JP2010077396A - プロピレン系樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents

プロピレン系樹脂組成物およびその成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】寸法安定性(低い線膨張係数)、物性バランス(高剛性、高衝撃強度)、成形性(高流動性)、および成形外観(フローマーク外観)に優れたプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた成形体の提供。
【解決手段】上記樹脂組成物を、下記の成分(A)〜(E)を、成分(A)〜(E)の合計量基準で成分(A)が20〜89重量%、成分(B)が5〜30重量%、成分(C)が5〜30重量%、成分(D)が1〜40重量%、成分(E)が0〜20重量%(必要に応じ成分(F)造核剤が0〜3重量%)の割合で含有するものとする。
成分(A):メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が500g/10分以上の結晶性プロピレン重合体部分と、エチレン・プロピレン共重合体部分とからなり、この成分全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が100g/10分以上であるプロピレン・エチレンブロック共重合体
成分(B):メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が7g/10分以下のプロピレン系重合体
成分(C):メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)が10〜2000g/10分のエチレン・α−オレフィン共重合体
成分(D):フィラー
成分(E):軟化点が100℃以上の低分子量ポリオレフィン
【選択図】なし

Description

本発明は、プロピレン系樹脂組成物およびその成形体に関し、さらに詳しくは、寸法安定性、物性バランス、成形性(高流動性)および成形外観(フローマーク外観)に優れたプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた成形体に関する。
プロピレン系樹脂組成物は、工業部品分野における各種成形体、例えば、ドアトリム、インストルメントパネル、バンパー、サイドモール、バックドア等の自動車部品、テレビ等の家電機器製品の部品等として、その優れた成形性、機械的強度、環境適応性や経済性の特徴を活かし、多く実用に供されてきている。その一方でポリプロピレンは高い結晶性を有することから、温度に対する寸法変化(線膨張係数)が大きいことが知られており、この性質によりプロピレン系樹脂組成物を用いた自動車部品等においては部品の合わせ目に隙間が生じたり、部品組みつけ時の建てつけ性が悪化するなど問題があった。
このような状況の下、自動車部品用等の成形体は、大型化、デザインの複雑化や無塗装化が益々進みつつあり、それに伴いプロピレン系樹脂組成物およびその成形体には、高い物性バランス(高い剛性、衝撃強度)の発現に加え、高度な寸法安定性と、高度な成形性(高流動性)、製品価値を一層高める外観性向上、具体的にはフローマーク(樹脂の流れに伴う虎縞(トラシマ)状模様)の抑制(目立ち難さの向上)が求められている。
プロピレン系樹脂組成物の寸法安定性の向上化(線膨張係数の低減化)に関しては、各種物性の向上とも併せ、無機フィラーを添加したり、エチレン・α−オレフィン共重合体などを添加する方法が用いられる(例えば、特許文献1、2、3参照。)。
また、一層の線膨張係数の低減化を図るべく、特定のプロピレン系樹脂を用いて、添加するエチレン・α−オレフィン共重合体の分散粒子のアスペクト比を制御する方法や、繊維状フィラーと非繊維状フィラーとを併用して添加する方法が用いられる(例えば、特許文献4、5参照。)。
本発明者らは、特定構造のプロピレン・エチレンブロック共重合体、特定メルトフローレートのプロピレン重合体、同エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムから成る、寸法安定性、延性、表面品質に優れたプロピレンブロック共重合体組成物及び自動車内装部品を、先に提案した(特許文献6参照。)。
しかしながら、これらのプロピレン系樹脂組成物は、寸法安定性や物性バランスの向上に関し、相当程度向上しているものの、用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(ゴム)のメルトフローレートが低い(分子量が高い)などのため、成形体の大型化やデザインの複雑化、薄肉化が益々進むに連れて、成形外観(フローマーク外観)も含めてこれらの性能の総合的バランス、特に寸法安定性を高い水準で発現するには、未だ不充分である。
こうした状況の下、従来のプロピレン系樹脂組成物の問題点を解消し、比較的大型で、デザインが複雑化、薄肉化された成形体、とりわけ自動車部品用成形体、なかでもバックドア、フェンダー、リアゲート、フェンダー付帯部品などのフェンダー周り用各種部品等の外装部品用成形体を得る際に必要な性能である、高い寸法安定性(低い線膨張係数)と、高度な物性バランス(高剛性、高衝撃強度)、特により低い線膨張係数と一段と高い剛性とのバランス、さらに成形性(高流動性)と成形外観(フローマーク外観)にも優れた、射出成形や射出圧縮成形用に好適なプロピレン系樹脂組成物に対する研究開発が求められている。
特開平5−51498号公報 特開平6−256596号公報 特開2002−97337号公報 特開平4−8744号公報 特開2005−232413号公報 特開2008−101090号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、自動車部品用などの成形体、なかでもバックドア、フェンダー、リアゲート、フェンダー付帯部品などのフェンダー周り用各種部品等の外装部品用成形体を得る際に必要な性能である、高い寸法安定性(低い線膨張係数)と、高度な物性バランス(高剛性、高衝撃強度)、特により低い線膨張係数と一段と高い剛性とのバランス、さらに成形性(高流動性)と成形外観(フローマーク外観)にも優れた、射出成形や射出圧縮成形用に好適なプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、結晶性プロピレン重合体部分とエチレン・プロピレン共重合体部分からなる特定のプロピレン・エチレンブロック共重合体(成分(A))、特定のプロピレン系重合体(成分(B))、特定のエチレン・α−オレフィン共重合体(成分(C))および、フィラー(成分(D))に、必要に応じて、特定の低分子量ポリオレフィン(成分(E))、特定の造核剤(成分(F))を配合し、各成分の含有割合の最適化を行なったところ、高い寸法安定性(低い線膨張係数)、高度な物性バランス(高剛性、高衝撃強度)、さらに成形性(高流動性)と成形外観(フローマーク外観)に優れ、特により低い線膨張係数と一段と高い剛性とのバランスを有する、プロピレン系樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記の成分(A)〜(E)を、成分(A)〜(E)の合計量基準で成分(A)が20〜89重量%、成分(B)が5〜30重量%、成分(C)が5〜30重量%、成分(D)が1〜40重量%、成分(E)が0〜20重量%の割合で含有することを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
成分(A):メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が500g/10分以上の結晶性プロピレン重合体部分と、エチレン・プロピレン共重合体部分とからなり、この成分全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が100g/10分以上であるプロピレン・エチレンブロック共重合体
成分(B):メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が7g/10分以下のプロピレン系重合体
成分(C):メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)が10〜2000g/10分のエチレン・α−オレフィン共重合体
成分(D):フィラー
成分(E):軟化点が100℃以上の低分子量ポリオレフィン
また、本発明の第2の発明によれば、下記の成分(A)〜(F)を、成分(A)〜(F)の合計量基準で成分(A)が20〜89重量%、成分(B)が5〜30重量%、成分(C)が5〜30重量%、成分(D)が1〜40重量%、成分(E)が0〜20重量%、成分(F)が0〜3重量%の割合で含有することを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
成分(A):メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が500g/10分以上の結晶性プロピレン重合体部分と、エチレン・プロピレン共重合体部分とからなり、この成分全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が100g/10分以上であるプロピレン・エチレンブロック共重合体
成分(B):メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が7g/10分以下のプロピレン系重合体
成分(C):メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)が10〜2000g/10分のエチレン・α−オレフィン共重合体
成分(D):フィラー
