JP2007290323A - 射出成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い剛性感を有し、リブの根元の耐クラック性が改善され、成形時間を短縮することができる射出成形体の提供。
【解決手段】MFRが5〜150g/10分のポリプロピレン100重量部と、フィラー5〜80重量部と、脂肪酸アミド0.05〜5.0重量部とを含むポリプロピレン系樹脂組成物からなる成形体であって、少なくともリブを有し、前記リブの厚さ(T)と高さ(H)との比(H/T)が5〜50であることを特徴とする射出成形体。
【選択図】図1
【解決手段】MFRが5〜150g/10分のポリプロピレン100重量部と、フィラー5〜80重量部と、脂肪酸アミド0.05〜5.0重量部とを含むポリプロピレン系樹脂組成物からなる成形体であって、少なくともリブを有し、前記リブの厚さ(T)と高さ(H)との比(H/T)が5〜50であることを特徴とする射出成形体。
【選択図】図1
Description
本発明は、リブを有する射出成形体に関し、詳しくは、高い剛性感を有し、リブの根元の耐クラック性が改善され、短い成形時間で成形することができる射出成形体に関する。
従来、工業部品分野における各種成形品、例えば、バンパー、インストルメントパネル、ファンシュラウド、グローブボックス、エアコンケース等の自動車部品、テレビ、VTR、洗濯機等の家電機器製品の部品用などとして、プロピレン系樹脂組成物がその優れた成形性、機械的強度の特徴を活かし多く実用に供されてきている。
これらの成形品は、近年では省資源化、経済性等の観点から軽量化、成形サイクルの短縮化が検討されている。軽量化の手法としては、成形品肉厚の薄肉化が多く検討されている。また、薄肉化による成形品の剛性低下を補うため、リブで補強する手法が取られている。
これらの成形品は、近年では省資源化、経済性等の観点から軽量化、成形サイクルの短縮化が検討されている。軽量化の手法としては、成形品肉厚の薄肉化が多く検討されている。また、薄肉化による成形品の剛性低下を補うため、リブで補強する手法が取られている。
成形サイクルの短縮化の手法としては、冷却時間(保圧時間)の短縮が多く検討され、射出成形においては、成形サイクルにおける冷却時間(保圧時間)の時間専有率が40〜90%と大きく、冷却時間(保圧時間)の短縮がもっとも効果的と期待されているが、リブを有する成形体では、冷却が十分でないと離型時にリブの根元部分にクラックが生じる問題があった。
リブの根元部分のクラックを抑制するために、リブの根元を補強する目的で、リブの厚みを増したり、リブ自体にテーパーを施すことや、アールを設けるといった、成形品の設計上の解決手段を取ることも多いが、リブ裏側の製品面にヒケが発生したり、重量が増加したり、成形品の設計上十分なリブ形状にすることができなかったりする場合があり、材料面からの解決手段も要望されている。
材料面の解決手段としては、特定のプロピレン・エチレンブロック共重合体とタルクと脂肪酸アミドを含むプロピレン系樹脂組成物が報告されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法は、射出成形における自動車部品等の成形体の突出ピンに対応する部分に突出ピン形状に沿って白い模様が発生するいわゆる突出白化現象の改善に効果があるが、リブの根元の耐クラック性が十分に改善されてはいなかった。
特開2003−55529号公報
材料面の解決手段としては、特定のプロピレン・エチレンブロック共重合体とタルクと脂肪酸アミドを含むプロピレン系樹脂組成物が報告されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法は、射出成形における自動車部品等の成形体の突出ピンに対応する部分に突出ピン形状に沿って白い模様が発生するいわゆる突出白化現象の改善に効果があるが、リブの根元の耐クラック性が十分に改善されてはいなかった。
