JP4491253B2 - 成形外観に優れるプロピレン系樹脂組成物及びそれからなる成形体 - Google Patents
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Description
一方、自動車部品は、より薄肉でハイサイクル成形で部品を製造するために、より高流動で高剛性な材料への需要が高まっている。このような点を改良する試みとして、流動性を改良した樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1〜2参照。)が、高流動で、ハイサイクル成形が要求される用途においては、さらに高流動である材料が要求されており、この様な高度な要求を満足するためには、該組成物では流動性が不十分である。
さらに、これらの中でも無機充填剤(フィラー)を含有してなる樹脂組成物は、一般的にフローマークと称される虎縞(トラシマ)状の成形外観不良を起こすことが多く、意匠性を損なうといった問題がある。
(A)成分:メルトフローレート(MFR)が20〜40g/10分、エチレン含有量が35〜45重量%のプロピレン・エチレンランダム共重合体部を23〜28重量%含有するプロピレン・エチレンブロック共重合体 30〜68重量%
(B)成分:MFRが50〜75g/10分、エチレン含有量が35〜45重量%のプロピレン・エチレンランダム共重合体部を5〜10重量%含有し、ダイスウエル比が1.3〜1.7であるプロピレン・エチレンブロック共重合体 10〜35重量%
(C)成分:MFRが5〜8g/10分、密度が0.87g/cm3以下のエチレン・ブテン共重合ゴム 5〜11重量%
(D)成分:MFRが1.5〜4g/10分、密度が0.87g/cm3以下のエチレン・ブテン共重合ゴム 5〜11重量%
(E)成分:レーザー回折法によって測定した平均粒径が10μm以下であるタルク 12〜16重量%
(ただし、アイゾット衝撃値はJIS K−7110−1984に準拠し、−30℃において測定した値である。)
(A)成分:プロピレン・エチレンブロック共重合体
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を構成する(A)成分のプロピレン・エチレンブロック共重合体は、ポリプロピレン系樹脂組成物の主成分であり、骨格となる樹脂成分である。
(A)成分のプロピレン・エチレンブロック共重合体は、結晶性ポリプロピレン単独重合体部(A単位部)とプロピレン・エチレンランダム共重合体部(B単位部)とを含有するブロック共重合体である。
ここで、エチレン含有量は、後述するCFC−IR法にて測定する値である。
B単位部が23重量%未満であると、耐衝撃性が悪化し、一方、28重量%を超えると弾性率が低下する。
B単位部のプロピレン・エチレンランダム共重合体部分の比率は、後述のCFC−IR法によって測定される。プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(B単位部)の比率(Wc)は、フィード原料ガスの調整、又は第二反応器の運転条件や滞留時間、添加剤種や使用量などの重合条件を調節して、重合条件の一環として設定する。
(1)使用する分析装置
(iiクロス分別装置
ダイヤインスツルメンツ社製CFC T−100(CFCと略す)
(ii)フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析
FT−IR、パーキンエルマー社製 1760X
CFCの検出器として取り付けられていた波長固定型の赤外分光光度計を取り外して代わりにFT−IRを接続し、このFT−IRを検出器として使用する。CFCから溶出した溶液の出口からFT−IRまでの間のトランスファーラインは1mの長さとし、測定の間を通じて140℃に温度保持する。FT−IRに取り付けたフローセルは光路長1mm、光路幅5mmφのものを用い、測定の間を通じて140℃に温度保持する。
(iii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)
CFC後段部分のGPCカラムは、昭和電工社製AD806MSを3本直列に接続して使用する。
(i)溶媒:オルトジクロルベンゼン(ODCB)
(ii)サンプル濃度:4mg/mL
(iii)注入量:0.4mL
(iv)結晶化:140℃から40℃まで約40分かけて降温する。
(v)分別方法:
昇温溶出分別時の分別温度は40、100、140℃とし、全部で3つのフラクションに分別する。なお、40℃以下で溶出する成分(フラクション1)、40〜100℃で溶出する成分(フラクション2)、100〜140℃で溶出する成分(フラクション3)の溶出割合(単位:重量%)を各々W40、W100、W140と定義する。W40+W100+W140=100である。また、分別した各フラクションは、そのままFT−IR分析装置へ自動輸送される。
(vi)溶出時溶媒流速:1mL/分
CFC後段のGPCから試料溶液の溶出が開始した後、以下の条件でFT−IR測定を行い、上述した各フラクション1〜3について、GPC−IRデータを採取する。
(i)検出器:MCT
(ii)分解能:8cm−1
(iii)測定間隔:0.2分(12秒)
