JP2004122691A - ポリオレフィン系樹脂中空発泡成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のポリオレフィン系樹脂中空発泡成形体は、ポリオレフィン系樹脂発泡パリソンをブロー成形してなる見掛け密度が0.05〜0.5g/cm3、独立気泡率が60%以上、厚み方向の平均気泡径が0.1〜2mmの中空発泡成形体であって、該中空発泡成形体がカーボンブラック及び/又はグラファイトを0.1〜4重量%含有している。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂中空発泡成形体、詳しくは自動車の空調ダクトとして使用可能な軽量性、断熱性に優れる、着色された中空発泡成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の自動車は高い天井、広いシート等、内部空間を広くすることが要求されることから、自動車用空調ダクトはコンパクトであると共に、目的とする空気流量をスムーズに流すことが要求される。しかも、車種ごとに異なるダクトの形状が要求されている。
【0003】
これらの要求に答えるため、従来から高密度ポリエチレンやポリプロピレン等からなる中空ブロー成形品が使用されてきた。該中空ブロー成形品は異型形状の成形が容易であり、目的とする空気流量を容易に確保できるので、自動車用空調ダクトの素材としては好適なものであった。
【0004】
しかしながら、従来の中空ブロー成形品は、ソリッドブロー成形法で製造された中空無発泡樹脂品であることから、重量が重いという欠点があった。また、無発泡の中空ブロー成形品は断熱性に劣ることから、ダクト回りの結露を防止するために、その表面に5mm程度の軟質発泡ウレタンや架橋ポリエチレン発泡シート等の断熱材を、後工程において手作業により貼着加工しなければならなかった。その結果、製造工程が複雑となりコストがかかり、更に、異なる素材からなる複合ダクトは、リサイクルが難しいという欠点もあった。
【0005】
これらの欠点を改善するための公知技術として、[特許文献1]、[特許文献2]等に記載された発明や考案が開示されている。
【0006】
しかしながら、[特許文献1]に開示されているダクトは、ソリッドブロー成形の際に断熱材をインサートし同時成形するものであり、工程数は減るが装置が複雑となるので、実用的なものではない。[特許文献2]に開示されているダクトは、発泡層単体からなり、断熱性・軽量性に優れたものであるとの説明が明細書に記載されている。しかし、このダクトは成形型を閉じてパリソンに気体を吹き込み所望の形状に成形し、途中で内部圧力を低下せしめて発泡させることにより得られるものであり、発泡倍率が2倍未満の低発泡品であって、本発明の目的とする十分な軽量性、断熱性を実現しているとは到底言えないものである。
【0007】
一方、自動車用ダクトは、自動車キャビンから見えない部分に設置されるので、なるべく目立たないようにすることが要求される。例えば、前記中空ソリッドブロー成形品の場合は、カーボンブラックを添加することにより、黒に着色したものが使用されている。
【0008】
そこで、本発明者等は、[特許文献3]に記載の発泡パリソンをブロー成形する技術に基づき原料にカーボンブラック又はグラファイトを添加して中空発泡成形体を形成することを試みた。しかし、気泡の微細化による発泡体の独立気泡率の低下が生じ、更に発泡パリソンに多数のひだ(以下、コルゲートと言う。)が激しく発生して後工程の金型成形において成形不良が生じ満足すべき成形品を得るに至らなかった。
【0009】
【特許文献1】
実開昭56−160392号公報 (実用新案登録請求の範囲)
【特許文献2】
特開平10−181334号公報 (第3頁、段落[0015])
【特許文献3】
WO99/28111号パンフレット (特許請求の範囲)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、断熱性、軽量性に優れ、カーボンブラックやグラファイトが添加されることにより黒色又は灰色に着色されたポリオレフィン系樹脂中空発泡成形体、更に、自動車用のダクトとして好適に使用可能な該中空発泡成形体を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、以下に示すポリオレフィン系樹脂中空発泡成形体が提供される。
〔1〕ポリオレフィン系樹脂発泡パリソンをブロー成形してなる見掛け密度が0.05〜0.5g/cm3、独立気泡率が60%以上、厚み方向の平均気泡径が0.1〜2mmの中空発泡成形体であって、該中空発泡成形体がカーボンブラック及び/又はグラファイトを0.1〜4重量%含有していることを特徴とするポリオレフィン系樹脂中空発泡成形体。
〔2〕前記ポリオレフィン系樹脂中空発泡成形体が融点130℃以上のポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする前記〔1〕に記載のポリオレフィン系樹脂中空発泡成形体。
〔3〕前記ポリオレフィン系樹脂中空発泡成形体がポリプロピレン系樹脂からなることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリオレフィン系樹脂中空発泡成形体。