本発明は、上記問題点に鑑み、高い剛性感を有し、リブの根元の耐クラック性が改善され、成形時間を短縮することができる射出成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究の結果、特定の流動性を有するポリプロピレンに、フィラー、及び脂肪酸アミドを特定量含むポリプロピレン系樹脂組成物からの特定のリブ形状を有する射出成形体が、軽量ながら、高い剛性感を有し、リブの根元の耐クラック性が改善され、成形時間を短縮することができる射出成形体になり得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、MFRが5〜150g/10分のポリプロピレン100重量部と、フィラー5〜80重量部と、脂肪酸アミド0.05〜5.0重量部とを含むポリプロピレン系樹脂組成物からなる成形体であって、少なくともリブを有し、前記リブの厚さ(T)と高さ(H)との比(H/T)が5〜50であることを特徴とする射出成形体が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、ポリプロピレンが、プロピレン単独重合体又はプロピレン・エチレンブロック共重合体であることを特徴とする射出成形体が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、脂肪酸アミドが、分子量250〜600の不飽和脂肪酸アミドであることを特徴とする射出成形体が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、脂肪酸アミドが、エルカ酸アミドであることを特徴とする射出成形体が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、成形体が、自動車用エアーコンディショナーハウジングであることを特徴とする射出成形体が提供される。
本発明の射出成形体は、特定の流動性を有するポリプロピレンに、フィラー、及び脂肪酸アミドを特定量含むポリプロピレン系樹脂組成物からの特定のリブ形状を有する射出成形体であるので、軽量ながら、高い剛性感を有し、リブの根元の耐クラック性が改善され、成形時間を短縮することができる射出成形体である。
本発明は、ポリプロピレン、フィラー及び脂肪酸アミドを含むポリプロピレン系樹脂組成物からなり、少なくとも、リブの厚さ(T)と高さ(H)との比(H/T)が5〜50であるリブを有する射出成形体である。以下、ポリプロピレン系樹脂組成物、ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法、射出成形体、用途について、詳細に説明する。
1.ポリプロピレン系樹脂組成物の構成成分
(1)ポリプロピレン
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂組成物を構成するポリプロピレンは、プロピレン単独重合体又はプロピレン・エチレンブロック共重合体から選ばれる1種又は2種以上の樹脂である。
プロピレン・エチレンブロック共重合体は、プロピレンの単独重合によって得られる結晶性プロピレン単独重合部分とエチレン・プロピレンランダム共重合部分とからなる共重合体である。なお、プロピレン・エチレンブロック共重合体には、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどから選ばれる他のα−オレフィンが共重合されていてもよい。
(1)ポリプロピレン
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂組成物を構成するポリプロピレンは、プロピレン単独重合体又はプロピレン・エチレンブロック共重合体から選ばれる1種又は2種以上の樹脂である。
プロピレン・エチレンブロック共重合体は、プロピレンの単独重合によって得られる結晶性プロピレン単独重合部分とエチレン・プロピレンランダム共重合部分とからなる共重合体である。なお、プロピレン・エチレンブロック共重合体には、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどから選ばれる他のα−オレフィンが共重合されていてもよい。
ポリプロピレンのメルトフローレート(MFR)は、5〜150g/10分、好ましくは10〜100g/10分、より好ましくは15〜50g/10分である。MFRが5g/10分未満では流動性が劣りリブ部分などに充填不足が生じ、150g/10分を超えると衝撃強度が低下する。
ここで、MFRは、JIS K 7210に準拠し、230℃、2.16kg荷重で測定する値である。
ここで、MFRは、JIS K 7210に準拠し、230℃、2.16kg荷重で測定する値である。
本発明で用いるプロピレン単独重合体又はプロピレン・エチレンブロック共重合体の製造方法としては、特に限定されないが、メタロセン系触媒、チーグラー系触媒などにより製造されたものを使用することができる。また、重合方法としては、従来公知の方法を用いることができる。
(2)フィラー
