JP2011046812A - 潤滑ゴム組成物及び防振ゴム - Google Patents

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Abstract

【課題】耐へたり性及び接着性を改善しつつ、広い温度範囲で潤滑性を発揮することができる潤滑ゴム組成物、及びそれを用いた防振ゴムを提供する。
【解決手段】ゴム成分100重量部に対し、オレイン酸アミド1〜5重量部と、ステアリン酸アミド1〜5重量部と、25℃での動粘度が5〜100mm/sのシリコーンオイル(例えば、ジメチルポリシロキサン)1〜10重量部を含有せしめてなる潤滑ゴム組成物である。
【選択図】図5

Description

本発明は、潤滑性を有したゴム表面が得られる潤滑ゴム組成物、及び、それを用いてなる防振ゴムに関するものである。
従来、例えば、スタビライザブッシュやサスペンションブッシュなどの自動車のゴム部品においては、ゴム−ゴム間やゴム−金属間の擦れによる異音の問題が多く発生する。かかる異音の対策として、脂肪酸アミドなどの潤滑剤を添加した潤滑ゴム組成物(自己潤滑ゴム組成物とも称される。)が用いられている(下記特許文献1〜4参照)。
特開平6−234886号公報 特開平7−278355号公報 特開2001−225647号公報 特開2006−225481号公報
上記の従来技術では、潤滑剤の増量や潤滑補助剤、促進剤の添加により潤滑性を向上するものであり、潤滑性の改善のみが目的とされていた。しかしながら、潤滑性を向上するために潤滑剤である脂肪酸アミドを多量に配合すると、それに伴い耐へたり性が低下したり、金具との間での接着性が低下するという問題がある。また、潤滑性の点でも、単一の脂肪酸アミドでは、その融点に依存して狭い温度範囲でしか優れた潤滑性が発揮されないため、広い温度範囲での十分な潤滑性は期待できず、そのため、多量に配合することで広い温度範囲での潤滑性を確保しようとしている。その結果、この点からも耐へたり性や接着性を損なうという問題がある。
本発明は、以上の点に鑑み、耐へたり性や接着性を改善しつつ、広い温度範囲で潤滑性を発揮することができる潤滑ゴム組成物、及びそれを用いた防振ゴムを提供することを目的とする。
本発明に係る潤滑ゴム組成物は、ゴム成分に、オレイン酸アミドと、ステアリン酸アミドと、25℃での動粘度が5〜100mm/sのシリコーンオイルとを含有せしめてなるものである。また、本発明に係る防振ゴムは、該ゴム組成物を用いてなるものである。
本発明のゴム組成物によれば、脂肪酸アミドとしてオレイン酸アミドとステアリン酸アミドを併用しつつ、更に、特定の粘度を持つシリコーンオイルを組み合わせて配合したことにより、接着強度や剥離モードといった接着性や、耐へたり性を改善しつつ、広い温度範囲で潤滑性を発揮することができる。
スタビライザブッシュの一例を示す(a)正面図および(b)断面図である。 防振ブッシュの一例を示す(a)正面図および(b)断面図である。 潤滑性の評価試験方法を説明するためのスタビライザブッシュの斜視図である。 接着性の評価試験に用いる試験片の斜視図である。 潤滑性の温度依存性を示すグラフである。 シリコーンオイルの粘度と常温での潤滑性との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
本発明に係るゴム組成物において、ゴム成分としては特に限定されず、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)などの各種ゴムポリマーが挙げられ、これらはそれぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。ゴム成分は、好ましくは、NR、IR、BR、SBR、NBR、CRなどのジエン系ゴムを用いることであり、防振ゴムとして用いる場合、特にはNR単独、又は、NRと他のジエン系ゴムとのブレンド、例えば、NRを主成分として50重量%以上含有することが好ましい。
本発明に係るゴム組成物では、潤滑剤である脂肪酸アミドとして、オレイン酸アミドとステアリン酸アミドを併用する。両者を併用するのは次の理由による。
