JP2005213490A - 成形外観に優れるプロピレン系樹脂組成物及びそれからなる成形体 - Google Patents

成形外観に優れるプロピレン系樹脂組成物及びそれからなる成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な外観を発現し、成形加工性、連続成形時の製品面品質に優れ、自動車外装部品に好適なポリプロピレン系樹脂組成物及びそれから得られる成形品の提供。
【解決手段】(A)MFRが20〜40g/10分の共重合体部を23〜28重量%含有するプロピレン・エチレンブロック共重合体30〜68重量%、(B)MFRが50〜75g/10分の共重合体部を5〜10重量%含有し、ダイスウエル比が1.3〜1.7であるプロピレン・エチレンブロック共重合体10〜35重量%、(C)MFRが5〜8g/10分のエチレン・ブテン共重合ゴム5〜11重量%、(D)MFRが1.5〜4g/10分のエチレン・ブテン共重合ゴム5〜11重量%、及び(E)平均粒径が10μm以下のタルク12〜16重量%を含むことを特徴とする成形加工特性に優れるポリプロピレン系樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂組成物及びそれからなる成形体に関し、詳しくは、成形外観、連続成形時の成形品質に優れるプロピレン系樹脂組成物及びそれからなるバンパー成形体に関する。
ポリプロピレン樹脂に、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体等のエチレン系熱可塑性エラストマー成分と、タルク等の無機充填剤を配合したポリプロピレン系樹脂組成物を自動車用部品に使用することは、従来から、広く知られている。そして、ポリプロピレン樹脂や各種ゴム成分、無機充填剤を目的に応じて、適宜選択することによって、成形性、機械物性、外観などを向上させることが提案されてきている。
一方、自動車部品は、より薄肉でハイサイクル成形で部品を製造するために、より高流動で高剛性な材料への需要が高まっている。このような点を改良する試みとして、流動性を改良した樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1〜2参照。)が、高流動で、ハイサイクル成形が要求される用途においては、さらに高流動である材料が要求されており、この様な高度な要求を満足するためには、該組成物では流動性が不十分である。
さらに、これらの中でも無機充填剤(フィラー)を含有してなる樹脂組成物は、一般的にフローマークと称される虎縞(トラシマ)状の成形外観不良を起こすことが多く、意匠性を損なうといった問題がある。
このような成形外観不良を改善する手法として、分子量分布が広いプロピレン系樹脂成分を含む材料を用いることが提案されている(例えば、特許文献3〜4参照。)、さらに、極限粘度の異なる2種類のプロピレン系重合体を用いる方法(例えば、特許文献5参照。)、特定量の64℃デカン可溶成分を含有するプロピレン系ブロック共重合体を用いる方法(例えば、特許文献6参照。)、特定量の常温p−キシレン可溶成分を含有するポリプロピレン共重合体を用いる方法(例えば、特許文献7参照。)によってフローマークが良好な材料が提案されている。しかし、製品成形を連続して行う際には、ショット数を重ねると徐々に成形品の面品質が低下する場合もあり、これらの公知文献には、連続成形時の面品質に関しては何ら記述されておらず、いまだ克服すべき課題は多いのが現状である。
特開平7−53843号公報 特開平8−20684号公報 特開2000−86837号公報 特開平6−248155号公報 特開平9−176406号公報 特開平9−194646号公報 特開平9−124736号公報
本発明は、上記の問題点を解決し、良好な外観を発現し、成形加工性、とりわけ連続成形時の製品面品質、及び機械物性にも優れた、バンパー、ロッカーモール、サイドモール、オーバーフェンダーをはじめとする自動車外装部品に好適なポリプロピレン系樹脂組成物及びそれから得られるバンパー成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のプロピレン・エチレンランダム共重合体部を有する2種類のプロピレン・エチレンブロック共重合体、MFRの異なる2種類のエラストマー、及びタルクを、特定の比率で組み合わせることにより上記の課題を解決し、成形外観、連続成形時の成形品質に優れるプロピレン系樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記(A)〜(E)成分を含むことを特徴とする成形加工特性に優れるポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
(A)成分:メルトフローレート(MFR)が20〜40g/10分、エチレン含有量が35〜45重量%のプロピレン・エチレンランダム共重合体部を23〜28重量%含有するプロピレン・エチレンブロック共重合体 30〜68重量%
(B)成分:MFRが50〜75g/10分、エチレン含有量が35〜45重量%のプロピレン・エチレンランダム共重合体部を5〜10重量%含有し、ダイスウエル比が1.3〜1.7であるプロピレン・エチレンブロック共重合体 10〜35重量%
(C)成分:MFRが5〜8g/10分、密度が0.87g/cm以下のエチレン・ブテン共重合ゴム 5〜11重量%
