JP2011236357A - ポリプロピレン未延伸フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記要件1、下記要件2および下記要件3の全てを満足するポリプロピレン未延伸フィルム。
要件1:密度勾配管で測定した密度が0.890g/cm3以上である
要件2:α晶形態の結晶を含有する
要件3:広角X線回折法で測定した配向度が60%以上である
【選択図】なし
Description
例えば、特許文献1の実施例には、ダイスウェル比1.16のプロピレン重合体樹脂100重量部にダイスウェル比2.35のプロピレン重合体樹脂を11重量部ブレンドした樹脂組成物を用いるとフィルム外観の良好なポリプロピレン未延伸フィルムが得られることが記載されている。
本発明の目的は、透明性と剛性のバランスに優れるポリプロピレン未延伸フィルムを得ることである。
すなわち、本発明は、下記要件1、下記要件2および下記要件3の全てを満足するポリプロピレン未延伸フィルムにかかるものである。
要件1:密度勾配管で測定した密度が0.890g/cm3以上である
要件2:α晶形態の結晶を含有する
要件3:広角X線回折法で測定した配向度が60%以上である
本発明のポリプロピレン未延伸フィルムは、密度勾配管で測定した密度が、0.890g/cm3以上であり、好ましくは、0.895g/cm3以上0.930g/cm3以下であり、より好ましくは、0.900g/cm3以上0.915g/cm3以下である。密度が0.890g/cm3未満の場合には、十分なフィルムの剛性が得られないことがある。
なお、密度は実施例に記載する密度勾配管法により測定できる。
なお、α晶の存在有無は実施例に記載する広角X線回折法により測定できる。
なお、配向度は実施例に記載する広角X線回折法により測定できる。
成分(A):極限粘度[η]が3.0dl/g以上であるポリプロピレン重合体
成分(C):極限粘度[η]が3.0dl/g以上であるポリプロピレン重合体(成分(A))2重量%以上100重量%未満と、極限粘度[η]が3.0dl/g未満であるポリプロピレン重合体(以下、「成分(B)」と記載することがある。)0重量%を越え98重量%以下とからなるポリプロピレン樹脂組成物(ただし、成分(C)の全重量を100重量%とする。)
成分(C’):極限粘度[η]が3.0dl/g以上であるポリプロピレン重合体(成分(A))3重量%以上30重量%未満と、極限粘度[η]が3.0dl/g未満であるポリプロピレン重合体(成分(B))70重量%以上97重量%以下とからなるポリプロピレン樹脂組成物(ただし、成分(C’)の全重量を100重量%とする。)
公知の重合触媒としては、例えば、マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須とする固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物と、必要に応じて用いられる電子供与性化合物等の第3成分とからなる触媒系、シクロペンタジエニル環を有する周期表第IV族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンからなる触媒系、またはシクロペンタジエニル環を有する周期表第IV族の遷移金属化合物とそれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物からなる触媒系等が挙げられる。好ましくは、マグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須とする固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物と、電子供与性化合物からなる触媒系であり、例えば、特開昭61−218606号公報、特開昭61−287904号公報、特開平1−319508号公報、特開平7−216017号公報等に記載されている触媒系である。
JIS K7210に従い測定した。
高分子分析ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の616ページ以降に記載されている方法により、赤外分光法で測定を行い求めた。
示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC)を用いて、試片約10mgを窒素雰囲気下220℃で5分間保持した後、300℃/分で150℃まで冷却した。150℃で1分間保持した後、50℃/分の降温速度で50℃まで降温した。
