JP2004116956A - ダクト - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のダクトはポリプロピレン系樹脂中空発泡成形体からなり、見掛け密度(D)が0.05〜0.5g/cm3、独立気泡率が60%以上、厚み方向の平均気泡径が0.1〜2mm、厚み方向の気泡数が3以上であり、かつ厚み(T:cm)と見掛け密度(D)とが下記(1)式の関係を満足する。
【数1】
0.005≦DT2≦0.05 (1)
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として自動車の空調に使用されるダクトに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の自動車は大型化に伴いエアコンを2台装備したり、小型車であっても内部空間を広くすることが要求されることから、自動車用空調ダクトはコンパクトでなければならないと共に、目的とする空気流量をスムーズに流すことが要求される。しかも、車種ごとに異なるダクトの形状が要求されている。
【0003】
これらの要求に答えるため、従来から高密度ポリエチレンやポリプロピレン等からなる中空ブロー成形品が使用されてきた。該中空ブロー成形品は異型形状の成形が容易であり、目的とする空気流量を容易に確保できるので、自動車用空調ダクトの素材としては好適なものであった。
【0004】
しかしながら、従来の中空ブロー成形品は、ソリッドブロー成形法で製造された無発泡樹脂品であることから、重量が重いという欠点があった。また、無発泡の中空ブロー成形品は断熱性に劣ることから、ダクト回りの結露を防止するために、その表面に5mm程度の軟質発泡ウレタンや架橋ポリエチレン発泡シート等の断熱材を、後工程において手作業により貼着加工しなければならなかった。その結果、製造工程が複雑となりコストがかかるという欠点があった。更に、異なる素材からなるダクトは、リサイクルが難しいという欠点もあった。
【0005】
これらの欠点を改善するための公知技術として、[特許文献1]、[特許文献2]、[特許文献3]等に記載された発明や考案が開示されている。
【0006】
しかしながら、[特許文献1]に開示されているダクトは、ソリッドブロー成形の際に断熱材をインサートし同時成形するものであり、工程数は減るが装置が複雑となるので、実用的なものではない。[特許文献2]に開示されているダクトは、発泡ポリオレフィン層の外面を非発泡ポリオレフィン層で被覆したものである。これは外面に非発泡層を有しているため、軽量性に欠ける上に、発泡層及び非発泡層が低密度ポリエチレンで構成されているため耐熱性に問題がある。[特許文献3]に開示されているダクトは、発泡層単体からなり、断熱性・軽量性に優れたものであるとの説明が明細書に記載されている。しかし、成形型を閉じてパリソンに気体を吹き込み所望の形状のダクトに成形し、途中で内部圧力を低下せしめて発泡させることにより得られるものであり、発泡倍率が2倍未満の低発泡品であって、本発明の目的とする十分な軽量性、断熱性を実現しているとは到底言えないものである。
【0007】
【特許文献1】
実開昭56−160392号公報(実用新案登録請求の範囲)
【特許文献2】
実開昭57−8988号公報(実用新案登録請求の範囲)
【特許文献3】
特開平10−181334号公報(第3頁、段落[0015])
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、結露防止性、断熱性、耐熱性、軽量性に優れ、実用上十分な強度を有すると共に、簡素な工程で製造可能なダクトを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、以下に示すダクトが提供される。
〔1〕ポリプロピレン系樹脂中空発泡成形体からなり、見掛け密度(D)が0.05〜0.5g/cm3、独立気泡率が60%以上、厚み方向の平均気泡径が0.1〜2mm、厚み方向の気泡数が3以上であり、かつ厚み(T:cm)と見掛け密度(D)とが下記(1)式の関係を満足することを特徴とするダクト。
【数2】
0.005≦DT2≦0.05 (1)
〔2〕前記中空発泡成形体が嵌合部を少なくとも一つ有し、該嵌合部の見掛け密度が0.1〜0.9g/cm3であり、該嵌合部の見掛け密度が該中空発泡成形体の見掛け密度よりも大きいことを特徴とする前記〔1〕に記載のダクト。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のダクトについて詳細に説明する。図1は、本発明のダクトの一例を示す図面であり、図1(a)はダクトの正面図、図1(b)は図1(a)のI−I線に沿う縦断面図である。図1において、1はダクトを構成するポリプロピレン系樹脂中空発泡成形体を、2はポリプロピレン系樹脂中空発泡成形体の壁を、3はポリプロピレン系樹脂中空発泡成形体の内部の空間(即ち、ダクトの空気流路)を、4aはポリプロピレン系樹脂中空発泡成形体に形成された凸状の嵌合部を、4bは凹状の嵌合部をそれぞれ示す。