(D)成分:MFRが1.5〜4g/10分、密度が0.87g/cm以下のエチレン・ブテン共重合ゴム 5〜11重量%
(E)成分:レーザー回折法によって測定した平均粒径が10μm以下であるタルク 12〜16重量%
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、MFRが27〜35g/10分、−30℃におけるアイゾット衝撃値が5KJ/m以上であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
(ただし、アイゾット衝撃値はJIS K−7110−1984に準拠し、−30℃において測定した値である。)
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を成形してなるバンパー成形体が提供される。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、射出成形時の成形加工性が良好で、成形時のフローマーク特性、連続成形時の面品質特性に優れている。
[1]ポリプロピレン系樹脂組成物の構成成分
(A)成分:プロピレン・エチレンブロック共重合体
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を構成する(A)成分のプロピレン・エチレンブロック共重合体は、ポリプロピレン系樹脂組成物の主成分であり、骨格となる樹脂成分である。
(A)成分のプロピレン・エチレンブロック共重合体は、結晶性ポリプロピレン単独重合体部(A単位部)とプロピレン・エチレンランダム共重合体部(B単位部)とを含有するブロック共重合体である。
上記A単位部は、通常プロピレンの単独重合、場合によってはプロピレンに少量の他のα−オレフィンを共重合することによって得られる結晶性を有するものであり、その密度は高いことが好ましい。A単位部の結晶性は、アイソタクチック指数(沸騰n−ヘプタン抽出による不溶分)として、通常90%以上、好ましくは95〜100%である。結晶性が低いとプロピレン・エチレンブロック共重合体の機械的強度、特に曲げ弾性率に劣るものとなる。
上記B単位部は、プロピレンとエチレンとのランダム共重合によって得られるゴム状成分であり、B単位部中のエチレン含有量は、35〜45重量%であり、好ましくは38〜42重量%である。エチレン含有量が45重量%以上であると外観不良を起こしやすく、一方、35重量%未満の場合耐衝撃性が悪化する。プロピレン・エチレンランダム共重合体部分のエチレン含有量は、重合時におけるプロピレンとエチレンの供給量の制御により調製することができる。
ここで、エチレン含有量は、後述するCFC−IR法にて測定する値である。
本発明で用いる(A)成分においては、A単位部は、全共重合体の72〜77重量%、好ましくは73〜76重量%であり、B単位部は、全共重合体の23〜28重量%、好ましくは24〜27重量%となるように調製される。
B単位部が23重量%未満であると、耐衝撃性が悪化し、一方、28重量%を超えると弾性率が低下する。
B単位部のプロピレン・エチレンランダム共重合体部分の比率は、後述のCFC−IR法によって測定される。プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(B単位部)の比率(Wc)は、フィード原料ガスの調整、又は第二反応器の運転条件や滞留時間、添加剤種や使用量などの重合条件を調節して、重合条件の一環として設定する。
本発明においては、当該プロピレン・エチレンブロック共重合体中のプロピレン・エチレンランダム共重合体部分(B単位部)の比率(Wc)、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分のエチレン含有量を以下の方法により求める。
(1)使用する分析装置
(iiクロス分別装置
ダイヤインスツルメンツ社製CFC T−100(CFCと略す)
(ii)フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析
FT−IR、パーキンエルマー社製 1760X
CFCの検出器として取り付けられていた波長固定型の赤外分光光度計を取り外して代わりにFT−IRを接続し、このFT−IRを検出器として使用する。CFCから溶出した溶液の出口からFT−IRまでの間のトランスファーラインは1mの長さとし、測定の間を通じて140℃に温度保持する。FT−IRに取り付けたフローセルは光路長1mm、光路幅5mmφのものを用い、測定の間を通じて140℃に温度保持する。
(iii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)
CFC後段部分のGPCカラムは、昭和電工社製AD806MSを3本直列に接続して使用する。
(2)CFCの測定条件
(i)溶媒:オルトジクロルベンゼン(ODCB)
(ii)サンプル濃度:4mg/mL
(iii)注入量:0.4mL
(iv)結晶化:140℃から40℃まで約40分かけて降温する。
(v)分別方法:
昇温溶出分別時の分別温度は40、100、140℃とし、全部で3つのフラクションに分別する。なお、40℃以下で溶出する成分(フラクション1)、40〜100℃で溶出する成分(フラクション2)、100〜140℃で溶出する成分(フラクション3)の溶出割合(単位:重量%)を各々W40、W100、W140と定義する。W40+W100+W140=100である。また、分別した各フラクションは、そのままFT−IR分析装置へ自動輸送される。
