JPH0693061A - ポリプロピレンブロック共重合体及びそのフィルム - Google Patents

ポリプロピレンブロック共重合体及びそのフィルム

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JPH0693061A
JPH0693061A JP4246159A JP24615992A JPH0693061A JP H0693061 A JPH0693061 A JP H0693061A JP 4246159 A JP4246159 A JP 4246159A JP 24615992 A JP24615992 A JP 24615992A JP H0693061 A JPH0693061 A JP H0693061A
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block copolymer
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propylene
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JP4246159A
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English (en)
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Hajime Sadatoshi
甫 貞利
Seiichiro Kon
誠一郎 今
Wake Wakamatsu
和気 若松
Jiro Mori
二郎 森
Eisuke Shiratani
英助 白谷
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】フィッシュアイ等の発生がなく、外観が良好で
あり、かつ低温での耐衝撃性及び耐ブロッキング性に優
れたフィルム用ポリプロピレンブロック共重合体を得
る。 【構成】チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、第1工程
で実質的に不活性溶剤の不存在下にプロピレンを主体と
した重合体部分(A成分)を全重合量の60〜80重量
%重合し、ついで第2工程で気相中でエチレン含有量が
20〜50重量%のエチレン−プロピレン共重合部分
(B成分)を全重合量の20〜40重量%重合して得ら
れるブロック共重合体であって、かつB成分の極限粘度
(〔η〕B )が2.0 dl/g 以上、B成分の極限粘度
(〔η〕B )とA成分の極限粘度(〔η〕A )の比
(〔η〕B /〔η〕A )が1.8以下のブロック共重合
体を溶融混練してなるポリプロピレンブロック共重合体
およびそのフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリプロピレンブロック
共重合体及びそのフィルムに関する。さらに詳しくは、
フィッシュアイ等の発生がなく、外観が良好であり、か
つ低温での耐衝撃性及び耐ブロッキング性に優れたポリ
プロピレンブロック共重合体及びそのフィルムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンのフィルムは、外観、機
械的性質、包装適性等が優れていることから食品包装、
繊維包装などの包装分野で広く使用されている。
【0003】ポリプロピレン未延伸フィルムにおいても
プロピレン単独重合体、プロピレンとα−オレフィンの
ランダム共重合体、およびプロピレンブロック共重合体
がそれぞれの特徴を生かして各種の包装用途に使用され
ているが、従来公知のフィルムでは、外観、低温での耐
衝撃性、耐熱性、耐ブロッキング性などの点でいずれも
不十分であり、それぞれ使用に制限がある。すなわち、
プロピレン単独重合体では、外観、耐熱性、耐ブロッキ
ング性が優れるものの低温での耐衝撃性が劣り、またプ
ロピレンとα−オレフィンのランダム共重合体では、外
観、低温での耐衝撃性、耐熱性が劣り、プロピレンブロ
ック共重合体では、低温での耐衝撃性においてある程度
優れるものの、フィッシュアイが発生して外観が不良で
あるか耐ブロッキング性が劣るものであり、それぞれ使
用に制限がある。
【0004】さらに、前述の特性を改良するために、低
結晶性のEPRなどを配合する試みもなされているが、
低温での耐衝撃性、耐熱性の点で不十分なものである。
このため、外観、低温での耐衝撃性、耐熱性、耐ブロッ
キング性などが良好なポリプロピレンフィルムの開発が
要望されてきた。このようなことから、主にポリプロピ
レンブロック共重合体を用いて上記の特性を改良する試
みがいくつかなされている。
【0005】特公昭58−10414号公報には、第2
段の重合部と第1段の重合部との極限粘度の比を1〜
1.2の間にすることを特徴とするポリプロピレンブロ
ック共重合体の連続製造法が開示され、具体的には溶剤
重合法で重合された重合体が記載されている。この方法
では、フィッシュアイの発生がなく、外観が良好で、耐
熱性、耐ブロッキング性の良好なフィルムが得られる
が、低温での耐衝撃性の点で不満足なものであった。
【0006】特開昭56−84712号公報には、空冷
インフレーション成形法に好適なメルトフローインデッ
クス0.01〜0.3g/10分、A部がエチレン含有
量20重量%未満、B部がエチレン含有量20重量%以
上などの特徴を有するポリプロピレンブロック共重合体
が開示され、具体的には溶剤法で重合された重合体が開
示されているが、加工性、低温での耐衝撃性の点で不満
足なものであった。
【0007】また、特開平1−225648号公報に
は、溶剤重合法で重合された、B成分の極限粘度が1.