但し、図1は本発明のダクトの一例を示すものであって、本発明を限定するものではない。
【0011】
本発明のダクトは、ポリプロピレン系樹脂中空発泡成形体(以下、単に中空発泡成形体ともいう。)からなり、該中空発泡成形体の基材樹脂は、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする。該中空発泡成形体は、ポリプロピレン系樹脂を主成分とするので、耐熱性に優れており、独立気法率の他、後述する特定の構成を満足することにより断熱性、軽量性および剛性を兼備するものである。又、中空発泡成形体は、それ自身が軽量であることに加え、自重が低減することによりダクトを支持する部材の強度を下げることができるので、自動車に使用する場合、相乗的に大幅な軽量化を図ることができる。更に、従来のダクトと異なり、後工程において、軟質発泡ウレタンや架橋ポリエチレン発泡シート等の断熱材を貼着加工する必要がない。
尚、本明細書において、ポリプロピレン系樹脂を主成分とするとは、ポリプロピレン系樹脂が基材樹脂中に60重量%以上含まれていることをいう。
【0012】
上記ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体やプロピレン成分が60重量%以上、好ましくは80重量%以上含有されているプロピレン系共重合体等が挙げられ、該共重合体の共重合成分としては、エチレン、炭素数4〜12のα−オレフィン等が挙げられ、該α−オレフィンの炭素数は好ましくは4〜8である。更に、ポリプロピレン系樹脂は、上記プロピレンの単独重合体や共重合体に40重量%以下、好ましくは20重量%以下の範囲内でスチレンなどのその他の成分を共重合したものも含む。
【0013】
上記ポリプロピレン系樹脂の中でも、中空発泡成形体を形成するために押出機中に供給されるポリプロピレン系樹脂としては、230℃におけるメルトテンション(MT)が1.5cN以上のものが好ましく、3.0cN以上がより好ましく、4.0cN以上が更に好ましい。かかるポリプロピレン系樹脂を用いると、目的に応じた厚み、見掛け密度の中空発泡成形体を比較的容易に形成することができる。尚、該メルトテンションの上限は概ね30cNである。
【0014】
また、本発明の中空発泡成形体において、該中空発泡成形体をヒートプレスにより脱泡して得た試験片を用いて測定した場合のMTは、1.5〜30cN、更に2.0〜25cNとなっていることが、外観に優れ、厚みや見掛け密度が均一な中空発泡成形体となっていることに繋がっているので好ましい。
【0015】
また本発明の中空発泡成形体を形成するために押出機中に供給されるポリプロピレン系樹脂としては、メルトフローレイト(MFR)が0.5〜20g/10分であることが好ましく、1〜15g/10分がより好ましく、2〜10g/10分が更に好ましい。上記メルトフローレイトが0.5g/10分未満の場合は、発泡ブロー成形に用いる合わせ金型空間部の形状が複雑になる程、その形状通りの中空発泡成形体を得ることが難しくなる虞がある。一方、メルトフローレイトが20g/10分を超える場合は、発泡ブロー成形時に自重によるドローダウン現象が起こり、最終的に得られる中空発泡成形体に厚みむらが発生する虞があるため、金型成形装置上の工夫が必要となる場合がある。
【0016】
本明細書におけるメルトテンション(MT)は、ASTM D1238に準拠して製作された株式会社東洋精機製作所製のメルトテンションテスターII型を使用して、孔の直径2.095mm、長さ8mmのまっすぐな孔を有する円筒状のオリフィスを用い、樹脂温度230℃、ピストン速度10mm/分の押出条件で樹脂を紐状に押出し、この紐状物を直径45mmの張力検出用プーリーに掛けた後、5rpm/秒(紐状物の捲取り加速度:1.3×10−2m/秒2 )程度の割合で捲取り速度を徐々に増加させていきながら直径50mmの捲取りローラーで捲取ることによって測定する。
【0017】
メルトテンション(MT)を求めるには、次に、張力検出用プーリーに掛けた紐状物が切れるまで捲取り速度を増加させ、紐状物が切れた時の捲取り速度:R(rpm)を求める。次いで、R×0.7(rpm)の一定の捲取り速度において紐状物の捲取りを再度行い、張力検出用プーリーと連結する検出器により検出される紐状物のメルトテンションを経時的に測定し、縦軸にメルトテンションを、横軸に時間を取ったグラフに示すと、図7のような振幅をもったグラフが得られる。
【0018】