すなわち、脂肪酸アミドは、ゴム製品の作製後にゴム表面にブリードして被覆層を形成し、この脂肪酸アミドの被覆層がゴム表面の摩擦係数の低減をもたらして潤滑性を発揮する。この潤滑性の期待できる温度域は、脂肪酸アミドの融点および添加量に依存する傾向がある。例えば、上記被覆層は雰囲気温度が高くなるとゴム中に溶け込んでいき、潤滑性が発揮されにくくなる。潤滑性能を発揮し得る最高温度は脂肪酸アミドの添加量によっても異なるが、平均すると融点−10℃〜−20℃程度であることが判明した。
オレイン酸アミドは、下記式(1)で表されるように、炭素数18の不飽和脂肪酸アミドであり、融点は70〜75℃である。また、ステアリン酸アミドは、下記式(2)で表されるように、炭素数18の飽和脂肪酸アミドであり、融点は97〜105℃である。そこで、これらの比較的低融点のオレイン酸アミドと比較的高融点のステアリン酸アミドとを併用して、両者の融点に約25℃の差があることを利用することにより、低温および常温(−40〜50℃程度)まではオレイン酸アミドが、また高温(50〜80℃程度)ではステアリン酸アミドが主として機能することで、広い温度範囲で潤滑性を発揮することができる。
CH(CHCH=CH(CHCONH …(1)
CH(CH16CONH …(2)
これら脂肪酸アミドの配合量は、ゴム成分100重量部に対して、オレイン酸アミドが1〜5重量部であることが好ましく、より好ましくは1〜3重量部、更に好ましくは1〜2重量部であり、また、ステアリン酸アミドも1〜5重量部であることが好ましく、より好ましくは1〜3重量部、更に好ましくは1〜2重量部である。脂肪酸アミドは、添加量が多いほど潤滑性および潤滑維持性には優れるが、添加量の増加に伴い耐へたり性や接着性を低下させる。そのため、これらの性能のバランスから上記範囲内に設定することが好ましい。また、このような観点から、オレイン酸アミドとステアリン酸アミドの合計量は、ゴム成分100重量部に対して1〜8重量部であることが好ましく、より好ましくは1〜5重量部、更に好ましくは2〜4重量部である。
本発明では、潤滑剤として、上記オレイン酸アミドおよびステアリン酸アミドとともに、他の脂肪酸アミドを併用してもよい。そのような脂肪酸アミドとしては、特に限定されず、例えば、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、パルミトレイン酸アミド、リノール酸アミド、リノレン酸アミド、エルカ酸アミド等の炭素数12〜22の飽和又は不飽和脂肪酸アミドが挙げられる。但し、他の脂肪酸アミドを併用する場合でも、脂肪酸アミドの配合量は、上述した耐へたり性および接着性と潤滑性とのバランスを考慮して、ゴム成分100重量部に対して1〜8重量部であることが好ましく、より好ましくは1〜6重量部、更に好ましくは2〜4重量部である。
本発明に係るゴム組成物では、上記のオレイン酸アミドおよびステアリン酸アミドによる潤滑性を補う潤滑剤(潤滑補助剤)として、25℃での動粘度が5〜100mm/sのシリコーンオイルを配合する。かかるシリコーンオイルは、ゴム表面において脂肪酸アミドを被覆するものと考えられ、これにより潤滑性及びその耐久性において優れた相乗効果を発揮することができる。詳細には、シリコーンオイルは、温度変化による粘度の変化が少なく、またゴムへの溶解度も温度依存性が少ないので、実使用温度域(−40〜80℃程度)において潤滑性は大きく変化しない。そのため、オレイン酸アミドおよびステアリン酸アミドの配合量を抑えつつ、これら脂肪酸アミドによる潤滑性を補って、広い温度範囲での潤滑性を維持することができる。また、脂肪酸アミドは、ゴム表面の被覆層が低温雰囲気下で割れて剥離や脱落により潤滑性が損なわれるおそれがあるが、シリコーンオイルを併用することにより、その湿潤効果によって脂肪酸アミドの被覆層を割れにくくすることができ、潤滑性の高寿命化を図ることもできる。
シリコーンオイルによる潤滑性はその粘度に依存し、低粘度ほどより潤滑性の高い膜をゴム表面に形成し、また低粘度ほどゴム表面にブルームしやすいので、潤滑性の向上効果に優れるものと考えられる(図6参照)。すなわち、25℃での動粘度が5〜100mm/sという低粘度のシリコーンオイルを用いることにより、脂肪酸アミドの配合量の少なく抑えたことによる潤滑性の低下を補うことができる。一方で、シリコーンオイルは、低粘度ほど接着性を低下させる傾向がある。従って、潤滑性と接着性の点から、シリコーンオイルの粘度は、25℃での動粘度で15〜60mm/sであることが好ましく、より好ましくは15〜35mm/sである。ここで、シリコーンオイルの動粘度の測定は、JIS Z 8803に準拠して毛細管粘度計法による。
シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、およびそれらの側鎖、末端に有機基を導入した変性シリコーンオイルなどが挙げられる。好ましくは、下記一般式(3)で表されるジメチルポリシロキサンを用いることである。
式中、nは整数である。
シリコーンオイルの配合量は、多すぎると接着性と加工性の低下を引き起こすので(但し、等量添加であれば、脂肪酸アミドほどの接着性の低下は起こらない)、ゴム成分100重量部に対して1〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは2〜4重量部である。
本発明に係るゴム組成物には、一般の潤滑ゴム組成物に配合される各種の添加剤、例えば、カーボンブラックやシリカなどの充填剤、オイル、亜鉛華、ステアリン酸、加工助剤、加硫剤(例えば、硫黄)、加硫促進剤などを本発明の目的、効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
上記カーボンブラックとしては、特に限定されず、例えば、GPF級、FEF級、HAF級、ISAF級、SAF級などの各種グレードのものが用いられる。カーボンブラックの配合量は、特に限定するものではないが、ゴム成分100重量部に対して、20〜150重量部であることが好ましく、より好ましくは30〜100重量部である。
該ゴム組成物は、通常に用いられるバンバリーミキサーやニーダー等の混合機を用いて混練し作製することができ、常法に従い、例えば140〜200℃で加硫成形することにより、潤滑性が要求される各種ゴム製品を製造することができる。このようなゴム製品としては、例えば、自動車などの車両の各種ゴム部品(例えば、スタビライザブッシュ、サスペンションブッシュ、マフラーハンガー、ストラットマウント、エンジンマウント、ボディマウント、メンバーマウント、トーショナルダンパーなどの防振ゴム、ウエザストリップなどのドアのシール材など)、各種産業機器などの防振ゴムなどが挙げられる。
図1は、上記ゴム組成物を用いてなる防振ゴムとして、スタビライザブッシュ(1)の一例を示したものである。スタビライザブッシュ(1)は、厚肉筒状のゴム部材であり、上記ゴム組成物の射出成形により形成されている。図示するように、スタビライザブッシュ(1)は、断面円形状をなす中空部(2)にスタビライザバー(5)を挿通保持するように構成されている。また、厚肉筒状をなすスタビライザブッシュ(1)の本体(3)は、頂面(3A)を略平面とし、軸方向の両端縁に径方向に張り出すフランジ部(4)を有して、これらフランジ部(4)間の外周面(3B)が断面略U字状をなしており、略U字形のブラケット(不図示)内に保持されて、該ブラケットを介して車体側に固定されるように構成されている。
このようなスタビライザブッシュは、金属部品であるスタビライザバーを嵌め込んで使用されるため、発進時や急ブレーキ時、旋回時等にスタビライザバーとスタビライザブッシュ内孔表面との接触部分において回転力や拗れ力がかかり、スティックスリップ現象により異音が発生しやすい。そのため、スタビライザブッシュを上記潤滑ゴム組成物で形成することにより、潤滑成分(オレイン酸アミド、ステアリン酸アミドおよびシリコーンオイル)が徐々にゴム表面にブルームする自己潤滑剤として働き、広い温度範囲で摩擦係数を低減させることで異音の発生を防止することができる。また、この場合、仮にスタビライザブッシュが時間の経過とともにへたると、スタビライザブッシュとスタビライザバーとの間に隙間が生じ、そこに泥などが侵入することにより異音の原因となるが、上記潤滑ゴム組成物であると耐へたり性に優れるので、このような泥の侵入に起因する異音の発生も防止することができる。
図2は、上記ゴム組成物を用いてなる防振ゴムとして、サスペンションブッシュ等に用いられる防振ブッシュ(10)の一例を示したものである。ここで、図2(b)は(a)のIIb−IIb線断面図である。
防振ブッシュ(10)は、内筒金具(11)と、該内筒金具(11)を同軸状に取り囲む外筒金具(12)と、内筒金具(11)の外周面と外筒金具(12)の内周面に加硫接着されて両者を連結するゴム弾性体(13)からなり、該ゴム弾性体(13)が上記潤滑性のゴム組成物で形成されている。ゴム弾性体(13)には、内筒金具(11)を挟んで径方向に相対する位置に一対のすぐり部(14)(14)が設けられている。すぐり部(14)は、図2(b)に示すように、軸方向一方側から陥没形成された第1凹部(15)と軸方向他方側から陥没形成された第2凹部(16)とから構成され、軸方向中央部にゴム弾性体(13)の連結部(17)が設けられることで非貫通状に形成されている。
このような防振ブッシュ(10)では、ゴム弾性体(13)は内筒金具(11)と外筒金具(12)に加硫接着されるので、そのゴム組成物には金具との接着性が求められる。また、軸直角方向への過大変位によりすぐり部(14)が潰れてすぐり部(14)の対向する壁面同士が当接したとき、ゴム同士の接触によって異音が生じるおそれがある。これに対し、上記ゴム組成物は、接着性と潤滑性に優れるので、これらの問題を解消することができる。また、該ゴム組成物は耐へたり性にも優れるので、ゴム弾性体(13)のへたりによる性能低下も防ぐことができる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各評価項目の評価方法は次の通りである。
[潤滑性]
(1)指触評価
150℃×10分間で加硫した厚さ2mmの試験片につき、表1に記載の各雰囲気温度中で、ゴム表面を指で触れることにより滑り性を官能評価した。評価は、試験例1の常温での潤滑性を「5」(潤滑性に優れる)とし、試験例3の常温での潤滑性を「1」(潤滑性に劣る)とした5段階評価で行った。
(2)ブッシュ評価
図1に示すスタビライザブッシュを加硫成形し(155℃×8分間)、得られたスタビライザブッシュと、表面が電着塗装(カチオン塗装)された直径20.0mmの鉄製バーとの間の摩擦力を測定した。測定は、図3に示すように、スタビライザブッシュ(1)に鉄製バー(5)を挿通させ、U字状ブラケット(6)にて上下方向Zに11.9%の圧縮をかけた状態で、バー(5)を軸方向Xにおいて速度50mm/分で±40mm変位させ、抵抗荷重(抜け力)とその波形により評価した。試験時の雰囲気温度は、−40℃、0℃、常温(25℃)、40℃、80℃とした。上記波形について、スティックスリップ波形の有無を確認し、同波形無しのものをスティックスリップ音無しとして、表2,3中に「○」で表示し、同波形有りのものをスティックスリップ音有りとして、「×」で表示した。
[耐へたり性]
JIS K6262(圧縮永久歪み)に準拠して、直径29.0mm×高さ12.5mmの円柱状の試験片(加硫成形条件:150℃×10分間)を、治具を用いて、高さ方向に25.0%圧縮した状態(高さ9.38mm)で、雰囲気温度80℃の恒温槽中に放置し、所定時間経過後の試験片の高さを測定して、圧縮永久歪みCS(%)を算出した。放置時間は、240時間とした。圧縮永久歪みが小さいほど、耐へたり性に優れる。
[接着性]
JIS K6256に準拠して、図4に示す試験片を作製した。図示するように試験片は、160℃×4分間で加硫成形した短冊状のゴム部材に、接着剤を介して鉄製プレートを貼り付けたものである。この試験片を用いて、接着面に対し90°の方向から引っ張り剥離試験を行い(引張速度:50mm/分)、接着強度と剥離モードを求めた。剥離モードについて、RRは、ゴム−ゴム間での剥離モードであることを意味し、ThinRRは、RRであるが極々薄いゴム層での剥離モードであることを意味し、RRの方がより好ましいが、双方ともゴムでの破壊であるため、剥離モードとしては良好である。その他の剥離モードとしては、ゴムと接着剤との界面の剥離、接着剤と金具との界面の剥離がある。また、剥離モードに付された数値は、全剥離面における当該剥離モードの面積比率を示し、「RR−100」は、ゴム−ゴム間の剥離モードであって剥離面が全てゴムであることを意味する。
[試験例:脂肪酸アミドの選定]
下記表1に示す配合に従い、バンバリーミキサーを使用して常法に従いゴム組成物を調製した。表1中の各成分は以下の通りである。
・天然ゴム:RSS#3
・ブタジエンゴム:宇部興産株式会社製「VCR412」
・しゃっ解剤:LANXESS社製「アクチプラストM」
・亜鉛華:▲しん▼安工業社製「台湾活性亜鉛華」
・ステアリン酸:日本油脂株式会社製「ステアリン酸つばき」
・老化防止剤:6C、LANXESS社製「ブルカノックス4020」
