JP5238173B2 - 成形性改質剤及びそれを用いたポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂用成形性改質剤、及びこの成形性改質剤を含んでなるポリプロピレン系樹脂組成物に関し、更に詳しくは、フローマーク、ボイドの発生を抑制し、成形品の外観を改質する成形性改質剤、及びこの成形性改質剤を含んでなる、射出成形時の成形加工性が良好で、成形時のフローマーク特性、成形時のボイド特性にも優れ、自動車外装部品等の射出成形品に好適なポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
ポリプロピレン系樹脂は、軽量でリサイクル性にも優れることから、自動車用部品への需要が高まっている。具体的には、結晶性ポリプロピレン樹脂に、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体等のエチレン系熱可塑性エラストマー成分と、タルク等の無機充填剤を配合したポリプロピレン樹脂組成物が使用されており、ポリプロピレン樹脂や各種エラストマー成分、無機充填剤を目的に応じて、適宜選択することによって、成形性、機械物性、外観などを向上させることが提案されている。
最近は、軽量化された車部品を、より効率よく生産するため、より薄肉な成形品を、より短い成形時間で成形が可能なポリプロピレン系樹脂組成物が要望されている。しかしながら、このような製品を成形しようとすると、フローマーク(成形品の表面外観に現れる虎縞(トラシマ)状の模様)等の成形外観不良が発生しやすいという問題が生じ、とりわけ、無塗装部分が外部に露出するデザインのバンパー等の部品では、商品としての意匠性を損なうといった課題があった。また、生産サイクルを向上することは、射出成形時の保圧時間を短縮する事をも意味しており、こういったケースでは、ボイドに基づくリンプル状の成形不良を生ずるといった問題があった。
このようなフローマークの改良技術としては、例えば、特許文献1、特許文献2あるいは特許文献3に開示されている技術が挙げられる。
すなわち、特許文献1では、成形体にした場合、フローマークの発生が起こりにくく、ブツの発生の少ない、外観に優れるポリプロピレン系樹脂組成物の提供が課題とされ、この解決手段として、極限粘度[η]APが1.3dl/g以下であるプロピレン単独重合体部分と極限粘度[η]AEPが3.0dl/g以下であるプロピレン・エチレンランダム共重合体部分を有するポリプロピレン系樹脂(A)と、[η]BEPが8.0dl/g〜15dl/gとを特定の割合で配合したポリプロピレン系樹脂組成物が開示されている。しかし、特許文献1においては、ダイスウエル比こそ記載されているが、実質的なフローマークの改良レベルが記載されていないばかりでなく、高ゴム含量プロピレン−エチレンブロック共重合体の成形性改良についてはなんら記載されていない。
一方、特許文献2では、良好な外観を発現し、成形加工に優れたポリプロピレン系樹脂組成物の提供が課題とされ、この解決手段として、特定の物性を有するプロピレン−エチレンブロック共重合体からなる成形性改質剤を使用することが開示されている。具体的には、プロピレン単独重合体部分(結晶成分)のMFRが500g/10分以上であり、プロピレン−エチレンブロック共重合体全体のMFRが100g/10分以上で、ダイスウェル比が1.2〜2.5であるプロピレン−エチレンブロック共重合体が開示されている。
しかしながら、これらの技術を用いると、流動性は良好であるものの、耐衝撃性を補うために、高価なエチレン系熱可塑性エラストマーの使用量を増やさねばならず、未だ改良すべき点がある。
さらに、特許文献3では、成形性と、剛性、衝撃強度などの物性バランスに優れたプロピレン系樹脂組成物の提供が課題とされ、この解決手段の中で、全体のMFRが10〜130g/10分で、ゴム成分の重量平均分子量が20万〜100万であるICP(成分a)が開示されている。また、このプロピレン−エチレンブロック共重合体とは異なる全体のMFRが0.1〜8g/10分で、ゴム成分の重量平均分子量が30万〜90万であるICP(成分b)も開示されている。さらに、これら成分a、成分bに加えて、無機充填材(成分c)、ポリエチレン(成分d)、および脂肪酸アミド又はその誘導体(成分e)を特定割合で配合する技術も開示されている。しかしながら、特許文献3では、耐傷付性にのみ着目し、成形品外観については発明の解決課題にはしていない。したがって、結晶性プロピレン重合体部分の流動性、結晶性プロピレン重合体部分とエチレン・プロピレンランダム共重合体部分の粘度比とフローマーク特性に代表される成形品外観との関係については開示も示唆もない。
更に最近は、コストも含めた観点からこういった成分の絶対量が少なくても効果があること、更に、マスターバッチ的に使用することを念頭においた場合、添加の際に被改質材の物性変化が小さいこと、被改質材料の種類に関わらず効果を有することが求められる様になってきた。こういった、新たな改良要求については、上記特許文献には何ら記載されておらず、未だ解決すべき課題は多いのが現状である。
特開2002−12734号公報 特開2004−18647号公報、 特開2001−288331号公報
本発明は、上記公知技術およびその問題点を解決し、バンパー等の大型成形部品を高品質で効率よく製造するために、フローマークの発生を起こしにくいプロピレン系ブロック共重合体、及びエラストマー含量が高い樹脂成分に、高性能な第3成分として少量配合することで、被改質材の物性の変化が小さく、かつフローマーク、ボイド等の成形加工特性を改良することができるポリプロピレン系樹脂用成形性改質剤を提供し、高価なエチレン系エラストマーの使用量をも削減することにある。
さらに、該成形性改質剤を用いて、バンパー、ロッカーモール、サイドモール、オーバーフェンダーをはじめとする自動車外装部品に好適な、良好な外観を発現し、成形加工性に優れた、ポリプロピレン系樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、高流動性の結晶性プロピレン重合体部分と、高分子量のプロピレン・エチレンランダム共重合体部分を併せ持った分子量分布の広いプロピレン系ブロック共重合体((A)成分)と高分子量のプロピレン・エチレンランダム共重合体部分の含有量が多いプロピレン系ブロック共重合体((B)成分)との組み合わせによって、汎用的な樹脂成分に第3成分として少量配合することで上記課題を解決できる成形性改質剤の役割を果たすことを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記(A)成分及び(B)成分からなる成形性改質剤であって、ポリプロピレン系樹脂被改質材料に対して、その物性の変化が小さく、かつ成形加工特性が十分に改良できる割合で用いることを特徴とする成形性改質剤が提供される。
(A)成分:結晶性プロピレン単独重合体部分(A1)80〜98重量%とプロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A2)2〜20重量%からなり、下記(a−1)〜(a−4)の要件を満たすプロピレン系ブロック共重合体
(a−1)結晶性プロピレン単独重合体部分(A1)のメルトフローレート(JIS K7210、温度230℃、荷重21.18N)が300〜3000g/10分
(a−2)プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A2)のエチレン含量が10〜70重量%
(a−3)プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A2)の固有粘度[η]copolyが6.5〜15dl/g
(a−4)プロピレン系ブロック共重合体(A)全体のメルトフローレート(MFR)が40〜250g/10分
(B)成分:結晶性プロピレン重合体部分(B1)20〜79重量%とプロピレン・エチレンランダム共重合体部分(B2)21〜80重量%とからなり、下記(b−1)〜(b−4)の要件を満たすプロピレン系ブロック共重合体
(b−1)結晶性プロピレン単独重合体部分(B1)のメルトフローレート(JIS K7210、温度230℃、荷重21.18N)が20〜300g/10分
(b−2)プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(B2)のエチレン含量が20〜70重量%
(b−3)プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(B2)の固有粘度[η]copolyが2.5〜9.0dl/g
(b−4)プロピレン系ブロック共重合体(B)の全体のメルトフローレート(MFR)が0.1〜50g/10分
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、(A)成分と(B)成分の量比((A)成分/(B)成分)は、19/1〜1/19(重量比)であることを特徴とする成形性改質剤が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、(A)成分のメルトフローレート(MFR)と(B)成分のメルトフローレート(MFR)の比(MFR/MFR)は、1を超えることを特徴とする成形性改質剤が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、下記(A)成分及び(B)成分からなる成形性改質剤2〜30重量部と、ポリプロピレン系樹脂被改質材料100重量部とを含むことを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
(A)成分:結晶性プロピレン単独重合体部分(A1)80〜98重量%とプロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A2)2〜20重量%からなり、下記(a−1)〜(a−4)の要件を満たすプロピレン系ブロック共重合体
(a−1)結晶性プロピレン単独重合体部分(A1)のメルトフローレート(JIS K7210、温度230℃、荷重21.18N)が300〜3000g/10分
(a−2)プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A2)のエチレン含量が10〜70重量%
(a−3)プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A2)の固有粘度[η] copoly が6.5〜15dl/g
(a−4)プロピレン系ブロック共重合体(A)全体のメルトフローレート(MFR )が40〜250g/10分
(B)成分:結晶性プロピレン重合体部分(B1)20〜79重量%とプロピレン・エチレンランダム共重合体部分(B2)21〜80重量%とからなり、下記(b−1)〜(b−4)の要件を満たすプロピレン系ブロック共重合体
(b−1)結晶性プロピレン単独重合体部分(B1)のメルトフローレート(JIS K7210、温度230℃、荷重21.18N)が20〜300g/10分
(b−2)プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(B2)のエチレン含量が20〜70重量%
