JP5401442B2 - 発泡成形体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、ポリプロピレン系樹脂の射出成形において、軽量化、コストダウン、成形体の反り・ヒケ防止を目的に、発泡を行ういわゆる射出発泡成形が従来から行われてきた。
近年、例えば自動車分野においては、燃費向上(CO2排出低減)のために、さらなる軽量化が図られており、大幅な薄肉化、例えば1〜2mm程度の薄肉部分を有する製品の成形が必要である。
しかし、ポリプロピレン系樹脂は、メルトテンション(溶融張力)が低く、気泡が破壊され易い。その結果、内部にボイドが発生しやすく、発泡倍率を高くすることが困難であった。また、気泡が不均一で大きいために、得られた成形体の剛性も充分でなかった。
なお、ここで言うボイドとは、内部の気泡が連通化するなどして生じる粗大な気泡で、実質その径が1.0mmを超える気泡のことをいう。
また、この様なHMS−PPを基材樹脂として射出発泡成形に使用することで発泡成形体が得られることも、知られている(特許文献3参照。)。
通常、剛性を維持した上で大幅な軽量化を達成するには、軽量化前の非発泡射出成形体に対して、射出充填時の金型キャビティ・クリアランス厚み(発泡前厚み)を大幅に薄くし、高発泡させることができる。しかし、ここで使用されているHMS−PPは、メルトフローレートが4g/10分程度しかなく、溶融時の流動性が低いために、大幅な薄肉化、例えば1〜2mm程度の薄肉部分を有する成形においては、ショートショットになり易い問題がある。また、架橋構造を有する熱可塑性樹脂は、再度溶融加工することが困難な傾向にあり、発泡成形体のコストが高くなり、廃棄物の量や資源のリサイクルという観点でも、問題がある。
しかし、益々大型化、複雑化、薄肉化する実製品デザインの変化などが加速する中で、該樹脂組成物(射出発泡成形体)には、例えば成形バリの発生防止や、樹脂充填に伴う金型内空気の排出不十分などを起因とするいわゆる樹脂焼け(黒点)の発生防止などのために、成形時の射出率(剪断速度)を相当程度低い領域に設定した場合においては、発泡成形体の表面外観や発泡倍率を一層向上させることが望まれる。
しかし、これらの方法で得られる発泡成形体は、いずれも低発泡倍率のものであり、高発泡倍率でありながら表面外観が良好な発泡成形体は得られていない。
前記射出工程において、プロピレン重合体部分(A−1)40〜97重量%、及びプロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A−2)3〜60重量%からなり、且つ、下記の特性(i)〜(iv)を有するプロピレン・エチレンブロック共重合体(成分A)と、発泡剤(成分B)とを含んでなるポリプロピレン系樹脂組成物が、発泡前成形体充填容積100%に対する射出率10〜450%/秒の条件で金型キャビティに射出充填されることを特徴とする、発泡成形体の製造方法が提供される。
特性(i):ブロック共重合体(成分A)全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が50〜300g/10分である。
特性(ii):プロピレン重合体部分(A−1)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が100〜1500g/10分であり、且つ、分子量分布値(Mw/Mn)が3.5以下である。
特性(iii):プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A−2)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.8〜55g/10分であり、且つ、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A−2)全量に対するエチレン含量が35〜60重量%である。
特性(iv):成分Aを180℃キャピラリーレオメータにおける剪断速度400〜10000/sで押出した時の押出溶融体の測定値(直径D1)と、オリフィス径D0から計算されるD1/D0(ダイスウェル比)が、剪断速度(対数)に対して、直線性を示す(変曲点を有しない)。
また、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、エラストマー(成分C)が、エチレン・オクテン共重合体エラストマー及び/またはエチレン・ブテン共重合体エラストマーであり、且つ、樹脂組成物全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が80〜300g/10分であることを特徴とする、発泡成形体の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、フィラー(成分D)が、さらに成分A100重量部に対して、1〜60重量部含有されることを特徴とする、発泡成形体の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第6の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、発泡剤(成分B)が、超臨界状態の二酸化炭素及び/または超臨界状態の窒素であることを特徴とする、発泡成形体の製造方法が提供される。
またさらに、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、有機過酸化物を配合したことを特徴とする、発泡成形体の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第9の発明によれば、第8の発明において、発泡層の上にスキン層を有し、且つ、発泡倍率が2〜10倍であることを特徴とする、発泡成形体が提供される。
またさらに、本発明の第10の発明によれば、第8または9の発明において、ポリプロピレン系樹脂組成物を射出発泡成形(黒着色、発泡前成形体充填容積100%に対する射出率=100%/秒)し、発泡成形体表面のスキャナ画像解析すると、明度256階調(0〜255階調)中、明度100〜255階調の範囲の画素数割合が、画素数全体の15%以下であることを特徴とする、発泡成形体が提供される。
さらに、本発明の第12の発明によれば、金型が固定型と前進及び後退が可能な可動型とから構成される射出成形機または射出圧縮成形機を用い、最終製品の形状位置に相当する金型キャビティ・クリアランス(T1)よりも小さい金型キャビティ・クリアランス(T0)を有する金型キャビティに、溶融状態または半溶融状態のポリプロピレン系樹脂組成物を射出充填する射出工程と、金型キャビティ・クリアランス(T1)まで可動型を後退させ、発泡剤による膨張圧力によって金型キャビティの空隙を充填せしめる発泡工程とからなる型開き射出成形法で、ポリプロピレン系樹脂組成物からなる発泡成形体を製造する方法であって、前記射出工程において、第1〜7のいずれかの発明のポリプロピレン系樹脂組成物が、発泡前成形体充填容積100%に対する射出率10〜450%/秒の条件で金型キャビティに射出充填されることを特徴とする、発泡成形体の製造方法が提供される。
(1)第1の発明において、発泡剤(成分B)は、(i)重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、アゾジカルボンアミド(ADCA)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ベンゼンスルホニルヒドラジド若しくは4,4’−ジフェニルジスルホニルアジドから選ばれる化学発泡剤、(ii)二酸化炭素、窒素、アルゴン若しくはヘリウムから選ばれる物理発泡剤または(iii)発泡剤(膨張剤)を内包したマイクロカプセルであることを特徴とする発泡成形体の製造方法。
(2)第1の発明において、発泡剤(成分B)の配合量は、化学発泡剤の場合、成分A100重量部に対し、0.001〜10重量部であり、物理発泡剤の場合、超臨界状態を呈する量であることを特徴とする発泡成形体の製造方法。
また、本発明の製造方法によれば、前記ポリプロピレン系樹脂組成物及び発泡成形体を容易に製造することができるという効果がある。
以下、ポリプロピレン系樹脂組成物の各成分、ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法、及び発泡成形体の製造方法などについて、詳細に説明する。
1.プロピレン・エチレンブロック共重合体(成分A)
本発明において、ポリプロピレン系樹脂組成物で用いられる成分Aは、以下に述べる、プロピレン重合体部分(A−1)40〜97重量%、好ましくは50〜96重量%、より好ましくは60〜95重量%と、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A−2)3〜60重量%、好ましくは4〜50重量%、より好ましくは5〜40重量%からなり、且つ、下記の特性(i)〜(iv)を有するものである。
ここで、成分A−1が40重量%未満である(すなわち成分A−2が60重量%を超える)と、本発明におけるポリプロピレン系樹脂組成物及びその発泡成形体の表面外観及び発泡倍率が低下する。また、成分A−1が97重量%を超える(すなわち成分A−2が3重量%未満である)と、衝撃強度が低下する。
特性(i):ブロック共重合体(成分A)全体のメルトフローレート(以下MFRと記す。)(230℃、2.16kg荷重)が50〜300g/10分である。
特性(ii):プロピレン重合体部分(A−1)のMFR(230℃、2.16kg荷重)が100〜1500g/10分であり、且つ、分子量分布値(Mw/Mn)が3.5以下である。
特性(iii):プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A−2)のMFR(230℃、2.16kg荷重)が0.8〜55g/10分であり、且つ、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A−2)全量に対するエチレン含量が35〜60重量%である。
特性(iv):成分Aを180℃キャピラリーレオメータにおける剪断速度400〜10000/sで押出した時の押出溶融体の測定値(直径D1)と、オリフィス径D0から計算されるD1/D0(ダイスウェル比)が、剪断速度(対数)に対して、直線性を示す(変曲点を有しない)。