〔4〕前記ポリオレフィン系樹脂中空発泡成形体の厚みが2〜10mmであることを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂中空発泡成形体。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のポリオレフィン系樹脂中空発泡成形体について詳細に説明する。図1は、本発明のポリオレフィン系樹脂中空発泡成形体からなるダクトの一例を示す図面であり、図1(a)はダクトの正面図、同(b)は図1(a)のI−I線に沿う縦断面図である。図1において、1はポリオレフィン系樹脂中空発泡成形体を、2はポリオレフィン系樹脂中空発泡成形体の壁を、3はポリオレフィン系樹脂中空発泡成形体の内部の空間を、4aは該中空発泡成形体に形成された凸状の嵌合部を、4bは凹状の嵌合部をそれぞれ示す。
但し、図1は本発明のポリオレフィン系樹脂中空発泡成形体の一例を示すものであって、本発明を限定するものではない。
【0013】
本発明のポリオレフィン系樹脂中空発泡成形体(以下、単に中空発泡成形体ともいう。)を構成する基材樹脂は、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする。尚、本明細書において、ポリオレフィン系樹脂を主成分とするとは、ポリオレフィン系樹脂が基材樹脂中に60重量%以上含まれていることをいう。
【0014】
本発明における上記のポリオレフィン系樹脂としては、高密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂などのポリエチレン系樹脂、後述するポリプロピレン系樹脂などが挙げられる。更に該ポリオレフィン系樹脂は、オレフィン成分とスチレンなどのその他の成分を40重量%以下、好ましくは20重量%以下の範囲内で共重合したものも含む。
【0015】
本発明の中空発泡成形体を構成するポリオレフィン系樹脂の融点は、130℃以上であることが耐熱性の点から好ましい。なお、該ポリオレフィン系樹脂の融点の上限は概ね170℃である。融点が130℃以上のポリオレフィン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。
【0016】
本明細書において、ポリオレフィン系樹脂の融点は、JIS K7121(1987)に基づいて熱流束DSC曲線により一定の熱処理を行なった試験片から求められるピークの頂点温度とする。尚、二つ以上のピークが現れる場合は、ピーク面積の最も大きな主ピークの頂点温度を融点とする。
【0017】
本発明においては、ポリオレフィン系樹脂の中でも、特に耐熱性、剛性等の機械的物性に優れたポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。該ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体やプロピレン成分が60重量%以上、好ましくは80重量%以上含有されているプロピレン系共重合体等が挙げられ、該共重合体の共重合成分としては、エチレン、炭素数4〜12のα−オレフィン等が挙げられ、該α−オレフィンの炭素数は好ましくは4〜8である。更に、本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂は、上記プロピレンの単独重合体や共重合体に40重量%以下、好ましくは20重量%以下の範囲内でスチレンなどのその他の成分を共重合したものも含む。
【0018】
上記ポリプロピレン系樹脂の中でも、本発明の中空発泡成形体を形成するために押出機中に供給されるポリプロピレン系樹脂としては、230℃におけるメルトテンション(MT)が1.5cN以上のものが好ましく、3.0cN以上がより好ましく、4.0cN以上が更に好ましい。後述する通り、かかるポリプロピレン系樹脂を用いると、目的に応じた厚み、見掛け密度の中空発泡成形体を比較的容易に形成することができる。尚、該メルトテンションの上限は概ね30cNである。
【0019】
また、本発明の中空発泡成形体において、該中空発泡成形体をヒートプレスにより脱泡して得た試験片を用いて測定した場合のMTは、1.5〜30cN、更に2.0〜25cNとなっていることが、外観に優れ、厚みや見掛け密度が均一な中空発泡成形体となっていることに繋がっているので好ましい。
【0020】
また本発明の中空発泡成形体を形成するために押出機中に供給されるポリオレフィン系樹脂(その中でも特にポリプロピレン系樹脂)のメルトフローレイト(MFR)は、0.5〜20g/10分であることが好ましく、1〜15g/10分がより好ましく、2〜10g/10分が更に好ましい。該メルトフローレイトが小さすぎる場合は、発泡ブロー成形に用いる組合せ金型空間部の形状が複雑になる程、その形状通りの中空発泡成形体を得ることが難しくなる虞がある。一方、メルトフローレイトが大きすぎる場合は、発泡ブロー成形時に自重によるドローダウン現象が起こり、最終的に得られる中空発泡成形体に厚みむらが発生する虞があるため、金型成形装置上の工夫が必要となる場合があるので好ましくない。
【0021】
本明細書におけるメルトテンション(MT)は、ASTM D1238に準拠して製作された株式会社東洋精機製作所製のメルトテンションテスターII型を使用して、孔の直径2.095mm、長さ8mmのまっすぐな孔を有する円筒状のオリフィスを用い、樹脂温度230℃、ピストン速度10mm/分の押出条件で樹脂を紐状に押出し、この紐状物を直径45mmの張力検出用プーリーに掛けた後、5rpm/秒(紐状物の捲取り加速度:1.3×10−2m/秒2 )程度の割合で捲取り速度を徐々に増加させていきながら直径50mmの捲取りローラーで捲取ることによって測定する。
【0022】