本明細書におけるメルトテンションとしては、図7に示すように振幅の安定した部分の振幅の中央値(X)を採用する。但し、捲取り速度が500rpmに達しても紐状物が切れない場合には、捲取り速度を500rpmとして紐状物を捲き取って求めたグラフより紐状物のメルトテンションを求める。
【0019】
尚、メルトテンションの経時的測定の際に、まれに特異な振幅値が検出されることがあるが、このような特異な振幅値は無視するものとする。
【0020】
本明細書におけるポリプロピレン系樹脂のメルトフローレイトは、JIS K
7210(1976)の表1の条件14により測定するものとする。
【0021】
尚、本発明の中空発泡成形体により構成されるダクトとしては単層の発泡体からなるものが軽量性において好ましい。該中空発泡成形体の内面および/または外面に本発明の目的、効果を大きく阻害しない範囲で熱可塑性樹脂層(概ね、熱可塑性樹脂層の厚みは1mm未満)を積層することもできる。例えば、中空発泡成形体の表面にダクトの大きな重量増加に繋がる概ね厚みが1.5mmを超えるようなそれ自身で保形性のある樹脂層を設けたものは本発明のものには含まれない。尚、上記熱可塑性樹脂層の厚みの測定方法は、後述する中空発泡成形体の厚みの測定方法と同様にして熱可塑性樹脂層について行なうこととする。
【0022】
本発明のダクトを構成する中空発泡成形体においては、見掛け密度(D)が0.05〜0.5g/cm3、好ましくは0.07〜0.4g/cm3、更に好ましくは0.1〜0.3g/cm3である。見掛け密度(D)が小さすぎる場合は、曲げ強度、圧縮強度等の機械的物性が低下し、ダクトとして実用に耐えないものとなる虞がある。一方、見掛け密度(D)が大きすぎる場合は、発泡倍率が低くなりすぎて目的とする断熱性を得られなくなると共に、軽量性を失う虞がある。
【0023】
本明細書において、中空発泡成形体の見掛け密度(D)は、中空発泡成形体の中央部及び両端部付近(但し、嵌合部は除く。)の計3部分において、各部分の周方向に等間隔に3箇所から試験片を切り出し、下記の測定方法にて各試験片の見掛け密度の測定を行ない、得られた計9箇所の見掛け密度の内、最大及び最小の値を除く7箇所の見掛け密度の算術平均値を中空発泡成形体の見掛け密度(D)とする。
試験片の見掛け密度(D)は、中空発泡成形体から切り出した試験片の重量(g)を、該試験片の体積(cm3)で割って求める。但し、試験片としては、気泡が大きく変形していない部分(気泡が潰された部分や大きく引伸ばされたところが殆どない部分)から切り出したものを使用する。
【0024】
本発明のダクトを構成する中空発泡成形体においては、独立気泡率が60%以上である。独立気泡率が60%未満の場合は、優れた断熱性、機械的物性のものを得ることができない虞がある。かかる観点からは、本発明の中空発泡成形体の独立気泡率は、70%以上、更に80%以上であることが好ましい。
【0025】
本明細書において、中空発泡成形体の独立気泡率は中空発泡成形体の中央部及び両端部付近の計3箇所の独立気泡率を下記の手順にて測定し、それらの算術平均値を中空発泡成形体の独立気泡率とする。
独立気泡率は、中空発泡成形体から試験片を切り出し、ASTM D2856−70(1976再認定)の(手順C)によりVxを求め、下記(2)式により算出する。但し、試験片としては、気泡が大きく変形していない部分(気泡が潰された部分や大きく引伸ばされたところが殆どない部分を意味し、例えば、後述する嵌合部は除かれる。)から切り出したものを使用する。また、規定の体積の試験片が切り出せない場合は、複数の試験片を重ね合わせることにより規定の体積とする。
【0026】
【数3】
独立気泡率(%)=(Vx−Va(ρf/ρs))×100/(Va−Va(ρf/ρs)) (2)
Vx;試験片の実容積(独立気泡部分の容積と樹脂部分の容積との和)(cm3)
Va;試験片の外形寸法から求められる見掛けの容積(cm3)
ρf;試験片の見掛け密度(g/cm3)
ρs;試験片の基材樹脂の密度(g/cm3)
【0027】
本発明のダクトを構成する中空発泡成形体においては、厚み方向の平均気泡径が0.1〜2mmである。該平均気泡径が大きすぎると、ダクトに要求される断熱性を発揮できない虞があり、外観も悪くなる。一方、平均気泡径が小さすぎる場合は、独立気泡率が低下しやすくなり、得られる中空発泡成形体の寸法安定性が悪くなる虞れがある。かかる観点からは、該平均気泡径は0.2〜1.5mmが好ましく、0.3〜1.2mmがより好ましい。
【0028】