(vi)溶出時溶媒流速:1mL/分
(3)FT−IRの測定条件
CFC後段のGPCから試料溶液の溶出が開始した後、以下の条件でFT−IR測定を行い、上述した各フラクション1〜3について、GPC−IRデータを採取する。
(i)検出器:MCT
(ii)分解能:8cm−1
(iii)測定間隔:0.2分(12秒)
(iv)一測定当たりの積算回数:15回
(4)測定結果の後処理と解析
各温度で溶出した成分の溶出量と分子量分布は、FT−IRによって得られる2945cm−1の吸光度をクロマトグラムとして使用して求める。溶出量は各溶出成分の溶出量の合計が100%となるように規格化する。保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.4mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算は森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)を参考に汎用較正曲線を用いる。その際使用する粘度式([η]=K×Mα)には以下の数値を用いる。
(i)標準ポリスチレンを使用する較正曲線作成時
K=0.000138、α=0.70
(ii)プロピレン系ブロック共重合体のサンプル測定時
K=0.000103、α=0.78
各溶出成分のエチレン含有量分布(分子量軸に沿ったエチレン含有量の分布)は、FT−IRによって得られる2956cm−1の吸光度と2927cm−1の吸光度との比を用い、ポリエチレンやポリプロピレンや13C−NMR測定等によりエチレン含有量が既知となっているエチレン−プロピレン−ラバー(EPR)及びそれらの混合物を使用して予め作成しておいた検量線により、エチレン含有量(重量%)に換算して求める。
<プロピレンエチレンランダム共重合体部分(B単位部)の比率(Wc)>
本発明におけるプロピレン系ブロック共重合体中のプロピレンエチレンランダム共重合体部分(B単位部)の比率(Wc)は、下記式(I)で理論上は定義され、以下のような手順で求められる。
Wc(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/B100…(I)
式(I)中、W40、W100は、上述した各フラクションでの溶出割合(単位:重量%)であり、A40、A100は、W40、W100に対応する各フラククションにおける実測定の平均エチレン含有量(単位:重量%)であり、B40、B100は、各フラクションに含まれるEPのエチレン含有量(単位:重量%)である。A40、A100、B40、B100の求め方は後述する。
式(I)の意味は以下の通りである。すなわち、式(I)右辺の第一項は、フラクション1(40℃に可溶な部分)に含まれるB単位部の量を算出する項である。フラクション1がEPのみを含み、プロピレン単独重合体部分(A単位部)を含まない場合には、W40がそのまま全体の中に占めるフラクション1由来のB単位部含有量に寄与するが、フラクション1にはB単位部由来の成分のほかに少量のA単位部由来の成分(極端に分子量の低い成分及びアタクチックポリプロピレン)も含まれるため、その部分を補正する必要がある。そこでW40にA40/B40を乗ずることにより、フラクション1のうち、B単位部成分由来の量を算出する。例えば、フラクション1の平均エチレン含有量(A40)が30重量%であり、フラクション1に含まれるB単位部のエチレン含有量(B40)が40重量%である場合、フラクション1の30/40=3/4(即ち75重量%)はB単位部由来、1/4はPPA単位部由来ということになる。このように右辺第一項でA40/B40を乗ずる操作は、フラクション1の重量%(W40)からB単位部の寄与を算出することを意味する。右辺第二項も同様であり、各々のフラクションについて、B単位部の寄与を算出して加え合わせたものがB単位部含有量となる。
(i)上述したように、CFC測定により得られるフラクション1〜2に対応する平均エチレン含有量をそれぞれA40、A100とする(単位はいずれも重量%である)。平均エチレン含有量の求め方は後述する。
(ii)フラクション1の微分分子量分布曲線におけるピーク位置に相当するエチレン含有量をB40とする(単位は重量%である)。フラクション2については、ゴム部分が40℃ですべて溶出してしまうと考えられ、同様の定義で規定することができないので、本発明では実質的にB100=100と定義する。B40、B100は、各フラクションに含まれるEPのエチレン含有量であるが、この値を分析的に求めることは実質的には不可能である。その理由は、フラクションに混在するA単位部とB単位部を完全に分離・分取する手段がないからである。種々のモデル試料を使用して検討を行った結果、B40はフラクション1の微分分子量分布曲線のピーク位置に相当するエチレン含有量を使用すると、材料物性の改良効果をうまく説明することができることがわかった。すなわち、B40はフラクション1の微分分子量分布曲線のピーク位置に相当するエチレン含有量である。また、B100はエチレン連鎖由来の結晶性を持つこと、および、これらのフラクションに含まれるB単位部の量がフラクション1に含まれるB単位部の量に比べて相対的に少ないことの2点の理由により、100と近似する方が、実態にも近く、計算上も殆ど誤差を生じない。そこでB100=100として解析を行うこととした。