メルトテンション(MT)を求めるには、次に、張力検出用プーリーに掛けた紐状物が切れるまで捲取り速度を増加させ、紐状物が切れた時の捲取り速度:R(rpm)を求める。次いで、R×0.7(rpm)の一定の捲取り速度において紐状物の捲取りを再度行い、張力検出用プーリーと連結する検出器により検出される紐状物のメルトテンションを経時的に測定し、縦軸にメルトテンションを、横軸に時間を取ったグラフに示すと、図6のような振幅をもったグラフが得られる。
【0023】
本明細書におけるメルトテンションとしては、図6に示すように振幅の安定した部分の振幅の中央値(X)を採用する。但し、捲取り速度が500rpmに達しても紐状物が切れない場合には、捲取り速度を500rpmとして紐状物を捲き取って求めたグラフより紐状物のメルトテンションを求める。
【0024】
尚、メルトテンションの経時的測定の際に、まれに特異な振幅値が検出されることがあるが、このような特異な振幅値は無視するものとする。
【0025】
本明細書におけるポリプロピレン系樹脂のメルトフローレイト(MFR)は、JIS K 7210(1976)の表1の条件14により測定するものとする。
【0026】
また、本明細書におけるポリエチレン系樹脂のメルトフローレイト(MFR)は、JIS K 7210(1976)の表1の条件4により測定するものとする。
【0027】
尚、本発明の中空発泡成形体は単層の発泡体からなるものが軽量性において好ましい。該中空発泡成形体の内面および/または外面に本発明の目的、効果を大きく阻害しない範囲で熱可塑性樹脂層(好ましくは該熱可塑性樹脂層の厚みは1mm未満)を積層することもできる。例えば、本発明の中空発泡成形体をダクトとして使用する場合、中空発泡成形体の表面に該中空発泡成形体の大きな重量増加に繋がる、ソリッドブロー成形にて得られる中空無発泡樹脂ダクトの厚みに相当する概ね厚みが1.5mmを超えるような樹脂層を設けたものは本発明のものには含まれない。尚、上記熱可塑性樹脂層の厚みの測定方法は、後述する中空発泡成形体の厚みの測定方法と同様にして熱可塑性樹脂層について行なうこととする。
【0028】
本発明の中空発泡成形体は、カーボンブラック及び/又はグラファイトを0.1〜4重量%含有する。尚、中空発泡成形体はカーボンブラック及び/又はグラファイトを0.1〜4重量%含有するとは、(1)中空発泡成形体にカーボンブラックのみが含有され、その含有量が中空発泡成形体の重量に対して0.1〜4重量%である場合と、(2)中空発泡成形体にグラファイトのみが含有され、その含有量が該中空発泡成形体の重量に対して0.1〜4重量%である場合と、(3)中空発泡成形体にカーボンブラック及びグラファイトが含有され、それらの合計含有量が該中空発泡成形体の重量に対して0.1〜4重量%である場合の3通りがあることを意味する。カーボンブラック及び/又はグラファイトを含有する中空発泡成形体は黒色又は灰色になるので、本発明の中空発泡成形体は自動車用のダクトとして好適なものとなる。又、カーボンブラックやグラファイトは、赤外線吸収剤(熱線吸収剤)としての働きを有するので、本発明の中空発泡成形体は、特定の見掛け密度、独立気泡率および平均気泡径を有することによって達成できる断熱性よりも更に断熱性において優れたものとなる。
【0029】
尚、本発明の中空発泡成形体を自動車用のダクトとして使用する場合、自動車の難燃規格(FMVSS)を合格することが要求される。難燃性の向上という点では、高温焼成されたグラファイトを用いることが好ましいが、安価に入手できるという点ではカーボンブラックが好ましい。但し、カーボンブラックを使用する場合、その添加量が多くなるに従って、上記難燃規格(FMVSS)を合格するために難燃剤の添加や、カーボンブラックの添加量を減らし好ましくは0.1〜2重量%、更に好ましくは0.1〜1重量%とすることが必要になる場合がある。
【0030】
カーボンブラック等の含有量が0.1重量%未満の場合は、黒色が不十分な中空発泡成形体になるので好ましくない。一方、該含有量が4重量%を超えると、気泡が微細になりすぎ、その結果、発泡パリソンのコルゲートが激しくなるので良好な中空発泡成形体を得ることができない虞がある。かろうじて、中空発泡成形体を成形できたとしても、独立気泡率が低下しすぎて、断熱性および機械的強度が低下してしまう虞がある。かかる観点から、カーボンブラック等の含有量は、好ましくは0.1〜2重量%、更に好ましくは0.1〜1重量%である。
【0031】
本発明で用いるカーボンブラックやグラファイトの平均粒径は、樹脂中への均一な分散性、発色性、基材樹脂の発泡性への影響を考慮して決められる。かかる観点から、カーボンブラックの平均粒径は1〜100nm、更に10〜50nmのものが好ましい。また、グラファイトの平均粒径は、1〜150μm、更に5〜30μmのものが好ましい。
【0032】
上記カーボンブラックの種類に関しては特に制限は無く、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック、サーマルブラック等が使用できる。グラファイトも同様であり、土状黒鉛、鱗状黒鉛のような天然黒鉛及び人造黒鉛等が使用できる。
【0033】
本明細書において、カーボンブラックの平均粒径の測定方法は、電子顕微鏡による拡大写真にて樹脂中のカーボンブラック一つ一つを確認し、確認された少なくとも100個以上の各カーボンブラックの最大径の算術平均値をカーボンブラックの平均粒径とする。また、グラファイトの平均粒径の測定方法もカーボンブラックの平均粒径の測定方法と同様に求められる。
【0034】
