JP6006058B2 - 自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物および自動車外装部材 - Google Patents

自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物および自動車外装部材 Download PDF

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Description

本発明は、自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物および自動車外装部材に関し、さらに詳しくは、寸法安定性(線膨張係数)、成形性(流動性)、物性バランス(高剛性、高衝撃強度)に優れるとともに、フローマーク及びウエルド外観に優れた、高アスペクト比タルクを含有する自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物および自動車外装部材に関する。
ポリプロピレンは、成形加工しやすく、且つ、剛性、耐熱性、衝撃性、リサイクル性等に優れた熱可塑性樹脂である。そのため、各種工業部品、とりわけバンパー、インストルメントルパネル、ドアトリム等の自動車部品として、広く普及してきており、従来、鉄などの金属材料を使用していた部分にまで、その用途を拡大しようとしている。
しかしながら、ポリプロピレンは、金属材料に比べて、形状自由度が高い反面、寸法安定性が劣り、特に自動車の外板用途などへは、温度変化の大きい屋外で使用されるため、その隙間の品質不良、波打ち等が発生し、車両外観を悪化させてしまう。
また、自動車外板材料等の成形体は、大型化、デザインの複雑化が益々進みつつあり、それに伴い、ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体には、高度な寸法安定性に加え、高い物性バランス(高い剛性、衝撃強度)、高度な成形性(高流動性)、優れたフローマーク及びウエルド外観を、同時に満たすことが求められている。
そこで、従来から、上記寸法安定性を向上させるための方策として、樹脂組成物に、例えば、タルク、炭酸カルシウム、マイカ等を多量に添加することが行われているが、その効果は十分ではない。
そのため、例えば、特許文献1には、ポリプロピレンマトリックス中で、ゴム成分を容易に配向しやすくさせるために、低粘度ゴムを使用することも提案されているが、低粘度ゴム成分の配合により、線膨張係数を抑制できる反面、物性バランスが低下するという問題がある。
また、特許文献2には、共重合粘度の高い結晶性プロピレンブロック共重合体(A)と、Mw/Mnが小さく共重合ゴム含量の多い結晶性プロピレンブロック共重合体(B)とを組み合わせて、使用することが提案されているが、線膨張係数に関する記載はなく、物性バランスに関しても、外板材料に適用するには、不十分である。
すなわち、これらの例が示す様に、従来の自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体においては、高度な寸法安定性に加え、高い物性バランス(高い剛性、衝撃強度)、高度な成形性(高流動性)、優れたフローマーク及びウエルド外観を同時に満たすことが困難であった。
特開2002−249635号公報 特開2011−057789号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、従来のポリプロピレン系樹脂組成物が成し得なかった寸法安定性、物性バランス(剛性、衝撃強度)、成形性、フローマーク及びウエルド外観に優れた自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物および自動車外装部材を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、特に、寸法安定性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物に関して、鋭意検討した結果、特定の構造を有する2種のプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体に、特定の物性を有するエチレン・ブテン共重合体と、特定の構造を有するタルクとを、特定の割合で配合することにより、耐衝撃性と寸法安定性のバランスに優れた自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物とすることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記の成分(A)50〜65重量%と成分(B)35〜50重量%(但し、成分(A)と成分(B)との合計を100重量%とする)に、成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対して、成分(C)35〜55重量部および成分(D)65〜95重量部を含有することを特徴とする自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
成分(A):プロピレン単独重合体部分とプロピレン−α−オレフィン共重合体部分とからなり、以下の条件(A−1)〜(A−5)を満足するプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体
(A−1):成分(A)全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が55〜60g/10分である。
(A−2):プロピレン単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率が98%以上である。
(A−3):プロピレン−α−オレフィン共重合体部分のプロピレン含量が50〜65重量%である。
(A−4):成分(A)のプロピレン−α−オレフィン共重合体部分の重量平均分子量が40万以上80万未満である。
(A−5):成分(A)全体に対するプロピレン−α−オレフィン共重合体部分の割合が5〜10重量%である。
成分(B):プロピレン単独重合体部分とプロピレン−α−オレフィン共重合体部分とからなり、以下の条件(B−1)〜(B−5)を満足するプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体
(B−1):成分(B)全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が100〜120g/10分である。
(B−2):プロピレン単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率が98%以上である。
(B−3):プロピレン−α−オレフィン共重合体部分のプロピレン含量が55〜65重量%である。
(B−4):成分(B)のプロピレン−α−オレフィン共重合体部分の重量平均分子量が120万以上150万未満である。
(B−5):成分(B)全体に対するプロピレン−α−オレフィン共重合体部分の割合が5〜10重量%である。
成分(C):以下の条件(C−1)〜(C−2)を満足するエチレン・ブテン共重合体
(C−1):メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が、3〜8g/10分である。
(C−2):密度が0.860〜0.870g/cmである。
成分(D):以下の条件(D−1)〜(D−2)を満足するタルク
(D−1):レーザー回折法により測定した平均粒径が6〜8μmである。
(D−2):アスペクト比が12〜14である。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記成分(A)は、さらに、以下の条件(A−6)を満足することを特徴とする自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
(A−6):プロピレン単独重合体部分のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が90〜110g/10分である。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、以下の条件(P−1)〜(P−4)を満足することを特徴とする自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
(P−1):自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が30〜35g/10分である。
(P−2):TMA法によって測定される自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物全体の−30〜80℃における線膨張係数が3.0×10−5〜5.0×10−5/℃である。
(P−3):JIS K7171に準拠して測定される自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物全体の曲げ弾性率が3000〜3500MPaである。
(P−4):ISO179(ノッチ付)に準拠して測定される自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物全体のシャルピー衝撃強度が18〜30kJ/mである。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明に係る自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物を使用し、射出成形、圧縮成形及び射出圧縮成形からなる群から選ばれる少なくとも1種の成形加工方法により成形されることを特徴とする自動車外装部材が提供される。
