JPH09302148A - 防振ゴム組成物および防振ゴム - Google Patents

防振ゴム組成物および防振ゴム

Info

Publication number
JPH09302148A
JPH09302148A JP11594596A JP11594596A JPH09302148A JP H09302148 A JPH09302148 A JP H09302148A JP 11594596 A JP11594596 A JP 11594596A JP 11594596 A JP11594596 A JP 11594596A JP H09302148 A JPH09302148 A JP H09302148A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
fatty acid
unsaturated fatty
acid amide
vibration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP11594596A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3526045B2 (ja
Inventor
Akihiro Shibahara
彰広 柴原
Hajime Kato
元 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
Priority to JP11594596A priority Critical patent/JP3526045B2/ja
Publication of JPH09302148A publication Critical patent/JPH09302148A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3526045B2 publication Critical patent/JP3526045B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スタビライザブッシュなどの磨耗の激しい使
用環境下においても、経時的に摩擦低減化効果が低下す
ることがなく、長期に亘ってスティックスリップ現象に
よる異音の発生を抑制し得る防振ゴム組成物の提供。 【解決手段】 ブタジエンゴムを78重量%以上含有す
るゴム成分中に、加硫剤と不飽和脂肪酸アミドを含有す
る防振ゴム組成物およびそのゴム組成物を用いてなる防
振ゴム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属製部品と接触
して使用される防振ゴム部分で発生する異常音を抑制す
ることのできるゴム組成物およびその組成物を用いてな
る防振ゴムに関する。さらに詳しくいえば、スティック
スリップ現象による異常音を発生しやすい自動車等の車
両用のスタビライザブッシュやサスペンションブッシュ
などの用途に適した防振ゴム組成物および防振ゴムに関
する。
【0002】
【従来の技術とその課題】自動車用防振ゴムの中で、ス
タビライザブッシュなど金属部品(スタビライザバー)
を嵌め込んで使用される防振ゴムでは発進時や急ブレー
キ時、さらには左右旋回時等にスタビライザバーとスタ
ビライザブッシュ内孔表面との接触部分において回転力
や拗れ力がかかり、スティックスリップ現象により異音
が発生しやすく、その対策が求められている。
【0003】この対策として、ゴム表面の摩擦係数を低
下させる種々の方法が検討されている。例えば、ゴム成
分中にワックスを添加する方法、ワックスとある種の脂
肪酸アミドを併用する方法、液状シリコーンオイルを添
加する方法等が提案されている。ワックスを添加する方
法は摩擦係数低減の効果が不十分であり、その効果は長
続きせず、ある種の脂肪酸アミドを併用して低摩擦抵抗
を達成しても、常温付近の非常に狭い温度範囲でしか摩
擦低減効果が得られず、低温下あるいは高温下では摩擦
低減化効果は不充分である。また、シリコーンオイルを
添加する方法は摩擦係数の低減に関しては優れた効果を
示すが、シリコーンオイルはゴム成分との相溶性が悪
く、混練加工性が著しく劣り、量産化が困難であるとい
う問題を有している。
【0004】そこで、本発明者らは、不飽和脂肪酸アミ