本明細書において、中空発泡成形体の厚み方向の平均気泡径の測定は、中空発泡成形体の長手方向(中空発泡成形体の厚み方向および周方向と直交する方向)に対する垂直断面(図1(b)として示す周方向断面)を拡大投影し、投影画像上にて厚み方向に中空発泡成形体の全厚みに亘る直線を引き、その直線と交差する気泡数をカウントし、画像上の直線における拡大前の実際の長さを気泡数で割ることによって求めた値を気泡径とし、この操作を中空発泡成形体の中央部及び両端部付近について計3つの垂直断面において行うこととし、更に、各垂直断面において等間隔に5箇所測定を行うこととする。得られた15箇所の気泡径の内、最大及び最小の値を除く13箇所の気泡径の算術平均値を中空発泡成形体の厚み方向の平均気泡径とする。但し、測定箇所としては、気泡が大きく変形していない部分(気泡が潰された部分や大きく引伸ばされたところが殆どない部分を意味し、例えば、後述する嵌合部は除かれる。)とする。
【0029】
本発明のダクトを構成する中空発泡成形体においては、厚み方向の気泡数が3以上である。厚み方向の気泡数が3未満の場合は、ダクトに要求される断熱性を発揮できない虞があり、外観も悪くなる。かかる観点からは、厚み方向の気泡数はダクトの厚みにもよるが3〜15が好ましく、5〜10がより好ましい。尚、厚み方向の気泡数の上限は概ね40である。
【0030】
本明細書において、厚み方向の気泡数は、前記厚み方向の平均気泡径の測定と同様に周方向断面を拡大投影した投影画像上にて厚み方向に中空発泡成形体の全厚みに亘る直線を引き、その直線と交差する気泡数をカウントする。この操作を中空発泡成形体の中央部及び両端部付近について計3つの垂直断面において行うこととし、更に、各垂直断面において等間隔に5箇所測定を行うこととする。得られた15箇所の気泡数の内、最大及び最小の値を除く13箇所の気泡数の算術平均値を中空発泡成形体の厚み方向の気泡数とする。但し、測定箇所としては、気泡が大きく変形していない部分(気泡が潰された部分や大きく引伸ばされたところが殆どない部分を意味し、例えば、後述する嵌合部は除かれる。)とする。
【0031】
また、本発明のダクトを構成する中空発泡成形体においては、その厚み(T:cm)と前記見掛け密度(D)とが下記(1)式の関係を満足することを要する。
【数4】
0.005≦DT2≦0.05 (1)
【0032】
DT2が小さすぎる場合は、中空発泡成形体壁面の強度が不足するため、通風によりダクトが変形しやすく、そのため取付の際の作業性が悪くなる。また、取り付け後、通風時に変形すると、通風効率が悪くなる。更に、中空発泡成形体の厚みが薄すぎて、DT2が小さすぎる場合は、断熱性も低下する。一方、DT2が大きすぎる場合は、中空発泡成形体壁面の強度は十分である。しかし、見掛け密度(D)が大きすぎてDT2が大きすぎる場合は、ダクト全体の重量が重くなり、軽量かつ断熱性のあるダクトとはいえなくなる。またダクト壁面の厚みが厚すぎてDT2の値がが大きくなりすぎる場合は、通風部の断面積が低下し通風効率も悪くなる。尚、上記(1)式におけるDT2の値は0.01〜0.08が好ましく、0.02〜0.05がより好ましい。
【0033】
本明細書において、中空発泡成形体の厚み(T)の測定は、中空発泡成形体の中央部及び両端部付近について計3つの、中空発泡成形体の長手方向に対する垂直断面(周方向断面)において行うこととし、更に、各垂直断面において等間隔に5箇所、該垂直断面の厚み方向において厚みの測定を行うこととする。得られた15箇所の厚みの内、最大及び最小の値を除く13箇所の厚みの算術平均値を中空発泡成形体の厚みとする。但し、測定箇所としては、気泡が大きく変形していない部分(気泡が潰された部分や大きく引伸ばされたところが殆どない部分を意味し、例えば、後述する嵌合部は除かれる。)とする。
【0034】
本発明のダクトを構成する中空発泡成形体は、図1に示すように、少なくとも一つの他の中空発泡成形体との嵌合部を有し、該嵌合部4の見掛け密度が0.1〜0.9g/cm3であることが好ましく、0.2〜0.8g/cm3であることがより好ましい。又、嵌合部4a、4bの見掛け密度は、前記中空発泡成形体1の見掛け密度よりも大きいこと、特に前記中空発泡成形体1の見掛け密度の1.5倍以上大きいことが好ましい。かかる嵌合部を有する中空発泡成形体は、他の対応する嵌合部を有する中空発泡成形体と嵌合部どうしを、しっかりと嵌合させて組み立てることにより、単一の合わせ金型では成形できないような、複雑な形状のダクトであっても容易に作製することができる。又、本発明の中空発泡成形体においては、前記の密度構成および中空発泡成形体に対する密度比を有する嵌合部は寸法ばらつきが少ないので、送風の漏れ等が無くかつ取付時の作業性にも優れている。
【0035】
嵌合部の見掛け密度が小さすぎる場合は、嵌合部の機械的強度が弱すぎて、嵌合力が弱くなる虞や、ダクトが変形しやすくなる虞や、取付時の作業性が悪くなる虞がある。
本明細書において、嵌合部の見掛け密度は、嵌合部において周方向に等間隔に3箇所から各試験片を切り出し、下記の測定方法にて各試験片の見掛け密度の測定を行ない、得られた試験片の見掛け密度の算術平均値を嵌合部の見掛け密度とする。試験片の見掛け密度は、嵌合部から切り出した試験片の重量(g)を、該試験片の体積(cm3)で割って求める。
