JP7328953B2 - 防振ゴム組成物および防振ゴム - Google Patents

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本発明は、防振ゴム組成物および防振ゴムに関するものであり、詳しくは、高い熱雰囲気環境下の使用や低温雰囲気環境下での使用においても、優れた摺動性を維持でき、熱雰囲気と摩擦を繰り返しても、経時的に摩擦低減化効果の低下が小さく、さらに耐久性に優れた自動車用スタビライザブッシュなどに使用される防振ゴム組成物の提供及びそのゴム組成物を用いてなる防振ゴムに関するものである。
自動車用防振ゴム、例えばスタビライザブッシュ等金属部品を嵌め込んで使用される防振ゴムでは発進時や急ブレーキ時、さらに左右旋回時等に取付け金具とゴムブッシュ表面との接触部分でスティックスリップ現象により異音が発生し、その対策が求められている。かかる異音の対策として、脂肪酸アミドなどの潤滑剤を添加し加硫ゴム表面に潤滑剤をブルームさせて摩擦係数を低減させる自己潤滑ゴム組成物が提案されている。(特許文献1)。
また、広い温度領域での摩擦低減効果を得るために、脂肪酸アミドとして不飽和脂肪酸アミドを用いる提案(特許文献2)やオレイン酸アミドとステアリン酸アミドとシリコーンオイルを併用する提案(特許文献3)などがなされている。一方で、磨耗によりゴム表面にブルームした脂肪酸アミド類がスタビライザバーにより削り取られ、初期に見られる摩擦低減化効果が経時的に低下しやすい。この対策としてブタジエンゴムを78重量%以上含有するゴム成分中に、加硫剤と不飽和脂肪酸アミドを含有せしめる提案がなされている。(特許文献4)。
特開平6-100731号公報 特開平6-234886号公報 特開2001-046812号公報 特開平09-302148号公報
上記に記載の技術では、-30℃のような低温領域での使用や100℃のような高温に長時間さらされた後の使用では、摩擦低減効果が不十分な場合があった。また、特許文献4に記載されているようなブタジエンゴムを多量に含有し、加硫剤と不飽和脂肪酸アミドを含有せしめたゴム組成物を用いた場合には、ゴム強度が不足して破壊などの耐久性の点で不十分な場合やへたり(圧縮永久歪み)性が不十分な場合があった。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、本発明の課題は、高い熱雰囲気環境下の使用や低温雰囲気環境下での使用においても、優れた摺動性を維持でき、熱雰囲気と摩擦を繰り返しても、経時的に摩擦低減化効果が大きく低下することがなく、さらに耐久性に優れた自動車用スタビライザブッシュ用途などの防振ゴム組成物の提供及びそのゴム組成物を用いてなる防振ゴムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、主ゴム成分として天然ゴム(NR)とブタジエンゴム(BR)を用い特定の窒素吸着比表面積のカーボンブラックを用いて融点の異なる複数の脂肪酸アミドを特定量用いることで経時的に摩擦低減化効果を持続させることができ、さらに低温雰囲気下であってもゴムの摩擦係数を大幅に低減でき、高温で長期間さらされたあとでも十分に摩擦低減効果を発揮でき、さらに破壊や亀裂発生などが発生しにくいといった耐久性に優れた防振ゴム組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、例えば、以下の[1]~[5]に関する。
[1] 主ゴム成分として天然ゴム(NR)とブタジエンゴム(BR)を、質量比でNR/BR=10/90~40/60の割合で含むと共に、ゴム成分を100質量部としたときに、窒素吸着比表面積が46~120m2/gのカーボンブラックを40~80質量部含有し、かつ、該ゴム成分100質量部に対して、融点90~160℃の脂肪酸アミドを10~20質量部及び融点65~88℃の脂肪酸アミドを10~20質量部含有することを特徴とする防振ゴム組成物である。
[2] 融点65~88℃の脂肪酸アミドがオレイン酸アミド及びエルカ酸アミドの両方を含み、該ゴム成分100質量部に対して、オレイン酸アミドが3~10質量部かつエルカ酸アミドが3~17質量部含有することを特徴とする[1]記載の防振ゴム組成物である。
[3] 該ブタジエンゴム(BR)は、シス1,4-結合量が90%以上であり、かつ、100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)が50~75であることを特徴とする[1]乃至[2]記載の防振ゴム組成物である。
[4] 該ゴム成分を100質量部としたときに、イオウの含有量が0.1~0.8質量部であり、かつ、2-(4’-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール及びまたは4,4’-ジチオジモルホリンを1~5質量部含有することを特徴とする[1]乃至[3]のいずれかに記載の防振ゴム組成物である。
[5] [1]乃至[4]のいずれかに記載の防振ゴム組成物を用いてなる防振ゴムである。
本発明によれば、従来の低摩擦係数な防振ゴム組成物を用いた場合と比較して、高い熱雰囲気環境下の使用や低温雰囲気環境下での使用においても、優れた摺動性を維持でき、熱雰囲気と摩擦を繰り返しても、経時的に摩擦低減化効果の低下が小さく、さらに耐久性に優れた防振ゴム製造用の防振ゴム組成物を得ることができる。
実施例で用いたスタビライザブッシュの正面図である。 実施例で用いたスタビライザブッシュの断面図(中空部2の軸方向の断面図)である。 実施例で用いた異音試験方法及び耐久性試験方法を説明する斜視図である。 実施例で用いた異音試験方法及び耐久性試験方法を説明する正面図(スタビライザバー4の軸方向から臨んだ図)である。 実施例で用いた摩擦係数測定方法を説明するヘイドン摩擦摩耗試験機の概略構成図である。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