92 dl/g 以下であるプロピレン共重合体の組成物が
記載されている。しかしながら、この組成物は、低温で
の耐衝撃性および耐ブロッキング性が劣るか、あるいは
フィッシュアイの発生による外観の悪化、または加工性
が劣るものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、前述の
従来公知のプロピレン系共重合体の欠点を解消し、耐熱
性などポリプロピレンブロック共重合体が本来有する好
ましい特性を損なうことなく、低温での耐衝撃性が良好
であり、外観、耐ブロッキング性が良好なポリプロピレ
ンブロック共重合体及びフィルムを開発するべく検討を
行った。
【0009】
【課題を解決するための手段】従来公知の溶剤重合法や
塊状重合法では、低温での耐衝撃性に有効な成分である
エチレン−プロピレン共重合体部分が溶剤または液体の
モノマーに溶解するため、低温での耐衝撃性の点で不十
分なものであり、前記課題の達成が困難であった。
【0010】本発明者らは種々の検討の結果、実質的に
溶剤の不存在下に重合して得られた特定のブロック共重
合体を溶融混練すること、および該ブロック共重合体を
溶融押出し製膜してフィルムとすることによって上記課
題が解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0011】すなわち、本発明は、チーグラー・ナッタ
型触媒を用いて、第1工程で実質的に不活性溶剤の不存
在下にプロピレンを主体とした重合体部分(A成分)を
全重合量の60〜80重量%重合し、ついで第2工程で
気相中でエチレン含有量が20〜50重量%のエチレン
−プロピレン共重合部分(B成分)を全重合量の20〜
40重量%重合して得られるブロック共重合体であっ
て、かつB成分の極限粘度(〔η〕B )が2.0 dl/
g 以上、B成分の極限粘度(〔η〕B )とA成分の極限
粘度(〔η〕A)の比(〔η〕B /〔η〕A )が1.8
以下のブロック共重合体を溶融混練してなるポリプロピ
レンブロック共重合体、および該ポリプロピレンブロッ
ク共重合体を、溶融押出し製膜してなるフィルムであ
る。
【0012】以下、本発明を具体的に詳述する。本発明
のポリプロピレンブロック共重合体は、チーグラー・ナ
ッタ型触媒を用いて、第1工程で実質的に不活性溶剤の
不存在下にプロピレンを主体とした重合体部分(A成
分)を重合し、ついで第2工程で気相中でエチレン−プ
ロピレン共重合部分(B成分)を重合して得られるブロ
ック共重合体を溶融混練してなるものである。
【0013】プロピレンを主体とした重合体(A成分)
とエチレン−プロピレン共重合体(B成分)の割合は、
A成分が60〜80重量%、B成分が20〜40重量%
の範囲であることが必要である。
【0014】B成分が20重量%未満であると低温での
耐衝撃性が悪化し、40重量%を越えると重合時にトラ
ブルが発生し生産性が大幅に悪化するかまたは得られた
ポリプロピレンブロック共重合体の耐熱性が悪化するな
どの問題が発生する。
【0015】A成分とB成分の割合は、低温での耐衝撃
性の点から、A成分が60〜75重量%、B成分が25
〜40重量%の範囲が好ましい。
【0016】プロピレンを主体とした重合体(A成分)
は、耐熱性、剛性などの点から、融点が160℃以上の
プロピレン単独重合体が好ましいが、融点が157℃以
上の範囲のものであれば、プロピレンと少量のエチレ
ン、ブテン−1などのα−オレフィンとの共重合体であ
ってもよい。
【0017】エチレン−プロピレン共重合体(B成分)
は、エチレン含有量が20〜50重量%であり、極限粘
度(〔η〕B )が2.0 dl/g 以上の範囲のものであ