(b−3)プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(B2)の固有粘度[η] copoly が2.5〜9.0dl/g
(b−4)プロピレン系ブロック共重合体(B)の全体のメルトフローレート(MFR )が0.1〜50g/10分
また、本発明の第5の発明によれば、第4の発明において、ポリプロピレン系樹脂被改質材料は、(C)プロピレン−エチレンブロック共重合体であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第4の発明において、ポリプロピレン系樹脂被改質材料は、
(C)プロピレン−エチレンブロック共重合体65〜99重量%、及び
(D)無機充填剤1〜35重量%
を含有するポリプロピレン樹脂組成物であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第4の発明において、ポリプロピレン系樹脂被改質材料は、
(C)プロピレン−エチレンブロック共重合体65〜99重量%、及び
(E)エチレン系エラストマー又はスチレン系エラストマー1〜35重量%
を含有するポリプロピレン樹脂組成物であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第4の発明において、ポリプロピレン系樹脂被改質材料は、
(C)オルトジクロルベンゼンで抽出されるゴム含量が15重量%以上であるプロピレン−エチレンブロック共重合体40〜98重量%、
(D)無機充填剤1〜40重量%、及び
(E)エチレン系エラストマー又はスチレン系エラストマー1〜20重量%
を含有するポリプロピレン樹脂組成物であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第4〜8のいずれかの発明において、成形性改質剤をポリプロピレン系樹脂被改質材料に対し混合した際のMFR、曲げ弾性率、及び−30℃におけるIZOD衝撃強度の変化率は、±25%未満であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される
本発明の成形性改質剤は、少量の添加で、物性、成形性を損なうことなくポリプロピレン樹脂組成物の成形外観を改良することが出来る成形品外観改質剤として用いることができる。また、該ポリプロピレン系樹脂用成形性改質剤を配合したポリプロピレン系樹脂組成物は、成形加工性、フローマーク特性に優れ、特に、自動車外装用部品等の大型の射出成形品用材料として好適である。また、ハイサイクル成形時におけるリンプル状の外観不良にも対応できる。
本発明は、結晶性プロピレン重合体部分(A1)とプロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A2)とからなり、特定の物性値を有するプロピレン系ブロック共重合体(A)、及び、結晶性プロピレン重合体部分(B1)とプロピレン・エチレンランダム共重合体部分(B2)とからなり、特定の物性値を有するプロピレン系ブロック共重合体(B)からなる成形性改質剤、該成形性改質剤を用いたポリプロピレン系樹脂組成物である。汎用的な樹脂成分に第3成分として少量配合することで成形品外観を改質できるポリプロピレン系樹脂の成形性改質剤は、高流動性の結晶性プロピレン重合体部分と、高分子量のプロピレン・エチレンランダム共重合体部分(ゴム成分)を併せ持った分子量分布の広いプロピレン系ブロック共重合体が有効である。ゴム成分の量を増やすと、被改質材料の種類にもよるが、外観改良効果が更に向上、また添加時に物性、成形性を損なわないなどの利点がある。以下に詳細に説明する。
[I]成形性改質剤
本発明において成形性改質剤とは、後述するポリプロピレン系樹脂被改質材料からなる成形品に生じる成形不良を、ポリプロピレン系樹脂被改質材料に配合することによって、低減又は解消しうる樹脂材料をいう。ここでいう成形不良とは主にフローマークを指す。
(A)成分
本発明の(A)成分は、結晶性プロピレン単独重合体部分(A1)とプロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A2)からなり、下記(a−1)〜(a−4)の要件を満たすプロピレン系ブロック共重合体である。
(A)成分中の結晶性プロピレン単独重合体部分(A1)の全体に占める割合は、80〜98重量%、好ましくは82〜97重量%、更に好ましくは85〜95重量%であり、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A2)の全体に占める割合は、2〜20重量%、好ましくは3〜18重量%、更に好ましくは5〜15重量%である。(A2)の占める割合が2重量%未満であると、フローマーク外観の改良効果が乏しく、逆に20重量%を超える場合は、ゲルが発生しやすくなり、外観に悪影響を及ぼすため好ましくない。
(A)成分は、流動性と良好なフローマーク外観を発現させる目的で用いられる。この成形性改質剤は、極めて流動性に優れるプロピレン単独重合体、及び、極めて分子量が大きな、エチレン・プロピレン共重合体からなり、両者を兼ね備えることによりその性能が達成される。
ここで、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分の割合は、後述する方法にて測定する値である。
(a−1)結晶性プロピレン単独重合体部分(A1)のメルトフローレート
結晶性プロピレン単独重合体部分(A1)のメルトフローレート(以下、MFRということがある。温度230℃、荷重21.18N)は、300g/10分以上、好ましくは450〜3000g/10分、更に好ましくは500〜2000g/10分である。MFRが、300g/10分未満であると、流動性が低下するので好ましくない。
結晶性ポリプロピレン重合体部分のMFRは、プロピレン単独重合体部分の重合(ただし、結晶性を失わない程度にごく少量、例えば0.5重量%以下のコモノマーを共重合させてもよい)を終えた時のMFRである。プロピレン単独重合体は、単段で重合されたものでもよく、多段で重合されたものでもよい。多段重合を行う場合には、最終の重合槽から取り出される結晶性ポリプロピレン重合体部分のMFRである。MFRを調整するためには、重合時に水素を添加し分子量を制御し調整することができる。
ここで、MFRは、JIS K7210に準拠して、温度230℃、荷重21.18Nで測定する値である。
(a−2)プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A2)のエチレン含量
プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A2)のエチレン含量は、10〜70重量%、好ましくは20〜65重量%、更に好ましくは30〜60重量%の範囲である。(A2)のエチレン含量が10重量%未満では、フローマークがはっきり目立ち、逆に70重量%を超えると、耐衝撃性が悪化するので好ましくない。
ここで、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分中のエチレン含量は、後述する方法にて測定する値である。
(a−3)プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A2)の固有粘度[η]copoly
プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A2)の固有粘度[η]copolyは、6.5dl/g以上、好ましくは7.0〜15dl/g、更に好ましくは7.5〜10dl/gの範囲である。固有粘度[η]copolyが6.5dl/g未満の場合は、フローマーク外観の改良効果が乏しい。
ここで、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分の固有粘度[η]copolyは、後述する方法にて測定する値である。
(a−4)(A)成分全体のMFR
プロピレン系ブロック共重合体(A)のメルトフローレート(MFR)は、40g/10分以上、好ましくは60〜250g/10分、更に好ましくは80〜250g/10分である。(MFR)が40g/10分未満では、射出成形時の成形加工性が劣り、また250g/10分を超えると、衝撃特性、機械的強度などが不足し好ましくない。
(B)成分
本発明の(B)成分は、結晶性プロピレン重合体部分(B1)とプロピレン・エチレンランダム共重合体部分(B2)とからなり、下記(b−1)〜(b−4)の要件を満たすプロピレン系ブロック共重合体である。
結晶性プロピレン重合体部分(B1)の全体に占める割合は、20〜79重量%、好ましくは30〜70重量%、更に好ましくは40〜60重量%であり、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(B2)の全体に占める割合は、21〜80重量%、好ましくは30〜70重量%、更に好ましくは40〜60重量%である。(B1)の占める割合が20重量%未満であると、成形品外観改質剤としての効果が減少するため添加量を多くする必要があり、その際は物性、成形性の低下が起きる。逆に79重量%を超える場合は、共重合体そのものを、あるいは改質剤として添加したものを射出成形した際に被改質材料中に均一に分散しなく外観を損ねるので好ましくない。
ここで、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(ゴム成分)の割合は、後述の方法によって測定する値である。
(b−1)結晶性プロピレン単独重合体部分(B1)のMFR
結晶性プロピレン単独重合体部分(B1)のMFR(温度230℃、荷重21.18N)は、20g/10分以上、好ましくは20〜300g/10分、更に好ましくは60〜200g/10分である。MFRが20g/10分未満であると、流れ性が低下するので好ましくない。
結晶性ポリプロピレン重合体部分のMFRは、プロピレン単独重合体部分の重合(ただし、結晶性を失わない程度にごく少量、例えば0.5重量%以下のコモノマーを共重合させてもよい)を終えた時のMFRである。プロピレン単独重合体は、単段で重合されたものでもよく、多段で重合されたものでもよい。多段重合を行う場合には、最終の重合槽から取り出される結晶性ポリプロピレン重合体部分のMFRである。MFRを調整するためには、重合時に水素を添加し分子量を制御し調整することができる。
ここで、MFRは、前述の述べた通りのものである。
(b−2)プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(B2)のエチレン含量
プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(B2)のエチレン含量は、20〜70重量%であり、好ましくは26〜60重量%であり、特に好ましくは30〜50重量%である。(B2)のエチレン含量が20重量%未満であると、ボイドに基づく外観不良が発生しやすくなり、かつ成形品外観改質剤としての効果が低く(フローマーク外観が改良されず)、一方、70重量%を超えると、共重合体そのものを、あるいは成形品外観改質剤として添加したものを射出成形した際に改質剤成分が被改質材中に均一に分散しない傾向があるので好ましくない。