ドをゴム成分中に配合すると、これらの成分が徐々にゴ
ム表面に滲出(ブルーム)する自己潤滑剤として働き、
広い温度範囲で摩擦係数を大幅に低減させることができ
ること、不飽和脂肪酸アミド類はゴム成分との相溶性が
良好で加工性に優れることなどを確認し、前記の問題が
解決された防振ゴム組成物および防振ゴムを提案してい
る(特開平6-234866号公報)。
【0005】しかしながら、上記の不飽和脂肪酸アミド
を含有する防振ゴムは、摩擦低減化効果の点でなお充分
満足できるものではなかった。すなわち、防振ゴムが金
属相手材と摺擦されることにより、局部的な発熱、ある
いは酸化反応が起こりゴム表面に低分子量の粘着性磨耗
粉が生成し、この粘着性磨耗粉によりゴム表面の摩擦係
数が高くなる。また、スタビライザブッシュなど磨耗の
激しい箇所では、磨耗によりゴム表面にブルームした不
飽和脂肪酸アミド類がスタビライザバーにより削り取ら
れ、さらに、外界よりブッシュとバーとの間に水や埃な
どが入り込んで、一層削り取られやすくなり、潤滑剤の
ブルームによる潤滑剤層の形成が間に合わず、初期に見
られる摩擦低減化効果が経時的に低下してしまい、異音
の発生原因となっていた。
【0006】従って、本発明の課題は、摩擦係数の増大
の要因となるゴム表面の磨耗による粘着性磨耗粉の生成
を抑え、かつ実用上遭遇する磨耗の激しいゴム表面から
消費される量に見合う自己潤滑剤(不飽和脂肪酸アミ
ド)が内部から速い速度で表面にブルームし得る防振ゴ
ム組成物および防振ゴムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記課題を解
決すべく鋭意検討した結果、ゴム成分としてブタジエン
ゴム成分を従来より多く配合するとゴム表面の磨耗によ
る粘着性磨耗粉の生成が抑制され、また潤滑剤のブルー
ム速度が向上し、スタビライザブッシュなどの磨耗度の
激しい部位に用いた場合にも摩擦低減化効果が長期間維
持されることを見出した。
【0008】従来の自己潤滑性の防振ゴム組成物におい
ては、ゴム成分として加工性や機械的特性に優れる天然
ゴムが使用されている。しかし、天然ゴムは摩擦による
熱等により粘着性磨耗粉を生成し易く、また潤滑剤成分
のブルーム速度が遅いため、スタビライザブッシュなど
磨耗度の激しい部位に用いた場合には摩擦低減の効果が
徐々に低下する。
【0009】なお、反発弾性率を向上させるためにゴム
成分中にブタジエンゴムを配合することが一般に行なわ
れているが、スタビライザブッシュなど磨耗の激しい部
位に用いる場合には耐久性および強度が低下するので、
その配合量はせいぜい40重量%程度までとして使用さ
れている。
【0010】しかしながら、本発明者らは自己潤滑性の
防振ゴム組成物においてはブタジエンゴムを多量に配合
すると磨耗を受けた際、磨耗したゴム表面自体が他のゴ
ムの場合とは異なり粘着性が低くなり磨耗直後の摩擦係
数低減化効果が長期間維持されること、また耐久性や強
度も実用上問題となるレベルまでは低下しないことを確
認して本発明に到達した。
【0011】すなわち、本発明は以下の防振ゴム組成物
およびそれを用いた防振ゴムを提供するものである。 (1) ブタジエンゴムを78重量%以上含有するゴム
成分中に、加硫剤と不飽和脂肪酸アミドを含有せしめて
なる防振ゴム組成物。 (2) 不飽和脂肪酸アミドの含有量がゴム成分100
重量部に対して、10〜50重量部である前記1に記載
の防振ゴム組成物。 (3) 架橋密度が2.9 ×104 〜7.0 ×104 mol/cm3
ある前記1〜2に記載の防振ゴム組成物。 (4) 40℃、6日放置後における不飽和脂肪酸アミ
ドのブルーム膜厚成長が40℃、6日放置後において2
5μm以上である前記1〜3に記載の防振ゴム組成物。 (5) 前記1〜4に記載の防振ゴム組成物を用いてな
る防振ゴム。 (6) スタビライザブッシュ用である前記5に記載の
防振ゴム。 以下、本発明の防振ゴム組成物および防振ゴムについて
詳しく説明する。
【0012】
【発明の実施形態】
(1)ゴム成分 本発明ではベースゴムとしてブタジエンゴムを78重量
%以上、好ましくは80重量%以上含有する混合ゴムを
使用する。ブタジエンゴムの配合量が78重量%未満だ
と、摩擦磨耗を受けた際に局部発熱あるいは酸化反応が
生じ低分子量粘着性磨耗粉が生成し摩擦係数が上昇して