上記の条件を満たす成分Aは、ポリプロピレン系樹脂組成物及びその発泡成形体において、シルバーストリークが生じ難く、優れた表面外観を有し、べたつき触感が無く、高い発泡倍率を発現することができる。
本発明に用いられる成分Aの製造方法は特に限定されず、例えば以下に示す方法で製造することができる。
(i)重合用反応器
重合用の反応器としては、特に形状、構造を問わないが、スラリー重合、バルク重合で一般に用いられる撹拌機付き槽や、チューブ型反応器、気相重合に一般に用いられる流動床反応器、撹拌羽根を有する横型反応器などが挙げられる。本発明においては、撹拌羽根を有する横型反応器が好ましく、これを2基以上、図2に示すように連結して使用することがより好ましい。
重合触媒は、その必要とする全量を重合開始時に存在させ、重合当初から重合に関与させることが好ましく、重合開始後、新たに触媒を追加しないことが好ましい。この場合、パウダー性状の悪化やゲル発生を抑制ことができる。
重合触媒の種類は、特に限定されるものではなく、公知の触媒が使用可能である。例えば、チタン化合物と有機アルミニウムを組み合わせた、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒、或いはメタロセン触媒(例えば、特開平5−295022号公報に開示。)が使用できる。
ここで、助触媒として例えば有機アルミニウム化合物を使用することができる。
また、前記の触媒には、立体規則性改良や粒子性状制御、可溶性成分の制御、分子量分布の制御などを目的とする各種重合添加剤を使用することができる。例えば、ジフェニルジメトキシシラン、tert−ブチルメチルジメトキシシランなどの有機ケイ素化合物、酢酸エチル、安息香酸ブチルなどを挙げることができる。
重合形式としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン若しくはトルエンなどの不活性炭化水素を重合溶媒として用いるスラリー重合、プロピレン自体を重合溶媒とするバルク重合、また、原料のプロピレンを気相状態下で重合する気相重合が可能である。また、これらの重合形式を組み合わせて行うことも可能である。
例えば、プロピレン重合体部分の重合をバルク重合で行い、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分の重合を気相重合で行う方法や、プロピレン重合体部分の重合をバルク重合と続いて気相重合で行い、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分の重合は気相重合で行う方法などが挙げられる。
本発明の重合においては、重合圧力は特に限定されず、一定で行うことも随時変化させることも可能である。通常、大気圧に対する相対圧力で0.1〜5MPa、好ましくは0.3〜3.5MPa程度で実施するのが好ましい。撹拌羽根を有する横型反応器を2基、図2に示すように連結して使用する場合は、第1重合工程を1.0〜3.0MPa、第2重合工程を1.0〜3.0MPaとすることが好ましい。ただし、重合圧力は重合温度におけるプロピレンの蒸気圧力より高く設定するべきでない。
本発明において、重合温度に関しては、特に限定されないが、通常20〜100℃、好ましくは40〜80℃の範囲から選択される。この重合温度は、重合開始時と重合終了時において同一でも異なっていても良い。撹拌羽根を有する横型反応器を2基、図2に示すように連結して使用する場合は、第1重合工程を40℃〜80℃、第2重合工程を30℃〜80℃とすることが好ましい。
本発明において、重合時間も、特に限定されないが、通常30分〜10時間で実施される。一般に、プロピレン重合体部分の製造は、気相重合で30分〜5時間、バルク重合で30分〜2時間、スラリー重合で2〜8時間を標準とし、また、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分は、気相重合で1〜3時間、バルク重合で20分〜1時間、スラリー重合で1〜3時間を標準とする。撹拌羽根を有する横型反応器を2基、図2に示すように連結して使用する場合は、第1重合工程を30分〜4時間、第2重合工程を30分〜3時間とすることが好ましい。
ここで、コモノマー単位の含量は、赤外分光分析法(IR)にて求めた値である。
プロピレン重合体部分の重合に続いて、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分の重合を行う。
特性(i):
本発明に用いられる成分A全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)は、50〜300g/10分、好ましくは60〜250g/10分、より好ましくは65〜200g/10分である。MFRが50g/10分未満であると、ポリプロピレン系樹脂組成物の発泡成形体への成形時にショートショットが生じたり、大型の発泡成形体が得られなくなったりする。さらに、発泡性も阻害され、発泡倍率が低くなる。一方、300g/10分を超えると、メルトフロントにおける乱流や泡の巻き込みが生じ易くなるなどによりシルバーストリークが発生するなど表面外観が悪化(低下)する外、衝撃強度が低下する。また、過充填による成形バリも生じ易くなる。
本発明に用いられる成分Aにおける、成分A−1のMFR(230℃、2.16kg荷重)は、100〜1500g/10分、好ましくは150〜1200g/10分、より好ましくは200〜600g/10分であり、且つ、分子量分布値(Mw/Mn)は、3.5以下、好ましくは3以下、より好ましく2〜3である。MFRが100g/10分未満であると、ポリプロピレン系樹脂組成物の発泡成形体への成形時にショートショットが生じたり、大型の発泡成形体が得られなくなったりする。さらに、発泡性も阻害され、発泡倍率が低くなる。一方、1500g/10分を超えると、メルトフロントにおける乱流や泡の巻き込みが生じ易くなるなどによりシルバーストリークが発生するなど表面外観が悪化する外、衝撃強度も低下する。また、過充填による成形バリも生じ易くなる。
また、分子量分布値(Mw/Mn)が、3.5を超えると、メルトフロントにおける乱流や泡の巻き込みが生じ易くなるなどによりシルバーストリークが発生するなど表面外観が悪化したり、べたつき触感が生じ易くなる。
本発明に用いられる成分Aにおける、成分A−2のMFR(230℃、2.16kg荷重)は、0.8〜55g/10分、好ましくは1〜40g/10分、より好ましくは1.5〜20g/10分であり、且つ、成分A−2全量に対するエチレン含量は、35〜60重量%、好ましくは39〜55重量%、より好ましくは40〜50重量%である。
MFRが0.8g/10分未満であると、ポリプロピレン系樹脂組成物の発泡成形体への成形時に、メルトフロントにおける乱流や泡の巻き込みが生じ易くなるなどにより表面外観が悪化する。一方、55g/10分を超えると、べたつき触感が生じたり、衝撃強度が低下する。
なお、この成分A−2のMFR値は、直接測定することは不可能のため、成分A−1のMFR、成分A全体のMFRを測定し、以下の式により算出する。
log(成分A全体のMFR)=(100−Wc)/100×log(成分A−1のMFR)+Wc/100×log(成分A−2のMFR)
ここで、Wcは成分A中の成分A−2の割合であり、後記する方法により求められる。
さらに、A−2全量に対するエチレン含量が35重量%未満であると、ポリプロピレン系樹脂組成物の発泡成形体への成形時に、成分A−2と成分A−1の相溶性変化などにより成分A−2の分散形態がいわゆる玉状から扁平状などに変化したり、粘度挙動が変化するなどのため、メルトフロントにおける乱流や泡の巻き込みが生じ易くなるなどによりシルバーストリークが発生するなど表面外観が悪化し、加えて衝撃強度が低下する。また、60重量%を超えると、この場合も表面外観が低下する。
本発明に用いられる成分Aは、180℃キャピラリーレオメータにおける剪断速度400〜10000/sで押出した時の押出溶融体の直径D1とオリフィス径D0から計算されるD1/D0(ダイスウェル比)が、剪断速度を横軸(対数)とした時に、図1(下の線分)のように、直線性を示す(変曲点を有しない)ことが必要である。
ここで、図1(上の線分)のように、剪断速度を横軸(対数)とした時に直線性を示さない(変曲点を有する)場合は、ポリプロピレン系樹脂組成物及びその発泡成形体において、成分A−2の分散状態がより過大になったり、玉状になり易いなどのため、メルトフロントにおける乱流や泡の巻き込みが生じ易くなるなどによりシルバーストリークが発生するなど表面外観が悪化するので好ましくない。
ここで、直線性を示すか否か(変曲点を有するか否か)の評価を行う方法に関しては、前記の様にキャピラリーレオメータを用いて、180℃における成分Aの前記D1/D0(ダイスウェル比)の剪断速度依存性を測定し、そのプロット線における直線性(変曲点の有無)を判定する。具体的な測定条件などは実施例に後記する。
メルトフラクチャーを生ずる場合は、ポリプロピレン系樹脂組成物及びその発泡成形体において、メルトフロントにおける乱流や泡の巻き込みが生じ易くなるなどによりシルバーストリークが発生するなど表面外観が悪化する傾向がある。具体的な測定条件などは実施例に後記する。
なお、MFR、分子量分布値(Mw/Mn)、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(成分A−2)の含量及びエチレン含量は、MFR計、クロス分別装置、フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定する値である。主な項目の測定条件などは、実施例において後記する。
ポリプロピレン系樹脂組成物における各種成分の配合割合は、成分Aを基準とする。なお、該成分Aは2種以上併用することもでき、その場合は使用した合計量を基準とする。
本発明に用いられる発泡剤(成分B)は、化学発泡剤、物理発泡剤及びマイクロカプセルなどであり、ポリプロピレン系樹脂組成物及びその発泡成形体において、発泡倍率を高め良好な表面外観を発現させる機能を有する。
成分Bの種類としては、例えば、化学発泡剤、物理発泡剤及びマイクロカプセルなどが挙げられ、発泡成形に通常使用できるものであれば、特に制限なく、用いることができる。