ここで、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分中のエチレン含量は、後述する方法にて測定する値である。
(b−3)プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(B2)の固有粘度[η]copoly
プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(B2)の固有粘度[η]copolyは、2.5〜9.0dl/gであり、好ましくは4.1〜6.5dl/gであり、特に好ましくは4.5〜6.0dl/gである。[η]copolyが2.5dl/g未満であると、改質剤として添加したものを射出成形した際のフローマーク外観が劣り、また9.0dl/gを超えると、プロピレン系ブロック共重合体全体のMFRの低下を伴い、射出成形した際に樹脂組成物の成形加工性が劣るという不都合が生じる。
ここで、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分の固有粘度[η]copolyは、後述する方法にて測定する値である。
(b−4)プロピレン・エチレンブロック共重合体(B)の(MFR
プロピレン・エチレンブロック共重合体(B)のメルトフローレート(MFR)は、0.1〜50g/10分であり、好ましくは0.2〜40g/10分、更に好ましくは2.1〜40g/10分である。(MFR)が0.1g/10分未満では、射出成形の際に樹脂組成物としての成形加工性が劣り、また40g/10分を超えると、フローマーク外観の改良が不十分となる。
ここで、MFRは、JIS K7210に準拠して、温度230℃、荷重21.18Nで測定する値である。
2.プロピレン系ブロック共重合体の物性の分析法
本発明で用いるプロピレン系ブロック共重合体中(A)及び(B)のプロピレン・エチレンランダム共重合体部分((A2)及び(B2)、以下ゴム成分ということがある。)の比率(Wc)、及びゴム成分中のエチレン含量、固有粘度の測定は、下記の装置、条件を用い、下記の手順で測定する。
(1)使用する分析装置
(i)クロス分別装置
ダイヤインスツルメンツ社製CFC T−100(CFCと略す)
(ii)フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析
FT−IR、パーキンエルマー社製 1760X
CFCの検出器として取り付けられていた波長固定型の赤外分光光度計を取り外して代わりにFT−IRを接続し、このFT−IRを検出器として使用する。CFCから溶出した溶液の出口からFT−IRまでの間のトランスファーラインは1mの長さとし、測定の間を通じて140℃に温度保持する。FT−IRに取り付けたフローセルは光路長1mm、光路幅5mmφのものを用い、測定の間を通じて140℃に温度保持する。
(iii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)
CFC後段部分のGPCカラムは、昭和電工社製AD806MSを3本直列に接続して使用する。
(2)CFCの測定条件
(i)溶媒:オルトジクロルベンゼン(ODCB)
(ii)サンプル濃度:4mg/mL
(iii)注入量:0.4mL
(iv)結晶化:140℃から40℃まで約40分かけて降温する。
(v)分別方法:
昇温溶出分別時の分別温度は40、100、140℃とし、全部で3つのフラクションに分別する。なお、40℃以下で溶出する成分(フラクション1)、40〜100℃で溶出する成分(フラクション2)、100〜140℃で溶出する成分(フラクション3)の溶出割合(単位:重量%)を各々W40、W100、W140と定義する。W40+W100+W140=100である。また、分別した各フラクションは、そのままFT−IR分析装置へ自動輸送される。
(vi)溶出時溶媒流速:1mL/分
(3)FT−IRの測定条件
CFC後段のGPCから試料溶液の溶出が開始した後、以下の条件でFT−IR測定を行い、上述した各フラクション1〜3について、GPC−IRデータを採取する。
(i)検出器:MCT
(ii)分解能:8cm−1
(iii)測定間隔:0.2分(12秒)
(iv)一測定当たりの積算回数:15回
(4)測定結果の後処理と解析
各温度で溶出した成分の溶出量と分子量分布は、FT−IRによって得られる2945cm−1の吸光度をクロマトグラムとして使用して求める。溶出量は各溶出成分の溶出量の合計が100%となるように規格化する。保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.4mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算は森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)を参考に汎用較正曲線を用いる。その際使用する粘度式([η]=K×Mα)には以下の数値を用いる。
(i)標準ポリスチレンを使用する較正曲線作成時
K=0.000138、α=0.70
(ii)プロピレン系ブロック共重合体のサンプル測定時
K=0.000103、α=0.78
各溶出成分のエチレン含有量分布(分子量軸に沿ったエチレン含有量の分布)は、FT−IRによって得られる2956cm−1の吸光度と2927cm−1の吸光度との比を用い、ポリエチレンやポリプロピレンや13C−NMR測定等によりエチレン含有量が既知となっているエチレン−プロピレンラバー(EPR)及びそれらの混合物を使用して予め作成しておいた検量線により、エチレン含有量(重量%)に換算して求める。
(5)プロピレン・エチレンランダム共重合体部分の比率(Wc)
本発明におけるプロピレン系ブロック共重合体中のプロピレン・エチレンランダム共重合体部分の比率(Wc)は、下記式(I)で理論上は定義され、以下のような手順で求められる。
Wc(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/B100 …(I)
式(I)中、W40、W100は、上述した各フラクションでの溶出割合(単位:重量%)であり、A40、A100は、W40、W100に対応する各フラククションにおける実測定の平均エチレン含有量(単位:重量%)であり、B40、B100は、各フラクションに含まれるプロピレン・エチレンランダム共重合体部分のエチレン含有量(単位:重量%)である。A40、A100、B40、B100の求め方は後述する。
(I)式の意味は以下の通りである。すなわち、(I)式右辺の第一項はフラクション1(40℃に可溶な部分)に含まれるプロピレン・エチレンランダム共重合体部分の量を算出する項である。フラクション1がプロピレン・エチレンランダム共重合体のみを含み、プロピレン単独重合体を含まない場合には、W40がそのまま全体の中に占めるフラクション1由来のプロピレン・エチレンランダム共重合体部分含有量に寄与するが、フラクション1にはプロピレン・エチレンランダム共重合体由来の成分のほかに少量のプロピレン単独重合体由来の成分(極端に分子量の低い成分及びアタクチックポリプロピレン)も含まれるため、その部分を補正する必要がある。そこでW40にA40/B40を乗ずることにより、フラクション1のうち、プロピレン・エチレンランダム共重合体成分由来の量を算出する。例えば、フラクション1の平均エチレン含有量(A40)が30重量%であり、フラクション1に含まれるプロピレン・エチレンランダム共重合体のエチレン含有量(B40)が40重量%である場合、フラクション1の30/40=3/4(即ち75重量%)はプロピレン・エチレンランダム共重合体由来、1/4はプロピレン単独重合体由来ということになる。このように右辺第一項でA40/B40を乗ずる操作は、フラクション1の重量%(W40)からプロピレン・エチレンランダム共重合体の寄与を算出することを意味する。右辺第二項も同様であり、各々のフラクションについて、プロピレン・エチレンランダム共重合体の寄与を算出して加え合わせたものがプロピレン・エチレンランダム共重合体部分含有量となる。
(i)上述したように、CFC測定により得られるフラクション1〜2に対応する平均エチレン含有量をそれぞれA40、A100とする(単位はいずれも重量%である)。平均エチレン含有量の求め方は後述する。
(ii)フラクション1の微分分子量分布曲線におけるピーク位置に相当するエチレン含有量をB40とする(単位は重量%である)。フラクション2については、ゴム部分が40℃ですべて溶出してしまうと考えられ、同様の定義で規定することができないので、本発明では実質的にB100=100と定義する。B40、B100は各フラクションに含まれるプロピレン・エチレンランダム共重合体部分のエチレン含有量であるが、この値を分析的に求めることは実質的には不可能である。その理由はフラクションに混在するプロピレン単独重合体とプロピレン・エチレンランダム共重合体を完全に分離・分取する手段がないからである。種々のモデル試料を使用して検討を行った結果、B40はフラクション1の微分分子量分布曲線のピーク位置に相当するエチレン含有量を使用すると、材料物性の改良効果をうまく説明することができることがわかった。また、B100はエチレン連鎖由来の結晶性を持つこと、および、これらのフラクションに含まれるプロピレン・エチレンランダム共重合体の量がフラクション1に含まれるプロピレン・エチレンランダム共重合体の量に比べて相対的に少ないことの2点の理由により、100と近似する方が、実態にも近く、計算上も殆ど誤差を生じない。そこでB100=100として解析を行うこととしている。
(iii)上記の理由からプロピレン・エチレンランダム共重合体部分の比率(Wc)を以下の式に従い、求める。
Wc(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/100 …(II)
つまり、(II)式右辺の第一項であるW40×A40/B40は結晶性を持たないプロピレン・エチレンランダム共重合体含有量(重量%)を示し、第二項であるW100×A100/100は結晶性を持つプロピレン・エチレンランダム共重合体部分含有量(重量%)を示す。
ここで、B40およびCFC測定により得られる各フラクション1および2の平均エチレン含有量A40、A100は、次のようにして求める。
微分分子量分布曲線のピーク位置に対応するエチレン含有量がB40となる。また、測定時にデータポイントとして取り込まれる、各データポイント毎の重量割合と各データポイント毎のエチレン含有量の積の総和がフラクション1の平均エチレン含有量A40となる。フラクション2の平均エチレン含有量A100も同様に求める。