さらに、本発明の第5の発明によれば、第4の発明において、乗用車のサイドパネル用部材であることを特徴とする自動車外装部材が提供される。
本発明の自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物は、上記構成により、バンパー、サイドモール、バックドア、フェンダー等の自動車外装部品を得る際に必要な性能である、寸法安定性(線膨張係数)、成形性(流動性)、物性バランス(高剛性、高衝撃強度)に優れるとともに、フローマーク及びウエルド外観に優れるという顕著な効果を発揮する。
本発明は、成分(A)50〜65重量%と成分(B)35〜50重量%(但し、成分(A)と成分(B)との合計を100重量%とする)に、成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対して、成分(C)35〜55重量部および成分(D)65〜95重量部を含有することを特徴とする自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物および自動車外装部材である。
以下、本発明の自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物の構成成分、該樹脂組成物、その製造や成形、部材等の各項目について、詳細に説明する。
[I]自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物の構成成分
1.成分(A):プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(A)
本発明の自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物(以下、「ポリプロピレン系樹脂組成物」ともいう。)に用いられる成分(A)は、プロピレン単独重合体部分とプロピレン−α−オレフィン共重合体部分とからなり、以下の条件(A−1)〜(A−5)を満足するプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体である。
(A−1):成分(A)全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が55〜60g/10分である。
(A−2):プロピレン単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率が98%以上である。
(A−3):プロピレン−α−オレフィン共重合体部分のプロピレン含量が50〜65重量%である。
(A−4):成分(A)のプロピレン−α−オレフィン共重合体部分の重量平均分子量が40万以上80万未満である。
(A−5):成分(A)全体に対するプロピレン−α−オレフィン共重合体部分の割合が5〜10重量%である。
本発明に用いられる成分(A)のプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体は、プロピレン単独重合体部分とプロピレン−α−オレフィン共重合体部分とからなり、それらを逐次重合して得られるプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体である。
(A−1):成分(A)全体のメルトフローレート
成分(A)のプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体全体のメルトフローレート(以下、MFRと記すことがある。)は、55〜60g/10分である。MFRが55g/10分未満であると、ポリプロピレン系樹脂組成物の成形加工性(流動性)が劣るおそれがあり、一方、60g/10分を超えると、衝撃強度、更には引張り伸び性が低下するおそれがある。
ここで、MFRは、JIS K7210に準拠し、230℃、2.16kg荷重で測定する値であり、以下、本明細書中MFRは、特別に断りが無い限りいずれも同様の方法で測定される値とする。
また、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体全体のMFRは、プロピレン単独重合体部分のMFRとプロピレン−α−オレフィン共重合体部分のMFRとのバランスにより調整、決定される。本発明に使用する成分(A)においては、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分の分子量が後述する成分(B)のプロピレン−α−オレフィン共重合体部分の分子量よりも低いにもかかわらず、成分(A)全体のMFRは、成分(B)全体のMFRよりも低くすることが必須である。成分(A)をこの様なものとする為には、成分(A)のプロピレン単独重合体部分を製造する際に水素濃度を低くしておき、成分(A)のプロピレン単独重合体部分のMFRを低くしておくことによって、成分(A)全体のMFRを成分(B)全体のMFRよりも低くする方法が有効である。
(A−2):プロピレン単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率
また、成分(A)の上記プロピレン単独重合体部分は、アイソタクチックペンタッド分率が98%以上であり、好ましくは98〜99.8%、より好ましくは98〜99.5%である。
アイソタクチックペンタッド分率が98%未満であると、剛性が低下し、不具合を生じるおそれがある。
ここで、アイソタクチックペンタッド分率は、同位体炭素による核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を使用して測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック分率である。すなわち、アイソタクチックペンタッド分率は、プロピレンモノマー単位が5個連続してアイソタクチック結合したプロピレン単位の分率である。具体的には、13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中mmmmピークの強度分率をもってアイソタクチックペンタッド単位を測定する。
また、アイソタクチックペンタッド分率は、プロピレン単独重合体部分の重合時の温度や使用する触媒の種類によって、調整することができる。
(A−3):プロピレン−α−オレフィン共重合体部分のプロピレン含量
また、成分(A)の上記プロピレン−α−オレフィン共重合体部分のプロピレン含量が50〜65重量%、すなわち、α−オレフィン含量が35〜50重量%である。プロピレン含量が50重量%未満、すなわち、α−オレフィン含量が50重量%を超えると、衝撃強度が低下するおそれがある。一方、プロピレン含量が65重量%を超えると、すなわち、α−オレフィン含量が35重量%未満であると、同じく衝撃強度が低下するおそれがある。
なお、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分のプロピレン含量は、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分の重合時のα−オレフィンとプロピレンの組成比の制御により、調整することができる。
(A−4):成分(A)のプロピレン−α−オレフィン共重合体部分の重量平均分子量
また、成分(A)のプロピレン−α−オレフィン共重合体部分の重量平均分子量が40万以上80万未満である。後述の通り、フローマーク改善のために、成分(B)の重量平均分子量は、高めに規定されている。しかしながら、このように重量平均分子量が高めになると、樹脂組成物の流動性が悪くなり、成形性の悪化につながる場合がある。成分(A)の重量平均分子量を、このように成分(B)よりも低めに規定することにより、樹脂組成物全体の流動性悪化を防ぎ、良好な成形性を保つことが可能となる。
(A−5):プロピレン−α−オレフィン共重合体部分の割合
また、成分(A)全体に対するプロピレン−α−オレフィン共重合体部分の割合が5〜10重量%であり、すなわち、成分(A)全体に対するプロピレン単独重合体部分の割合が90〜95重量%である。プロピレン−α−オレフィン共重合体部分の割合が5重量%未満であると、衝撃強度が低下するおそれがあり、一方、10重量%を超えると、剛性が低下するおそれがある。
尚、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分の割合や、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分のプロピレン含量は、クロス分別装置やFT−IR等を用いて測定される値であり、その測定条件等は、例えば、特開2008−189893号公報に記載されている。
さらに、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物において、成分(A)の含有割合は、成分(A)と後述する成分(B)との合計を100重量%とすると、50〜65重量%、好ましくは55〜60重量%である。成分(A)の含有量が50重量%未満では、ポリプロピレン系樹脂組成物のウエルド外観等が不足となるおそれがあり、一方、65重量%を超えると、フローマーク及び衝撃強度と剛性のバランスが悪くなるおそれがある。
成分(A)の製造方法に関して、成分(A)は、プロピレン単独重合体の存在下、プロピレンとα−オレフィンを、ランダム共重合したプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体である。プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体は、プロピレン単独重合体部分とプロピレン−α−オレフィン共重合体部分との反応混合物であり、プロピレン単独重合体部分の重合(前段重合)後、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合部分の重合(後段重合)を行うことにより製造できる。