【0036】
本発明のダクトを構成する中空発泡成形体は、図2に示すような、発泡パリソン11を所望形状に成形し得る金型に挟みこんで該発泡パリソン11内に0.03〜0.4MPa(ゲージ圧)の圧力となるように調整された圧縮エアーを吹き込んでブロー成形することにより得ることができる。該発泡パリソン11は、前記ポリプロピレン系樹脂を押出機に供給し、加熱溶融混練してから発泡剤を添加し、押出機内で更に混練して発泡性溶融樹脂とし、該発泡性溶融樹脂を発泡に適した樹脂温度及び該樹脂が発泡を開始しない圧力下に調整しつつアキュームレーターに充填する。その後アキュームレーターのラムを押すと共にダイ先端のゲートを開くことにより、発泡パリソンを形成させることができる。本発明の発泡ダクトを得るためには、低密度かつ複雑な形状に成形可能な粘度に調整された発泡パリソンを押出すことが必要である。尚、該粘度は発泡性溶融樹脂の樹脂温度により調整する。このようなパリソンはダイから押出された瞬間から発泡を開始し、金型に挟み込まれて成形されるまでに実質上発泡を終了する(実際は金型にて成形され冷却される間も発泡力を保持しているが、これは吹込みエアー圧力に対抗し独立気泡構造を維持させるために必要な発泡パリソンの気泡内の内部圧力であり、パリソン内を減圧するなど特殊な成形操作を行わない限り金型にて成形される間に発泡倍率が大きく上がることはない。)。よって、本発明において見掛け密度の小さな中空発泡成形体は、上記のようにダイから発泡性溶融樹脂を押出す発泡操作により発泡パリソンを形成することにより得ることができる。尚、図2は発泡パリソンの斜視図である。
【0037】
上記発泡パリソンを形成するために前記ポリプロピレン系樹脂に添加される発泡剤は、物理発泡剤が使用される。該物理発泡剤としては、例えば、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、塩化メチル、塩化エチル、1,1,1,2−テトラフロロエタン、1,1−ジフロロエタン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール等のアルコール、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル、二酸化炭素、窒素、アルゴン、水等の物理発泡剤として使用可能な無機物が挙げられる。これらの発泡剤は単独で、または2種以上を混合して使用することができる。また、発泡剤として化学発泡剤を物理発泡剤と併用することができる。該化学発泡剤としては、アゾジカルボンアミド等が挙げられる。尚、上記物理発泡剤としては、二酸化炭素を20重量%以上、更に50重量%以上含むものが好ましい。
【0038】
上記物理発泡剤の添加量は、所望する見掛け密度(発泡倍率)を考慮して決められるが、本発明の中空発泡成形体においては、概ね、物理発泡剤を基材樹脂1kgに対して、0.08〜0.8モルの割合で使用する。
【0039】
また、上記発泡パリソンを構成する基材樹脂には、タルク等の気泡調整剤が添加される。気泡調整剤は、通常ポリプロピレン系樹脂と気泡調整剤からなるマスターバッチの形態で添加することが好ましい。気泡調整剤の添加量は、通常、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする基材樹脂100重量部に対して0.05〜10重量部である。
【0040】
また、上記発泡パリソンを構成する基材樹脂には、必要に応じて、赤外線吸収剤、難燃剤、流動性調整剤、紫外線吸収剤、着色剤、熱安定剤、酸化防止剤、無機充填剤等の各種の添加剤を適宜配合することができる。例えば、断熱性向上、赤外線吸収剤、難燃剤及び着色剤等の効果が期待できるカーボンブラックやグラファイトを基材樹脂に配合することができる。
【0041】
次に、図3、図4により本発明の中空発泡成形体の製造方法について詳細に説明する。図3、図4は本発明の中空発泡成形体の製造方法についての一例を概念的に説明する説明図である。図3に示すように、例えば、基材樹脂を押出機(図示しない)内で加熱溶融混練し発泡剤を注入してから低圧域に押出して発泡パリソン11を得る。この際、押出機とダイ21との間に、またはダイ内にアキュムレーターを配置することが好ましい。
【0042】
発泡パリソン11から中空発泡成形体を製造するには、押出された発泡パリソン11を、図3に示すように、金型22aと金型22bからからなる分割形式の組合せ金型内に配置し、発泡パリソンを金型22aと金型22bとで挟むと共に、発泡パリソン11内部に気体を吹き込みながら閉鎖する。組合せ金型を閉鎖して行くと、発泡パリソンはキャビティー24内で伸ばされて変形し、組合せ金型22a、22bの内面に密着する。組合せ金型の閉鎖が完了すると、図4に示すように、壁2の内部に空間(空気流路)3が形成された中空発泡成形体1が形成される。但し、本発明は、図3に示すような、二つの金型からなる組合せ金型を用いる場合に限定するものではなく、3個以上の金型からなる組合せ金型を用いてもよい。
