JP4842580B2 - 熱可塑性樹脂中空発泡ブロー成形体 - Google Patents

熱可塑性樹脂中空発泡ブロー成形体 Download PDF

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本発明は、発泡層の厚みの均一性に優れる熱可塑性樹脂中空発泡ブロー成形体関する。
従来、発泡ブロー成形により発泡層を有する中空発泡ブロー成形体を製造することが行われてきた。該発泡ブロー成形体の製造方法としては、種々の方法が提案されているが、例えば押出機により物理発泡剤と基材樹脂とを溶融混練し、これをダイより押出して筒状の発泡パリソンを形成し、この発泡パリソンを金型で挟み込んで成形する方法が行われている。例えば特許文献1、特許文献2等に記載されている方法が知られている。
このようにして得られた中空発泡ブロー成形体は軽量性、断熱性、防音性等に優れていることから、例えば、容器、ダクト、自動車部品や電化製品部品等に利用可能である。特に、オレフィン系樹脂からなる中空発泡ブロー成形体は柔軟性と共に、強度に優れていることから電化製品部材等に使用され、その中でもポリプロピレン系樹脂からなる中空発泡ブロー成形体は、耐熱性、剛性にも優れていることから自動車の空調ダクトに使用されることが期待されている。
しかしながら、従来の発泡ブロー成形には製品厚み精度が低いという大きな問題があった。この厚み精度の問題は、中空発泡成形体の強度等の物性ばらつきの原因となるので、解決しなければならない課題である。特にダクトのような内部に加熱、或いは冷却された気体が流動するような製品の場合、厚み精度の低下が部分的な断熱性低下を招き結露の発生等の課題が生ずるので、厚み精度を良くしなければ実用に耐えるものとはならない。特に、折れ曲がっている形状の中空発泡ブロー成形体(具体的には、対向する「く」の字または「コ」の字形状の喰い切り部を有する中空発泡ブロー成形体、または対向する喰い切り部と直交する断面形状が、「く」の字または「コ」の字形状の中空発泡ブロー成形体)の場合、成形体の折れ曲がり部の内側と外側における厚みのばらつきがより顕著であった。対向する「く」の字形状の喰い切り部を有する中空発泡ブロー成形体の一例を図1(a)に、対向する「コ」の字形状の喰い切り部を有する中空発泡ブロー成形体の一例を図1(b)に、対向する喰い切り部と直交する断面形状が「く」の字形状の中空発泡ブロー成形体の一例を図1(c)に、対向する喰い切り部と直交する断面形状が「コ」の字形状の中空発泡ブロー成形体の一例を図1(d)に示す。
このように、従来の熱可塑性樹脂中空発泡ブロー成形体は厚みの均一性が悪く、特殊な形状になるほど、薄肉で厚みの均一性の高い成形体を得ることが難しくなるという欠点を有していた。
国際公開WO99/28111号公報 特開2004−122488号公報
本発明は、前記従来の問題点に鑑み、厚みの均一性に優れる熱可塑性樹脂中空発泡ブロー成形を提供することを目的とする。
本発明によれば、以下に示す熱可塑性樹脂中空発泡ブロー成形体、熱可塑性樹脂中空発泡ブロー成形体の製造方法が提供される。
〔1〕 物理発泡剤を含有する発泡性熱可塑性樹脂溶融物をダイから押し出して形成される、押出方向に直交する断面のパリソン厚みに偏りがあり熱可塑性樹脂発泡層を有する軟化状態の発泡パリソンをブロー形成して得られる、熱可塑性樹脂発泡体からなる中空発泡ブロー成形体において、該発泡ブロー成形体が対向する「く」の字または「コ」の字形状の喰い切り部を有し、且つ該「く」の字または「コ」の字形状の屈曲部の厚みの変動係数Cvが15%以下であると共に、該屈曲部の平均厚みが1〜mmであり、該発泡ブロー成形体の見掛け密度が0.1〜0.6g/cmであることを特徴とする熱可塑性樹脂中空発泡ブロー成形体。
〔2〕 該対向する「く」の字または「コ」の字形状の喰い切り部と直交する断面形状が、喰い切り部の対向する各点同士を結ぶ仮想線を長手方向とする偏平形状であることを特徴とする前記〔1〕に記載の熱可塑性樹脂中空発泡ブロー成形体。
〔3〕 物理発泡剤を含有する発泡性熱可塑性樹脂溶融物をダイから押し出して形成される、押出方向に直交する断面のパリソン厚みに偏りがあり熱可塑性樹脂発泡層を有する軟化状態の発泡パリソンをブロー形成して得られる、熱可塑性樹脂発泡体からなる中空発泡ブロー成形体において、該発泡ブロー成形体が対向する喰い切り部を有し、該対向する喰い切り部と直交する断面形状が、「く」の字または「コ」の字形状であり、且つ該「く」の字または「コ」の字形状の屈曲部の厚みの変動係数Cvが15%以下であると共に、該屈曲部の平均厚みが1〜mmであり、該発泡ブロー成形体の見掛け密度が0.1〜0.6g/cmであることを特徴とする熱可塑性樹脂中空発泡ブロー成形体。
〔4〕 該熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の熱可塑性樹脂中空発泡ブロー成形体。
〔5〕 該熱可塑性樹脂発泡体からなる中空発泡ブロー成形体が、発泡層の外側表面及び/又は内側表面に非発泡熱可塑性樹脂層を有するものであることを特徴とする前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の熱可塑性樹脂中空発泡ブロー成形体
本発明請求項1、3に係わる発明の中空発泡ブロー成形体は、特定の屈曲部を有する形状でありながら、該屈曲部の厚みの均一性に優れ、更に曲げ強度、圧縮強度などの機械的物性、軽量性、断熱性にも優れることから、容器、ダクト、自動車部品や電化製品部品等に好ましく利用され、特に、自動車の空調ダクトに好適に使用される。