上記重合に用いられる触媒としては、特に限定されるものではなく、公知の触媒が使用可能である。例えば、チタン化合物と有機アルミニウムを組み合わせた、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒、あるいは、メタロセン触媒(例えば、特開平5−295022号公報参照。)が使用できる。チーグラー・ナッタ触媒は、チタン化合物として有機アルミニウム等で還元して得られた三塩化チタンまたは三塩化チタン組成物を電子供与性化合物で処理し更に活性化したもの(例えば、特開昭47−34478号公報、特開昭58−23806号公報、特開昭63−146906号公報参照。)、塩化マグネシウム等の担体に四塩化チタンを担持させることにより得られるいわゆる担持型触媒(例えば、特開昭58−157808号公報、特開昭58−83006号公報、特開昭58−5310号公報、特開昭61−218606号公報参照。)等が含まれる。
また、助触媒として使用される有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライドなどのアルキルアルミニウムハライド、ジエチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムエトキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド、メチルアルモキサン、テトラブチルアルモキサンなどのアルモキサン、メチルボロン酸ジブチル、リチウムアルミニウムテトラエチルなどの複合有機アルミニウム化合物などが挙げられる。また、これらを2種類以上混合して使用することも可能である。
また、上述の触媒には、立体規則性改良や粒子性状制御、可溶性成分の制御、分子量分布の制御等を目的とする各種重合添加剤を使用することができる。例えば、ジフェニルジメトキシシラン、tert−ブチルメチルジメトキシシランなどの有機ケイ素化合物、酢酸エチル、安息香酸ブチル、p−トルイル酸メチル、ジブチルフタレートなどのエステル類、アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテルなどのエーテル類、安息香酸、プロピオン酸などの有機酸類、エタノール、ブタノールなどのアルコール類等の電子供与性化合物を挙げることができる。
重合形式としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン若しくはトルエン等の不活性炭化水素を重合溶媒として用いるスラリー重合、プロピレン自体を重合溶媒とするバルク重合、また、原料のプロピレンを気相状態下で重合する気相重合が可能である。また、いずれの重合形式を組み合わせて行うことも可能である。例えば、プロピレン単独重合体部分をバルク重合で行い、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分を気相重合で行う方法や、プロピレン単独重合体部をバルク重合、続いて気相重合で行い、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分は、気相重合で行う方法などが挙げられる。
また、重合形式として、回分式、連続式、半回分式のいずれによってもよい。
さらに、重合用の反応器としては、特に形状、構造を問わないが、スラリー重合、バルク重合で一般に用いられる攪拌機付き槽や、チューブ型反応器、気相重合に一般に用いられる流動床反応器、攪拌羽根を有する横型反応器などが挙げられる。
気相重合において、プロピレン単独重合体部の重合工程は、プロピレン、連鎖移動剤として水素を供給して、前記触媒の存在下に、温度0〜100℃、好ましくは30〜90℃、特に好ましくは40〜80℃、プロピレンの分圧0.6〜4.2MPa、好ましくは1.0〜3.5MPa、特に好ましくは1.5〜3.0MPa、滞留時間は0.5〜10時間で行う。プロピレン単独重合体部には、本発明の効果を損なわない範囲で、プロピレン以外のα−オレフィン、例えばα−オレフィンがエチレンの場合は7重量%以下のエチレンが共重合されていても構わない。
本発明に使用するプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(成分(A))のプロピレン単独重合体部分は、成分(A)全体のMFRを満たす範囲で、触媒の種類にもよるが、連鎖移動剤の水素は、水素/プロピレン比で5×10−3〜0.2で行う。
プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(成分(A))を製造する際は、引き続いて、即ち前段重合工程で製造されたプロピレン単独重合体部の存在下、後段重合工程で、プロピレン、α−オレフィンとして例えばエチレンと水素を供給して、前記触媒(前記プロピレン単独重合体部の製造に使用した当該触媒)の存在下に0〜100℃、好ましくは30〜90℃、特に好ましくは40〜80℃、プロピレン及びエチレンの分圧各0.1〜2.0MPa、好ましくは0.5〜2.0MPa、滞留時間は0.5〜10時間の条件で、プロピレンとエチレンのランダム共重合を行い、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分を製造し、最終的な生成物として、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(成分(A))を得る。プロピレン−α−オレフィン共重合体部分には、本発明の効果を損なわない範囲でプロピレン、エチレン以外のα−オレフィンが共重合されていても構わない。
また、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(成分(A))は、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分の重量平均分子量が比較的小さいことを特徴とするため、プロセス、触媒の種類にもよるが、連鎖移動剤の水素を比較的高い濃度に調整し、重量平均分子量をコントロールする必要がある。具体的には、水素/(プロピレン+エチレン)比で、0.01〜0.8で行う。また、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分(ゴム成分)中のα−オレフィン含量を特定の範囲内に維持するため、後段のプロピレン濃度に対するα−オレフィン濃度を調整する。
さらに、ゲル発生やベタツキを抑えるために、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分の反応中あるいは反応前に、エタノールなどのアルコール類を添加することが望ましい。具体的には、アルコール類/有機アルミニウム化合物の比で、0.5〜3.0モル比の条件で行う。また、このアルコール類の添加量でプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(成分(A))中のプロピレン−α−オレフィン共重合体部分の割合も、コントロールすることができる。
また、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(成分(A))は、各社から種々の市販品が上市されているので、これら市販品の物性を測定して、所望のものを用いることもできる。
2.成分(B):プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(B)
本発明の自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物に用いられる成分(B)は、プロピレン単独重合体部分とプロピレン−α−オレフィン共重合体部分とからなり、以下の条件(B−1)〜(B−5)を満足するプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体である。
(B−1):成分(B)全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が100〜120g/10分である。
(B−2):プロピレン単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率が98%以上である。
(B−3):プロピレン−α−オレフィン共重合体部分のプロピレン含量が55〜65重量%である。
(B−4):成分(B)のプロピレン−α−オレフィン共重合体部分の重量平均分子量が120万以上150万未満である。
(B−5):成分(B)全体に対するプロピレン−α−オレフィン共重合体部分の割合が5〜10重量%である。
本発明に用いられる成分(B)のプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体は、プロピレン単独重合体部分とプロピレン−α−オレフィン共重合体部分とからなり、それらを逐次重合して得られるプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体である。
(B−1):成分(B)全体のメルトフローレート(MFR)
成分(B)のプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体全体のMFRは、100〜120g/10分である。MFRが100g/10分未満であると、ポリプロピレン系樹脂組成物の成形加工性(流動性)が劣るおそれがあり、一方、120g/10分を超えると、衝撃強度、更には引張り伸び性が低下するおそれがある。
