JP3850493B2 - ポリプロピレン系共重合体およびそのフィルム - Google Patents

ポリプロピレン系共重合体およびそのフィルム Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリプロピレン系共重合体およびそのフィルムに関する。さらに詳しくはヒートシール性が良好で、耐衝撃性、耐熱性および食品衛生性に優れた、落袋強度の製袋条件依存性の小さいポリプロピレン系共重合体およびそのフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレンのフィルムは、外観、機械的性質、包装適性などが優れることから食品包装、繊維包装などの包装分野で広く使用されている。
プロピレン単独重合体は外観、耐熱性が優れるものの、低温での耐衝撃性が劣り、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体では耐熱性に劣り、プロピレンブロック共重合体は、耐熱性、低温での耐衝撃性にある程度優れるものの、フィシュアイの発生により外観が悪いか耐ブロッキング性が劣るものであり、それぞれに制限があった。
このようなことから、主にポリプロピレンブロック共重合体を用いて上記の特性を改良する試みがなされている。
【0003】
特開平6−93061号および特開平6−93062号公報では、外観、耐衝撃性、食品衛生性の優れたポリプロピレンブロック共重合体が開示されている。近年、高速製袋機の普及、レトルトパウチの大型化、および形状の複雑なスタンデングパウチの普及等により耐衝撃性、耐熱性、食品衛生性に加えて、ヒートシール性が良好でパウチの落袋強度の製袋条件依存性の小さい材料の開発が要望されている。しかし、特開平6−93061号および特開平6−93062号公報に具体的に記載されているポリプロピレンブロック共重合体は、第1工程で製造される重合体がプロピレンの単独重合体であるもののみであり、それからつくった袋は、落袋強度が製袋条件への依存性が比較的大きく、不満足なものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ヒートシール性、低温での耐衝撃性、耐熱性、食品衛生性に優れ、落袋強度の製袋条件依存性の小さいポリプロピレン系共重合体及びフィルムを提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の従来技術では達成ができていないヒートシール性、低温での耐衝撃性、耐熱性、食品衛生性に優れ、落袋強度の製袋条件依存性の小さいポリプロピレン系共重合体及びフィルムを開発すべく鋭意研究した結果、実質的に溶剤の不存在下で得られた特定のポリプロピレン系共重合体によって本目的が達成できることを見い出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、第一工程で実質的に不活性溶媒の不存在下でエチレンとプロピレンとを重合させてエチレン含有量0.5〜1.5重量%のプロピレン−エチレン共重合体部分(A成分)を全重合体の60〜80重量%製造し、ついで第2工程で気相中でエチレンとプロピレンとを重合させてエチレン含有量20〜50重量%のプロピレン−エチレン共重合体(B成分)を全重合体の20〜40重量%製造して得られるポリプロピレン系共重合体を溶融混練して得られる、メルトフローレイト1〜10g/10分の重合体であって、B成分の極限粘度( [ η ] B)が2.0 dl/g 以上、B成分の極限粘度とA成分の極限粘度の比( [ η ] B/ [ η ] A)が1.8以下であり、全重合体中の20℃キシレン可溶部の分子量5万以下の成分の含有量が2.0重量%以下であることを特徴とするポリプロピレン系共重合体およびそのフィルムに関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に詳説する。
A成分およびB成分の割合は、A成分が60〜80重量%、B成分が20〜40重量%の範囲であることが必要である。B成分量が20重量%未満では、低温での耐衝撃性が劣り、B成分が40重量%を越えると耐熱性、食品衛生性が劣る。