なお、上記3種類の分別温度を設定した意義は次の通りである。本発明のCFC分析においては、40℃とは結晶性を持たないポリマー(例えば、プロピレン・エチレンランダム共重合体の大部分、もしくはプロピレン単独重合体部分の中でも極端に分子量の低い成分およびアタクチックな成分)のみを分別するのに必要十分な温度条件である意義を有する。100℃とは、40℃では不溶であるが100℃では可溶となる成分(例えばプロピレン・エチレンランダム共重合体中、エチレン及び/またはプロピレンの連鎖に起因して結晶性を有する成分、および結晶性の低いプロピレン単独重合体)のみを溶出させるのに必要十分な温度である。140℃とは、100℃では不溶であるが140℃では可溶となる成分(例えば、プロピレン単独重合体中特に結晶性の高い成分、およびプロピレン・エチレンランダム共重合体中の極端に分子量が高くかつ極めて高いエチレン結晶性を有する成分)のみを溶出させ、かつ分析に使用するプロピレン系ブロック共重合体の全量を回収するのに必要十分な温度である。なお、W140にはプロピレン・エチレンランダム共重合体成分は全く含まれないか、存在しても極めて少量であり実質的には無視できることからプロピレン・エチレンランダム共重合体の比率やプロピレン・エチレンランダム共重合体のエチレン含有量の計算からは排除する。
(6)プロピレン・エチレンランダム共重合体部分のエチレン含有量
本発明におけるプロピレン系ブロック共重合体におけるプロピレン・エチレンランダム共重合体部分のエチレン含有量は、上述で説明した値を用い、次式から求められる。
プロピレン・エチレンランダム共重合体部分のエチレン含有量(重量%)=(W40×A40+W100×A100)/Wc
但し、Wcは先に求めたプロピレン・エチレンランダム共重合体部分の比率(重量%)である。
(7)固有粘度の測定
本発明におけるプロピレン系ブロック共重合体における結晶性プロピレン重合体部分とプロピレン・エチレンランダム共重合体部分の固有粘度[η]homo、[η]copolyは、ウベローデ型粘度計を用いてデカリンを溶媒として温度135℃で測定する。
まず、結晶性プロピレン重合体部分の重合終了後、一部を重合槽よりサンプリングし、固有粘度[η]homoを測定する。次に、結晶性プロピレン重合体部分を重合した後、プロピレン・エチレンランダム共重合体を重合して得られた最終重合物(F)の固有粘度[η]を測定する。[η]copolyは、以下の関係から求める。
[η]=(100−Wc)/100×[η]homo+Wc/100×[η]copoly
3.プロピレン系ブロック共重合体の製造方法
本発明の成形性改質剤として用いるプロピレン系ブロック共重合体の(A)成分、(B)成分とも、結晶性プロピレン重合体部分とプロピレン・エチレンランダム共重合体部分との反応混合物である。これは、結晶性プロピレン重合体部分であるプロピレン単独重合部分の重合(前段)と、この後に続く、プロピレン・エチレンランダム共重合部分の重合(後段)の製造工程により得られる。
結晶性プロピレン重合体は、1段又は2段以上(各段の反応条件は同一又は異なる)の重合工程で製造され、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分も1段又は2段以上(各段の反応条件は同一又は異なる)の重合工程で製造される。従って、本発明のプロピレン系ブロック共重合体の全製造工程は、少なくとも2段の逐次の多段重合工程となる。
上記重合に用いられる触媒としては、特に限定されるものではなく、有機アルミニウム化合物成分と、チタン原子、マグネシウム原子、ハロゲン原子及び電子供与性化合物を必須とする固体成分とを組合わせた、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒等公知の触媒をいずれも使用できる。ゴム成分の固有粘度が高い方が改質剤として添加した際成形外観改良効果が高いため、一般的に重合時連鎖移動の少ないチーグラー・ナッタ触媒の方がより好ましい。
重合形式としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン若しくはトルエン等の不活性炭化水素を重合溶媒として用いるスラリー重合、また、原料のプロピレンを気相状態下で重合する気相重合、プロピレン自体を重合溶媒とするバルク重合などが可能である。また、回分式、連続式、半回分式のいずれによってもよい。
本発明のプロピレン・ブロック共重合体(A)成分は、プロピレン単独重合体部分のメルトフローレートが高いことを特徴とするため、高水素濃度での運転が可能なスラリー重合、または気相重合で行うのが好ましい。一方、プロピレン・ブロック共重合体(B)成分においては、ゴム含量が高いことを特徴としており、スラリー重合ではゴムが溶媒に溶出してしまうため製造不可能であり、気相重合若しくは、1段バルク、2段気相のハイブリッド重合が好ましい。
重合用の反応器としては、特に形状、構造を問わないが、スラリー重合、バルク重合で一般に用いられる攪拌機付き槽や、チューブ型反応器、気相重合に一般に用いられる流動床反応器、攪拌羽根を有する横型反応器などが挙げられる。
スラリー重合においては、上記少なくとも2段の逐次の多段重合工程において、前段重合工程でプロピレン、連鎖移動剤として水素を供給して、前記触媒の存在下に温度50〜100℃、好ましくは60〜80℃、プロピレンの分圧0.15〜2.0MPa、好ましくは0.15〜1.0MPaの条件で、滞留時間は2〜10時間、好ましくは2〜5時間でプロピレン単独重合を行い、結晶性プロピレン重合体部分を製造する。結晶性プロピレン重合体部分には本発明の効果を損なわない範囲でプロピレン以外のα−オレフィンが共重合されていても構わない。また、本発明のプロピレン系ブロック共重合体(A)成分においては、結晶性プロピレン重合体部分のMFRが高いことを特徴とするため、触媒の種類にもよるが、連鎖移動剤の水素を比較的高い濃度に調整しコントロールする必要がある。
引き続いて、後段重合工程で、プロピレン、エチレンと水素を供給して、前記触媒(前記第1段目重合工程で使用した当該触媒)の存在下に温度40〜80℃、好ましくは50〜80℃、プロピレン及びエチレンの分圧各0.10〜1.0MPa、好ましくは0.10〜0.5MPaの条件で、プロピレンとエチレンのランダム共重合を行い、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分を製造し、最終的な生成物として、プロピレン系ブロック共重合体を得る。プロピレン・エチレンランダム共重合体部分には本発明の効果を損なわない範囲でプロピレン、エチレン以外のα−オレフィンが共重合されていても構わない。また、本発明のプロピレン系ブロック共重合体(A)成分においてはプロピレン・エチレンランダム共重合体部分の固有粘度[η]copolyが高いことを特徴とするため、プロセス、触媒の種類にもよるが、連鎖移動剤の水素をなるべく低い濃度に調整し[η]copolyをコントロールする必要がある。また、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(ゴム成分)中のエチレン含量を特定の範囲内に維持するため、後段のプロピレン濃度に対するエチレン濃度を調整する。
気相重合、バルク重合においては、前段重合工程の温度50〜150℃、好ましくは50〜70℃、プロピレンの分圧0.5〜4.5MPa、好ましくは1.0〜3.0MPaの条件で行う。後段重合工程では、温度50〜150℃、好ましくは50〜90℃、プロピレン及びエチレンの分圧各0.3〜4.5MPa、好ましくは0.5〜3.5MPaの条件で、プロピレンとエチレンのランダム共重合を行う。
本発明のプロピレン系ブロック共重合体(B)成分においては、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(ゴム成分)の割合が高いことを特徴とするため、後段のゴム成分の重合で触媒活性を高く維持出来るようにするため、前段の重合においては、重合温度、プロピレン分圧が低く、重合時間が短い、触媒の活性を抑制する条件が好まれる。さらに、後段のゴム重合においても、触媒の活性が高くなる条件(重合温度、プロピレン、エチレン分圧が高く、重合時間が長い条件)が好まれる。しかしながら、重合温度に関しては高くしすぎると粉体粒子の流動性が悪化するため、粉体粒子の流動性を良く維持するためには比較的低い温度が好まれる。
さらに、スラリー、気相、バルク重合に関わらず、上記少なくとも2段の逐次の多段重合工程により製造される組成物の粉体粒子に流動性を付与する目的で、また本共重合体のゴムの分散不良であるゲル発生を防止する目的で、前段重合工程での重合後、後段重合工程での重合開始前又は重合途中に、活性水素含有化合物を、触媒の有機アルミニウム化合物に対して0.2〜2倍モルの範囲で添加することが好ましい。
ここで、活性水素含有化合物としては、例えば、水、アルコール類、フェノール類、アルデヒド類、カルボン酸類、酸アミド類、アンモニア、アミン類等が挙げられる。
4.(A)成分と(B)成分の組成割合
本発明の成形性改質剤は、上記(A)成分と(B)成分の混合物であり、本発明の効果を発揮するためには、(A)成分と(B)成分の比率(重量比)は、(A)成分/(B)成分=19/1〜1/19、好ましくは4/1〜1/4、更に好ましくは3/1〜1/3の比率であることが好ましい。(A)成分の比率が大きすぎると、成形時にボイドに基づく外観不良が発生し、逆に(B)成分の比率が大きすぎると、曲げ弾性率が低下するので好ましくない。
本発明の成形性改質剤には、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、核剤、分散剤、顔料、帯電防止剤、滑剤、金属不活性剤等が含まれていてもよい。
[II]ポリプロピレン系樹脂組成物
本発明の成形品外観に優れるポリプロピレン系樹脂組成物は、上記の成形性改質剤であるプロピレン系ブロック共重合体を、汎用的なポリプロピレン系樹脂被改質材料に第3成分として配合することにより得られるポリプロピレン系樹脂組成物であって、主にフローマーク、ボイド特性に代表される成形品外観等が改良されかつ、その際の物性変化が少ないポリプロピレン系樹脂組成物である。
本発明の成形品外観に優れるポリプロピレン系樹脂組成物においては、上記成分(A)及び成分(B)からなる成形性改質剤を、ポリプロピレン系樹脂被改質材料に対し、2〜30重量部を、好ましくは2〜25重量部を、より好ましくは3〜18重量部を配合して用いる。とりわけ、該成形性改質剤を別添加して使用するケースは、物性を維持したまま成形外観をコントロールすることが必須なため添加前後での物性の変化率が小さいことが求められるので、30重量部を超える場合は、添加前後での物性の変化率が±25%以上となるので好ましくない。
ポリプロピレン系樹脂被改質材としては、(C)プロピレン−エチレンブロック共重合体が好ましく、さらに必要に応じて、(D)無機充填剤、及び/又は(E)エチレン系エラストマー又はスチレン系エラストマーを含有するポリプロピレン樹脂組成物を挙げることができる。以下、本発明の成形品外観に優れるポリプロピレン系樹脂組成物を構成する各成分を詳細に説明する。
1.成形品外観に優れるポリプロピレン系樹脂組成物の各成分
(1)成形性改質剤
本発明の成形品外観に優れるポリプロピレン系樹脂組成物に用いられる成形性改質剤は、上述の(A)成分と(B)成分からなるプロピレン系ブロック共重合体の混合物である。
(2)ポリプロピレン系樹脂被改質材料
(C)成分:プロピレン−エチレンブロック共重合体