化学発泡剤としては、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウムなどの無機系化学発泡剤や、アゾジカルボンアミド(ADCA)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ベンゼンスルホニルヒドラジド、4,4’−ジフェニルジスルホニルアジドなどの有機系化学発泡剤が挙げられる。
前記の様に、化学発泡剤は、無機系、有機系など種々挙げられるが、好ましいものとしては、重炭酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム及びこれら二種以上の混合体が挙げられ、さらに好ましいものとして、重炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムとクエン酸ナトリウムの組み合わせ、重炭酸ナトリウムとクエン酸の組み合わせが挙げられる。
また、化学発泡剤は、取り扱い性、貯蔵安定性、前記成分Aなどへの分散性などの点から、ポリオレフィン系樹脂を基材としたマスターバッチとして造粒加工した後に、使用することもできる。これにより成形機のホッパーの汚染、成形体表面への粉の付着を抑制することができる。この場合、通常10〜50重量%濃度のポリオレフィン系樹脂のマスターバッチとして使用されるのが好ましい。
また、一度化学発泡剤を添加し、ペレット化により化学発泡剤を分解させたものであってもよく、さらに、予め高濃度の化学発泡剤を分解させ、その残渣を添加してもよい。化学発泡剤は、成形機のシリンダー中で分解し、その発泡残渣が発泡核剤となり得る。
不活性ガスとしては、例えば、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、アスタチンなどが挙げられ、低沸点有機溶剤の蒸気としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパン、ブタン、ペンタンなどが挙げられ、ハロゲン系不活性溶剤の蒸気としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、フロン、三フッ化窒素などが挙げられる。これらの中で、蒸気にする必要が無く、安価で、環境汚染、火災の危険性が極めて少ないことから、不活性ガスを使用することが好ましく、中でも二酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウムが好ましく、二酸化炭素、窒素がより好ましい。
さらに、物理発泡剤は、超臨界状態であることが好ましく、これにより樹脂中へのガス溶融が容易になる利点がある。
物理発泡剤は、各種成形機例えば射出成形機のシリンダー内などの前記成分Aに、または前記成分Aと後記成分Cなどとの混練、造粒物などに、ガス状または超臨界流体として注入され、分散または溶解されるもので、金型内に射出後、圧力開放されることによって、発泡剤として機能するものである。
これらマイクロカプセルは、通常、前記成分Aと、または前記成分Aと後記成分Cなどとの混練、造粒物などと予め混合するなどしてから射出成形機などの各種成形機に供給され、使用される。
ポリプロピレン系樹脂組成物における成分Bの配合割合は、発泡剤の種類、発泡倍率、発泡成形の成形条件などを考慮して、適宜設定すればよい。例えば、化学発泡剤を用いる場合は、前記成分A100重量部に対して、通常0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜8重量部、より好ましくは0.1〜6重量部とする。
この場合の配合割合は、発泡剤の実質濃度であり、例えば、発泡剤とポリオレフィン樹脂とのマスターバッチを用いる場合は、マスターバッチ中に含有する発泡剤濃度に基づき算出される。成分Bの配合割合が0.001重量部未満であると、ポリプロピレン系樹脂組成物が十分に発泡せず、一方、配合割合が10重量部を超えると、ポリプロピレン系樹脂組成物及びその発泡成形体の衝撃強度などの機械的強度が低下したり、二次発泡現象(過剰に残存した発泡ガスによって発泡成形体の表面が火膨れ状に膨れる現象)を生じたり、さらに経済的にも不利となる。
本発明にて、用いられるエラストマー(成分C)は、エチレン・α−オレフィン共重合体エラストマーやスチレン系エラストマーなどであり、ポリプロピレン系樹脂組成物及びその発泡成形体において、主に、高い衝撃強度や、優れた寸法安定性などを発現させることができる。
成分Cとしては、例えば、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(EPR)、エチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)、エチレン・ヘキセン共重合体エラストマー(EHR)、エチレン・オクテン共重合体エラストマー(EOR)などのエチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー;エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・ブタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・イソプレン共重合体などのエチレン・α−オレフィン・ジエン三元共重合体エラストマー;スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重合体エラストマー(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体エラストマー(SIS)、スチレン−エチレン・ブチレン共重合体エラストマー(SEB)、スチレン−エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(SEP)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体エラストマー(SEBS)、スチレン−エチレン・ブチレン−エチレン共重合体エラストマー(SEBC)、水添スチレン・ブタジエンエラストマー(HSBR)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体エラストマー(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体エラストマー(SEEPS)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体エラストマー(SBBS)、部分水添スチレン−イソプレン−スチレン共重合体エラストマー、部分水添スチレン−イソプレン・ブタジエン−スチレン共重合体エラストマーなどのスチレン系エラストマー、さらにエチレン−エチレン・ブチレン−エチレン共重合体エラストマー(CEBC)などの水添ポリマー系エラストマーなどを挙げることができる。
さらに、エチレン・オクテン共重合体エラストマー(EOR)またはエチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)を単独で使用するか、これら両者を併用すると、ポリプロピレン系樹脂組成物全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が80〜300g/10分である場合、ポリプロピレン系樹脂組成物及びその発泡成形体において、衝撃強度、寸法安定性及び表面外観がより一段と優れる傾向にあるなどの点からより好ましく、85〜200g/10分であると、さらに好ましく、90〜150g/10分であると、とりわけ好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体エラストマーや、エチレン・α−オレフィン・ジエン三元共重合体エラストマーなどは、各モノマーを触媒の存在下、重合することにより製造される。触媒としては、例えばハロゲン化チタンの様なチタン化合物、アルキルアルミニウム−マグネシウム錯体の様な有機アルミニウム−マグネシウム錯体、アルキルアルミニウム、またはアルキルアルミニウムクロリドなどのいわゆるチーグラー型触媒、WO91/04257号公報などに記載のメタロセン化合物触媒などを使用することができる。重合法としては、気相流動床法、溶液法、スラリー法などの製造プロセスを適用して重合することができる。
成分CのMFR(230℃、2.16kg荷重)は、通常1g/10分以上であり、2g/10分以上が好ましく、3g/10分以上がより好ましく、3〜80g/10分がさらに好ましい。
本発明の主要用途である自動車部材を考慮した場合、MFRが上記の範囲であるものが、表面外観及び衝撃強度が良好で発泡倍率が大きいポリプロピレン系樹脂組成物及びその発泡成形体を得られる場合が多い。
本発明において、用いられる成分Cの配合割合は、成分A100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは3〜45重量部、さらに好ましくは5〜40重量部である。成分Cの配合割合が1重量部未満であると、ポリプロピレン系樹脂組成物及びその発泡成形体の衝撃強度や寸法安定性が低下する傾向があり、一方、配合割合が50重量部を超えると、剛性が低下する傾向がある。なお、成分Cは2種類以上を併用することもできる。
本発明において、用いられるフィラー(成分D)は、無機または有機のフィラーである。成分Dは、ポリプロピレン系樹脂組成物及びその発泡成形体の表面外観、発泡倍率、剛性などの物性、寸法安定性(線膨張係数の低減)、環境適応性の各向上などを発現することに寄与するものである。
成分Dの具体例としては、例えば、無機フィラーとして、シリカ、ケイ藻土、バリウムフェライト、酸化ベリリウム、軽石、軽石バルンなどの酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウムなどの水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、ドーソナイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウムなどの硫酸塩または亜硫酸塩、タルク、クレー、マイカ、ガラス繊維、ガラスバルーン、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、モンモリロナイト、ベントナイトなどのケイ酸塩、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素中空球などの炭素類や、硫化モリブデン、ボロン繊維、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム、塩基性硫酸マグネシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ケイ酸カルシウム繊維、炭酸カルシウム繊維、各種金属繊維などを挙げることができる。