ることが必要である。エチレン含有量が20重量%未満
であると低温での耐衝撃性が低下し、エチレン含有量が
50重量%を越えるとフィルムの外観および低温での耐
衝撃性が劣り、一方〔η〕B が2.0 dl/g 未満であ
ると耐ブロッキング性および低温での耐衝撃性が劣り、
いずれの場合も本発明の目的を達成できない。
【0018】B成分のエチレン含有量は、外観と耐衝撃
性の点から、25〜45重量%の範囲が好ましい。
〔η〕B は2.5 dl/g 以上が好ましく、2.5〜
4.5 dl/g の範囲がさらに好ましい。
【0019】さらに、B成分とA成分との極限粘度の比
(〔η〕B /〔η〕A )が1.8以下であることが必要
である。〔η〕B /〔η〕A が1.8を越えるものは、
フィルムにフィッシュアイが発生して外観が損なわれる
ため使用できない。
【0020】〔η〕B /〔η〕A は、低温での耐衝撃性
と外観の点から、0.8〜1.7の範囲が好ましい。
【0021】本発明のポリプロピレンブロック共重合体
は、前記のブロック共重合体を溶融混練してなるもので
ある。
【0022】溶融混練した後のメルトフローレイトは、
高速製膜安定性、外観などの点から、0.5〜10 g/
10分の範囲であることが好ましく、1.0〜5.0 g
/10分の範囲がさらに好ましい。
【0023】本発明の規定したブロック共重合体から、
メルトフローレイト0.5〜10 g/10分のポリプロ
ピレンブロック共重合体を得る方法としては、有機過酸
化物の存在下、不存在下に公知の方法で溶融混練を行う
方法であれば特に限定されない。
【0024】本発明のポリプロピレンブロック共重合体
は、低温での耐衝撃性、耐熱性および耐溶剤性などの点
から、20℃キシレン可溶部の含有量が10重量%以上
で30重量%未満の範囲のものが好ましい。
【0025】本発明のポリプロピレンブロック共重合体
は、チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、同一の重合槽
中においてA成分を重合した後、引き続いてB成分を重
合する回分式重合法、または少なくとも2槽からなる重
合槽を使用してA成分とB成分を連続的に重合する連続
式重合法などで製造が可能である。
【0026】具体的には、例えば、(a) Si−O結合を
有する有機ケイ素化合物の共存下、一般式Ti(O
1 ) n4-n (R1 は炭素数が1〜20の炭化水素
基、Xはハロゲン原子、nは0<n≦4の数字を表わ
す。)で表されるチタン化合物を、有機マグネシウム化
合物で還元して得られる固体生成物を、エステル化合物
及び、エーテル化合物と四塩化チタンとの混合物で処理
して得られる三価のチタン化合物含有固体触媒成分、
(b) 有機アルミニウム化合物(c) Si−OR2 結合(R
2 は炭素数が1〜20の炭化水素基である。)を有する
ケイ素化合物よりなる触媒系、あるいは(a) 一般式Ti
(OR1 ) n 4-n (R1 は炭素数が1〜20の炭化水
素基、Xはハロゲン原子、nは0<n≦4の数字を表わ
す。)で表されるチタン化合物を、一般式AlR2 m
3-m (R2 は炭素数が1〜20の炭化水素基,Yはハロ
ゲン原子、mは1≦m≦3の数字を表わす。)で表され
る有機アルミニウム化合物で還元して得られる炭化水素
溶媒に不溶のハイドロカルビルオキシ基を含有する固体
生成物を、エチレンで予備重合処理したのち、炭化水素
溶媒中エーテル化合物及び四塩化チタンの存在下に80
℃〜100℃の温度でスラリー状態で処理して得られる
ハイドロカルビルオキシ基含有固体触媒成分、(b) 有機
アルミニウム化合物よりなる触媒系などのチーグラー・
ナッタ型触媒を用いて、(b) 成分中のAl原子/(a) 成