本発明の中空発泡成形体においては、見掛け密度が0.05〜0.5g/cm3、好ましくは0.07〜0.4g/cm3、更に好ましくは0.1〜0.3g/cm3である。見掛け密度が低すぎる場合は、曲げ強度、圧縮強度等の機械的物性が低下して実用に耐えないものとなる虞がある。一方、見掛け密度が高すぎる場合は、発泡倍率が低くなりすぎて目的とする断熱性を得られなくなると共に、軽量性を失う虞がある。
【0035】
本明細書において、中空発泡成形体の見掛け密度は、中空発泡成形体の中央部及び両端部付近の計3部分において、各部分の周方向に等間隔に3箇所から試験片を切り出し、下記の測定方法にて各試験片の見掛け密度の測定を行ない、得られた計9箇所の見掛け密度の内、最大及び最小の値を除く7箇所の見掛け密度の算術平均値を中空発泡成形体の見掛け密度とする。
試験片の見掛け密度は、中空発泡成形体から切り出した試験片の重量(g)を、該試験片の体積(cm3)で割って求める。但し、測定箇所としては、気泡が大きく変形していない部分(気泡が潰された部分や大きく引伸ばされたところが殆どない部分を意味し、例えば、後述する嵌合部は除かれる。)とする。
【0036】
本発明の中空発泡成形体においては、独立気泡率が60%以上である。独立気泡率が低すぎる場合は、優れた断熱性、機械的物性のものを得ることができない虞がある。かかる観点からは、本発明の中空発泡成形体の独立気泡率は、70%以上、更に80%以上であることが好ましい。
【0037】
本明細書において、中空発泡成形体の独立気泡率は、中空発泡成形体の中央部及び両端部付近について計3箇所の独立気泡率を下記の手順にて測定し、それらの算術平均値を中空発泡成形体の独立気泡率とする。
独立気泡率は、中空発泡成形体から試験片を切り出し、ASTM D2856−70(1976再認定)の(手順C)によりVxを求め、下記(1)式により算出する。但し、試験片としては、気泡が大きく変形していない部分(気泡が潰された部分や大きく引伸ばされたところが殆どない部分を意味し、例えば、後述する嵌合部は除かれる。)から切り出したものを使用する。また、規定の体積の試験片が切り出せない場合は、複数の試験片を重ね合わせることにより規定の体積とする。
【0038】
【数1】
独立気泡率(%)=(Vx−Va(ρf/ρs))×100/(Va−Va(ρf/ρs))(1)
【0039】
Vx;試験片の実容積
(独立気泡部分の容積と樹脂部分の容積との和)(cm3)
Va;試験片の外形寸法から求められる見掛けの容積(cm3)
ρf;試験片の見掛け密度(g/cm3)
ρs;試験片の基材樹脂の密度(g/cm3)
【0040】
本発明の中空発泡成形体においては、厚み方向の平均気泡径が0.1〜2mmである。該平均気泡径が大きすぎると、中空発泡成形体の断熱性が不十分になる虞があり、外観も悪くなる。かかる観点からは、0.2〜1.5mmが好ましく、0.3〜1.2mmがより好ましい。平均気泡径が小さすぎる場合は、独立気泡率が低下しやすくなり、得られる中空発泡成形体の寸法安定性が悪くなる虞れがある。
【0041】
本明細書において、中空発泡成形体の厚み方向の平均気泡径の測定は、中空発泡成形体の長手方向(中空発泡成形体の厚み方向および周方向と直交する方向)に対する垂直断面(図1(b)として示す周方向断面)を拡大投影し、投影画像上にて厚み方向に中空発泡成形体の全厚みに亘る直線を引き、その直線と交差する気泡数をカウントし、画像上の直線における拡大前の実際の長さを気泡数で割ることによって求めた値を気泡径とし、この操作を中空発泡成形体の中央部及び両端部付近について計3つの垂直断面において行うこととし、更に、各垂直断面において等間隔に5箇所測定を行うこととする。得られた15箇所の気泡径の内、最大及び最小の値を除く13箇所の気泡径の算術平均値を中空発泡成形体の厚み方向の平均気泡径とする。但し、測定箇所としては、気泡が大きく変形していない部分(気泡が潰された部分や大きく引伸ばされたところが殆どない部分を意味し、例えば、後述する嵌合部は除かれる。)とする。
【0042】
本発明の中空発泡成形体は、厚み方向の気泡数が3以上、更に3〜15、特に5〜10であることがより優れた外観、断熱性能を有するものが得られることから好ましい。
【0043】
本明細書において、厚み方向の気泡数は、前記厚み方向の平均気泡径の測定と同様に周方向断面を拡大投影した投影画像上にて厚み方向に中空発泡成形体の全厚みに亘る直線を引き、その直線と交差する気泡数をカウントする。この操作を中空発泡成形体の中央部及び両端部付近について計3つの垂直断面において行うこととし、更に、各垂直断面において等間隔に5箇所測定を行うこととする。得られた15箇所の気泡数の内、最大及び最小の値を除く13箇所の気泡数の算術平均値を中空発泡成形体の厚み方向の気泡数とする。但し、測定箇所としては、気泡が大きく変形していない部分(気泡が潰された部分や大きく引伸ばされたところが殆どない部分を意味し、例えば、後述する嵌合部は除かれる。)とする。
【0044】
本発明の中空発泡成形体の厚みは、より優れた断熱性能、機械的強度を有するものが得られることから2〜10mmであることが好ましい。尚、該厚みが厚くなりすぎると用途によっては軽量性が不十分になる虞がある。
【0045】
本明細書において、中空発泡成形体の厚みの測定は、中空発泡成形体の中央部及び両端部付近について計3つの、中空発泡成形体の長手方向に対する垂直断面(周方向断面)において行うこととし、更に、各垂直断面において等間隔に5箇所、該垂直断面の厚み方向において厚みの測定を行うこととする。得られた15箇所の厚みの内、最大及び最小の値を除く13箇所の厚みの算術平均値を中空発泡成形体の厚みとする。但し、測定箇所としては、気泡が大きく変形していない部分(気泡が潰された部分や大きく引伸ばされたところが殆どない部分を意味し、例えば、後述する嵌合部は除かれる。)とする。
