JP4177911B2 - ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリプロピレン系樹脂組成物に関し、さらに詳しくは耐熱性、低温での耐衝撃性、ヒートシール性、耐ブロッキング性などに優れたプロピレン−エチレンブロック共重合体組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレンのフィルムは、外観、機械的性質、包装適性などが優れていることから広く包装資材として使用されている。
ポリプロピレン未延伸フィルムにおいてもプロピレン単独重合体、プロピレンとα−オレフインランダム共重合体、およびブロック共重合体がそれぞれの特長を生かして各種の包装用途に使用されている。
プロピレンブロック共重合体は、耐熱性、低温での耐衝撃性がある程度優れることから、比較的高度な要求性能が求められる用途で使用されているが、用途によっては、耐熱性が不十分であったり、耐衝撃性、ヒートシール性、ブロッキング性が不十分で、これら品質の改良や品質のバランスに優れたフィルムの開発が求められていた。特に厳しい用途として、油を含む内容物を充填し、高温で熱処理されるレトルト包装等が挙げられる。このような用途では殺菌処理後の外観不良や低温輸送時の破袋が問題となるため、フィルムの耐熱性や低温での衝撃強度が重要な要求品質である。
【0003】
このようなことから、ポリプロピレンブロック共重合体を用いて上記の特性を改良する試みがいくつかなされている。例えば、特開平1−225648号公報には、B成分の極限粘度が1.92dl/g以下であるプロビレンブロック共重合体の組成物が開示されている。しかしながら、このような組成物は、低温での耐衝撃性が不十分である。また、特開昭59−115312号公報および特開昭59−74109号公報には、レトルトフィルム用重合体組成物の製造法、およびレトルト食品包装用フィルムが開示され、具体的には第1段階の重合体が融点135〜155℃の範囲の共重合体で、第2段階以降の重合体の溶融粘度[η]が2.5以上となるように重合した成分を5〜40重量%含む組成物、およびフィルムが開示されている。しかしながら、この組成物では耐熱性が不十分である。さらに、特開平6−93062号公報では、第1工程で実質的に不活性溶剤の不存在下にプロピレンを主体とした重合体部分(A成分)と第2工程で気相中で得られるエチレン−プロピレン共重合体部分(B成分)からなるプロピレンブロック共重合体で、B成分の極限粘度([η]B)が2.0dl/g以上、かつ極限粘度の比([η]B/[η]A)が1.8以下のブロック共重合体が開示されている。しかしながらこの組成物では厳しい用途で低温での耐衝撃性が不十分である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、このように従来公知のプロピレンブロック共重合体が有していた欠点を解消し、耐熱性と低温での耐衝撃性に優れたプロピレン−エチレンブロック共重合体組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記欠点を解決し、耐熟性、特に油に接触した環境での耐熱性(寸法変化)に優れ、さらに低温での衝撃強度に優れたフィルムを開発すべく鋭意検討した結果、特定の2種のプロピレン−エチレンブロック共重合体を配合することで、前記問題を解消できることを見出し、本発明に到達した。
【0006】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、以下に示すプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)20〜80重量部とプロピレン−エチレンブロック共重合体(B)80〜20重量部からなるポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
(A)プロピレン−エチレンブロック共重合体:プロピレン単独重合体またはエチレン含量2重量%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体よりなるプロピレンブロック部(I)60〜95重量%とエチレン含量20〜95重量%のエチレン−プロピレン共重合体ブロック部(II)40〜5重量%からなるプロピレン−エチレンブロック共重合体であって、プロピレン−エチレンブロック共重合体のMFR(MFR(A))とプロピレンブロック部(I)のMFR(MFR(I))の関係が下記式を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体。
0.01≦MFR(A)/MFR(I)≦0.35 (1)
(B)プロピレン−エチレンブロック共重合体:プロピレン単独重合体またはエチレン含量2重量%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体よりなるプロピレンブロック部(III)60〜95重量%とエチレン含量20〜95重量%のエチレン−プロピレン共重合体ブロック部(IV)40〜5重量%からなるプロピレン−エチレンブロック共重合体であって、プロピレン−エチレンブロック共重合体のMFR(MFR(B))とプロピレンブロック部(III)のMFR(MFR(III))の関係が下記式を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体。