一方、有機フィラーとしては、例えば、モミ殻などの殻繊維、木粉、木綿、ジュート、紙細片、セロハン片、芳香族ポリアミド繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、各種合成繊維、熱硬化性樹脂粉末などを挙げることができる。
中でも板状、繊維状、ウィスカー状のものは、寸法安定性や物性などのバランスに優れたポリプロピレン系樹脂組成物及びその発泡成形体が得られやすいなどの点で好ましい。
また、ポリマー用フィラーとして市販されているものは、いずれも使用できる。これらは、一般的な粉末状の外に、取り扱いの利便性などを高めた、圧縮魂状、ペレット(造粒)状、顆粒状、チョップドストランド状などの形態で製造されることが多いが、いずれも使用することができる。中でも粉末状、圧縮魂状、顆粒状が好ましい。
なお、ここでいうウィスカーとは、塩基性硫酸マグネシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ケイ酸カルシウム繊維、炭酸カルシウム繊維、極細炭素繊維などの極細(概ね2μmφ以下、とりわけ1μmφ以下)繊維状のものである。
この平均粒径は、レーザー回折散乱方式粒度分布計等を用いて測定した値であり、測定装置としては、例えば、堀場製作所LA−920型が挙げられる。また、タルクは、平均アスペクト比が4以上、特に5以上のものがより好ましい。タルクのアスペクト比の測定は、顕微鏡などにより測定された値より求められる。
これらの成分Dの製造方法は、特に限定されたものではなく、公知の各種製造方法などにて製造される。例えば、タルクの場合、天然に産出されたものを機械的に微粉砕化することにより得られたものを、さらに精密に1回または複数回分級することによって得られる。粉砕機としては、例えばジョークラシャ−、ハンマークラシャ−、ロールクラシャー、スクリーンミル、ジェット粉砕機、コロイドミル、ローラーミル、振動ミルなどを用いることができる。これらの粉砕されたタルクは、本発明で示される平均粒径に調節するために、例えばサイクロン、サイクロンエアセパレーター、ミクロセパレーター、サイクロンエアセパレーター、シャープカットセパレターなどの装置で1回または繰り返し湿式または乾式分級する。特定の粒径に粉砕した後、シャープカットセパレターにて、分級操作を行うことが好ましい。
本発明において、用いられる成分Dの配合割合は、成分A100重量部に対して、好ましくは1〜60重量部、より好ましくは1.5〜50重量部、さらに好ましくは2〜35重量部である。成分Dの配合割合が1重量部未満であると、ポリプロピレン系樹脂組成物及びその発泡成形体の剛性や寸法安定性が低下し易い傾向がある。一方、60重量部を超えると、発泡成形性、衝撃強度や表面外観が低下する傾向がある。なお、成分Dは、2種以上併用することもできる。
ポリプロピレン系樹脂組成物においては、前記成分A〜成分D以外に、さらに必要に応じ、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、例えば発明効果を一層向上させたり、他の効果を付与するなどのため、任意添加成分(成分E、以下、単に成分Eともいう。)を配合することができる。
これらの成分Eは、2種以上を併用してもよく、組成物に添加してもよいし、成分A〜成分Dの各成分に添加されていてもよく、夫々の成分においても2種以上併用することもできる。
具体例としては、ヒンダードアミン化合物として、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの縮合物;ポリ〔〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕;テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート;テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート;ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート;ビス−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルセバケートなどが挙げられ、ベンゾトリアゾール系としては、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどが挙げられ、ベンゾフェノン系としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン;2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンなどが挙げられ、サリシレート系としては、4−t−ブチルフェニルサリシレート;2,4−ジ−t−ブチルフェニル3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
具体例としては、無機系として、タルク;シリカなどが挙げられ、ソルビトール系として、1,3,2,4−ジベンジリデン−ソルビトール;1,3,2,4−ジ−(p−メチル−ベンジリデン)ソルビトール;1,3,2,4−ジ−(p−エチル−ベンジリデン)ソルビトール;1,3,2,4−ジ−(2’,4’−ジ−メチル−ベンジリデン)ソルビトール;1,3−p−クロロベンジリデン−2,4−p−メチル−ベンジリデン−ソルビトール;1,3,2,4−ジ−(p−プロピルベンジリデン)ソルビトールなどが挙げられ、カルボン酸金属塩系として、アルミニウム−モノ−ヒドロキシ−ジ−p−t−ブチルベンゾエート;安息香酸ナトリウム;モンタン酸カルシウムなどが挙げられ、さらに、有機リン酸塩系として、ソジウムビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート;ソジウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート;リチウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートなどが挙げられる。
具体例として、無機系顔料としては、酸化チタン;酸化鉄(ベンガラなど);クロム酸(黄鉛など);モリブデン酸;硫化セレン化物;フェロシアン化物及びカーボンブラックなどが挙げられ、有機系顔料としては、難溶性アゾレーキ;可溶性アゾレーキ;不溶性アゾキレート;縮合性アゾキレート;その他のアゾキレートなどのアゾ系顔料;フタロシアニンブルー;フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料;アントラキノン;ペリノン;ペリレン;チオインジゴなどのスレン系顔料;染料レーキ;キナクリドン系;ジオキサジン系;イソインドリノン系などが挙げられる。また、メタリック調やパール調にするには、アルミフレーク;パール顔料を含有させることができる。また、染料を含有させることもできる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール;テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]−メタン;トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
また、リン系酸化防止剤としては、例えば、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト;トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト;トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)フォスファイトなどが挙げられる。
また、イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジステアリルチオジプロピオネートなどが挙げられる。
具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルアミン;ポリオキシエチレンアルキルアミド;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;ステアリン酸モノグリセリド;アルキルジエタノールアミン;アルキルジエタノールアミド;アルキルジエタノールアミン脂肪酸モノエステル;テトラアルキルアンモニウム塩などが挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法としては、前記成分Aと成分Bを混合し、さらに場合により、成分C、成分D及び成分Eを、前記配合割合で配合して、まぶしたり、ハンドブレンドするなどドライブレンドする方法、Vブレンダー、タンブラーミキサーなど各種のブレンダー、ミキサーなどを用いて混合する方法、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダーなど通常の混練機を用いて溶融・混練・造粒する方法、及び前記各成分を各々別個に(または一部をブレンドして)そのまゝ射出成形機などの各種成形機に直接供給する方法などを挙げることができる。
また、適量の分子量降下剤を、前記成分Aと成分B(場合により成分A〜成分Eなど)の配合物とともに、射出成形機などの各種成形機などに同時にまたは個別に直接添加して成形することもできる。