【0046】
本発明の中空発泡成形体は、図1に示すように、他の部材と連結させる為の少なくとも一つの嵌合部を有することが好ましく、更に、該嵌合部4の見掛け密度が0.1〜0.9g/cm3であることが好ましく、0.2〜0.8g/cm3であることがより好ましい。又、嵌合部4a、4bの見掛け密度は、前記中空発泡成形体1の見掛け密度よりも大きいこと、特に前記中空発泡成形体1の見掛け密度の1.5倍以上大きいことが好ましい。かかる嵌合部を有する中空発泡成形体は、例えば、他の対応する嵌合部を有する中空発泡成形体と嵌合部どうしを、しっかりと嵌合させて組み立てることにより、単一の合わせ金型では成形できないような、複雑な形状の中空発泡成形体であっても容易に作製することができる。又、本発明の中空発泡成形体においては、前記の見掛け密度構成および中空発泡成形体に対する見掛け密度比を有する嵌合部は寸法ばらつきが少ないので、他の部材と嵌合部により隙間がなく強固に連結することができ、かつ嵌合部の連結作業性にも優れている。
【0047】
本明細書において、嵌合部の見掛け密度は、嵌合部において周方向に等間隔に3箇所から試験片を切り出し、下記の測定方法にて各試験片の見掛け密度の測定を行ない、得られた試験片の見掛け密度の算術平均値を嵌合部の見掛け密度とする。試験片の見掛け密度は、嵌合部から切り出した試験片の重量(g)を、該試験片の体積(cm3)で割って求める。
【0048】
本発明の中空発泡成形体は、図2に示すような、発泡パリソン11を所望形状に成形し得る金型に挟みこんで該パリソン11内に、0.03〜0.4MPa(ゲージ圧)に調整された圧縮エアーを吹き込んでブロー成形することにより得ることができる。該発泡パリソン11は、前記ポリオレフィン系樹脂を押出機に供給し、加熱溶融混練してから発泡剤を添加し、押出機内で更に混練して発泡性溶融樹脂とし、該発泡性溶融樹脂を発泡に適した樹脂温度及び樹脂圧力下に調整しつつアキュームレーターに充填する。その後アキュームレーターのラムを押すと共にダイ先端のゲートを開くことにより、発泡パリソンを形成することができる。本発明の中空発泡成形体を得るためには、低密度かつ複雑な形状に成形可能な粘度に調整された発泡パリソンを押出すことが必要である。尚、該粘度は発泡性溶融樹脂の樹脂温度により調整する。このようなパリソンはダイから押出された瞬間から発泡を開始し、金型に挟み込まれて成形されるまでに実質上発泡を終了する(実際は金型にて成形され冷却される間も発泡力を保持しているが、これは上記圧縮エアーの圧力に対抗し独立気泡構造を維持させるために必要な発泡パリソンの気泡内の内部圧力であり、パリソン内を減圧するなど特殊な成形操作を行わない限り金型にて成形される間に発泡倍率が大きく上がることはない)。よって、本発明において見掛け密度の小さな中空発泡成形体は、上記のようにダイから発泡性溶融樹脂を押出す発泡操作により得られた発泡パリソンを成形することにより得ることができる。尚、図2は発泡パリソンの斜視図である。
【0049】
上記発泡パリソンを形成するために前記ポリオレフィン系樹脂に添加される発泡剤は、物理発泡剤が使用される。該物理発泡剤としては、例えば、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、塩化メチル、塩化エチル、1,1,1,2−テトラフロロエタン、1,1−ジフロロエタン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール等のアルコール、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテルなどの有機系物理発泡剤、二酸化炭素、窒素、アルゴン、水などの無機系物理発泡剤が挙げられる。これらの発泡剤は単独で、または2種以上を混合して使用することができる。また、発泡剤として化学発泡剤を物理発泡剤と併用することができる。該化学発泡剤としては、アゾジカルボンアミド等が挙げられる。尚、上記物理発泡剤としては、二酸化炭素を20重量%以上、更に50重量%以上含むものが好ましい。
【0050】
上記物理発泡剤の添加量は、所望する見掛け密度(発泡倍率)を考慮して決められるが、本発明の中空発泡成形体においては、概ね、基材樹脂1kgに対して、0.1〜0.8モルの物理発泡剤を使用する。
【0051】
また、上記発泡パリソンを構成する基材樹脂には、カーボンブラック及び/又はグラファイトが添加される。該カーボンブラック及び/又はグラファイトは、ポリオレフィン系樹脂とカーボンブラック及び/又はグラファイトからなるマスターバッチの形態で添加することが好ましい。
【0052】
また、上記発泡パリソンを構成する基材樹脂には、タルク等の気泡調整剤が添加される。気泡調整剤は、通常ポリオレフィン系樹脂と気泡調整剤からなるマスターバッチの形態で添加することが好ましい。そこで、本発明においては、低い見掛け密度の中空発泡成形体を得るために、前記発泡性溶融樹脂をダイリップから通常の連続押出発泡における吐出速度の10倍以上の吐出速度で押出さなければならない。そのような速い吐出速度で押出発泡を行うと、本発明では基材樹脂にカーボンブラック及び/又はグラファイトが添加されているために、気泡が微細化し、発泡パリソンのコルゲートの発生が激しくなる。従って、コルゲートの発生を抑制するために気泡調整剤を添加しすぎないこと、低い見掛け密度の中空発泡成形体が得られる吐出速度の範囲内で吐出速度を速くしすぎないことが重要である。
【0053】
