JP5025621B2 - ポリプロピレン系樹脂組成物およびその発泡ブロー成形体 - Google Patents
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Description
従来のポリプロピレンでは、発泡状態のパリソンを型内で加圧空気によりブローすると、溶融張力が小さいため、発泡状態の気泡が押しつぶされてしまい、十分な発泡状態の中空成形品を得ることは困難であった。
また、放射線照射により長鎖分岐が導入された、通常の線状ポリプロピレン系樹脂に比べて溶融張力が高い、ポリプロピレン系樹脂がサンアロマー社よりHMS−PP(ハイ・メルトストレングス・ポリプロピレン)として市販されている。
こうした状況下に、従来技術における問題点を解消し、剛性、断熱性、耐ドローダウン性等の溶融加工特性が良好で、熱安定性が向上されるとともに熱安定性(リターン性)にも優れたプロピレン系樹脂組成物が求められている。
因みに、本明細書で、表面外観に優れるとは、表面の平滑性が良好な外観を呈すことを意味し、発泡ブロー成形性が良好とは、耐ドローダウン性及びリターン性が良好であり、設定発泡倍率通りに発泡し、セル形態としてセル径が均一であることを意味する。
特性(i):直鎖状プロピレン重合体部分のメルトフローレート(230℃、21.18N荷重)が120g/10分以上である。
特性(ii):直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体部分の直鎖状プロピレン・エチレンブロック共重合体(成分B)全体に対する割合が2〜50重量%である。
特性(iii):直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体部分の固有粘度[η]copolyが5.3〜10.0dl/gである。
特性(iv):メルトフローレート(230℃、21.18N荷重)が45g/10分以上である。
特性(v):ダイスウエル比が1.2〜2.5である。
特性(vi):180℃伸張粘度測定において歪硬化性を示す。
(1)第1の発明において、直鎖状プロピレン・エチレンブロック共重合体(成分B)の直鎖状プロピレン重合体部分は、多段重合法、好ましくは二段重合法により重合されたものであることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
(2)第1の発明において、直鎖状プロピレン・エチレンブロック共重合体(成分B)は、180℃伸張粘度測定における歪硬化性を有し、180℃伸張粘度測定において、歪速度が1.0/secにおける歪硬化度(λmax)の値が2.0以上であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
特性(i):直鎖状プロピレン重合体部分のMFR(230℃、21.18N荷重)が120g/10分以上である。
特性(ii):直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体部分の直鎖状プロピレン・エチレンブロック共重合体(成分B)全体に対する割合が2〜50重量%である。
特性(iii):直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体部分の固有粘度[η]copolyが5.3〜10.0dl/gである。
特性(iv):MFR(230℃、21.18N荷重)が45g/10分以上である。
特性(v):ダイスウエル比が1.2〜2.5である。
特性(vi):180℃伸張粘度測定において歪硬化性を示す。
本発明において使用する結晶性ポリプロピレン(成分A)としては、プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレン、ブテン−1等の他のα−オレフィンとのランダム共重合体又はブロック共重合体等が挙げられ、これらは併用することもできる。
本発明において使用する結晶性ポリプロピレンは、MFR(JIS K7210、230℃、21.18N荷重で測定)が0.05〜2g/10分、好ましくは0.1〜1.5g/10分、より好ましくは0.2〜1.2g/10分である。下限未満では溶融延展性が低下し、上限を越えると、耐ドローダウン性が低下する。
融点は、DSC測定で結晶の融解に基づく吸熱ピークとして測定できる。本発明に係る結晶性ポリプロピレンは、融点が好ましくは110〜175℃、より好ましくは150〜170℃(A)である。
なお、融点は、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ社製DSC6200)を使用し、シート状にしたサンプル片を5mgアルミパンに詰め、50℃から一旦200℃まで昇温速度100℃/分で昇温し、5分間保持した後に、10℃/分で40℃まで降温して結晶化させ1分間保持した後、10℃/分で200℃まで昇温させた時の融解最大ピーク温度として求める。
本発明で用いられる直鎖状プロピレン・エチレンブロック共重合体(成分B)は、直鎖状プロピレン重合体部分と直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体部分とからなる直鎖状プロピレン・エチレンブロック共重合体である。
直鎖状プロピレン・エチレンブロック共重合体は、下記特性(i)〜(vi)を有し、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物において、優れた表面外観、および高度な発泡ブロー成形性(発泡倍率、発泡状態)、表面外観を発現することに寄与する特徴を有する。
特性(i):直鎖状プロピレン重合体部分のMFR(230℃、21.18N荷重)が120g/10分以上である。
特性(ii):直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体部分の直鎖状プロピレン・エチレンブロック共重合体全体に対する割合が2〜50重量%である。
特性(iii):直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体部分の固有粘度[η]copolyが5.3〜10.0dl/gである。
特性(iv):MFR(230℃、21.18N荷重)が45g/10分以上である。
特性(v):ダイスウエル比が1.2〜2.5である。
特性(vi):180℃伸張粘度測定において歪硬化性を示す。