【0043】
なお、図3、図4に示すように、減圧用配管23が設けられた組合せ金型を使用し、減圧しながら成形することにより発泡パリソン11の外側表面と組合せ金型22a、22bの内面とが充分に密着し、金型の内面形状を良好に反映した中空発泡成形体を得ることができ、得られる中空発泡成形体の外観も良好なものとなる。
【0044】
前述した、少なくとも一つ以上の他の中空発泡成形体との嵌合部を有する中空発泡成形体は、例えば、図5に示すような方法で形成することができる。
図5に示す方法においては、押出された発泡パリソン11を、図5(a)に示すように、金型22aと金型22bからからなる分割形式の組合せ金型内に配置すると共に、下方から発泡パリソン11内に嵌合部形成用の金型31cと金型31dを備える金型32を挿入する。このとき金型31cは、金型22aの成形空間内の上部に形成された凹部33aと、金型22bの成形空間内の上部に設けられた凹部33bとの間に位置するように、金型31dは、金型22aの成形空間内の下部に設けられたストレート部34aと、金型22bの成形空間内の下部に設けられたストレート部34bとの間に位置するように、金型32を挿入する。次に、図5(b)に示すように、発泡パリソン11を金型22aと金型22bとで挟むと共に、発泡パリソン11内部に気体を吹き込みながら閉鎖する。このとき、凹部33aと凹部33bと金型31cとで挟まれた部分が凸状の嵌合部として形成され、ストレート部34aとストレート部34bと金型31dとで挟まれた部分が凹状の嵌合部として形成される。
次に、金型22aと金型22bを開き、成形体を取り出して不要なバリを取り除くと、図5(c)に示すような垂直断面を有する、凸状の嵌合部4aと凹状の嵌合部4bが形成された中空発泡成形体1を得ることができる。
【0045】
本発明において、中空発泡成形体の見掛け密度、独立気泡率を前記特定範囲内に調整するためには、基材樹脂の構成、物理発泡剤の量、樹脂温度、発泡性溶融樹脂をダイから押出す際の吐出速度を調整する方法が挙げられる。具体的には、基材樹脂の主成分としてメルトテンション(MT)が前記範囲内のポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。又、物理発泡剤の添加量を増やすと得られる中空発泡成形体の見掛け密度は小さくなるが、添加量が多すぎると独立気泡率が低下するので、物理発泡剤の添加量は見掛け密度と独立気泡率のバランスを考慮して基材樹脂1kgに対して好ましくは0.1〜0.5モルの範囲で使用する。又、独立気泡率が高く、かつ複雑な形状の中空発泡成形体を成形するには発泡パリソンの粘度が重要なので、得られた中空発泡成形体の状態に対応して樹脂温度を好ましくは155〜175℃の範囲内とする。又、吐出速度が速すぎると、見掛け密度が大きくなると共に独立気泡率が低下し、吐出速度が遅すぎると見掛け密度が小さくなると共に過発泡となり独立気泡率が低下するので、得られた中空発泡成形体の状態に対応して吐出速度を好ましくは50〜300kg/h・cm2の範囲内で調整する。
【0046】
本発明において、中空発泡成形体の厚みを前記特定範囲内に調整するためには、発泡性溶融樹脂をダイから押出す際の吐出速度、物理発泡剤の添加量を調整する方法が挙げられる。具体的には吐出速度が速くなると厚みは増加するが、速くなりすぎると独立気泡率が低下するので、得られた中空発泡成形体の状態に対応して前記の通りに調整する。物理発泡剤の添加量を増やすと、見掛け密度が小さくなると共に厚みは増加するが、添加量を増やしすぎると独立気泡率が低下するので、得られた中空発泡成形体の状態に対応して物理発泡剤の添加量を前記の通りに調整する。
【0047】
本発明において、中空発泡成形体の厚み方向の平均気泡径を前記特定範囲内に調整するには、タルク等の気泡調整剤の添加量、発泡性溶融樹脂をダイから押出す際の吐出速度、発泡パリソンを金型と金型とで挟みながら閉鎖する際に、発泡パリソン内部に吹き込む気体の圧力(以下、吹込み圧力ともいう。)を調整する方法が挙げられる。具体的には、気泡調整剤の添加量を増加すると該平均気泡径は小さくなるが、添加しすぎると平均気泡径が小さくなりすぎて、独立気泡率が低下しやすくなるので、得られた中空発泡成形体の平均気泡径に対応して気泡調整剤の添加量を好ましくは基材樹脂100重量部に対して0.1〜3重量部に調整する。また、吐出速度が速くなると気泡径は小さくなるが独立気泡率が低下するので、得られた中空発泡成形体の平均気泡径に対応して吐出速度を前記の通りに調整する。更に、吹込み圧力を大きくしすぎると、気泡がつぶれて厚み方向の気泡径が小さくなるので好ましくは0.1〜0.3MPa(ゲージ圧)に調整する。