分子量降下剤の有機過酸化物としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、t−ブチルパーアセテート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3、t−ブチル−ジ−パーアジペート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、メチル−エチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジキュミルパーオキサイド、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルキュミルパーオキサイド、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス−t−ブチルパーオキシブタン、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−サイメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラ−メチルブチルハイドロパーオキサイド及び2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ハイドロパーオキシ)ヘキサンのグループから選ばれる1種または2種以上からなるものを挙げることができる。なお、これらに限定されるものではない。
本発明における発泡成形体の製造方法としては、特に制限されず、例えば射出成形機、射出圧縮成形機、押出成形機、シート成形機及び中空成形機などを用いる発泡成形法が挙げられる。この内、射出成形機または射出圧縮成形機を用いる射出発泡成形法が好ましい製造方法である。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂組成物を用いた発泡成形体の製造に際して、その射出発泡成形における射出率や、押出成形などにおける成形剪断速度は、特に限定されず、比較的小さい(遅い)場合から大きい(速い)場合まで広範囲に設定できる。すなわちポリプロピレン系樹脂組成物は、広範囲の射出率(成形剪断速度)下においても、メルトフロント(樹脂流れ先端部)に、乱流や泡の巻き込みが生じ難く、発泡成形体の表面外観に優れ、べたつき触感が無く、発泡倍率が高い発泡成形体が得られるからである。
射出発泡成形する方法としては、例えば金型キャビティ内に、化学発泡剤である成分Bを少なくとも一部に含有するポリプロピレン系樹脂組成物を、発泡圧力以上の圧力で可動型を後退させながら射出充填して、スキン層を形成させた後、充填完了後さらに可動型を後退させてコア層を発泡させる方法が挙げられる。
すなわち、化学発泡剤を含有したポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形機に供給し、同時に物理発泡剤を同成形機に直接制御しつつ導入して、成形する方法は、可動型を後退させながら射出充填してスキン層を形成させた後、可動型を後退させてコア層を発泡させる成形方法などにおいても用いることができる。
この成形方法は、ポリプロピレン系樹脂組成物及びその発泡成形体の表面外観及び発泡倍率を高い水準で発現できるため、好ましい方法である。本発明では、該成形方法によりポリプロピレン系樹脂組成物を射出充填する射出工程において、発泡前成形体充填容積100%に対する射出率が10〜450%/秒の条件で成形するのが好ましく、20〜300%/秒の条件で成形するのがより好ましく、20〜80%/秒の条件で成形するのがさらに好ましく、30〜60%/秒の条件で成形するのがとりわけ好ましい。射出率が10%/秒未満であると、発泡成形体の成形(生産)効率が低下する傾向があり、一方、450%/秒を超えると、発泡倍率が低下したり、成形バリの発生(過充填)や、樹脂焼け(黒点)が発生し易くなる傾向がある。
これらの条件で成形するのが好ましい理由は、前記の様に多様な成形体デザインへの適用性を保つ必要がある状況下などにおいては、高い成形効率下で、且つ高射出率成形した場合に生じ易い、成形バリや、樹脂焼けの発生を防止し、発泡成形体の表面外観及び発泡倍率をより一層高い水準で発現できるからである。
発泡層は、平均気泡径が好ましくは500μm以下、より好ましくは200μm以下であり、非発泡層は厚みが好ましくは10μm以上1000μm以下、より好ましくは100μm以上500μm以下であることが好ましい。発泡層の平均気泡径が500μmを超える場合は、優れた剛性が得られない傾向がある。また、非発泡層の厚みが10μm未満では、外観美麗な表面にならず、剛性も低下する傾向があり、1000μmを超える場合は、軽量性が得られにくいおそれがある。
該画素数割合が15%を超えると、発泡成形体の表面外観が悪化する傾向がある。ここで、明度諧調値はそれが高く(大きく)なる程、白色度合が増すことを意味する。
従って、明度100〜255階調の範囲の画素数割合が高くなるほど、前記シルバーストリークの様な白っぽい領域が多いことを意味し、発泡成形体の表面外観の不良度合が大きく、一方、該画素数割合が低くなるほど、表面外観がより良好であることを表している。
具体的な測定条件などは実施例項に後記する。
なお、実施例で用いた評価方法、分析方法及び材料は、以下の通りである。
(1)発泡成形体の表面外観:
(i)目視外観:
射出発泡成形(黒着色、発泡前成形体充填容積100%に対する射出率=100%/秒)した発泡成形体(縦400mm×横200mm×1.5mm厚(初期キャビティ・クリアランス)、発泡倍率=2倍)の平面部分表面の外観を、目視観察し、下記に示す段階別に判定する。この場合、段階1及び2が実用性を有すると判断される。なお、黒着色はカーボンブラック濃度=30重量%の低密度ポリエチレンベース着色マスターバッチを、ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部当たり3重量部ブレンド成形することにより行う。
段階1…シルバーストリークが認められず、表面の凹みも無く、表面外観が良好である。
段階2…シルバーストリークが僅かに認められるが、表面の凹みも殆ど無く、表面外観が良好である。
段階3…シルバーストリークが比較的少数ではあるが明確に認められ、表面の凹みも一部に認められ、表面外観がやゝ不良である。
段階4…シルバーストリークが明確に認められ、表面の凹みもかなり認められ、表面外観が不良である。
段階5…シルバーストリークが多数明確に認められ、表面の凹みも認められ、表面外観がさらに不良である。
射出発泡成形(黒着色(前記同条件)、前記射出率を50%/秒又は333%/秒とした発泡成形体(縦400mm×横200mm×1.5mm厚(初期キャビティ・クリアランス)、発泡倍率=2倍)の平面部分表面を、下記要領にてスキャナにより画像解析する。
その後、そのヒストグラムから、明度256階調(0〜255階調)全体の内、明度100〜255階調の範囲の画素数割合(%)を読み取る(n数=5)。
(a)装置
スキャナ;GT−9400UF(セイコーエプソン社製)
画像処理;Adobe Photoshop 6.0
画像解析;フリーソフト imagJ ヒストグラムモード
(b)条件
スキャナモード;グレースケール
取込解像度;600dpi
明度;256階調(0〜255階調)
画像処理;明度+5、コントラスト+90
前記の発泡成形体(射出率=50%/秒)の平面部分表面を、素手で触れることにより「べたつき触感」の有無を判定する。ここで、べたつき触感が有る場合、該発泡成形体の市場用途に制約が大きくなるおそれがある。
初期のキャビティ・クリアランスを1.5mmに設定し、コアバック後のキャビティ・クリアランスを、3mmから0.25mm刻みに拡大して、前記射出率=100%/秒の条件下で、発泡倍率を変化(高倍率化)させ、射出発泡成形体を形成する。而して、良好な充填状態と表面外観のバランスが得られる、最大のコアバック後のキャビティ・クリアランスの条件で形成された発泡成形体における、該発泡成形体の板厚/初期肉厚により求める。
JIS K7210準拠して、試験温度:230℃、荷重:2.16kgで測定する
該MFRは、主に成形性を表す指標であって、例えば射出成形においては、数値が大き
い程、成形性(流動性)が良好であるとされている。試料は、表1に示す各配合の内、発泡剤(成分B)を除いたものである。
JIS K7111に準拠し、測定雰囲気温度23℃にて測定する。但し、この試験片の組成は、表1に示す各配合の内、発泡剤(成分B)を除いたものである。また、試験片の成形は、型締圧80トンの射出成形機(東芝機械社製IS80G)を使用し、成形温度200℃、金型温度40℃の条件にて成形する。
ここで、該シャルピー衝撃強度が4KJ/m2未満であると、工業部品分野などへの適用が困難となるおそれがある。
なお、この発泡剤(成分B)を除いた配合における衝撃強度の傾向(大小)は、表2に示す全成分(成分A〜成分C)を配合したものの衝撃強度と同傾向を示すと考察される。
(i)使用する分析装置
(a)クロス分別装置;
ダイヤインスツルメンツ社製CFC T−100(以下、CFCと略す)
(b)フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析;
FT−IR、パーキンエルマー社製 1760X
CFCの検出器として取り付けられていた波長固定型の赤外分光光度計を取り外して、代わりにFT−IRを接続し、このFT−IRを検出器として使用する。CFCから溶出した溶液の出口からFT−IRまでの間のトランスファーラインは1mの長さとし、測定の間を通じて140℃に温度保持する。FT−IRに取り付けたフローセルは、光路長1mm、光路幅5mmφのものを用い、測定の間を通じて140℃に温度保持する。
(c)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC);
CFC後段部分のGPCカラムは、昭和電工社製AD806MSを3本直列に接続して使用する。
(a)溶媒;オルトジクロロベンゼン(以下、ODCBともいう。)
(b)サンプル濃度;4mg/mL
(c)注入量;0.4mL
(d)結晶化;140℃から40℃まで約40分かけて降温する。
(e)分別方法;
昇温溶出分別時の分別温度は、40、100、140℃とし、全部で3つのフラクションに分別する。なお、40℃以下で溶出する成分(フラクション1)、40〜100℃で溶出する成分(フラクション2)、100〜140℃で溶出する成分(フラクション3)の溶出割合(単位:重量%)を各々W40、W100、W140と定義する。W40+W100+W140=100である。また、分別した各フラクションは、そのままFT−IR分析装置へ自動輸送される。
(f)溶出時溶媒流速;1mL/分
CFC後段のGPCから試料溶液の溶出が開始した後、以下の条件でFT−IR測定を行い、前記した各フラクション1〜3について、GPC−IRデータを採取する。
(a)検出器;MCT
(b)分解能;8cm−1
(c)測定間隔;0.2分(12秒)
(d)一測定当たりの積算回数;15回
各温度で溶出した成分の溶出量と分子量分布は、FT−IRによって得られる2945cm−1の吸光度をクロマトグラムとして使用して求める。溶出量は、各溶出成分の溶出量の合計が100%となる様に規格化する。保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは、いずれも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
(a)標準ポリスチレンを使用する較正曲線作成時;
K=0.000138、α=0.70
(b)成分Aのサンプル測定時;
K=0.000103、α=0.78
各溶出成分のエチレン含有量分布(分子量軸に沿ったエチレン含有量の分布)は、FT−IRによって得られる2956cm−1の吸光度と2927cm−1の吸光度との比を用い、ポリエチレンやポリプロピレンや13C−NMR測定などによりエチレン含有量が既知となっているエチレン−プロピレンラバー(EPR)及びそれらの混合物を使用して予め作成しておいた検量線により、エチレン含有量(重量%)に換算して求める。
本発明に用いられる成分A中の成分A−2の含量(Wc)は、下記式(I)で理論上は定義され、以下の様な手順で求められる。
Wc(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/B100 …(I)
式(I)中、W40、W100は、上述した各フラクションでの溶出割合(単位:重量%)であり、A40、A100は、W40、W100に対応する各フラククションにおける実測定の平均エチレン含有量(単位:重量%)であり、B40、B100は、各フラクションに含まれる成分A−2のエチレン含有量(単位:重量%)である。A40、A100、B40、B100の求め方は後記する。
すなわち、(I)式右辺の第一項は、フラクション1(40℃に可溶な部分)に含まれる成分A−2の量を算出する項である。フラクション1が成分A−2のみを含み、プロピレン重合体(成分A−1)を含まない場合には、W40がそのまま全体の中に占めるフラクション1由来の成分A−2含有量に寄与するが、フラクション1には、成分A−2由来の成分のほかに少量の成分A−1由来の成分(極端に分子量の低い成分及びアタクチックポリプロピレン)も含まれるため、その部分を補正する必要がある。そこでW40にA40/B40を乗ずることにより、フラクション1のうち、成分A−2由来の量を算出する。例えば、フラクション1の平均エチレン含有量(A40)が30重量%であり、フラクション1に含まれる成分A−2のエチレン含有量(B40)が40重量%である場合、フラクション1の30/40=3/4(即ち75重量%)は、成分A−2由来、1/4は成分A−1由来ということになる。この様に右辺第一項でA40/B40を乗ずる操作は、フラクション1の重量%(W40)から成分A−2の寄与を算出することを意味する。右辺第二項も同様であり、各々のフラクションについて、成分A−2の寄与を算出して加え合わせたものが成分A−2含有量となる。
平均エチレン含有量の求め方は後記する。
種々のモデル試料を使用して検討を行った結果、B40は、フラクション1の微分分子量分布曲線のピーク位置に相当するエチレン含有量を使用すると、材料物性の改良効果をうまく説明することができることがわかった。また、B100は、エチレン連鎖由来の結晶性を持つこと、及びこれらのフラクションに含まれる成分A−2の量がフラクション1に含まれる成分A−2の量に比べて相対的に少ないことの2点の理由により、100と近似する方が、実態にも近く、計算上も殆ど誤差を生じない。そこで、B100=100として解析を行うこととしている。
Wc(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/100 …(II)
つまり、(II)式右辺の第一項であるW40×A40/B40は、結晶性を持たない成分A−2含有量(重量%)を示し、第二項であるW100×A100/100は、結晶性を持つ成分A−2含有量(重量%)を示す。
ここで、B40及びCFC測定により得られる各フラクション1及び2の平均エチレン含有量A40、A100は、次の様にして求める。
微分分子量分布曲線のピーク位置に対応するエチレン含有量がB40となる。また、測定時にデータポイントとして取り込まれる、各データポイント毎の重量割合と各データポイント毎のエチレン含有量の積の総和がフラクション1の平均エチレン含有量A40となる。
フラクション2の平均エチレン含有量A100も同様に求める。
本発明のCFC分析においては、40℃とは結晶性を持たないポリマー(例えば、成分A−2の大部分、若しくは成分A−1の中でも極端に分子量の低い成分及びアタクチックな成分)のみを分別するのに必要十分な温度条件である意義を有する。100℃とは、40℃では不溶であるが100℃では可溶となる成分(例えば、成分A−2中、エチレン及び/又はプロピレンの連鎖に起因して結晶性を有する成分、及び結晶性の低い成分A−1)のみを溶出させるのに必要十分な温度である。140℃とは、100℃では不溶であるが140℃では可溶となる成分(例えば、成分A−1中特に結晶性の高い成分、及び成分A−2中の極端に分子量が高く且つ極めて高いエチレン結晶性を有する成分)のみを溶出させ、且つ分析に使用するプロピレン・エチレンブロック共重合体(成分A)の全量を回収するのに必要十分な温度である。なお、W140には、成分A−2は全く含まれないか、存在しても極めて少量であり、実質的には無視できることから、成分A−2の含量や成分A−2のエチレン含有量の計算からは排除する。
本発明に用いられる成分Aにおける成分A−2のエチレン含量は、前述で説明した値を用い、次式から求められる。
成分A−2のエチレン含量(重量%)=(W40×A40+W100×A100)/Wc
[但し、Wcは、先に求めた成分A−2の比率(重量%)である。]
本発明に用いられる成分A−1の分子量分布値(Mw/Mn)は、前記クロス分別におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定の140℃可溶分の分子量分布曲線より求める。
この分子量分布曲線から重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を算出する方法は、公知の方法に従い、Mw/Mnをもって分子量分布値(Q値と称される場合もある)とする。
下記に示す内容で、キャピラリーフロー特性を測定し、その測定結果グラフ(縦軸:D1/D0(ダイスウェル比)、横軸:剪断速度(対数))上において、そのD1/D0(ダイスウェル比)のプロット線の直線性(変曲点の有無)を判定する。
(i)使用装置;キャピラリーレオメータ(東洋精機製作所社製キャピログラフIC)
(ii)オリフィス径(D0);0.5mm(長さ5mm、フラットタイプ)
(iii)バレル径;9.55mm
(iv)押出溶融体の直径D1の検出方式:レーザー
(v)測定温度;180℃
(vi)ピストン速度;5〜500mm/分
(vii)剪断速度;486/s、972/s、1945/s、4864/s、9728/s、19456/s、48641/s
(viii)直線性判定の剪断速度域;400〜10000/s
前記1.(7)項に示すD1/D0(ダイスウェル比)の直線性の判定測定時において、剪断速度400〜10000/sの押出物の形成状況を目視観察して、そのメルトフラクチャー(波立ち現象)の発生の有無を判定する。
(1)プロピレン・エチレンブロック共重合体(成分A)
(i)A−a:日本ポリプロ社製のノバテックPPで、以下の組成のグレードを用いた。
該材料は、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A−2)の成分A全体に対する割合が19.9重量%、成分A全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が100g/10分、プロピレン重合体部分(A−1)のMFR(230℃、2.16kg荷重)が326g/10分、同部分の分子量分布値(Mw/Mn)が2.7、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A−2)のMFR(算出値(230℃、2.16kg荷重))が0.86g/10分、成分A−2全量に対するエチレン含量が39重量%である。
また、該材料は、180℃キャピラリーレオメータにおける剪断速度400〜10000/sで押出した時の押出溶融体の直径D1とオリフィス径D0から計算されるD1/D0(ダイスウェル比)が、剪断速度を横軸(対数)とした時に直線性を示し(変曲点を有せず)、押出溶融体にメルトフラクチャーの発生は無い。
(ア)固体触媒成分の調製
撹拌装置を備えた容量10Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、精製したトルエン2Lを導入した。ここに、室温で、Mg(OEt)2を200g、TiCl4を1L添加した。温度を90℃に上げてフタル酸ジ−n−ブチルを50ml導入した。その後、温度を110℃に上げて3hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。次いで精製したトルエンを導入して全体の液量を2Lに調整した。室温でTiCl4を1L添加し、温度を110℃に上げて2hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。次いで、精製したトルエンを導入して全体の液量を2Lに調整した。
室温でTiCl4を1L添加し、温度を110℃に上げて2hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。更に、精製したn−ヘプタンを用いて、トルエンをn−ヘプタンで置換し、固体成分のスラリーを得た。このスラリーの一部をサンプリングして乾燥した。分析したところ、固体触媒成分のTi含量は2.7重量%であった。
次に、撹拌装置を備えた容量20Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、上記固体成分のスラリーを固体成分として100g導入した。精製したn−ヘプタンを導入して、固体成分の濃度が25g/Lとなる様に調整した。SiCl4を50ml加え、90℃で1hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。