また、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体全体のMFRは、プロピレン単独重合体部分のMFRとプロピレン−α−オレフィン共重合体部分のMFRとのバランスにより調整、決定される。本発明に使用する成分(B)においては、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分の分子量が前述の成分(A)のプロピレン−α−オレフィン共重合体部分の分子量よりも高いにもかかわらず、成分(B)全体のMFRは成分(A)全体のMFRよりも高くすることが必須である。成分(B)をこの様なものとする為には、成分(B)のプロピレン単独重合体部分を製造する際に水素濃度を高くしておき、成分(B)のプロピレン単独重合体部分のMFRを高くしておくことによって、成分(B)全体のMFRを成分(A)全体のMFRよりも高くする方法が有効である。
(B−2):プロピレン単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率
また、成分(B)の上記プロピレン単独重合体部分は、アイソタクチックペンタッド分率が98%以上であり、好ましくは98〜99.8%、より好ましくは98〜99.5%である。
アイソタクチックペンタッド分率が98%未満であると、剛性が低下し、不具合を生じるおそれがある。
ここで、アイソタクチックペンタッド分率の定義や測定方法は、成分(A)の場合と同じである。
また、アイソタクチックペンタッド分率は、プロピレン単独重合体部分の重合時の温度や使用する触媒の種類によって、調整することができる。
(B−3):プロピレン−α−オレフィン共重合体部分のプロピレン含量
また、成分(B)の上記プロピレン−α−オレフィン共重合体部分のプロピレン含量が50〜65重量%、すなわち、α−オレフィン含量が35〜50重量%である。プロピレン含量が50重量%未満、すなわち、α−オレフィン含量が50重量%を超えると、衝撃強度が低下するおそれがある。一方、プロピレン含量が65重量%を超えると、すなわち、α−オレフィン含量が35重量%未満であると、同じく衝撃強度が低下するおそれがある。
なお、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分のプロピレン含量は、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分の重合時のα−オレフィンとプロピレンの組成比の制御により、調整することができる。
(B−4):成分(B)のプロピレン−α−オレフィン共重合体部分の重量平均分子量
また、成分(B)のプロピレン−α−オレフィン共重合体部分の重量平均分子量が120万以上150万未満である。成分(B)の重量平均分子量を、この様に高めに規定することにより、フローマークの発生が少ない、良好な樹脂組成物を得ることが可能となる。
(B−5):プロピレン−α−オレフィン共重合体部分の割合
また、成分(B)全体に対するプロピレン−α−オレフィン共重合体部分の割合が5〜10重量%であり、すなわち、成分(B)全体に対するプロピレン単独重合体部分の割合が90〜95重量%である。プロピレン−α−オレフィン共重合体部分の割合が5重量%未満であると、衝撃強度が低下するおそれがあり、一方、10重量%を超えると、剛性が低下するおそれがある。
尚、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分の割合や、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分のプロピレン含量は、クロス分別装置やFT−IR等を用いて測定される値であり、その測定条件等は、例えば、特開2008−189893号公報に記載されている。
さらに、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物において、成分(B)の含有割合は、成分(A)と成分(B)との合計を100重量%とすると、35〜50重量%、好ましくは40〜45重量%である。成分(B)の含有量が35重量%未満では、衝撃強度と剛性のバランスが悪くなるおそれがあり、また、フローマークのバランスが悪くなるおそれがあり、一方、50重量%を超えると、ポリプロピレン系樹脂組成物のウエルド外観等が悪化するおそれがある。
成分(B)の製造方法に関して、成分(B)は、プロピレン単独重合体の存在下、プロピレンとα−オレフィンを、ランダム共重合したプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体である。プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体は、プロピレン単独重合体部分とプロピレン−α−オレフィン共重合体部分との反応混合物であり、プロピレン単独重合体部分の重合(前段重合)後、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合部分の重合(後段重合)を行うことにより製造できる。
上記重合に用いられる触媒としては、特に限定されるものではなく、公知の触媒が使用可能である。例えば、チタン化合物と有機アルミニウムを組み合わせた、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒、あるいは、メタロセン触媒(例えば、特開平5−295022号公報参照。)が使用できる。分子量が高い、高粘度のプロピレン・エチレンランダム共重合体成分がフローマークを改良させる効果があるため、一般的に、重合時連鎖移動の少ないチーグラー・ナッタ触媒がより好ましい。チーグラー・ナッタ触媒は、チタン化合物として有機アルミニウム等で還元して得られた三塩化チタンまたは三塩化チタン組成物を電子供与性化合物で処理し、更に活性化したもの(例えば特開昭47−34478号公報、特開昭58−23806号公報、特開昭63−146906号公報参照。)、塩化マグネシウム等の担体に四塩化チタンを担持させることにより得られるいわゆる担持型触媒(例えば、特開昭58−157808号公報、特開昭58−83006号公報、特開昭58−5310号公報、特開昭61−218606号公報参照。)等が含まれる。
また、助触媒として使用される有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライドなどのアルキルアルミニウムハライド、ジエチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムエトキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド、メチルアルモキサン、テトラブチルアルモキサンなどのアルモキサン、メチルボロン酸ジブチル、リチウムアルミニウムテトラエチルなどの複合有機アルミニウム化合物などが挙げられる。また、これらを2種類以上混合して使用することも可能である。
また、上述の触媒には、立体規則性改良や粒子性状制御、可溶性成分の制御、分子量分布の制御等を目的とする各種重合添加剤を使用することができる。例えば、ジフェニルジメトキシシラン、tert−ブチルメチルジメトキシシランなどの有機ケイ素化合物、酢酸エチル、安息香酸ブチル、p−トルイル酸メチル、ジブチルフタレートなどのエステル類、アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテルなどのエーテル類、安息香酸、プロピオン酸などの有機酸類、エタノール、ブタノールなどのアルコール類等の電子供与性化合物を挙げることができる。
重合形式としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン若しくはトルエン等の不活性炭化水素を重合溶媒として用いるスラリー重合、プロピレン自体を重合溶媒とするバルク重合、また、原料のプロピレンを気相状態下で重合する気相重合が可能である。また、いずれの重合形式を組み合わせて行うことも可能である。例えば、結晶性プロピレン重合体をバルク重合で行い、プロピレン・エチレンランダム共重合体を気相重合で行う方法や、結晶性プロピレン重合体をバルク重合、続いて気相重合で行い、プロピレン・エチレンランダム共重合体は、気相重合で行う方法などが挙げられる。本発明の成分(B)は、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体全体のMFRが高いことを特徴とするため、高水素濃度での運転が可能なスラリー重合または気相重合で行うのが好ましい。
また、重合形式として、回分式、連続式、半回分式のいずれによってもよい。重合用の反応器としては、特に形状、構造を問わないが、スラリー重合、バルク重合で一般に用いられる攪拌機付き槽や、チューブ型反応器、気相重合に一般に用いられる流動床反応器、攪拌羽根を有する横型反応器などが挙げられる。
気相重合においては、プロピレン単独重合体部分の重合工程は、プロピレン、連鎖移動剤として水素を供給して、前記触媒の存在下に温度50〜100℃、好ましくは70〜90℃、プロピレンの分圧1.5〜3.0MPa、好ましくは1.5〜2.5MPaの条件で、滞留時間は0.5〜6時間、好ましくは2〜4時間で行う。結晶性プロピレン重合体部分には、本発明の効果を損なわない範囲で、プロピレン以外のα−オレフィンが共重合されていても構わない。本発明の成分(B)は、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体全体のMFRが高いことを特徴とするため、触媒の種類にもよるが、連鎖移動剤の水素を比較的高い濃度に調整し、コントロールする必要がある。具体的には、水素/プロピレン比で0.04〜0.1で行う。