しまい、スタビライザブッシュなどに適用した場合にス
ティックスリップ現象により異音が発生する。また、自
己潤滑剤成分である不飽和脂肪酸アミドのブルーム速度
が不十分となり、磨耗により経時的に摩擦係数が上昇し
異音の発生原因となる。ブタジエンゴム(BR)以外の
ゴム成分としては天然ゴム(NR)、スチレンブタジエ
ンゴム(SBR)などの合成ゴムが挙げられる。使用で
きる混合ゴムとしてはブタジエンゴム−天然ゴム(BR
−NR)、ブタジエン−スチレンブタジエンゴム(BR
−SBR)、ブタジエンゴム−天然ゴム−スチレンブタ
ジエンゴム(BR−NR−SBR)などが挙げられる。
【0013】(2)加硫剤 本発明においては、一般に使用されているいずれの加硫
剤も使用できる。具体的には、硫黄、モルホリンジスル
フィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等が挙げら
れ、硫黄が好ましい。硫黄の配合量は、ゴム成分100
重量部に対し2〜8重量部程度である。
【0014】(3)自己潤滑剤 本発明では上記ゴム成分中に自己潤滑剤として不飽和脂
肪酸アミドを含有させる。本発明で用いることのできる
不飽和脂肪酸アミドとは、一般式RCONH2 (式中、
Rは不飽和脂肪酸アルキレン基を表わす。)で示される
ものであり、分子量250〜350、融点90℃以下の
ものが好ましい。融点が90℃より高いものでは低温雰
囲気下での摩擦低減化効果が不十分となる上、分子量が
高くなりブルーム速度も遅くなる。具体的にはオレイン
酸アミド、エルカ酸アミドなどが挙げられる。これらの
潤滑剤成分は単独で、または2種以上を併せて用いるこ
とができる。上記の潤滑剤成分の配合量はゴム成分10
0重量部に対して10〜50重量部、特に15〜25重
量部となる量が好ましい。不飽和脂肪酸アミドの配合量
が10重量部未満だと摩擦の低減効果が不十分であり、
50重量部を超えるとゴムの機械的な物性が低下する。
【0015】(4)添加剤 本発明の防振ゴム組成物には上記の必須成分のほか、従
来よりゴム用の添加剤として使用されている加硫促進
剤、補強材、加硫助剤、軟化剤、加工助剤、老化防止
剤、充填材等を配合することができる。
【0016】加硫促進剤は、ゴムポリマーのラジカル切
断を抑制し架橋効果を向上させるための添加剤であり、
ゴム成分100重量部に対し 0.5〜5重量部程度用いる
ことができる。加硫促進剤の例としては、N−シクロヘ
キシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−
オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンア
ミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾール
スルフェンアミド等のスルフェンアミド系化合物;2−
メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,4−ジニトロ
フェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6
−ジエチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、
ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系化合
物;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジ
ン、トリフェニルグアニジン、オルトトリルビグアニ
ド、ジフェニルグアニジンフタレート等のグアニジン系
化合物;アセトアルデヒド−アニリン反応物、ブチルア
ルデヒド−アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミ
ン、アセトアルデヒド−アンモニア反応物等のアルデヒ
ド−アミンまたはアルデヒド−アンモニア系化合物;2
−メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系化合物;
チアカルバミド、ジエチルチオ尿素、ジブチルチオ尿
素、トリメチルチオ尿素、ジオルトトリルチオ尿素等の