(iv)一測定当たりの積算回数:15回
各温度で溶出した成分の溶出量と分子量分布は、FT−IRによって得られる2945cm−1の吸光度をクロマトグラムとして使用して求める。溶出量は各溶出成分の溶出量の合計が100%となるように規格化する。保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.4mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算は森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)を参考に汎用較正曲線を用いる。その際使用する粘度式([η]=K×Mα)には以下の数値を用いる。
(i)標準ポリスチレンを使用する較正曲線作成時
K=0.000138、α=0.70
(ii)プロピレン系ブロック共重合体のサンプル測定時
K=0.000103、α=0.78
各溶出成分のエチレン含有量分布(分子量軸に沿ったエチレン含有量の分布)は、FT−IRによって得られる2956cm−1の吸光度と2927cm−1の吸光度との比を用い、ポリエチレンやポリプロピレンや13C−NMR測定等によりエチレン含有量が既知となっているエチレン−プロピレン−ラバー(EPR)及びそれらの混合物を使用して予め作成しておいた検量線により、エチレン含有量(重量%)に換算して求める。
本発明におけるプロピレン系ブロック共重合体中のプロピレンエチレンランダム共重合体部分(B単位部)の比率(Wc)は、下記式(I)で理論上は定義され、以下のような手順で求められる。
Wc(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/B100…(I)
式(I)中、W40、W100は、上述した各フラクションでの溶出割合(単位:重量%)であり、A40、A100は、W40、W100に対応する各フラククションにおける実測定の平均エチレン含有量(単位:重量%)であり、B40、B100は、各フラクションに含まれるEPのエチレン含有量(単位:重量%)である。A40、A100、B40、B100の求め方は後述する。
式(I)の意味は以下の通りである。すなわち、式(I)右辺の第一項は、フラクション1(40℃に可溶な部分)に含まれるB単位部の量を算出する項である。フラクション1がEPのみを含み、プロピレン単独重合体部分(A単位部)を含まない場合には、W40がそのまま全体の中に占めるフラクション1由来のB単位部含有量に寄与するが、フラクション1にはB単位部由来の成分のほかに少量のA単位部由来の成分(極端に分子量の低い成分及びアタクチックポリプロピレン)も含まれるため、その部分を補正する必要がある。そこでW40にA40/B40を乗ずることにより、フラクション1のうち、B単位部成分由来の量を算出する。例えば、フラクション1の平均エチレン含有量(A40)が30重量%であり、フラクション1に含まれるB単位部のエチレン含有量(B40)が40重量%である場合、フラクション1の30/40=3/4(即ち75重量%)はB単位部由来、1/4はPPA単位部由来ということになる。このように右辺第一項でA40/B40を乗ずる操作は、フラクション1の重量%(W40)からB単位部の寄与を算出することを意味する。右辺第二項も同様であり、各々のフラクションについて、B単位部の寄与を算出して加え合わせたものがB単位部含有量となる。
(ii)フラクション1の微分分子量分布曲線におけるピーク位置に相当するエチレン含有量をB40とする(単位は重量%である)。フラクション2については、ゴム部分が40℃ですべて溶出してしまうと考えられ、同様の定義で規定することができないので、本発明では実質的にB100=100と定義する。B40、B100は、各フラクションに含まれるEPのエチレン含有量であるが、この値を分析的に求めることは実質的には不可能である。その理由は、フラクションに混在するA単位部とB単位部を完全に分離・分取する手段がないからである。種々のモデル試料を使用して検討を行った結果、B40はフラクション1の微分分子量分布曲線のピーク位置に相当するエチレン含有量を使用すると、材料物性の改良効果をうまく説明することができることがわかった。すなわち、B40はフラクション1の微分分子量分布曲線のピーク位置に相当するエチレン含有量である。また、B100はエチレン連鎖由来の結晶性を持つこと、および、これらのフラクションに含まれるB単位部の量がフラクション1に含まれるB単位部の量に比べて相対的に少ないことの2点の理由により、100と近似する方が、実態にも近く、計算上も殆ど誤差を生じない。そこでB100=100として解析を行うこととした。
Wc(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/100…(II)
つまり、式(II)右辺の第一項であるW40×A40/B40は、結晶性を持たないB単位部含有量(重量%)を示し、第二項であるW100×A100/100は、結晶性を持つB単位部含有量(重量%)を示す。
ここで、B40およびCFC測定により得られる各フラクション1および2の平均エチレン含有量A40、A100は、次のようにして求める。