【0048】
本発明において、中空発泡成形体の厚み方向の気泡数を前記特定範囲内に調整すには、気泡調整剤の添加量、発泡性溶融樹脂をダイから押出す際の吐出速度を調整する方法が挙げられる。具体的には、気泡調整剤の添加量を増加すると該気泡数は多くなるが、添加しすぎると独立気泡率が低下しやすくなるので、得られた中空発泡成形体の該気泡数に対応して物理発泡剤の添加量を前記の通りに調整する。吐出速度が速くなると気泡数は多くなるが、独立気泡率が低下するので、得られた中空発泡成形体の気泡数に対応して吐出速度を前記の通りに調整する。
【0049】
なお、本発明のダクトには該ダクト周縁部に形成されるパーティングラインの一部から外方へ突出する舌片を形成し、該舌片をダクトの取付片とすることができる。該舌片は組合せ金型の一方又は両方の所望の位置に舌片形成用の凹部を設け発泡パリソンを適度に圧縮成形することにより形成され、概ね0.3〜0.9g/cm3以上の見掛け密度に調整される。
【0050】
以上説明したように、本発明のダクトを構成する中空発泡成形体はそれ自体が優れた断熱性を有するので、後工程において断熱材を貼り付ける必要がなく、車両用ダクトとして使用する場合、車全体の軽量化も達成される。またエアコンのコンプレッサーの能力が従来使用したものよりも低くても十分に空調温度を制御することができ、コストダウンが可能になる。又、本発明の中空発泡成形体は十分な機械的強度を有しているので、取付の際の作業性が優れており、送風による変形等に起因する通風効率ダウンもない。又、本発明の中空発泡成形体はポリプロピレン系樹脂を主成分とする基材樹脂からなるので、耐熱性に優れ、容易にリサイクルもできる。
【0051】
又、中空発泡成形体に他の部材との嵌合部が形成されていると、複雑な形状のダクトであっても組み立てることができる。また、本発明の嵌合部が設けられた中空発泡成形体からなるダクトは、嵌合部の寸法ばらつきが少ないため、送風の漏れ等がなく、連結時の作業性にも優れる。
【0052】
【実施例】
以下に実施例を挙げ、本発明を詳細に説明する。
【0053】
実施例1
モンテル・カナダ社製ポリプロピレンSD632(MT:20cN、MFR:3g/10min)と該SD632の回収原料(MT:5cN、MFR:8g/10min)の重量比50:50の混合物からなる基材樹脂100重量部に対して、表1に示す量の気泡調整剤マスターバッチ(ベースレジン:低密度ポリエチレン、ステアリン酸ナトリウム5重量%、タルク10重量%)を混合し、内径65mmの押出機に供給し、加熱溶融混練してから、基材樹脂1kgに対して表1に示す量の炭酸ガスを押出機の途中から圧入混練して発泡性溶融樹脂とした。
【0054】
次いで、発泡性溶融樹脂を表1に示す樹脂温度に調整し、アキュームレーターに充填した。次にアキュームレーターのラムを押すとともに、ダイ先端に配置されたゲートを開くことにより発泡性溶融樹脂をダイから表1に示す吐出速度で押出すことにより、発泡パリソンを形成した。得られた発泡パリソンは発泡状態、外観共に良好なものであった。
【0055】
次に、得られた発泡パリソンをダイ直下に位置する、L字形のキャビティーを形成する水冷された組合せ金型間に配置し、更に嵌合部形成用の金型をパリソン内部へ挿入して、型締め後金型下方に取り付けられた気体吹込み口から発泡パリソンの内部に表1に示す吹込み圧力の空気を吹込むと同時に発泡パリソン外面と金型内面との間を減圧することによって、表2に示す見掛け密度の嵌合部を一方の端部に有する図6に示すL字形の中空発泡成形体からなるダクトを形成した。
【0056】
【表1】
【0057】
実施例2〜6
表1に示した条件以外、実施例1と同様に発泡パリソン形成した。得られた発泡パリソンは発泡状態、外観共に良好なものであった。次に、得られた発泡パリソンを用いて、実施例1と同様に表2に示す見掛け密度の嵌合部を一方の端部に有する図6に示すL字形の中空発泡成形体からなるダクトを形成した。
【0058】
比較例1
高密度ポリエチレン樹脂(出光石油化学(株)製520MB、MFR:0.25g/10min)を使用し、発泡剤を添加せずに実施例1と同様な方法にて、パリソンを形成し、該パリソンを用いて表2に示す見掛け密度の嵌合部を一方の端部に有する図6に示すL字形の中空発泡成形体からなるダクトを形成した。
【0059】
比較例2〜5
表1に示した条件以外は、実施例1と同様に発泡パリソン形成した。次に、得られた発泡パリソンを用いて、実施例1と同様に表2に示す見掛け密度の嵌合部を一方の端部に有する図6に示すL字形の中空発泡成形体からなるダクトを形成した。