(iii)上記の理由からB単位部の比率(Wc)を下記式(II)に従い、求める。
Wc(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/100…(II)
つまり、式(II)右辺の第一項であるW40×A40/B40は、結晶性を持たないB単位部含有量(重量%)を示し、第二項であるW100×A100/100は、結晶性を持つB単位部含有量(重量%)を示す。
ここで、B40およびCFC測定により得られる各フラクション1および2の平均エチレン含有量A40、A100は、次のようにして求める。
微分分子量分布曲線のピーク位置に対応するエチレン含有量がB40とする。また、測定時にデータポイントとして取り込まれる、各データポイント毎の重量割合と各データポイント毎のエチレン含有量の積の総和をフラクション1の平均エチレン含有量A40とする。フラクション2の平均エチレン含有量A100も同様に求める。
なお、上記3種類の分別温度を設定した意義は次の通りである。本発明のCFC分析においては、40℃とは、結晶性を持たないポリマー(例えば、B単位部の大部分、もしくはプロピレン単独重合体部分(A単位部)の中でも極端に分子量の低い成分およびアタクチックな成分)のみを分別するのに必要十分な温度条件である意義を有する。100℃とは、40℃では不溶であるが100℃では可溶となる成分(例えば、B単位部中、エチレン及び/またはプロピレンの連鎖に起因して結晶性を有する成分、および結晶性の低いA単位部)のみを溶出させるのに必要十分な温度である。140℃とは、100℃では不溶であるが140℃では可溶となる成分(例えば、A単位部中特に結晶性の高い成分、およびB単位部中の極端に分子量が高くかつ極めて高いエチレン結晶性を有する成分)のみを溶出させ、かつ分析に使用するプロピレン系ブロック共重合体の全量を回収するのに必要十分な温度である。なお、W140にはB単位部成分は全く含まれないか、存在しても極めて少量であり実質的には無視できることから、B単位部の比率やB単位部のエチレン含有量の計算からは排除する。
<B単位部のエチレン含有量>
B単位部エチレン含有量(重量%)=(W40×A40+W100×A100)/Wc (ただし、Wcは先に求めたEPの比率(重量%)である。)
として、求める。
成分(A)のメルトフローレート(MFR)は、20〜40g/10分であり、好ましくは25〜35g/10分である。MFRが20g/10分未満であると成形性が悪化し、一方、40g/10分を超えると耐衝撃性の悪化を引き起こす。
ここで、(A)成分のMFRは、JIS K−7210−1995に準拠し、21.18N荷重にて230℃の温度で測定した。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物における(A)成分の配合割合は、30〜68重量%であり、好ましくは40〜60重量%である。配合量が30重量%未満であると耐衝撃性が悪化し、68重量%を超えるとフローマークが悪化し、外観不良を引き起こす。
(B)成分:プロピレン・エチレンブロック共重合体
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を構成する(B)成分のプロピレン・エチレンブロック共重合体は、良好なフローマーク外観と連続成形時の面品質の維持を発現させる機能を果たす成分である。
(B)成分のプロピレン・エチレンブロック共重合体は、極めて流動性に優れるプロピレン単独重合体部(A単位部)と極めて分子量が高い、エチレン・プロピレンランダム共重合体部(B単位部)を含有するブロック共重合体であり、両性質を兼ね備えることにより上記の性能が達成される。
上記A単位部は、通常プロピレンの単独重合、場合によってはプロピレンに少量の他のα−オレフィンを共重合することによって得られる結晶性を有するものであり、その密度は高いことが好ましい。A単位部の結晶性は、アイソタクチック指数(沸騰n−ヘプタン抽出による不溶分)として、通常90%以上、好ましくは95〜100%である。結晶性が低いとプロピレン・エチレンブロック共重合体の機械的強度、特に曲げ弾性率に劣るものとなる。
上記B単位部は、プロピレンとエチレンとのランダム共重合によって得られるゴム状成分であり、そのMFRは、50〜75g/10分であり、好ましくは55〜75g/10分であり、さらに好ましくは55〜70g/10分である。MFRが50g/10分未満では射出成形時の成形加工性が劣り、一方、75g/10分を超えると衝撃特性、機械的強度などが不足する。
また、B単位部中のエチレン含有量は、35〜45重量%であり、好ましくは38〜42重量%である。エチレン含有量が35重量%未満であると耐衝撃性が悪化し、一方、45重量%を超えると外観不良を引き起こす。
本発明で用いる(B)成分においては、A単位部は、全共重合体の90〜95重量%であり、B単位部は、全共重合体の5〜10重量%となるように調製される。
B単位部が5重量%未満であると、耐衝撃性が悪化し、一方、10重量%を超えると弾性率が低下する。尚,(B)成分中のB重合体部の比率並びにB重合体中のエチレン含量は、(A)成分と同様の方法で測定した。