[ゴム成分]
本発明に係る防振ゴム組成物において、ゴム成分としては、主ゴム成分として天然ゴム(NR)とブタジエンゴム(BR)を、質量比でNR/BR=10/90~40/60の割合で含む。主ゴム成分とは、全ゴム成分中に90質量%以上が天然ゴム(NR)とブタジエンゴム(BR)の合計量(NR+BR)であることを意味する。主ゴム成分中のNR/BR=10/90~40/60(質量比)のとき、継続的に摩擦を受けてブルームした脂肪酸アミドが削られても、当該脂肪酸アミドが表面に順次出てきやすく、スティックスリップによる異音の発生が抑制されやすい。
ゴム成分中には、全ゴム成分の10質量%の割合でNR、BR以外のゴム成分を含有することができる。他のゴム成分としては、高硬度化と摩擦係数低減のためのハイスチレンゴムや加工性改善のためのSBRがあげられる。さらに、作業環境改善や加工性改善を目的とした加硫促進剤やイオウなどのマスターバッチが使用可能で、マスターバッチに含まれるEPDMなどの他ゴム成分が少量含まれてもなんら問題はない。
本発明で使用するブタジエンゴム(BR)としては、低温特性、繰り返し変形に対する耐久性の観点からシス1,4-結合量は高いほど好ましく、シス1,4-結合量が90%以上である高シスBRを使用することが好ましく、93%以上であることがより好ましい。
また、同じ化学組成のBRでは、ムーニー粘度(ML1+4)が高いほど分子量が高くなる傾向があり耐久性が良好になるため100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)は50以上が好ましい。一方で、ムーニー粘度(ML1+4)が高くなるに従い、ゴムの流動性が低下する傾向にあり、ムーニー粘度(ML1+4)があまりにも高いと防振ゴム材料組成物の練り加工性、成形加工性が悪化する傾向にある。そのため100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)は75以下であることが好ましい。より好ましくは、ムーニー粘度(ML1+4)65以下である。
このようなブタジエンゴムとしては、JSR BR730,JSR BR54,JSR BR740(以上、JSR社製)、ウベポール390L(宇部興産社製)、BUNA CB21,CB22,CB1221(以上、アランセオ社製)、ネオシスBR60(エニケム社製)などが挙げられる。
[カーボンブラック]
本発明に係る防振ゴム組成物においては、カーボンブラックとして、窒素吸着比表面積が46~120m2/gのカーボンブラックを40~80質量部含有する。窒素吸着比表面積は、カーボンブラックの粒子径の指標とされているものであり、窒素吸着比表面積が大きいことは、粒子径が小さいことを示す。
本発明で使用するゴム成分には、上記ゴム成分で説明した通り、ブタジエンゴム(BR)が多く含まれる。ブタジエンゴム(BR)は、カーボンブラックなどの補強剤無しではゴム強度が極めて低いが、微粒子カーボンブラックを添加することにより大きな補強効果が得られ、繰り返し変形などによる耐久性が向上する。
一方で、微粒子カーボンブラックを多く含有すると、グリップ性が高まり摩擦抵抗が上昇する。また、微粒子のカーボンブラックを多量添加することは、圧縮永久歪み性の悪化につながる。さらにカーボンブラックの粒子径と添加量は、脂肪酸アミドのゴム表面への析出性にも影響する。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積が小さい(粒子径が大きい)と、補強性が低いだけでなく、脂肪酸アミドのゴム中への保持性が低下し、使用開始初期の表面への析出が速く、持続性が不十分となりやすい。一方、カーボンブラックの窒素吸着比表面積が大きい(粒子径が小さい)と、ゴム強度は大きくなるが、均一分散が難しく、分散不良が発生し易い。分散不良は、耐久性の悪化につながる。さらに摩擦係数も大きくなるうえ、圧縮永久歪み性も悪化する。
46~120m2/gの窒素吸着比表面積のカーボンブラックをゴム成分100質量部に対して40~80質量部含有することで低摩擦の持続性を確保しつつ十分なゴム強度確保と圧縮永久歪みの悪化を抑制が可能となる。このようなカーボンブラックとしては、ゴム用ファーネスブラックとして知られるISAF級、ISAF-HS級、ISAF-LS級、HAF級、HAF-HS級、HAF-LS級、MAF級、MAF-HS級などのカーボンブラックが該当する。さらには、カラー用カーボンブラックや導電性カーボンブラックでもこの範疇の窒素吸着比表面積のカーボンブラックであれば、なんら問題なく使用することができる。
例えば、トーカブラック#7360SB、トーカブラック#7270SB、トーカブラック#4500(以上東海カーボン株式会社製)、MA8、MA230、MA220(以上三菱化学株式会社製)、SB735、SBSB285、SB335、SB605、SB625(以上旭カーボン株式会社製)などが挙げられる。
さらに、本発明で使用するカーボンブラックの窒素吸着比表面積は、65~85m2/gであるカーボンブラックをゴム成分100質量部に対して50~65質量部含有することがより好ましい。
また、本発明の窒素吸着比表面積以外のカーボンブラックを、硬さ調整や加工性調整を目的として、ゴム成分100質量部に対して20質量部以下の範囲で併用してもかまわない。併用する場合には、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、46m2/gよりも小さいカーボンブラックが圧縮永久歪み性を悪化させづらく好ましい。
[脂肪酸アミド]
本発明に用いる脂肪酸アミドは、上記ゴム成分100質量部に対して融点90~160℃の脂肪酸アミドを10~20質量部及び融点65~88℃の脂肪酸アミドを10~20質量部含有する。
融点65~88℃の脂肪酸アミドは、低温でも析出しやすく低温領域でも低摩擦化に寄与する。このため、10質量部以上の添加が必要である。一方で、20質量部を超えて添加すると、室温領域でも多量に析出しやすく、ゴム表面が過剰の脂肪酸アミドで覆われ、取り扱いに不具合が生じやすい。
融点90~160℃の脂肪酸アミドとしては、パルミチン酸アミド(融点100℃)、ステアリン酸アミド(融点101℃)、ヒドロキシステアリン酸アミド(融点107℃)、N-ステアリルステアリン酸アミド(融点95℃)、エチレンビスオレイン酸アミド(融点119℃)、エチレンビスエルカ酸アミド(融点120℃)、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド(融点110℃)、N,N’-ジオレイルアジピン酸アミド(融点118℃)、N,N’-ジオレイルセバシン酸アミド(融点113℃)、メチレンビスステアリン酸アミド(融点142℃)、エチレンビスラウリン酸アミド(融点157℃)、エチレンビスステアリン酸アミド(融点145℃)、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド(融点145℃)、エチレンビスベヘン酸アミド(142℃)、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド(融点140℃)、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド(融点142℃)、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド(融点135℃)、N,N’-ジステアリルアジピン酸アミド(融点141℃)などが挙げられる。ジエン系ゴムを用いた防振ゴムの場合、使用環境として100℃を超える温度環境では、ゴム成分の耐熱性確保が困難であり、使用に適さない。
より好ましくは、融点95~120℃の脂肪酸アミドの使用が好ましい。この比較的高融点の脂肪酸アミドの添加量は、ゴム成分100質量部に対して10~20質量部含有する。この添加量の時、100℃といった高温で長時間さらされても効果を維持される。20質量部を超えて添加しても効果の向上はなく、材料費が高くなって良くない。
融点65~88℃の脂肪酸アミドとしては、オレイン酸アミド(融点75℃)、エルカ酸アミド(融点81℃)、N-ステアリルオレイン酸アミド(融点67℃)、N-オレイルステアリン酸アミド(融点74℃)、N-ステアリルエルカ酸アミド(融点74℃)、ラウリン酸アミド(融点87℃)などが挙げられる。
融点65~88℃の脂肪酸アミド添加量は、ゴム成分100質量部に対して10~20質量部含有する。この量の時、低温から80℃程度までの使用環境領域で長期間さらされても低摩擦化を維持できる。中でも、オレイン酸アミド(融点75℃)、エルカ酸アミド(融点81℃)が低温で析出しやすく好ましく使用される。
特にオレイン酸アミドは、低温での析出がよく低温性に優れた低摩擦防振ゴム材料を得ることができるが、比較的短時間の高温雰囲気化でも析出量が多くなりすぎる傾向にある。オレイン酸アミド(融点75℃)、エルカ酸アミド(融点81℃)を併用することで析出速度を容易に制御でき、好ましい。
本発明の防振ゴム組成物においては、その必須成分である前記ゴム成分、カーボンブラック成分、脂肪酸アミド成分とともに、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、老化防止剤、充填剤、プロセスオイル、加工助剤、カップリング剤等を、必要に応じて適宜に含有させることも可能である。
[加硫系(加硫剤および加硫促進剤)]
本発明の防振ゴム組成物の加硫剤としては、公知の加硫剤を使用することができ、イオウないしイオウ系化合物による加硫、樹脂加硫、キノイド加硫、ビスマレイミド加硫、有機過酸化物加硫などの加硫方法が採用できる。これらの中では、イオウないしイオウ系化合物を使用した加硫が、防振ゴムの耐久性に優れることから好ましく使用される。
イオウないしイオウ系化合物は、具体的には、硫黄、塩化硫黄、2-(4’-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、4,4’-ジチオジモルホリン、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどが例示できる。この中で、イオウは、0.1~0.8質量部の範疇で含有することが好ましい。ゴムのイオウ加硫は、耐久性には優れるが、イオウ量が多くなると耐熱性に劣ることが知られている。したがって、耐熱性と耐久性の両立のため、イオウ量はこの範疇で含有することが好ましい。
2-(4’-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール及びまたは4,4’-ジチオジモルホリンは、1~5質量部の範疇で含有することが好ましい。前記2-(4’-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール及びまたは4,4’-ジチオジモルホリンを1~5質量部とは、2-(4’-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールと4,4’-ジチオジモルホリンの合計量として1~5質量部という意味である。前記の如く、本発明のゴム組成物には、ゴム成分100質量部に対して、脂肪酸アミドの合計量が20質量部以上含有される。このようなゴム組成物では、加硫速度が速くなり、スコーチ安定性が悪くなる傾向にある。2-(4’-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールと4,4’-ジチオジモルホリンの合計量が、この範疇のとき、耐熱性に優れ、かつスコーチ安定性に優れたゴム組成物が得られることから好ましい。
また、加硫剤としてイオウ化合物を使用するときは、加硫促進剤を併用することが好ましい。加硫促進剤は、具体的には、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系化合物や、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,4-ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,6-ジエチル-4-モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系化合物や、ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン、ジオルソニトリルグアニジン、オルソニトリルバイグアナイド、ジフェニルグアニジンフタレート等のグアニジン化合物や、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系化合物などを、あげることができる。
また、加硫速度の調整として、スコーチ防止剤であるN-シクロヘキシルチオフタルイミド、N-フェニル-N-(トリクロロメチルチオ)ベンゼンスルホンアミドなどを好ましく使用することができる。
[加硫助剤]
また、加硫剤としてイオウ化合物を使用するときは、酸化亜鉛(ZnO)、複合亜鉛華、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛等の加硫助剤を併用することが好ましい。これらの加硫助剤は単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
ここで、複合亜鉛華とは、表面に酸化亜鉛(亜鉛華)の層を有し、コア成分として内部に無機金属塩を含有するものなどが知られており、例えば井上石灰工業社製のMETA-Z Lシリーズ(META-Z L40、L50、L60)などが例示される。
酸化亜鉛若しくは複合亜鉛華の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、3質量部以上15質量部以下である。ステアリン酸若しくはステアリン酸亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上3質量部以下である。
[老化防止剤]
本発明のゴム組成物には、老化防止剤を含有することが好ましい。本発明で使用するジエン系ゴム(天然ゴム、ブタジエンゴム)は、ゴム成分として耐オゾン性や耐熱性に劣るため、公知の老化防止剤により改良することが好ましい。老化防止剤としては、例えば、カルバメート系老化防止剤、フェニレンジアミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、ジフェニルアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤、ワックス類等があげられる。これらは、単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
上記老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対し、1~15質量部の範囲が好ましく、3~10質量部の範囲がより好ましい。
[充填剤]
本発明の防振ゴム組成物には、硬さ等の調整や加工性の改善を目的として、充填剤を含有することができる。充填剤としては、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカ等のシリカ、炭酸カルシウム、クレー、タルク等の通常のゴム組成物に使用される充填剤を、適用することができる。これらの充填剤は、単独もしくは二種以上併せて用いることができる。
[プロセスオイル]
本発明の防振ゴム組成物には、硬さ等の調整や加工性の改善を目的として、プロセスオイルを含有することができる。プロセスオイルとしては、例えば、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、アロマ系オイル等があげられる。これらは、単独もしくは二種以上併せて用いることができる。
[加工助剤]
本発明の防振ゴム組成物には、加工性の改善を目的として、加工助剤を含有することができる。加工助剤としては、通常のゴムの加工に使用される化合物を適用することができる。具体的には、リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸や、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸の塩や、リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸のエステル類などが、挙げられる。これらは、単独もしくは二種以上併せて用いることができる。
[カップリング剤]
本発明の防振ゴム組成物には、振動特性の調整を目的として、カーボンブラックとのカップリング剤、シランカップリング剤が使用できる。カーボンブラックとのカップリング剤としては、例えば、ヒドラジド化合物系カップリング剤、スルフィド化合物系カップリング剤、ピラゾロン系化合物系カップリング剤などが挙げられ、シランカップリング剤としては、例えば、メルカプト系シランカップリング剤、スルフィド系シランカップリング剤、アミン系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、ビニル系シランカップリング剤等が、単独もしくは二種以上併せて用いられる。中でも、上記シランカップリング剤は、メルカプト系シランカップリング剤やスルフィド系シランカップリング剤などが挙げられる。これらは、単独もしくは二種以上併せて用いることができる。
[防振ゴム組成物の調製方法]
ここで、本発明の防振ゴム組成物は、その必須材料であるゴム成分、カーボンブラック成分、脂肪酸アミドおよび必要に応じて上記列記したその他の材料を用いて、これらを加圧ニーダー,バンバリーミキサー,インターミックスミキサー,オープンロール等の混練機を用いて混練することにより、調製することができる。
本発明の防振ゴム組成物は、加硫温度145~170℃で5~30分間、加硫することにより弾性体となる。そして、本発明の防振ゴム組成物の加硫した弾性体からなる摺接部を備えた防振ゴム部材は、自動車等の車両に用いられるスタビライザブッシュ等のように、摺動性が要求される防振ゴム部材として、好適に用いることができる。
なお、上記摺接部の形状は、摺接する相手側部材の形状に依存する。そのため、例えば、相手側部材が金属シャフトのようなものであれば、上記摺接部の形状は、上記金属シャフトを挿入するための挿入孔が設けられた形状となる。そして、これらの防振ゴム部材は、温度環境や継続的使用に起因する摺動性の低下を解消することができ、相手側部材との間の摩擦抵抗の上昇を効果的に抑えることができる。そのため、摺動時に異音(スティックスリップ音)が発生したり、車両の乗り心地が悪くなる等の問題を、解消することができる。
図1及び図2は、上記ゴム組成物を用いてなる防振ゴムとして、スタビライザブッシュ1の一例を示したものである。図示するように、スタビライザブッシュ1は、断面円形状をなす中空部2にスタビライザバー4を挿通保持するように構成されている。また、厚肉筒状をなすスタビライザブッシュ1の本体(ゴム部)3は、略U字形のブラケット(不図示)内に保持されて、該ブラケットを介して車体側に固定されるように構成されている。
このようなスタビライザブッシュは、金属部品であるスタビライザバーを嵌め込んで使用されるため、発進時や急ブレーキ時、旋回時等に、スタビライザバーとスタビライザブッシュ内孔表面との接触部分において回転力や拗れ力がかかり、スティックスリップ現象により異音が発生しやすい。そのため、スタビライザブッシュを上記潤滑ゴム組成物で形成することにより、潤滑成分(脂肪酸アミド)が徐々にゴム表面析出して自己潤滑剤として働き、広い温度範囲で摩擦係数を低減させることで異音の発生を防止することができる。また、この場合、仮にスタビライザブッシュが時間の経過とともにへたると、スタビライザブッシュとスタビライザバーとの間に隙間が生じ、そこに泥水などが侵入することにより異音の原因となるが、上記潤滑ゴム組成物であると耐へたり性に優れるので、このような泥水の侵入も効果的に防止することができる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
≪防振ゴム組成物の作成≫
後記の表1、表2及び表3に示す割合で各種材料を配合して混練することにより、防振ゴム組成物を調製した。なお、上記混練は、まず、加硫剤と加硫促進剤以外の材料を、バンバリーミキサーを用いて5分間混練し、ついで、オープンロールを用いて、冷却水温度を約20℃冷却しながらバンバリーミキサーで混錬したゴムに加硫剤と加硫促進剤を添加し、5分間混練することにより防振ゴム組成物(実施例1~15,比較例1~7)を作成した。
Figure 0007328953000001
Figure 0007328953000002
Figure 0007328953000003
なお、表1、表2及び表3に記載した材料は、次の通りである。
・天然ゴム: SMR CV60
・ブタジエンゴム-1:シス1,4-結合量94%、ムーニー粘度(ML1+4)55:JSR株式会社製「BR-730」
・ブタジエンゴム-2:シス1,4-結合量98%、ムーニー粘度(ML1+4)73:ARLANX社製「BUNA CB-21」
・ブタジエンゴム-3:シス1,4-結合量98%、ムーニー粘度(ML1+4)63:ARLANXEO社製「BUNA CB-22」
・ブタジエンゴム-4:シス1,4-結合量96%、ムーニー粘度(ML1+4)44:JSR株式会社製「BR-01」
・酸化亜鉛:堺化学工業社製「亜鉛華2種」
・ステアリン酸:日本油脂株式会社製「ステアリン酸つばき」
・老化防止剤-1:(N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン)LANXESS社製「ブルカノックス4020」
・老化防止剤-2:(2-メルカプトベンズイミダゾール)大内振興株式社製「ノクラックMB」
・老化防止剤-3:(ワックス)日本精蝋株式会社「オゾエース0100」
・カーボンブラック-1:窒素吸着比表面積75m2/g(HAF級)、キャボットジャパン株式会社製「小ブラックN330」
・カーボンブラック-2:窒素吸着比表面積111m2/g(ISAF級)、キャボットジャパン株式会社製「ショウブラックN220」
・カーボンブラック-3:窒素吸着比表面積49m2/g(MAF級)、東海カーボン株式会社製「シースト116」
・カーボンブラック-4:窒素吸着比表面積77m2/g(RCF級)、東海カーボン株式会社製「トーカブラック#7360SB」
・カーボンブラック-5:窒素吸着比表面積39m2/g(FEF級)、日鉄カーボン株式会社製「HTC#100」
・カーボンブラック-6:窒素吸着比表面積26m2/g(GPF級)、日鉄カーボン株式会社製「ニテロン55S」
・脂肪酸アミド-1:オレイン酸アミド 融点75℃、三菱ケミカル株式会社製「ダイヤミッドO-200」
・脂肪酸アミド-2:エルカ酸アミド 融点81℃、三菱ケミカル株式会社製「ダイヤミッドL-200」
・脂肪酸アミド-3:ステアリン酸アミド 融点101℃、三菱ケミカル株式会社製「ダイヤミッド200」
・脂肪酸アミド-4:パルミチン酸アミド 融点100℃、三菱ケミカル株式会社製「ダイヤミッドKP」
・脂肪酸アミド-5:N,N’-ジオレインセバシン酸アミド 融点113℃、三菱ケミカル株式会社製「スリパックスZOS」
・オイル:ENEOS株式会社製「クリセフオイルH56」
・加硫剤-1(硫黄):鶴見化学工業社製「金華印微粉硫黄200Mesh」
・加硫剤-2(2-(4’-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール):大内振興化学株式会社製「ノクセラーMDB-P」
・加硫剤-3(4,4’-ジチオジモルホリン):川口化学株式会社製「アクターR」
・加硫剤-4(テトラメチルチウラムジスルフィド):大内振興化学株式会社製「ノクセラーTT-P」
・加硫促進剤-1(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド):大内振興化学株式会社製「ノクセラーCZ-G」
・加硫促進剤-2(1,3-ジフェニルグアニジン):大内振興化学株式会社製「ノクセラーD」
表1、表2及び表3に記載の防振ゴム組成物(実施例1~15,比較例1~7)の評価方法および評価サンプルの作成方法、及び各項目の判定基準は、以下の通りである。各評価結果及び判定結果は、後記の表4、表5及び表6に示す。
≪ゴム練り加工性≫
実施例1~15,比較例1~7の防振ゴム組成物の作成において、オープンロールへの加硫剤と加硫促進剤の添加時に防振ゴム組成物のオープンロールへの巻き付き性がよい場合は〇、巻き付き性が悪い場合は、ゴム練り加工に制限が加わるため△とした。
≪加硫特性試験―加硫速度の測定(未加硫試験)≫
JIS K6300-2に準拠し、キュラストメータV型を用い、測定温度150℃、振幅角度±1°、振動数100cpmにて20分間加硫曲線を描き、当該加硫曲線からtC(10)分,tC(90)分値を求めた。
≪ムーニースコーチタイム≫
実施例1~15,比較例1~7の各防振ゴム組成物において、JIS 6300-1に準拠して、ムーニー粘度計にてL形ロータを用い、測定温度125℃におけるムーニー粘度の最低値をVmとし、当該Vmより5M上昇する時間t5を測定し、当該t5をムーニースコーチタイムとした。
評価判断として、ムーニースコーチタイムが10分より短いものは、早期加硫の恐れがあり、未加硫ゴムの保存期間や防振ゴム成形方法に制限が出てくるため△とし、ムーニースコーチタイムが10分以上のものは〇とした。
≪評価サンプル(加硫ゴム)の作成≫
・厚み2mm加硫ゴムシートの作成:実施例1~15,比較例1~7の各防振ゴム組成物において、ゴムの厚みが2mmとなるキャビティの2mmシート用金型を用いたコンプレッション成形により、150℃での加硫時間(ct90+5)分の加硫成型を行って、厚みの2mm加硫ゴムシート(以下、単に評価用ゴムシートと適宜称する)を得た。
・圧縮永久歪み試験用加硫ゴム試験片の作成:実施例1~15,比較例1~7の各防振ゴム組成物において、直径29.0mm×高さ12.5mmの円柱状の試験片作成用金型を用い、150℃での加硫時間(ct90+10)分の加硫成型を行って、直径29.0mm×高さ12.5mmの円柱状の圧縮永久歪試験用加硫ゴム試験片(以下、単にゴム試験片と適宜称する)を得た。
・防振ゴムの成形:実施例1~15,比較例1~7の各ゴム組成物において、型締め力50tonのインジェクション成形機を用いて、図1に示すスタビライザブッシュを150℃にて8分間加硫成形して防振ゴム(スタビライザブッシュ;以下、単に評価用防振ゴムと適宜称する)を成形した
このようにして得られた実施例1~15,比較例1~7の防振ゴム組成物の加硫ゴム(評価用ゴムシート,ゴム試験片,評価用防振ゴム)を用い、下記の基準に従って、各特性の評価を行った。その結果は、後記の表4、表5に併せて示した。なお、各評価項目の評価方法は次の通りである。
≪引っ張り物性≫
実施例1~15,比較例1~7の各ゴム組成物において得られた評価用ゴムシートを、JIS3号ダンベルで打ち抜き、JIS K 6251に準拠して、破断強度(TB)、破断伸び(EB)、および硬度(Hs:JIS A)を測定した。破断強度(TB)が15MPa以上のものは〇、15MPaよりも小さいものは、強度が低いため使用できる防振ゴムにより制限が大きくなるため△とした。
≪耐へたり性―圧縮永久歪み率≫
実施例1~15,比較例1~7の各ゴム組成物において得られたゴム試験片を、JIS K6262(圧縮永久歪み)に準拠して、治具を用い、高さ方向に25.0%圧縮した状態(高さ9.38mm)で、雰囲気温度100℃の恒温槽中に下記時間放置した後、治具ごと取り出して速やかに当該ゴム試験片を解放した。この解放後、23℃の雰囲気下で木製の台上に30分放置してゴム試験片の高さを測定して、圧縮永久歪みCS(%)を算出した。100℃恒温槽中の放置時間は、22時間、72時間、150時間、500時間の4種類実施した。圧縮永久歪みが小さいほど、耐へたり性に優れる。圧縮永久歪みCS(%)が50%以下のものは〇とし、圧縮永久歪みCS(%)が50%を超えるものは△とした。
≪摩擦係数≫
[摩擦係数測定方法]
実施例1~15,比較例1~7の各ゴム組成物において得られたゴム試験片から50mm×10mmに切り取ったサンプルSを、図5に示すヘイドン摩擦摩耗試験機6を用いて摩擦係数を測定(後述の項目〔初期性能〕,〔繰り返し加熱性能〕,〔繰り返し低温性能〕に基づいて測定)した。すなわち、可動方向50mm・幅10mmの厚み2mmのサンプルSを、図5に示すように固定台60上を移動可能な可動台61上に接着し、この可動台61を面方向(図中黒抜き矢印方向)に毎秒16.7mmの速度で16.7mm移動させたとき、ロードセル62に固定されて移動不可能な相手材63に加わる力(F)をロードセル62で測定した。符号64は、ロードセル62と相手材63との間を支点にして当該相手材63を位置調整するする操作レバーであり、符号65は、ロードセル62と前記支点との間に装着されるバランサーである。
ここで、相手材63としては、接触面が10mm×10mm、面粗度(Rmax)が5~10μmのステンレス製のものを使用した。また、相手材63には、100gの荷重(ウェイト)Wを載置した。摩擦係数μは、F=μMの式にて算出されるμ値である。なお、可動台61を移動し始めて最初に得られる摩擦係数ピークを静摩擦係数(μs)、その後16.7mm移動する間に得られる摩擦係数の平均値を動摩擦係数(μd)とした。
〔初期性能〕
初期性能測定では、実施例1~15,比較例1~7の各ゴム組成物において得られた評価用ゴムシートを作成後23℃にて24時間放置してから、サンプルSについて23℃雰囲気下で測定した。
〔繰り返し耐熱性能〕
イソプロパノール(IPA)にてサンプルS表面を洗浄した後に100℃で24時間放置してから、23℃にて1時間放置し室温に冷却した当該サンプルSについて測定(100℃×24時間)した。この測定後、イソプロパノール(IPA)にてサンプルS表面を洗浄した後に100℃にてさらに48時間放置(初期から72時間放置)してから、23℃にて1時間放置し室温に冷却した当該サンプルSについて測定(100℃×72時間)した。この測定後、イソプロパノール(IPA)にてサンプルS表面を洗浄した後に100℃にてさらに48時間放置(初期から120時間放置)してから、23℃にて1時間放置し室温に冷却した当該サンプルSについて測定(100℃×120時間)した。この測定後、イソプロパノール(IPA)にてサンプルS表面を洗浄した後に100℃にてさらに216時間放置(初期から336時間放置)してから、23℃にて1時間放置し室温に冷却した当該サンプルSについて測定(100℃×336時間)した。
即ち、繰り返し加熱による摺動剤析出→ふき取り→摺動剤析出→ふき取りを繰り返し、サンプルS表面に析出した摺動剤が繰り返し掻き取られた後も摺動性(摩擦係数)を維持できるかを測定とした。
〔繰り返し低温性能〕
イソプロパノール(IPA)にてサンプルS表面を洗浄した後に-35℃で24時間放置してから、23℃にて1時間放置した当該サンプルSについて測定した。この測定後、イソプロパノール(IPA)にてサンプルS表面を洗浄した後に-35℃にてさらに96時間放置(初期から120時間放置)してから、23℃にて1時間放置した当該サンプルSについて測定(-35℃×120時間)した。この測定後、イソプロパノール(IPA)にてサンプルS表面を洗浄した後に-35℃にてさらに216時間放置(初期から336時間放置)してから、23℃にて1時間放置した当該サンプルSについて測定(-35℃×336時間)した。
即ち、繰り返し低温→ふき取り低温→ふき取りを繰り返し、低温・室温を繰り返した後も摺動性(摩擦係数)を維持できるかを測定した。
≪摩擦係数の判定≫
上記項目〔初期性能〕,〔繰り返し加熱性能〕,〔繰り返し低温性能〕に基づいた測定による摩擦試験において、静摩擦係数が1.4未満を〇、1.4以上1.8未満は使用できる可能性があるため△、1.8以上は×とし、動摩擦係数が1.1未満を〇、1.1以上1.6未満を△、1.6以上は×とし、静摩擦係数と動摩擦係数のそれぞれの〇/△/×判定した中で何れかでも×があれば、摩擦係数試験判定×とし、×が1つもなく何れかの判定が△があれば△判定とし、何れも〇のものを〇判定とした。
≪防振ゴム評価―スタビライザブッシュ評価≫
図1及び図2に示すように中空部2(直径20mm)を有したスタビライザブッシュ1(外寸42mm)において、以下に示す項目〔異音試験〕,〔耐熱耐久試験〕,〔耐熱耐久後異音試験〕に基づいて異音,亀裂を測定した。
〔異音試験〕
まず、図3,図4に示すように、スタビライザブッシュ1の本体3に設けられている直径20mmの中空部2に、表面が電着塗装(カチオン塗装)された直径21.0mmの鉄製バー()4を挿通してから、当該スタビライザブッシュ1を、略U字状ブラケット5により中空部2径方向の寸法(図4では図示上下方向の高さ)が37mmとなるように圧縮をかけた状態で、固定台50に固定した。
次に、鉄製バー4を、ねじり方向(図4中では矢印で示すねじり方向)へ±10°,周波数1Hzで軸回転(入力)した。この軸回転を、雰囲気温度-30℃、及び100℃で10分間行い、その際の異音の発生の有無を測定した。この軸回転開始から10分までの間に異音発生が無かったものを〇、異音発生が生じたものを×とした。
〔耐熱耐久試験〕
まず、前記項目〔異音試験〕と同じように、鉄製バー4が挿通されたスタビライザブッシュ1を略U字状ブラケット5により圧縮しながら固定台50に固定した状態のものを、100℃にて500時間放置した後、さらに常温(23℃)雰囲気下に24時間放置してから、耐久性試験を実施した。
この耐久性試験の方法は、スタビライザブッシュ1に対して軸直角方向(図4では図示上方向)に±8000Nを加えながら、ねじり方向±5°の軸回転(周波数;1Hz)による2軸耐久試験を常温(23℃)にて10万回実施し、亀裂発生の無いことを確認することにより行った。亀裂発生がなかったものを〇、亀裂が発生したものを×とした。
〔耐熱耐久後異音試験〕
前記項目〔耐熱耐久試験〕終了後のスタビライザブッシュ1において、前記項目〔異音試験〕と同じ入力条件の軸回転を、雰囲気温度23℃で10分間行い、その際の異音の発生の有無を測定した。異音発生が無かったものを〇、異音が発生したものを×とした。
≪総合判定≫
上記評価項目の全てが〇のものは総合判定〇、△が2個以下含まれるが他は〇のものは使用できる可能性があるため総合判定〇△、一つでも判定に×が含まれるものは総合判定×とした。
Figure 0007328953000004