チオ尿素化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィ
ド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチル
チウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフ
ィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチ
ウラム系化合物;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ
エチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルチオカルバミ
ン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブ
チルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオ
カルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸
セレン、ジエチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオ
カルバミン酸塩系化合物;ジブチルキサントゲン酸亜鉛
等のキサンテート系化合物等の化合物が挙げられる。
【0017】加硫物の機械特性(引張強度、硬度、引裂
強度、磨耗性等)を増強させるために用いられる補強材
としては、カーボンブラック、シリカ等が挙げられる。
その配合量は一概に規定できないが、一般的にはゴム成
分100重量部に対して10〜150重量部程度であ
る。
【0018】加硫助剤としては亜鉛華(ZnO)などの
金属酸化物が挙げられ、加硫時に発生する硫化水素を捕
捉し(反応系から除去)、加硫反応を促進させるために
用いられる。その配合量は一般にゴム成分100重量部
に対して3〜15重量部である。
【0019】軟化剤としては、プロセスオイル、潤滑
油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、
ワセリン等の石油系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタ
ネ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;トール油;サブ;蜜
ロウ、カルナバロウ、ラノリン等のワックス類;リノー
ル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸等が挙
げられ、ゴム成分100重量部に対して40重量部程度
まで用いられる。
【0020】添加する無機物とゴム成分との潤滑剤とし
ての役割を果たす加工助剤としてはステアリン酸などの
脂肪酸が挙げられる。配合量はゴム成分100重量部に
対して0.5 〜5重量部程度である。
【0021】老化防止剤(劣化防止剤)としては、アミ
ン系、フェノール系、イミダゾール系、カルバミン酸金
属塩、ワックス等が挙げられ、ゴム成分100重量部に
対して0.5 〜8重量部程度配合することができる。
【0022】充填剤の例としては、上記補強材の他に炭
酸カルシウム、クレー、タルク等が挙げられ、ゴム成分
100重量部に対して150重量部程度まで配合するこ
とができる。以上の添加剤の他にも従来より知られてい
る慣用の配合剤を用いてもよい。
【0023】(5)架橋密度 本発明では、不飽和脂肪酸アミド(自己潤滑剤)のブル
ーム速度を高めるために、上記のゴム成分、加硫剤、自
己潤滑剤およびその他の添加剤を用い、架橋密度が 2.0
×104 〜 3.0×104 mol/cm3 程度の従来の防振ゴム組成
物よりも高い架橋密度となるように加硫調整することが
好ましい。具体的には、架橋密度 2.9×104 〜 7.0×10
4 mol/cm3 、好ましくは 4.0×104 〜 6.0×104 mol/cm
3 に調整することが好ましい。ここで架橋密度(mol/cm
3 )とは、後述の実施例の項で詳述するように、成形ゴ
ム試料について測定した圧縮応力と歪みとの関係から、
下記のフローリー−レーナー(Flory-Rehner)の式に基
いて得られるものを意味する。
【0024】
【数1】