その後、精製したn−ヘプタンを導入して液レベルを4Lに調整した。ここに、ジメチルジビニルシランを30ml、ジイソプロピルジメトキシシランを30ml、トリエチルアルミニウムのn−ヘプタン希釈液をトリエチルアルミニウムとして80g添加し、40℃で2hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄し、得られたスラリーの一部をサンプリングして乾燥した。分析したところ、固体触媒成分にはTiが1.2重量%、ジイソプロピルジメトシシランが8.8重量%含まれていた。
スラリーを10℃に冷却した後、トリエチルアルミニウムのn−ヘプタン希釈液をトリエチルアルミニウムとして10g添加し、280gのプロピレンを4hrかけて供給した。
プロピレンの供給が終わった後、更に30min反応を継続した。次いで、気相部を窒素で充分に置換し、反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。得られたスラリーをオートクレーブから抜き出し、真空乾燥を行って固体触媒成分を得た。この固体触媒成分は、固体触媒成分1gあたり2.5gのポリプロピレンを含んでいた。分析したところ、この固体触媒成分のポリプロピレンを除いた部分には、Tiが1.0重量%、Mgが17.5重量%、ジイソプロピルジメトシシランが8.2重量%含まれていた。
図2に示したフローシートによって重合方法を説明する。撹拌羽根を有する第1重合工程の横形重合器(L/D=3.7、内容積100リットル)10に上記予備重合処理した固体触媒成分を0.31g/hr、有機アルミ化合物としてトリエチルアルミニウムを固体触媒成分中のMgに対してAl/Mgモル比が5となるよう連続的に供給した。反応温度70℃、反応圧力2.2MPa、撹拌速度35rpmの条件を維持しながら、重合器10内の気相中の水素濃度を水素/プロピレンモル比0.10に維持するように、水素ガスを循環配管4より連続的に供給して、第1段重合体のMFRを調節した。
反応熱は配管17から供給する原料液化プロピレンの気化熱により除去した。重合器10から排出される未反応ガスは配管13を通して反応器系外で冷却、凝縮させて配管17にて重合器10に還流した。
生成した第1段重合の重合体は、重合体の保有レベルが反応容積の50容量%となる様に配管32を通して重合器10から連続的に抜き出し、第2重合工程の重合器20に供給した。この時、配管32から重合体の一部を間欠的に採取して、MFR及び触媒単位重量当たりの重合体収量を測定する試料とした。触媒単位重量当たりの重合体収量は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP法)により測定した重合体中のMg含有量から算出した(第1重合工程)。
反応熱は配管27から供給される原料液化プロピレンの気化熱で除去した。重合器20から排出される未反応ガスは配管23を通して反応器系外で冷却、凝縮させて重合器20に還流させた。該重合工程で生成したプロピレン・エチレンブロック共重合体は、重合体の保有レベルが反応容積の50容量%となる様に配管39を通して重合器20から連続的に抜き出した。プロピレン・エチレンブロック共重合体の生産速度は11.2/hrであった(第2重合工程)。
前記グレードの組成は、成分A−2の成分A全体に対する割合が26.1重量%、成分A全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が30g/10分、成分A−2全量に対するエチレン含量が41.4重量%である。
混練造粒した材料は、成分A−2の成分A全体に対する割合が25.5重量%、成分A全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が130g/10分、成分A−1のMFR(230℃、2.16kg荷重)が420g/10分、同部分の分子量分布値(Mw/Mn)が2.3、成分A−2のMFR(算出値)が4.2g/10分、成分A−2全量に対するエチレン含量が41.2重量%であり、前記キャピラリーレオメータ測定における前記D1/D0(ダイスウェル比)が、前記同様に直線性を示し(変曲点を有せず)、メルトフラクチャーの発生は無い。
前記グレード(20重量部使用)の組成は、成分A−2の成分A全体に対する割合が52.1重量%、成分A全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が1g/10分、成分A−2全量に対するエチレン含量が39.3重量%である。
混練造粒した材料は、成分A−2の成分A全体に対する割合が31.6重量%、成分A全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が67g/10分、成分A−1のMFR(230℃、2.16kg荷重)が375g/10分、同部分の分子量分布値(Mw/Mn)が2.6、成分A−2のMFR(算出値)が1.64g/10分、成分A−2全量に対するエチレン含量が40重量%であり、前記キャピラリーレオメータ測定における前記D1/D0(ダイスウェル比)が、前記同様に直線性を示し(変曲点を有せず)、メルトフラクチャーの発生は無い。
混練造粒した材料は、成分A−2の成分A全体に対する割合が33.9重量%、成分A全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が110g/10分、成分A−1のMFR(230℃、2.16kg荷重)が1146g/10分、同部分の分子量分布値(Mw/Mn)が2.5、成分A−2のMFR(算出値)が1.14g/10分、成分A−2全量に対するエチレン含量が40.6重量%であり、前記キャピラリーレオメータ測定における前記D1/D0(ダイスウェル比)が、前記同様に直線性を示し(変曲点を有せず)、メルトフラクチャーの発生は無い。
混練造粒した材料は、成分A−2の成分A全体に対する割合が51.3重量%、成分A全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が50g/10分、成分A−1のMFR(230℃、2.16kg荷重)が298g/10分、同部分の分子量分布値(Mw/Mn)が2.1、成分A−2のMFR(算出値)が9.3g/10分、成分A−2全量に対するエチレン含量が39重量%であり、前記キャピラリーレオメータ測定における前記D1/D0(ダイスウェル比)が、前記同様に直線性を示し(変曲点を有せず)、メルトフラクチャーの発生は無い。
(ア)固体触媒成分の調製
充分に窒素置換した内容積50リットルの撹拌機付槽に、脱水及び脱酸素したn−ヘプタン、20リットルを導入し、次いでMgCl2を10モル、Ti(O−n−C4H9)4を20モル導入し、95℃で2時間反応させた。反応終了後、40℃に温度を下げ、次いでメチルヒドロポリシロキサン(20センチストークスのもの)を12リットル導入し、3時間反応させた。生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
次いで、前記撹拌機付槽を用いて、該槽に上記と同様に精製したn−ヘプタンを5リットル導入し、上記で合成した固体成分をMg原子換算で3モル導入した。次いでn−ヘプタン2.5リットルにSiCl4を5モルを混合して30℃、30分間でフラスコへ導入し、70℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。
次いで、前記撹拌機付槽へn−ヘプタン2.5リットル導入し、フタル酸クロライド0.3モルを混合して、70℃、30分間で導入し、90℃で1時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。
次いでTiCl4を2リットル導入して110℃で3時間反応させた。反応終了後、固体触媒成分を得た。この固体触媒成分のチタン含量は2.0重量%であった。
次いで、窒素置換した前記撹拌機付槽にn−ヘプタンを8リットル、上記で合成した固体触媒成分を400グラム導入し、SiCl4を0.6リットル導入して90℃で2時間反応させた。反応終了後、さらに(CH2=CH)Si(CH3)30.54モル、(t−C4H9)(CH3)Si(OCH3)20.27モル及びAl(C2H5)31.5モルを順次導入して30℃で2時間接触させた。接触終了後、n−ヘプタンで充分に洗浄し、塩化マグネシウムを主体とする固体触媒成分390gを得た。このもののチタン含量は、1.8重量%であった。
内容積400リットルの撹拌機付きステンレス鋼製オートクレーブをプロピレンガスで充分に置換し、重合溶媒として脱水及び脱酸素したn−ヘプタン120リットルを入れた。
次に温度70℃の条件下、トリエチルアルミニウム30g、水素147リットル、及び前記固体成分を17g加えた。オートクレーブを内温75℃に昇温した後、圧力が0.3MPaGになるようにプロピレンの供給をし、重合を開始した。水素は水素/プロピレンが2.0(L/Kg)で、一定速度で供給し、220分後にプロピレン、水素の導入を停止し、器内の未反応ガスを0.03MPaGまで放出し、プロピレン重合体部分を得た(第1重合工程)。
次いで、オートクレーブを内温65℃にセットした後、n−ブタノールを12.5cc導入、次いで、プロピレンを3.5Kg/Hr、エチレンを1.5Kg/Hrで、一定速度で供給し、90分後に供給を停止して、重合を終了した。圧力はエチレン、プロピレン供給開始時0.03MPaGであったが徐々に上昇し、供給停止時0.1MPaGであった(第2重合工程)。
得られたスラリーは、次の撹拌機付き槽に移送し、ブタノールを2.5リットル加え、70℃で3時間処理し、さらに次の撹拌機付き槽に移送して、水酸化ナトリウム20gを溶解した純水100リットルを加え、1時間処理した後、水層を静置後分離し、触媒残渣を除去した。スラリーは遠心分離機で処理し、ヘプタンを除去、80℃の乾燥機で3時間処理しヘプタンを完全に除去、59.6Kgのポリマーを得た。
この製造したプロピレン・エチレンブロック共重合体を、酸化防止剤・中和剤を添加済のペレットとして用いた。