本発明の成形品外観に優れるポリプロピレン系樹脂組成物に用いるプロピレン−エチレンブロック共重合体(C)としては、結晶性ポリプロピレン重合体部(C1)とエチレン・プロピレンランダム共重合体部(C2)とを含有するブロック共重合体が好ましい。
結晶性ポリプロピレン重合体部(C1)は、通常プロピレンの単独重合、場合によってはプロピレンに少量の他のα−オレフィンを共重合することによって得られる結晶性の重合体であり、その密度は高いことが好ましい。(C1)の結晶性は、アイソタクチック指数(沸騰n−ヘプタン抽出による不溶分)として、通常90%以上、好ましくは95〜100%である。結晶性が小さいと(C)成分の機械的強度、特に曲げ弾性率に劣るものとなる。一方、エチレン・プロピレンランダム共重合体部(C2)は、プロピレンとエチレンとのランダム共重合によって得られるゴム状成分である。
また、上記(C1)の占める割合は、通常全重合量の50〜85重量%、好ましくは60〜82重量%、更に好ましくは70〜81重量%であり、(C2)の占める割合は、通常全重合量の15〜50重量%、好ましくは18〜40重量%、更に好ましくは19〜37重量%となるように調整される。
(C1)は、前述のように、オルトジクロルベンゼンによる抽出において、100℃以下で溶出しないが、(C2)は、容易に溶出する。従って、製造後の重合体に対しては、上記したオルトジクロルベンゼンによる抽出分析によりプロピレン−エチレンブロック共重合体(C)の組成を判定することができる。
なお、本発明で用いるポリプロピレン系樹脂被改質材料(C)のオルトジクロルベンゼンで抽出されるゴム含量は、10重量%以上が好ましく、より好ましくは15重量%である。
本発明の成形品外観に優れるポリプロピレン系樹脂組成物で用いるプロピレン−エチレンブロック共重合体(C)のMFRは、10〜200g/10分が好ましく、より好ましくは、15〜150g/10分である。MFRが10g/10分未満であると、成形性が劣り、200g/10分を超えると、耐衝撃性が低下するので好ましくない。
上記(C)成分の製造は、高立体規則性触媒を用いて重合する方法が好ましく用いられる。重合方法としては従来公知の方法がいずれも採用できる。触媒及び重合方法としては、前述したプロピレン系ブロック共重合体である成形性改質剤の製造法と同様の手法が用いられる。プロピレン・エチレンランダム共重合体部(C2)の多い(C)成分の製造においては、特に気相流動床法が好ましい。また、後段反応において新たに電子供与体化合物を添加することにより、粘着、閉塞のトラブルを回避し、重合の操作性を改良することができる。
(D)成分:無機充填剤
本発明の成形品外観に優れるポリプロピレン系樹脂組成物においては、必要に応じて、無機充填剤(D)を配合することができる。(D)成分は、ポリプロピレン系樹脂組成物の曲げ弾性率を向上させ、線膨張係数を低下させるために使用する。
本発明で用いることのできる無機充填剤(D)としては、組成、形状等は特に限定されない。ポリマー用充填剤として市販されているものはいずれも使用できる。
具体的には、タルク、マイカ、モンモリロナイト等の板状無機充填剤、短繊維ガラス繊維、長繊維ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、ゾノライト等の繊維状無機充填剤、チタン酸カリウム、マグネシウムオキシサルフェート、窒化珪素ホウ酸アルミニウム、塩基性硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、ワラストナイト、炭酸カルシウム等の針状(ウィスカー)無機充填剤、沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の粒状無機充填剤、ガラスバルーンのようなバルン状無機充填剤が例示される。その中でも、物性・コスト面のバランスより、タルクが特に好ましい。
タルクは、重合体との接着性或いは分散性を向上させる目的で、各種の有機チタネート系カップリング剤、有機シランカップリング剤、不飽和カルボン酸、又はその無水物をグラフトした変性ポリオレフィン、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル等によって表面処理したものを用いてもよい。
(E)成分:エチレン系エラストマー又はスチレン系エラストマー
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物においては、必要に応じて、エチレン系エラストマー又はスチレン系エラストマー(E)を配合することができる。エチレン系エラストマー又はスチレン系エラストマー(E)の具体例としては、例えば、エチレン・プロピレン共重合エラストマー(EPR)、エチレン・ブテン共重合エラストマー(EBR)、エチレン・ヘキセン共重合エラストマー(EHR)、エチレン・オクテン共重合エラストマー(EOR)等のエチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー;エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体エラストマー、エチレン・プロピレン・ブタジエン共重合体エラストマー、エチレン・プロピレン・イソプレン共重合体エラストマー等のエチレン・α−オレフィン・ジエン三元共重合体エラストマー(EPDM);スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック体(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック体(SIS)、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック体の水素添加物(SEBS)、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック体の水素添加物(SEPS)等のスチレン系エラストマー等が使用できる。
なお、上記したスチレン・ブタジエン・スチレントリブロック体の水素添加物は、ポリマー主鎖をモノマー単位で見ると、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンとなるので、通常、SEBSと略称されるものである。
また、これらのエチレン系エラストマー又はスチレン系エラストマー(E)は、2種類以上を混合して使用することができる。
上記エチレン・α―オレフィン共重合体エラストマーは、各モノマーを触媒の存在下重合することにより製造される。触媒としては、ハロゲン化チタンのようなチタン化合物、アルキルアルミニウムーマグネシウム錯体、のような有機アルミニウムーマグネシウム錯体、アルキルアルミニウム、又はアルキルアルミニウムクロリド等のいわゆるチーグラー型触媒、WO−91/04257号公報等に記載のメタロセン化合物触媒を使用することができる。重合法としては、気相流動床、溶液法、スラリー法等の製造プロセスを適用して重合することができる。市販品を例示すれば、ジェイエスアール社製EDシリーズ、三井化学社製タフマーPシリーズ及びタフマーAシリーズ、デュポンダウ社製エンゲージEGシリーズ、旭化成社製タフテックHシリーズなどを挙げることができ、これらはいずれも本発明において使用することができる。
ここで、上記スチレン系エラストマーにおけるトリブロック共重合体の水素添加物(SEBS、SEPS)の製造法の概要を述べる。これらのトリブロック共重合体は、一般的なアニオンリビング重合法で製造することができ、逐次的にスチレン、ブタジエン、スチレンを重合しトリブロック体を製造した後に、水添する方法(SEBSの製造法)と、スチレン−ブタジエンのジブロック共重合体をはじめに製造した後、カップリング剤を用いてトリブロック体に、水添する方法がある。また、ブタジエンの代わりにイソプレンを用いることによってスチレン−イソプレン−スチレントリブロック体の水素添加物(SEPS)も同様に製造することができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物で用いるエチレン系エラストマー又はスチレン系エラストマー(E)のMFR(230℃、2.16kg荷重で測定)は、0.5〜150g/10分が好ましく、より好ましくは0.7〜150g/10分、特に好ましくは0.7〜80g/10分である。本発明の成形外観に優れたポリプロピレン系樹脂組成物の主要用途である自動車外装材を考慮した場合、MFRが上記の範囲であるものが特に好ましい。
(F)付加的成分(任意成分)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物中には、上記(A)〜(D)成分以外に、さらに、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、他の付加的成分(任意成分)を添加することができる。この様な付加的成分(任意成分)としては、フェノール系及びリン系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系の耐候劣化防止剤、有機アルミ化合物、有機リン化合物等の核剤、ステアリン酸の金属塩に代表される分散剤、キナクリドン、ペリレン、フタロシアニン、酸化チタン、カーボンブラック等の着色物質、を例示できる。
2.ポリプロピレン系樹脂組成物の成分組成
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上記(A)及び(B)からなる成形性改質剤と成分(C)、必要に応じて、成分(D)、(E)を組み合わせて得られる。代表的な各組み合わせの場合の組成割合は次の通りである。
(1)成分(A)及び(B)と(C)からなるポリプロピレン系樹脂組成物
成分(A)及び(B)と(C)からなるポリプロピレン系樹脂組成物にあっては、(A)及び(B)の成形性改質剤は、(C)エチレン・プロピレンブロック共重合体100重量部に対して、2〜30重量部であり、好ましくは2〜25重量部であり、より好ましくは3〜18重量部である。(A)及び(B)の成形性改質剤が2重量部未満であると成形外観効果が劣り、逆に30重量部を超えると耐衝撃性が低下する。
(2)成分(A)及び(B)と(C)、(D)からなるポリプロピレン系樹脂組成物
成分(A)及び(B)と(C)、(D)からなるポリプロピレン系樹脂組成物にあっては、成分(A)及び(B)の成形性改質剤は、成分(C)及び(D)の合計100重量部に対して、2〜30重量部であり、好ましくは2〜25重量部であり、より好ましくは3〜18重量部である。成分(C)と成分(D)の割合は、成分(C)は、65〜99重量%、好ましくは70〜98重量%、より好ましくは75〜98重量%、特に好ましくは80〜97重量%であり、成分(D)は、1〜35重量%、好ましくは2〜30重量%、より好ましくは2〜25重量%、特に好ましくは3〜20重量%である。成分(D)が1重量%未満であると添加効果が充分発揮されず曲げ弾性率が不足し、逆に35重量%を超えると脆化温度が悪化し、成形性も低下する。
(3)成分(A)及び(B)と(C)、(E)からなるポリプロピレン系樹脂組成物