また、プロピレン・エチレンブロック共重合体(B)のダイスウエル比は、1.3〜1.7、好ましくは1.4〜1.6、さらに好ましくは、1.45〜1.55である。ダイスウエル比が1.3未満のものはフローマーク外観の改良効果が乏しく、一方1.7を超えるものは工業的に製造が難しいので実用的でない。
ここで、ダイスウエル比は、プロピレン・エチレンブロック共重合体を、190℃の加熱シリンダーに挿填した後、6分間加熱保持し、直径1mm、長さ8mmのオリフィスから0.1g/分の速度で押し出して、そのストランド径を測定し、ストランド直径/オリフィス直径により算出し求める値である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物における(B)成分の配合割合は、10〜35重量%であり、好ましくは15〜30重量%である。配合量が10重量%未満であるとフローマーク外観が劣り、35重量%を超えると耐衝撃性が劣る傾向がある。
本発明で用いる(A)及び(B)成分は、両者とも上記のようにプロピレン単独重合体部とプロピレン・エチレンランダム共重合体部からなるプロピレン・エチレンブロック共重合体であるので、触媒の存在下、プロピレン及びプロピレンとエチレンを重合する方法を用いて製造することができ、(A)及び(B)成分は、その重合条件を変更することによりそれぞれ製造できる。製造方法としては、特に限定されず、公知の製造方法がいずれも適用でき、また市販品をそのまま利用することができる。
上記製造方法におけるプロピレンの重合触媒としては、通常、高立体規則性触媒が用いられる。例えば、四塩化チタンを有機アルミニウム化合物で還元し、さらに各種の電子供与体及び電子受容体で処理して得られた三塩化チタン組成物と有機アルミニウム化合物及び芳香族カルボン酸エステルを組み合わせた触媒(特開昭56−100806号、特開昭56−120712号、特開昭58−104907号の各公報参照)、及び、ハロゲン化マグネシウムに四塩化チタンと各種の電子供与体を接触させた担持型触媒(特開昭57−63310号、同63−43915号、同63−83116号の各公報参照)等を例示することができる。
上記触媒の存在下、気相重合法、液相塊状重合法、スラリー重合法等の製造プロセスを適用して、プロピレンを単独で重合し、続いてプロピレンとエチレンを共重合することにより得られる。上記したダイスウエル比、溶融特性(MFR)を有するプロピレンブロック共重合体を得るためには、スラリー法、気相流動床法にて、重合することが好ましい。
(C)成分:エチレン・ブテン共重合ゴム
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を構成する(C)成分のエチレン・ブテン共重合ゴムは、エチレン・ブテンランダム共重合体であり、耐衝撃性を向上しつつ、かつ良好なフローマーク外観性、連続成形時の面品質を発現させる目的で用いる。
(C)成分エチレン・ブテンランダム共重合体のMFRは、5〜8g/10分である。
ここで、(C)成分のMFRは、JIS K−7210−1995に準拠し、21.18N荷重にて230℃の温度で測定した値である。
また、(C)成分の密度は、0.87g/cm以下であり、好ましくは0.855〜0.865g/cmである。密度が0.87g/cmを超えると低温衝撃特性が劣る。
ここで、密度は、JIS K 7112に準拠して測定する値である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物における(C)成分の配合割合は、5〜11重量%である。配合量が5重量%未満であると耐衝撃性が劣り、11重量%を超えるとフローマーク外観が悪化する傾向がある。
(D)成分:エチレン・ブテン共重合ゴム
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を構成する(D)成分のエチレン・ブテン共重合ゴムは、エチレン・ブテンランダム共重合体であり、良好なフローマーク特性、連続成形時の成形特性を維持しつつ、良好な低温衝撃特性を発現させる目的で使用する。
(D)成分のエチレン・ブテンランダム共重合体のMFRは、1.5〜4g/10分であり、好ましくは2〜3g/10分である。MFRが1.5g/10分未満では、塗装性が悪化し、一方、4g/10分を超えると低温衝撃特性が悪化する。
ここで、(D)成分のMFRは、JIS K−7210−1995に準拠し、21.18N荷重にて230℃の温度で測定した値である。
また、(C)成分の密度は、0.87g/cm以下であり、好ましくは0.855〜0.865g/cmである。密度が0.87g/cmを超えると低温衝撃特性が劣る。
ここで、密度は、JIS K 7112に準拠して測定する値である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物における(D)成分の配合割合は、5〜11重量%である。配合量が5重量%未満であると耐衝撃性が悪化し、11重量%を超えると連続成形性が悪化する傾向がある。
なお、本発明において、(C)及び(D)成分は、分子量等のインデックスが異なる、2種類のエチレン・ブテン共重合ゴムを併用するものである。(C)成分の量が多すぎると連続成形時の面品質特性に劣り、逆に(D)成分の量が多すぎる場合は、流れ性が劣るだけでなく塗装性も劣る傾向にあるので好ましくない。