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂組成物を構成するフィラーとしては、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、短繊維ガラス繊維、長繊維ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、ゾノライト、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ケナフ・ジュート・木粉等を挙げることができる。好ましくはタルク、マイカ、モンモリロナイト等の板状フィラーであり、より好ましくはタルクである。
フィラーは、重合体との接着性或いは分散性を向上させる等の目的で、有機チタネート系カップリング剤、有機シランカップリング剤、不飽和カルボン酸、又はその無水物をグラフトした変性ポリオレフィン、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル等によって表面処理したものを用いてもよい。
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂組成物を構成するフィラーとしては、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、短繊維ガラス繊維、長繊維ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、ゾノライト、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ケナフ・ジュート・木粉等を挙げることができる。好ましくはタルク、マイカ、モンモリロナイト等の板状フィラーであり、より好ましくはタルクである。
フィラーは、重合体との接着性或いは分散性を向上させる等の目的で、有機チタネート系カップリング剤、有機シランカップリング剤、不飽和カルボン酸、又はその無水物をグラフトした変性ポリオレフィン、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル等によって表面処理したものを用いてもよい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物で好ましく用いるタルクは、平均粒径が20μm以下が好ましく、より好ましくは4〜15μmのものである。平均粒径が20μmを超えると機械物性が低下する。該平均粒径の測定は、レーザー回折法(例えば堀場製作所製LA920W)や、液層沈降方式光透過法(例えば、島津製作所製CP型等)によって測定した粒度累積分布曲線から読みとった累積量50重量%の粒径値より求めることができる。本発明の値は、前者の方法にて測定を行った平均粒径値である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物におけるフィラーの配合量は、ポリプロピレン100重量部に対して、5〜80重量部であり、好ましくは10〜60重量部であり、より好ましくは15〜40重量部である。フィラーの配合量が5重量部未満では成形品の剛性感が不足し、80重量部を超えるとリブ根元にクラックが生じやすくなる。
(3)脂肪酸アミド
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂組成物を構成する脂肪酸アミドとしては、ステアリン酸アミド(C17H35CONH2)、ベヘニン酸アミド(C21H43CONH2)等の飽和脂肪酸アミド、エルカ酸アミド(CH3(CH2)7CH=CH(CH2)11CONH2)、オレイン酸アミド(C17H33CONH2)等の不飽和脂肪酸アミドが挙げられ、これらを1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでもブリード性の理由から不飽和脂肪酸アミドから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂組成物を構成する脂肪酸アミドとしては、ステアリン酸アミド(C17H35CONH2)、ベヘニン酸アミド(C21H43CONH2)等の飽和脂肪酸アミド、エルカ酸アミド(CH3(CH2)7CH=CH(CH2)11CONH2)、オレイン酸アミド(C17H33CONH2)等の不飽和脂肪酸アミドが挙げられ、これらを1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでもブリード性の理由から不飽和脂肪酸アミドから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