【0025】数式中の記号は以下の通りである。 f : 圧縮応力 k : ボルツマン定数 T : 絶対温度 υ : 架橋密度 V0 : 試料の体積 φ : 充填剤の体積分率 V0 ’: 純ゴムポリマーの体積(V0 (1−φ)) A0 : 膨潤前の試料断面積 L0 : 膨潤前試料の高さ LS0 : 膨潤後試料の圧縮前高さ LS : 膨潤後試料の圧縮中高さ α : 試料の圧縮率(LS /LS0
【0026】架橋密度を上記範囲とすることによりゴム
組成物中の不飽和脂肪酸アミドのブルーム速度が速くな
り、スタビライザブッシュなどの磨耗度の激しい部位に
用いた場合においても、経時的に摩擦低減化効果が低下
しない。架橋密度が低いとゴムの内圧が低いため不飽和
脂肪酸アミドのブルーム速度が十分でなく、磨耗度の激
しい部位に用いた場合に摩擦低減化効果を維持できな
い。また、架橋密度が高くなり過ぎると防振ゴムとして
の強度が低下する。これら架橋密度の調整は、通常は配
合する加硫剤や加硫促進剤の量によって行なうことがで
きる。また、加硫助剤の併用、あるいはその使用量によ
り調整することもできる。
【0027】(6)ブルーム膜厚成長速度 本発明では、40℃、6日放置後における不飽和脂肪酸
アミドのブルーム膜厚成長が25μm以上、さらには3
5μm以上であることが望ましい。ブルーム膜厚成長速
度が遅いと磨耗により経時的に摩擦係数が上昇し、異音
が発生しやすくなる。ブルーム膜厚成長速度は不飽和脂
肪酸アミドの種類(低分子量、低融点のものが好まし
い。)や不飽和脂肪酸アミドの配合量および架橋密度な
どによって調整することができる。
【0028】(7)製造方法 本発明の防振ゴム組成物は、例えば以下のようにして製
造される。すなわち、素練りしたゴム成分およびその他
の各添加剤を均一に混合した後、加硫温度以下の温度で
混練する。次いで加硫温度以上の温度でその未加硫ゴム
を加硫成形する。加硫時の温度や加硫時間は適宜設定す
ればよいが、温度が高すぎると加硫戻りなどによりゴム
の強度が低下しやすい上、架橋密度の低下により潤滑剤
のブルーム速度が遅くなり、温度が低すぎると加硫が十
分に進行せず低架橋密度により、これもまた潤滑剤ブル
ーム速度が低下する傾向となる。
【0029】以上により得られた本発明の防振ゴムは、
スタビライザブッシュなどの嵌め込み式ブッシュに好ま
しく用いることができるが、その他に金属とゴムとが接
着固定されずに接触し、回転力や荷重などがかかる部位
に用いることができる。
【0030】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳細に説明するが、本発明は下記の記載により限定
されるものではない。なお、各実施例および比較例にお
いて、原料ゴムおよび添加剤としては、以下のものを使
用した。
【0031】(1)ゴム成分 天然ゴム(NR)。 ブタジエンゴム(BR)。 (2)不飽和脂肪酸アミド:オレイン酸アミド。 (3)カーボンブラック:ファーネスブラック(FE
F)。 (4)加硫剤:硫黄。 (5)加硫促進剤:N−シクロヘキシル−2−ベンゾベ
ンゾチアゾリルスルフェンアミド(CZ:大内新興化学
株式会社製)。 (6)加硫助剤:亜鉛華(ZnO)。 (7)軟化剤:ナフテン系プロセスオイル。 (8)潤滑剤:ステアリン酸。 (9)老化防止剤 アミン系老化防止剤:3C(精工化学社製)。 アミン−ケトン系老化防止剤:RD(精工化学社製)。
【0032】実施例1〜6及び比較例1〜2 上記の各成分を表1に示す割合で常法により配合・混練
して防振ゴム組成物を調製した。
【0033】
【表1】
【0034】得られた配合ゴム組成物を以下の方法で成
形・加硫して、常態特性(100%引張応力M100 、破
断強度TB、破断伸びEBおよび硬度HS)、架橋密
度、潤滑剤膜厚、ウィリアムス磨耗試験15分後〜60
分後の摩擦係数を測定し、耐久試験後のスタビライザブ
ッシュ異音の有無、前記異音試験後のブッシュ内孔表面
の粘着性の有無を観察・評価した。その結果を表2に示
す。
【0035】1)常態特性 150℃で20分間加硫してなる2mm厚のシートをダ
ンベル型(JIS K6301)に成形した後、JIS K6301 に記
載の方法に従い温度25℃、引張速度500mm/分の
条件で引張り試験を行ない、100%引張応力M
100 (MPa)、破断強度TB(MPa)および破断伸