成分(E):軟化点が100℃以上の低分子量ポリオレフィン
成分(F):造核剤
また、本発明の第3の発明によれば、第1または第2の発明において、成分(A)のプロピレン・エチレンブロック共重合体全体に対するエチレン・プロピレン共重合体部分の割合が5〜30重量%であることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、成分(C)のエチレン・α−オレフィン共重合体が複数種であって、その少なくとも1種は、メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)が300g/10分以上のものであることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、成分(D)のフィラーが複数種であって、その少なくとも1種は、平均繊維直径が1μm以下のウィスカー状のものであることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、成分(E)の低分子量ポリオレフィンの含有量が1〜20重量%であることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、線膨張係数が4×10−5/℃以下であり、且つ、曲げ弾性率が2000MPa以上であることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、請求項1〜7のいずれかの発明のプロピレン系樹脂組成物を射出成形または射出圧縮成形してなる成形体が提供される。
本発明によれば、自動車部品用などの大型化された成形体やデザインの複雑化、薄肉化された成形体、なかでもバックドア、フェンダー、リアゲート、フェンダー付帯部品などのフェンダー周り用各種部品等の外装部品用成形体を得る際に必要な性能である、高い寸法安定性(低い線膨張係数)と、高度な物性バランス(高剛性、高衝撃強度)、特により低い線膨張係数と、一段と高い剛性のバランス、さらに成形性(高流動性)と成形外観(フローマーク外観)にも優れたプロピレン系樹脂組成物を得ることができる。そして、本発明のプロピレン系樹脂組成物は、射出成形や射出圧縮成形用に好適であるので、それらから所望の形状や物性を有する成形体を容易に製造することができ、寸法安定性、建てつけ性に優れた成形体を提供することができる。
本発明は、成分(A):プロピレン・エチレンブロック共重合体(以下、単に成分(A)ともいう。)、成分(B):プロピレン系重合体(以下、単に成分(B)ともいう。)、成分(C):エチレン・α−オレフィン共重合体(以下、単に成分(C)ともいう。)、成分(D):フィラー(以下、単に成分(D)ともいう。)、および必要に応じて配合される、成分(E):低分子量ポリオレフィン(以下、単に成分(E)ともいう。)、成分(F):造核剤(以下、単に成分(F)ともいう。)の各成分を含有するプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いてなる成形体である。以下、プロピレン系樹脂組成物の構成成分、該樹脂組成物、その製造や成形等の各項目について詳細に説明する。
[I]プロピレン系樹脂組成物の構成成分
1.成分(A):プロピレン・エチレンブロック共重合体
本発明のプロピレン系樹脂組成物に用いられる成分(A)のプロピレン・エチレンブロック共重合体は、結晶性プロピレン重合体部分と、エチレン・プロピレン共重合体部分からなるプロピレン・エチレンブロック共重合体である。
成分(A)は、下記特性(i)〜(ii)を満たし、プロピレン系樹脂組成物において、高度な寸法安定性(低い線膨張係数)、高度の成形性(高流動性)、高い物性バランス(高剛性、高い衝撃強度)、さらには良好な成形外観(フローマーク外観)を発現するのに資するものである。
特性(i):結晶性プロピレン重合体部分のメルトフローレート(以下、MFRと記す。)(230℃、2.16kg荷重)が、500g/10分以上である。
特性(ii):成分(A)全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が、100g/10分以上である。
(1)製造法
本発明に用いられる成分(A)の製造法としては、高立体規則性触媒を用いて重合する方法が好ましく用いられる。重合方法としては従来公知の方法がいずれも採用できる。成分(A)は、結晶性プロピレン重合体部分とエチレン・プロピレン共重合体部分とからなり、これは、結晶性プロピレン重合体部分の重合(前段)と、この後に続く、エチレン・プロピレン共重合部分の重合(後段)の製造工程により得られる。
結晶性プロピレン重合体部分は、1段又は2段以上(各段の反応条件は同一又は異なる)の重合工程で製造され、エチレン・プロピレン共重合体部分も1段又は2段以上(各段の反応条件は同一又は異なる)の重合工程で製造される。そのため、成分(A)の全製造工程は、少なくとも2段の逐次の多段重合工程となる。
結晶性プロピレン重合体部分は、プロピレン単独重合体が好ましいが、結晶性を著しく損なわない範囲でプロピレンと少量のコモノマーとの共重合体とすることもできる。
具体的には、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどのプロピレン以外のα−オレフィン、スチレン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルナンなどのビニル化合物等からなる群から選ばれる1以上のコモノマー単位を、好ましくは5重量%以下の含量で含むことができる。これらのコモノマーは、二種以上共重合されていてもよい。コモノマーはエチレン及び/又は1−ブテンであるのが望ましく、最も望ましいのはエチレンである。ここで、コモノマー単位の含量は、赤外分光分析法(IR)にて求めた値である。
上記重合に用いられる触媒としては、特に限定されるものではなく、有機アルミニウム化合物成分と、チタン原子、マグネシウム原子、ハロゲン原子及び電子供与性化合物を必須とする固体成分とを組合わせた、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒等公知の触媒をいずれも使用できるが、一般的に重合時連鎖移動の少ないチーグラー・ナッタ触媒の方がより好ましい。
重合形式としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン若しくはトルエン等の不活性炭化水素を重合溶媒として用いるスラリー重合、また、原料のプロピレンを気相状態下で重合する気相重合、プロピレン自体を重合溶媒とするバルク重合などが可能である。
また、回分式、連続式、半回分式のいずれによってもよい。
ここで、成分(A)は、その結晶性プロピレン重合体部分のMFRが高いことを特徴とするため、高水素濃度での運転が可能なスラリー重合または気相重合で行うのが好ましい。
重合用の反応器としては、特に形状、構造を問わないが、スラリー重合、バルク重合で一般に用いられる撹拌機付き槽や、チューブ型反応器、気相重合に一般に用いられる流動床反応器、撹拌羽根を有する横型反応器などが挙げられる。
(2)物性
成分(A)の結晶性プロピレン重合体部分のMFR(230℃、2.16kg荷重)は、500g/10分以上、好ましくは510g/10分以上、さらに好ましくは520g/10分以上であり、また、上限値は特に制限されないが、好ましくは1200g/10分であり、特に520〜1200g/10分とするのが好ましい。MFRが500g/10分未満であると、プロピレン系樹脂組成物およびその成形体の寸法安定性(線膨張係数)、成形性(高流動性)、さらには成形外観(フローマーク外観)がそれぞれ悪化する。
成分(A)全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)は、100g/10分以上、好ましくは105g/10分以上、さらに好ましくは110〜230g/10分である。該MFRが100g/10分未満であると、プロピレン系樹脂組成物およびその成形体の寸法安定性(線膨張係数)、成形性(高流動性)、および成形外観(フローマーク外観)が悪化する。
成分(A)のエチレン・プロピレン共重合体部分のエチレン含量は、好ましくは15〜50重量%、より好ましくは20〜50重量%、とりわけ好ましくは25〜45重量%である。エチレン含量が15重量%未満であると、プロピレン系樹脂組成物およびその成形体の成形外観が低下し易くなり(フローマーク外観が目立ち易くなり)、50重量%を超えると、衝撃強度が低下する傾向がある。
成分(A)のエチレン・プロピレン共重合体部分の固有粘度[η]copolyは、好ましくは7.0〜12.0dl/g、より好ましくは7.0〜11.0dl/g、とりわけ好ましくは7.1〜10.0dl/gである。固有粘度[η]copolyが7.0dl/g未満であると、プロピレン系樹脂組成物およびその成形体の寸法安定性、成形外観(フローマーク外観)が低下し易くなり(線膨張係数が高くなり易く、フローマーク外観が目立ち易くなり)、12.0dl/gを超えると、衝撃強度が低下する傾向がある。
成分(A)のエチレン・プロピレン共重合体部分のブロック共重合体全体に対する割合は、好ましくは5〜30重量%、より好ましくは5〜20重量%、とりわけ好ましくは6〜15重量%である。割合が5重量%未満であると、プロピレン系樹脂組成物およびその成形体の寸法安定性、成形外観(フローマーク外観)が低下し易くなり(線膨張係数が高くなり易く、フローマーク外観が目立ち易くなり)、30重量%を超えると、ゲルが発生し易くなってさらに成形外観が低下し易くなり、加えて剛性も低下する傾向がある。
MFR、エチレン含量、エチレン・プロピレン共重合体部分の含量は、MFR計、クロス分別装置、フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定され、また、固有粘度[η]copolyは、ウベローデ型粘度計を用いて測定される。測定条件は実施例に後述する。
(3)配合量比
本発明のプロピレン系樹脂組成物における成分(A)の配合割合は、20〜89重量%、好ましくは20〜78重量%、より好ましくは20〜65重量%、さらにより好ましくは20〜55重量%、とりわけ好ましくは20〜49重量%、中でも特に20〜45重量%である。成分(A)の配合割合が、20重量%未満であると、プロピレン系樹脂組成物およびその成形体の成形性(高流動性)や成形外観(フローマーク外観)が悪化するし、また、89重量%を超えると衝撃強度が低下する。
なお、成分(A)は、前述の特性の範囲内であれば、二種以上併用してもよい。
2.成分(B):プロピレン系重合体
本発明のプロピレン系樹脂組成物に用いられる成分(B)のプロピレン系重合体は、MFR(230℃、2.16kg荷重)が7g/10分以下のプロピレン系重合体である。
本発明において、成分(B)は、上記範囲のMFR値を有すること等により、線膨張係数がより低い(寸法安定性が良好な)優れた成形体を実現させ、しかも、組成物の流動性が良好で剛性と衝撃強度が高いといったバランスに優れたプロピレン系樹脂組成物を得ることを可能とする。これらの効果は、前述の成分(A)および後述の成分(C)との相乗で、高く発現される。
(1)製造法
本発明に用いられる成分(B)のプロピレン系重合体の製造は、高立体規則性触媒を用いて重合する方法が好ましく用いられる。具体的な重合方法、触媒、重合形式、重合用反応器は、前述の成分(A)を製造する場合と同様の方式が採用できる。すなわち、重合方法としては、チーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒等の、従来公知のポリプロピレン用の重合触媒の存在下、水素等のMFR調整剤の存在下または非存在下で、気相重合法、液相塊状重合法、スラリー重合法、またはこれらを組み合わせた方法等の製造プロセスを適用して、プロピレンを単独重合またはプロピレンと少量のコモノマーとを共重合することにより、本発明の成分(B)が得られる。ここで、スラリー重合法、気相重合法が好ましく、また、単段重合でも同一又は異なる重合条件で逐次に重合する多段重合であってもよい。
本発明において、成分(B)が特定のMFRの値を持ち、所望の性状になるようにするためには、例えば前記触媒の存在下に、プロピレン、必要に応じてコモノマー、必要に応じて連鎖移動剤として水素を供給して、温度50〜150℃、好ましくは50〜70℃、プロピレンの分圧0.5〜4.5MPa、好ましくは1.0〜3.0MPaの条件で、重合を行うことができる。
成分(B)は、プロピレン系樹脂組成物の剛性を高めるために、プロピレンの単独重合体であることが好ましいが、成形性等をさらに改良する目的で、少量のコモノマーとの共重合体とすることができる。少量のコモノマーを含有する程度であれば、剛性が著しく損なわれることはない。具体的には、成分(B)は、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどのプロピレン以外のα−オレフィン、スチレン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルナンなどのビニル化合物等からなる群から選ばれる1以上のコモノマーに相応するコモノマー単位を7重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下の含量で含むことができる。これらのコモノマーは、二種以上共重合されていてもよい。コモノマーはエチレン及び/又は1−ブテンであるのが望ましく、最も望ましいのはエチレンである。炭素数9以上のα−オレフィンをコモノマーに用いると、触媒活性が著しく低下して好ましくない。また、成分(B)中のコモノマー単位の含量が7重量%を超えると剛性が低下して好ましくない。
ここで、コモノマー単位の含量は、赤外分光分析法(IR)にて求めた値である。
(2)物性
成分(B)のMFR(230℃、2.16kg荷重)は、7g/10分以下、好ましくは3g/10分以下、より好ましくは1g/10分以下であり、また、下限値は特に制限されないが、好ましくは0.3g/10分であり、従って特に0.3〜1g/10分とするのが好ましい。成分(B)のMFRが7g/10分を超えると分子量100万以上の成分量が相対的に低減し、本発明のプロピレン系樹脂組成物およびその成形体の線膨張係数が高くなり(増大し)また衝撃強度が低下し、好ましくない。
成分(B)の重量平均分子量(Mw)は、30万以上が好ましく、40万以上がより好ましく、50万以上がとりわけ好ましい。Mwが30万未満であると、本発明のプロピレン系樹脂組成物およびその成形体の寸法安定性が低下し易くなる(線膨張係数が高くなり易くなる)。
成分(B)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比、すなわちMw/Mnは6以上が好ましく、7以上がより好ましい。Mw/Mnが6未満の場合、本発明のプロピレン系樹脂組成物およびその成形体の寸法安定性が低下し易く(線膨張係数が高くなり易く)、また、成形外観(フローマーク外観)が低下し易くなる。ここで、Mw、Mn、Mw/Mnは、後述のクロス分別装置におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した値である。
(3)配合量比
本発明のプロピレン系樹脂組成物における成分(B)の配合割合は、5〜30重量%、好ましくは8〜25重量%、より好ましくは10〜20重量%である。成分(B)の配合割合が、5重量%未満であると、プロピレン系樹脂組成物およびその成形体の線膨張係数が高くなり(寸法安定性が悪化し)、30重量%を超えると、衝撃強度および成形性(高流動性)が低下する。
なお、成分(B)は、前述の特性の範囲内であれば、二種以上併用してもよい。
3.成分(C):エチレン・α−オレフィン共重合体
本発明に用いられる成分(C)のエチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンとα−オレフィンとのランダム共重合体であり、ゴム的な性質を有する重合体である。
成分(C)は、プロピレン系樹脂組成物において、そのMFR(190℃、2.16kg荷重)が高い(分子量が低い)ため、高い寸法安定性(低線膨張係数)を付与するほか、高い衝撃強度、成形性(高流動性)や、良好な成形外観(フローマーク外観)を発現する特徴を有する。これらの効果、とりわけ高い寸法安定性(低線膨張係数)を付与する効果は、前述の成分(A)および成分(B)との相乗で、高く発現される。
(1)製造法
本発明に用いられる成分(C)の製造法は、特に限定されず、メタロセン系触媒、バナジウム系触媒やチーグラー系触媒などを用いて、重合することができる。共重合されるα−オレフィンとして、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられ、なかでも、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましい。これらは二種以上共重合されていてもよい。
重合法としては、触媒成分と各モノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式の方法を採用することができる。具体的には、これらの触媒の存在下でのスラリー法、気相流動床法や溶液法、あるいは圧力が200kg/cm以上、重合温度が100℃以上での高圧バルク重合法等の製造プロセスを適用して重合することができる。好ましい製造法としては高圧バルク重合法や溶液法が挙げられる。
成分(C)の具体例としては、例えば、エチレン・プロピレン共重合体(EPR)、エチレン・ブテン共重合体(EBR)、エチレン・ヘキセン共重合体(EHR)、エチレン・オクテン共重合体(EOR)等が挙げられ、エチレン系ゴム、エラストマー、プラストマーなどと称されることもある。形状としては、ペレット状、クラム状、顆粒状等が挙げられるが、特に限定されず、用いることができる。
本発明において、成分(C)は、1種類に限定されるものではなく、密度、MFRなどの異なる2種類以上の混合物の使用であってもよい。市販品を例示すれば、ジェイエスアール社製EPシリーズ、三井化学社製タフマーPシリーズ及びタフマーAシリーズ、ダウケミカル日本社製エンゲージEGシリーズおよびアフィニティーなどを挙げることができる。
(2)物性
成分(C)のMFR(190℃、2.16kg荷重)は、10〜2000g/10分、好ましくは30〜1900g/10分、より好ましくは100〜1800g/10分、とりわけ好ましくは300〜1800g/10分、である。MFRが10g/10分未満であると、プロピレン系樹脂組成物およびその成形体の寸法安定性が低下し(線膨張係数が高くなり)、また、成形性(高流動性)および成形外観(フローマーク外観)が低下し、2000g/10分を超えると、衝撃強度が低下する。ここで、該MFR値は、1種類の成分(C)の値であっても、2種類以上の成分(C)の混合物の値でもあってもよい。なお、成分(C)の少なくとも1種が300g/10分以上、好ましくは450g/10分以上、とりわけ好ましくは800g/10分以上のものを含有する本発明のプロピレン系樹脂組成物およびその成形体は、寸法安定性(線膨張係数)、成形性(高流動性)および成形外観(フローマーク外観)が特に優れ、好ましい。
また、成分(C)のエチレン・α−オレフィン共重合体が複数種であって、その少なくとも1種は、MFR(190℃、2.16kg荷重)が300g/10分以上のものであることが好ましい。具体的には成分(C)のエチレン・α−オレフィン共重合体は、MFRを異にする二種以上のエチレン・α−オレフィン共重合体の混合物であることが好ましい。その少なくとも1種は、MFR(190℃、2.16kg荷重)が300g/10分以上のものである。MFRの測定条件は実施例項に後述する。
成分(C)の密度は、0.85〜0.89g/cmが好ましく、0.86〜0.88g/cmがより好ましい。密度が0.85g/cm未満であると、プロピレン系樹脂組成物およびその成形体の剛性が低下し易くなり、0.89g/cmを超えると、衝撃強度が低下し易くなる。密度はJIS−K7112に準拠して測定した値である。
成分(C)のα−オレフィン含有量は、特に制限されないが、20〜50重量%が好ましく、25〜45重量%が好ましい。α−オレフィン含有量が、これらの範囲外であると、プロピレン系樹脂組成物およびその成形体の衝撃強度が低下する傾向があり、また成形外観(フローマーク外観)が低下し易くなる。α−オレフィン含有量は、赤外分光分析法(IR)にて求めた値である。
ここで、成分(C)のMFR値が高くなるに従い、その重量平均分子量(GPC測定)は、低くなる傾向があり、組成などにより一様ではないが、例えばMFR(190℃、2.16kg荷重)が1g/10分の場合、その重量平均分子量は、概ね15万〜18万程度を示す場合が多く、同様にMFRが10g/10分の場合、その重量平均分子量は、概ね10万〜13万程度を、またMFRが30g/10分の場合、その重量平均分子量は、概ね6万〜9万程度を、各々示す場合が多い。成分(C)の重量平均分子量は、13万以下が好ましく、9万以下がより好ましく、6万以下が特に好ましい。
重量平均分子量が13万を超えると、本発明のプロピレン系樹脂組成物およびその成形体の寸法安定性が低下し易く(線膨張係数が高くなり易く)、また、成形性(高流動性)および成形外観(フローマーク外観)が低下し易くなる。
該重量平均分子量は、1種類の成分(C)の値であっても、2種類以上の成分(C)の混合物の値でもあってもよい。
(3)配合量比
本発明のプロピレン系樹脂組成物における成分(C)の配合割合は、5〜30重量%、好ましくは8〜30重量%、より好ましくは10〜28重量%である。成分(C)の配合割合が、5重量%未満であると、プロピレン系樹脂組成物およびその成形体の寸法安定性が低下し(線膨張係数が高くなり)、また、衝撃強度が低下し、30重量%を超えると、剛性や成形外観(フローマーク外観)が低下する。
なお、成分(C)は、前述の特性の範囲内であれば、二種以上併用してもよい。
4.成分(D):フィラー
本発明に用いられる成分(D)のフィラーは、無機または有機のフィラーである。成分(D)は、プロピレン系樹脂組成物およびその成形体の寸法安定性の向上(線膨張係数の低減)、剛性を中心とした物性バランスの向上および環境適応性の向上などの目的で用いられる。
(1)種類、形状等
成分(D)の具体例として、例えば無機のフィラーとして、シリカ、ケイ藻土、バリウムフェライト、酸化ベリリウム、軽石、軽石バルンなどの酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウムなどの水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、ドーソナイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウムなどの硫酸塩又は亜硫酸塩、タルク、クレー、マイカ、ガラス繊維、ガラスバルーン、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、モンモリロナイト、ベントナイトなどのケイ酸塩、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素中空球などの炭素類や、硫化モリブデン、ボロン繊維、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム、マグネシウムオキシサルフェイト、塩基性硫酸マグネシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ケイ酸カルシウム繊維、炭酸カルシウム繊維、各種金属繊維などを挙げることができる。
一方、有機のフィラーとしては、例えばモミ殻などの殻繊維、木粉、木綿、ジュート、紙細片、セロハン片、芳香族ポリアミド繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、熱硬化性樹脂粉末などを挙げることができる。
なかでも、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、ワラストナイト、ガラス繊維、炭素繊維、さらに、より細径の繊維状のいわゆるウィスカー状の塩基性硫酸マグネシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ケイ酸カルシウム繊維、炭酸カルシウム繊維などが、寸法安定性、物性、経済性などのバランスに優れた本発明のプロピレン系樹脂組成物およびその成形体を得られやすい点で好ましい。
これらの成分(D)は、有機チタネート系カップリング剤、有機シランカップリング剤、不飽和カルボン酸、又はその無水物をグラフトした変性ポリオレフィン、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル等によって表面処理したものを用いてもよく、また、二種以上併用して表面処理してもよい。
成分(D)の形状については特に制限はなく、粒状、板状、棒状、繊維状、ウィスカー状など、いずれの形状のものも使用することができる。また、ポリマー用フィラーとして市販されているものはいずれも使用できる。
なかでも、平均粒径1.5μm〜150μmの板状フィラー、とりわけ平均粒径2μm〜8μmの板状フィラー(例えばタルク)、平均繊維直径が15μ以下の繊維状およびウィスカー状フィラー、とりわけ平均繊維直径が1μ以下のウィスカー状フィラー(例えば塩基性硫酸マグネシウム繊維)が、寸法安定性、物性、経済性などのバランスに優れた本発明のプロピレン系樹脂組成物およびその成形体を得られやすい点で好ましい。
また、より一層の寸法安定性、物性、経済性などのバランスに優れた本発明のプロピレン系樹脂組成物およびその成形体を得るためには、フィラーが複数種であることが好ましい。具体的にはフィラーが形状を異にする二種以上の混合物であることが好ましい。そして、その少なくとも1種は、平均繊維直径が1μm以下のウィスカー状のものであることが好ましい。形状を異にする二種以上のフィラーの混合物としては、板状のフィラーと繊維状のフィラー、好ましくは、平均粒径2〜8μmの板状フィラー(例えばタルク)と平均繊維直径が1μ以下のウィスカー状フィラー(例えば塩基性硫酸マグネシウム繊維)を、併用することが好ましい。
繊維状およびウィスカー状フィラーの平均繊維長さは、特に制限されないが、繊維状フィラーは、0.1mm〜20mmが好ましく、1mm〜5mmがより好ましい。また、ウィスカー状フィラーは、0.1μm〜100μmが好ましく、0.5μm〜50μmがより好ましく、1μm〜20μmがとりわけ好ましい。
ここで、平均粒径は、レーザー回折散乱方式粒度分布計等を用いて測定した値であり、測定装置としては、例えば、堀場製作所LA−920型が挙げられる。平均繊維直径や、平均繊維長さは、顕微鏡等により測定された値より求められる。また、タルクは、平均アスペクト比が4以上、特に5以上のものがより好ましい。タルクのアスペクト比の測定は、顕微鏡等により測定された値より求められる。
これらの成分(D)の製造方法は、特に限定されたものではなく、公知の各種製造方法等にて製造される。例えばタルクの場合、その原石を衝撃式粉砕機やミクロンミル型粉砕機で粉砕して製造したり、更にジェットミルなどで粉砕した後、サイクロンやミクロンセパレータ等で分級調整する等の方法で製造する。また、塩基性硫酸マグネシウム繊維の場合、水酸化マグネシウムと硫酸マグネシウムを原料に、水熱合成する等の方法で製造する。
これらは、一般的な粉末状やロービング状の外に、取り扱いの利便性等を高めた、チョップドストランド状、圧縮魂状、ペレット(造粒)状、顆粒状等の形態で製造されることが多いが、何れも使用することができる。なかでも粉末状、圧縮魂状、顆粒状が好ましい。
(2)配合量比
本発明のプロピレン系樹脂組成物における成分(D)の配合割合は、1〜40重量%、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜35重量%である。成分(D)の配合割合が、1重量%未満であると、プロピレン系樹脂組成物およびその成形体の寸法安定性が低下し(線膨張係数が高くなり)、また、剛性が低下し、40重量%を超えると、成形外観(フローマーク外観)が悪化する。なお、成分(D)は、二種以上併用してもよい。
5.成分(E):低分子量ポリオレフィン
本発明のプロピレン系樹脂組成物で必要に応じて配合される成分(E)の低分子量ポリオレフィンは、軟化点が100℃以上の低分子量のポリオレフィン成分であって、ポリオレフィンワックス等とも称されるものである。成分(E)は、プロピレン系樹脂組成物およびその成形体の寸法安定性の向上(線膨張係数の低減)、成形性(高流動性)および成形外観(フローマーク外観)の向上などの目的で用いられる。
(1)種類、形状等
成分(E)の具体例として、例えば低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンなどが挙げられる。市販品を例示すれば、三洋化成工業社製サンワックスシリーズ、同じくビスコールシリーズなどを挙げることができる。ここで、どちらかと言えばプロピレン系樹脂組成物およびその成形体の寸法安定性の向上(線膨張係数の低減)や、剛性、耐熱性などの点から、低分子量ポリプロピレンが好ましい。
成分(E)の形状については特に制限はなく、粉末状、顆粒状、ペレット状、液状、ペースト状など、いずれの形状のものも使用することができる。なかでも、混合、混練性などから、粉末状、顆粒状が好ましい。
成分(E)の軟化点は、100℃以上、好ましくは110℃〜163℃、とりわけ好ましくは135℃〜160℃である。軟化点が100℃未満であると、プロピレン系樹脂組成物およびその成形体の剛性が低下する。軟化点は、主にJIS−K2207に準拠して測定される。
成分(E)の密度は、0.85〜0.97g/cmが好ましく、0.87〜0.92g/cmがより好ましい。密度が0.85g/cm未満であると、プロピレン系樹脂組成物およびその成形体の剛性が低下し易くなり、0.97g/cmを超えると、寸法安定性が低下する(線膨張係数が高くなる)傾向がある。ここで密度は20℃での値であり、JIS−K6760(JIS−K7112)に準拠して測定される。
成分(E)の数平均分子量(Mn)は、1000〜20000が好ましく、1200〜15000がより好ましく、1500〜5000が特に好ましい。Mnが1000未満であると、プロピレン系樹脂組成物およびその成形体の衝撃強度が低下し易くなり、20000を超えると、寸法安定性が低下し(線膨張係数が高くなり)、また、成形性(高流動性)および成形外観(フローマーク外観)が低下する傾向がある。
成分(E)のMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法または蒸気浸透圧法によって測定した値である。
成分(E)の製造方法は、特に限定されたものではなく、公知の各種製造方法等にて製造される。例えば低分子量ポリプロピレンの場合、管状反応器を用い、高分子量ポリプロピレン系樹脂を、不活性ガス中、通常300〜450℃で0.5〜10時間熱減成して、連続的に製造する方法などが挙げられる。
(2)配合量比
本発明のプロピレン系樹脂組成物において必要に応じて配合される成分(E)の配合割合は、20重量%以下、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%である。成分(E)の配合割合が、20重量%を超えると、プロピレン系樹脂組成物およびその成形体の衝撃強度が低下する。なお、成分(E)は、二種以上併用してもよい。
6.成分(F):造核剤
本発明のプロピレン系樹脂組成物で必要に応じて配合される成分(F)の造核剤は、例えば、下記化学構造式(1)で示される化合物、無機系、ソルビトール系、カルボン酸金属塩系や有機リン酸塩系などのものである。成分(F)は、プロピレン系樹脂組成物およびその成形体のさらなる寸法安定性の向上(線膨張係数の低減)や衝撃強度の向上などの目的で用いられる。
(1)種類
成分(F)の具体例としては、下記化学構造式(1)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2010077396
(但し、nは、0〜2の整数であり、R〜Rは、同一または異なって、それぞれ水素原子もしくは炭素数が1〜20のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、カルボニル基、ハロゲン基およびフェニル基であり、Rは、炭素数が1〜20のアルキル基である。)
また、無機系にはタルク;シリカなどが、ソルビトール系には、1,3,2,4−ジベンジリデン−ソルビトール;1,3,2,4−ジ−(p−メチル−ベンジリデン)ソルビトール;1,3,2,4−ジ−(p−エチル−ベンジリデン)ソルビトール;1,3,2,4−ジ−(2’,4’−ジ−メチル−ベンジリデン)ソルビトール;1,3−p−クロロベンジリデン−2,4−p−メチル−ベンジリデン−ソルビトール;1,3,2,4−ジ−(p−プロピルベンジリデン)ソルビトールなどが、カルボン酸金属塩系には、アルミニウム−モノ−ヒドロキシ−ジ−p−t−ブチルベンゾエート;安息香酸ナトリウム;モンタン酸カルシウムなどが、有機リン酸塩系には、ソジウムビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート;ソジウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート;リチウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートなどがそれぞれ挙げられる。
なかでも、寸法安定性の向上(線膨張係数の低減)や衝撃強度の向上などの効果から、前記化学構造式(1)で示される化合物が好ましく、前記化学構造式(1)において、nは、0〜2の整数であり、R、R、RおよびRは、それぞれ水素原子であり、RおよびRは、同一または異なって、それぞれ炭素数が1〜20のアルキル基である化合物がより好ましく、前記化学構造式(1)において、nは、0〜2の整数であり、R、R、RおよびRは、それぞれ水素原子であり、Rは、−CH、−CH CH 、−CH CH CH 、−CH CH CH CH 、−CH CH=CH、−CH(CH )CH=CH 、−CH CH(X)−CH(X)、−CH CH(X)−CH CH 、−CH CH(X)−CH OHもしくは−CH (OH)−CH(OH)−CHOHであり(但し、X〜Xは、それぞれ独立したハロゲン基である。)、Rは、炭素数が1〜20のアルキル基である化合物がとりわけ好ましい。
(2)配合量比
本発明のプロピレン系樹脂組成物において必要に応じて配合される成分(F)の配合割合は、3重量%以下、好ましくは0.01〜2重量%、より好ましくは0.05〜1重量%である。成分(F)の配合割合が、3重量%を超えると、プロピレン系樹脂組成物およびその成形体の衝撃強度や経済性が低下する。なお、成分(F)は、二種以上併用してもよい。
7.成分(G):任意添加成分
本発明のプロピレン系樹脂組成物においては、上記成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)および成分(F)以外に、さらに必要に応じ、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、たとえば所期の効果をさらに向上させたり、他の効果を付与するなどのため、成分(G)の任意添加成分を配合することができる。
任意添加成分として具体的には、非イオン系などの帯電防止剤、ヒンダードアミン系などの光安定剤、ベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤、物理発泡剤などの発泡剤、有機金属塩系などの分散剤、顔料などの着色剤、フェノール系などの酸化防止剤、無機化合物などの中和剤、脂肪酸アミド系などの滑剤、窒素化合物などの金属不活性剤、非イオン系などの界面活性剤、チアゾール系などの抗菌・防黴剤、ハロゲン化合物などの難燃剤、蛍光増白剤、気泡防止(消泡)剤、架橋剤、過酸化物、プロセスオイル(配合油)、ブロッキング防止剤、可塑剤、上記成分(A)、(B)、(C)及び(E)以外のポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミドやポリエステルなどの熱可塑性樹脂、フィラー、エラストマー(ゴム様重合体)、その他添加剤などを挙げることができる。これらの成分は、二種以上併用してもよく、組成物に添加してもよいし、各成分に添加されていてもよく、それぞれの成分においても二種以上併用してもよい。
帯電防止剤、中でも非イオン系やカチオン系などの帯電防止剤は、プロピレン系樹脂組成物およびその成形体の帯電防止性の付与、向上に有効であり、その具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルアミン;ポリオキシエチレンアルキルアミド;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;ステアリン酸モノグリセリド;アルキルジエタノールアミン;アルキルジエタノールアミド;アルキルジエタノールアミン脂肪酸モノエステル;テトラアルキルアンモニウム塩などが挙げられる。
光安定剤や紫外線吸収剤としては、例えばヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系の化合物などが挙げられ、これらはプロピレン系樹脂組成物およびその成形体の耐候性や耐久性などの付与、向上に有効である。これらの具体例として、ヒンダードアミン系には、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの縮合物;ポリ〔〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕;テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート;テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート;ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート;ビス−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルセバケートなどが、ベンゾトリアゾール系には、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどが、ベンゾフェノン系には、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン;2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンなどが、サリシレート系には、4−t−ブチルフェニルサリシレート;2,4−ジ−t−ブチルフェニル 3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエートなどがそれぞれ挙げられる。
発泡剤としては、例えば物理発泡剤や化学発泡剤などが挙げられ、これらは、プロピレン系樹脂組成物およびその成形体の軽量化、剛性や寸法特性などの付与、向上などに有効である。これらの具体例としては、物理発泡剤には、炭酸ガス;窒素ガス;空気;プロパン;ブタン;ジクロロジフルオロメタンなどが、化学発泡剤には、クエン酸;重曹;アゾジカルボンアミド;ベンゼンスルホニルヒドラジド;トルエンスルホニルヒドラジド;N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド;P−トルエンスルホニルセミカルバジドなどがそれぞれ挙げられる。
分散剤としては、例えば有機金属塩などが挙げられ、無機フィラーや着色顔料などの分散性を高め、プロピレン系樹脂組成物およびその成形体の剛性、耐熱性、ウェルド外観、フローマーク外観、風合いなどの付与、向上などに有効である。その具体例としては、ステアリン酸カルシウム;ステアリン酸マグネシウム;ベヘン酸カルシウム;ベヘン酸マグネシウム;ベヘン酸亜鉛;モンタン酸亜鉛;モンタン酸カルシウム;モンタン酸マグネシウムなどが挙げられる。
着色剤としては、例えば無機系や有機系の顔料などが挙げられ、プロピレン系樹脂組成物およびその成形体の、着色外観、見映え、風合い、商品価値、耐候性や耐久性などの付与、向上などに有効である。
その具体例としては、無機系顔料には、酸化チタン;酸化鉄(ベンガラ等);クロム酸(黄鉛など);モリブデン酸;硫化セレン化物;フェロシアン化物およびカーボンブラックなどが、有機系顔料には、難溶性アゾレーキ;可溶性アゾレーキ;不溶性アゾキレート;縮合性アゾキレート;その他のアゾキレートなどのアゾ系顔料;フタロシアニンブルー;フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料;アントラキノン;ペリノン;ペリレン;チオインジゴなどのスレン系顔料;染料レーキ;キナクリドン系;ジオキサジン系;イソインドリノン系などがそれぞれ挙げられる。また、メタリック調やパール調にするには、アルミフレーク;パール顔料を含有させることができる。また、染料を含有させることもできる。
[II]プロピレン系樹脂組成物の製造、成形
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、上記成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、さらに必要に応じ、成分(E)、成分(F)を上記配合割合で配合し、適宜成分(G)の任意添加成分をさらに配合して単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダ−プラストグラフ、ニーダー等通常の混練機を用いて混練・造粒することによって製造される。
この場合、各成分の分散を良好にすることができる混練・造粒方法を選択することが望ましく、通常は二軸押出機が用いられる。この混練・造粒の際には、上記各成分の配合物を同時に混練してもよいし、また性能向上を図るべく各成分を分割、例えば先ず成分(A)と成分(D)の一部または全部を混練し、その後に残りの成分を混練・造粒することもできる。また、成分(D)として繊維状フィラー等を用いる場合は、折損を避ける等のため、押出機シリンダーの中間部等に設けたフィード口(サイドフィード口)等から、それを溶融樹脂部分にフィードして、混練・造粒することもできる。
プロピレン系樹脂組成物の成形は、射出成形(ガス射出成形も含む)または射出圧縮成形(プレスインジェクション、ホットフロースタンピング成形、ガス射出圧縮成形も含む)により行われるのが好ましく、その場合、射出成形や射出圧縮成形の技術と、いわゆる発泡成形技術や膨張成形技術とを組み合わせて所望の成形体を得ることもできる。
プロピレン系樹脂組成物の成形には、また、必要に応じて、中空成形、押出成形、圧縮(プレス)成形、発泡(膨張)成形、シート成形、熱成形、スタンピング成形、粉末成形などの種々の成形法を適用することもでき、それにより所望の成形体を得ることもできる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物およびその成形体の用途としては、自動車部品、テレビ等の家電機器製品の部品等を含む工業部品分野に於ける各種成形体、好ましくは自動車部品、例えばドアトリム、インストルメントパネル、ピラー、バンパー、サイドモール、ドアプロテクター、サイドプロテクター、バックドア、フェンダー、リアゲート、フェンダー付帯部品などのフェンダー周り用各種部品等、とりわけ好ましくは、バックドア、フェンダー、リアゲート、フェンダー付帯部品などのフェンダー周り用各種部品等の自動車外装部品が挙げられる。
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
なお、実施例で用いた物性測定、評価、分析の各法および材料等は以下の通りである。
1.物性測定、評価方法、分析方法
(1)MFR:JIS−K7210 条件M…試験温度:230℃、荷重:2.16kgに準拠。但し、成分(C)のエチレン・α−オレフィン共重合体は、条件D…試験温度:190℃、荷重:2.16kgに準拠(MFR値が極端に大きい場合は、試料切り取り時間を調節して測定)。
(2)曲げ弾性率:JIS−K7171に準拠。
(a)試験片:厚さ4mm、幅10mm、長さ80mm
(b)試験条件:試験温度=23℃、支点間距離=64.0mm、試験速度=2.0mm/分
(3)アイゾット衝撃強度:JIS−K7110に準拠。
(a)試験片:ノッチ付き(ノッチ半径0.25mm)、厚さ4mm、幅10mm、長さ80mm
(b)試験条件:試験温度=23℃
(4)線膨張係数:JIS−K6714−1981に準拠。
試験片=80mm × 10mm × 4mm…射出成形にて調製。 昇温速度=2℃/分、荷重=4kPa、測定範囲=23〜90℃ ここで、線膨張係数が小さいほど、寸法安定性が優れていると言える。
(5)フローマーク外観:
型締め圧170トンの射出成形機で、短辺に幅2mmのフィルムゲートをもつ金型を用いて、350mm×100mm×2mmtなる成形シートを、成形温度225℃で射出成形する。フローマークの発生を目視で観察し、ゲートからフローマークが発生した部分までの距離を測定し、それが260mm以上であった場合、良好と判断し、260mm未満の場合は不良と判断した。
(6)エチレン・プロピレン共重合体部分量(比率)、エチレン・プロピレン共重合体部分のエチレン含量:
(a)使用する分析装置
(a−1)クロス分別装置
ダイヤインスツルメンツ社製CFC T−100(CFCと略す)
(a−2)フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析
FT−IR、パーキンエルマー社製 1760X
CFCの検出器として取り付けられていた波長固定型の赤外分光光度計を取り外して代わりにFT−IRを接続し、このFT−IRを検出器として使用する。CFCから溶出した溶液の出口からFT−IRまでの間のトランスファーラインは1mの長さとし、測定の間を通じて140℃に温度保持する。FT−IRに取り付けたフローセルは光路長1mm、光路幅5mmφのものを用い、測定の間を通じて140℃に温度保持する。
(a−3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)
CFC後段部分のGPCカラムは、昭和電工社製AD806MSを3本直列に接続して使用する。
(b)CFCの測定条件
(b−1)溶媒:オルトジクロルベンゼン(ODCB)
(b−2)サンプル濃度:4mg/ml
(b−3)注入量:0.4ml
(b−4)結晶化:140℃から40℃まで約40分かけて降温する。
(b−5)分別方法:
昇温溶出分別時の分別温度は40、100、140℃とし、全部で3つのフラクションに分別する。なお、40℃以下で溶出する成分(フラクション1)、40〜100℃で溶出する成分(フラクション2)、100〜140℃で溶出する成分(フラクション3)の溶出割合(単位:重量%)を各々W40、W100、W140と定義する。W40+W100+W140=100である。また、分別した各フラクションは、そのままFT−IR分析装置へ自動輸送される。
(b−6)溶出時溶媒流速:1ml/分
(c)FT−IRの測定条件
CFC後段のGPCから試料溶液の溶出が開始した後、以下の条件でFT−IR測定を行い、上述した各フラクション1〜3について、GPC−IRデータを採取する。
(c−1)検出器:MCT
(c−2)分解能:8cm−1
(c−3)測定間隔:0.2分(12秒)
(c−4)一測定当たりの積算回数:15回
(d)測定結果の後処理と解析
各温度で溶出した成分の溶出量と分子量分布は、FT−IRによって得られる2945cm−1の吸光度をクロマトグラムとして使用して求める。溶出量は各溶出成分の溶出量の合計が100%となるように規格化する。保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。各々が0.5mg/mlとなるようにODCB(0.5mg/mlのBHTを含む)に溶解した溶液を0.4ml注入して較正曲線を作成する。較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算は森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)を参考に汎用較正曲線を用いる。その際使用する粘度式([η]=K×Mα)には以下の数値を用いる。
(d−1)標準ポリスチレンを使用する較正曲線作成時
K=0.000138、α=0.70
(d−2)成分(A)プロピレン・エチレンブロック共重合体のサンプル測定時
K=0.000103、α=0.78