微分分子量分布曲線のピーク位置に対応するエチレン含有量がB40とする。また、測定時にデータポイントとして取り込まれる、各データポイント毎の重量割合と各データポイント毎のエチレン含有量の積の総和をフラクション1の平均エチレン含有量A40とする。フラクション2の平均エチレン含有量A100も同様に求める。
B単位部エチレン含有量(重量%)=(W40×A40+W100×A100)/Wc (ただし、Wcは先に求めたEPの比率(重量%)である。)
として、求める。
ここで、(A)成分のMFRは、JIS K−7210−1995に準拠し、21.18N荷重にて230℃の温度で測定した。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を構成する(B)成分のプロピレン・エチレンブロック共重合体は、良好なフローマーク外観と連続成形時の面品質の維持を発現させる機能を果たす成分である。
(B)成分のプロピレン・エチレンブロック共重合体は、極めて流動性に優れるプロピレン単独重合体部(A単位部)と極めて分子量が高い、エチレン・プロピレンランダム共重合体部(B単位部)を含有するブロック共重合体であり、両性質を兼ね備えることにより上記の性能が達成される。
また、B単位部中のエチレン含有量は、35〜45重量%であり、好ましくは38〜42重量%である。エチレン含有量が35重量%未満であると耐衝撃性が悪化し、一方、45重量%を超えると外観不良を引き起こす。
B単位部が5重量%未満であると、耐衝撃性が悪化し、一方、10重量%を超えると弾性率が低下する。尚,(B)成分中のB重合体部の比率並びにB重合体中のエチレン含量は、(A)成分と同様の方法で測定した。
ここで、ダイスウエル比は、プロピレン・エチレンブロック共重合体を、190℃の加熱シリンダーに挿填した後、6分間加熱保持し、直径1mm、長さ8mmのオリフィスから0.1g/分の速度で押し出して、そのストランド径を測定し、ストランド直径/オリフィス直径により算出し求める値である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を構成する(C)成分のエチレン・ブテン共重合ゴムは、エチレン・ブテンランダム共重合体であり、耐衝撃性を向上しつつ、かつ良好なフローマーク外観性、連続成形時の面品質を発現させる目的で用いる。
(C)成分エチレン・ブテンランダム共重合体のMFRは、5〜8g/10分である。
ここで、(C)成分のMFRは、JIS K−7210−1995に準拠し、21.18N荷重にて230℃の温度で測定した値である。
また、(C)成分の密度は、0.87g/cm3以下であり、好ましくは0.855〜0.865g/cm3である。密度が0.87g/cm3を超えると低温衝撃特性が劣る。
ここで、密度は、JIS K 7112に準拠して測定する値である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を構成する(D)成分のエチレン・ブテン共重合ゴムは、エチレン・ブテンランダム共重合体であり、良好なフローマーク特性、連続成形時の成形特性を維持しつつ、良好な低温衝撃特性を発現させる目的で使用する。
(D)成分のエチレン・ブテンランダム共重合体のMFRは、1.5〜4g/10分であり、好ましくは2〜3g/10分である。MFRが1.5g/10分未満では、塗装性が悪化し、一方、4g/10分を超えると低温衝撃特性が悪化する。
ここで、(D)成分のMFRは、JIS K−7210−1995に準拠し、21.18N荷重にて230℃の温度で測定した値である。
また、(C)成分の密度は、0.87g/cm3以下であり、好ましくは0.855〜0.865g/cm3である。密度が0.87g/cm3を超えると低温衝撃特性が劣る。
ここで、密度は、JIS K 7112に準拠して測定する値である。
上記触媒としては、ハロゲン化チタンのようなチタン化合物、アルキルアルミニウム−マグネシウム錯体、のような有機アルミニウム−マグネシウム錯体、アルキルアルミニウム、又はアルキルアルミニウムクロリド等のいわゆるチーグラー型触媒、WO−91/04257号公報等に記載のメタロセン化合物触媒を使用することができる。重合法としては、気相流動床、溶液法、スラリー法等の製造プロセスを適用して重合することができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を構成する(E)成分のタルクは、その平均粒径が10μm以下、好ましくは0.5〜8μmであるものである。粒径が10μmを超える場合は、耐衝撃性が劣る。
該平均粒径は、レーザー回折法(例えば堀場製作所製LA920W)や、液層沈降方式光透過法(例えば、島津製作所製CP型等)によって測定した粒度累積分布曲線から読みとった累積量50重量%の粒径値より求めることができる。本発明の実施例での測定値は、前者の方法にて測定するものである。
タルクは、天然に産出されたものを機械的に微粉砕化することにより得られたものを、さらに精密に、1回又は複数回分級することによって得られる。粉砕機しては、ジョークラシャ−、ハンマークラシャ−、ロールクラシャー、スクリーンミル、ジェット粉砕機、コロイドミル、ローラーミル、振動ミル等を用いることができる。