本発明で用いる(C)及び(D)成分は、両者とも上記のようにエチレン・ブテンランダム共重合体であるので、触媒の存在下、エチレンとブテン共重合する方法を用いて製造することができ、(C)と(D)は、その重合条件を変更することによりそれぞれ製造できる。製造方法としては、特に限定されず、公知の製造方法がいずれも適用でき、また市販品をそのまま利用することができる。
上記触媒としては、ハロゲン化チタンのようなチタン化合物、アルキルアルミニウム−マグネシウム錯体、のような有機アルミニウム−マグネシウム錯体、アルキルアルミニウム、又はアルキルアルミニウムクロリド等のいわゆるチーグラー型触媒、WO−91/04257号公報等に記載のメタロセン化合物触媒を使用することができる。重合法としては、気相流動床、溶液法、スラリー法等の製造プロセスを適用して重合することができる。
(E)成分:タルク
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を構成する(E)成分のタルクは、その平均粒径が10μm以下、好ましくは0.5〜8μmであるものである。粒径が10μmを超える場合は、耐衝撃性が劣る。
該平均粒径は、レーザー回折法(例えば堀場製作所製LA920W)や、液層沈降方式光透過法(例えば、島津製作所製CP型等)によって測定した粒度累積分布曲線から読みとった累積量50重量%の粒径値より求めることができる。本発明の実施例での測定値は、前者の方法にて測定するものである。
タルクは、天然に産出されたものを機械的に微粉砕化することにより得られたものを、さらに精密に、1回又は複数回分級することによって得られる。粉砕機しては、ジョークラシャ−、ハンマークラシャ−、ロールクラシャー、スクリーンミル、ジェット粉砕機、コロイドミル、ローラーミル、振動ミル等を用いることができる。
これらの粉砕されたタルクは、本発明で示される平均粒径に調節するために、サイクロン、サイクロンエアセパレーター、ミクロセパレーター、サイクロンエアセパレーター、シャープカットセパレター、等の装置で1回又は繰り返し湿式又は乾式分級する。特定の粒径に粉砕した後シャープカットセパレターにて分級操作を行うことが好ましい。
これらのタルクは、重合体との接着性或いは分散性を向上させる目的で、各種の有機チタネート系カップリング剤、有機シランカップリング剤、不飽和カルボン酸、又はその無水物をグラフトした変性ポリオレフィン、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル等によって表面処理したものを用いてもよい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物における(E)成分の配合割合は、12〜16重量%であり、好ましくは12〜15重量%である。配合量が12重量%未満であると弾性率が低下し、16重量%を超えると比重が高くなり,好ましくない。
(F)付加的成分(任意成分)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物中には、上記(A)〜(E)成分以外に本発明の効果を著しく損なわない範囲で、他の付加的成分(任意成分)を添加することができる。
この様な付加的成分(任意成分)としては、フェノール系及びリン系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系の耐候劣化防止剤、有機アルミニウム化合物、有機リン化合物等の核剤、ステアリン酸の金属塩に代表される分散剤、キナクリドン、ペリレン、フタロシアニン、酸化チタン、カーボンブラック等の着色物質、マイカ、モンモリロナイト等の板状フィラー、短繊維ガラス繊維、長繊維ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、ゾノライト等の繊維状フィラー、チタン酸カリウム、マグネシウムオキシサルフェート、窒化珪素、ホウ酸アルミニウム、塩基性硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、ワラストナイト、炭酸カルシウム等の針状(ウイスカー)フィラー、沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の粒状フィラー、ガラスバルーンのようなバルン状フィラー成分を例示できる。
[2]ポリプロピレン系樹脂組成物
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上記の各構成成分を、上記の割合で、押出機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラフ、ニーダー等通常の混練機を用いて、設定温度180℃〜250℃にて混練することにより製造されるが、これらの中でも押出機、特に二軸押出機を用いて製造することが好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物のMFRは、27〜35g/10分が好ましく、より好ましくは28〜34g/10分である。MFRが27g/10分未満であると連続成形性が劣り、35g/10分っを超えると耐衝撃性が悪化する。また、アイゾット衝撃値は、5KJ/m以上が好ましく、より好ましくは5.5〜7KJ/mである。アイゾット衝撃値が5KJ/m未満であると成形体の耐衝撃性が悪化し好ましくない。