【0060】
実施例1〜6、比較例1〜5において得られた中空発泡成形体の重量、中空発泡成形体の見掛け密度(D)、嵌合部の見掛け密度、厚み(T)、DT2、厚み方向の平均気泡径、厚み方向の気泡数、独立気泡率等(但し、比較例1は中空非発泡成形体についての物性)を表2に示す。又、実施例1〜6、比較例1〜5において得られたダクトを使用し、温風吹込み試験、冷風吹込み試験を実施し、結露防止性、断熱性、通風効率、強度を評価した結果を表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】
結露防止性、断熱性、通風効率、強度の評価は、実施例及び比較例にて得られたL字形の中空発泡成形体を二つ使用して、図6に示すように一方の中空発泡成形体の端部に形成した嵌合部を他の中空発泡成形体の端部に挿入する方法により連結して図6に示すように装置を組み立てて以下のように行った。
ダクトを恒温槽内(温風吹込み試験:−10℃、冷風吹込み試験:60℃、70%RH)に設置し、ダクト両端にホース(内径:50mm)を接続した。一方の端部に接続したホースを恒温槽外に設置した温風又は冷風発生機に接続し、他方の端部に接続したホースは排気をするために、恒温槽外へ出した。
【0063】
温風又は冷風発生機よりダクト内に温風(60℃、8m/s)又は冷風(15℃、8m/s)を吹込み、図6に示す入口および出口の温度測定点におけるダクト内空気の温度を10秒おきに測定した。温度が定常状態(入口と出口の温度差がほぼ一定の値で推移している状態)になった点より連続した10点の測定値の平均値を各温度測定点の温度とした。
【0064】
またダクト入口(温風又は冷風発生機直後)とダクト出口にて風速を測定し、下記(3)式により通風効率を求めた。
【数5】
通風効率(%)=(タ゛クト入口風速(m/s)/タ゛クト出口風速(m/s))×100 (3)
【0065】
結露防止性、断熱性、通風効率、強度の評価は次のように行った。
結露防止性
○:冷風吹込み試験にて、2時間経過後もまったく結露が見られない。
×:冷風吹込み試験にて、2時間経過後ダクト外表面に結露が発生していた。
【0066】
断熱性:
◎:温風吹込み試験にて、入口と出口の温風の温度差が10℃未満
○:温風吹込み試験にて、入口と出口の温風の温度差が10℃以上20℃未満
×:温風吹込み試験にて、入口と出口の温風の温度差が20℃以上
【0067】
通風効率:
◎:通風効率が80%以上である。
○:通風効率が70%以上、80%未満である。
△:通風効率が60%以上、70%未満である。
×:通風効率が60%未満である。
【0068】
強度:
○:ダクト内に温風又は冷風を吹き込んでもダクトの形状が変化しない。
×:ダクト内に温風又は冷風を吹き込むとダクトのコーナー部に膨らみが発生する。
【0069】
【発明の効果】
本発明のダクトは、ポリプロピレン系樹脂を基材樹脂の主成分とする中空発泡成形体からなり、それ自体が優れた断熱性を有するので、後工程において断熱材を貼り付ける必要がなく、車全体の軽量化を可能とし、耐熱性を有し、容易にリサイクルできる。又、 本発明のダクトは、見掛け密度(D)、独立気泡率、厚み方向の平均気泡径、及び厚み方向の気泡数が特定範囲内であり、厚み(T:cm)と見掛け密度(D)が特定の関係を満たすので、十分な機械的強度、軽量性および断熱性を兼備し、ダクトの取付の際の作業性にも優れており、送風による変形等による通風効率低下もない。
【0070】
本発明のダクトを構成する中空発泡成形体は、見掛け密度が特定範囲内の嵌合部を有するので、複雑な形状のダクトであっても組み立てることができ、嵌合部の寸法ばらつきが少ないため、送風の漏れ等がなく、取付時の作業性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)はダクトの正面図、(b)は(a)のI−I線に沿う縦断面図である。
【図2】発泡パリソンの斜視図である。
【図3】中空発泡成形体の製造方法の一例を概念的に説明する説明図である。
【図4】中空発泡成形体の製造方法の一例を概念的に説明する説明図である。
【図5】嵌合部を有する中空発泡成形体の製造方法の一例を概念的に説明する説明図である。
【図6】結露防止性、断熱性、通風効率を測定、評価するための装置の説明図である。
【図7】メルトテンション(MT)の測定におけるメルトテンションと時間との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 中空発泡成形体
2 壁
3 中空発泡成形体の内部の空間(ダクトの空気流路)
4a 凸状の嵌合部
4b 凹状の嵌合部
40 ダクトの嵌合連結部分
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