特に、ブリード性、不揮発性の理由から分子量が250〜600である、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミドから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、とりわけエルカ酸アミドを使用することが好ましい。
なお、上記脂肪酸アミドの分子量は、以下の通りである。
エルカ酸アミド(CH3(CH2)7CH=CH(CH2)11CONH2):MW=337
オレイン酸アミド(C17H33CONH2):MW=281
ステアリン酸アミド(C17H35CONH2):MW=283
ベヘニン酸アミド(C21H43CONH2):MW=339
N−ステアリルエルカ酸アミド(C21H41CONHC18H37):MW=589
エチレンビスステアリン酸アミド(C17H35CONH)2(CH2)2):MW=592
なお、上記脂肪酸アミドの分子量は、以下の通りである。
エルカ酸アミド(CH3(CH2)7CH=CH(CH2)11CONH2):MW=337
オレイン酸アミド(C17H33CONH2):MW=281
ステアリン酸アミド(C17H35CONH2):MW=283
ベヘニン酸アミド(C21H43CONH2):MW=339
N−ステアリルエルカ酸アミド(C21H41CONHC18H37):MW=589
エチレンビスステアリン酸アミド(C17H35CONH)2(CH2)2):MW=592
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物における脂肪酸アミドの配合量は、ポリプロピレン100重量部に対して、0.05〜5重量部であり、好ましくは0.1〜3重量部であり、より好ましくは0.2〜2重量部である。脂肪酸アミドの配合量が0.05重量部未満ではリブ根元にクラックが生じやすく、5重量部を超えると成形体がべとつき、取り扱いが困難になる。
(4)その他の成分
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂組成物においては、必要に応じて、熱可塑性エラストマーを配合することができる。本発明において、熱可塑性エラストマーは、特に限定されないが、具体的にはエチレン系エラストマー、スチレン系エラストマー等を挙げることができる。
上記エチレン系エラストマーとしては、例えば、エチレン・プロピレン共重合エラストマー(EPR)、エチレン・ブテン共重合エラストマー(EBR)、エチレン・ヘキセン共重合エラストマー(EHR)、エチレン・オクテン共重合エラストマー(EOR)等のエチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー;エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体エラストマー、エチレン・プロピレン・ブタジエン共重合体エラストマー、エチレン・プロピレン・イソプレン共重合体エラストマー等のエチレン・α−オレフィン・ジエン三元共重合体エラストマー(EPDM)などを挙げることができる。
また、上記スチレン系エラストマーとしては、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック体(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック体(SIS)、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック体の水素添加物(SEBS)、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック体の水素添加物(SEPS)等のスチレン系エラストマー等が使用できる。なお、上記したスチレン・ブタジエン・スチレントリブロック体の水素添加物は、ポリマー主鎖をモノマー単位で見ると、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンとなるので、通常、SEBSと略称されるものである。
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂組成物においては、必要に応じて、熱可塑性エラストマーを配合することができる。本発明において、熱可塑性エラストマーは、特に限定されないが、具体的にはエチレン系エラストマー、スチレン系エラストマー等を挙げることができる。