分中のTi原子のモル比を1〜2000、好ましくは5
〜1500、(c) 成分/(b)成分中のAl原子のモル比
を0.02〜500、好ましくは0.05〜50となる
ように使用し、重合温度20〜150℃、好ましくは5
0〜95℃、重合圧力は大気圧〜40kg/cm2 G、
好ましくは2〜40kg/cm2 Gの条件下に、第1工
程で実質的に不活性溶剤の不存在下にプロピレンと分子
量調節のため水素を供給してプロピレンを主体とした重
合体部分(A成分)を重合した後、引き続いて第2工程
で気相中でプロピレンとエチレンと水素を供給してエチ
レン−プロピレン共重合体部分(B成分)を重合するこ
とによって製造できる。
【0027】本発明のポリプロピレンブロック共重合体
フィルムは、Tダイ法、チューブラー法などの公知のフ
ィルムの製膜法で製造することが可能であるが、特にT
ダイ法による未延伸フィルムの製造法により好適に製造
される。
【0028】本発明のフィルムの厚みは、特に限定され
ないが、10〜500μが好ましくさらに好ましくは1
0〜100μである。
【0029】本発明のポリプロピレンブロック共重合体
フィルムは、外観、低温での耐衝撃性、耐ブロッキング
性、耐熱性が良好なものであるので、低温下での重量物
包装用途で特に好適に使用される。
【0030】また、その他のフィルム、例えばポリプロ
ピレン二軸延伸フィルム、未延伸ナイロンフィルム、延
伸ポリテレフタール酸エチルフィルムやアルミニウム箔
等とドライラミネート法、又は押出ラミネート法等の方
法で製造される複合フィルムの少なくとも一層としても
好適に使用が可能である。
【0031】本発明のポリプロピレンブロック共重合体
フィルムは、通常工業的に採用されている方法によって
コロナ放電処理、あるいは火炎処理、プラズマ処理、オ
ゾン処理等の表面処理を施すこともできる。
【0032】本発明のポリプロピレンブロック共重合体
フィルムとフィルムには、酸化防止剤、紫外線吸収剤、
帯電防止剤、防曇剤、滑剤、抗ブロッキング剤、造核剤
等を必要に応じて含むことができる。
【0033】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、本発明の範囲は実施例のみに限定されるもので
はない。なお、発明の詳細な説明および実施例中の各項
目の測定値は、下記の方法で測定した。
【0034】(1)A成分、B成分の含有量 A成分およびB成分の重合時の物質収支から、A成分の
含有量(PA )、およびB成分の含有量(PB )を求め
た。
【0035】(2)極限粘度(〔η〕) ウベローデ型粘度計を用いて135℃テトラリン中で測
定を行った。A成分、B成分の極限粘度(〔η〕A 、
〔η〕B )第1工程のA成分の重合終了後に測定した極
限粘度〔η〕A と、第2工程の重合終了後に測定した極
限粘度〔η〕AB、およびA成分の含有量(PA )、B成
分の含有量(PB )から、次式によりB成分の極限粘度
〔η〕B を決定した。 〔η〕A ×PA /100+〔η〕B ×PB /100=
〔η〕AB
【0036】(3)エチレン含有量 高分子分析ハンドブック(1985年、朝倉書店発行)
の256〜257ページ「(ii)ブロック共重合体」の
項記載の方法によってIRスペクトル法で決定した。
【0037】(4)メルトフローレイト(MFR) JIS K7210に従い、条件−14の方法で測定し
た。
【0038】(5)20℃キシレン可溶部(CXS) ポリプロピレン5gを沸騰キシレン500mlに完全に
溶解させた後、20℃に降温し、4時間以上放置する。
その後、これを析出物と溶液とに濾別し、濾液を乾固し
て減圧下70℃で乾燥した。その重量を測定して含有量
(重量%)を求めた。