0.4<MFR(B)/MFR(III)≦0.95 (2)
また、本発明の第2の発明によれば、プロピレン含量が15〜50重量%のエチレン−プロピレンランダム共重合体及び/またはブテン−1含量が10〜50重量%のエチレン−ブテン−1ランダム共重合体を第1の発明に記載のポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対してさらに3〜30重量部含んでなるポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1または第2の発明において、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の23℃キシレン可溶分の重量平均分子量が35万以上、かつプロピレン−エチレンブロック共重合体(B)の23℃キシレン可溶分の重量平均分子量が35万未満であるポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1ないし3のいずれかの発明に記載のポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムが提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に詳述する。
1.プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)は、プロピレン単独重合体またはエチレン含量2重量%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体よりなるプロピレンブロック部(I)60〜95重量%とエチレン含量20〜95重量%のエチレン−プロピレン共重合体ブロック部(II)40〜5重量%からなるプロピレン−エチレンブロック共重合体である。
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)中のプロピレンブロック部(I)の比率は、60〜95重量%、エチレン−プロピレン共重合体ブロック部(II)の比率は40〜5重量%である必要がある。エチレン−プロピレン共重合体ブロック部(II)の比率は35〜5重量%が好ましく、さらに30〜8重量%が好ましい。エチレン−プロピレン共重合体ブロック部(II)の比率が5重量%未満では耐衝撃性、ヒートシール強度が不十分となり、40重量%を超えると製造時にパウダーのベタツキなどが発生し、生産性が著しく劣り、コスト高となる。
また、エチレン−プロピレン共重合体ブロック部(II)における、エチレン含量が20重量%未満、又は95重量%を超えると、いずれも低温での耐衝撃性が不充分となる。
【0008】
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の230℃、2.16kg荷重でのMFR(MFR(A)と示す)は、0.3〜20g/10分、好ましくは0.4〜15g/10分、さらに0.5〜10g/10分であることがが好ましい。MFR(A)が0.3未満では押出成形性が不十分で、さらにフィルムに成形した場合は、フィッシュアイによる外観不良を招く。また、20g/10分を超えると、耐衝撃性が不十分となる。
本発明のプロピレンブロック部(I)のMFR(MFR(I)と示す)とプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)のMFR(A)との関係は▲1▼式を満足する必要ある。
0.01≦MFR(A)/MFR(I)≦0.4 ▲1▼
▲1▼式の下限値は好ましくは0.03以上、さらに好ましくは0.05以上である。上限値は好ましくは0.35以下、さらに好ましくは0.3以下である。▲1▼式の値が0.01未満では樹脂組成物からのフィルムにおいてフィッシュアイが発生し、外観不良を招き、0.4を超えると低温での衝撃強度が不十分となる。本発明の▲1▼式の値は、プロピレン−エチレンブロック共重合体の製造において、エチレン−プロピレン共重合体ブロック部(II)の分子量の目安であり、この数値が小さいことはエチレン−プロピレン共重合体ブロック部(II)の分子量が大きいことを示す。
【0009】
エチレン−プロピレン共重合体ブロック部(II)のMFR、分子量を直接測定することは困難であるが、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の23℃キシレン可溶分(CXS)の重量平均分子量がその目安となり、その重量平均分子量は35万以上であるのが好ましく、より好ましくは38万以上である。
【0010】
2.プロピレン−エチレンブロック共重合体(B)
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体(B)は、プロピレン単独重合体またはエチレン含量2重量%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体よりなるプロピレンブロック部(II)60〜95重量%とエチレン含量20〜95重量%のエチレン−プロピレン共重合体ブロック部(IV)40〜5重量%からなるフロピレン−エチレンブロック共重合体である。