尚、上記発泡パリソンを構成する基材樹脂には、必要に応じて、赤外線吸収剤、難燃剤、流動性調整剤、紫外線吸収剤、着色剤、熱安定剤、酸化防止剤、無機充填剤等の各種の添加剤を適宜配合することができる。
【0054】
本発明において、中空発泡成形体の見掛け密度、独立気泡率を前記特定範囲内に調整するためには、基材樹脂の構成、物理発泡剤の量、発泡性溶融樹脂をダイから押出す際の吐出速度や樹脂温度を調整する方法が挙げられる。具体的には、中空発泡成形体がポリプロピレン系樹脂からなる場合には基材樹脂の主成分としてメルトテンション(MT)が前記範囲内のポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。又、物理発泡剤の添加量を増やすと得られる中空発泡成形体の見掛け密度は小さくなるが、添加量が多すぎると独立気泡率が低下するので、物理発泡剤の添加量は見掛け密度と独立気泡率のバランスを考慮して使用する。又、独立気泡率が高く、かつ複雑な形状の中空発泡成形体を成形するには発泡パリソンの粘度が重要なので、得られた中空発泡成形体の状態に対応して発泡性溶融樹脂の樹脂温度を調整する。又、吐出速度が遅すぎるとダイ内部で発泡(所謂、内部発泡)し易く見掛け密度が大きくなると共に独立気泡率が低下する虞がある。一方、吐出速度が速すぎると見掛け密度が小さくなると共に発泡パリソンが大きく収縮してしまう虞や独立気泡率が低下する虞がある。
【0055】
本発明において、中空発泡成形体の厚みを前記特定範囲内に調整するためには、発泡性溶融樹脂をダイから押出す際の吐出速度、物理発泡剤の添加量を調整する方法が挙げられる。具体的には吐出速度が速くなると厚みは増加するが、速くなりすぎると独立気泡率が低下する。また物理発泡剤の添加量を増やすと、見掛け密度が小さくなると共に厚みは増加するが、添加量を増やしすぎると独立気泡率が低下する。
【0056】
本発明において、中空発泡成形体の厚み方向の平均気泡径を前記特定範囲内に調整するには、タルク等の気泡調整剤の添加量、発泡性溶融樹脂をダイから押出す際の吐出速度、発泡パリソンを組合せ金型にて挟みながら閉鎖する際に、発泡パリソン内部に吹き込む気体の圧力(以下、吹込み圧力ともいう。)を調整する方法が挙げられる。具体的には、気泡調整剤の添加量を増加すると該平均気泡径は小さくなるが、添加しすぎると平均気泡径が小さくなりすぎて、独立気泡率が低下しやすくなる。また、吐出速度が速くなると気泡径は小さくなるが独立気泡率が低下する。更に、吹込み圧力を大きくしすぎると、気泡がつぶれて厚み方向の気泡径が小さくなる。
【0057】
本発明において、中空発泡成形体の厚み方向の気泡数を前記特定範囲内に調整するには、気泡調整剤の添加量、発泡性溶融樹脂をダイから押出す際の吐出速度を調整する方法が挙げられる。具体的には、気泡調整剤の添加量を増加すると該気泡数は多くなるが、添加しすぎると独立気泡率が低下しやすくなる。また吐出速度が速くなると気泡数は多くなるが、独立気泡率が低下する。
【0058】
次に、図3、図4により本発明の中空発泡成形体の製造方法について詳細に説明する。図3、図4は本発明の中空発泡成形体についての製造方法の一例を概念的に説明する説明図である。例えば、中空発泡成形体を形成する基材樹脂を押出機(図示しない)内で溶融混練し発泡剤を注入してから、図3に示すように、これらをダイ21から低圧域に押出せば発泡パリソン11を得ることができる。この際、押出機とダイとの間に、またはダイ内にアキュムレーターを配置することが好ましい。
【0059】
このとき本発明の中空発泡成形体を得るためには、押出機中にて発泡性溶融樹脂を調整するにあたって、気泡調整剤の添加量は中空発泡成形体の重量に対して好ましくは0.01〜1.2重量%、更に好ましくは0.05〜1.0重量%に調整し、物理発泡剤の添加量を基材樹脂1kgに対して好ましくは0.1〜0.8モルの範囲で調整する。更にアキュームレーター及びダイ内部に充填されている発泡性溶融樹脂を発泡に適した樹脂粘度に調整することと発泡パリソンを押出す際の吐出速度が重要である。とりわけ吐出速度は重要である。具体的には、該樹脂粘度は発泡性溶融樹脂の樹脂温度を好ましくは155〜175℃の範囲内とすることにより調整され、該吐出速度は好ましくは30〜400kg/h・cm2、更に好ましくは100〜250kg/h・cm2の範囲で押出すことにより調整される。前述の通り、この吐出速度は遅すぎるとダイ内部での内部発泡を生じやすくなり、独立気泡率が低下する虞や見掛け密度が大きくなってしまう虞があり、また速すぎるとダイ内部での発熱が生じ易くなり、発泡パリソンの収縮が大きくなる虞、独立気泡率が低下する虞や激しくコルゲートが発生する虞がある。
【0060】
発泡パリソン11から中空発泡成形体を製造するには、図3に示すように、押出された発泡パリソン11を、金型22aと金型22bからなる分割形式の組合せ金型内に配置し、発泡パリソン11を金型22aと金型22bとで挟むと共に、発泡パリソン11内部に気体を吹き込みながら閉鎖する。組合せ金型を閉鎖して行くと、発泡パリソン11はキャビティー24内で伸ばされて変形し、組合せ金型22a、22bの内面に密着する。組合せ金型の閉鎖が完了すると、図4に示すように、壁2の内部に空間3が形成された中空発泡成形体1が形成される。
【0061】
本発明では、図3に示すような、二つの金型からなる組合せ金型を用いる場合に限定するものではなく、3個以上の金型からなる組合せ金型を用いてもよい。
【0062】