【0039】(6)融点(Tm) 示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC)を用い
て、あらかじめ試片10mgを窒素雰囲気下で220℃
で5分間溶融した後、5℃/分の降温速度で40℃まで
降温する。その後、5℃/分で昇温させて、得られた融
解吸熱カーブの最大ピークのピーク温度を融点(Tm)
とした。なお、本測定器を用いて5℃/分の昇温速度で
測定したインジウム(In)の融点は、156.6℃で
あった。
【0040】フィルム特性:厚み30μのフィルムにつ
いて、下記の方法で測定した。 (7)外観 目視により、直径が200μ以上のフィッシュアイ(F
E)を観測して、FE個数が約10個/1000cm2
以下のものを良好、約15個/1000cm2以上のも
のを不良とした。
【0041】(8)耐衝撃性 −10℃において、東洋精機製フィルムインパクトテス
ターを使用して、直径15mmの半球状衝撃頭を用い
て、フィルムの衝撃強度を測定した。
【0042】(9)耐ブロッキング性 225mm×50mmのフィルムを用いて、フィルム同
志を重ね合わせ、100mm×50mmの範囲を40g
/cm2 の荷重下で60℃、3時間状態調整を行った。
その後、23℃、湿度50%の雰囲気下に30分以上放
置し、島津製作所製ブロッキングテスターを用いて20
g/分の剥離荷重速度で、試料の剥離に要する強度を測
定した。
【0043】参考例 (a)有機マグネシウム化合物の合成 攪拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計を備えた1L
のフラスコをアルゴンで置換した後、グリニヤール用削
状マグネシウム32.0gを投入した。滴下ロートにブ
チルクロリド120gとジブチルエーテル500mlを
仕込み、フラスコ中のマグネシウムに約30ml滴下
し、反応を開始させた。反応開始後、50℃で4時間か
けて滴下を続け、滴下終了後、60℃で更に1時間反応
を続けた。その後、反応溶液を室温に冷却し、固形分を
濾別した。ジブチルエーテル中のブチルマグネシウムク
ロリドを1規定硫酸で加水分解し、指示薬としてフェノ
ールフタレインを使用して1規定水酸化ナトリウム水溶
液で逆滴定して濃度を決定したところ、濃度は2.1m
ol/Lであった。
【0044】(b)固体生成物の合成 攪拌機、滴下ロートを備えた500mlのフラスコをア
ルゴンで置換したのち、ヘキサン240ml、テトラブ
トキシチタン5.4g(15.8mmol)およびテト
ラエトキシシラン61.4g(295mmol)を投入
し、均一溶液とした。次に、(a)で合成した有機マグ
ネシウム化合物150mlを、フラスコ内の温度を5℃
に保ちながら、滴下ロートから4時間かけて除々に滴下
した。滴下終了後、室温で更に1時間攪拌したのち室温
で固液分離し、ヘキサン240mlで3回洗浄を繰り返
したのち減圧乾燥して、茶褐色の固体生成物45.0g
を得た。
【0045】固体生成物中にはチタン原子が1.7重量
%、エトキシ基が33.8重量%、ブトキシ基が2.9
重量%含有されていた。又、この固体生成物のCu−K
a線による広角X線回析図には、明瞭な回析ピークは全
く認められず、非晶構造であった。
【0046】(c)エステル処理固体の合成 100mlのフラスコをアルゴンで置換した後、(b)
で合成した固体生成物6.5g、トルエン16.2ml
およびフタル酸ジイソブチル4.3ml(16mmo
l)を加え、95℃で1時間反応を行った。反応後、固
液分離し、トルエン33mlで3回洗浄を行った。
【0047】(d)固体触媒の合成(活性化処理) 上記(c)での洗浄終了後、フラスコにトルエン16.