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体(B)中のプロピレンブロック部(III)の比率は、60〜95重量%、エチレン−プロピレン共重合体ブロック部(IV)の比率は40〜5重量%である必要がある。エチレン−プロピレン共重合体ブロック部(IV)の比率は35〜5重量%が好ましく、さらに30〜8重量%が好ましい。エチレン−プロピレン共重合体ブロック部(IV)の比率が5重量%未満では耐衝撃性、耐熱性が不十分となり、40重量%を超えると製造時にパウダーのベタツキなどが発生し、生産性が著しく劣り、コスト高となる。
また、エチレン−プロピレン共重合体ブロック部(IV)における、エチレン含量が20重量%未満、又は95重量%を超えると、いずれも低温での耐衝撃性が不充分となる。
【0011】
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体(B)の230℃、2.16kg荷重でのMFR(MFR(B)と示す)は0.3〜20g/10分、好ましくは0.5〜15g/10分、さらに1.0〜10g/10分であることが好ましい。 MFR(B)が0.3未満では押出成形性が問題となる。また、20g/10分を超えると、耐衝撃性が不十分となる。
【0012】
本発明のプロピレンブロック部(III)のMFR(MFR(III)と示す)とプロピレン−エチレンブロック共重合体(B)のMFR(B)との関係は▲2▼式を満足する必要ある。
0.4<MFR(B)/MFR(III)≦0.95 ▲2▼
▲2▼式の下限値は好ましくは0.45以上、さらに好ましくは0.5以上である。上限値は好ましくは0.94以下、さらに好ましくは0.93以下である。▲2▼式の値が0.4以下では耐熱性が不十分となり、0.95を超えると耐衝撃性が不十分となる。
本発明の▲2▼式の値は、プロピレン−エチレンブロック共重合体の製造において、エチレン−プロピレン共重合体ブロック部(IV)の分子量の目安であり、この数値が大きいことはエチレン−プロピレン共重合体ブロック部(IV)の分子量が小さいことを示す。
【0013】
エチレン−プロピレン共重合体ブロック部(IV)のMFR、分子量を直接測定することは困難であるが、プロピレン−エチレンブロック共重合体(B)のCXSの重量平均分子量がその目安となり、その重量平均分子量は35万未満であるのが好ましく、より好ましくは30万以下である。
【0014】
3.プロピレン−エチレンブロック共重合体の製造方法
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)および(B)は、上記の物性を有すれば、どのような製造方法によってもよいが、以下の原料、重合方法によって製造することができる。
(1)使用原料
本発明に用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体を製造するに際し使用される触媒としては、マグネシウム、ハロゲン、チタン、電子供与体を必須成分とするマグネシウム坦持型固体触媒、あるいは三塩化チタンを主成分とする固体触媒成分と有機アルミニウムからなる触媒、あるいはメタロセン触媒が使用できる。また、重合される原料オレフィンは、プロピレン、エチレンであり、必要により、本発明の目的を損なわない程度の他のオレフィン、例えば、ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1などを使用することもできる。
【0015】
(2)重合工程
前記触媒の存在下に行う重合工程は、プロピレンの結晶性単独重合体あるい共重合体を製造する重合工程(a)、プロピレンとエチレンとを重量比5/95〜80/20の割合で重合させる重合工程(b)の2段階からなる。
重合工程(a)
重合工程(a)はプロピレン単独かプロピレン/エチレンの混合物を前記触媒を加えた重合系に供給して、プロピレン単独重合体、またはエチレン含有量が2重量%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体を全重合体量の60〜95重量%に相当する量となるように形成させる工程であり、分子量調整剤の水素等を加えることにより、プロピレンの単独重合体あるい共重合体の分子量を調整し、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)または(B)のプロピレンブロック部(I)または(III)とする。
重合工程(b)
重合工程(b)は、重合工程(a)に引き続いて、プロピレン/エチレン混合物をさらに導入して、エチレン含量20〜95重量%のエチレン−プロピレン共重合体を得る工程である。この工程では、全重合体量の5〜40重量%に相当する重合体を形成させる。反応量、反応時間等を調整し、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)または(B)のエチレン−プロピレン共重合体ブロック部(II)または(IV)とする。
【0016】