成分(A)及び(B)と、(C)、(E)からなるポリプロピレン系樹脂組成物にあっては、成分(A)及び(B)の成形性改質剤は、成分(C)及び(E)の合計100重量部に対して、2〜30重量部であり、好ましくは2〜25重量部であり、より好ましくは3〜18重量部である。成分(C)と成分(E)の割合は、成分(C)は、65〜99重量%、好ましくは70〜98重量%、より好ましくは75〜98重量%、特に好ましくは83〜97重量%であり、成分(E)は、1〜35重量%、好ましくは2〜30重量%、より好ましくは2〜25重量%、特に好ましくは3〜17重量%である。成分(E)が1重量%未満であると添加効果が充分発揮されず、逆に35重量%を超えると剛性低下が懸念され、またコスト的にも問題がある。しかし目的、用途によっては各種の配合があり、エラストマーの種類により、上記に限定されるものではなく、用途や目的に応じて選択することも重要である
(4)成分(A)及び(B)と(C)、(D)及び(E)からなるポリプロピレン系樹脂組成物
成分(A)及び(B)と、(C)、(D)及び(E)からなるポリプロピレン系樹脂組成物にあっては、(A)及び(B)の成形性改質剤は、成分(C)、(D)及び(E)の合計100重量部に対して、2〜30重量部であり、好ましくは2〜25重量部であり、より好ましくは3〜18重量部である。成分(C)と成分(D)と成分(E)の割合は、成分(C)は、40〜98重量%、好ましくは47〜96重量%、より好ましくは50〜92重量%であり、成分(D)は、1〜40重量%、好ましくは2〜35重量%、より好ましくは4〜32重量%であり、成分(E)は、1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%、より好ましくは4〜12重量%である。
3.ポリプロピレン系樹脂組成物の製造および特性
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製造は、上記の各構成成分を、上記の割合で、一軸押出機、二軸押出機等の押出機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラフ、ニーダー等通常の混練機を用いて、設定温度180℃〜250℃にて混練することにより製造できる。これらの混練機の中でも、押出機、特に二軸押出機を用いて製造することが好ましい。
本発明の成形品外観に優れるポリプロピレン系樹脂組成物は、成形性改質剤をポリプロピレン系樹脂被改質材料に対し混合した際のMFR、曲げ弾性率、−30℃におけるIZOD衝撃強度の変化率が、±25%未満であることが好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂組成物は、MFRが10g/10分以上が好ましく、−30℃におけるIZOD衝撃値が3kg/cm以上であることが好ましい。
ここで、MFR、曲げ弾性率、−30℃におけるIZOD衝撃強度は、それぞれ、ASTM−D1238(2.16kg荷重、230℃)、JIS−K7203、JIS−K7110に準拠して測定する値である。
4.ポリプロピレン系樹脂組成物の成形加工
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、所望の成型品に加工される。成形加工法は、特に限定されるものではなく、目的に応じて各種の成形方法で成形できる。例えば、射出成形法、押出成形法など適用できるが、大型射出成形法に適用した場合、成形加工性、フローマーク特性、ウエルド外観などに優れ、効果が大きい。従って、バンパー、ロッカーモール、サイドモール、オーバーフェンダーをはじめとする自動車外装部品の用途に好適である。
本発明を実施例により、更に詳細に説明するが、本発明はその旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例で用いた物性測定法及び用いた樹脂の製造例は以下の通りである。
1.物性測定法
(1)メルトフローレート(MFR):ASTM−D1238に準拠し、2.16kg荷重にて230℃の温度で測定し下記基準で判定した。
○:被改質材料基準材との変化率25%未満
×:被改質材料基準材より25%以上変化
(2)Izod衝撃強度:JIS−K7110に準拠して、−30℃の温度下にてノッチ付で測定し、下記基準で判定した。
○:被改質材料基準材との変化率25%未満
×:被改質材料基準材より25%以上変化
(3)曲げ弾性率:JISK−7203に準拠し、23℃において曲げ速度2mm/minで測定し下記基準で判定した。
○:被改質材料基準材との変化率25%未満
×:被改質材料基準材より25%以上変化
(4)成形品外観フローマーク発生距離:型締め圧170トンの射出成形機で、短辺に幅2mmのフィルムゲートをもつ金型を用いて、350mm×100mm×2mmtなる成形シートを、成形温度を220℃として射出成形した。フローマークの発生を目視で観察し、ゲートからフローマークが発生した部分までの距離を測定し下記基準で判定した。
○:100mm以上
×:100mm未満
(5)ボイド特性:型締め圧170トンの射出成形機で、短辺に幅2mmのフィルムゲートをもつ金型を用いて、350mm×100mm×4mmtなる成形シートを、成形温度を220℃として射出成形した。ボイドに基づくリンプル状の不良の発生を目視で観察し、下記基準で判定した。
○:15個未満
×:15個以上
2.プロピレン系ブロック共重合体(A)成分及び(B)成分
下記の製造例1〜8で製造されたプロピレン系ブロック共重合体を(A)成分の成形性改質剤(改質剤−11〜18)とし、製造例9〜14で製造されたプロピレン系ブロック共重合体を(B)成分の成形性改質剤(改質剤21〜26)として用いた。各重合工程の反応条件、得られた結晶性プロピレン重合体並びにプロピレン・エチレンランダム共重合体のインデックスを表1及び2に示した。
(製造例1)
(i)固体触媒成分(a)の製造
充分に窒素置換した内容積50リットルの攪拌機付槽に、脱水および脱酸素したn−ヘプタン、20リットルを導入し、次いでMgClを10モル、Ti(O−n−Cを20モル導入し、95℃で2時間反応させた。反応終了後、40℃に温度を下げ、次いでメチルヒドロポリシロキサン(20センチストークスのもの)を12リットル導入し、3時間反応させた。生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
次いで、前記攪拌機付槽を用いて該槽に、上記と同様に精製したn−ヘプタンを5リットル導入し、上記で合成した固体成分をMg原子換算で3モル導入した。次いでn−ヘプタン2.5リットルにSiCl5モルを混合して30℃、30分間でフラスコへ導入し、70℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。
次いで前記攪拌機付槽へn−ヘプタン2.5リットル導入し、フタル酸クロライド0.3モルを混合して、70℃、30分間で導入し、90℃で1時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いでTiCl2リットルを導入して110℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄して成分(a)を製造するための固体成分(a1)を得た。この固体成分のチタン含量は2.0重量%であった。
次いで、窒素置換した前記攪拌機付槽にn−ヘプタンを8リットル、上記で合成した固体成分(a1)を400グラム導入し、成分(a2)としてSiCl0.6リットルを導入して90℃で2時間反応させた。反応終了後、さらに成分(a3)として(CH=CH)Si(CH0.54モル、成分(a4)として(t−C)(CH)Si(OCH0.27モルおよび成分(a5)としてAl(C1.5モルを順次導入して30℃で2時間接触させた。接触終了後、n−ヘプタンで充分に洗浄し、塩化マグネシウムを主体とする成分(a)390gを得た。このもののチタン含量は、1.8重量%であった。
(ii)プロピレン・エチレンブロック共重合体の製造
内容積400リットルの攪拌機付きステンレス鋼製オートクレーブをプロピレンガスで充分に置換し、重合溶媒として脱水及び脱酸素したn−ヘプタン120リットルを入れた。次に温度70℃の条件下、トリエチルアルミニウム30g、水素100リットル、および前記触媒aを20g加えた。オートクレーブを内温75℃に昇温した後、プロピレンを15.7Kg/時、あわせて水素を101L/時の速度で供給し、重合を開始した。250分後プロピレン、水素の導入を停止した。圧力は重合開始時に0.16MPa、プロピレン供給中に経時的に増加し、供給停止時点で0.40MPaまで上昇した。その後、器内の未反応ガスを0.13MPaまで放出し結晶性プロピレン重合体部分を得た(前段重合工程)。
次いで、オートクレーブを内温65℃にセットした後、n−ブタノールを12.5cc導入、エチレンを2.9Kg/時、あわせてプロピレンを6.8Kg/時の速度で供給した。60分後エチレン、プロピレンの供給を停止、モノマー供給中に圧力は経時的に上昇し、供給停止時点で0.22MPaであった(後段重合工程)。
得られたスラリーは、次の攪拌機付き槽に移送し、ブタノールを2.5リットル加え、70℃で3時間処理し、更に次の攪拌機付き槽に移送、水酸化ナトリウム20gを溶解した純水100リットルを加え、1時間処理した後、水層を静置後分離、触媒残渣を除去した。スラリーは遠心分離機で処理し、ヘプタンを除去、80℃の乾燥機で3時間処理しヘプタンを完全に除去、57.1Kgの(改質剤−11)を得た。
(製造例2)
内容積400リットルの攪拌機付きステンレス鋼製オートクレーブをプロピレンガスで充分に置換し、重合溶媒として脱水及び脱酸素したn−ヘプタン120リットルを入れた。次に温度70℃の条件下、トリエチルアルミニウム30g、水素90リットル、および前記触媒aを15g加えた。オートクレーブを内温75℃に昇温した後、プロピレンを20.25Kg/時、あわせて水素を202L/時の速度で供給し、重合を開始した。200分後プロピレン、水素の導入を停止した。圧力は重合開始時に0.15MPa、プロピレン供給中に経時的に増加し、供給停止時点で0.76MPaまで上昇した。その後、器内の未反応ガスを0.13MPaまで放出し結晶性プロピレン重合体部分を得た(前段重合工程)。
次いで、オートクレーブを内温65℃にセットした後、n−ブタノールを12.5cc導入、エチレンを3.75Kg/時、あわせてプロピレンを3.8Kg/時の速度で供給した。140分後エチレン、プロピレンの供給を停止、モノマー供給中に圧力は経時的に上昇し、供給停止時点で0.12MPaであった(後段重合工程)。
得られたスラリーは、製造例1に準じて後処理を行い、58.3Kgの(改質剤−12)を得た。
(製造例3)
製造例1において、前段重合工程におけるプロピレンの供給速度を15.3Kg/時、水素の供給速度を97L/時に変更、後段重合工程におけるエチレンの供給速度を3.4Kg/時、プロピレンの供給速度を7.9Kg/時にした以外は、製造例1に準じて行った。前段重合工程における圧力は重合開始時に0.15MPa、プロピレンの供給停止時点で0.40MPa、後段重合工程においてモノマー供給停止時の圧力が0.24MPaであった。製品量55.2kgの(改質剤−13)を得た。