2ml、フタル酸ジイソブチル0.36ml(1.3m
mol)、ブチルエーテル2.2ml(13mmol)
および四塩化チタン38.0ml(346mmol)を
加え、95℃で3時間反応を行った。反応終了後、95
℃で固液分離した後、同温度でトルエン33mlで2回
洗浄を行った。上述したフタル酸ジイソブチルとブチル
エーテル及び四塩化チタンとの混合物による処理を同一
条件で更にもう一度繰り返し、ヘキサン33mlで3回
洗浄して、黄土色の固体触媒5.0gを得た。固体触媒
中には、チタン原子が2.1重量%、マグネシウム原子
が19.9重量%、フタル酸エステルが12.7重量%
含まれていた。
【0048】実施例1 (a)触媒成分 十分に精製したヘキサン150Lを250Lの攪拌機付
反応器に添加し、系内を十分チッソ置換したのち、トリ
エチルアルミニウム(以下TEAと略す)3.2mo
l、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン(以下CH
EDMSと略す)0.32molおよび前記参考例で得
た固体触媒をTi原子に換算して51.8g添加する。
25℃を維持しながらプロピレン2.8kgを2時間に
わたって連続的に添加した。
【0049】(b)重合 各槽が内容積20〜45m3 の直列の気相重合槽3槽か
らなる装置を用いた。3槽をそれぞれX、Y、Zとす
る。X、Y槽でプロピレンの単独重合を行う。圧力は、
X槽20kg/cm2 G、Y槽17kg/cm2 G、温
度はX、Y槽共に80℃で重合を行った。反応時間は
X、Y槽の合計した平均の滞留時間7時間となるように
(a)で調製した触媒成分を連続的にX槽に供給した。
同時にX槽にTEA 2mol/hr、CHEDMS
0.3mol/hr供給し、さらにX、Y槽でのH2
度が0.01%になるようにH2 を連続的に供給した。
【0050】Y槽を出たポリマーをZ槽に移送し、圧力
14kg/cm2 G、温度70℃、滞留時間3時間でプ
ロピレンとエチレンを重合した。エチレン濃度は25
%、H 2 濃度が0.5%になるようにエチレン、プロピ
レン、H2 を供給した。
【0051】得られたブロック共重合体は、A成分の含
有量73重量%、極限粘度(〔η〕A )3.0 dl/
g、B成分が含有量27重量%、エチレン含有量34重
量%、極限粘度(〔η〕B )3.4 dl/g、〔η〕
B /〔η〕A =1.1であった。
【0052】このブロック共重合体粉末100重量部
に、ステアリン酸カルシウム0.1重量部、スミライザ
ーBHT(住友化学工業(株)製)0.2重量部、イル
ガノックス1010(チバガイギー社製)0.1重量
部、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリーブチ
ルパーオキシ)ヘキサン 0.02重量部を加えヘンシ
ェルミキサーで混合した後、溶融押出しを行いペレット
化した。ペレットは、メルトフローレイト 2.5g/
10分、20℃キシレン可溶部17.0重量%、融点1
63℃であった。
【0053】次いで、得られたペレットを50mmφT
−ダイ製膜機で、ダイ温度280℃で溶融押出しを行
い、30℃の冷却水を通水した冷却ロールで冷却して、
厚さ30μの未延伸フィルムを得た。得られたフィルム
の外観、衝撃強度、耐ブロッキング性を表1に示した。
【0054】実施例2 重合工程において、第1工程でH2 濃度、第2工程でエ
チレン、H2 濃度および重合量を変更した以外は、実施
例1と同様に実施し、また混合、ペレット化工程以降に
おいては、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリ
ーブチルパーオキシ)ヘキサンの配合量を変更した以外
は、実施例1と同様に実施した。得られたペレットは、
20キシレン可溶部20.3重量%、融点164℃であ
った。このペレットを用いて、実施例1と同様に製膜、
評価を実施した。評価結果を表1に示した。
【0055】実施例3 特公平3−46001号公報に記載のTiCl3 型の固
体触媒とジエチルアルミニウムクロライドと電子供与体
としてメチルメタクリレートを組み合わせた触媒系を用
いて、第1工程で重合温度、H2 濃度、第2工程で重合
温度、エチレン、H2 濃度および重合量を変更して、実
施例1と同様に実施し、A成分の含有量69重量%、極
限粘度(〔η〕A )2.4 dl/g、B成分が含有量
31重量%、エチレン含有量40重量%、極限粘度
(〔η〕B )3.7 dl/g、〔η〕B /〔η〕A =
1.1のブロック共重合体粉末を得た。
【0056】このブロック共重合体を用いて、ステアリ
ン酸カルシウム0.1重量部、スミライザーBHT
0.2重量部、イルガノックス1010 0.1重量部
を加え実施例1と同様にペレット化した。ペレットは、
メルトフローレイト 1.4g/10分、20℃キシレ
ン可溶部24.0重量%、融点163℃であった。この
ペレットについて、実施例1と同様に製膜、評価を実施
した。評価結果を表1に示した。
【0057】比較例1 内容積23m3 の攪拌機付重合槽を使用して、特公平3
−46001号公報に記載の固体触媒、ジエチルアルミ
ニウムクロライド、電子供与体及び水素の共存下にヘプ
タンを溶媒として重合温度60℃、重合圧力9kg/c
2 G、気相水素濃度1.5%でプロピレンを6時間重
合し、引き続いて、同一の重合槽において、重合温度5
0℃、重合圧力5kg/cm2 Gで、3時間プロピレン
とエチレンを重合した。エチレン濃度32%、H2 濃度
4.5%になるように、エチレン、プロピレン、H2
供給した。
【0058】得られたプロピレンブロック共重合体は、
A成分の含有量74重量%、極限粘度(〔η〕A )3.