これらの粉砕されたタルクは、本発明で示される平均粒径に調節するために、サイクロン、サイクロンエアセパレーター、ミクロセパレーター、サイクロンエアセパレーター、シャープカットセパレター、等の装置で1回又は繰り返し湿式又は乾式分級する。特定の粒径に粉砕した後シャープカットセパレターにて分級操作を行うことが好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物中には、上記(A)〜(E)成分以外に本発明の効果を著しく損なわない範囲で、他の付加的成分(任意成分)を添加することができる。
この様な付加的成分(任意成分)としては、フェノール系及びリン系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系の耐候劣化防止剤、有機アルミニウム化合物、有機リン化合物等の核剤、ステアリン酸の金属塩に代表される分散剤、キナクリドン、ペリレン、フタロシアニン、酸化チタン、カーボンブラック等の着色物質、マイカ、モンモリロナイト等の板状フィラー、短繊維ガラス繊維、長繊維ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、ゾノライト等の繊維状フィラー、チタン酸カリウム、マグネシウムオキシサルフェート、窒化珪素、ホウ酸アルミニウム、塩基性硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、ワラストナイト、炭酸カルシウム等の針状(ウイスカー)フィラー、沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の粒状フィラー、ガラスバルーンのようなバルン状フィラー成分を例示できる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上記の各構成成分を、上記の割合で、押出機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラフ、ニーダー等通常の混練機を用いて、設定温度180℃〜250℃にて混練することにより製造されるが、これらの中でも押出機、特に二軸押出機を用いて製造することが好ましい。
ここで、MFRは、JIS K−7210−1995に準拠し、21.18N荷重にて230℃の温度で測定した値である。アイゾット衝撃値は、JIS K−7110−1984に準拠し、−30℃において測定した値である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、所望の成型品に加工される。成形加工法は特に限定されるものではなく、目的に応じて各種の成形方法で成形できる。例えば、射出成形法、押出成形法など適用できるが、大型射出成形法に適用した場合、成形加工性、フローマーク特性、ウエルド外観などに優れ、効果が大きい。従って、バンパー、ロッカーモール、サイドモール、オーバーフェンダーをはじめとする自動車外装部品の用途に好適である。
(1)MFR:プロピレン・エチレンブロック共重合体およびポリプロピレン系樹脂組成物のMFRは、JIS K−7210−1995に準拠し、21.18N荷重にて230℃の温度で測定し、エチレン・ブテン共重合ゴムのMFRは、JIS K−7210−1995に準拠し、21.18N荷重にて190℃で測定した。
(2)密度:JIS K−7112に準拠して測定した。
(3)アイゾット衝撃強度:JIS K−7110−1984に準拠し、−30℃において測定した。
(4)フローマーク発生距離:型締め圧170トンの射出成形機で、成形温度を200℃、金型温度30℃にて350mm×100mm×2mmtなる形状のシートを成形し、そのフローマークの発生距離を目視で判定し、下記の基準で評価した。
○:発生距離が180mmを超える
△:発生距離が100mmを超え、180mm以下
×:発生距離が150mm以下
(5)連続成形特性:型締め圧1800トンの射出成形機で、3mmt肉厚のリアバンパー金型を用いて、成形温度200℃、金型温度30℃で成形した。連続30ショット目のバンパー成形品上部の平面のゆがみを目視で判定し、下記の基準で評価した。
○:面品質良好
△:僅かに面にゆがみあり
×:面にゆがみがあり
(1)プロピレン・エチレンブロック共重合体
(A)成分、(B)成分として、以下の方法でプロピレン・エチレンブロック共重合体を製造した。なお、MFRは1段目重合時に使用する水素量を変更し、A重合体部とB重合体部の量比は、1段目と2段目の重合時間(滞留時間)で制御し、B重合体部中のエチレン含量は2段目重合時のプロピレンとエチレンの比率を変更することで制御して表1に示すプロピレン・エチレンブロック共重合体を得た。
引き続いて、前記撹拌機付槽を用いて該槽に脱水及び脱酸素したn−ヘプタン5リットルを導入し、次いで、上記で合成した固体成分をマグネシウム原子換算で3モル導入した。ついで、n−ヘプタン2.5リットルに、四塩化珪素5モルを混合して30℃、30分間かけて導入して、温度を70℃に上げ、3時間反応させた後、反応液を取り出し、生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
引き続いて、前記撹拌機付槽を用いて該槽に脱水及び脱酸素したn−ヘプタン2.5リットルを導入し、フタル酸クロライド0.3モルを混合して90℃、30分間で導入し、95℃で1時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いで、四塩化珪素0.6リットル、n−ヘプタン8リットルを導入し固体成分を得た。この固体成分中にはチタンが1.55重量パーセント含まれていた。
次に、窒素置換した前記撹拌機付槽にn−ヘプタン8リットル、上記で得た固体成分を400gと、t−ブチル−メチル−ジメトキシシラン0.27モル、ビニルトリメチルシラン0.27モルを導入し、30℃で1時間接触させた。次いで15℃に冷却し、n−ヘプタンに希釈したトリエチルアルミニウム1.5モルを15℃条件下30分かけて導入、導入後30℃に昇温し2時間反応させ、反応液を取り出し、n−ヘプタンで洗浄して固体成分触媒390gを得た。
得られた固体成分触媒中には、チタンが1.35重量%含まれていた。
内容積550リットルの第一段反応器に、温度70℃で、圧力は使用温度での液状プロピレンの蒸気圧に相当する圧力(70℃においては約3.2MPa)において、プロピレンと、トリエチルアルミニウムを10g/hr、及び、重合体生成速度が21kg/時間となるような量比の固体成分触媒(平均0.7g/Hr)を連続的に供給し、更に、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.21となるように連続的に供給して液相中で重合を実施し、プロピレン単独重合体を製造した(第一段階重合)。第一反応器から抜き出したA重合体部のMFRとして測定した。
引き続いて、生成重合体を、プロピレンパージ槽を経由させて、内容積1900リットルの第二段反応器に導入し、温度60℃で、圧力3.0MPaになるように、プロピレンとエチレンをプロピレン/エチレンのモル比で1.0となるように連続的に供給し、更に、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.064となるように連続的に供給すると共に、活性水素化合物としてエチルアルコールを、トリエチルアルミニウムに対して2.0倍モルになるように供給して気相中で共重合を実施した後、生成重合体を28kg/時間の速度で連続的にベッセルに移し、水分を含んだ窒素ガスを導入して反応を停止させプロピレン・エチレンブロック共重合体(PP−1)を得た(第二段階重合)。
(C)成分、(D)成分として、表2に示す市販のエラストマーを用いた。
(E)成分として、表3に示す市販のタルクを用いた。
表1〜3に示す材料を、表4に示す組成の割合で配合し、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバスペシャルティケミカルズ社製、商品名:イルガノックス1010)0.1重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(チバスペシャルティケミカルズ社製、商品名:イルガホス168)0.05重量部、ステアリン酸カルシウム0.3重量部、を配合して、ヘンシェルミキサーで5分間混合した後、二軸混練機(神戸製鋼社製KCM)にて210℃の設定温度で混練造粒することによりポリプロピレン系樹脂組成物を得た。その後、型締め圧100トンの射出成形機にて成形温度210℃で物性測定用試験片を作成し、物性測定を行った。さらに、成形外観、連続成形時の面品質を評価した。結果を表4に示す。
Claims (3)
- 下記(A)〜(E)成分を含むことを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
(A)成分:メルトフローレート(MFR)が20〜40g/10分、エチレン含有量が35〜45重量%のプロピレン・エチレンランダム共重合体部を23〜28重量%含有するプロピレン・エチレンブロック共重合体 30〜68重量%
(B)成分:MFRが50〜75g/10分、エチレン含有量が35〜45重量%のプロピレン・エチレンランダム共重合体部を5〜10重量%含有し、ダイスウエル比が1.3〜1.7であるプロピレン・エチレンブロック共重合体 10〜35重量%
(C)成分:MFRが5〜8g/10分、密度が0.87g/cm3以下のエチレン・ブテン共重合ゴム 5〜11重量%
(D)成分:MFRが1.5〜4g/10分、密度が0.87g/cm3以下のエチレン・ブテン共重合ゴム 5〜11重量%
(E)成分:レーザー回折法によって測定した平均粒径が10μm以下であるタルク 12〜16重量% - MFRが27〜35g/10分、−30℃におけるアイゾット衝撃値が5KJ/m2以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
(ただし、アイゾット衝撃値はJIS K−7110−1984に準拠し、−30℃において測定した値である。) - 請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を成形してなるバンパー成形体。
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