(製造例4)
製造例2において、前段重合工程における水素の供給速度を172L/時に変更、後段重合工程におけるエチレンの供給速度を0.96Kg/時、プロピレンの供給速度を2.25Kg/時にした以外は、製造例2に準じて行った。前段重合工程における圧力は重合開始時に0.15MPa、プロピレンの供給停止時点で0.71MPa、後段重合工程においてモノマー供給停止時の圧力が0.12MPaであった。製品量60.5kgの(改質剤−14)を得た。
(製造例5)
内容積200リットルの攪拌機付きステンレス鋼製オートクレーブをプロピレンガスで充分に置換し、重合溶媒として脱水及び脱酸素したn−ヘプタン60リットルを入れた。次に温度70℃の条件下、トリエチルアルミニウム15g、水素50リットル、および前記触媒aを8g加えた。オートクレーブを内温75℃に昇温した後、プロピレンを10.1Kg/時、あわせて水素を71L/時の速度で供給し、重合を開始した。200分後プロピレン、水素の導入を停止した。圧力は重合開始時に0.15MPa、プロピレン供給中に経時的に増加し、供給停止時点で0.53MPaまで上昇した。その後、器内の未反応ガスを0.13MPaまで放出し結晶性プロピレン重合体部分を得た(前段重合工程)。
次いで、オートクレーブを内温65℃にセットした後、n−ブタノールを6.3cc導入、エチレンを0.64Kg/時、あわせてプロピレンを0.96Kg/時の速度で供給した。140分後エチレン、プロピレンの供給を停止、モノマー供給中に圧力は経時的に上昇し、供給停止時点で0.13MPaであった(後段重合工程)。
得られたスラリーは、製造例1に準じて後処理を行い、27.3Kgの(改質剤−15)を得た。
(製造例6)
内容積400リットルの攪拌機付きステンレス鋼製オートクレーブをプロピレンガスで充分に置換し、重合溶媒として脱水及び脱酸素したn−ヘプタン120リットルを入れた。次に温度70℃の条件下、トリエチルアルミニウム30g、水素90リットル、および前記触媒aを20g加えた。オートクレーブを内温75℃に昇温した後、プロピレンを20.25Kg/時、あわせて水素を121.5L/時の速度で供給し、重合を開始した。200分後プロピレン、水素の導入を停止した。圧力は重合開始時に0.15MPa、プロピレン供給中に経時的に増加し、供給停止時点で0.46MPaまで上昇した。その後、器内の未反応ガスを0.13MPaまで放出した。
得られたスラリーは、製造例1に準じて後処理を行い、56.2Kgの(改質剤−16)を得た。
(製造例7)
(i)固体触媒成分(b)の製造
窒素置換した内容積50リットルの撹拌機付槽に脱水及び脱酸素したn−ヘプタン20リットルを導入し、次いで、塩化マグネシウム10モルとテトラブトキシチタン20モルとを導入して95℃で2時間反応させた後、温度を40℃に下げ、メチルヒドロポリシロキサン(粘度20センチストークス)12リットルを導入して更に3時間反応させた後、反応液を取り出し、生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
引き続いて、前記撹拌機付槽を用いて該槽に脱水及び脱酸素したn−ヘプタン5リットルを導入し、次いで、上記で合成した固体成分をマグネシウム原子換算で3モル導入した。ついで、n−ヘプタン2.5リットルに、四塩化珪素5モルを混合して30℃、30分間かけて導入して、温度を70℃に上げ、3時間反応させた後、反応液を取り出し、生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
さらに、引き続いて、前記撹拌機付槽を用いて該槽に脱水及び脱酸素したn−ヘプタン2.5リットルを導入し、フタル酸クロライド0.3モルを混合して90℃、30分間で導入し、95℃で1時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いで、室温下四塩化チタン2リットルを追加し、100℃に昇温した後2時間反応した。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。さらに、四塩化珪素0.6リットル、n−ヘプタン8リットルを導入し90℃で1時間反応し、n−ヘプタンで十分洗浄し、固体成分を得た。この固体成分中にはチタンが1.30重量%含まれていた。
次に、窒素置換した前記撹拌機付槽にn−ヘプタン8リットル、上記で得た固体成分を400gと、t−ブチル−メチル−ジメトキシシラン0.27モル、ビニルトリメチルシラン0.27モルを導入し、30℃で1時間接触させた。次いで15℃に冷却し、n−ヘプタンに希釈したトリエチルアルミニウム1.5モルを15℃条件下30分かけて導入、導入後30℃に昇温し2時間反応させ、反応液を取り出し、n−ヘプタンで洗浄して固体触媒成分(b)390gを得た。
得られた固体触媒成分(b)中には、チタンが1.22重量%含まれていた。
更に、n−ヘプタンを6リットル、n−ヘプタンに希釈したトリイソブチルアルミニウム1モルを15℃条件下30分かけて導入し、次いでプロピレンを20℃を越えないように制御しつつ約0.4kg/時間で1時間導入して予備重合した。その結果、固体1g当たり0.9gのプロピレンが重合したポリプロピレン含有の固体触媒成分(b)が得られた。
(ii)プロピレン・エチレンブロック共重合体の製造
内容積230リットルの流動床式反応器を2個連結してなる連続反応装置を用いて重合を行った。まず第1反応器で、重合温度85℃、プロピレン分圧2.2MPa、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.037となるように連続的に供給するとともに、トリエチルアルミニウムを5.25g/hrで、固体触媒成分(b)として、上記記載の触媒をポリマー重合速度が20kg/hrになるように供給した。第1反応器で重合したパウダー(結晶性プロピレン重合体)は、反応器内のパウダー保有量を60kgとなるように連続的に抜き出し、第2反応器に連続的に移送した(前段重合工程)。
重合温度80℃で、圧力2.0MPaになるように、プロピレンとエチレンをエチレン/プロピレンのモル比で0.25となるように連続的に供給し、更に、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.026となるように連続的に供給すると共に、活性水素化合物としてエチルアルコールを、トリエチルアルミニウムに対して2.1倍モルになるように供給した。第2反応器で重合したパウダーは、反応器内のパウダー保有量を40kgとなるように連続的にベッセルに抜き出し、水分を含んだ窒素ガスを供給して反応を停止させ、プロピレン・エチレンブロック共重合体を得た(後段重合工程)。得られたプロピレン・エチレンブロック共重合体を(改質剤−17)とした。
(製造例8)
製造例2において、前段重合工程における水素の供給速度を172L/時に変更、後段重合工程におけるエチレンの供給速度を0.48Kg/時、プロピレンの供給速度を2.73Kg/時にした以外は、製造例2に準じて行った。前段重合工程における圧力は重合開始時に0.15MPa、プロピレンの供給停止時点で0.78MPa、後段重合工程においてモノマー供給停止時の圧力が0.18MPaであった。製品量58.6kgの(改質剤−18)を得た。
(製造例9)
内容積230リットルの流動床式反応器を2個連結してなる連続反応装置を用いて重合を行った。まず第1反応器で、重合温度55℃、プロピレン分圧1.8MPa、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.020となるように連続的に供給するとともに、トリエチルアルミニウムを5.25g/hrで、固体触媒成分(b)として、上記記載の触媒をポリマー重合速度が12kg/hrになるように供給した。第1反応器で重合したパウダー(結晶性プロピレン重合体)は、反応器内のパウダー保有量を40kgとなるように連続的に抜き出し、第2反応器に連続的に移送した(前段重合工程)。
次に、重合温度80℃で、圧力2.0MPaになるように、プロピレンとエチレンをエチレン/プロピレンのモル比で0.50となるように連続的に供給し、更に、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.0008となるように連続的に供給すると共に、活性水素化合物としてエチルアルコールを、トリエチルアルミニウムに対して2.1倍モルになるように供給した。第2反応器で重合したパウダーは、反応器内のパウダー保有量を50kgとなるように連続的にベッセルに抜き出し、水分を含んだ窒素ガスを供給して反応を停止させ、プロピレン・エチレンブロック共重合体を得た(後段重合工程)。得られたプロピレン・エチレンブロック共重合体を(改質剤−21)とした。
(製造例10)
製造例9において、前段重合工程において、水素/プロピレンのモル比を0.057に変更、後段重合工程におけるエチレン/プロピレンのモル比を0.945に変更した以外は、製造例9に準じて行い、プロピレン・エチレンブロック共重合体(改質剤−22)を製造した。
(製造例11)
製造例9において、前段重合工程において、重合温度を65℃に、水素/プロピレンのモル比を0.027に、パウダーの保有量を60Kgに変更、後段重合工程におけるエチレン/プロピレンのモル比を0.40に、パウダーの保有量を40Kgに変更した以外は、製造例9に準じて行い、プロピレン・エチレンブロック共重合体(改質剤−23)を製造した。
(製造例12)
製造例7において、前段重合工程において、水素/プロピレンのモル比を0.035に変更、後段重合工程におけるエチレン/プロピレンのモル比を0.84に、水素/プロピレンのモル比を0.023に変更した以外は、製造例7に準じて行い、プロピレン・エチレンブロック共重合体(改質剤−24)を製造した。
(製造例13)
製造例2において、重合前の水素供給量を15リットルに変更、前段重合工程における水素の供給速度を20L/時に変更にした以外は、製造例2に準じて行った。前段重合工程における圧力は重合開始時に0.15MPa、プロピレンの供給停止時点で0.76MPa、後段重合工程においてモノマー供給停止時の圧力が0.13MPaであった。製品量58.3kgの(改質剤−25)を得た。
(製造例14)
内容積400リットルの攪拌機付きステンレス鋼製オートクレーブをプロピレンガスで充分に置換し、重合溶媒として脱水及び脱酸素したn−ヘプタン120リットルを入れた。次に温度70℃の条件下、トリエチルアルミニウム30g、水素15リットル、および前記触媒aを15g加えた。オートクレーブを内温75℃に昇温した後、プロピレンを15.75Kg/時、あわせて水素を15L/時の速度で供給し、重合を開始した。200分後プロピレン、水素の導入を停止した。圧力は重合開始時に0.15MPa、プロピレン供給中に経時的に増加し、供給停止時点で0.42MPaまで上昇した。その後、器内の未反応ガスを0.13MPaまで放出し結晶性プロピレン重合体部分を得た(前段重合工程)。
次いで、オートクレーブを内温65℃にセットした後、n−ブタノールを16cc導入、エチレンを1.06Kg/時、あわせてプロピレンを8.58Kg/時の速度で供給した。140分後エチレン、プロピレンの供給を停止、モノマー供給中に圧力は経時的に上昇し、供給停止時点で0.48MPaであった(後段重合工程)。