該材料は、成分A−2の成分A全体に対する割合が20重量%、成分A全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が104g/10分、成分A−1のMFR(230℃、2.16kg荷重)が148g/10分、同部分の分子量分布値(Mw/Mn)が5.3、成分A−2のMFR(算出値)が25.3g/10分、成分A−2全量に対するエチレン含量が48.3重量%であり、前記キャピラリーレオメータ測定における前記D1/D0(ダイスウェル比)が直線性を示さず(変曲点を有し)、また、メルトフラクチャーが発生した。
該材料は、成分A−2の成分A全体に対する割合が9.8重量%、成分A全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が136g/10分、成分A−1のMFR(230℃、2.16kg荷重)が210g/10分、同部分の分子量分布値(Mw/Mn)が2.7、成分A−2のMFR(算出値)が2.5g/10分、成分A−2全量に対するエチレン含量が28重量%であり、前記キャピラリーレオメータ測定における前記D1/D0(ダイスウェル比)が、直線性を示し(変曲点を有せず)、メルトフラクチャーの発生は無い。
(i)B−a:化学発泡剤マスターバッチ(永和化成社製、ポリスレンEE25C、発泡剤濃度20%、発生ガス量75〜90ml/2.5g(220℃恒温下×20分))…重炭酸ナトリウム・クエン酸系、低密度ポリエチレンベース。
(i)C−a:エチレン・オクテン共重合体エラストマー(ダウケミカル日本社製、エンゲージ8137、MFR(230℃、2.16kg荷重)30g/10分、オクテン含量42重量%)。
[実施例1〜7、比較例1〜3]
(1)ポリプロピレン系樹脂組成物の製造
成分A及び成分Bを、表1に示す割合で配合し、タンブラーにてブレンドし、製造した。
但し、実施例7のみ、先ず成分A及び成分Cを下記の条件で混練、造粒した後、その造粒物に成分Bをタンブラーにて表1に示す割合でブレンドし、製造した。
混練装置:日本製鋼所社製「TEX30α」型2軸押出機。
混練条件:温度=210℃、スクリュー回転数=300rpm。
前記(1)で製造されたポリプロピレン系樹脂組成物を、下記の条件で成形した。
この際、黒着色マスターバッチ(カーボンブラック30重量%含有低密度ポリエチレンベース)も樹脂組成物全量100重量部に対し、3重量部ブレンドした。
射出成形機:FANUC社製「α−300」。
金型:縦400mm×横200mmで可動型の位置調整により厚さ可変の平板形状のキャビティを有し、その初期キャビティ・クリアランス(T0)が1.5mmのもの。
成形条件:シリンダー温度=210℃、金型温度=40℃、射出率=50%/秒(60cc/秒)、100%/秒(120cc/秒)、及び333%/秒(400cc/秒)、冷却時間=30秒。
成形方法:射出工程が、初期キャビティ・クリアランス(T0)1.5mmである金型キャビティに、溶融状態のポリプロピレン系樹脂組成物を射出充填する工程であり、発泡工程が、金型キャビティ・クリアランス(T1)3〜5mmまで可動型を後退させ、発泡剤による膨張圧力によって金型キャビティの空隙を充填せしめる工程である、型開き射出成形法で行った。なお、この成形方法で得られたすべての発泡成形体は、発泡層の上部にスキン層を有していた。
また、シャルピー衝撃強度用試験片は、前記した様に、前記の各成分A、造粒物(発泡剤(成分B)を除いたもの)を用い、型締圧80トンの射出成形機(東芝機械社製IS80G)を使用し、成形温度200℃、金型温度40℃の条件にて成形した。
前記の成形したものについて、性能評価を行った。結果を表2に示す。
そのため、これらを用いれば、いずれも大幅な軽量化が可能であり、リサイクル性や環境適応性にも優れるので、自動車部品、テレビなどの家電機器、電子製品の部品などを含む工業部品、建材部品、好ましくは自動車部品、とりわけトリム類、天井材、トランク周り、インストルメントパネル、ピラーなどの自動車内装部品などに適する性能を有している。
例えば、(1)成分A(A−g)を配合した比較例1は、発泡成形体の表面外観において、実施例2と著しい差異が生じた。これは、成分Aが、前記キャピラリーレオメータ測定により計算される前記D1/D0(ダイスウェル比)が、剪断速度を横軸(対数)とした時に直線性を示さない(変曲点を有する)事、及び成分A−2のMFRが本発明の要件を満たさないためと考えられる。
また、(2)成分A(A−h)を配合した比較例2は、発泡成形体のべたつき触感及び発泡成形体の表面外観において、実施例2と著しい差異が生じた。
これは、前記D1/D0(ダイスウェル比)が、剪断速度を横軸(対数)とした時に直線性を示さない(変曲点を有する)事、及び成分A−1の分子量分布値(Mw/Mn)が本発明の要件を満たさないためと考えられる。
また、(3)成分A(A−i)を配合した比較例3は、発泡成形体の表面外観において、実施例2と著しい差異が生じた。
これは、成分A−2のエチレン含量が本発明の要件を満たさないためと考えられる。
以上における各実施例と各比較例の結果から、本発明の構成と各要件の合理性と有意性が実証され、さらに本発明の従来技術に対する優位性も明らかである。
3,5 原料プロピレン補給配管
4,6原料補給配管(水素など)
7 活性抑制剤添加用配管
10 重合器(第1重合工程)
11,21 気液分離槽
12,22 反応器上流末端
13,23 未反応ガス抜き出し配管
14,24 反応器下流末端
15,25 凝縮機
16,26 圧縮機
17,27 原料液化プロピレン補給配管
18,28 原料混合ガス供給配管
20 重合器(第2重合工程)
30 脱ガス槽
32,39 重合体抜き出し配管
35 重合体供給配管
Claims (11)
- 金型が固定型と前進及び後退が可能な可動型とから構成される射出成形機または射出圧縮成形機を用い、最終製品の形状位置に相当する金型キャビティ・クリアランス(T1)よりも小さい金型キャビティ・クリアランス(T0)を有する金型キャビティに、溶融状態または半溶融状態のポリプロピレン系樹脂組成物を射出充填する射出工程と、金型キャビティ・クリアランス(T1)まで可動型を後退させ、発泡剤による膨張圧力によって金型キャビティの空隙を充填せしめる発泡工程とからなる型開き射出成形法で、ポリプロピレン系樹脂組成物からなる発泡成形体を製造する方法であって、
前記射出工程において、下記のプロピレン重合体部分(A−1)40〜97重量%、及びプロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A−2)3〜60重量%からなり、且つ、下記の特性(i)〜(iv)を有するプロピレン・エチレンブロック共重合体(成分A)と、発泡剤(成分B)とを含んでなるポリプロピレン系樹脂組成物が、発泡前成形体充填容積100%に対する射出率10〜450%/秒の条件で金型キャビティに射出充填されることを特徴とする、発泡成形体の製造方法。
特性(i):ブロック共重合体(成分A)全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が50〜300g/10分である。
特性(ii):プロピレン重合体部分(A−1)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が100〜1500g/10分であり、且つ、分子量分布値(Mw/Mn)が3.5以下である。
特性(iii):プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A−2)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.8〜55g/10分であり、且つ、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A−2)全量に対するエチレン含量が35〜60重量%である。
特性(iv):成分Aを180℃キャピラリーレオメータにおける剪断速度400〜10000/sで押出した時の押出溶融体の測定値(直径D1)と、オリフィス径D0から計算されるD1/D0(ダイスウェル比)が、剪断速度(対数)に対して、直線性を示す(変曲点を有しない)。 - エラストマー(成分C)が、さらに成分A100重量部に対して、1〜50重量部含有されることを特徴とする、請求項1に記載の発泡成形体の製造方法。
- エラストマー(成分C)が、エチレン・オクテン共重合体エラストマー及び/またはエチレン・ブテン共重合体エラストマーであり、且つ、樹脂組成物全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が80〜300g/10分であることを特徴とする、請求項2に記載の発泡成形体の製造方法。
- フィラー(成分D)が、さらに成分A100重量部に対して、1〜60重量部含有されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発泡成形体の製造方法。
- 発泡剤(成分B)が、化学発泡剤であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発泡成形体の製造方法。
- 発泡剤(成分B)が、超臨界状態の二酸化炭素及び/または超臨界状態の窒素であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発泡成形体の製造方法。
- 有機過酸化物を配合したことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発泡成形体の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法で製造された、ポリプロピレン系樹脂組成物を発泡成形して得られる発泡成形体。
- 発泡層の上にスキン層を有し、且つ、発泡倍率が2〜10倍であることを特徴とする、請求項8に記載の発泡成形体。
- ポリプロピレン系樹脂組成物を射出発泡成形(黒着色、発泡前成形体充填容積100%に対する射出率=100%/秒)し、発泡成形体表面のスキャナ画像解析すると、明度256階調(0〜255階調)中、明度100〜255階調の範囲の画素数割合が、画素数全体の15%以下であることを特徴とする、請求項8または9に記載の発泡成形体。
- 用途が、自動車部品用であることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか1項に記載の発泡成形体。
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