上記エチレン系エラストマーとしては、例えば、エチレン・プロピレン共重合エラストマー(EPR)、エチレン・ブテン共重合エラストマー(EBR)、エチレン・ヘキセン共重合エラストマー(EHR)、エチレン・オクテン共重合エラストマー(EOR)等のエチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー;エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体エラストマー、エチレン・プロピレン・ブタジエン共重合体エラストマー、エチレン・プロピレン・イソプレン共重合体エラストマー等のエチレン・α−オレフィン・ジエン三元共重合体エラストマー(EPDM)などを挙げることができる。
また、上記スチレン系エラストマーとしては、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック体(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック体(SIS)、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック体の水素添加物(SEBS)、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック体の水素添加物(SEPS)等のスチレン系エラストマー等が使用できる。なお、上記したスチレン・ブタジエン・スチレントリブロック体の水素添加物は、ポリマー主鎖をモノマー単位で見ると、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンとなるので、通常、SEBSと略称されるものである。
さらに、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、酸化防止剤、銅害防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、核剤、分散剤、顔料、帯電防止剤、滑剤、金属不活性剤等を含んでいてもよい。
さらにまた、ポリプロピレンには、上記成分の他に、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレン等の樹脂成分を含んでいてもよい。
さらにまた、ポリプロピレンには、上記成分の他に、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレン等の樹脂成分を含んでいてもよい。
2.ポリプロピレン系樹脂組成物の調製方法
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂組成物は、上記ポリプロピレン、フィラー、脂肪酸アミドを上記割合で、一般的に広く用いられている組成物の溶融混練方法によって調製して得ることができる。混練には、たとえば一軸押出機、二軸押出機、二軸混練機、バンバリーミキサー、ロールなどの混練装置を用いることができる。
本発明に係る組成物は、通常、上記成分を押出機などの混練装置で溶融混練した後、混練物をペレット状に成形して使用される。上記各成分は混練性がよく、容易に混練されて組成物を形成し得る。
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂組成物は、上記ポリプロピレン、フィラー、脂肪酸アミドを上記割合で、一般的に広く用いられている組成物の溶融混練方法によって調製して得ることができる。混練には、たとえば一軸押出機、二軸押出機、二軸混練機、バンバリーミキサー、ロールなどの混練装置を用いることができる。
本発明に係る組成物は、通常、上記成分を押出機などの混練装置で溶融混練した後、混練物をペレット状に成形して使用される。上記各成分は混練性がよく、容易に混練されて組成物を形成し得る。
3.射出成形体
本発明の射出成形体は、上記ポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形法によって成形して得られるものである。本発明の射出成形体を得るために用いられる射出成形法としては、例えば、通常工業的に用いられている公知の成形法が挙げられ、例えば、一般的な射出成形法、射出発泡成形法、超臨界射出発泡成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、ガスアシスト射出成形法、サンドイッチ成形法、サンドイッチ発泡成形法、インサート・アウトサート成形法等の方法が挙げられる。また、目的に応じて同種のポリプロピレン系樹脂と貼合する成形法、または他の樹脂と貼合する成形法を適用することもできる。
本発明の射出成形体は、上記ポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形法によって成形して得られるものである。本発明の射出成形体を得るために用いられる射出成形法としては、例えば、通常工業的に用いられている公知の成形法が挙げられ、例えば、一般的な射出成形法、射出発泡成形法、超臨界射出発泡成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、ガスアシスト射出成形法、サンドイッチ成形法、サンドイッチ発泡成形法、インサート・アウトサート成形法等の方法が挙げられる。また、目的に応じて同種のポリプロピレン系樹脂と貼合する成形法、または他の樹脂と貼合する成形法を適用することもできる。
本発明の射出成形体は、少なくともリブを有する成形体である。本発明の射出成形体において、リブとは、剛性や強度を上げる手段として平面上(製品一般面)に突き出た形状をいうが、浮きリブ構造も含むものとする。リブの形状は直線状、波線状、格子状、円状、異形等いずれであってもよい。これら形状を組み合わせることもできる。
射出成形体に付されるリブは、リブの厚さ(T)と高さ(H)との比(H/T)が5〜50、好ましくは10〜30、より好ましくは15〜20である。リブの厚さと高さとの比が5未満では、補強効果が小さく成形品の剛性感が不足し、50を超えるとリブの根元にクラックが発生しやすくなる。
H/Tは、射出成形体に存在するリブのH/Tの最大値をいう。リブの厚さが連続または断続的に変化する場合は、高さHとリブの高さ方向に変化する厚さの平均値Taveとの比(H/Tave)がH/Tとなる。リブの長手方向の高さが連続または断続的に変化する場合は、高さの最大値Hmaxとリブの厚さTとの比(Hmax/T)がH/Tとなる。
H/Tは、射出成形体に存在するリブのH/Tの最大値をいう。リブの厚さが連続または断続的に変化する場合は、高さHとリブの高さ方向に変化する厚さの平均値Taveとの比(H/Tave)がH/Tとなる。リブの長手方向の高さが連続または断続的に変化する場合は、高さの最大値Hmaxとリブの厚さTとの比(Hmax/T)がH/Tとなる。
本発明の射出成形体の具体的な好ましい形状としては、厚み0.1〜5mm、高さ3〜60mmのリブを、リブ間隔1〜50mmで2ケ以上連設した部位を有する平均肉厚0.5〜5mm、最大高さ3.5〜55mmの形状が良い。より好ましくは、厚み0.3〜4.5mm、高さ5〜45mmのリブを、リブ間隔5〜45mmで4ケ以上連設した部位を有する平均肉厚1.0〜4.5mm、最大高さ5〜60mmの形状、更に好ましくは、厚み0.5〜4.0mm、高さ8〜40mmのリブを、リブ間隔7〜40mmで5ケ以上連設した部位を有する平均肉厚1.0〜4.5mm、最大高さ5〜50mmの形状が良い。
リブは、上記の形状を維持できれば、成形品の任意の個所にあればよい。成形品長手方向に対し、横に配列してもよいし、縦に配列してもよいし、斜めに配列してもよい。横リブ、縦リブ、斜めリブを組み合わせることもできる。各リブの厚み、高さ、方向は同一であってもよいし、それぞれ変えてもよい。
射出成形体の具体例としては、ピラー材、ドア材、インパネ材、センターパネル材、エアークリーナーケース材等の自動車の内外装樹脂製品、列車、飛行機等の座席及びその周辺の部材、乳児、幼児の玩具・乗物等が挙げられる。これらの中でも、自動車用エアーコンディショナーハウジングが好ましい。
本発明の好ましい射出成形体である自動車用エアーコンディショナーハウジングとしては、例えば、図1に示す形状の構造を有するものを挙げることができる。図1において、Rはリブを示し、各リブは、本発明の範囲を満足するものである。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの記載により何ら限定されるものではない。なお、各実施例及び比較例において用いた物性測定法及びプロピレン系重合体、は以下の通りである。
1.樹脂組成物の物性評価及び成形品の評価
(1)MFR(単位:g/10分):JIS K 7210に準拠し、230℃、2.16kg荷重で測定した。
(2)曲げ弾性率(単位:MPa):JIS−K7203に準拠して23℃で測定した。
(3)アイゾッド衝撃強度(単位:J/m):JIS−K7110に準拠し、23℃で測定した。
(4)成形品の評価:120(縦)×120(横)×2.5mm(肉厚)の平板に高さが20mmで20(縦)×25(横)×1mm(肉厚)のH/T:20で12枡目の格子形状のリブを有する成形体を射出成形(210℃、金型温度40℃)で成形した。得られた成形体について、次の評価を行った。
(i)リブクラック:成形体の格子根元のクラック発生の有無を目視で確認した。
(ii)成形性:ショートショットの有無を目視で確認した。
(iii)表面状態:成形品を素手で撫で、べたつき感を評価した。
(iv)成形品両端を両手で持ち、屈曲変形を加えたときの剛性感を評価した。
(1)MFR(単位:g/10分):JIS K 7210に準拠し、230℃、2.16kg荷重で測定した。
(2)曲げ弾性率(単位:MPa):JIS−K7203に準拠して23℃で測定した。
(3)アイゾッド衝撃強度(単位:J/m):JIS−K7110に準拠し、23℃で測定した。
(4)成形品の評価:120(縦)×120(横)×2.5mm(肉厚)の平板に高さが20mmで20(縦)×25(横)×1mm(肉厚)のH/T:20で12枡目の格子形状のリブを有する成形体を射出成形(210℃、金型温度40℃)で成形した。得られた成形体について、次の評価を行った。
(i)リブクラック:成形体の格子根元のクラック発生の有無を目視で確認した。
(ii)成形性:ショートショットの有無を目視で確認した。
(iii)表面状態:成形品を素手で撫で、べたつき感を評価した。
(iv)成形品両端を両手で持ち、屈曲変形を加えたときの剛性感を評価した。
2.使用材料
(1)ポリプロピレン
PP−1:日本ポリプロ製MH4(プロピレン単独重合体、MFR=5g/10分)
PP−2:日本ポリプロ製MA03(プロピレン単独重合体、MFR=25g/10分)
PP−3:日本ポリプロ製MA04A(プロピレン単独重合体、MFR=44g/10分)
PP−4:日本ポリプロ製BC03C(プロピレン・エチレンブロック共重合体、MFR=30g/10分、エチレン含有量=4重量%)
PP−5:日本ポリプロ製EA6(プロピレン単独重合体、MFR=2g/10分)
PP−6:試作品 プロピレン単独重合体、MFR=25g/10分に、化薬アクゾ社製のパーオキサイド パーカドックス14を0.06重量部添加し単軸押出機にてMFR=200g/10分を試作)
(2)タルク:富士タルク製LMS200(平均粒径=6μm)
(3)エルカ酸アミド:市販品(分子量=337)
(1)ポリプロピレン
PP−1:日本ポリプロ製MH4(プロピレン単独重合体、MFR=5g/10分)
PP−2:日本ポリプロ製MA03(プロピレン単独重合体、MFR=25g/10分)
PP−3:日本ポリプロ製MA04A(プロピレン単独重合体、MFR=44g/10分)
PP−4:日本ポリプロ製BC03C(プロピレン・エチレンブロック共重合体、MFR=30g/10分、エチレン含有量=4重量%)
PP−5:日本ポリプロ製EA6(プロピレン単独重合体、MFR=2g/10分)
PP−6:試作品 プロピレン単独重合体、MFR=25g/10分に、化薬アクゾ社製のパーオキサイド パーカドックス14を0.06重量部添加し単軸押出機にてMFR=200g/10分を試作)
(2)タルク:富士タルク製LMS200(平均粒径=6μm)
(3)エルカ酸アミド:市販品(分子量=337)
(実施例1)
PP−1 100重量部とタルク25重量部とエルカ酸アミド1.0重量部と熱安定剤としてイルガノックス1010(商品名)を0.1重量部を、スーパーミキサーにてドライブレンドした後、押出し温度200℃、吐出量35kg/hの条件で2軸押出し機(神戸製鋼社製、KTX44)を用いて溶融混練し、ポリプロピレン系樹脂組成物のペレットを得た。得られたポリプロピレン系樹脂組成物からH/Tが20のリブ付成形体を成形した。樹脂組成物と成形体の評価を行い結果を表1に示した。
PP−1 100重量部とタルク25重量部とエルカ酸アミド1.0重量部と熱安定剤としてイルガノックス1010(商品名)を0.1重量部を、スーパーミキサーにてドライブレンドした後、押出し温度200℃、吐出量35kg/hの条件で2軸押出し機(神戸製鋼社製、KTX44)を用いて溶融混練し、ポリプロピレン系樹脂組成物のペレットを得た。得られたポリプロピレン系樹脂組成物からH/Tが20のリブ付成形体を成形した。樹脂組成物と成形体の評価を行い結果を表1に示した。
(実施例2〜6)
表1に記載の原料及び配合量を用いて実施例1と同様にポリプロピレン系樹脂組成物のペレット、成形体を得た。得られた樹脂組成物と成形体の評価を行い結果を表1に示した。
表1に記載の原料及び配合量を用いて実施例1と同様にポリプロピレン系樹脂組成物のペレット、成形体を得た。得られた樹脂組成物と成形体の評価を行い結果を表1に示した。
(実施例7)
表1に記載の原料を用いて実施例1と同様にポリプロピレン系樹脂組成物のペレット、H/Tが10のリブ付成形体を成形した。樹脂組成物と成形体の評価を行い結果を表1に示した。