得られたスラリーは、製造例1に準じて後処理を行い、54Kgの(改質剤−26)を得た。
Figure 0005238173
Figure 0005238173
3.成分(C)〜(E)
成分(C)プロピレン−エチレンブロック共重合体として表3に示す(PP−1)〜(PP−4)、成分(D)無機充填剤として表4に示す(タルク−1)、成分(E)エチレン系エラストマー又はスチレン系エラストマーとして表5に示す(エラストマー−1)〜(エラストマー−4)を用いた。
なお、表3〜5に示す成分(C)〜(E)からなる組成物を、予め表6に示す割合で配合し、更に、酸化防止剤として、テトラキス[メチレン−3−(3’5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバガイギー社製、商品名:イルガノックス1010)0.1重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(チバガイギー社製、商品名:イルガホス168)0.05重量部を配合して、ヘンシェルミキサーで5分間混合した後、二軸混練機(神戸製鋼社製:2FCM)にて210℃の設定温度で混練造粒して被改質材料(ベース材−1)〜(ベース材−9)とした。
Figure 0005238173
Figure 0005238173
Figure 0005238173
Figure 0005238173
(実施例1)
ベース材−1(85重量%)、改質剤−11(10重量%)、及び改質剤−21(5重量%)の混合物100重量部に対して、酸化防止剤として、テトラキス[メチレン−3−(3’5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバガイギー社製、商品名:イルガノックス1010)0.1重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(チバガイギー社製、商品名:イルガホス168)0.05重量部を配合して、ヘンシェルミキサーで5分間混合した後、二軸混練機(神戸製鋼社製:KCM)にて210℃の設定温度で混練造粒することによりポリプロピレン系樹脂組成物を得た。得られたポリプロピレン系樹脂組成物について物性評価(MFR、フローマーク発生距離、曲げ弾性率、−30℃下におけるIzod衝撃強度、ボイド特性)を行った。評価結果を表7に示す。
(実施例2〜18、比較例1〜19)
表1に示した改質剤と表6に示したベース材を表7及び8に示す組成の割合で配合し、実施例1と同様にして、酸化防止剤を配合して、混練造粒することによりポリプロピレン系樹脂組成物を得た。得られたポリプロピレン系樹脂組成物について物性評価(MFR、フローマーク発生距離、曲げ弾性率、−30℃下におけるIzod衝撃強度、ボイド特性)を行った。評価結果を表7及び8に示す。
Figure 0005238173
Figure 0005238173
表7及び8より明らかなように、本改質成分を利用することにより、実質的に機械物性を変化することなく成形性を改善することができる。
本発明のプロピレン系ブロック共重合体は、汎用のポリプロピレン系樹脂に配合するだけで、ポリプロピレン系樹脂組成物の射出成形時の成形加工性、成形時のフローマーク特性をコントロールすることができる成形性改質剤とすることができ、該ポリプロピレン系樹脂用成形品外観改質剤を配合したポリプロピレン系樹脂組成物は、成形加工性、フローマーク特性に優れ、特に、バンパー、ロッカーモール、サイドモール、オーバーフェンダーをはじめとする自動車外装用部品等の大型射出成形に好適である。したがって、現在すでに使われている自動車外装部品等の射出成形品においても、成形外観が問題になるケースに添加することで改良効果が期待できる。特に、経済活動のグローバル化が進む中で、世界のどこでも入手可能である汎用的な樹脂をベース(主成分)とする樹脂組成物において、前述の問題を解決する樹脂材料が強く求められているが、世界のどこでも入手可能な汎用的な成形品外観改質用樹脂は添加量が多く、物性への影響が大きいことが現状であり、本発明は、これを克服する必要不可欠な革新的な技術となるものである。

Claims (9)

  1. 下記(A)成分及び(B)成分からなる成形性改質剤であって、
    ポリプロピレン系樹脂被改質材料に対して、その物性の変化が小さく、かつ成形加工特性が十分に改良できる割合で用いることを特徴とする成形性改質剤。
    (A)成分:結晶性プロピレン単独重合体部分(A1)80〜98重量%とプロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A2)2〜20重量%からなり、下記(a−1)〜(a−4)の要件を満たすプロピレン系ブロック共重合体
    (a−1)結晶性プロピレン単独重合体部分(A1)のメルトフローレート(JIS K7210、温度230℃、荷重21.18N)が300〜3000g/10分
    (a−2)プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A2)のエチレン含量が10〜70重量%
    (a−3)プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A2)の固有粘度[η]copolyが6.5〜15dl/g
    (a−4)プロピレン系ブロック共重合体(A)全体のメルトフローレート(MFR)が40〜250g/10分
    (B)成分:結晶性プロピレン重合体部分(B1)20〜79重量%とプロピレン・エチレンランダム共重合体部分(B2)21〜80重量%とからなり、下記(b−1)〜(b−4)の要件を満たすプロピレン系ブロック共重合体
    (b−1)結晶性プロピレン単独重合体部分(B1)のメルトフローレート(JIS K7210、温度230℃、荷重21.18N)が20〜300g/10分
    (b−2)プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(B2)のエチレン含量が20〜70重量%
    (b−3)プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(B2)の固有粘度[η]copolyが2.5〜9.0dl/g
    (b−4)プロピレン系ブロック共重合体(B)の全体のメルトフローレート(MFR)が0.1〜50g/10分
  2. (A)成分と(B)成分の比率((A)成分/(B)成分)は、19/1〜1/19(重量比)であることを特徴とする請求請1に記載の成形性改質剤。
  3. (A)成分のメルトフローレート(MFR)と(B)成分のメルトフローレート(MFR)の比(MFR/MFR)は、1を超えることを特徴とする請求項1又は2に記載の成形性改質剤。
  4. 下記(A)成分及び(B)成分からなる成形性改質剤2〜30重量部と、ポリプロピレン系樹脂被改質材料100重量部とを含むことを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
    (A)成分:結晶性プロピレン単独重合体部分(A1)80〜98重量%とプロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A2)2〜20重量%からなり、下記(a−1)〜(a−4)の要件を満たすプロピレン系ブロック共重合体
    (a−1)結晶性プロピレン単独重合体部分(A1)のメルトフローレート(JIS K7210、温度230℃、荷重21.18N)が300〜3000g/10分
    (a−2)プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A2)のエチレン含量が10〜70重量%
    (a−3)プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(A2)の固有粘度[η]copolyが6.5〜15dl/g
    (a−4)プロピレン系ブロック共重合体(A)全体のメルトフローレート(MFR)が40〜250g/10分
    (B)成分:結晶性プロピレン重合体部分(B1)20〜79重量%とプロピレン・エチレンランダム共重合体部分(B2)21〜80重量%とからなり、下記(b−1)〜(b−4)の要件を満たすプロピレン系ブロック共重合体
    (b−1)結晶性プロピレン単独重合体部分(B1)のメルトフローレート(JIS K7210、温度230℃、荷重21.18N)が20〜300g/10分
    (b−2)プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(B2)のエチレン含量が20〜70重量%
    (b−3)プロピレン・エチレンランダム共重合体部分(B2)の固有粘度[η]copolyが2.5〜9.0dl/g
    (b−4)プロピレン系ブロック共重合体(B)の全体のメルトフローレート(MFR)が0.1〜50g/10分
  5. ポリプロピレン系樹脂被改質材料は、(C)プロピレン−エチレンブロック共重合体であることを特徴とする請求項4に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  6. ポリプロピレン系樹脂被改質材料は、
    (C)プロピレン−エチレンブロック共重合体65〜99重量%、及び
    (D)無機充填剤1〜35重量%
    を含有するポリプロピレン樹脂組成物であることを特徴とする請求項4に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  7. ポリプロピレン系樹脂被改質材料は、
    (C)プロピレン−エチレンブロック共重合体65〜99重量%、及び
    (E)エチレン系エラストマー又はスチレン系エラストマー1〜35重量%
    を含有するポリプロピレン樹脂組成物であることを特徴とする請求項4に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  8. ポリプロピレン系樹脂被改質材料は、
    (C)オルトジクロルベンゼンで抽出されるゴム含量が15重量%以上であるプロピレン−エチレンブロック共重合体40〜98重量%、
    (D)無機充填剤1〜40重量%、及び
    (E)エチレン系エラストマー又はスチレン系エラストマー1〜20重量%
    を含有するポリプロピレン樹脂組成物であることを特徴とする請求項4に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  9. 成形性改質剤をポリプロピレン系樹脂被改質材料に対し混合した際のMFR、曲げ弾性率、及び−30℃におけるIZOD衝撃強度の変化率は、±25%未満であることを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
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