成分(B)として、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体を製造する際は、引き続いて、即ち前段重合工程で製造されたプロピレン単独重合体の存在下、後段重合工程で、プロピレン、α−オレフィンとして例えばエチレンと水素を供給して、前記触媒(前記結晶性プロピレン重合体部分の製造に使用した当該触媒)の存在下に40〜90℃、好ましくは50〜80℃、プロピレン及びエチレンの分圧各0.1〜2.0MPa、好ましくは0.1〜1.5MPaの条件で、プロピレンとエチレンのランダム共重合を行い、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分を製造し、最終的な生成物として、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体を得る。プロピレン・エチレンランダム共重合体部分には、本発明の効果を損なわない範囲で、プロピレン、エチレン以外のα−オレフィンが共重合されていても構わない。
また、本発明のプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(成分(B))においては、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分の重量平均分子量が大きいことを特徴とするため、プロセス、触媒の種類にもよるが、連鎖移動剤の水素をなるべく低い濃度に調整し、重量平均分子量をコントロールする必要がある。具体的には、水素/(プロピレン+エチレン)比で、10−5〜10−4で行う。また、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分(ゴム成分)中のα−オレフィン含量を特定の範囲内に維持するため、後段のプロピレン濃度に対するα−オレフィン濃度を調整する。
プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の反応中あるいは、反応前に、エタノールなどのアルコール類を添加することが望ましい。本発明のプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(成分(B))においては、プロピレン単独重合体部分とプロピレン−α−オレフィン共重合体部分のMFR格差(粘度格差)が大きいことに特徴があるため、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分の分散不良であるゲルが発生することが多い。アルコール類を一定量添加することで、このゲルを抑制する効果があるため、なるべくアルコール類を多く装入し、ゲルをコントロールする必要がある。具体的には、アルコール類/有機アルミニウム化合物の比で、0.5〜2.0モル比、好ましくは1.0〜1.5モル比の条件で行う。また、このアルコール類の添加量で成分(B)中のプロピレン−α−オレフィン共重合体割合もコントロールすることができる。
また、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(成分(B))は、各社から種々の市販品が上市されているので、これら市販品の物性を測定して、所望のものを用いることもできる。
3.成分(C):エチレン・ブテン共重合体
本発明の自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物に用いられる成分(C)は、以下の条件(C−1)〜(C−2)を満足するエチレン・ブテン共重合体である。
(C−1):メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が3〜8g/10分である。
(C−2):密度が0.860〜0.870g/cmである。
本発明に用いられる成分(C)のエチレン・ブテン共重合体は、エチレンと1−ブテンとのランダム共重合体であり、ゴム的な性質を有する重合体(エラストマー)であるが、メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が3〜8g/10分であることが必要である。該MFRが3g/10分未満であると、線膨張係数が悪化するおそれがある。一方、該MFRが8g/10分より大きいと、機械物性のバランスが悪化するおそれがある。
また、成分(C)のエチレン・ブテン共重合体は、密度が0.860〜0.870g/cmである。密度が0.860g/cm未満であると、剛性が低下するおそれがある。一方、密度が0.870g/cmを超えると、寸法安定性および機械物性バランスが悪化するおそれがある。
本発明においては、成分(C)は、エチレン・ブテン共重合体であって、主に、低線膨張係数と高衝撃性に寄与し、また、これは、他の成分(D)などとの相乗効果により、高い寸法安定性(低い線膨張係数)と高度な物性バランス(高剛性、高衝撃強度)に優れるポリプロピレン系樹脂組成物となるものと考えられる。
(1)製造法
本発明に用いられる成分(C)の製造法は、特に限定されず、メタロセン系触媒、バナジウム系触媒やチーグラー系触媒などを用いて、重合することができる。
重合法としては、触媒成分と各モノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式の方法を採用することができる。具体的には、これらの触媒の存在下でのスラリー法、気相流動床法や溶液法、あるいは圧力が200kg/cm以上、重合温度が100℃以上での高圧バルク重合法等の製造プロセスを適用して重合することができる。好ましい製造法としては、高圧バルク重合法や溶液法が挙げられる。
成分(C)の具体例としては、例えば、エチレン・ブテン共重合体(EBR)であり、エチレン系ゴム、エラストマー、プラストマーなどと称されることもある。形状としては、ペレット状、クラム状、顆粒状等が挙げられるが、特に限定されず、用いることができる。
本発明において、成分(C)は、1種類に限定されるものではなく、密度、MFRなどの異なる2種類以上の混合物の使用であってもよい。市販品を例示すれば、三井化学社製タフマーAシリーズなどを挙げることができる。特に好ましくは三井化学社製タフマーA4050S(エチレン・ブテン共重合体、密度864g/cm、MFR(230℃)=6.7g/10分)が挙げられる。
(2)配合量比
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物における成分(C)の配合割合は、前記成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対して、成分(C)35〜55重量部であり、好ましくは40〜50重量部である。成分(C)の配合割合が、35重量部未満であると、ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体の線膨張係数が高くなり、また、衝撃強度が低下するおそれがあり、一方、55重量部を超えると、剛性が低下するおそれがある。
なお、成分(C)は、前述の特性の範囲内であれば、二種以上併用してもよい。
4.成分(D):タルク
本発明の自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物に用いられる成分(D)は、以下の条件(D−1)〜(D−2)を満足するタルクである。
(D−1):レーザー回折法により測定した平均粒径が6〜8μmである。
(D−2):アスペクト比が12〜14である。
本発明に用いられる成分(D)のタルクは、レーザー回折法により測定した平均粒径が6〜8μmで、かつアスペクト比が12〜14であることが必要である。成分(D)は、ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体の寸法安定性の向上(線膨張係数の低減)、剛性を中心とした物性バランスの向上などの目的で用いられるが、本発明においては、タルクが上記特性を満足するものであり、これは他の成分(C)などとの相乗効果により、高い寸法安定性(低い線膨張係数)と高度な物性バランス(高剛性、高衝撃強度)に、優れるポリプロピレン系樹脂組成物となるものと考えられる。
(1)形状等
成分(D)のタルク形状については、レーザー回折法により測定した平均粒径が6〜8μm、かつアスペクト比が12〜14であれば、他に特に制限はなく、粒状、板状、棒状、繊維状、ウィスカー状など、いずれの形状のものも使用することができる。また、ポリマー用フィラーとして市販されているものも使用できる。
成分(D)のタルクは、レーザー回折法により測定した平均粒径が6〜8μmであることが必要である。平均粒径が6μmより小さい、及び、8μmより大きいと、機械物性バランス(特に衝撃強度)が悪化するおそれがある。
また、成分(D)のタルクは、アスペクト比が12〜14であることが必要である。アスペクト比が12より小さいと、剛性の低下および線膨張係数が高くなるおそれがあり、14より大きいと、機械物性バランス(特に衝撃強度)が悪化するおそれがある。
なお、本明細書において、タルクのアスペクト比は、タルクの長辺と短辺の比率を表した値であって、顕微鏡等によりアスペクト比の大きいタルクを10個選択し、測定された値より求められるものである。
また、本明細書において、タルクの平均粒径は、レーザー回折散乱方式粒度分布計等によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を意味し、測定装置としては、例えば、堀場製作所LA−920型が挙げられる。
成分(D)のタルクは、上記特性を満たすものであれば、二種以上のタルクの混合物であってもよい。
成分(D)の製造方法は、特に限定されたものではなく、公知の各種製造方法等にて製造される。タルクの場合、その原石を衝撃式粉砕機やミクロンミル型粉砕機で粉砕して製造したり、更にジェットミルなどで粉砕した後、サイクロンやミクロンセパレータ等で分級調整する等の方法で製造する。具体的には、成分(D)のタルクのアスペクト比、及び平均粒径は、粉砕時間により調整することができる。
これらは、一般的な粉末状やロービング状の他に、取り扱いの利便性等を高めた、チョップドストランド状、圧縮魂状、ペレット(造粒)状、顆粒状等の形態で製造されることが多いが、いずれも使用することができる。なかでも粉末状、圧縮魂状、顆粒状が好ましい。
成分(D)は、有機チタネート系カップリング剤、有機シランカップリング剤、不飽和カルボン酸、又はその無水物をグラフトした変性ポリオレフィン、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル等によって表面処理したものを用いてもよく、また、二種以上併用して表面処理してもよい。
(2)配合量比
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物における成分(D)の配合割合は、前記成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対して、成分(D)65〜95重量部であり、好ましくは70〜90重量部である。成分(D)の配合割合が、65重量部未満であると、ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体の寸法安定性が低下し(線膨張係数が高くなり)、また、剛性が低下し、一方、95重量部を超えると、成形品の外観品質が悪化するおそれがある。なお、成分(D)は、二種以上のタルクを併用してもよい。
5.任意添加成分
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物においては、上記成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)以外に、さらに必要に応じ、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、たとえば所期の効果をさらに向上させたり、他の性能・効果を付与するため、任意添加成分を配合することができる。任意添加成分の添加量としては、ポリプロピレン系樹脂組成物全体を基準として、0.2〜2.0重量%である。
任意添加成分として具体的には、非イオン系などの帯電防止剤、ヒンダードアミン系などの光安定剤、ベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤、物理発泡剤などの発泡剤、有機金属塩系などの分散剤、顔料などの着色剤、フェノール系などの酸化防止剤、無機化合物などの中和剤、脂肪酸アミド系などの滑剤、窒素化合物などの金属不活性剤、非イオン系などの界面活性剤、チアゾール系などの抗菌・防黴剤、ハロゲン化合物などの難燃剤、蛍光増白剤、気泡防止(消泡)剤、架橋剤、過酸化物、プロセスオイル(配合油)、ブロッキング防止剤、可塑剤、上記成分(A)、(B)以外のポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミドやポリエステルなどの熱可塑性樹脂、上記成分(D)以外のフィラー、上記成分(C)以外のエラストマー(ゴム様重合体)、その他添加剤などを挙げることができる。これらの成分は、二種以上併用してもよく、組成物に添加してもよいし、各成分に添加されていてもよく、それぞれの成分においても二種以上併用してもよい。
帯電防止剤、中でも非イオン系やカチオン系などの帯電防止剤は、ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体の帯電防止性の付与、向上に有効であり、その具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルアミン;ポリオキシエチレンアルキルアミド;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;ステアリン酸モノグリセリド;アルキルジエタノールアミン;アルキルジエタノールアミド;アルキルジエタノールアミン脂肪酸モノエステル;テトラアルキルアンモニウム塩などが挙げられる。
光安定剤や紫外線吸収剤としては、例えば、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系の化合物などが挙げられ、これらはポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体の耐候性や耐久性などの付与、向上に有効である。
これらの具体例として、ヒンダードアミン系には、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの縮合物;ポリ〔〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕;テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート;テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート;ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート;ビス−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルセバケートなどが、ベンゾトリアゾール系には、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどが、ベンゾフェノン系には、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン;2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンなどが、サリシレート系には、4−t−ブチルフェニルサリシレート;2,4−ジ−t−ブチルフェニル3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエートなどがそれぞれ挙げられる。
発泡剤としては、例えば、物理発泡剤や化学発泡剤などが挙げられ、これらは、ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体の軽量化、剛性や寸法特性などの付与、向上などに有効である。
これらの具体例としては、物理発泡剤には、炭酸ガス;窒素ガス;空気;プロパン;ブタン;ジクロロジフルオロメタンなどが、化学発泡剤には、クエン酸;重曹;アゾジカルボンアミド;ベンゼンスルホニルヒドラジド;トルエンスルホニルヒドラジド;N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド;P−トルエンスルホニルセミカルバジドなどがそれぞれ挙げられる。
分散剤としては、例えば、有機金属塩などが挙げられ、無機フィラーや着色顔料などの分散性を高め、ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体の剛性、耐熱性、ウエルド外観、フローマーク外観、風合いなどの付与、向上などに有効である。
その具体例としては、ステアリン酸カルシウム;ステアリン酸マグネシウム;ベヘン酸カルシウム;ベヘン酸マグネシウム;ベヘン酸亜鉛;モンタン酸亜鉛;モンタン酸カルシウム;モンタン酸マグネシウムなどが挙げられる。
着色剤としては、例えば、無機系や有機系の顔料などが挙げられ、ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体の着色外観、見映え、風合い、商品価値、耐候性や耐久性などの付与、向上などに有効である。
その具体例としては、無機系顔料には、酸化チタン;酸化鉄(ベンガラ等);クロム酸(黄鉛など);モリブデン酸;硫化セレン化物;フェロシアン化物およびカーボンブラックなどが、有機系顔料には、難溶性アゾレーキ;可溶性アゾレーキ;不溶性アゾキレート;縮合性アゾキレート;その他のアゾキレートなどのアゾ系顔料;フタロシアニンブルー;フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料;アントラキノン;ペリノン;ペリレン;チオインジゴなどのスレン系顔料;染料レーキ;キナクリドン系;ジオキサジン系;イソインドリノン系などがそれぞれ挙げられる。また、メタリック調やパール調にするには、アルミフレーク;パール顔料を含有させることができる。また、染料を含有させることもできる。
[II]自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物の特性、製造
1.特性
本発明の自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物は、上記成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、さらに必要に応じ、上記任意添加成分を上記配合割合で配合したものであって、下記の特性または条件(P−1)〜(P−4)をすべて同時に満足することが好ましい。
(P−1):自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が30〜35g/10分である。
(P−2):TMA法によって測定される自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物全体の−30〜80℃における線膨張係数が3.0×10−5〜5.0×10−5/℃である。
(P−3):JIS K7171に準拠して測定される自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物全体の曲げ弾性率が3000〜3500MPaである。
(P−4):ISO179(ノッチ付)に準拠して測定される自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物全体のシャルピー衝撃強度が18〜30kJ/mである。
(1)(P−1):MFR
本発明の自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物は、メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が30〜35g/10分であることが好ましい。該MFRが30g/10分未満であると、ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体の成形性(高流動性)が悪化するおそれがある。一方、該MFRが35g/10分より大きいと、機械物性バランスが悪化するおそれがある。
また、本明細書において、MFRは、上記したとおり、JIS K7210に準拠し、230℃、2.16kg荷重で測定する値である。
(2)(P−2):線膨張係数
本発明の自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物は、線膨張係数(/℃)が3.0×10−5〜5.0×10−5/℃の範囲であることが好ましい。該線膨張係数が上記の範囲外であると、ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体の寸法安定性が十分であるとは言えない。
また、本明細書において、線膨張係数は、JIS K7197に準拠して、TMA(熱機械分析)法によって、−30〜80℃の温度範囲にて測定した値である。
(3)(P−3):曲げ弾性率
本発明の自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物は、曲げ弾性率(23℃)が3000〜3500MPaであることが好ましい。該曲げ弾性率が3000MPa未満であると、ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体の剛性が十分であるとは言えない。一方、該曲げ弾性率が3500MPaより大きいと、衝撃値が低下するおそれがある。
また、本明細書において、曲げ弾性率は、JIS K7171に準拠して測定される値である。
(4)(P−4):シャルピー衝撃強度
本発明の自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物は、ISO179(23℃、ノッチ付)に準拠して測定されるシャルピー衝撃強度が18〜30kJ/mであることが好ましい。該シャルピー衝撃強度が18kJ/m未満であると、ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体の機械的物性が十分であるとは言えない。一方、該シャルピー衝撃強度が30kJ/mを超えると、剛性が悪化するおそれがある。
また、本明細書において、シャルピー衝撃強度は、ISO179(23℃、ノッチ付)に準拠して、測定される値である。
2.製造、成形
本発明の自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物は、上記成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、さらに必要に応じ、上記任意添加成分を上記配合割合で配合して、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダ−プラストグラフ、ニーダー等通常の混練機を用いて混練・造粒することによって製造される。
この場合、各成分の分散を良好にすることができる混練・造粒方法を選択することが望ましく、通常は二軸押出機が用いられる。この混練・造粒の際には、上記各成分の配合物を同時に混練してもよいし、また、性能向上を図るべく、各成分を分割、例えば、先ず成分(A)、成分(B)および成分(C)、(D)の一部または全部を混練し、その後に残りの成分を混練・造粒することもできる。
ポリプロピレン系樹脂組成物の成形は、射出成形(ガス射出成形も含む)または射出圧縮成形(プレスインジェクション、ホットフロースタンピング成形、ガス射出圧縮成形も含む)により行われるのが好ましく、その場合、射出成形や射出圧縮成形の技術と、いわゆる発泡成形技術や膨張成形技術とを組み合わせて所望の成形体を得ることもできる。
ポリプロピレン系樹脂組成物の成形には、また、必要に応じて、中空成形、押出成形、圧縮(プレス)成形、発泡(膨張)成形、シート成形、熱成形、スタンピング成形、粉末成形などの種々の成形法を適用することもでき、それにより所望の成形体を得ることもできる。
[III]自動車外装部材
本発明の自動車外装部材は、上記の本発明の自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物を、例えば、射出成形(ガス射出成形も含む)、射出圧縮成形(プレスインジェクション)等の周知の成形方法にて、成形することによって得ることができる。
本発明の自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物は、前述したように、寸法安定性(線膨張係数)、成形性(流動性)、物性バランス(高剛性、高衝撃強度)に優れるとともに、フローマーク及びウエルド外観に優れるという顕著な効果を発揮するために、バンパー、サイドモール、バックドア、フェンダー等の自動車用外装部材として、実用に十分な性能を有している。
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
なお、実施例で用いた物性測定、評価、分析の各法および材料等は以下の通りである。
1.物性測定、評価方法、分析方法
(1)MFR:
JIS K7210に準拠し、230℃、2.16kg荷重で測定し、下記基準で判定した(単位はg/10分)。
○:30以上、35以下。
△:27以上30未満、35より大きく38以下。
×:上記以外。
(2)曲げ弾性率:
JIS K7171に準拠して、以下の試験条件で測定し、下記基準で判定した(単位はMPa)。
(a)試験片:厚さ4.0mm、幅10.0mm、長さ80mm
(b)試験条件:試験温度=23℃、支点間距離=64mm、試験速度=2.0mm/分
○:2500以上3000以下。
△:2000以上2500未満、3000より大きく3500以下。
×:上記以外。
(3)シャルピー衝撃強度:
ISO179(ノッチ付)に準拠して、以下の試験条件で測定し、下記基準で判定した(単位はkJ/m)。
(a)試験片:ノッチ付き(ノッチ半径0.25mm)、厚さ4.0mm、幅10.0mm、長さ80.0mm
(b)試験条件:試験温度=23℃
○:20以上30以下。
△:15以上20未満、30より大きく35以下。
×:上記以外。
(4)線膨張係数:
JIS K7197(測定範囲−30℃〜80℃)に準拠し、TMA(熱機械分析)法により測定し、下記基準で判定した(単位は、×10−5/℃)。
試験片=10mm×10mm×3mm…射出成形にて調製。
昇温速度=2℃/分、荷重=4kPa、測定範囲=−30℃〜80℃
ここで、線膨張係数が小さいと、寸法安定性が優れていると言える。
○:3以上5以下。
△:2以上3未満、5より大きく6以下。
×:上記以外。
(5)フローマーク:
型締め圧170トンの射出成形機で、短辺に幅30mmで厚み0.8mmのファンゲートをもつ金型を用いて、350mm×105mm×2mmtなる成形シートを、成形温度を220℃にて射出成形した。この際のフローマークの発生を目視で観察し、下記基準で判定した。
○:フローマークが不明瞭であり、実用性に問題がなく、良好。
×:フローマークが明瞭に認められ、実用性に問題があり、不良。
(6)ウエルド外観:
型締め圧170トンの射出成形機で、短辺の中央部(50mm)に樹脂の流動を妨げる堰を設けた幅2mmのフィルムゲートをもつ金型を用いて、350mm×100mm×2mmtなる成形シートを成形温度220℃で射出成形する。ウエルド長さは、上記金型を用いて成形した時、堰以降に発生するウエルドを目視により測定し、下記基準で評価した。
○:ウエルドが不明瞭であり、実用性に問題がなく、良好。
×:ウエルドが明瞭に認められ、実用性に問題があり、不良。
(7)総合判定:
総合判定として、下記基準で判定した。
○:(1)〜(6)の評価において、全ての項目が○であり、良好。
△:(1)〜(6)の評価において、×の項目はないが、△の項目が1つ以上あり、やや不良。
×:(1)〜(6)の評価において、×の項目が1つあり、不良。
××:(1)〜(6)の評価において、×の項目が複数個あり、著しく不良。
2.材料
実施例、比較例において、原材料として、以下のものを使用した。
(1)成分(A):プロピレン・エチレンブロック共重合体
成分(A):日本ポリプロ社製、「ノバテック」から、次の特性を有するプロピレン・エチレンブロック共重合体を使用した。
・全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重):58g/10分
・プロピレン単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率:98.5%
・プロピレン−α−オレフィン共重合体部分のプロピレン含量:60重量%