本発明によるプロピレン−エチレンブロック共重合体の製造法は回分式、連続式のいずれの方法によっても実施可能である。この際に、ヘキサン、ヘプタンなどの不活性炭化水素溶媒中で重合を行う方法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として使用する方法、実質的に液体溶媒を用いずにガス状の単量体中で重合を行う方法、さらに、これらを組み合わせた方法を採用することができる。重合工程(a)と重合工程(b)は同一の重合槽を用いても、別個の重合槽を用いてもよい。
【0017】
4.プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)および(B)の組成割合
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上記プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)が20〜80重量部、好ましくは30〜70重量部および上記プロピレン−エチレンブロック共重合体(B)が80〜20重量部、好ましくは70〜30重量部からなる組成物である。プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)が、20重量部未満では、耐衝撃性が不充分であり、80重量部を超えると耐熱性が不充分である。
【0018】
5.その他の成分
本発明の樹脂組成物には、さらに低温での衝撃強度を向上させる目的でプロピレン含量が15〜50重量%のエチレン−プロピレンランダム共重合体またはブテン−1含量が10〜50重量%のエチレン−ブテン−1ランダム共重合体をプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)及び(B)の合計100重量部に対して3〜30重量部添加することができる。
【0019】
エチレン−プロピレンランダム共重合体としては、プロピレン含量15〜50重量%が好ましく、20〜45重量%がさらに好ましい。プロピレン含量が15重量%未満では耐衝撃性の改良効果が不十分で、50重量%を超えると耐熱性に悪影響を及ぼす。
【0020】
エチレン−ブテン−1ランダム共重合体としては、ブテン−1含量が10〜50重量%が好ましく、20〜40重量%がさらに好ましい。ブテン−1含量が10重量%未満では耐衝撃性の改良効果が不十分で、50重量%を超えると耐熱性に悪影響を及ぼす。エチレン−プテン−1ランダム共重合体は耐熱性、低温での衝撃強度の観点から好ましく、添加量も5〜25重量部がさらに好ましい。
【0021】
エチレン−プロピレンランダム共重合体またはエチレン−ブテン−1ランダム共重合体のMFRは特に制限はないが、230℃、2.16kg荷重のMFR0.5〜20g/10分が好ましく、1〜10g/10分がさらに好ましい。MFRが0.5g/10分未満では押し出し成形性に悪影響を及ぽし、20g/10分を超えると油に対する溶解性物質が増加し好ましくない。
【0022】
本発明の組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、臭い吸着剤、抗菌剤、顔料などを添加することができる。
【0023】
6.フィルム形成
本発明の上記プロピレン−エチレンブロック共重合体からなるポリプロピレン系樹脂組成物は、耐熱性、低温での耐衝撃性に優れ、主として未延伸フィルムとして用いるとその効果が、十分に発揮される。
本発明の樹脂組成物からなるフィルムは、一般に工業的に行われているキャスト法、インフレーション法などで製造できる。フィルムの厚みは5〜200μmが好ましく、10〜100μmがさらに好ましい。得られたフィルムの表面には表面の濡れ適性向上のためコロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理などを行うことも可能である。
【0024】
本発明の樹脂組成物からフィルムを製造するにあたって、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)、プロピレン−エチレンブロック共重合体(B)及び必要においてエチレン−プロピレンランダム共重合体及び/またはエチレン−ブテン−1ランダム共重合体を予め混合し、押出機などでペレット化したものをフィルム成形機に供給してフィルムとしても、フィルム製造時にプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)、プロピレン−エチレンブロック共重合体(B)、及び必要に応じてエチレン−プロピレンランダム共重合体及び/またはエチレン−ブテン−1ランダム共重合体の別々のペレツトをフィルム成形機に供給してフィルムとしてもよい。
【0025】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、以下の実施例によって特に限定を受けるものではない。
なお、本発明の詳細な説明および実施例中の各項目の測定値は、下記の方法で測定した。
(1)MFR:ASTM−D−1238に準拠して、230℃、2.16kg荷重で測定した。
(2)HAZE:ASTM−D−1003に準拠して、フィルム1枚のHAZEを測定した。
(3)耐衝撃性:雰囲気温度0℃にてJIS−P8134に準じた装置を用い、フィルム試験片を直径50mmのホルダーに固定し、25.4mmの半球型の金属製貫通部で打撃させ、貫通破壊に要した仕事量(kg・cm)を測定し、フィルム厚みで除して求めた。