なお、図3、図4に示すように、減圧用配管23が設けられた組合せ金型を使用し、減圧しながら成形する方法を採用すれば、発泡パリソン11の外側表面と組合せ金型22a、22bの内面とを充分に密着させることができ、金型の内面形状を良好に反映した中空発泡成形体を得ることができ、得られる中空発泡成形体の表面平滑性や金型内面模様転写性も良好なものとなる。
【0063】
また、前述した少なくとも一つ以上の嵌合部を有する中空成形体は、例えば、図5に示すような方法で形成することができる。
図5に示す方法においては、押出された発泡パリソン11を、図5(a)に示すように、金型22aと金型22bからからなる分割形式の組合せ金型内に配置すると共に、下方から発泡パリソン11内に嵌合部形成用の金型31cと金型31dを備える金型32を挿入する。このとき金型31cは、金型22aの成形空間内の上部に形成された凹部33aと、金型22bの成形空間内の上部に設けられた凹部33bとの間に位置するように、金型31dは、金型22aの成形空間内の下部に設けられたストレート部34aと、金型22bの成形空間内の下部に設けられたストレート部34bとの間に位置するように、金型32を挿入する。
【0064】
次に、図5(b)に示すように、発泡パリソン11を金型22aと金型22bとで挟むと共に、発泡パリソン11内部に気体を吹き込みながら閉鎖する。このとき、凹部33aと凹部33bと金型31cとで挟まれた部分が凸状の嵌合部として形成され、ストレート部34aとストレート部34bと金型31dとで挟まれた部分が凹状の嵌合部として形成される。
【0065】
次に、金型22aと金型22bを開き、成形体を取り出して不要なバリを取り除くと、図5(c)に示すような垂直断面を有する、凸状の嵌合部4aと凹状の嵌合部4bが形成された中空発泡成形体1を得ることができる。
【0066】
また、本発明の中空発泡成形体は、該中空発泡成形体周縁部に形成されるパーティングラインの一部から外方へ突出する舌片を形成し、該舌片を中空発泡成形体の取付片とすることができる。該舌片は組合せ金型の一方又は両方について所望の位置に舌片形成用の凹部を設け適度に発泡パリソンを圧縮成形することにより形成され、概ね0.3〜0.9g/cm3以上の見掛け密度に調整される。
【0067】
以上説明したように、本発明の中空発泡成形体は、高い独立気泡率、低い見掛け密度、特定の平均気泡径を有するものであるため断熱性に優れる上に、更にカーボンブラック及び/又はグラファイトを含有するため、更に優れた断熱性、赤外線吸収特性を示す。よって、自動車用のダクトとして好ましく使用できるもので、従来のソリッドブロー成形による中空無発泡樹脂品のように後工程において断熱材を貼り付ける必要がなく、重量が重く頑丈な取付け具も簡素化することができるため車全体の軽量化も達成される。また該ダクトはエアコンのコンプレッサーの能力が従来使用したものより低くても車内温度を制御することができ、コストダウンが可能になる。又、本発明の中空発泡成形体は十分な機械的強度を有するものである。又、本発明の中空発泡成形体はポリオレフィン系樹脂を主成分とする基材樹脂からなるので、容易にリサイクルできる。
【0068】
又、中空発泡成形体に嵌合部が形成されていると、複雑な形状の中空発泡成形体であっても複数の中空発泡成形体を嵌合部にて連結して得ることができる。
【0069】
【実施例】
以下に実施例を挙げ、本発明を詳細に説明する。
【0070】
実施例1
モンテル・カナダ社製ポリプロピレンSD632(MT:20cN、MFR:3g/10min)と該SD632の回収原料(MT:5cN、MFR:8g/10min)の重量比50:50の混合物を基材樹脂とし、該基材樹脂に気泡調節剤マスターバッチ(ベースレジン:低密度ポリエチレン、ステアリン酸ナトリウム5重量%、タルク10重量%)およびカーボンブラックマスターバッチ(ベースレジン:ポリプロピレン樹脂、カーボンブラック(ファーネスブラック)、平均粒径28nm、カーボンブラック濃度40重量%)を夫々中空発泡成形体の重量に対する含有量が表1に示すタルク量およびカーボンブラック量となるように添加した原料を混合し、内径65mmの押出機に供給して加熱溶融混練してから、基材樹脂1kgに対して表1に示す配合の発泡剤を押出機の途中から圧入混練して発泡性溶融樹脂物とした。尚、表1において、カーボンブラックをCBと表す。
【0071】
次いで、発泡性溶融樹脂の温度を表1に示す温度に調整し、アキュームレーターに充填した。次にアキュームレーターのラムを押すとともに、ダイ先端に配置されたゲートを開くことにより発泡性溶融樹脂をダイから表1に示す吐出速度で押出すことにより、発泡パリソンを形成した。得られた発泡パリソンは発泡状態、外観共に良好なものであった。
【0072】
次に、得られた発泡パリソンをダイ直下に位置する、図1に示す中空発泡成形体形状のキャビティーを形成する水冷された組合せ金型間に配置し、更に嵌合部形成用の金型を図5に示すようにパリソン内部へ挿入して、型締め後金型下方に取り付けられた気体吹込み口から発泡パリソンの内部に表1に示す吹込み圧力の空気を吹込むと同時に発泡パリソン外面と金型内面との間を減圧することによって、表2に示す見掛け密度の嵌合部を両端部に有する筒状の黒色中空発泡成形体を形成した。得られた中空発泡成形体の諸物性を表2に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
実施例2〜4
表1に示した条件以外は、実施例1と同様に発泡パリソン形成した。得られた発泡パリソンは発泡状態、外観共に良好なものであった。次に、得られた発泡パリソンを用いて、実施例1と同様に筒状の中空発泡成形体を形成した。得られた黒色中空発泡成形体の諸物性を表2に示す。