・プロピレン−α−オレフィン共重合体部分の重量平均分子量:60万
・全体に対するプロピレン−α−オレフィン共重合体部分の割合:8重量%
(2)成分(B):プロピレン・エチレンブロック共重合体
成分(B):日本ポリプロ社製、「ノバテック」から、次の特性を有するプロピレン・エチレンブロック共重合体を使用した。
・全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重):115g/10分
・プロピレン単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率:98.5%
・プロピレン−α−オレフィン共重合体部分のプロピレン含量:60重量%
・プロピレン−α−オレフィン共重合体部分の重量平均分子量:130万
・全体に対するプロピレン−α−オレフィン共重合体部分の割合:7重量%
(3)成分(C):エチレン・ブテン共重合体(エラストマー)
成分(C):三井化学社製、エチレン・ブテン共重合体「A4050S」(商品名)、MFR(230℃、2.16kg荷重):6.7g/10分、密度:0.864g/cmを使用した。
(4)成分(D):タルク
タルク(D)−1:顕微鏡等により拡大した画像から、アスペクト比の大きいタルクを10個選択し、平均したアスペクト比が13であり、平均粒径が7μmであるタルク。
タルク(D)−2:顕微鏡等により拡大した画像から、アスペクト比の大きいタルクを10個選択し、平均したアスペクト比が7.5であり、平均粒径が5μmであるタルク。
尚、平均粒径は、レーザー回折散乱方式粒度分布計等によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径であり、測定装置として、堀場製作所LA−920型を使用した。
3.実施例及び比較例
[実施例1および比較例1〜5]
上記成分(A)〜(D)の成分を表1に示す割合で配合し、スーパーミキサーを用いドライブレンドした後、ホッパーより原料を供給し、神戸製鋼所製のKCM2軸押出機を用い溶融混練し得られたペレットを、射出成形機(東芝機械社製IS80G、シリンダー温度200℃、金型温度40℃)で各種試験片を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
尚、表1において、配合割合の単位は、成分(A)、(B)は、重量%であり、成分(C)、(D)は、成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対して、重量部である。
Figure 0006006058
表1に示されるように、本発明の必須構成要件における各規定を満たす、実施例1は、良好な成形性(高流動性)、物性バランス(高剛性、高衝撃強度)、寸法安定性(低い線膨張係数)、フローマーク、ウエルド外観に優れている。
そのため、工業部品部材、好ましくは自動車部品、例えばドアトリム、インストルメントパネル、ピラー、バンパー、サイドモール、ドアプロテクター、サイドプロテクター、バックドア、フェンダー、リアゲート、フェンダー付帯部品などのフェンダー周り用各種部品等の自動車部品、とりわけ好ましくはバンパー、バックドア、フェンダー、リアゲート、フェンダー付帯部品などの自動車外装部品等に適する性能を明らかに有していることが確認された。
一方、本発明の必須構成要件における各規定を満たさない比較例1〜5は、これらの性能バランスが不良で見劣りしている。
例えば、比較例1、2では、プロピレン系樹脂成分である成分(A)と成分(B)の含有バランスが悪いため、MFR、曲げ弾性率、シャルピー衝撃強度のいずれかの性能が悪い。また、比較例3では、成分(C)のエチレン・ブテン共重合体の含有量が少ないため、シャルピー衝撃強度が低く、線膨張係数が高い。さらに、比較例4では、成分(D)のタルクが本発明で規定した条件を満たさないため、曲げ弾性率が低く、線膨張係数が高い。
上記の実施例と各比較例の結果から、本発明の構成と各要件の合理性と有意性が実証され、さらに本発明の従来技術に対する優位性も明らかである。
本発明の自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物及びそれを用いた自動車外装部材は、成形性(高流動性)、寸法安定性(低線膨張係数)、物性バランス(高剛性、高衝撃強度)に優れるとともに、フローマーク及びウエルド外観に優れたものであり、工業部品部材、好ましくは自動車部品、例えばドアトリム、インストルメントパネル、ピラー、バンパー、サイドモール、ドアプロテクター、サイドプロテクター、バックドア、フェンダー、リアゲート、フェンダー付帯部品などのフェンダー周り用各種部品等の自動車部品、とりわけ好ましくはバンパー、バックドア、フェンダー、リアゲート、フェンダー付帯部品などの自動車外装部品に適する性能を有している。

Claims (4)

  1. 下記の成分(A)50〜65重量%と成分(B)35〜50重量%(但し、成分(A)と成分(B)との合計を100重量%とする)に、成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対して、成分(C)35〜55重量部および成分(D)65〜95重量部を含有することを特徴とする自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物。
    成分(A):プロピレン単独重合体部分とプロピレン−α−オレフィン共重合体部分とからなり、以下の条件(A−1)〜(A−5)を満足するプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体
    (A−1):成分(A)全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が55〜60g/10分である。
    (A−2):プロピレン単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率が98%以上である。
    (A−3):プロピレン−α−オレフィン共重合体部分のプロピレン含量が50〜65重量%である。
    (A−4):成分(A)のプロピレン−α−オレフィン共重合体部分の重量平均分子量が40万以上80万未満である。
    (A−5):成分(A)全体に対するプロピレン−α−オレフィン共重合体部分の割合が5〜10重量%である。
    成分(B):プロピレン単独重合体部分とプロピレン−α−オレフィン共重合体部分とからなり、以下の条件(B−1)〜(B−5)を満足するプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体
    (B−1):成分(B)全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が100〜120g/10分である。
    (B−2):プロピレン単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率が98%以上である。
    (B−3):プロピレン−α−オレフィン共重合体部分のプロピレン含量が55〜65重量%である。
    (B−4):成分(B)のプロピレン−α−オレフィン共重合体部分の重量平均分子量が120万以上150万未満である。
    (B−5):成分(B)全体に対するプロピレン−α−オレフィン共重合体部分の割合が5〜10重量%である。
    成分(C):以下の条件(C−1)〜(C−2)を満足するエチレン・ブテン共重合体
    (C−1):メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が3〜8g/10分である。
    (C−2):密度が0.860〜0.870g/cmである。
    成分(D):以下の条件(D−1)〜(D−2)を満足するタルク
    (D−1):レーザー回折法により測定した平均粒径が6〜8μmである。
    (D−2):アスペクト比が12〜14である。
  2. 以下の条件(P−1)〜(P−4)を満足することを特徴とする請求項1に記載の自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物。
    (P−1):自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が30〜35g/10分である。
    (P−2):TMA法によって測定される自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物全体の−30〜80℃における線膨張係数が3.0×10−5〜5.0×10−5/℃である。
    (P−3):JIS K7171に準拠して測定される自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物全体の曲げ弾性率が3000〜3500MPaである。
    (P−4):ISO179(ノッチ付)に準拠して測定される自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物全体のシャルピー衝撃強度が18〜30kJ/mである。
  3. 請求項1又は2に記載の自動車外装部材用ポリプロピレン系樹脂組成物を使用し、射出成形、圧縮成形及び射出圧縮成形からなる群から選ばれる少なくとも1種の成形加工方法により成形されることを特徴とする自動車外装部材。
  4. 乗用車のサイドパネル用部材であることを特徴とする請求項に記載の自動車外装部材。
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