(4)耐熱性:タテ100mm、ヨコ100mmのフィルム試験片を120℃のオーブン中または、120℃のサラダ油中で30分熱処理後、タテ、ヨコそれぞれの寸法変化を測定し、次式にて算出した。
耐熱性=タテ方向の寸法変化(%)+ヨコ方向の寸法変化(%)
(5)CXS重量平均分子量:沸騰キシレン300mlにサンプル5gを加え完全に溶解後、23℃に冷却し、不溶分を除去する。キシレン可溶分に大量のメタノールを加え析出した成分を乾燥し、CXS成分とし、得られたCXS成分の重量平均分子量をGPCで求めた。
【0026】
合成例1
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)の製造
内容積200リットルの撹拌式オートクレーブをプロピレンで十分置換した後、充分に脱水およぴ脱酸素したn−ヘプタン63リットルを導入し、ジエチルアルミニウムクロライド27gおよび丸紅ソルベイ社製三塩化チタン触媒9.0gを60℃でプロピレン雰囲気下で導入した。
重合工程(a)は、オートクレーブを65℃に昇温した後、水素濃度を3.5容量%に保ちながらプロピレンを9.0kg/時間の流量で導入することにより開始した。240分後、プロピレンの導入を停止し、さらに90分間継続重合させた後、気相部を0.2kg/cm2Gとなるまでパージした。
重合工程(b)は、オートクレーブを60℃に降温した後、プロピレンを1.5kg/時間の流量で、エチレンを1.5kg/時間の流量で180分間導入して共重合を行った。このようにして得られたスラリーを、濾過および乾燥して39.2kgのプロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)のパウダーを得た。得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体(A−1)のMFRは、1.2g/10分で、重合工程(a)で得られたプロピレン単独重合体ブロック部(I)のMFRは10g/10分であった。また、重合工程(b)で得られるエチレン−プロピレン共重合体ブロック部(II)は全重合体の20重量%であった。
【0027】
合成例2〜4
合成例1の重合工程(a)の水素濃度及び重合工程(b)のエチレンとプロピレンの比率を変更する以外は、合成例1と同様にしてプロピレン−エチレンブロック共重合体の(A−2)〜(A−4)を得た。その組成を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
合成例5
プロピレン−エチレンブロック共重合体(B−1)の製造
内容積200リットルの撹拌式オートクレーブをプロピレンで十分置換した後、充分に脱水およぴ脱酸素したn−ヘプタン63リットルを導入し、ジエチルアルミニウムクロライド27gおよび丸紅ソルベイ社製三塩化チタン触媒9.0gを60℃でプロピレン雰囲気下で導入した。
重合工程(a)は、オートクレーブを65℃に昇温した後、水素濃度を1.8容量%に保ちながらプロピレンを9.0kg/時間の流量で導入することにより開始した。240分後、プロピレンの導入を停止し、さらに90分間継続重合させた後、気相部を0.6kg/cm2Gとなるまでパージした。
重合工程(b)は、オートクレーブを60℃に降温した後、プロピレンを2.0kg/時間の流量で、エチレンを2.0kg/時間の流量で60分間導入して共重合を行った。このようにして得られたスラリーを、濾過および乾燥して35.9kgのプロピレン−エチレンブロック共重合体(B−1)のパウダーを得た。得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体(B−1)のMFRは、2.1g/10分で、重合工程(a)で得られたプロピレン単独重合体ブロック部(III)のMFRは2.8g/10分であった。また、重合工程(b)で得られるエチレン−プロピレン共重合体ブロック部(IV)は全重合体の10重量%であった。
【0030】
合成例6〜7
合成例5の重合工程(1)の水素濃度及び重合工程(2)のエチレンとプロピレンの比率を変更する以外は、合成例5と同様にしてプロピレン−エチレンブロック共重合体の(B−2)〜(B−3)を得た。その組成を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】
実施例1〜8
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)とプロピレン−エチレンブロック共重合体(B)を、表3に示す割合で混合した組成物に、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト0.1重量部、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピネート〕メタン0.1重量部、ステアリン酸カルシウム0.05重量部をそれぞれ配合し、30mm径の押出機により240℃で溶融混練し、ペレット化した。このペレットを用いてT型ダイスを有する35mm径の押出機にて250℃で溶融押出しし、50℃の冷却ロールで冷却してフィルム厚み60μmの無延伸フィルムを得た。得られたフィルムの片面に濡れ張力40ダインとなるようにコロナ放電処理を施した。得られたフィルムについて、HAZE、耐衝撃性、耐熱性を測定し、その結果を表3に示す。