Figure 0007328953000005
表4及び表5に示す通り、NR/BR=10/90~40/60の割合で含むと共にゴム成分を100質量部としたときに窒素吸着比表面積が46~120m2/gのカーボンブラックを40~80質量部含有し、かつ、該ゴム成分100質量部に対して融点90~160℃の脂肪酸アミドを10~20質量部及び融点65~88℃の脂肪酸アミドを10~20質量部含有した防振ゴム組成物を用いたものは、総合判定において、全て〇△~〇であった(実施例1~15,比較例1~7)。
一方で、カーボンブラックとして窒素吸着比表面積が39m2/g(FEF級)、26m2/g(GPF級)と小さいものを用いた比較例1及び比較例2は、引張り破断強度が低く、耐熱耐久試験で破損が生じ、異音発生が発生した。
ゴム成分中に天然ゴム(NR)の割合が高い比較例3、比較例6は、長時間の圧縮永久歪試験(C-set)の結果が悪く、摩擦係数が高く、繰り返し低温試験や耐熱耐久後で異音発生が確認された。
融点90~160℃の脂肪酸アミドを含まない比較例4は、繰り返し耐熱性能試験での摩擦係数が高く、製品での耐熱耐久試験で異音発生が生じた。
融点65~88℃の脂肪酸アミドを含まない比較例5は、室温から低温での摩擦係数が高く製品試験でも異音発生が生じた。
融点65~88℃の脂肪酸アミドをゴム成分100質量部に対して25質量部と多量に含む比較例7は、各種試験では〇であったが、100℃での圧縮永久歪試験や100℃での製品試験において脂肪酸アミドが流れ出し、取り扱いが困難であるとともに他部品を汚染する可能性が高く使用できないと判断し総合判断×とした。
[本発明による防振ゴム組成物の効果]
以上のように、本発明の防振ゴム組成物は、質量比でNR/BR=10/90~40/60の割合で含むと共に、ゴム成分を100質量部としたときに窒素吸着比表面積が46~120m2/gのカーボンブラックを40~80質量部含有し、かつ、該ゴム成分100質量部に対して融点90~160℃の脂肪酸アミドを10~20質量部及び融点65~88℃の脂肪酸アミドを10~20質量部含有することで、繰り返し低温性能や繰り返し耐熱性能において、摩擦係数の低減効果が充分に発揮される。引張強度や圧縮永久歪も良好で、低温雰囲気下や高温雰囲気での異音発生もない。
該融点65~88℃の脂肪酸アミドがオレイン酸アミド及びエルカ酸アミドの両方を含み、該ゴム成分100質量部に対してオレイン酸アミドが3~10質量部かつエルカ酸アミドが3~17質量部含有すると、繰り返し耐熱性能や繰り返し低温性能試験での低摩擦係数がより安定的に保持される。
該ブタジエンゴム(BR)がシス1,4-結合量が90%以上でありかつ100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)が50~75であると、加工性、ゴム強度、圧縮永久歪がより良好な防振ゴム組成物が得られる。
特に加硫剤として、イオウを0.1~0.8質量部含有しかつ、2-(4’-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール及びまたは4,4’-ジチオジモルホリンを1~5質量部含有することで、スコーチ安定性も高く耐熱性、圧縮永久歪が良好なものが得られる。
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変更等が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変更等が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
本発明に係る防振ゴム組成物は、スタビライザブッシュなどの防振ゴムとして好適に用いることができる。
1…スタビライザブッシュ
2…中空部
3…本体(ゴム部)
4…スタビライザバー
5…ブラケット

Claims (5)

  1. 主ゴム成分として天然ゴムとブタジエンゴムを、質量比で天然ゴム/ブタジエンゴム=10/90~40/60の割合で含むと共に、
    ゴム成分を100質量部としたときに、窒素吸着比表面積が46~120m/gのカーボンブラックを40~80質量部含有し、かつ、該ゴム成分100質量部に対して、融点90~160℃の脂肪酸アミドを10~20質量部及び融点65~88℃の脂肪酸アミドを10~20質量部含有し、
    該融点65~88℃の脂肪酸アミドがオレイン酸アミド及びエルカ酸アミドの両方を含んでいることを特徴とする防振ゴム組成物。
  2. ゴム成分100質量部に対して、オレイン酸アミドが3~10質量部かつエルカ酸アミドが3~17質量部含有することを特徴とする請求項1記載の防振ゴム組成物。
  3. 該ブタジエンゴムは、シス1,4-結合量が90%以上であり、かつ、100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)が50~75であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の防振ゴム組成物。
  4. 該ゴム成分を100質量部としたときに、加硫剤としてイオウを0.1~0.8質量部含有し、かつ、2-(4’-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール及びまたは4,4’-ジチオジモルホリンを1~5質量部含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の防振ゴム組成物。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の防振ゴム組成物を用いてなる防振ゴム。
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