【0007】
A成分のエチレン含有量は0.5〜1.5重量%の範囲であることが必要である。A成分のエチレン含有量が0.5重量%未満ではヒートシール性および落袋強度の製袋条件依存性の点で劣り、A成分のエチレン含有量が1.5重量%を越えると耐熱性、剛性が劣る。
【0008】
B成分はエチレン含有量が20〜50重量%であり、極限粘度([ η]B)が2.0 dl/g 以上の範囲であることが必要である。エチレン含有量が20重量%未満では低温の耐衝撃性が劣り、エチレン含有量が50重量%を越えるとフィルムの外観、低温の耐衝撃性が劣る。
また、B成分はその極限粘度([ η]B)が2.0 dl/g 以上の範囲である。[ η]Bが2.0未満であると耐ブロッキング性、低温での耐衝撃性が劣る。さらに、[ η] B/[ η] Aは1.8を越えるとフィシュアイの発生により外観が悪化するため、1.8以下である
【0009】
さらに、本発明では、組成物中の20℃キシレン可溶部の分子量5万以下の成分量(L−CXS)が2.0重量%以下である。L−CXSが2.0重量%を越えると食品衛生性が悪化する。
【0010】
本発明のポリプロピレン系共重合体は、チーグラー・ナッタ型触媒、シクロペンタジエニル環を有する周期表第IVB族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンからなる触媒系、またはシクロペンタジエニル環を有する周期表第IVB族の遷移金属化合物とそれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物からなる触媒系を用いて、同一の重合槽中にてA成分を重合した後、引き続いてB成分を重合する回分式重合法、または少なくとも2槽からなる重合槽を使用したA成分とB成分を連続的に重合する連続式重合法などで製造が可能である。
【0011】
具体的には、例えば、
(a)Si-O 結合を有する有機ケイ素化合物の共存下、一般式Ti(OR1)nX4-n(R1 は炭素数が1 〜20の炭化水素基、X はハロゲン電子、n は0 <n ≦4 の数字を表わす。) で表わされるチタン化合物を、有機マグネシウム化合物で還元して得られる固体生成物を、エステル化合物及びエーテル化合物と四塩化チタンとの混合物で処理して得られる三価のチタン化合物含有固体触媒成分、
(b) 有機アルミニウム化合物
(c)Si-OR2 結合(R2 は炭素数が1 〜20の炭化水素基である。) を有するケイ素化合物よりなる触媒系、あるいは
(a) 一般式Ti(OR1)nX4-n(R1 は炭素数が1 〜20の炭化水素基、X はハロゲン電子、n は0 <n ≦4 の数字を表わす。) で表わされるチタン化合物を、一般式AlR2mY3-m(R2は炭素数が1 〜20の炭化水素基、Y はハロゲン電子、m は1 ≦m ≦3 の数字を表わす。) で表わされる有機アルミニウム化合物で還元して得られる炭化水素溶媒に不溶のハイドロカルビルオキシ基を含有する固体生成物を、エチレンで予備重合処理したのち、炭化水素溶媒中エーテル化合物及び四塩化チタンの存在下に80〜100℃の温度でスラリー状態で処理して得られるハイドロカルビルオキシ基含有固体触媒成分、
(b) 有機アルミニウム化合物よりなる触媒系
などの少なくともチタン、マグネシウムおよびハロゲンを必須成分とするチーグラー・ナッタ型触媒を用いて、(b) 成分中のAl原子/(a)成分中のTi原子のモル比を1〜2000、好ましくは5〜1500、(c) 成分/(b)成分中のAl原子のモル比を0.02〜500、好ましくは0.05〜50となるように使用し、重合温度20〜150℃、好ましくは50〜95℃、重合圧力は大気圧〜40Kg/cm2G 、好ましくは2〜40Kg/cm2G の条件下に、第一工程で実質的に不活性溶剤の不存在下にプロピレンとエチレンおよび分子量調節のために水素を供給してエチレン- プロピレン共重合体部分 (A成分) を重合した後、引き続いて第二工程で気相中でプロピレンとエチレンと水素を供給してエチレン- プロピレン共重合体部分( B成分) を重合することによって製造できる。
【0012】
本発明のポリプロピレン系共重合体は、例えば、溶融押出機、バンバリーミキサーを使用して酸化防止剤の存在下、例えば、有機過酸化物の存在下または不存在下で溶融混練する方法でメルトフローレートの調整を行うことができる。
ポリプロピレン系共重合体は、メルトフローレイト1〜10g/10分の範囲のものがフィルムの製膜に際しての高速加工性の点から好ましく、とくに1〜5g/10分の範囲が好ましい。
【0013】
本発明のポリプロピレンフィルムの製造方法は、通常工業的に用いられている方法、例えばTダイ製膜法、チューブラー製膜法など溶融押し出し成型法によりポリプロピレンフィルムが製造される方法であれば特に限定されないが、大型製膜機により高速製膜が実施される、Tダイ製膜法が好ましい。
本発明のフィルムの厚みは特に制限がないが、厚みが10〜500μのフィルムであり、好ましくは10〜150μの範囲である。
また、前述した好ましい特性を有することから、共押し出し多層フィルムの製造に際して、その少なくとも一層成分としても好適に使用される。
さらに、その他のフィルム、例えばポリプロピレン2軸延伸フィルム、未延伸および延伸ナイロンフィルム、延伸ポリテレフタル酸エチルフィルムやアルミ箔等とドライラミ法、または押し出しラミ法等の方法で製造される複合フィルムの少なくとも一層としても好適に使用される。
【0014】
本発明のポリプロピレン系共重合体とフィルムには、常用される酸化防止剤、中和剤、紫外線吸収剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、耐電防止剤、造核剤などを必要に応じて配合することができる。
本発明のポリプロピレン系共重合体のフィルムは、食品包装、繊維包装などに使われる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例のみに限定されるものではない。
なお、発明の詳細な説明および実施例中の各項目の測定値は、下記の方法で測定した。
(1)A成分、B成分の含有量 (重量%)
A成分およびB成分の重合時の物質収支から、A成分の含有量( PA ) 、B成分の含有量( PB ) を求めた。
(2)A成分、B成分のエチレン含有量
A成分のエチレン含有量:第1工程終了時にサンプリングしたA成分を高分子分析ハンドブック(1985年、朝倉書店発行)の256ページ「(i)ランダム共重合体」の項に記載の方法によってIRスペクトル法で決定した。
B成分のエチレン含有量:全共重合体のエチレン含量を高分子分析ハンドブック(1985年、朝倉書店発行)の256〜257ページ「(ii)ブロック共重合体」の項に記載の方法によってIRスペクトル法で決定し、下式によりB成分のエチレン含量を求めた。
B =(ET −EA ×PA )/PB
(ただし、 ET 、EA 、EB は それぞれ全共重合体、 A成分、B成分のエチレン含有量を表し、PA 、PB はA成分、B成分の含有量を示す。)
(3)極限粘度([ η] )
ウベローデ型粘度計を用いて135℃テトラリン中で測定を行った。
A成分、B成分の極限粘度( [ η] A、 [η] B)
第一工程終了時にサンプリングしたA成分を測定した極限粘度 [η] Aと、第二工程の重合終了後に測定した極限粘度 [η] T、およびA成分の含有量(PA )、B成分の含有量(PB )から、次式によりB成分の極限粘度 [η] Bを決定した。
[η] A×PA /100+ [ η] B×PB /100= [ η] T
(4)20℃キシレン可溶部
試料1gを沸騰キシレン100mlに完全に溶解させた後、20℃に降温し、4時間放置する。その後、これを析出物と溶液とにろ別し、ろ液を乾固して減圧下70℃で乾燥した。その重量を測定して含有%(重量)を求めた。
(5)20℃キシレン可溶部(CXS)の分子量5万以下の成分(L−CXS)CXSの分子量分布をGPC( ゲルパーミエーションクロマトグラフィー) により、下記の条件で測定し、下式によりL−CXSを決定した。また、検料量線は標準ポリスチレンを用いて作成した。
L−CXS=全CXS含量×W/100
(ただし、WはGPCより求めたポリスチレン換算の分子量5万以下の成分の含有量(wt%)である。)
機種 150CV型( ミリポアウォーターズ社製)
カラム Shodex M/S 80
測定温度 145℃
溶媒 オルトジクロロベンゼン
サンプル濃度 5mg/8ml
(6)メルトフローレイト(MFR)
JIS K7210に従い、条件−14の方法で測定した。
(7)ヒートシール温度
フィルム面同志を重ね合わせ加熱されたヒートシーラーで2秒間、2kg/cm2 の荷重をかけ圧着して得た幅25mmのシールされたフィルムを、一夜放置後、23℃で剥離速度200mm/分、剥離角度180°で剥離した時の剥離抵抗力が300g/25mmになるヒートシーラーの温度をヒートシール温度とした。
(8)衝撃強度
−15℃において、東洋精機製フィルムインパクトテスターを使用して、直径15mmの半球状衝撃頭を用いて、フィルムの衝撃強度を測定した。
(9)ヘキサン抽出量
FDA177.1520(d)(3)(ii)に記載の方法に従って、厚み100μのフィルムの50℃、n−ヘキサン抽出量を測定した。なお、レトルト食品包装用に使用する場合の本項目の規制値は、2.6重量%以下である。
(10)落袋強度
図1に示したような方法で、富士インパルス社製FA600−10W型ヒートシーラーを用いて、スタンディングパウチを作成し、120℃で30分間オーブン中で処理した後、水2kgを入れ、上部もヒートシールした。
Figure 0003850493
5℃で、床面からパウチの底部までが80cmの高さから落袋試験を実施し、破袋するまで10回連続して行った。各水準n=5で、試験を実施した。1回で破袋した場合を0点、2回で破袋した場合を1点、そして、10回で破袋した場合を9点、10回でも破袋しなかった場合を10点というように、合計50点で採点し、以下の基準で評価した。
Figure 0003850493
【0015】
【実施例】
実施例1
[固体触媒の合成]
撹袢機付きの200LSUS製反応容器を窒素で置換した後、ヘキサン80L、テトラブトキシチタン6.55モルおよびテトラエトキシシラン98.9モルを投入し均一溶液とした。次ぎに、濃度2.1モル/Lのブチルマグネシウムクロリドのジイソブチルエーテル溶液50Lを、反応容器内の温度を5℃に保ちながら5時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後室温でさらに1時間撹袢した後室温で固液分離し、トルエン70Lで3回洗浄を繰り返した。次いで、スラリー濃度が0.2Kg/Lになるようにトルエンを加えた後、フタル酸ジイソブチル37.5モルを加え、95℃で30分間反応を行なった。反応後固液分離し、トルエンで2回洗浄を行なった。次いで、フタル酸ジイソブチル3.13モル、ブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン274モルを加え、95℃で3時間反応を行なった。反応終了後同温度で固液分離した後、同温度でトルエン90Lで2回洗浄を行なった。次いで、スラリー濃度を0.4Kg/Lに調整した後、ブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン137モルを加え、95℃で1時間反応を行なった。反応終了後、同温度で固液分離し同温度でトルエン90Lで3回洗浄を行なった後、さらにヘキサン70Lで3回洗浄した後減圧乾燥して固体触媒成分11.4Kgを得た。固体触媒成分はチタン原子2.0重量%、マグネシウム原子20.1重量%、フタル酸エステル11.2重量%、エトキシ基0.6重量%、ブトキシ基0.2重量%を含有し、微粉のない良好な粒子性状を有していた。
[ポリマーの製造]
<固体触媒成分の予備活性化>
内容積3LのSUS製、撹袢機付きオートクレーブに充分に脱水、脱気処理したn−ヘキサン1.5L、トリエチルアルミニウム37.5ミリモル、シクロヘキシル−エチル−ジメトキシシラン37.5ミリモルと上記固体触媒成分15gを添加し、槽内温度を30℃以下に保ちながらプロピレン15gを約30分かけて連続的に供給して予備活性化を行なった後、得られた固体触媒スラリーを内容積150Lの撹袢機付きSUS製オートクレーブに移送し液状ブタン100Lを加えて保存した。