本発明請求項2に係わる発明の中空発泡ブロー成形体は、対向する喰い切り部と直交する断面形状が、偏平形状であることから、厚みが不均一になり易い形状であるにもかかわらず、厚みの均一性に優れるものである。
本発明請求項4に係わる発明の中空発泡ブロー成形体は、ポリオレフィン系樹脂からなるので、請求項1〜3の効果に加えて、柔軟性に優れるものである。
本発明請求項5に係わる発明の中空発泡ブロー成形体は、発泡層の外側表面及び/又は内側表面に非発泡熱可塑性樹脂層を有するものであることから、非発泡熱可塑性樹脂層の特性を選択することにより、強度に優れるもの、外観に優れるもの、抗菌性や消臭性等の付加的機能を有するものとなる
以下、本発明の中空発泡ブロー成形体及びその製造方法について詳細に説明する。
本発明の中空発泡ブロー成形体(以下、単に「中空発泡成形体」「成形体」ともいう。)は、発泡ブロー成形により製造されたものであり、折れ曲った形状を有する成形体である。かかる中空発泡成形体は公知であるが、従来のものは厚みが不均一であった。次に、折れ曲がっている形状の中空発泡ブロー成形体を代表して、対向する「く」の字形状の喰い切り部を有する中空発泡ブロー成形体を例に、図16、図17を用いて従来の中空発泡ブロー成形体の折れ曲がり部の内側と外側における厚みのばらつきが顕著になる理由について説明する。
折れ曲がっている形状の中空成形体の形成は、図16に示すように、凹部を形成する金型24a(以下、単に凹型24aともいう。)と凸部を形成する金型24b(以下、単に凸型24bともいう。)からなる分割形式の金型24を用い、発泡パリソン22を凸型24bと凹型24a間に配置し、凸型24bと凹型24aを閉鎖することにより発泡パリソン22を金型24に挟み込み、発泡パリソン22の内側に気体吹き込み口25から発泡層の気泡を破壊しない程度の加圧気体(通常は、空気)を吹き込んで、発泡パリソン22を中空状に成形することにより行われる。
ところが、軟化状態の発泡パリソン22を金型24で挟み込む際、金型24が閉じられるにつれて、図17に示すように、発泡パリソン22は凹型24aに対してはその金型喰い切り部27a、27c周辺と最初に接触して、金型喰い切り部27a、27c周辺が冷却される。これに対して、上下の金型喰い切り部27a、27cの間の発泡パリソンの部分22aは金型24に接触しないので冷却されない。
同時に、発泡パリソン22は凸型24bに対してはその最先端部26b周辺次いでその金型喰い切り部27b、27d周辺と順に接触して、最先端部26b周辺と金型喰い切り部27b、27d周辺は冷却されるが、上の金型喰い切り部27bと最先端部26b周辺との間の発泡パリソンの部分22b、最先端部26b周辺と下の金型喰い切り部27d周辺のとの間の発泡パリソンの部分22cは金型24に接触しないので冷却されない。
その後、金型24は完全に閉じられ、発泡パリソン22は、吹き込み気体圧力により拡張されて金型の内面形状に成形される。このとき、発泡パリソンの部分22a、22b、22cは軟化状態にあるので引伸ばされて薄くなり、特に凹型の最深部26aまで引伸ばされる発泡パリソンの部分22aが最も引伸ばされて激しく薄肉化され、得られる成形体の厚みが不均一になる。
尚、図16は発泡パリソンを金型間に配置し、金型を閉じる前の説明図、図17は発泡パリソンを金型間に配置し、金型を閉じる途中の説明図である。
これに対し、本発明の特定形状の屈曲部を有する中空発泡成形体は、後述するように、該屈曲部の厚みが均一であり、従来は存在しなかったものである。
本発明の中空発泡ブロー成形体の形状には、二つの態様がある。その第一の態様の成形体(1)は、対向する「く」の字または「コ」の字形状の喰い切り部を有する中空発泡ブロー成形体である。 第二の態様の成形体(2)は、対向する喰い切り部を有し、該対向する喰い切り部と直交する断面形状が、「く」の字または「コ」の字形状の中空発泡ブロー成形体である。但し、一の発泡成形体が、対向する「く」の字または「コ」の字形状の喰い切り部を有すると同時に、他の対向する喰い切り部を有し、該対向する喰い切り部と直交する断面形状が、「く」の字または「コ」の字形状であることも成立ち、この第三の態様の中空発泡ブロー成形体も本発明の範囲に含まれる。更に、本発明の中空発泡ブロー成形体には、前記「く」の字または「コ」の字形状の部分を一部に有するものも含まれる。
このような喰い切り部を有する中空発泡成形体の発泡ブロー成形は難しく、均一な厚みのものを得ることは容易ではないが、本発明の中空発泡成形体は後述するとおり均一な厚みを有するものである。
次に、前記第一の態様の成形体(1)について説明する。
第一の態様の中空発泡成形体には、対向する「く」の字形状の喰い切り部を有するものと、対向する「コ」の字形状の喰い切り部を有するものの2種類がある。
図2を用いて、対向する「く」の字形状の喰い切り部を有する中空発泡成形体について説明し、図3を用いて、対向する「コ」の字形状の喰い切り部を有する中空発泡成形体について説明する。
図2は、対向する「く」の字形状の喰い切り部を有する中空発泡成形体の一例を示す図面であり、 図2において(a)は正面図、同(b)は側面図、同(c)は平面図、同(d)は同(a)のII−IIに沿う断面図である。
図2中、1は中空発泡成形体を、2a、2bは「く」の字形状の喰い切り部を、7a、7bは開口部を、8は中空部をそれぞれ示す。但し、図2(b)には喰い切り部2aのみが図示されており、喰い切り部2bは図示されていない。喰い切り部2bは図2(b)に現れている側面に対向する側面に形成されている。
該対向する「く」の字形状の喰い切り部を有する中空ブロー成形体においては、対向する喰い切り部2a、2bと直交する断面形状が、対向する喰い切り部2aと喰い切り部2bとを結ぶ仮想線を長手方向とする図2に示すような偏平形状であることが好ましい。但し、該長手方向は偏平形状断面の正確な長手方向と完全に一致していなくても、凡そ一致していればよい。
このような中空ブロー成形体は、従来技術では均一な厚みに成形することは困難であったが、本発明の成形体は、均一な厚みを有することから、容器、ダクト、自動車部品や電化製品部品等に好ましく利用され、特に、薄く形成されたものは自動車の空調ダクトに好適に使用される。
尚、対向する喰い切り部3aと喰い切り部3bとを結ぶ仮想線A−Aの一例を図2(a)(c)(d)に示す。但し、仮想線は図2(a)(c)(d)に示す部分に引かれるものに限られず、対向する喰い切り部2a、2bと直交する各断面において引くことができるものである。
図3は、対向する「コ」の字形状の喰い切り部を有する中空発泡成形体の一例を示す図面であり、 図3において(a)は正面図、同(b)は側面図、同(c)は平面図、同(d)は同(a)のIII−IIIに沿う断面図である。図3中、3a、3bは「コ」の字形状の喰い切り部を示し、それ以外の符号は図2と同じ事柄を意味する。但し、図3(b)には喰い切り部3aのみが図示されており、喰い切り部3bは図示されていない。喰い切り部3bは図2(b)に現れている側面に対向する側面に形成されている。
該対向する「コ」の字形状の喰い切り部を有する中空ブロー成形体においても、前記「く」の字形状の場合と同様に、対向する喰い切り部3a、3bと直交する断面形状が、対向する喰い切り部3aと喰い切り部3bとを結ぶ仮想線を長手方向とする偏平形状であることが好ましい。このような、偏平形状を有する中空ブロー成形体も、従来技術では均一な厚みに成形することは困難であったが、本発明の成形体は、均一な厚みを有するものである。
対向する喰い切り部3aと喰い切り部3bとを結ぶ仮想線B−Bの一例を図3(a)(d)に示す。但し、仮想線は図3(a)(d)に示す部分に引かれるものに限られず、対向する喰い切り部3a、3bと直交する断面において引くことができるものである。
次に、第二の態様の中空発泡成形体(2)について説明する。第二の態様の成形体には、対向する喰い切り部と直交する断面形状が「く」の字形状のものと、「コ」の字形状のものの2種類がある。
図4を用いて、対向する喰い切り部と直交する断面形状が「く」の字形状の中空発泡成形体について説明し、図5を用いて、対向する喰い切り部と直交する断面形状が「コ」の字形状の中空発泡成形体について説明する。
図4は、対向する喰い切り部と直交する断面形状が、「く」の字状の中空発泡成形体の一例を示す図面であり、 図4において(a)は正面図、同(b)は側面図、同(c)は平面図である。
図4中、4a、4bは喰い切り部と直交する「く」の字状の断面を、6a、6bはそれぞれ対向する喰い切り部を示し、それ以外の符号は図2と同じ事柄を意味する。ここで、「く」の字状の断面4a、4bは、それぞれ開口部7a、7bでもある。但し、図4(b)には「く」の字状の断面4aのみが図示されており、「く」の字状の断面4bは図示されていない。「く」の字状の断面4bは図4(b)に現れている側面に対向する側面に形成されている。
図5は、対向する喰い切り部と直交する断面形状が、「コ」の字状の中空発泡成形体の一例を示す図面であり、 図5において(a)は正面図、同(b)は側面図、同(c)は平面図である。図5中、5a、5bは喰い切り部と直交する「コ」の字状の断面を、6a、6bはそれぞれ対向する喰い切り部を示し、それ以外の符号は図2と同じ事柄を意味する。ここで、「コ」の字状の断面5a、5bは、それぞれ開口部7a、7bでもある。但し、図5(b)には「コ」の字状の断面5aのみが図示されており、「コ」の字状の断面5bは図示されていない。「コ」の字状の断面5bは図5(b)に現れている側面に対向する側面に形成されている。
本明細書において、「く」の字形状とは、図6(a)に示すように、「く」の字を構成する二本の直線11a、11bの長さが異なるもの、同(b)に示すように、曲線13aと曲線13bで「く」の字が構成されるもの、同(c)に示すように、複数の直線から「く」の字が構成されるもの、これらの要素が複合したもの、複数の「く」の字からなるものを含む。また、「く」の字の屈曲部14の角度αは70〜160度、更に90〜120度であることが好ましい。 尚、図6(a)(b)(c)は、本発明における「く」の字形状の説明図である。
本明細書において、「コ」の字形状は、図7(a)に示すように、「コ」の字を構成する三本の直線15a、15b、15cの長さが異なるもの、同(b)に示すように、曲線17a、17b、17cで「コ」の字が構成されるもの、同(c)に示すように、複数の直線からなるもの、これらの要素が複合したもの、複数の「コ」の字からなるものを含む。また、「コ」の字の屈曲部18aの角度β1、屈曲部18bの角度β2は共に90〜160度、更に90〜120度であることが好ましい。
尚、図7(a)(b)(c)は、本発明における「コ」の字形状の説明図である。
本明細書において、上記屈曲部の角度α、β1、β2は、図6、7に示す中空発泡成形体の屈曲部垂直断面において、中空発泡成形体の内面の屈曲部を起点として、該起点から2cmの距離に位置する中空発泡成形体内面上の2点における各々の接線が交差する中空部側の角度を意味する。
本発明の中空発泡成形体においては、「く」の字または「コ」の字形状の屈曲部の厚みの変動係数Cvが15%以下であり、該屈曲部の厚みの平均値は1.0〜mmである。
該厚みの変動係数Cvが大きすぎると、圧縮強度や曲げ強度などの機械的強度や断熱性が部分ごとに不均一になる。なお、変動係数Cvの下限は、0である。
尚、屈曲部の厚みの変動係数Cvが15%以下の成形体においては、成形体全体の厚みの変動係数Cvも15%以下である。これは、厚みの変動が最も激しいのが屈曲部の周縁であることによるものである。更に、該変動係数Cvが15%以下の成形体の場合、屈曲部の平均厚みは、成形体の平均厚みと殆ど同じである。
前記屈曲部の平均厚みは、機械的強度、断熱性、軽量性の観点から、1〜3mmである。
本明細書における屈曲部の平均厚みの測定は、発泡中空成形体の屈曲部(「く」の字形状、又は「コ」の字形状の屈曲部の垂直断面の周方向に沿って等間隔に8箇所の厚みの測定を行い、得られた8箇の測定値の算術平均を屈曲部ごとに求め、屈曲部の平均厚みとする。従って、屈曲部が複数存在する場合には、各々の屈曲部の平均厚みが上記範囲内であることが好ましい。また、上記の厚み測定にて求められる屈曲部の厚みの最大値及び最小値を夫々屈曲部の最大厚み及び最小厚みとする。
本明細書における屈曲部の厚みの変動係数Cvとは、各々の屈曲部の厚みの標準偏差(mm)を屈曲部の厚みの平均値(mm)で割った百分率の値をいい、平均値からのばらつき度合を表す指標である。従って、「コ」の字形状のものの場合は、「コ」の字形状を形成する二箇所以上の屈曲部の各々について変動係数Cvを求めるものとし、各々の変動係数Cvが15%以下でなければならない。
なお、屈曲部の厚みの標準偏差Vは次式(1)により求めるものとする。
V={Σ(T−Tav/(n−1)}1/2 (1)
(1)式においてTは前記個々の厚みの測定値(mm)を、Tavは前記厚みの平均値(mm)を、nは測定数(具体的には8である)をそれぞれ表し、Σは個々の測定値について計算した(T−Tavを全て足し算することを示す。
変動係数Cvは(1)式を用い、下記(2)式によって求められる。
Cv(%)=V/Tav×100 (2)
本発明の中空発泡ブロー成形体を構成する熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。該ポリオレフィン系樹脂は、オレフィン成分構造単位が50モル%以上存在するもの、好ましくは60モル%以上、より好ましくは80〜100モル%存在するものである。例えば、オレフィンの単独重合体、オレフィン同士の共重合体、オレフィン成分とその他のオレフィンと共重合可能な重合性モノマー成分との共重合体のうち前記オレフィン成分構造単位存在量の条件を満足するもの、オレフィン重合体と他の重合体との混合物のうち前記オレフィン成分構造単位存在量の条件を満足するものが挙げられる。具体的には、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン共重合体等のポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。また、オレフィン重合体と混合される他の重合体としては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等の熱可塑性エラストマー、エチレン−プロピレンゴム、ポリスチレン系樹脂等が挙げられる。
前記のポリオレフィン系樹脂の中でも、耐熱性、強度等の機械的物性の観点から、高密度ポリエチレン樹脂やポリプロピレン系樹脂を少なくとも50重量%以上含むポリオレフィン系樹脂が好ましい。
本発明の中空発泡ブロー成形体は発泡層のみからなるものであっても良ければ、発泡層の外側表面及び/又は内側表面に非発泡熱可塑性樹脂層(以下、単に樹脂層ともいう。)を有するものであっても良い。樹脂層が設けられた中空発泡成形体は強度において優れたものとなり、少なくとも発泡層の外側に非発泡樹脂層が設けられることにより外観においても優れたものとなる。更に、該樹脂層として機能性の樹脂層を設けることにより抗菌性、消臭性等の付加的機能を成形体に兼備させることが容易になる。
なお、中空発泡成形体の樹脂層の厚みは、成形性、軽量性等の観点から、好ましくは0.01〜1.0mm、より好ましくは0.05〜0.5mmである。
前記の非発泡熱可塑性樹脂層を形成する樹脂としては、発泡層を形成する樹脂と同様の樹脂を使用することができる。それ以外にも、本発明の目的を阻害しない範囲内で、他の樹脂を使用することもできる。そのような樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が例示される。なお、樹脂層を構成する樹脂が、発泡層を構成する樹脂との接着性が低いものの場合には、当然のことながら両者の間に接着層を設ける方法等、従来公知の接着手段により両者を積層接着することができる。
本発明の発泡成形体の見掛け密度は、厚みの均一性、機械的強度、軽量性、断熱性等の観点から0.6〜0.1g/cmであり、特に0.5〜0.1g/cmが好ましい。
前記成形体を構成する発泡層の見掛け密度は、中空発泡成形体の貫通方向中央部分及び貫通方向両端付近のそれぞれの部分について周方向に等間隔に3箇所から発泡層からなる試験片を切り取り、各々の試験片9個所の見掛け密度の算術平均値を見掛け密度とする。見掛け密度は試験片の重量(g)を試験片の体積(cm3)で除した値である。尚、成形体が樹脂層を有する場合には、樹脂層を剥がして発泡層のみについて見掛け密度を測定する。
次に、本発明の中空発泡ブロー成形体の製造方法について説明する。該方法によれば、前記本発明の中空発泡ブロー成形体を容易に得ることができる。以下、本発明方法につき、前記「く」の字形状の中空発泡成形体を製造する場合を例として説明する。但し、本発明方法はこれに限定されるものではない。
本発明方法においては、図8に示すように、押出機(図示しない)内で熱可塑性樹脂と物理発泡剤とを混練して得られる発泡性熱可塑性樹脂溶融物を環状ダイ23から低圧域に押出して軟化状態の発泡パリソン22を形成し、軟化状態にある発泡パリソン22を所望形状の、凹型24aと凸型24bとからなる分割形式の金型24内に配置し、金型24を閉鎖することにより発泡パリソン22を金型24に挟み込み、発泡パリソン22の内側に気体吹き込み口25から発泡パリソン22の気泡を破壊しない程度の加圧気体(通常は、空気)を吹き込んで、発泡パリソン22を所望される中空状に成形し、冷却し、金型から取り出すことにより、中空発泡成形体が得られる。
尚、図8は本発明の製造方法において、発泡パリソンを押出して金型間に配置した状態の一例を示す説明図であり、図8中、22は発泡パリソン、23はダイを、24は金型を、24aは凹型の金型(以下、単に凹型ともいう。)を、24bは凸型の金型(以下、単に凸型ともいう。)を、27a、27cはそれぞれ凹型の上下の金型喰い切り部を、27b、27dはそれぞれ凸型の上下の金型喰い切り部を、26aは凹型の最深部を、26bは凸型の最先端部を、25は気体吹き込み口を、36は発泡パリソン22の外側表面を、37は金型24の内面を、38はバリ逃げ部それぞれ示す。但し、図8は本発明の製造方法の一例を概念的に示す説明図であり、本発明の製造方法は図示するものには限られない。
このように、発泡パリソンを用いて中空発泡ブロー成形体を製造することは従来公知の技術であるが、本発明方法は、発泡パリソンの押出方向に直交する断面のパリソン厚みが偏ることにより、高厚み部分と低厚み部分とが形成されている発泡パリソンを使用し、該発泡パリソンの高厚み部分と凹型の金型の深部とを一致させて金型間に挟み込んで成形することにより、均一な厚みの中空発泡ブロー成形体を得ることを特徴とする。
本発明方法では、発泡パリソン22の押出方向に直交する断面のパリソン厚みに偏りがある発泡パリソン、即ち、高厚み部分と低厚み部分とが形成された発泡パリソンを用いる。図9に、発泡パリソンの押出方向に直交する断面の一例を示す。尚、図9は図8のVIII−VIII線に沿う断面図であり、図9中、28は高厚み部分を、29は低厚み部分をそれぞれ示す。
尚、発泡パリソンの押出方向とは、環状ダイを通して押出された発泡パリソンが進む方向をいい、パリソン22が真下に向かって押出された場合、パリソン22は重力の作用で環状ダイ23の真下に向かって進むので、地表に対する鉛直方向が押出方向となる。
本発明では、図8、図9に示すように、発泡パリソンの高厚み部分28と凹型の金型の深部26aとを一致させ、一方発泡パリソンの低厚み部分29と凸型の先端部26bとを一致させて金型間に挟み込んで、金型24を閉鎖する。即ち、発泡パリソンの高厚み部分28を凹型の深部26aと向き合わせて、同時に発泡パリソンの低厚み部分29を凸型の先端部26bに向き合わせて、発泡パリソン22を凹型24aと凸型24bの間に配置してから、金型24を閉じて発泡パリソン22を金型24に挟み込む。
このように発泡パリソン22を配置して金型24を閉じると、金型24が閉じられるにつれて、図10に示すように、発泡パリソン22は凹型24aに対してはその金型喰い切り部27a、27c周辺と最初に接触して、金型喰い切り部27a、27c周辺が冷却される。これに対して、上下の金型喰い切り部27a、27cの間の発泡パリソンの部分22aは金型24に接触しないので冷却されない。
同時に、発泡パリソン22は凸型24bに対してはその先端部26b周辺及びその金型喰い切り部27b、27d周辺と最初に接触して、先端部26b周辺と金型喰い切り部27b、27d周辺は冷却されるが、上の金型喰い切り部27bと先端部26b周辺との間の発泡パリソンの部分22b、先端部26b周辺と下の金型喰い切り部27d周辺のとの間の発泡パリソンの部分22cは金型24に接触しないので冷却されない。
尚、図10は、金型を閉じる際に発泡パリソンと金型が接触する様子を示す説明図である。
その後、図11に示すように、金型24は完全に閉じられ、発泡パリソン22は、パリソン内部圧力と吹き込みエアー圧力(更に、発泡パリソン22の外側表面36と金型24の内面37との間を減圧しても良い。)により拡張されて金型の形状に成形される。このとき、従来の成形方法では、発泡パリソンの部分22a、22b、22cは軟化状態にあるので引伸ばされて薄くなり、特に伸長距離が長い発泡パリソンの部分22aが強く引伸ばされ、激しく薄肉化されていた。しかし、本発明方法においては、金型喰い切り部27aと金型喰い切り部27cとの間の発泡パリソンの部分22aが高厚み部分として成形されているので、強く引伸ばされても激しく薄肉化することがない。従って、中空発泡成形体全体の厚み、特に「く」の字または「コ」の字形状の屈曲部の厚みが均一化される。
尚、図11は、金型を閉じてから発泡パリソンを拡張する様子を示す説明図である。
尚、発泡パリソンの押出方向の厚みの均一化は、環状ダイのダイリップクリアランスを制御することにより達成される。
上記本発明方法においては、前述したようにパリソン厚みが高厚み部分と低厚み部分とが形成された発泡パリソンを用いて中空発泡成形体の厚みの均一化が達成されるが、このような発泡パリソンは、例えば、図12に示すように、ダイコア31を偏芯させることによりダイリップクリアランス32の間隔が偏った環状ダイ23を用いることにより効率良く形成することができる。この環状ダイのダイリップクリアランス32の最大値Cmaxはダイリップクリアランスの最小値Cminの1.5〜5.0倍が好ましく、1.5〜3.5倍がより好ましい。ダイリップクリアランスの最大値Cmaxと最小値Cminとの関係が上記範囲内であることにより、得られる中空発泡成形体の形状安定性が向上し、また本発明の所期の目的効果においても優れたものとなる。
尚、図12(a)は環状ダイの先端部分の正面図、同(b)は底面図、同(c)は(a)のC部の部分拡大断面図である。
本明細書におけるダイリップクリアランスは、次のように測定するものとする。
発泡パリソンを形成することとなる溶融樹脂は、図12(c)に示すように、ダイリング33とダイコア31とで形成される流路34(環状スリット)を通って押出される。本明細書におけるダイリップクリアランスは、流路の外側の先端を構成するダイリング先端部分35から、流路の内側を構成するダイコア31に向かって垂線lを引き、この垂線lの長さをダイリップクリアランスとする。従って、図12の偏芯ダイコアを有する環状ダイにおいては、Cmax及びCminの値は、図12(b)のCmaxの測定位置及びCminの測定位置における各々の該垂線lの長さとなる。尚、図中36は溶融樹脂の流路であり、溶融樹脂は流路36を通って流路34に流れ込む。
本発明方法においては、押出機とダイ23との間に、またはダイ23内にアキュムレーターを配置することが好ましい。
また、金型24に減圧用配管(図示しない)を設けた金型を使用すれば、減圧しながら成形することにより発泡パリソン22の外側表面36と金型24の内面37とを充分に密着させることにより、金型形状を良好に反映した中空発泡成形体を得ることができ、成形体の外観も良好なものとなる。
また、発泡パリソン22を金型24内に配置し、金型24の閉鎖に先立って、発泡パリソン22の内側に気体吹き込み口25から発泡パリソン22の気泡を破壊しない程度にブローエアーを吹き込んで、発泡パリソン22の最大幅が中空発泡成形体の最大幅の0.7〜1.5倍、更に0.8〜1.5倍、特に0.85〜1.3倍(以下、発泡パリソンの最大幅/中空発泡成形体の最大幅の値を拡幅率ともいう。)となるように発泡パリソン22を拡幅することが好ましい。このことにより、発泡パリソンがブロー成形時に過度に伸ばされて発泡中空成形体の厚さの偏肉が発生してしまうこと、或いは金型凹部に対する発泡パリソンの曲率半径が大きくなりすぎて、型締め後のブロー成形時に発泡中空成形体の厚さの偏肉が発生してしまうことを防ぐことができ、得られる発泡中空成形体は厚みの均一性が更に優れたものとなる。
尚、発泡パリソンの拡幅するに際し、発泡パリソンの下部をピンチすることにより潰してもよい。このようにすると、発泡パリソンの拡幅が容易になる。
前記発泡パリソンの最大幅とは、図13に示すように、発泡パリソンの押出方向に対して直交する方向の、発泡パリソン断面の外径の内の最大外径(W2)をいう。発泡中空成形体の最大幅とは、図14(a)、(b)に示すように、成形体押出方向に対して直交する方向の、成形体の左端と右端との幅の内の最大幅(W3)をいい、通常、発泡中空成形体を成形する金型が閉じられた状態の金型成形室における、発泡パリソン侵入方向に対して直交する方向の、該成形室の左端と右端との間隔の内の最大間隔に相当する幅をいう。
尚、図13は発泡パリソンの最大幅を説明する図面であり、図14(a)(b)は発泡中空成形体の最大幅を説明する図面である。図中、23はダイ、22は発泡パリソン、1は発泡中空成形体をそれぞれ示す。
本発明においては更に、環状ダイから押出された軟化状態の発泡パリソンの押出方向の下流側端部をクランプして発泡パリソンを押出方向に可能な範囲において延伸し、且つ前記の通りに発泡パリソンの最大幅が発泡中空成形体の最大幅の0.7〜1.5倍になるように拡幅し、その後型締めを行い、発泡パリソン内に空気等の加圧気体を吹き込んで成形することにより、より一層均一な厚さを有する発泡中空成形体を得ることが好ましい。
また、本発明においては、発泡パリソンの内部最大圧力が0.01〜0.20MPa(G)の範囲内の状態にて金型間に配置され型締めを行うことが好ましい。このことにより、得られる発泡中空成形体の偏肉性低減効果が更に高まる。この観点から、該内部最大圧力は、0.03〜0.15MPa(G)、更に0.04〜0.12MPa(G)、特に0.05〜0.10MPa(G)の範囲内にて型締めを行うことが好ましい。
なお、本発明において、発泡パリソンの最大幅および発泡パリソンの内部最大圧力の調整は、パリソン内側に吹き込む加圧気体の圧力により調整できる。また、内部最大圧力は、パリソン内部に加圧気体を吹き込むノズルに圧力計を付設する等の方法によりゲージ圧として測定される。
本発明においては、上記のように発泡パリソンを金型内に配置して発泡パリソンの内部最大圧力が0.01〜0.20MPa(G)の範囲内にて金型の閉鎖を完了し、さらに上記の発泡パリソンの内部最大圧力よりも高圧の空気などの気体を圧入する場合、この際に圧入される気体の圧力は、概ね0.05〜0.50MPa(G)、好ましくは0.20〜0.40MPa(G)であり、非発泡樹脂のブロー成形に比べて遥かに低い値である。
本発明方法において、発泡層のみからなる発泡パリソンを用いて発泡層のみからなる中空発泡成形体を得ることもできれば、発泡層の外側表面及び/又は内側表面に非発泡熱可塑性樹脂層を有する発泡パリソンを用いて、多層構造の中空発泡成形体を得ることもできる。
なお、多層の発泡パリソンを用いる場合、非発泡熱可塑性樹脂層の厚みは、0.01〜1.0mmに形成することが好ましく、0.02〜0.5mmに形成することがより好ましい。
本発明方法においては、以上説明したように、発泡パリソンを金型に挟み込んで、所望の形状に形成してから、冷却し、金型から取り出せば中空発泡成形体を得ることができる。但し、金型から取り出された成形体は、通常、内部は中空状であるが、開口部は未だ形成されておらず、気体吹き込み口の跡以外は成形体の全ての面は塞がれた状態である。従って、図3に示す中空発泡成形体を得るには、得られた成形体の一部を切断して開口部が形成される。
以下、金型から取り出された中空状の発泡成形体から中空発泡ブロー成形体を製造する方法につき、「く」の字形状の成形体を例にとって説明する。但し、本発明方法は「く」の字形状の成形体に限定されるものではない。
全体が「く」の字形状の金型から取り出されたままの状態の気体吹き込み口の跡(図示せず)以外は成形体の全ての面は塞がれた状態の成形体の一例を図15に斜視図として示す。
図15に示される「く」の字形状の中空状の発泡成形体41は、くの字状の対向する側面42、43と、くの字状の側面42と側面43の両端部同士を結ぶ上方の長方形の面44と下方の長方形の面45と、くの字状に折れ曲がった、内側の面46と外側の面47とからなる。更に、くの字状の二つの側面42、側面43の各々には「く」の形状の喰い切り部2a、2bが形成され、上方の長方形の面44の外側の長辺には、直線状の喰い切り部6aが形成され、下方の長方形の面45の外側の長辺には、直線状の喰い切り部6bが形成され、喰い切り部2a、6a、2b、6bはその端部同士が繋がっている。
なお、図15に示す発泡成形体41においては、すでにバリが切断されているが、喰い切り部にバリが付着したままの状態で中空状の発泡成形体を金型から取出してもよい。但し、喰い切り部に沿ってバリを切断削除しなければならない。
第一の態様の中空発泡成形体(1)は、発泡成形体41の長方形の面44、45を切断削除することにより得られる。この場合、長方形の面44、45より内側部分を面44、45に対して略平行ないしは斜めに切断削除してもよ い。このようにすれば、対向する「く」の形状の喰い切り部2a、2bを有する中空成形体が得られる。
第二の態様の中空発泡成形体(2)は、発泡成形体41の対向する側面42、側面43を切断削除することにより得られる。この場合、側面42、側面43より内側部分を側面42、側面43に対して略平行ないしは斜めに切断削除してもよい。このようにすれば、喰い切り部6a、6bと直交する断面形状が、「く」の字形状の中空成形体が得られる。
本発明の中空発泡ブロー成形体、さらに本発明方法により製造された中空発泡ブロー成形体は、厚みが均一なので、容器、ダクト、自動車部品や電化製品部品等に広く利用され、特に、自動車の空調ダクトに好適に使用される。
以下、本発明について、具体的な実施例により詳細に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
<ダイ>
図12に示す構造の環状ダイを用い、ダイコアを偏芯させることによりダイリップクリアランスの最大値Cmaxと最小値Cminを表1に示すよう調整した。
<金型>
図8に示すような、「く」の字形状の成形室を形成可能な凸型と凹型とからなる金型を用いた。
<樹脂>
下記のポリプロピレン系樹脂を用いた。
(A)サンアロマー社製のプロピレン単独重合体『PF814』(以下、単に『PF814』ともいう。)、密度:0.900g/cm、MFR:3.0g/10分
(B)プロピレン単独重合体『PF814』の回収原料(以下、単に『PF814回収』ともいう。)、密度:0.900g/cm、MFR:7.0g/10分
(C)日本ポリエチレン社製の高密度ポリエチレン樹脂『HJ560』(以下、単に『HJ560』ともいう。)、密度:0.964g/cm、MFR:8.0g/10分
(D)日本ユニカー社製の低密度ポリエチレン樹脂『8008』(以下、単に『8008』ともいう。)、密度:0.917g/cm、MFR:4.7g/10分
実施例1〜、比較例1〜3
ダイコア径、ダイリップ径とリップクリアランスを表1に示すように調整し、表1に示す配合の熱可塑性樹脂を使用し、発泡剤として表1に示す量(モル数/基材樹脂1kg)の炭酸ガスを使用し、目的とする発泡中空成形体の最大幅を180mmとして、発泡層を有する軟化状態の発泡パリソンを環状ダイから押出した。
次いで発泡パリソン内側に気体吹き込み口から空気を吹き込み、表1に示すパリソン最大幅まで発泡パリソンを拡幅して、金型内に配置し、金型を閉じた。その際の発泡パリソンの内部最大圧力を表1に示す。次いで金型内の発泡パリソン内に高圧空気(発泡パリソン内部の最大圧力+0.03MPa(G))を気体吹き込み口から圧入し目的の形状に賦形し、冷却してから金型を開いて中空状の発泡成形体を得た。該発泡成形体の上下の長方形の面を切断削除して、本発明の図1(a)に示す形状の「く」の字形状の喰い切り部を有する中空発泡成形体(上下開口部寸法:縦40mm、横180mm、「く」の字の屈曲部の角度:90度、「く」の字を構成する長辺の長さ:180mm、「く」の字を構成する短辺の長さ:150mm)を得た。
尚、比較例2では、発泡パリソンが大きく腕曲して金型内に上手く納まらず目的形状の中空発泡成形体が得られなかった為、成形体の諸物性は測定できなかった。
得られた成形体の厚みの平均値、厚みの最大値と最小値との差、見掛け密度、変動係数Cvを表1に示す。
(a)(c)「くの字形状」の成形体の一例を示す斜視図である。(b)(d)「コの字形状」の成形体の一例を示す斜視図である。 (a)対向する「く」の字形状の喰い切り部を有する中空発泡成形体の一例を示す正面図、(b)は側面図、(c)は平面図、(d)は(a)のII−IIに沿う断面図である。 (a)対向する「コ」の字形状の喰い切り部を有する中空発泡成形体の一例を示すは正面図、(b)は側面図、(c)は平面図、(d)は(a)のIII−IIIに沿う断面図である。 (a)は対向する喰い切り部と直交する断面形状が、「く」の字状の中空発泡成形体の一例を示す正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。 (a)は対向する喰い切り部と直交する断面形状が、「コ」の字状の中空発泡成形体の一例を示す正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。 (a)(b)(c)は、本発明における「く」の字形状の説明図である。 (a)(b)(c)は、本発明における「コ」の字形状の説明図である。 発泡パリソンを押出して金型間に配置した状態の一例を示す説明図である。 図8のVIII−VIII線に沿う断面図である。 金型を閉じる際に発泡パリソンと金型が接触する様子を示す説明図である。 金型を閉じてから発泡パリソンを拡張する様子を示す説明図である。 (a)は環状ダイの先端部分の正面図、同(b)は底面図、同(c)は(a)のA部の部分拡大断面図である。 発泡パリソンの最大幅を説明する図面である。 (a)(b)は発泡中空成形体の最大幅を説明する図面である。 金型から取り出されたままの状態の、全体が「く」の字形状の成形体の一例を示す斜視図である。 従来の製造方法において、発泡パリソンを押出して金型間に配置した状態の一例を示す説明図である。 従来の製造方法において、金型を閉じる際に発泡パリソンと金型が接触する様子を示す説明図である。
符号の説明
1 中空発泡成形体
2a、2b 「く」の字形状の喰い切り部
3a、3b 「コ」の字形状の喰い切り部
4a、4b 喰い切り部と直交する「く」の字状の断面
5a、5b 喰い切り部と直交する「コ」の字状の断面
6a、6b 喰い切り部
7a、7b 開口部
8 中空部
11a、11b 「く」の字を構成する直線
13a、13b 「く」の字を構成する曲線
14 「く」の字の屈曲部
15a、15b、15c 「コ」の字を構成する直線
17a、17b、17c 「コ」の字を構成する曲線
18a、18b 「コ」の字の屈曲部
22 発泡パリソン
22a、22b、22c 発泡パリソンの部分
23 環状ダイ
24 金型
24a 凹型
24b 凸型
25 気体吹き込み口
26a 凹型の最深部
27a 凹型の上の金型喰い切り部
27c 凹型の下の金型喰い切り部
28 高厚み部分
29 低厚み部分
31 ダイコア
32 ダイリップクリアランス
35 ダイリング先端部分
36 発泡パリソン22の外側表面
37 金型24の内面
38 バリ逃げ部
α 「く」の字の屈曲部14の角度
β1 屈曲部18aの角度
β2 屈曲部18bの角度

Claims (5)

  1. 物理発泡剤を含有する発泡性熱可塑性樹脂溶融物をダイから押し出して形成される、押出方向に直交する断面のパリソン厚みに偏りがあり熱可塑性樹脂発泡層を有する軟化状態の発泡パリソンをブロー形成して得られる、熱可塑性樹脂発泡体からなる中空発泡ブロー成形体において、該発泡ブロー成形体が対向する「く」の字または「コ」の字形状の喰い切り部を有し、且つ該「く」の字または「コ」の字形状の屈曲部の厚みの変動係数Cvが15%以下であると共に、該屈曲部の平均厚みが1〜mmであり、該発泡ブロー成形体の見掛け密度が0.1〜0.6g/cmであることを特徴とする熱可塑性樹脂中空発泡ブロー成形体。
  2. 該対向する「く」の字または「コ」の字形状の喰い切り部と直交する断面形状が、喰い切り部の対向する各点同士を結ぶ仮想線を長手方向とする偏平形状であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂中空発泡ブロー成形体。
  3. 物理発泡剤を含有する発泡性熱可塑性樹脂溶融物をダイから押し出して形成される、押出方向に直交する断面のパリソン厚みに偏りがあり熱可塑性樹脂発泡層を有する軟化状態の発泡パリソンをブロー形成して得られる、熱可塑性樹脂発泡体からなる中空発泡ブロー成形体において、該発泡ブロー成形体が対向する喰い切り部を有し、該対向する喰い切り部と直交する断面形状が、「く」の字または「コ」の字形状であり、且つ該「く」の字または「コ」の字形状の屈曲部の厚みの変動係数Cvが15%以下であると共に、該屈曲部の平均厚みが1〜mmであり、該発泡ブロー成形体の見掛け密度が0.1〜0.6g/cmであることを特徴とする熱可塑性樹脂中空発泡ブロー成形体。
  4. 該熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂中空発泡ブロー成形体。
  5. 該熱可塑性樹脂発泡体からなる中空発泡ブロー成形体が、発泡層の外側表面及び/又は内側表面に非発泡熱可塑性樹脂層を有するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂中空発泡ブロー成形体
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