その後に50℃で1分保持した後、5℃/分で昇温させて、得られた融解吸熱カーブの最大ピークのピーク温度の小数位以下を四捨五入してTm(融点)とした。ピークが複数あるものは、高温側のピークを採用した。
なお、本測定器を用いて5℃/分の降温速度ならびに昇温速度で測定したインジウム(In)のTmは156.6℃であった。
JIS−K7136に従って測定した。
長さ120mm、幅20mmの試験片の長手方向をフィルムの縦方向(MD)に一致させて試験片を採取し、また、長さ120mm、幅20mmの試験片の長手方向をフィルムの横方向(TD)に一致させて試験片を採取し、採取されたそれぞれの試験片について、引張試験機によってチャック間隔60mm、引張速度5mm/分の条件で、S−S曲線をとり、初期弾性率(ヤング率)を測定した。
JIS−K7112(1999)に準拠して、(株)柴山科学器械製作所社製直読式比重測定装置を用いて密度勾配管を作成し測定した。
広角X線回折で測定したX線回折プロファイルにより確認する。α晶に由来する回折プロファイルは、回折角(2θ)が10〜30度の範囲での広角X線回折測定において観測される、14.2度付近、16.7度付近、18.5度付近および21.4度付近の4つのシャープなピークからなるものであり、これらのピークの存在有無によりα晶の存在有無を確認できる。
高分子X線回折(1968年、丸善株式会社、角戸 正夫、笠井 暢民著)の188ページに記載の方法で、(040)面の0〜360度の方向に対して回折強度をプロットし、その各ピークの半値幅を測定して下記式により求めた。
配向度=(360−ΣWi)/360×100 (ΣWiは半値幅の合計)
[プロピレン重合体(1)の製造]
(固体触媒の合成および予備活性化)
特開2004−067850号公報の実施例に準拠して製造されたマグネシウム、チタンおよびハロゲンを含む固体触媒成分15gに対して、十分に脱水脱気処理したn−ヘキサン1.5L、トリエチルアルミニウムを37.5ミリモル、シクロヘキシルエチルジメトキシシランを3.75ミリモルの割合で添加し、槽内温度を5〜15℃に保ちながらプロピレン15gの割合で連続的に供給して予備活性化を行った。
(プロピレン重合体の製造)
2つの重合槽を直列に接続して以下の手順で重合を行った。
第一槽目としてSUS製の内容積20Lの重合槽において、重合温度60℃、重合圧力2.4MPaを保持するように液状プロピレンを35kg/h、水素を2.3L/hで供給しながら、トリエチルアルミニウム52.4ミリモル/h、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン7.7ミリモル/hおよび予備活性化された固体触媒成分1.9g/hを連続的に供給し連続重合を行った。この重合槽での重合体生成量は2.0Kg/hであった。その一部をプロピレン系重合体(成分A)としてサンプリングして分析した結果、極限粘度は3.6dl/gであった。重合体は失活することなく全て第二槽目に連続的に移送した。
第二槽目として、内容積の1m3の攪拌機付き流動床反応器を用い、重合温度80℃、重合圧力1.8MPa、気相部の水素濃度2.2vol%を保持するようにプロピレン、および水素を供給しながら、第一槽目より移送された触媒含有重合体でのプロピレン重合を連続的に継続した。第二槽目出口では22.2kg/hの重合体が得られた。この重合体の極限粘度は1.9dl/gであった。
以上の結果から(成分A)と(成分B)の重合重量比は、9.0:91.0で、(成分B)の極限粘度は1.7dl/gと求められた。
得られたプロピレン重合体(1)の粉末100重量部に対してハイドロタルサイト 0.01重量部、イルガノックス1010(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 0.15重量部、イルガフォス168(チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.10重量部を混合し、230℃で溶融混練してペレットを得た。ペレットのMFRは4.6g/10分、融点は165℃であった。