表1に記載の原料を用いて実施例1と同様にポリプロピレン系樹脂組成物のペレット、H/Tが10のリブ付成形体を成形した。樹脂組成物と成形体の評価を行い結果を表1に示した。
(比較例1〜6)
表1に記載の原料及び配合量を用いて実施例1と同様にポリプロピレン系樹脂組成物のペレット、成形体を得た。得られた樹脂組成物と成形体の評価を行い結果を表1に示した。
表1に記載の原料及び配合量を用いて実施例1と同様にポリプロピレン系樹脂組成物のペレット、成形体を得た。得られた樹脂組成物と成形体の評価を行い結果を表1に示した。
(比較例7〜9)
表1に記載の原料及び配合量を用いて実施例1と同様にポリプロピレン系樹脂組成物のペレットを得、H/Tが2、70、リブなしの成形体を得た。得られた樹脂組成物と成形体の評価を行い結果を表1に示した。
表1に記載の原料及び配合量を用いて実施例1と同様にポリプロピレン系樹脂組成物のペレットを得、H/Tが2、70、リブなしの成形体を得た。得られた樹脂組成物と成形体の評価を行い結果を表1に示した。
表1から明らかなように、本発明の成形体は、クラックは生ぜず、リブ末端まで充填され、べたつきなく、剛性感が良好なものであった(実施例1〜7)。
一方、ポリプロピレンのMFRが過少であると、リブ先端に充填不足が認められ成形性が不良と判断され(比較例1)、ポリプロピレンのMFRが過大であると、衝撃強度が低下し、実用上強度不足と判断された(比較例2)。フィラー含有量が過少であると曲げ弾性率が低く、成形品の剛性感も乏しく(比較例3)、フィラー含有量が過大であるとリブ根元にクラックが発生し、商品価値がなかった(比較例4)。脂肪酸アミド含有量が過少であると、リブ根元にクラックが発生し、商品価値がなく(比較例5)、脂肪酸アミド含有量が過大であると、成形品がべたついた(比較例6)。リブのH/Tが低いと、剛性感が乏しく、(比較例7)、リブのH/Tが高いとリブ根元にクラックが発生し、商品価値がなく(比較例8)、リブが存在しないと剛性感がなかった(比較例9)。
一方、ポリプロピレンのMFRが過少であると、リブ先端に充填不足が認められ成形性が不良と判断され(比較例1)、ポリプロピレンのMFRが過大であると、衝撃強度が低下し、実用上強度不足と判断された(比較例2)。フィラー含有量が過少であると曲げ弾性率が低く、成形品の剛性感も乏しく(比較例3)、フィラー含有量が過大であるとリブ根元にクラックが発生し、商品価値がなかった(比較例4)。脂肪酸アミド含有量が過少であると、リブ根元にクラックが発生し、商品価値がなく(比較例5)、脂肪酸アミド含有量が過大であると、成形品がべたついた(比較例6)。リブのH/Tが低いと、剛性感が乏しく、(比較例7)、リブのH/Tが高いとリブ根元にクラックが発生し、商品価値がなく(比較例8)、リブが存在しないと剛性感がなかった(比較例9)。
本発明の射出成形体は、軽量ながら、高い剛性感を有し、リブの根元の耐クラック性が改善され、成形時間を短縮することができる射出成形体であるので、ピラー材、ドア材、インパネ材、センターパネル材、エアークリーナーケース材等の自動車の内外装樹脂製品、列車、飛行機等の座席及びその周辺の部材、乳児、幼児の玩具・乗物等に用いることができる。
R リブ
Claims (5)
- MFRが5〜150g/10分のポリプロピレン100重量部と、フィラー5〜80重量部と、脂肪酸アミド0.05〜5.0重量部とを含むポリプロピレン系樹脂組成物からなる成形体であって、少なくともリブを有し、前記リブの厚さ(T)と高さ(H)との比(H/T)が5〜50であることを特徴とする射出成形体。
- ポリプロピレンが、プロピレン単独重合体又はプロピレン・エチレンブロック共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の射出成形体。
- 脂肪酸アミドが、分子量250〜600の不飽和脂肪酸アミドであることを特徴とする請求項1又は2に記載の射出成形体。
- 脂肪酸アミドが、エルカ酸アミドであることを特徴とする請求項3に記載の射出成形体。
- 成形体が、自動車用エアーコンディショナーハウジングであることを特徴とする請求項1〜4にいずれか1項に記載の射出成形体。
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- 2006-04-27 JP JP2006123639A patent/JP2007290323A/ja active Pending
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