各溶出成分のエチレン含有量分布(分子量軸に沿ったエチレン含有量の分布)は、FT−IRによって得られる2956cm−1の吸光度と2927cm−1の吸光度との比を用い、ポリエチレンやポリプロピレンや13C−NMR測定等によりエチレン含有量が既知となっているエチレン−プロピレンラバー(EPR)及びそれらの混合物を使用して予め作成しておいた検量線により、エチレン含有量(重量%)に換算して求める。
(e)エチレン・プロピレン共重合体部分の比率(Wc)
本発明における成分(A)プロピレン・エチレンブロック共重合体中のエチレン・プロピレン共重合体部分の比率(Wc)は、下記式(I)で理論上は定義され、以下のような手順で求められる。
Wc(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/B100 …(I)
式(I)中、W40、W100は、上述した各フラクションでの溶出割合(単位:重量%)であり、A40、A100は、W40、W100に対応する各フラククションにおける実測定の平均エチレン含有量(単位:重量%)であり、B40、B100は、各フラクションに含まれるエチレン・プロピレン共重合体部分のエチレン含有量(単位:重量%)である。
40、A100、B40、B100の求め方は後述する。
(I)式の意味は以下の通りである。すなわち、(I)式右辺の第一項はフラクション1(40℃に可溶な部分)に含まれるエチレン・プロピレン共重合体部分の量を算出する項である。フラクション1がエチレン・プロピレン共重合体部分のみを含み、プロピレン重合体を含まない場合には、W40がそのまま全体の中に占めるフラクション1由来のエチレン・プロピレン共重合体部分含有量に寄与するが、フラクション1にはエチレン・プロピレン共重合体由来の成分のほかに少量のプロピレン重合体由来の成分(極端に分子量の低い成分及びアタクチックポリプロピレン)も含まれるため、その部分を補正する必要がある。そこでW40にA40/B40を乗ずることにより、フラクション1のうち、エチレ・プロピレン共重合体由来の量を算出する。例えば、フラクション1の平均エチレン含有量(A40)が30重量%であり、フラクション1に含まれるエチレン・プロピレン共重合体のエチレン含有量(B40)が40重量%である場合、フラクション1の30/40=3/4(即ち75重量%)はエチレン・プロピレン共重合体由来、1/4はプロピレン重合体由来ということになる。このように右辺第一項でA40/B40を乗ずる操作は、フラクション1の重量%(W40)からエチレン・プロピレン共重合体の寄与を算出することを意味する。右辺第二項も同様であり、各々のフラクションについて、エチレン・プロピレン共重合体の寄与を算出して加え合わせたものがエチレン・プロピレン共重合体部分含有量となる。
(e−1)上述したように、CFC測定により得られるフラクション1〜2に対応する平均エチレン含有量をそれぞれA40、A100とする(単位はいずれも重量%である)。平均エチレン含有量の求め方は後述する。
(e−2)フラクション1の微分分子量分布曲線におけるピーク位置に相当するエチレン含有量をB40とする(単位は重量%である)。フラクション2については、ゴム部分が40℃ですべて溶出してしまうと考えられ、同様の定義で規定することができないので、本発明では実質的にB100=100と定義する。B40、B100は各フラクションに含まれるエチレン・プロピレン共重合体部分のエチレン含有量であるが、この値を分析的に求めることは実質的には不可能である。その理由はフラクションに混在するプロピレン重合体とエチレン・プロピレン共重合体を完全に分離・分取する手段がないからである。
種々のモデル試料を使用して検討を行った結果、B40はフラクション1の微分分子量分布曲線のピーク位置に相当するエチレン含有量を使用すると、材料物性の改良効果をうまく説明することができることがわかった。また、B100はエチレン連鎖由来の結晶性を持つこと、および、これらのフラクションに含まれるエチレン・プロピレン共重合体の量がフラクション1に含まれるエチレン・プロピレン共重合体の量に比べて相対的に少ないことの2点の理由により、100と近似する方が、実態にも近く、計算上も殆ど誤差を生じない。そこでB100=100として解析を行うこととしている。
(e−3)上記の理由からエチレン・プロピレン共重合体部分の比率(Wc)を以下の式に従い、求める。
Wc(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/100 …(II)
つまり、(II)式右辺の第一項であるW40×A40/B40は結晶性を持たないエチレン・プロピレン共重合体含有量(重量%)を示し、第二項であるW100×A100/100は結晶性を持つエチレン・プロピレン共重合体部分含有量(重量%)を示す。
ここで、B40およびCFC測定により得られる各フラクション1および2の平均エチレン含有量A40、A100は、次のようにして求める。
微分分子量分布曲線のピーク位置に対応するエチレン含有量がB40となる。また、測定時にデータポイントとして取り込まれる、各データポイント毎の重量割合と各データポイント毎のエチレン含有量の積の総和がフラクション1の平均エチレン含有量A40となる。フラクション2の平均エチレン含有量A100も同様に求める。
なお、上記3種類の分別温度を設定した意義は次の通りである。本発明のCFC分析においては、40℃とは結晶性を持たないポリマー(例えば、エチレン・プロピレン共重合体の大部分、もしくはプロピレン重合体部分の中でも極端に分子量の低い成分およびアタクチックな成分)のみを分別するのに必要十分な温度条件である意義を有する。100℃とは、40℃では不溶であるが100℃では可溶となる成分(例えばエチレン・プロピレン共重合体中、エチレン及び/またはプロピレンの連鎖に起因して結晶性を有する成分、および結晶性の低いプロピレン重合体)のみを溶出させるのに必要十分な温度である。140℃とは、100℃では不溶であるが140℃では可溶となる成分(例えば、プロピレン重合体中特に結晶性の高い成分、およびエチレン・プロピレン共重合体中の極端に分子量が高くかつ極めて高いエチレン結晶性を有する成分)のみを溶出させ、かつ分析に使用するプロピレン・エチレンブロック共重合体の全量を回収するのに必要十分な温度である。なお、W140にはエチレン・プロピレン共重合体成分は全く含まれないか、存在しても極めて少量であり実質的には無視できることからエチレン・プロピレン共重合体の比率やエチレン・プロピレン共重合体のエチレン含有量の計算からは排除する。
(f)エチレン・プロピレン共重合体部分のエチレン含有量
本発明における成分(A)プロピレン・エチレンブロック共重合体のエチレン・プロピレン共重合体部分のエチレン含有量は、上述で説明した値を用い、次式から求められる。
エチレン・プロピレン共重合体部分のエチレン含有量(重量%)=(W40×A40+W100×A100)/Wc 但し、Wcは先に求めたエチレン・プロピレン共重合体部分の比率(重量%)である。
(7)エチレン・プロピレン共重合体部分の固有粘度[η]copoly
本発明における成分(A)プロピレン・エチレンブロック共重合体におけるエチレン・プロピレン共重合体部分の固有粘度[η]copolyは、次のように求められる。
まず、結晶性プロピレン重合体部分の重合終了後、一部を重合槽よりサンプリングし、該部分の固有粘度[η]homoを測定する。次に、結晶性プロピレン重合体部分を重合した後、エチレン・プロピレン共重合体部分を重合して得られた最終重合物(F)の固有粘度[η]を測定する。この測定は、ウベローデ型粘度計を用いてデカリンを溶媒として温度135℃で行う。[η]copolyは、以下の関係から求める。
[η]=(100−Wc)/100×[η]homo+Wc/100×[η]copoly
2.材料
(1)成分(A)
(A−1):チーグラー系触媒で重合され、結晶性プロピレン重合体部分のMFR(230℃、2.16kg荷重)が520g/10分、ブロック共重合体全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が149g/10分、エチレン・プロピレン共重合体部分のエチレン含量が27重量%、エチレン・プロピレン共重合体部分の固有粘度[η]copolyが、8.0dl/g、エチレン・プロピレン共重合体部分のブロック共重合体全体に対する割合が8重量%の、プロピレン・エチレンブロック共重合体
(A−2):チーグラー系触媒で重合され、結晶性プロピレン重合体部分のMFR(230℃、2.16kg荷重)が50g/10分、ブロック共重合体全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が30g/10分、エチレン・プロピレン共重合体部分のエチレン含量が50重量%、エチレン・プロピレン共重合体部分の固有粘度[η]copolyが、3.1dl/g、エチレン・プロピレン共重合体部分のブロック共重合体全体に対する割合が8重量%の、プロピレン・エチレンブロック共重合体
(A−3):チーグラー系触媒で重合され、結晶性プロピレン重合体部分のMFR(230℃、2.16kg荷重)が160g/10分、ブロック共重合体全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が65g/10分、エチレン・プロピレン共重合体部分のエチレン含量が40重量%、エチレン・プロピレン共重合体部分の固有粘度[η]copolyが、3.6dl/g、エチレン・プロピレン共重合体部分のブロック共重合体全体に対する割合が8重量%の、プロピレン・エチレンブロック共重合体
(2)成分(B)
(B−1):チーグラー系触媒で重合され、重合体全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が0.5g/10分、Mwが580300、Mnが73100、Mw/Mnが7.9のプロピレン重合体