50mmφの押出機にTダイを取り付け、プロピレン重合体(1)を温度250℃で溶融混練し、押出を行った。溶融押出された樹脂を30℃に温調され、96m/分で回転する冷却ロールにて冷却固化させ、厚さ15μmのフィルムを得た。得られたフィルムの密度は0.898g/cm3であり、広角X線回折ではα晶の吸収を示し、配向度は65%であった。フィルムの物性を表1に示す。透明性、剛性に優れるフィルムであった。
条件を下記のように一部変更した以外はプロピレン重合体(1)と同様の方法でプロピレン重合体(2)を得た。
第一槽目の重合圧力2.5MPaを保持するように液状プロピレンを30kg/h、水素を0.5L/hで供給しながら、トリエチルアルミニウム51.9ミリモル/h、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン7.8ミリモル/hおよび予備活性化された固体触媒成分1.42g/hを連続的に供給し連続重合を行った。また、第二槽目の気相部の水素濃度2.8vol%を保持するようにプロピレン、および水素を供給しながら重合を行った。このプロピレン重合体(2)の極限粘度は1.9dl/gであり、(成分A)と(成分B)の重合重量比は、10.0:90.0で、(成分A)の極限粘度は5.0dl/g、(成分B)の極限粘度は1.5dl/g、融点は165℃であった。
プロピレン重合体(2)を実施例1と同様の方法で溶融混練した。得られたペレットのMFRは5.3g/10分であった。また、実施例1と同様の方法で厚さ15μmのフィルムを得た。得られたフィルムの密度は0.899g/cm3であり、広角X線回折ではα晶の吸収を示し、配向度は70%であった。フィルムの物性を表1に示す。透明性、剛性に優れるフィルムであった。
条件を下記のように一部変更した以外はプロピレン重合体(1)と同様の方法でプロピレン重合体(3)を得た。
第一槽目の重合圧力2.5MPaを保持するように液状プロピレンを22kg/h、水素は供給せず、トリエチルアルミニウム51.4ミリモル/h、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン7.8ミリモル/hおよび予備活性化された固体触媒成分1.54g/hを連続的に供給し連続重合を行った。また、第二槽目の気相部の水素濃度6.1vol%を保持するようにプロピレン、および水素を供給しながら重合を行った。このプロピレン重合体(3)の極限粘度は1.9dl/gであり、(成分A)と(成分B)の重合重量比は、9.9:90.1で、(成分A)の極限粘度は8.1dl/g、(成分B)の極限粘度は1.2dl/gであった。
プロピレン重合体(3)を実施例1と同様の方法で溶融混練した。得られたペレットのMFRは10.4g/10分、融点は165℃であった。また、実施例1と同様の方法で厚さ15μmのフィルムを得た。得られたフィルムの密度は0.904g/cm3であり、広角X線回折ではα晶の吸収を示し、配向度は89%であった。フィルムの物性を表1に示す。透明性、剛性に優れるフィルムであった。
条件を下記のように一部変更した以外はプロピレン重合体(1)と同様の方法でプロピレン重合体(4)を得た。
第一槽目の重合圧力2.6MPaを保持するように液状プロピレンを30kg/h、水素を60.0L/hで供給しながら、トリエチルアルミニウム41.3ミリモル/h、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン6.1ミリモル/hおよび予備活性化された固体触媒成分0.48g/hを連続的に供給し連続重合を行った。また、第二槽目の気相部の水素濃度3.0vol%を保持するようにプロピレン、および水素を供給しながら重合を行った。このプロピレン重合体(4)の極限粘度は1.6dl/gであり、(成分A)と(成分B)の重合重量比は、9.9:90.1で、(成分A)の極限粘度は1.6dl/g、(成分B)の極限粘度は1.6dl/gであった。
プロピレン重合体(4)を実施例1と同様の方法で溶融混練した。得られたペレットのMFRは8.0g/10分、融点は165℃であった。
プロピレン重合体(4)のペレットを50重量%、実施例3で用いたプロピレン重合体(3)のペレットを50重量%の比率でドライブレンドし、実施例1と同様の方法で厚さ15μmのフィルムを得た。得られたフィルムの密度は0.901g/cm3であり、広角X線回折ではα晶の吸収を示し、配向度は79%であった。フィルムの物性を表1に示す。透明性、剛性に優れるフィルムであった。
実施例4で用いたプロピレン重合体(4)のペレットを70重量%、プロピレン重合体(3)のペレットを30重量%の比率でドライブレンドし、実施例1と同様の方法で厚さ15μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。得られたフィルムの密度は0.899g/cm3であり、広角X線回折ではα晶の吸収を示し、配向度は70%であった。フィルムの物性を表1に示す。透明性、剛性に優れるフィルムであった。
第1槽目のエチレン含量を2.7重量%、[η]を9.5dl/g、第2槽目の エチレン含量を2.4重量%、[η]を1.2dl/g、(成分A)と(成分B)の重合重量比が13.0:87.0となるように重合条件を調整して実施例3と同様の方法で重合体(5)を得た。実施例1と同様の方法で溶融混練し、MFRが6.0g/10分、融点が150℃のペレットを得た。プロピレン重合体(5)のペレットを50重量%、プロピレン重合体(4)のペレットを50重量%の比でブレンドし、実施例1と同様の方法で厚さ15μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの密度は0.903g/cm3であり、広角X線回折ではα晶の吸収を示し、配向度は91%であった。フィルムの物性を表1に示す。透明性、剛性に優れるフィルムであった。
プロピレン重合体(4)のペレットを単独で用いた以外は、実施例1と同様の方法で製膜を行った。得られたフィルムの密度は0.890g/cm3であったが、広角X線回折ではα晶を示さず、剛性が不十分なフィルムであった。
実施例4で用いたプロピレン重合体(4)のペレットを90重量%、プロピレン重合体(3)のペレットを10重量%の比率でドライブレンドし、実施例1と同様の方法で厚さ15μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
得られたフィルムの密度は0.895g/cm3であったが、広角X線回折ではα晶の吸収を示さず、剛性が不十分なフィルムであった。
実施例4と同様にプロピレン重合体(4)のペレットを50重量%、プロピレン重合体(3)のペレットを50重量%の比率でドライブレンドし、温度250℃で溶融混練し、押出を行った。溶融押出された樹脂を30℃に温調され、18m/分で回転する冷却ロールにて冷却固化させ、厚さ15μmのフィルムを得た。得られたフィルムの密度は0.889g/cm3であり、広角X線回折ではα晶の吸収を示さず、剛性が不十分なフィルムであった。
比較例1と同様にプロピレン重合体(4)のペレットを単独で用い、温度250℃で溶融混練し、押出を行った。溶融押出された樹脂を30℃に温調され、67m/分で回転する冷却ロールにて冷却固化させ、厚さ30μmのフィルムを得た。得られたフィルムの密度は0.891g/cm3であり、広角X線回折ではα晶の吸収を示し、配向度は55%であった。配向度が不十分である為、透明性が不十分なフィルムであった。
Claims (3)
- 下記要件1、下記要件2および下記要件3の全てを満足するポリプロピレン未延伸フィルム。
要件1:密度勾配管で測定した密度が0.890g/cm3以上である
要件2:α晶形態の結晶を含有する
要件3:広角X線回折法で測定した配向度が60%以上である - 下記成分(A)または下記成分(C)を、Tダイを用いて、30m/分以上の加工速度で、加工して得られる請求項1に記載のポリプロピレン未延伸フィルム。
成分(A):極限粘度[η]が3.0dl/g以上であるポリプロピレン重合体
成分(C):極限粘度[η]が3.0dl/g以上であるポリプロピレン重合体(成分(A))2重量%以上100重量%未満と、極限粘度[η]が3.0dl/g未満であるポリプロピレン重合体(成分(B))0重量%を越え98重量%以下とからなるポリプロピレン樹脂組成物(ただし、成分(C)の全重量を100重量%とする。) - 下記成分(C’)を、Tダイを用いて、30m/分以上の加工速度で、加工して得られる請求項1に記載のポリプロピレン未延伸フィルム。
成分(C’):極限粘度[η]が3.0dl/g以上であるポリプロピレン重合体(成分(A))3重量%以上30重量%未満と、極限粘度[η]が3.0dl/g未満であるポリプロピレン重合体(成分(B))70重量%以上97重量%以下とからなるポリプロピレン樹脂組成物(ただし、成分(C’)の全重量を100重量%とする。)
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