びEB(%)を測定した。また、硬度HSについても同
じくJIS K6301 に記載の方法に従いスプリング硬度をJI
S A 硬度計により測定した。
【0036】2)架橋密度 150℃で20分間加硫して製造した厚さ1mmのゴム
シートをアセトンで24時間ソックスレー抽出し、12
時間真空乾燥した。このシートを2mm×2mm×1m
m程度に切断し、その寸法を精密測定した後、テトラヒ
ドロフラン/ベンゼン(1/1)混合溶媒に6時間浸漬
し膨潤させた。膨潤後の試料の高さを精密に測定した
後、サーモメカニカルアナライザ(Thermomechanical A
nalyzer )(TA−50WS:島津製作所製)により圧
縮応力と歪みとの関係を求め、フローリー−レーナー
(Flory-Rehner)の式に基いて架橋密度(mol/cm3 )を
算出した。
【0037】3)潤滑剤膜厚 150℃で20分間加硫して得た厚さ2mmのゴムシー
トを40mm×10mmに切断し、そのシート表面に浸
出した潤滑剤を有機溶剤(アルコール)で完全に拭き取
り、40℃で6日間放置した後、液体窒素に浸漬凍結
し、折り曲げて破断した。破断面を電子顕微鏡で観察
し、潤滑剤層の膜厚を測定した。
【0038】4)ウィリアムス磨耗試験15〜60分後
の摩擦係数 配合ゴム組成物を150℃で20分間加硫して、ウィリ
アムス磨耗試験(JISK6264 )用の試料を作製し、JIS K
6264 の定荷重ウィリアムス磨耗試験のA法に従い(但
し、研磨板には砥石ではなく鉄板を用いる。研磨板の面
粗度:Rz20μm)、試料を磨耗した後、室温にて1
5分間、30分間、45分間および60分間放置後、図
1に示す試験機にて摩擦係数を測定した。すなわち、ゴ
ム試料(1)を可動台(2)に接着し、この可動台
(2)を面方向に毎秒3mmの速度で7mm移動させた
とき、ロードセル(図示せず)に固定されて移動不可能
な相手材3の接触面に加わる力(F)をロードセルで測
定した。ここで相手材3としてはステンレス製で、接触
面は10mm×10mm、面粗度(Rmax )が5〜10
μmのものを使用した。また、相手材(3)には100
gの荷重4を載置した。摩擦係数μは、F=μMの式に
て算出されるμ値である。なお、移動し始めて最初に得
られる摩擦係数ピークを静摩擦係数(μs)、その後7
mm移動する間に得られる摩擦係数の平均値を動摩擦係
数(μk)とした。表2にウィリアムス磨耗試験15分
後の静摩擦係数(μs)と動摩擦係数(μk)を、また
図2にウィリアムス磨耗試験15〜60分後の静摩擦係
数(μs)を示す。
【0039】5)耐久試験後のスタビライザブッシュ異
音試験 150℃で30分間加硫成形してなる防振ゴムについ
て、図3に示す試験機により耐久試験後異音試験を行な
った。すなわち、スタビライザバー(10)が挿入され
たスタビライザブッシュ(11)を取付金具(12)で
ボルト(15)およびナット(16)を用いて試験治具
(13)に固定し、測定試料とし、この試料に、軸直方
向Aに対して荷重0±100kgを0.3 Hzで加え、ま
たスタビライザバー(10)を0±15度の角度範囲、
2Hzで矢印Bのように周方向に往復揺動させて捩れ力
を加え、かつスタビライザバー(10)とスタビライザ
ブッシュ(11)の接触部位に試験ダスト (JIS Z890
1 による関東ローム8種)5%含有の懸濁液(泥水)
(20)を1時間当たり20ccの速度でふきかけた。
前記の捩りを60万回実施した後、試料を1時間室温で
放置し、スタビライザバー(10)を固定して、試験治
具の支棒14を手動で矢印Cのようにスタビライザバー
(10)に対し周方向に往復揺動させたときに発生する
異音の有無を室温(25℃)において以下の基準により
評価した。 ◎…無音 ○…かすかに異音がする ×…異音発生
【0040】6)上記異音試験後のブッシュ内孔の粘着
性 目視と触感により判断した。
【0041】
【表2】
【0042】表2及び図2から明らかなように、ブタジ
エンゴムの配合割合が低い防振ゴム(比較例1および
2)で4は特に磨耗試験直後(15分後)の摩擦係数が
高く異音が発生する(なお、磨耗試験後の時間の経過に
つれて架橋密度を上げたことによる効果と、潤滑剤のブ
ルーム速度の向上効果により比較例および実施例の試料
共に静摩擦係数が低下し、60分後には比較例と実施例