ここで、MFRは、JIS K−7210−1995に準拠し、21.18N荷重にて230℃の温度で測定した値である。アイゾット衝撃値は、JIS K−7110−1984に準拠し、−30℃において測定した値である。
[3]ポリプロピレン系樹脂組成物の成形加工
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、所望の成型品に加工される。成形加工法は特に限定されるものではなく、目的に応じて各種の成形方法で成形できる。例えば、射出成形法、押出成形法など適用できるが、大型射出成形法に適用した場合、成形加工性、フローマーク特性、ウエルド外観などに優れ、効果が大きい。従って、バンパー、ロッカーモール、サイドモール、オーバーフェンダーをはじめとする自動車外装部品の用途に好適である。
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、物性測定法及び使用材料は、以下の通りである。
1.試験・評価方法
(1)MFR:プロピレン・エチレンブロック共重合体およびポリプロピレン系樹脂組成物のMFRは、JIS K−7210−1995に準拠し、21.18N荷重にて230℃の温度で測定し、エチレン・ブテン共重合ゴムのMFRは、JIS K−7210−1995に準拠し、21.18N荷重にて190℃で測定した。
(2)密度:JIS K−7112に準拠して測定した。
(3)アイゾット衝撃強度:JIS K−7110−1984に準拠し、−30℃において測定した。
(4)フローマーク発生距離:型締め圧170トンの射出成形機で、成形温度を200℃、金型温度30℃にて350mm×100mm×2mmtなる形状のシートを成形し、そのフローマークの発生距離を目視で判定し、下記の基準で評価した。
○:発生距離が180mmを超える
△:発生距離が100mmを超え、180mm以下
×:発生距離が150mm以下
(5)連続成形特性:型締め圧1800トンの射出成形機で、3mmt肉厚のリアバンパー金型を用いて、成形温度200℃、金型温度30℃で成形した。連続30ショット目のバンパー成形品上部の平面のゆがみを目視で判定し、下記の基準で評価した。
○:面品質良好
△:僅かに面にゆがみあり
×:面にゆがみがあり
2.使用材料
(1)プロピレン・エチレンブロック共重合体
(A)成分、(B)成分として、以下の方法でを製造した。なお、MFRは1段目重合時に使用する水素量を変更し、A重合体部とB重合体部の量比は、1段目と2段目の重合時間(滞留時間)で制御し、B重合体部中のエチレン含量は2段目重合時のプロピレンとエチレンの比率を変更することで制御して表1に示すプロピレン・エチレンブロック共重合体を得た。
(i)固体成分触媒の製造 窒素置換した内容積50リットルの撹拌機付槽に脱水及び脱酸素したn−ヘプタン20リットルを導入し、次いで、塩化マグネシウム10モルとテトラブトキシチタン20モルとを導入して95℃で2時間反応させた後、温度を40℃に下げ、メチルヒドロポリシロキサン(粘度20センチストークス)12000ミリリットルを導入して更に3時間反応させた後、反応液を取り出し、生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
引き続いて、前記撹拌機付槽を用いて該槽に脱水及び脱酸素したn−ヘプタン5リットルを導入し、次いで、上記で合成した固体成分をマグネシウム原子換算で3モル導入した。ついで、n−ヘプタン2.5リットルに、四塩化珪素5モルを混合して30℃、30分間かけて導入して、温度を70℃に上げ、3時間反応させた後、反応液を取り出し、生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
引き続いて、前記撹拌機付槽を用いて該槽に脱水及び脱酸素したn−ヘプタン2.5リットルを導入し、フタル酸クロライド0.3モルを混合して90℃、30分間で導入し、95℃で1時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いで、四塩化珪素0.6リットル、n−ヘプタン8リットルを導入し固体成分を得た。この固体成分中にはチタンが1.55重量パーセント含まれていた。
次に、窒素置換した前記撹拌機付槽にn−ヘプタン8リットル、上記で得た固体成分を400gと、t−ブチル−メチル−ジメトキシシラン0.27モル、ビニルトリメチルシラン0.27モルを導入し、30℃で1時間接触させた。次いで15℃に冷却し、n−ヘプタンに希釈したトリエチルアルミニウム1.5モルを15℃条件下30分かけて導入、導入後30℃に昇温し2時間反応させ、反応液を取り出し、n−ヘプタンで洗浄して固体成分触媒390gを得た。
得られた固体成分触媒中には、チタンが1.35重量%含まれていた。
(ii)プロピレン・エチレンブロック共重合体の製造
内容積550リットルの第一段反応器に、温度70℃で、圧力は使用温度での液状プロピレンの蒸気圧に相当する圧力(70℃においては約3.2MPa)において、プロピレンと、トリエチルアルミニウムを10g/hr、及び、重合体生成速度が21kg/時間となるような量比の固体成分触媒(平均0.7g/Hr)を連続的に供給し、更に、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.21となるように連続的に供給して液相中で重合を実施し、プロピレン単独重合体を製造した(第一段階重合)。第一反応器から抜き出したA重合体部のMFRとして測定した。