(3)成分(C)
(C−1):MFR(190℃、2.16kg荷重)が35g/10分、密度が0.870g/cm、ブテン含量が27重量%の、エチレン・1−ブテン共重合体(三井化学社製)
(C−2):MFR(190℃、2.16kg荷重)が1540g/10分、密度が0.870g/cm、オクテン含量が40重量%の、エチレン・1−オクテン共重合体(ダウケミカル日本社製)
(C−3):MFR(190℃、2.16kg荷重)が0.5g/10分、密度が0.861g/cm、ブテン含量が33重量%の、エチレン・1−ブテン共重合体(三井化学社製)
(4)成分(D)
(D−1):平均粒径=5.1μm、平均アスペクト比=6の微粉タルク(富士タルク工業社製)
(D−2):平均繊維直径=0.5μm、平均繊維長さ=10μm、真比重=2.3の、塩基性硫酸マグネシウム繊維(ウィスカー状のものを顆粒状に固めたもの)(宇部マテリアルズ社製)
(5)成分(E)
(E−1):ビスコール660−P…軟化点=145℃、密度(20℃)=0.89g/cm、数平均分子量=3000の、低分子量ポリプロピレン(粉末状)(三洋化成工業社製)
(6)成分(F)
(F−1):下記化学構造式(2)で示される化合物…ミラッドNX8000(ミリケン・アンド・カンパニー社製)
Figure 2010077396
(実施例1〜10)
各成分(A)〜成分(F)を表1に示す割合で配合し、下記の条件で造粒し、成形したものについて性能評価を行った。評価結果を表2に示す。
(1)添加剤配合
(a)酸化防止剤:テトラキス{メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン0.1重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト0.05重量部
(b)中和剤:ステアリン酸カルシウム0.05重量部
(2)造粒
(a)押出機:神戸製鋼所社製KCM50型二軸混練押出機
(b)混練温度:210℃
(3)成形
得られた原料ペレットを、以下のように射出成形、評価した。
(a)成形機:物性=東芝機械社製EC20P射出成形機、成形外観=東芝機械社製IS170射出成形機
(b)成形温度:210℃
(c)金型温度:40℃
(比較例1〜6)
各成分(A)〜成分(D)を表1に示す割合で配合し、実施例1〜10と同様に評価を行なった。評価結果を表2に示す。
Figure 2010077396
Figure 2010077396
表1および2に示されるように、本発明の必須構成要件における各規定を満たす、実施例1〜10に示す組成を持ったプロピレン系樹脂組成物およびその成形体は、何れも良好な寸法安定性(低い線膨張係数)、物性バランス(高剛性、高衝撃強度)、成形性(高流動性)、および成形外観(フローマーク外観)を有し、工業部品部材、好ましくは自動車部品、例えばドアトリム、インストルメントパネル、ピラー、バンパー、サイドモール、ドアプロテクター、サイドプロテクター、バックドア、フェンダー、リアゲート、フェンダー付帯部品などのフェンダー周り用各種部品等の自動車部品、とりわけ好ましくはバックドア、フェンダー、リアゲート、フェンダー付帯部品などのフェンダー周り用各種部品等の自動車外装部品等に適する性能を明らかに有していることが分かる。
一方、比較例1〜6に示す組成を持ったプロピレン系樹脂組成物およびその成形体は、これらの性能バランスが不良で見劣りしている。
例えば比較例1において、樹脂組成物の成形性(高流動性)は、実施例1とほぼ同じであるにもかかわらず、寸法安定性(線膨張係数)および成形外観(フローマーク外観)に著しい差異が生じた。これは、成分(A)および成分(B)による、寸法安定性(線膨張係数)および成形外観(フローマーク外観)の向上が著しく、成分(B)が不可欠であることと、成分(A)が本発明の範囲を満たすことが必須であることを示している。
また、比較例4において、樹脂組成物の剛性や成形外観(フローマーク外観)は、実施例5と同様に優れているにもかかわらず、寸法安定性(線膨張係数)および衝撃強度に著しい差異が生じた。これは、本発明の範囲を満たす特性および配合量の成分(C)が、寸法安定性(線膨張係数)および衝撃強度を著しく向上させる点で不可欠であることを示している。
また、比較例5において、樹脂組成物の剛性は、実施例1とほぼ同じであるにもかかわらず、寸法安定性(線膨張係数)および成形性(高流動性)に著しい差異が生じた。これは、成分(C)が本発明の範囲を満たすことが必須であることを示している。
また、比較例6において、樹脂組成物の剛性は、実施例1とほぼ同じであるにもかかわらず、衝撃強度および寸法安定性(線膨張係数)に著しい差異が生じた。これは、本発明の範囲を満たす成分(A)と成分(B)との併用が必須であることを示している。
以上における、各実施例と各比較例の結果からして、本発明の構成と各要件の合理性と有意性が実証され、さらに本発明の従来技術に対する優位性も明らかである。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物およびその成形体は、良好な寸法安定性(低い線膨張係数)、物性バランス(高剛性、高衝撃強度)、成形性(高流動性)、および成形外観(フローマーク外観)を有し、工業部品部材、好ましくは自動車部品、例えばドアトリム、インストルメントパネル、ピラー、バンパー、サイドモール、ドアプロテクター、サイドプロテクター、バックドア、フェンダー、リアゲート、フェンダー付帯部品などのフェンダー周り用各種部品等の自動車部品、とりわけ好ましくはバックドア、フェンダー、リアゲート、フェンダー付帯部品などのフェンダー周り用各種部品等の自動車外装部品に適する性能を有している。

Claims (8)

  1. 下記の成分(A)〜(E)を、成分(A)〜(E)の合計量基準で成分(A)が20〜89重量%、成分(B)が5〜30重量%、成分(C)が5〜30重量%、成分(D)が1〜40重量%、成分(E)が0〜20重量%の割合で含有することを特徴とするプロピレン系樹脂組成物。
    成分(A):メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が500g/10分以上の結晶性プロピレン重合体部分と、エチレン・プロピレン共重合体部分とからなり、この成分全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が100g/10分以上であるプロピレン・エチレンブロック共重合体
    成分(B):メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が7g/10分以下のプロピレン系重合体
    成分(C):メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)が10〜2000g/10分のエチレン・α−オレフィン共重合体
    成分(D):フィラー
    成分(E):軟化点が100℃以上の低分子量ポリオレフィン
  2. 下記の成分(A)〜(F)を、成分(A)〜(F)の合計量基準で成分(A)が20〜89重量%、成分(B)が5〜30重量%、成分(C)が5〜30重量%、成分(D)が1〜40重量%、成分(E)が0〜20重量%、成分(F)が0〜3重量%の割合で含有することを特徴とするプロピレン系樹脂組成物。
    成分(A):メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が500g/10分以上の結晶性プロピレン重合体部分と、エチレン・プロピレン共重合体部分とからなり、この成分全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が100g/10分以上であるプロピレン・エチレンブロック共重合体
    成分(B):メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が7g/10分以下のプロピレン系重合体
    成分(C):メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)が10〜2000g/10分のエチレン・α−オレフィン共重合体
    成分(D):フィラー
    成分(E):軟化点が100℃以上の低分子量ポリオレフィン
    成分(F):造核剤
  3. 成分(A)のプロピレン・エチレンブロック共重合体全体に対するエチレン・プロピレン共重合体部分の割合が5〜30重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  4. 成分(C)のエチレン・α−オレフィン共重合体が複数種であって、その少なくとも1種は、メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)が300g/10分以上のものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  5. 成分(D)のフィラーが複数種であって、その少なくとも1種は、平均繊維直径が1μm以下のウィスカー状のものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  6. 成分(E)の低分子量ポリオレフィンの含有量が1〜20重量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  7. 線膨張係数が4×10−5/℃以下であり、且つ、曲げ弾性率が2000MPa以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のプロピレン系樹脂組成物を射出成形または射出圧縮成形してなる成形体。
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