<重合>
SUS製の内容積1m3 の撹袢機付き流動床反応器を2基連結し、第一槽目で前段部(A成分)のプロピレンとエチレンの共重合を、第二槽目で後段部(B成分)のプロピレンとエチレンの共重合を連続的に実施する。
(1)第1槽目(A成分部) : 内容積1m3 の撹袢機付き流動床反応器において、重合温度80℃、重合圧力18Kg/cm 2 G 、気相部の水素濃度0.045vol%、気相部エチレン濃度0.6vol%を保持するようにプロピレン、エチレンおよび水素を供給しながら、トリエチルアルミニウム60ミリモル/h、シクロヘキシル−エチル−ジメトキシシラン6ミリモル/hおよび予備活性化した固体触媒成分0.8g/hを連続的に供給し、流動床のポリマーホールド量100Kgでプロピレンとエチレンの共重合を行い16Kg/hのポリマーが得られた。得られたポリマーは失活することなく第二槽目に連続的に移送した。また、ポリマーの一部をサンプリングして分析した結果、エチレン含量は1.2重量%、テトラリン135℃での極限粘度([η])は2.9dl/gであった。
(1)第2槽目(B成分部) : 内容積1m3 の撹袢機付き流動床反応器において、重合温度70℃、重合圧力8Kg/cm 2 G 、気相部の水素濃度0.8vol%、気相部エチレン濃度33vol%を保持するようにプロピレン、エチレンおよび水素を供給しながら、流動床のポリマーホールド量を40Kgで、第一槽目より移送された触媒含有ポリマーでのエチレンとプロピレンとの共重合を連続的に継続することにより23.5Kg/hの白色の流動性の良いポリマーが得られた。得られたポリマーのエチレン含量は13.3重量%、テトラリン135℃での極限粘度([η])は3.06dl/gであった。
以上の結果から、第1槽目と第2槽目の重合比は68/32であり、A成分と最終ポリマーの分析値より求めたB成分部のエチレン含量は32重量%、テトラリン135℃での極限粘度([η])は3.4dl/gであった。
このポリプロピレン系共重合体粉末100重量部に、ステアリン酸カルシウム0.1重量部、ビタミンE(理研ビタミン(株)製)0.05重量部、2,5−ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキサン0.7重量部を加えてヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押し出しを行い、ペレット化した。ペレットは、メルトフローレイト1.6g/10分であった。
ついで得られたペレットを50mmφTダイ製膜機で、ダイ温度280℃で溶融押し出しを行い、30℃の冷却水を通水した冷却ロールで冷却して、厚さ100μの未延伸フィルムを得た。得られたフィルムのインパクト、ヒートシール温度、ヘキサン抽出量を第2表に示す。
得られたフィルムを康井精機製卓上型テストコーターを用いて、2g/m2 となるようにエステル系接着剤(主剤、商品名タケラックA−310、硬化剤、商品名タケネートA−3、武田薬品工業製)を塗布した厚さ15μの延伸ナイロン基材フィルム(ユニチカ製、商品名エンブレム)に、40℃、3kg/cm2 で圧着させた後、40℃で2日間、加熱熟成することによりドライラミネーションフィルムを得た。得られたドライラミネーションフィルムを用いた落袋試験を、第2表に示す。
【0016】
実施例2
実施例1と同様の方法で、第1表に掲げる条件下でポリマーを製造し、第2表に示す構造のポリマーを得た。
2,5−ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキサンの量を変更した以外は実施例1と同様の方法で、この共重合体粉末をペレット化し、実施例1と同様の評価を実施した。評価結果を第2表に示す。
【0017】
比較例1
実施例1と同様の方法で、第1表に掲げる条件下でポリマーを製造し、第2表に示す構造のポリマーを得た。