引き続いて、生成重合体を、プロピレンパージ槽を経由させて、内容積1900リットルの第二段反応器に導入し、温度60℃で、圧力3.0MPaになるように、プロピレンとエチレンをプロピレン/エチレンのモル比で1.0となるように連続的に供給し、更に、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.064となるように連続的に供給すると共に、活性水素化合物としてエチルアルコールを、トリエチルアルミニウムに対して2.0倍モルになるように供給して気相中で共重合を実施した後、生成重合体を28kg/時間の速度で連続的にベッセルに移し、水分を含んだ窒素ガスを導入して反応を停止させプロピレン・エチレンブロック共重合体(PP−1)を得た(第二段階重合)。
Figure 2005213490
(2)エラストマー成分
(C)成分、(D)成分として、表2に示す市販のエラストマーを用いた。
Figure 2005213490
(3)タルク
(E)成分として、表3に示す市販のタルクを用いた。
Figure 2005213490
(実施例1〜4及び比較例1〜10)
表1〜3に示す材料を、表4に示す組成の割合で配合し、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバスペシャルティケミカルズ社製、商品名:イルガノックス1010)0.1重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(チバスペシャルティケミカルズ社製、商品名:イルガホス168)0.05重量部、ステアリン酸カルシウム0.3重量部、を配合して、ヘンシェルミキサーで5分間混合した後、二軸混練機(神戸製鋼社製KCM)にて210℃の設定温度で混練造粒することによりポリプロピレン系樹脂組成物を得た。その後、型締め圧100トンの射出成形機にて成形温度210℃で物性測定用試験片を作成し、物性測定を行った。さらに、成形外観、連続成形時の面品質を評価した。結果を表4に示す。
Figure 2005213490
表4より明らかなように、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、フローマーク特性、成形加工性に優れていた(実施例1〜4)。一方、(B)成分の配合量が少ない組成物はフローマーク特性に劣り(比較例1)、ダイスウエル比の小さい(B)成分を用いた組成物はフローマーク特性に劣り(比較例2)、(D)成分を用いない組成物はフローマーク性、成形加工性に劣り(比較例3)、(C)成分を用いない組成物はフローマーク性に劣り(比較例4)、(D)成分としてエチレン・オクテン共重合体やエチレン・プロピレン共重合体を用いる組成物はフローマーク性、成形加工性及び衝撃強度に劣り(比較例5及び6)、平均粒径の大きいタルクを用いる組成物は衝撃強度に劣った(比較例7)。また、(A)成分のB重合部中の比率が低いプロピレン・エチレンブロック共重合体を用いたものは、衝撃強度が劣った(比較例8)。(A)成分の使用量が満たない組成物は衝撃強度に劣った(比較例9)。(C)成分の密度が所定より高いエチレン・ブテン共重合ゴムを用いたものは, 衝撃強度に劣った(比較例10)。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上記の物性を有しているので、射出成形時の成形加工性が良好で、成形時のフローマーク特性、連続成形時の面品質特性にも優れ、自動車外装部品、とりわけバンパー等の射出成形品に好適なものであり、工業的価値は大きい。

Claims (3)

  1. 下記(A)〜(E)成分を含むことを特徴とする成形加工特性に優れるポリプロピレン系樹脂組成物。
    (A)成分:メルトフローレート(MFR)が20〜40g/10分、エチレン含有量が35〜45重量%のプロピレン・エチレンランダム共重合体部を23〜28重量%含有するプロピレン・エチレンブロック共重合体 30〜68重量%
    (B)成分:MFRが50〜75g/10分、エチレン含有量が35〜45重量%のプロピレン・エチレンランダム共重合体部を5〜10重量%含有し、ダイスウエル比が1.3〜1.7であるプロピレン・エチレンブロック共重合体 10〜35重量%
    (C)成分:MFRが5〜8g/10分、密度が0.87g/cm以下のエチレン・ブテン共重合ゴム 5〜11重量%
    (D)成分:MFRが1.5〜4g/10分、密度が0.87g/cm以下のエチレン・ブテン共重合ゴム 5〜11重量%
    (E)成分:レーザー回折法によって測定した平均粒径が10μm以下であるタルク 12〜16重量%
  2. MFRが27〜35g/10分、−30℃におけるアイゾット衝撃値が5KJ/m以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
    (ただし、アイゾット衝撃値はJIS K−7110−1984に準拠し、−30℃において測定した値である。)
  3. 請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を成形してなるバンパー成形体。
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