で同レベルになっている。)。また、ブッシュ内孔面に
粘着性摩耗粉が生じる。これらに対してブタジエンゴム
の配合割合の高い本発明の防振ゴムはいずれも磨耗試験
直後の摩擦係数が低く異音が発生せず、粘着性摩耗粉も
生じない。中でも本発明の防振ゴムにおいて架橋密度が
4.0 ×104 〜6.0 ×104 mol/cm3 の範囲にあるもの(実
施例3〜5)は常態物性、潤滑剤膜厚および摩擦係数の
物性バランスが特に優れている。また、実施例2と比較
例1、および実施例4と比較例2の防振ゴムを比較する
と、両者の相違はゴム成分の組成割合が異なるだけであ
るが(実施例:ブタジエンゴム/天然ゴム=80/2
0,比較例:ブタジエンゴム/天然ゴム=75/2
5)、その物性は常態特性、架橋密度および潤滑剤膜厚
については大きな相違はないものの、磨耗直後の摩擦係
数(約2倍の開き)、異常音および粘着性は大きく異な
っており、本発明によるゴムが特に優れた効果を有する
ことが分る。
【0043】
【発明の効果】本発明の防振ゴム組成物は、ブタジエン
ゴムを78重量%以上含有するゴム成分中に加硫剤と不
飽和脂肪酸アミドを含有してなり、摩擦時に粘着性摩耗
粉が生成せず、また自己潤滑剤としての不飽和脂肪酸ア
ミド類のブルーム速度が従来の自己潤滑剤含有ゴムに比
べて速い。従って、自動車のスタビライザブッシュなど
磨耗の激しい使用環境下においても、経時的に摩擦低減
化効果が低下することがなく、長期に亘ってスティック
スリップ現象による異音の発生を抑制することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ウィリアムス磨耗試験後の摩擦係数の測定に
用いる試験機の概略断面図である。
【図2】 ウィリアムス磨耗試験15分後から60分後
における、実施例および比較例試料の静摩擦係数の変化
を示すグラフである。
【図3】 スティックスリップ現象による異音試験を実
施する試験機の斜視図である。
【符号の説明】
1 ウィリアムス磨耗試験用試験片 2 可動台 3 相手材 4 荷重 10 スタビライザバー 11 スタビライザブッシュ 12 取付金具 13 試験治具 20 懸濁液(泥水)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブタジエンゴムを78重量%以上含有す
    るゴム成分中に、加硫剤と不飽和脂肪酸アミドを含有せ
    しめてなる防振ゴム組成物。
  2. 【請求項2】 不飽和脂肪酸アミドの含有量がゴム成分
    100重量部に対して、10〜50重量部である請求項
    1に記載の防振ゴム組成物。
  3. 【請求項3】 架橋密度が2.9 ×104 〜7.0 ×104 mol/
    cm3 である請求項1または2に記載の防振ゴム組成物。
  4. 【請求項4】 40℃、6日放置後における不飽和脂肪
    酸アミドのブルーム膜厚成長が25μm以上である請求
    項1乃至3のいずれかの項に記載の防振ゴム組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかの項に記載の
    防振ゴム組成物を用いてなる防振ゴム。
  6. 【請求項6】 スタビライザブッシュ用である請求項5
    に記載の防振ゴム。
JP11594596A 1996-05-10 1996-05-10 防振ゴム組成物および防振ゴム Expired - Fee Related JP3526045B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11594596A JP3526045B2 (ja) 1996-05-10 1996-05-10 防振ゴム組成物および防振ゴム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11594596A JP3526045B2 (ja) 1996-05-10 1996-05-10 防振ゴム組成物および防振ゴム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09302148A true JPH09302148A (ja) 1997-11-25
JP3526045B2 JP3526045B2 (ja) 2004-05-10