例えば、13C−NMR分析により、分岐炭素に基づく31.5〜31.7ppmにピークが観測されないことで確認できる(Macromol.chem.phys.2003年、Vol.204、1738頁参照。)。
また、一種の網目状に近似した状態を呈していることにより、直鎖状プロピレン重合体部分と、直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体部分との相溶性がより一段と高められていると、考察されている。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に用いられる直鎖状プロピレン・エチレンブロック共重合体(成分B)の製造法は、特性(i)〜(vi)を有している限り、特に限定されるものではなく、公知の重合方法、重合条件の中から適宜に選択でき、例えば以下の方法が挙げられる。
プロピレンの重合触媒としては、通常、高立体規則性触媒が用いられる。例えば、四塩化チタンを有機アルミニウム化合物で還元し、更に各種の電子供与体及び電子受容体で処理して得られた三塩化チタン組成物と有機アルミニウム化合物及び芳香族カルボン酸エステルを組み合わせた触媒(特開昭56―100806号、特開昭56−120712号、特開昭58−104907号の各公報参照。)、及び、ハロゲン化マグネシウムに四塩化チタンと各種の電子供与体を接触させた担持型触媒(特開昭57−63310号、同63−43915号、同63−83116号の各公報参照。)等を例示することができる。
直鎖状プロピレン重合体部分の多段重合法としては、以下に示す工程(1)と工程(2)による二段重合法を、例示することができる。
工程(1):プロピレンを、分子量調節剤としての水素の存在下で重合する。分子量が大きすぎる重合体の生成を抑制するためである。水素は、直鎖状プロピレン重合体部分のMFRが120g/10分以上になるように、添加される。水素濃度としては、全モノマー量に対して通常0.1〜40モル%の範囲から選択される。また、重合温度は通常40〜90℃、圧力は2×105〜35×105Paの範囲から選択される。この工程(1)で得られる重合体の量は、通常全重合量の80〜99重量%となるように調整される。
直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体部分の重合は、高分子量の重合体を重合するために、なるべく低濃度の水素雰囲気下もしくは、実質上水素の存在しない状態で重合することが好ましい。重合は、直鎖状プロピレン重合体部分重合工程で生成したプロピレン重合体及び触媒の存在下、引き続いて行われる。重合温度は通常40〜90℃、圧力は2×105〜35×105Paの範囲から選択される。
特性(i):
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に用いられる成分Bの直鎖状プロピレン重合体部分のMFR(230℃、21.18N荷重)は、120g/10分以上、好ましくは135〜3000g/10分、さらに好ましくは150〜2000g/10分である。MFRが120g/10分未満であると、ポリプロピレン系樹脂組成物および発泡ブロー成形体の表面外観、発泡ブロー成形性がそれぞれ悪化する。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に用いられる成分Bの直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体部分の直鎖状プロピレン・エチレンブロック共重合体全体に対する構成割合は、2〜50重量%であり、好ましくは5〜40重量%であり、より好ましくは7〜20重量%である。すなわち、直鎖状プロピレン重合体部分の直鎖状プロピレン・エチレンブロック共重合体全体に対する割合は、50〜98重量%、好ましくは60〜95重量%、より好ましくは80〜93重量%である。直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体部分が2重量%未満である(すなわち、直鎖状プロピレン重合体部分が98重量%を超える)と、ポリプロピレン系樹脂組成物および発泡ブロー成形体の発泡ブロー成形性や耐ドローダウン性が悪化する。一方、直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体部分の割合が50重量%を超える(すなわち、直鎖状プロピレン重合体部分が50重量%未満である)と、表面外観、発泡ブロー成形性が悪化したり、流動性が低下し、装置への負荷が高くなり生産性が低下する傾向がある。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に用いられる成分Bの直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体部分の固有粘度[η]copolyは、5.3dl/g以上、好ましくは6.0dl/g以上、より好ましくは6.5dl/g以上であり、10.0dl/g以下、好ましくは9.5dl/g以下、より好ましくは9.0dl/g以下である。固有粘度[η]copolyが5.3dl/g未満であると、ポリプロピレン系樹脂組成物および発泡ブロー成形体の発泡ブロー成形性が悪化する。また、固有粘度[η]copolyが10.0dl/gを超えると、表面外観が悪化する。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に用いられる直鎖状プロピレン・エチレンブロック共重合体(成分B)全体のMFR(230℃、21.18N荷重)は、45g/10分以上、好ましくは50g/10分以上、より好ましくは70〜500g/10分、さらに好ましくは100〜300g/10分である。MFRが45g/10分未満であると、ポリプロピレン系樹脂組成物および発泡ブロー成形体の表面外観および射出発泡成形性が悪化するほか、流動性が低下し、装置への負荷が高くなり生産性が低下する傾向がある。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に用いられる成分B全体のダイスウエル比は、1.2〜2.5、好ましくは1.3〜2.4であり、より好ましくは1.4〜2.3である。ダイスウエル比が1.2未満であると、ポリプロピレン系樹脂組成物が高倍率において良好なセル形態を保てず、発泡ブロー成形性が悪化する。一方、ダイスウエル比が2.5を超えるものは、工業的に製造が難しいので実用性が小さい。
ダイスウエル比は、構成する直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体部分の重合時において、なるべく低濃度の水素雰囲気下もしくは、実質的に水素の存在しない状態で重合を行い、分子量を高く制御することにより、大きな値とすることができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に用いられる直鎖状プロピレン・エチレンブロック共重合体は、180℃伸張粘度測定において歪硬化性を示すものである。この180℃伸張粘度測定において歪硬化性を示すことの効果は、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物において、発泡ブロー成形時のダイス開放部での破泡等に起因する表面平滑性が美麗になり易く、また、高倍率で、均一微細な気泡を有する発泡ブロー成形体が得られ易くなることである。
また、歪硬化性を評価する方法に関しては、一軸伸長粘度を測定できれば、どのような方法でも原理的に同一の値が得られるが、例えば、測定方法及び測定機器の詳細は、公知文献:Polymer 42(2001)8663に記載の方法があるが、好ましい測定方法としては、測定装置として、Rheometorics社製 Ares(冶具:ティーエーインスツルメント社製 Extentional Viscosity Fixture)や、東洋精機社製、Melten Rheometerを用いる方法が挙げられる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に用いられる成分Bは、分子量分布を表す重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Q値=Mw/Mn)が好ましくは7〜13、より好ましくは8〜12である。Q値が7以上であると、ポリプロピレン系樹脂組成物が良好なセル形態を保て、高倍率な発泡成形体が得られやすくなる傾向がある。一方、Q値が13以下の直鎖状プロピレン・エチレンブロック共重合体は、製造が容易で経済性に勝る。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物においては、次に述べる特定のスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(c1)(以下、単に「成分(c1)」と略称するときもある)、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(c2)(以下、単に「成分(c2)」と略称するときもある)、またはエチレン重合体樹脂(c3)(以下、単に「成分(c3)」と略称するときもある)から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂(成分C)(以下、単に「成分(C)」と略称するときもある)が必要に応じて配合されていてもよい。
成分(C)の配合により、溶融張力が改良できる効果がある。
本発明において使用するスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物は、共役ジエンとしてブタジエン、イソプレン等を使用したブロック共重合体の水素添加物であり、例えば、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン(SEBS)やスチレン・エチレン・プロピレン・スチレン(SEPS)の他、スチレンとブタジエン及びイソプレンの併用ブロック共重合体の水素添加物等がある。ここでスチレンとしては、α−メチルスチレンやp−メチルスチレン等のスチレン誘導体を使用することもできる。
本発明において、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムは、塗装性等の改善のために添加することができる。
本発明において使用するエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムは、α−オレフィンとしてプロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等を使用した共重合体ゴムであって、第三成分としてエチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン等の非共役ジエンを含有成分とする三元共重合体ゴム(いわゆる、EPDM)であってもよい。
本発明において使用するエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムの密度は、好ましくは0.890g/cm3以下、より好ましくは0.885g/cm3以下である。
本発明において使用するエチレン重合体樹脂としては、エチレン単独重合体の他に、主成分のエチレンとブテン−1、ヘキセン−1等の他のエチレン性単量体との共重合体が挙げられ、具体的には、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等がある。エチレン重合体樹脂は、耐ドローダウン性の向上に効果がある。
本発明において使用する結晶性ポリプロピレン(成分A)の含有量は、25重量%以上、好ましくは28重量%以上、より好ましくは30重量%以上である。また、結晶性ポリプロピレン(成分A)の含有量は、90重量%以下、好ましくは84.5重量%以下、より好ましくは79重量%以下である。成分Aの含有量が、90重量%を超えると、発泡性が低下する傾向があり、一方、25重量%未満では、ブロー特性が低下し、溶融張力、耐ドローダウン性が低下する傾向がある。
なお、本発明において、成分Aと成分Bと成分Cとの合計量は、100重量%である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物においては、上記成分A、成分B、および成分C以外に、さらに必要に応じ、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、たとえば発明効果をさらに向上させたり、他の効果を付与するなどのため、任意の添加成分を配合することができる。
具体例としては、ヒンダードアミン化合物として、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの縮合物;ポリ〔〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕;テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート;テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート;ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート;ビス−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルセバケートなどが挙げられ、ベンゾトリアゾール系としては、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどが挙げられ、ベンゾフェノン系としては2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン;2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンなどが挙げられ、サリシレート系としては、4−t−ブチルフェニルサリシレート;2,4−ジ−t−ブチルフェニル3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
具体例としては、無機系としてタルク;シリカなどが挙げられ、ソルビトール系として、1,3,2,4−ジベンジリデン−ソルビトール;1,3,2,4−ジ−(p−メチル−ベンジリデン)ソルビトール;1,3,2,4−ジ−(p−エチル−ベンジリデン)ソルビトール;1,3,2,4−ジ−(2’,4’−ジ−メチル−ベンジリデン)ソルビトール;1,3−p−クロロベンジリデン−2,4−p−メチル−ベンジリデン−ソルビトール;1,3,2,4−ジ−(p−プロピルベンジリデン)ソルビトールなどが挙げられ、カルボン酸金属塩系として、アルミニウム−モノ−ヒドロキシ−ジ−p−t−ブチルベンゾエート;安息香酸ナトリウム;モンタン酸カルシウムなどが挙げられ、さらに、有機リン酸塩系として、ソジウムビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート;ソジウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート;リチウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートなどが挙げられる。
具体例として、無機系顔料としては、酸化チタン;酸化鉄(ベンガラ等);クロム酸(黄鉛など);モリブデン酸;硫化セレン化物;フェロシアン化物およびカーボンブラックなどが挙げられ、有機系顔料としては、難溶性アゾレーキ;可溶性アゾレーキ;不溶性アゾキレート;縮合性アゾキレート;その他のアゾキレートなどのアゾ系顔料;フタロシアニンブルー;フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料;アントラキノン;ペリノン;ペリレン;チオインジゴなどのスレン系顔料;染料レーキ;キナクリドン系;ジオキサジン系;イソインドリノン系などが挙げられる。また、メタリック調やパール調にするには、アルミフレーク;パール顔料を含有させることができる。また、染料を含有させることもできる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール;テトラキス[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]−メタン;トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレートなどが挙げられる。また、リン系酸化防止剤としては、例えば、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト;トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト;トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)フォスファイトなどが挙げられる。また、イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジステアリルチオジプロピオネートなどが挙げられる。
具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルアミン;ポリオキシエチレンアルキルアミド;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;ステアリン酸モノグリセリド;アルキルジエタノールアミン;アルキルジエタノールアミド;アルキルジエタノールアミン脂肪酸モノエステル;テトラアルキルアンモニウム塩などが挙げられる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法としては、上記成分A、成分B、さらに必要に応じ、成分Cおよび後述する成分Dなどを、上記配合割合で配合して、まぶしたり、ハンドブレンドするなどドライブレンドする方法、Vブレンダー、タンブラーミキサーなど各種のブレンダー、ミキサーなどを用いて混合する方法、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダーなど通常の混練機を用いて混練・造粒する方法、および、前記各成分を各々別個に(または一部をブレンドして)そのまま発泡剤とともに成形機に直接供給する方法などを挙げることができる。
本発明における発泡ブロー成形体を製造するための発泡ブロー成形方法としては、特に制限されず、通常、ダイレクトブロー成形機やアキューム式ブロー成形機などを用いる発泡成形法が挙げられる。
また、本発明の発泡ブロー成形体は、非発泡層、バリア層等との積層構造であってもよい。
本発明で用いられる発泡剤(成分D)は、化学発泡剤、物理発泡剤およびマイクロカプセルなどであり、ポリプロピレン系樹脂組成物において、良好な発泡ブロー成形性(発泡倍率、発泡状態)を発現させるなどの目的で用いられる。
また、化学発泡剤は、取扱性、貯蔵安定性、ポリプロピレン系樹脂への分散性などの点から、ポリオレフィン系樹脂を基材としたマスターバッチとして造粒加工した後に、使用することもできる。これにより成形機のホッパーの汚染、成形体表面への粉の付着を抑制することができる。この場合、通常10〜50重量%濃度のポリオレフィン系樹脂のマスターバッチとして使用されるのが好ましい。
また、一度化学発泡剤を添加し、ペレット化により化学発泡剤を分解させたものであっても良く、さらに予め、高濃度の化学発泡剤を分解させ、その残渣を添加しても良い。化学発泡剤は、ブロー成形機のシリンダー中で分解し、その発泡残渣が発泡核剤となりうる。
不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、アスタチンなどが挙げられ、低沸点有機溶剤の蒸気としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパン、ブタン、ペンタンなどが挙げられ、ハロゲン系不活性溶剤の蒸気としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、フロン、三フッ化窒素などが挙げられる。これらの中で、蒸気にする必要が無く、安価で、環境汚染、火災の危険性が極めて少ないことから、不活性ガスや炭酸ガス、空気を使用することが好ましく、なかでも炭酸ガス、窒素、アルゴン、ヘリウムが好ましく、とりわけ、炭酸ガス、窒素が好ましい。
さらに、物理発泡剤は、超臨界状態であることが好ましく、これにより樹脂中へのガス溶融が容易になる利点がある。
物理発泡剤は、射出成形機のシリンダー内などの前記ポリプロピレン樹脂組成物などに、ガス状または超臨界流体として注入され、分散または溶解されるもので、ダイスリップから、圧力開放されることによって、発泡剤として機能するものである。
物理発泡剤の添加量は、ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して、0.5〜30重量部、好ましくは1〜15重量部程度である。
これらマイクロカプセルは、通常、前記ポリプロピレン樹脂組成物などと予め混合するなどしてからブロー成形機などに供給され、使用される。
マイクロカプセルの添加量は、ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して、0.5〜30重量部、好ましくは1〜15重量部程度である。
本発明の発泡ブロー成形体の用途としては、自動車部品、住宅、建設設備向け部品等が挙げられる。自動車部品としては、ダクト類、配管の保護被覆材、レゾネーター、デッキボード等、住宅、建設設備向け部品としては、断熱パネル、日用雑貨、タンク類などに、好適に用いることができる。
なお、実施例で用いた評価法、分析の各法および材料は、以下の通りである。
(1)表面外観:
発泡成形体の表面平滑性を、次の3段階で評価した。
手で表面をなでてすべすべするもの・・・・・・・・・・○
手で表面をなでてざらざらするもの・・・・・・・・・・△
手で表面をなでて凹凸が感じられるもの・・・・・・・・×
この場合、○および△が実用性を有すると、判断されるレベルである。
原料のポリプロピレン重合体組成物と化学発泡剤とをダイレクトブロー成形機に供給し、ダイス設定温度170℃で発泡状態のパリソンを溶融押し出しした。原料のポリプロピレン系樹脂組成物の比重と得られたパリソンの比重との比を発泡倍率とした。比重は水中置換法によって求めた。
発泡成形体を厚み方向に切断した断面の顕微鏡写真を目視で観察し、評価した。評価基準は、次の3段階である。
セル径が細かく全体に均一であるもの・・・・・・・・・・・・・・・○
セル径が細かく一部不均一であるもの・・・・・・・・・・・・・・・△
セル径が全体に不均一であるもの、または完全に剥離しているもの・・×
この場合、○および△が実用性を有すると、判断されるレベルである。
成形材料をダイレクトブロー成形機に供給し、ダイス設定温度170℃で発泡状態のパリソンを長さ1.0m押し出した時のパリソン下部肉厚に対するパリソン上部肉厚の比が0.8〜1.0のものを良好、0.8未満のもの又は成形不良若しくは成形不能のものを不良とした。
成形材料をダイレクトブロー成形機に供給し、ダイス設定温度170℃で発泡状態のパリソンを長さ1.0m押し出した。そのパリソンを粉砕機で粉砕し、ダイレクトブロー成形機で成形した。5回以上繰返してもパリソンが安定しているものを◎とし、3回以上5回未満繰返してもパリソンが安定しているものを○、1回以上3回未満繰返してパリソンが安定しているものを×、ドローダウンが大きく1度も繰返し製品化できないものを××とした。
JIS K7210準拠。試験温度:230℃、荷重:21.18N。
(株)東洋精機製キャピログラフを使用して、温度190℃に加熱した直径10mmのシリンダーに樹脂を入れ、押し込み速度10mm/分で溶融樹脂を直径2.095mm、長さ8mmのオリフィスから押し出した樹脂を速度4.0m/分で引き取っていった時にプーリーに検出される張力を溶融張力(MT)とする。
(株)東洋精機製キャピログラフを使用して、温度190℃に加熱した直径10mmのシリンダーに樹脂を入れ、押し込み速度10mm/分で溶融樹脂を直径2.095mm、長さ8mmのオリフィスから押し出した樹脂を速度4.0m〜200m/分で引き取り、溶融樹脂が破断する時の速度を測定してパリソン延展性の指標とする。
(a)使用する分析装置:
(a−1)クロス分別装置:
ダイヤインスツルメンツ社製CFC T−100(CFCと略す)
(a−2)フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析:
FT−IR、パーキンエルマー社製 1760X
CFCの検出器として取り付けられていた波長固定型の赤外分光光度計を取り外して、代わりにFT−IRを接続し、このFT−IRを検出器として使用する。CFCから溶出した溶液の出口からFT−IRまでの間のトランスファーラインは1mの長さとし、測定の間を通じて140℃に温度保持する。FT−IRに取り付けたフローセルは、光路長1mm、光路幅5mmφのものを用い、測定の間を通じて140℃に温度保持する。
(a−3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC):
CFC後段部分のGPCカラムは、昭和電工社製AD806MSを3本直列に接続して使用する。
(b−1)溶媒:オルトジクロルベンゼン(ODCB)
(b−2)サンプル濃度:4mg/mL
(b−3)注入量:0.4mL
(b−4)結晶化:140℃から40℃まで約40分かけて降温する。
(b−5)分別方法:
昇温溶出分別時の分別温度は、40、100、140℃とし、全部で3つのフラクションに分別する。なお、40℃以下で溶出する成分(フラクション1)、40〜100℃で溶出する成分(フラクション2)、100〜140℃で溶出する成分(フラクション3)の溶出割合(単位:重量%)を各々W40、W100、W140と定義する。W40+W100+W140=100である。また、分別した各フラクションは、そのままFT−IR分析装置へ自動輸送される。
(b−6)溶出時溶媒流速:1mL/分
CFC後段のGPCから試料溶液の溶出が開始した後、以下の条件でFT−IR測定を行い、上述した各フラクション1〜3について、GPC−IRデータを採取する。
(c−1)検出器:MCT
(c−2)分解能:8cm−1
(c−3)測定間隔:0.2分(12秒)
(c−4)一測定当たりの積算回数:15回
各温度で溶出した成分の溶出量と分子量分布は、FT−IRによって得られる2945cm−1の吸光度をクロマトグラムとして使用して求める。溶出量は、各溶出成分の溶出量の合計が100%となるように規格化する。保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
(d−1)標準ポリスチレンを使用する較正曲線作成時:
K=0.000138、α=0.70
(d−2)成分Bのサンプル測定時:
K=0.000103、α=0.78
各溶出成分のエチレン含有量分布(分子量軸に沿ったエチレン含有量の分布)は、FT−IRによって得られる2956cm−1の吸光度と2927cm−1の吸光度との比を用い、ポリエチレンやポリプロピレンや13C−NMR測定等によりエチレン含有量が既知となっているエチレン−プロピレンラバー(EPR)及びそれらの混合物を使用して予め作成しておいた検量線により、エチレン含有量(重量%)に換算して求める。
本発明に用いられる成分B中のエチレン・プロピレンランダム共重合体部分の含量(Wc)は、下記式(I)で理論上は定義され、以下のような手順で求められる。
Wc(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/B100 …(I)
式(I)中、W40、W100は、上述した各フラクションでの溶出割合(単位:重量%)であり、A40、A100は、W40、W100に対応する各フラククションにおける実測定の平均エチレン含有量(単位:重量%)であり、B40、B100は、各フラクションに含まれる直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体部分のエチレン含有量(単位:重量%)である。A40、A100、B40、B100の求め方は後述する。
種々のモデル試料を使用して検討を行った結果、B40はフラクション1の微分分子量分布曲線のピーク位置に相当するエチレン含有量を使用すると、材料物性の改良効果をうまく説明することができることがわかった。また、B100はエチレン連鎖由来の結晶性を持つこと、および、これらのフラクションに含まれる直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体の量がフラクション1に含まれる直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体の量に比べて相対的に少ないことの2点の理由により、100と近似する方が、実態にも近く、計算上も殆ど誤差を生じない。そこでB100=100として解析を行うことと、している。
Wc(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/100 …(II)
つまり、(II)式右辺の第一項であるW40×A40/B40は、結晶性を持たない直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体含有量(重量%)を示し、第二項であるW100×A100/100は、結晶性を持つ直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体部分含有量(重量%)を示す。
ここで、B40およびCFC測定により得られる各フラクション1および2の平均エチレン含有量A40、A100は、次のようにして求める。
微分分子量分布曲線のピーク位置に対応するエチレン含有量がB40となる。また、測定時にデータポイントとして取り込まれる、各データポイント毎の重量割合と各データポイント毎のエチレン含有量の積の総和がフラクション1の平均エチレン含有量A40となる。フラクション2の平均エチレン含有量A100も同様に求める。
本発明に用いられる成分Bにおける直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体部分のエチレン含量は、前述で説明した値を用い、次式から求められる。
直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体部分のエチレン含量(重量%)=(W40×A40+W100×A100)/Wc
[但し、Wcは、先に求めた直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体部分の比率(重量%)である。]
本発明に用いられる成分Bにおける直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体部分の固有粘度[η]copolyは、次の様に求められる。
まず、直鎖状プロピレン重合体部分の重合終了後、一部を重合槽よりサンプリングし、該部分の固有粘度[η]homoを測定する。次に、直鎖状プロピレン重合体部分を重合した後、直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体部分を重合して得られた最終重合物(F)の固有粘度[η]Fを測定する。この測定は、ウベローデ型粘度計を用いてデカリンを溶媒として温度135℃で行う。[η]copolyは、以下の関係から求める。
[η]F=(100−Wc)/100×[η]homo+Wc/100×[η]copoly
ダイスウエル比は、下記の方法で求める値である。
MFR計のシリンダー内温度を190℃に設定する。オリフィスは長さ8.00mm、径1.00mmφ、L/D=8を用いる。また、オリフィス直下にエチルアルコールを入れたメスシリンダーを置く(オリフィスとエチルアルコール液面との距離は、20±2mmにする。)。この状態でサンプルをシリンダー内に投入し、1分間の押出量が0.10±0.03gになるように荷重を調節する。6分後から7分後の押出物をエタノール中に落とし、固化してから採取する。採取した押出物のストランド状サンプルの直径を上端から1cm部分と、下端から1cm部分、及び中央部分の3箇所で最大値、最小値を測定し、計6箇所測定した直径の平均値をもってダイスウェル比とする。
歪硬化性は、下記の方法で測定する。
(a)装置:Rheometorics社製 Ares
(b)冶具:ティーエーインスツルメント社製 Extentional Viscosity Fixture
(c)試験温度:180℃
(d)歪み速度:1.0/sec
(e)サンプル試験片:15mm×10mm、厚さ0.5mmのプレス成形シート
歪み速度1.0/secの場合の伸長粘度を、横軸に歪み量、縦軸に伸長粘度ηE(Pa・s)の両対数グラフでプロットする。歪み量が大きくなるにしたがって、伸長粘度がしだいに大きくなり、ある歪み量のときから、それまでに比べ伸長粘度の増加率が急激に増大するときが、歪硬化性を示す場合であり、このケースを歪硬化性「有」とした。一方、上述現象が実質認められない場合を歪硬化性「無」とした。
上記の両対数グラフ上で、歪み硬化を起こす直前の粘度を直線で近似し、歪み量が4.0となるまでの伸長粘度ηEの最大値(ηmax)を求め、また、その歪み量までの近似直線上の粘度をηlinとする。ηmax/ηlinを、λmaxと定義する。
なお、歪速度は、0.001/sec〜10.0/secの範囲で測定可能であり、歪硬化度は歪速度の違いで変化する。
本発明に用いられる成分BのQ値は、前述のクロス分別装置におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定のフラクション1〜3の分子量分布曲線を合成処理して作成した成分B全体の分子量分布曲線より求める。この分子量分布曲線から重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を算出する方法は、公知の方法に従い、Mw/MnをもってQ値とする。
(1)成分A:結晶性ポリプロピレン
(A−1):日本ポリプロ製ノバテックEC9(MFR0.5g/10分、融点161℃のエチレン・プロピレンブロック共重合体)
(A−2):日本ポリプロ製ノバテックBC4(MFR6.5g/10分、融点163℃のエチレン・プロピレンブロック共重合体)
(B−1):チーグラー系触媒で重合され、直鎖状プロピレン重合体部分のMFR(230℃、21.18N荷重)が300g/10分、直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体部分の成分B全体に対する割合が7.4重量%、直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体部分の固有粘度[η]copolyが7.2dl/g、成分B全体のMFR(230℃、21.18N荷重)が105g/10分、成分B全体のダイスウェル比が1.6であり、180℃伸張粘度測定において歪硬化性を示し(歪硬化性「有」)、その歪硬化度(λmax)が3.73であり、さらに、成分B全体のQ値が8.1、直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体部分のエチレン含量が35重量%(クロス分別法測定)、直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体部分のMwが124万(クロス分別GPC測定)の直鎖状プロピレン・エチレンブロック共重合体。
(C−1):スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物としてクレイトンポリマーズグループ製クレイトンG1651(密度が0.91g/cm3、スチレン含有量32重量%、BMS0380法による粘度1.5Pa・sであるスチレン・ブチレン・スチレン共重合体の水素添加物(SEBS))。
(C−2):ダウケミカル製エンゲージ8150(MFR1.0g/10分、密度0.868g/cm3ムーニー粘度33のエチレン・1−オクテン共重合体)。
(C−3):日本ポリエチレン製ノバテックHB332R(MFR0.5g/10分、密度0.952g/cm3の高密度ポリエチレン)。
(D−1):化学発泡剤マスターバッチ(永和化成社製ポリスレンEE25C、発泡剤濃度20%、発生ガス量75〜90ml/2.5g(220℃恒温下×20min))…重炭酸ナトリウム・クエン酸系、低密度ポリエチレンベース。
結晶性ポリプロピレン(成分A)であるA−1を55重量%と、直鎖状プロピレン・エチレンブロック共重合体(成分B)であるB−1を40重量%と、熱可塑性樹脂(成分C)であるC−1を5重量%とを配合した混合物100重量部に対して、安定剤として、フェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製:イルガノックス1010)を0.1重量部、リン系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ社製:イルガフォス168)を0.05重量部添加し、ミキサーで混合した後、二軸押出機で溶融混練し、押出温度200℃にてストランドを押し出し冷却カットして、造粒しペレット状のポリプロピレン樹脂組成物を得た。
得られたポリプロピレン樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)、190℃時の溶融張力(MT)、190℃時の溶融延展性(MEL)評価結果を表1に示す。
また、得られたポリプロピレン樹脂組成物100重量部に対して、発泡剤を3重量部添加し、スクリュー径50mmΦのダイレクトブロー成形機により、ダイスリップの温度170℃で、発泡したパリソンの性能評価を行った。評価結果を表1に示す。
直鎖状プロピレン・エチレンブロック共重合体(成分B)をB−2とする以外は、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
直鎖状プロピレン・エチレンブロック共重合体(成分B)をB−3とする以外は、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
熱可塑性樹脂(成分C)をC−2とする以外は、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
熱可塑性樹脂(成分C)をC−3とする以外は、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
ポリプロピレン系樹脂組成物の配合を、結晶性ポリプロピレン(成分A)であるA−1を70重量%と、直鎖状プロピレン・エチレンブロック共重合体(成分B)であるB−2を30重量%とする以外は、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
ポリプロピレン系樹脂組成物の配合を、結晶性ポリプロピレン(成分A)であるA−1を35重量%と、直鎖状プロピレン・エチレンブロック共重合体(成分B)であるB−2を60重量%と、熱可塑性樹脂(成分C)であるC−1を5重量%とする以外は、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
結晶性ポリプロピレン(成分A)をA−2する以外は、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
直鎖状プロピレン・エチレンブロック共重合体(成分B)をB−4とする以外は、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
直鎖状プロピレン・エチレンブロック共重合体(成分B)をB−5とする以外は、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
直鎖状プロピレン・エチレンブロック共重合体(成分B)をB−6とする以外は、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
ポリプロピレン系樹脂組成物の配合を、結晶性ポリプロピレン(成分A)であるA−1を50重量%と、直鎖状プロピレン・エチレンブロック共重合体の代わりに市販の長鎖分岐型ポリプロピレンであるB−7を50重量%とする以外は、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
ポリプロピレン系樹脂組成物の配合を、直鎖状プロピレン・エチレンブロック共重合体(成分B)であるB−3を95重量%と、熱可塑性樹脂(成分C)であるC−1を5重量%とする以外は、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
ポリプロピレン系樹脂組成物の配合を、結晶性ポリプロピレン(成分A)であるA−1を95重量%と、熱可塑性樹脂(成分C)であるC−1を5重量%とする以外は、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
結晶性ポリプロピレン(成分A)であるA−2と実施例1と同様の発泡剤(D)を配合し、実施例1と同条件でブロー成形条件を実施し、発泡したパリソンの下記性能評価を行った。評価結果を表2に示す。
以上における、各実施例と各比較例の結果からして、本発明の構成と各要件の合理性と有意性が実証され、さらに本発明の従来技術に対する優位性も明らかにされている。
Claims (4)
- メルトフローレート(230℃、21.18N荷重)が0.05〜2g/10分の結晶性ポリプロピレン(成分A)25〜90重量%と、直鎖状プロピレン重合体部分と直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体部分とからなり、下記の要件(i)〜(vi)を有する直鎖状プロピレン・エチレンブロック共重合体(成分B)10〜75重量%と、スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(c1)、ムーニー粘度[ML1+4(121℃)]が5以上のエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(c2)、又はメルトフローレート(230℃、21.18N荷重)が0.3〜2g/10分、密度が0.920g/cm3以上のエチレン重合体樹脂(c3)から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂(成分C)0〜20重量%からなり、メルトフローレート(230℃、21.18N荷重)が1〜15g/10分であることを特徴とする発泡ブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
特性(i):直鎖状プロピレン重合体部分のメルトフローレート(230℃、21.18N荷重)が120g/10分以上である。
特性(ii):直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体部分の直鎖状プロピレン・エチレンブロック共重合体(成分B)全体に対する割合が2〜50重量%である。
特性(iii):直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体部分の固有粘度[η]copolyが5.3〜10.0dl/gである。
特性(iv):メルトフローレート(230℃、21.18N荷重)が45g/10分以上である。
特性(v):ダイスウエル比が1.2〜2.5である。
特性(vi):180℃伸張粘度測定において歪硬化性を示す。 - 直鎖状プロピレン・エチレンブロック共重合体(成分B)は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Q値:Mw/Mn)が7〜13であることを特徴とする請求項1に記載の発泡ブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
- 直鎖状プロピレン・エチレンブロック共重合体(成分B)は、直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体部分のエチレン含量が、直鎖状エチレン・プロピレンランダム共重合体全量に対し、15〜80重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡ブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の発泡ブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とする発泡ブロー成形体。
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