【0033】
実施例9〜10
実施例1のプロピレン−エチレンブロック共重合体組成物に、ブテン−1含有量が15重量%、230℃、2.16kg荷重のMFRが6.7g/10分のエチレン−ブテン−1ランダム共重合体(EBM)、またはプロピレン含有量が25重量%、230℃、2.16kg荷重のMFRが5.4g/10分のエチレン−プロピレンランダム共重合体(EPR)を表3に示す割合で配合し、実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムについて、HAZE、耐衝撃性、耐熱性を測定し、その結果を表3に示す。
【0034】
【表3】
【0035】
比較例1〜2
プロピレン−エチレンブロック共重合体として、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)のみを用いて、実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムについて、HAZE、耐衝撃性、耐熱性を測定し、その結果を表4に示す。
【0036】
比較例3〜4
プロピレン−エチレンブロック共重合体として、プロピレン−エチレンブロック共重合体(B)のみを用いて、実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムについて、HAZE、耐衝撃性、耐熱性を測定し、その結果を表4に示す。
【0037】
【表4】
【0038】
表3及び表4から明らかなように、本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)およびプロピレン−エチレンブロック共重合体(B)からなる組成物からのフィルムは、HAZE、耐衝撃性、耐熱性に優れている(実施例1〜10)が、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)またはプロピレン−エチレンブロック共重合体(B)のみからのフィルムは、HAZE、耐衝撃性、耐熱性のいずれも劣る(比較例1〜4)。
【0039】
【発明の効果】
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体組成物は、耐熱性と低温での耐衝撃性に優れ、油を含む内容物を充填し、高温で熱処理されるレトルト包装等の用途に有効に用いることができる。
Claims (4)
- 以下に示すプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)20〜80重量部とプロピレン−エチレンブロック共重合体(B)80〜20重量部からなるポリプロピレン系樹脂組成物。
(A)プロピレン−エチレンブロック共重合体:プロピレン単独重合体またはエチレン含量2重量%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体よりなるプロピレンブロック部(I)60〜95重量%とエチレン含量20〜95重量%のエチレン−プロピレン共重合体ブロック部(II)40〜5重量%からなるプロピレン−エチレンブロック共重合体であって、プロピレン−エチレンブロック共重合体のMFR(MFR(A))とプロピレンブロック部(I)のMFR(MFR(I))の関係が下記式を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体。
0.01≦MFR(A)/MFR(I)≦0.35 (1)
(B)プロピレン−エチレンブロック共重合体:プロピレン単独重合体またはエチレン含量2重量%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体よりなるプロピレンブロック部(III)60〜95重量%とエチレン含量20〜95重量%のエチレン−プロピレン共重合体ブロック部(IV)40〜5重量%からなるプロピレン−エチレンブロック共重合体であって、プロピレン−エチレンブロック共重合体のMFR(MFR(B))とプロピレンブロック部(III)のMFR(MFR(III))の関係が下記式を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体。
0.4<MFR(B)/MFR(III)≦0.95 (2) - プロピレン含量が15〜50重量%のエチレン−プロピレンランダム共重合体及び/またはブテン−1含量が10〜50重量%のエチレン−ブテン−1ランダム共重合体を請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対してさらに3〜30重量部含んでなるポリプロピレン系樹脂組成物。
- プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の23℃キシレン可溶分の重量平均分子量が35万以上、かつプロピレン−エチレンブロック共重合体(B)の23℃キシレン可溶分の重量平均分子量が35万未満である請求項1または2記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルム。
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