2,5−ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキサンの量を変更した以外は実施例1と同様の方法で、この共重合体粉末をペレット化し、実施例1と同様の評価を実施した。評価結果を第2表に示す。
【0018】
実施例3
[固体触媒の合成]
撹袢機付きの200LSUS製反応容器を窒素で置換した後、ヘキサン80L、テトラブトキシチタン6.55モル、フタル酸ジイソブチル2.8モル、およびテトラエトキシシラン98.9モルを投入し均一溶液とした。次ぎに、濃度2.1モル/Lのブチルマグネシウムクロリドのジイソブチルエーテル溶液51Lを、反応容器内の温度を5℃に保ちながら5時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後室温でさらに1時間撹袢した後室温で固液分離し、トルエン70Lで3回洗浄を繰り返した。次いで、スラリー濃度が0.2Kg/Lになるようにトルエンを加えた後、フタル酸ジイソブチル47.6モルを加え、95℃で30分間反応を行なった。反応後固液分離し、トルエンで2回洗浄を行なった。次いで、フタル酸ジイソブチル3.13モル、ブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン274モルを加え、105℃で3時間反応を行なった。反応終了後同温度で固液分離した後、同温度でトルエン90Lで2回洗浄を行なった。次いで、スラリー濃度を0.4Kg/Lに調整した後、ブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン137モルを加え、105℃で1時間反応を行なった。反応終了後、同温度で固液分離し同温度でトルエン90Lで3回洗浄を行なった後、さらにヘキサン70Lで3回洗浄した後減圧乾燥して固体触媒成分11.4Kgを得た。固体触媒成分はチタン原子1.8重量%、マグネシウム原子20.1重量%、フタル酸エステル8.4重量%、エトキシ基0.3重量、ブトキシ基0.2重量%を含有し、微粉のない良好な粒子性状を有していた。
[ポリマーの製造]
上記の固体触媒を用いる以外は実施例−1と同様の方法で、第1表に掲げる条件下でポリマーを製造し、第2表に示す構造のポリマーを得た。
2,5−ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキサンの量を変更した以外は実施例1と同様の方法で、この共重合体粉末をペレット化し、実施例1と同様の評価を実施した。評価結果を第2表に示す。
【0019】
【表1】
Figure 0003850493
【0020】
【表2】
Figure 0003850493
【0021】
【発明の効果】
本発明により、ヒートシール性、低温での耐衝撃性、耐熱性、食品衛生性に優れ、落袋強度の製袋条件依存性の小さいポリプロピレン系共重合体及びフィルムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】落袋試験用スタンデイ ングパウチの作成法の説明図

Claims (2)

  1. 第一工程で実質的に不活性溶媒の不存在下でエチレンとプロピレンとを重合させてエチレン含有量0.5〜1.5重量%のプロピレン−エチレン共重合体部分(A成分)を全重合体の60〜80重量%製造し、ついで第2工程で気相中でエチレンとプロピレンとを重合させてエチレン含有量20〜50重量%のプロピレン−エチレン共重合体(B成分)を全重合体の20〜40重量%製造して得られるポリプロピレン系共重合体を溶融混練して得られる、メルトフローレイト1〜10g/10分の重合体であって、B成分の極限粘度( [ η ] B)が2.0 dl/g 以上、B成分の極限粘度とA成分の極限粘度の比( [ η ] B/ [ η ] A)が1.8以下であり、全重合体中の20℃キシレン可溶部の分子量5万以下の成分の含有量が2.0重量%以下であることを特徴とするポリプロピレン系共重合体。
  2. 請求項1に記載のポリプロピレン系共重合体を溶融押出し製膜してなるフィルム。
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