1 dl/g、B成分が含有量26重量%、エチレン含
有量32重量%、極限粘度(〔η〕B )3.1 dl/
g、〔η〕B /〔η〕A =1.0であった。
【0059】このブロック共重合体を用いて、実施例1
と同様にペレット化した。ペレットは、メルトフローレ
イト1.9g/10分、20℃キシレン可溶部11.7
重量%であった。このペレットについて、実施例1と同
様に製膜、評価を実施した。評価結果を表1に示した。
【0060】比較例2〜4 重合工程において、第1工程でH2 濃度、第2工程でエ
チレン、H2 濃度および重合量を変更した以外は、実施
例1と同様に実施し、また混合、ペレット化工程以降に
おいては、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリ
ーブチルパーオキシ)ヘキサンの配合量を変更した以外
は実施例1と同様に実施した。評価結果を表1に示し
た。
【0061】比較例5 住友化学工業(株)製住友ノーブレンFS2011D
(〔η〕=2.28dl/g)75重量部と、特公平3
−46001号公報に記載のTiCl3 型の固体触媒と
ジエチルアルミニウムクロライドとを組み合わせた触媒
系を用いて、エチレン濃度22%、H2 濃度13%、重
合温度60℃、重合圧力3kg/cm2 の条件下に、プ
ロピレンとエチレンの混合ガスを重合して得たエチレン
含有量31重量%、極限粘度1.5 dl/gのエチレ
ン−プロピレン共重合体を混合し、ステアリン酸カルシ
ウム、スミライザーBHT、イルガノックス1010を
各0.05重量部配合してペレット化した。ペレット
は、メルトフローレイト2.4g/10分、20℃キシ
レン可溶部18.9重量%であった。このペレットにつ
いて、実施例1と同様に製膜、評価を実施した。評価結
果を表1に示した。
【0062】比較例6 重合工程において、第1工程でH2 濃度、第2工程でエ
チレン、H2 濃度および重合量を変更した以外は、実施
例1と同様に実施し、混合、ペレット化工程以降におい
ては、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリーブ
チルパーオキシ)ヘキサンの配合量を0.1重量部に変
更した以外は、実施例1と同様に実施した。評価結果を
表1に示した。
【0063】
【表1】
【0064】
【発明の効果】本発明により、耐熱性などのポリプロピ
レンブロック共重合体が本来有する好ましい特性を損な
うことなく、低温での耐衝撃性が良好であり、外観、耐
ブロッキング性が良好なポリプロピレンブロック共重合
体のフィルムを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 二郎 千葉県市原市姉崎海岸5の1 住友化学工 業株式会社内 (72)発明者 白谷 英助 千葉県市原市姉崎海岸5の1 住友化学工 業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、第1
    工程で実質的に不活性溶剤の不存在下にプロピレンを主
    体とした重合体部分(A成分)を全重合量の60〜80
    重量%重合し、ついで第2工程で気相中でエチレン含有
    量が20〜50重量%のエチレン−プロピレン共重合部
    分(B成分)を全重合量の20〜40重量%重合して得
    られるブロック共重合体であって、かつB成分の極限粘
    度(〔η〕B )が2.0 dl/g 以上、B成分の極限粘
    度(〔η〕B )とA成分の極限粘度(〔η〕A)の比
    (〔η〕B /〔η〕A )が1.8以下のブロック共重合
    体を溶融混練してなるポリプロピレンブロック共重合
    体。
  2. 【請求項2】請求項1記載のポリプロピレンブロック共
    重合体を、溶融押出し製膜してなるフィルム。
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