルシウム
含有濃灰ドライ顔料2重量部(成分(a)〜成分(f)
合計100重量部当たり)と共に、表1に示す割合で配
合し、タンブラーミキサーにて充分混合し、(株)神戸
製鋼所高速二軸押出機(KCM)を用い混練造粒した。
その後得られたペレットを射出成形機へ供し、評価試験
片およびシートを成形して、評価を行った。その評価結
果を表2に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】表2から明らかなように、実施例1〜6に
示す組成を持った本発明のプロピレン系樹脂組成物は、
何れも良好な成形性、良好な物性(剛性と衝撃強度)バ
ランスを示すとともに、耐突出白化性と耐傷付性も実用
十分な水準を示した。
【0068】一方、ブロック共重合体(b)成分を配合
しない樹脂組成物は、耐傷付性、耐突出白化性に劣り
(比較例1、3、4)、ブロック共重合体(a)成分を
配合しない樹脂組成物は、成形性、剛性に劣り(比較例
2)、これらの性能バランスが不良であった。
【0069】実施例7 実施例6の樹脂組成物を、(株)日本製鋼所製J400
0EV型射出成形機を用い、成形温度220℃、金型温
度40℃、射出圧力800kg/cmで、1300m
m×420mm×305mm×3.5mmt(概略寸
法)の自動車インストルメントパネルに射出成形したと
ころ、良好な成形性、機械的強度バランス、良好な外観
を発現すると共に、耐突出白化性と耐傷付性も良好であ
った。
【0070】
【発明の効果】本発明のプロピレン樹脂組成物は、優れ
た成形性(射出成形、射出圧縮成形)、外観性能、物性
バランス(高い剛性と衝撃強度)を有し、耐突出白化性
と耐傷付性にも優れるため、各種の生活資材用製品、工
業部品用など、なかでも、自動車部品、とりわけドアト
リム、ピラー、インストルメントパネル、コンソール等
の内装部品用射出圧縮成形用材料として重要な素材であ
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 297/08 C08F 297/08 4J026 C08J 5/00 CES C08J 5/00 CES C08K 3/34 C08K 3/34 5/20 5/20 // B29K 23:00 B29K 23:00 B29L 31:30 B29L 31:30 (72)発明者 水上 茂雄 三重県四日市市東邦町1番地 日本ポリケ ム株式会社プロセス開発センター内 (72)発明者 高柳 健二郎 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市事業所内 Fターム(参考) 3D023 BA01 BB08 BB09 BD03 BD08 BE04 3D044 BA11 BB01 BC04 4F071 AA15 AA20 AA75 AA81 AA82 AA88 AF23 AF53 AH11 BB05 BC07 4F206 AA11 AE10 AH26 JA03 JA07 JQ81 4J002 BB03Y BP02W BP02X BP02Z DJ046 EP017 GN00 4J026 HA04 HA27 HA39 HB03 HB04 HB27 HB39 HB45 HB48 HE01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の成分(a)〜(c)からなること
    を特徴とするプロピレン系樹脂組成物。 (a)結晶性ポリプロピレン単独重合部分(A単位部)
    を50〜80重量%と、エチレン含量が35〜55重量
    %で、且つ重量平均分子量(Mw)が200,000〜
    700,000であるエチレン・プロピレン−ランダム
    共重合部分(B単位部)を20〜50重量%とを含有
    し、この成分(a)全体のメルトフローレート(MF
    R:230℃、2.16kg)が10〜120g/10
    分であるプロピレン・エチレン−ブロック共重合体:1
    00重量部 (b)結晶性ポリプロピレン単独重合部分と、エチレン
    ・プロピレン−ランダム共重合部分とからなり、オルト
    ジクロルベンゼンを溶媒に用いた0〜140℃間の温度
    上昇溶離分別において、40℃以下の溶出量が全溶出量
    に対し20〜50重量%であり、この溶出分のエチレン
    含量が5〜25重量%で、且つ重量平均分子量(Mw)
    が200,000〜900,000であり、さらに10
    0℃以下の溶出量が全溶出量に対し50〜80重量%で
    あり、且つこの成分(b)全体のメルトフローレート
    (MFR:230℃、2.16kg)が0.5〜100
    g/10分であるプロピレン・エチレン−ブロック共重
    合体:1〜60重量部 (c)タルク:0.2〜80重量部
  2. 【請求項2】 成分(b)が、メタロセン触媒にて重合
    されたものであることを特徴とする請求項1に記載のプ
    ロピレン系樹脂組成物。 【請求頃3】 下記の成分(d)を、成分(a)100
    重量部当たり、1〜20重量部含有することを特徴とす
    る請求項1又は2に記載のプロピレン系樹脂組成物。 (d)密度が0.920g/cm以上のポリエチレン 【請求頃4】 下記の成分(e)を、成分(a)100
    重量部当たり、0.05〜2重量部含有することを特徴
    とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロピレン
    系樹脂組成物。 (e)脂肪酸アミド及び/又はその誘導体 【請求頃5】 下記の成分(f)を、成分(a)100
    重量部当たり、1〜80重量部含有することを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロピレン系樹
    脂組成物。 (f)結晶性ポリプロピレン単独重合部分と、エチレン
    ・プロピレン−ランダム共重合部分とからなり、オルト
    ジクロルベンゼンを溶媒に用いた0〜140℃間の温度
    上昇溶離分別において、40℃以下の溶出量が全溶出量
    に対し45〜65重量%であり、この溶出分のエチレン
    含量が30〜50重量%で、且つ重量平均分子量(M
    w)が300,000〜900,000であり、さらに
    100℃以下の溶出量が全溶出量に対し50〜75重量
    %であり、且つこの成分(f)全体のメルトフローレー
    ト(MFR:230℃、2.16kg)が0.1〜10
    0g/10分であるプロピレン・エチレン−ブロック共
    重合体 【請求頃6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のプ
    ロピレン系樹脂組成物を用いて射出成形法または射出圧
    縮成形法を用いて成形加工された自動車用部品。
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