Family

ID=14675064

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11594596A Expired - Fee Related JP3526045B2 (ja) 1996-05-10 1996-05-10 防振ゴム組成物および防振ゴム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3526045B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003056646A (ja) * 2001-08-13 2003-02-26 Fukoku Co Ltd 自己潤滑性ダンパゴムおよびこれを用いたゴムカップリング
JP2007290323A (ja) * 2006-04-27 2007-11-08 Japan Polypropylene Corp 射出成形体
JP2017049807A (ja) * 2015-09-02 2017-03-09 東洋ゴム工業株式会社 架橋高分子のパラメータを算出する方法、装置及びプログラム
JP2017532419A (ja) * 2014-10-15 2017-11-02 株式会社ブリヂストン 改善されたゴム組成物及びその使用
JP2022100667A (ja) * 2020-12-24 2022-07-06 鬼怒川ゴム工業株式会社 防振ゴム組成物および防振ゴム

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003056646A (ja) * 2001-08-13 2003-02-26 Fukoku Co Ltd 自己潤滑性ダンパゴムおよびこれを用いたゴムカップリング
JP2007290323A (ja) * 2006-04-27 2007-11-08 Japan Polypropylene Corp 射出成形体
JP2017532419A (ja) * 2014-10-15 2017-11-02 株式会社ブリヂストン 改善されたゴム組成物及びその使用
JP2017049807A (ja) * 2015-09-02 2017-03-09 東洋ゴム工業株式会社 架橋高分子のパラメータを算出する方法、装置及びプログラム
JP2022100667A (ja) * 2020-12-24 2022-07-06 鬼怒川ゴム工業株式会社 防振ゴム組成物および防振ゴム

Also Published As

Publication number Publication date
JP3526045B2 (ja) 2004-05-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2011052200A (ja) 防振ゴム組成物
JP3526045B2 (ja) 防振ゴム組成物および防振ゴム
JPH1060179A (ja) 自己潤滑ゴム組成物および防振ゴム
JP2018080531A (ja) 防舷材用ゴム組成物
WO2018198647A1 (ja) 防振ゴム用ゴム組成物及び車両用防振ゴム
JP4991163B2 (ja) 架橋用ゴム組成物
JP2008179722A (ja) ゴム組成物の製法およびそれによって得られたゴム製品
JP2019026794A (ja) 防振ゴム用ゴム組成物及び車両用防振ゴム
JP7328953B2 (ja) 防振ゴム組成物および防振ゴム
JP2011046812A (ja) 潤滑ゴム組成物及び防振ゴム
JPH10219029A (ja) 高減衰ゴム支承用ゴム組成物
JPH09235414A (ja) 防振ゴム組成物および防振ゴム
JP2016155888A (ja) 防振ゴム用ゴム組成物及び防振ゴム
JP2004124018A (ja) 高減衰積層体用ゴム組成物および該組成物を用いた高減衰積層体
KR102634385B1 (ko) 댐퍼마운트 부시의 고피로 재료 조성물
JPH061893A (ja) 耐熱防振ゴム用ゴム組成物
JP7296414B2 (ja) 防振ゴム組成物および防振ゴム
JP6105426B2 (ja) 防振ゴム組成物及び防振ゴム
JP2002013121A (ja) 防舷材およびその製造方法
JP2008208204A (ja) 防振ゴム組成物およびそれを用いた防振ゴム
JPH08269237A (ja) 防振ゴム組成物
JPH08269236A (ja) 防振ゴム組成物
JP2023106743A (ja) 防振ゴム組成物および防振ゴム
JP2008303234A (ja) 未加硫ゴム組成物および加硫ゴム
JPH0797483A (ja) 防振ゴム組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20031224

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040129

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040211

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080227

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090227

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090227

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100227

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110227

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120227

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130227

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140227

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees