JP2017119873A - 防振ゴム組成物及び防振ゴム - Google Patents

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Abstract

【課題】低動倍と高い耐久性とを両立し得る防振ゴム組成物、及び該ゴム組成物を硬化させてなる防振ゴムを提供することを目的とする。【解決手段】ジエン系ゴムと、充填剤としてカーボンブラックとシリカとを含有し、且つ、カーボンブラック(a)とシリカ(b)との配合割合が(a)/(b)=80/20〜20/80(質量比)であることを特徴とする防振ゴム組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、自動車のトーショナルダンパー、エンジンマウント、マフラーハンガー等の高温環境下で使用される防振ゴムに好適に使用できる防振ゴム用ゴム組成物に関する。
従来、自動車等の各種車両では、搭乗者の快適性を向上させるために、振動や騒音の発生源となる部位に様々な防振材を配置し、室内への振動や騒音の侵入を低減する試みがなされてきた。例えば、振動や騒音の主たる発生源であるエンジンに対しては、トーショナルダンパー、エンジンマウント等の構成部材に防振ゴムを用いることでエンジン駆動時の振動を吸収し、室内への振動及び騒音の侵入や、周辺環境への騒音の拡散を低減している。
このような防振ゴムの基本的な特性としては、エンジン等の重量物を支える強度特性や、その振動を吸収し抑制する防振性能が要求される。更に、エンジンルーム等の高温環境下で使用される防振ゴムに求められる性能としては、動倍率が低く防振性能に優れるのは勿論のこと、耐熱性や耐久性が高いことが求められる。特に、近年では、エンジンの高出力化や、室内空間拡大などによるエンジンルームの省スペース化に伴い、エンジンルーム内の温度は上昇する傾向にあり、より過酷な環境で使用されることが多くなっていることから、自動車用防振ゴムの耐熱性などに対する要求もより厳しいものとなっている。
低動倍と耐熱性とを両立させるために、基材ゴムにシリカゲルを配合した技術が特開2006−131871号公報(特許文献1)に提案されている。また、低動倍と耐熱性とを両立させるために、基材ゴムに大粒径・ハイストラクチャーカーボンを配合する技術が特開2006−143859号公報(特許文献2)に提案されている。しかしながら、一般に、低動倍と耐熱性との関係や低動倍と耐久性との関係は二律背反の関係にあり、また、上記の従来技術よりも更なる次元で動倍率低減と耐久性を向上させることが望まれている。
特開2006−131871号公報 特開2006−143859号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、低動倍と高い耐久性とを両立し得る防振ゴム組成物、及び該ゴム組成物を硬化させてなる防振ゴムを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、ジエン系ゴムに小粒径・カーボンブラックとシリカとを混合することにより、従来達成し得なかった高次元での低動倍率と耐久性との両立を図ることができることを知見し、本発明をなすに至った。即ち、本発明の防振ゴム組成物は、従来技術では適用が困難であった小粒径カーボンを用い、これを一部シリカに置換することにより動倍率の低減化と高い耐久性とを実現させたものである。
従って、本発明は下記の防振ゴム用ゴム組成物及び防振ゴムを提供する。
[1]ジエン系ゴムと、充填剤としてカーボンブラックとシリカとを含有し、且つ、カーボンブラック(a)とシリカ(b)との配合割合が(a)/(b)=80/20〜20/80(質量比)であることを特徴とする防振ゴム組成物。
[2]上記ジエン系ゴムとして、天然ゴム(NR)を単独で用いる[1]記載の防振ゴム組成物。
[3]上記ジエン系ゴムとして、天然ゴム(NR)及びブタジエンゴムを併用する[1]記載の防振ゴム組成物。
[4]上記カーボンブラックは、そのヨウ素吸着量が40〜140g/kg,DBP吸油量が90〜160ml/100gの範囲である[1]、[2]又は[3]記載の防振ゴム組成物。
[5]上記シリカが、窒素吸着比表面積(BET法)が80〜230m2/gの範囲を満たすシリカゲルである[1]〜[4]のいずれか1項記載の防振ゴム組成物。
[6]シランカップリング剤を含有する[1]〜[5]のいずれか1項記載の防振ゴム組成物。
[7]上記[1]〜[6]のいずれか1項記載のゴム組成物を硬化させてなる防振ゴム。
本発明の防振ゴム組成物は、高い防振性能(低動倍率)と高い耐久性とを両立し得るものである。
本発明の防振ゴム組成物では、ゴム成分としてジエン系ゴムが使用される。
ジエン系ゴムとしては、公知のものを用いることができ、特に制限されるものではないが、具体的には、公知の天然ゴムや、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、スチレン−イソプレン共重合体、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、クロロプレンゴム、イソブチレン−イソプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エポキシ化天然ゴム、アクリレートブタジエンゴム等の合成ゴム、及びこれら天然ゴム又は合成ゴムの分子鎖末端が変性されたものなどを用いることができ、これらの中から1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。本発明においては、特に天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)を好適に用いることができる。
また、上記ジエン系ゴム以外のゴムをゴム成分中に配合することもできる。このゴムとしては、アクリルゴム及びエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)などが挙げられる。
加硫剤としては、特に制限はないが、例えば、硫黄や過酸化物等を挙げることができる。硫黄を用いる場合、その配合量は、ゴム成分100質量部に対して0.1〜5質量部、好ましくは0.2〜3.0質量部である。これらの配合量を逸脱すると、ゴムの架橋密度が高くなり、防振性能等の基本物性や耐久性が悪くなるおそれがある。また、過酸化物を加硫剤として用いることもでき、市販品を1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの加硫剤の配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して通常1〜10質量部、好ましくは2〜8質量部である。この配合量が10質量部を超えると、ゴムが硬化しすぎて破断伸びの低下及び耐久性の低下等を招くおそれがあり、1質量部未満になると、架橋密度の低下,破断強度の低下,動倍率の悪化,圧縮永久歪みの悪化,及び耐久性の低下等を招くおそれがある。
本発明では、カーボンブラックを充填剤として配合することが推奨される。カーボンブラックとしては、公知のものを使用することができ、特に限定されるものではないが、例えば、SRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF、FT、MT等のカーボンブラックを挙げることができ、本発明においては、HAFを好適に用いることができる。また、これらのカーボンブラックは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、カーボンブラックについては、ヨウ素吸着量40〜140g/kg及びDBP吸油量90〜160ml/100gを満たすものを用いることが好ましい。従来技術では、このような小粒径・カーボンブラックでは耐久性が向上し得たものの、動倍率が上昇してしまい採用されなかったが、本発明では小粒径・カーボンブラックを配合しても動倍率の低減を図ることができる。カーボンブラックの配合量については、低動倍率化の点から、上記ゴム成分100質量部に対し、10〜80質量部であることが好ましい。
また、シリカを充填剤として配合することが推奨され、特に、窒素吸着比表面積(BET法)が80〜230m2/gの範囲のシリカゲルを用いることが好ましい。BET比表面積が80m2/g未満では十分な耐久性を確保することが困難であり、また、230m2/gを超えてしまうと、シリカゲルの基材ゴムに対する分散が困難となる。この場合、シリカの配合量については、低動倍率化の点から、上記ゴム成分100質量部に対し、10〜80質量部であることが好ましい。
カーボンブラック(a)とシリカ(b)との配合割合については、(a)/(b)=80/20〜20/80(質量比)であることが条件とされる。カーボンブラック(a)の配合割合が上記範囲よりも多くなると、低動倍率と耐久性との両立が困難になり、逆に、シリカ(b)の配合割合が多くなると、加工性に問題が生じてしまう。
また、上記シリカに対してシランカップリング剤を含有することができる。シランカップリング剤の種類については特に制限はなく公知の市販品を1種又は2種以上用いることができる。上記シランカップリング剤の配合量は、上記シリカの配合量に対して1〜10質量%であり、好ましくは5〜10質量%である。この配合量が1質量%未満であると、分散性及び補強性向上効果を十分に発揮できないおそれがあり、一方、10質量%より多く配合しても配合量に見合った効果が得られない場合もあり、工業的及び経済的にも好ましいものではない。
オイルとしては、公知のものを使用することができ、特に制限されないが、具体的には、アロマティック油、ナフテニック油、パラフィン油等のプロセスオイルや、やし油等の植物油、アルキルベンゼンオイル等の合成油、ヒマシ油等を使用することができる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、加硫を促進する観点から、亜鉛華(ZnO)や脂肪酸等の加硫促進助剤を配合することができる。脂肪酸としては飽和、不飽和あるいは直鎖状、分岐状のいずれの脂肪酸であってもよく、脂肪酸の炭素数としても特に制限されるものではないが、例えば炭素数1〜30、好ましくは15〜30の脂肪酸、より具体的にはシクロヘキサン酸(シクロヘキサンカルボン酸)、側鎖を有するアルキルシクロペンタン等のナフテン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸(ネオデカン酸等の分岐状カルボン酸を含む)、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)等の飽和脂肪酸、メタクリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸、ロジン、トール油酸、アビエチン酸等の樹脂酸などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本発明においては、亜鉛華及びステアリン酸を好適に用いることができる。これら加硫促進助剤の配合量は上記ゴム成分100質量部に対し、好ましくは1〜15質量部、より好ましくは2〜10質量部である。
老化防止剤としては、公知のものを用いることができ、特に制限されないが、フェノール系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤、アミン系老化防止剤などを挙げることができる。これら老化防止剤の配合量は上記ゴム成分100質量部に対し、通常0.5〜10質量部、好ましくは1〜5質量部である。
本発明のゴム組成物を得る際、上記各成分の配合方法に特に制限はなく、全ての成分原料を一度に配合して混練しても良いし、2段階あるいは3段階に分けて各成分を配合して混練を行ってもよい。なお、混練に際してはロール、インターナルミキサー、バンバリーローター等の混練機を用いることができる。更に、シート状や帯状等に成形する際には、押出成形機、プレス機等の公知の成形機を用いればよい。
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げて詳細に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
[実施例1〜12、比較例1〜6]
下記表1及び表2に示す配合組成で混練し加硫して、実施例1〜12及び比較例1〜6の各々の防振ゴム用ゴム組成物を所定の条件で所定の形状に加硫硬化させ、成型物を作製した。得られた成型物を本発明の防振ゴムの評価体とした。得られた成型物について、硬度(Hs)、引張伸び(Eb)、引張強さ(Tb)及び耐久性を下記JIS規格に準拠して測定を行い評価した。その結果も表1及び表2に併記する。
[硬度(Hs)]
JIS K 6253(タイプA)に準拠
[引張伸び(Eb)]
JIS K 6251に準拠
[引張強さ(Tb)]
JIS K 6251に準拠
[耐久性(伸張疲労耐久性)]
35℃で0〜200%伸長を繰り返し、破断するまでの回数を計数とした。比較例1の破断回数「100」を基準としてインデックス表示で示した。
[静バネ定数(Ks)及び動倍率(Kd/Ks)]
JIS K 6385に準拠し、Kdは100Hzで測定した。動倍率(Kd/Ks)はKd/KsとKsとの関係により評価を行った。
[加工性]
インジェクション成形加工により加工性を判断した。「○」は加工性が良好、「×」は加工性が悪いことを示す。
上記の配合についての詳細は下記の通りである。
ゴム成分
(1)天然ゴム(NR)、「RSS#1」
(2)ポリブタジエンゴム(BR)、JSR社製の「BR01」
カーボンブラック
いずれも旭カーボン(株)製のカーボンブラック
(1)HAF、商品名「#70」
ヨウ素吸着量 82g/kg,DBP吸油量 102ml/100g
(2)ISAF、商品名「#80N」
ヨウ素吸着量 121g/kg,DBP吸油量 114ml/100g
(3)FEF、商品名「#65」
ヨウ素吸着量 43g/kg,DBP吸油量 121ml/100g
(4)FT、商品名「アサヒサーマル」
ヨウ素吸着量 27g/kg,DBP吸油量 28ml/100g
(5)SAF、商品名「#110」
ヨウ素吸着量 145g/kg,DBP吸油量 113ml/100g
シリカ
東ソー・シリカ(株)製の沈降式シリカ
(1)「NIPSIL VN3」窒素吸着比表面積(BET法)180〜230m2/g
(2)「NIPSIL E75」窒素吸着比表面積(BET法)30〜60m2/g
シランカップリング剤
ビス−3−トリエトキシシリルプロピルテトラスルフィド(TESPT)、エボニックデグッサ製
ナフテン系オイル
出光興産(株)製「ダイアナプロセスオイルNS−100」
WAX
Rhein Chemie社製「Antilux654」
老化防止剤:RD
2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、大内新興化学工業(株)製「ノクラック224」
老化防止剤:6PPD
N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業(株)製「ノクラック6C」
加硫促進剤:TMTD
テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、大内新興化学工業(株)製「ノクセラーTT」
加硫促進剤:CBS
N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)
Figure 2017119873
Figure 2017119873
上記表1及び表2の結果より、本発明にかかる実施例のゴム組成物は、動倍率が低く、耐久性及び加工性が良好であった。
これに対して、比較例1,2,5は、実施例に比べて動倍率が悪かった。比較例3,4は、実施例に比べて加工性が悪かった。比較例6は、実施例に比べて耐久性が悪かった。
従って、本発明は下記の防振ゴム組成物及び防振ゴムを提供する。
ゴム成分がジエン系ゴムのみからなる防振ゴム組成物であって、充填剤としてカーボンブラックとシリカとを含有し、前記ジエン系ゴムが、天然ゴム(エポキシ化天然ゴムを除く。)、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、スチレン−イソプレン共重合体、ブチルゴム、イソブチレン−イソプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリレートブタジエンゴム、及びこれらの天然ゴム又は合成ゴムの分子鎖末端が変性されたものの群から選ばれる1種又は2種以上混合したものであり、且つ、ゴム成分の70質量%以上が前記天然ゴムからなると共に、前記シリカが、窒素吸着比表面積(BET法)が80〜230m 2 /gの範囲を満たすシリカゲルであり、カーボンブラック及びシリカの配合量がゴム成分100質量部に対して、それぞれ10〜80質量部であり、更に、カーボンブラック(a)とシリカ(b)との配合割合が(a)/(b)=40/60〜20/80(質量比)であることを特徴とする防振ゴム組成物。
]上記ジエン系ゴムとして、上記天然ゴム(NR)及びブタジエンゴムを併用する[]記載の防振ゴム組成物。
]上記カーボンブラックは、そのヨウ素吸着量が40〜140g/kg,DBP吸油量が90〜160ml/100gの範囲である[1]又は[2]記載の防振ゴム組成物。
上記カーボンブラックとして、HAF級以上の小粒径カーボンブラックを用いる[1]〜[3]のいずれか1項記載の防振ゴム組成物
]シランカップリング剤を含有する[1]〜[]のいずれか1項記載の防振ゴム組成物。
]上記[1]〜[]のいずれか1項記載のゴム組成物を硬化させてなる防振ゴム。

Claims (7)

  1. ジエン系ゴムと、充填剤としてカーボンブラックとシリカとを含有し、且つ、カーボンブラック(a)とシリカ(b)との配合割合が(a)/(b)=80/20〜20/80(質量比)であることを特徴とする防振ゴム組成物。
  2. 上記ジエン系ゴムとして、天然ゴム(NR)を単独で用いる請求項1記載の防振ゴム組成物。
  3. 上記ジエン系ゴムとして、天然ゴム(NR)及びブタジエンゴムを併用する請求項1記載の防振ゴム組成物。
  4. 上記カーボンブラックは、そのヨウ素吸着量が40〜140g/kg,DBP吸油量が90〜160ml/100gの範囲である請求項1、2又は3記載の防振ゴム組成物。
  5. 上記シリカが、窒素吸着比表面積(BET法)が80〜230m2/gの範囲を満たすシリカゲルである請求項1〜4のいずれか1項記載の防振ゴム組成物。
  6. シランカップリング剤を含有する請求項1〜5のいずれか1項記載の防振ゴム組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載のゴム組成物を硬化させてなる防振ゴム。
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