【0075】
実施例5、6
表1に示した条件以外は、実施例1と同様に発泡パリソン形成した。尚、実施例5、6においてはカーボンブラックマスターバッチの代わりにグラファイトマスターバッチ(ベースレジン:ポリプロピレン樹脂、グラファイト(天然黒鉛粉末)、平均粒径7um、グラファイト濃度40重量%)を使用して、中空発泡成形体中の含有量が表1に示すグラファイト量となるように添加した。得られた発泡パリソンは発泡状態、外観共に良好なものであった。
次に、得られた発泡パリソンを用いて、実施例1と同様に筒状の黒色中空発泡成形体を形成した。得られた中空発泡成形体の諸物性を表2に示す。尚、表1において、グラファイトをGPと表す。
【0076】
比較例1〜4
表1に示した条件以外、実施例1と同様に発泡パリソン形成した。比較例1、2にて得られた発泡パリソンはコルゲートの発生が激しくかつ収縮しやすいものであった。比較例3では発泡パリソンのコルゲート及び収縮が激しくブロー成形することができず成形体を得ることができなかった。比較例4にて得られた発泡パリソンは発泡状態、外観共に良好なものであった。次に、比較例1、2及び4にて得られた発泡パリソンを用いて、実施例1と同様に中空発泡成形体を形成した。比較例1〜2にて得られた中空発泡成形体は黒色ではあるが、コルゲートの巻き込みが激しく、その表面に凹凸が目立つものであった。比較例4にて得られた中空発泡成形体は着色が不十分なものであり、実施例にて得られた中空発泡成形体と比較して熱伝導率が大きいものであった。
【0077】
実施例1〜6、比較例1、2及び4において得られた中空発泡成形体の重量、見掛け密度、厚み、厚み方向の平均気泡径、厚み方向の気泡数、独立気泡率等を表2に示す。又、実施例1〜6、比較例1、2及び4において得られた中空発泡成形体について燃焼性試験等を行った結果を表2に併せて示す。
【0078】
【表2】
【0079】
表2示した中空発泡成形体の燃焼性試験、熱伝導率、外観の評価方法は以下の通りとした。
燃焼性試験
自動車の難燃規格(FMVSS NO.302)に従って試験を行い、燃焼速度(cm/min)を測定し以下の基準で評価した。
○:燃焼速度が10cm/min未満
×:燃焼速度が10cm/min以上
【0080】
熱伝導率
非定常熱線法測定方式である Shotherm QTM−DII 迅速熱伝導率計(昭和電工株式会社製)を用いて、試験温度23℃、相対湿度50%の条件下で測定した。尚、試験片は中空発泡成形体の任意の部位(但し、気泡が大きく変形した部分や嵌合部は除く)を50mm×100mm×成形体厚さの平板状に切出し、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、24時間放置し調整したものを使用した。
【0081】
外観
中空発泡成形体の外観を目視により以下の基準で確認した。
○:コルゲートの巻き込みや、膨れやひけ等による局部的な凹凸が殆ど無く、製品厚みが均一である。
×:コルゲートの巻き込みが激しく、加えて膨れやひけが多く見られ、製品厚みが不均一である。
【0082】
【発明の効果】
本発明の中空発泡成形体は、見掛け密度が0.05〜0.5g/cm3、独立気泡率が60%以上、厚み方向の平均気泡径が0.1〜2mmの中空発泡成形体であって、該中空発泡成形体がカーボンブラック及び/又はグラファイトを0.1〜4重量%含有しているものであることにより、黒色又は灰色に着色されたものであり、断熱性に特に優れ、優れた軽量性と機械的強度を兼備するものである。また、リサイクル性にも優れる。更に、本発明の中空発泡成形体は、自動車用のダクトとして好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は中空発泡成形体の正面図、(b)は(a)のI−I線に沿う縦断面図である。
【図2】発泡パリソンの斜視図である。
【図3】中空発泡成形体の製造方法の一例を概念的に説明する説明図である。
【図4】中空発泡成形体の製造方法の一例を概念的に説明する説明図である。
【図5】嵌合部を有する中空発泡成形体の製造方法の一例を概念的に説明する説明図である。
【図6】メルトテンション(MT)の測定におけるメルトテンションと時間との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 中空発泡成形体
2 壁
3 中空発泡成形体の内部の空間
4a 凸状の嵌合部
4b 凹状の嵌合部
Claims (4)
- ポリオレフィン系樹脂発泡パリソンをブロー成形してなる見掛け密度が0.05〜0.5g/cm3、独立気泡率が60%以上、厚み方向の平均気泡径が0.1〜2mmの中空発泡成形体であって、該中空発泡成形体がカーボンブラック及び/又はグラファイトを0.1〜4重量%含有していることを特徴とするポリオレフィン系樹脂中空発泡成形体。
- 該ポリオレフィン系樹脂中空発泡成形体が融点130℃以上のポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂中空発泡成形体。
- 該ポリオレフィン系樹脂中空発泡成形体がポリプロピレン系樹脂からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂中空発泡成形体。
- 該ポリオレフィン系樹脂中空発泡成形体の厚みが2〜10mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂中空発泡成形体。
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