・カーボンブラック:FEF級、新日化カーボン株式会社製「ニテロン10K」
・オイル:株式会社ジャパンエナジー製「RX−70」
・オレイン酸アミド:花王株式会社製「脂肪酸アマイドO−N」
・ステアリン酸アミド:花王株式会社製「脂肪酸アマイドT」
・エルカ酸アミド:花王株式会社製「脂肪酸アマイドE」
・硫黄:LANXESS社製「レノグランS−80」
・加硫促進剤1:LANXESS社製「レノグランCBS−80」
・加硫促進剤2:LANXESS社製「レノグランTMTD−80」。
得られた各ゴム組成物について、潤滑性を評価した(指触評価)。結果は、表1に示す通りであり、オレイン酸アミドの単独使用でも多量に添加した試験例1のゴム組成物では、広い温度範囲で潤滑性を発揮できたが、添加量を減量した試験例2では、高温での潤滑性に劣っていた。試験例2は、サスペンションブッシュのコントロール配合であり、サスペンションブッシュの場合、上記のようにすぐり部が潰れることによるゴム同士の異音が問題となる。高温時にはゴムが軟らかくなってすぐり部が潰れやすくなるので、ゴム同士が当接しやすくなる。そのため、高温時の潤滑性を維持することは重要であり、改善が求められる。
これに対し、脂肪酸アミドとしてエルカ酸アミドを用いた試験例4では、60℃での潤滑性は改善されたものの、80℃での改善効果は得られなかった。また、オレイン酸アミドとエルカ酸アミドを併用した試験例7でも同様であった。一方、ステアリン酸アミドの単独使用である試験例5では、高温での潤滑性は発揮されたものの、常温での潤滑性に劣っていた。また、ステアリン酸アミドとエルカ酸アミドを併用した試験例8でも、常温での潤滑性に劣っていた。これは、上記3つの脂肪酸アミドは、それぞれ単体での潤滑性がオレイン酸アミド>エルカ酸アミド>ステアリン酸アミドであるため、エルカ酸アミドとステアリン酸アミドを併用した場合、温度依存性は多少改善されるものの、常温近傍での潤滑性に若干問題があるためと推測される。
これに対し、オレイン酸アミドとステアリン酸アミドを併用した試験例6,9,10では、脂肪酸アミドの配合量を少量に抑えながら、広い温度範囲で潤滑性が発揮されていた。
また、試験例2、4、5及び6のゴム組成物をシート状に加硫成形した試験片について、トライボギア(HEIDON製)を用いてゴム表面の常温での摩擦係数を測定したところ、試験例2が0.246μk、試験例4が0.351μk、試験例5が1.753μkであるのに対し、試験例6は0.237μkであり、摩擦係数の低いゴムが得られた。
[実施例及び比較例]
下記表2,3に示す配合に従い、バンバリーミキサーを使用して常法に従いゴム組成物を調製した。表2,3中の各成分は以下の通りである。但し、表1に記載したものと同じものは、上記の通りである。
・シリコーンオイル10cs:信越化学工業(株)製「KF−96−10cs」(ジメチルポリシロキサン、25℃の動粘度:10mm/s)
・シリコーンオイル20cs:信越化学工業(株)製「KF−96−20cs」(ジメチルポリシロキサン、25℃の動粘度:20mm/s)
・シリコーンオイル30cs:信越化学工業(株)製「KF−96−30cs」(ジメチルポリシロキサン、25℃の動粘度:30mm/s)
・シリコーンオイル50cs:信越化学工業(株)製「KF−96−50cs」(ジメチルポリシロキサン、25℃の動粘度:50mm/s)
・シリコーンオイル100cs:信越化学工業(株)製「KF−96−100cs」(ジメチルポリシロキサン、25℃の動粘度:100mm/s)
・シリコーンオイル200cs:信越化学工業(株)製「KF−96−200cs」(ジメチルポリシロキサン、25℃の動粘度:200mm/s)
・シリコーンオイル500cs:信越化学工業(株)製「KF−96−500cs」(ジメチルポリシロキサン、25℃の動粘度:500mm/s)。
得られた各ゴム組成物について、潤滑性、耐へたり性、接着性を評価した。結果は、表2,3に示す通りである。なお、表3中の「−」は、未測定であることを示す。
比較例1は、スタビライザブッシュのコントロール配合であり、オレイン酸アミドを単独で多量に配合している。そのため、広い温度範囲で潤滑性は得られたが、耐へたり性に劣っていた。比較例2は、接着性が要求されるサスペンションブッシュのコントロール配合であり、オレイン酸アミドの配合量が比較例1に比べて少ないことから、耐へたり性は改善されたものの、潤滑性が比較例1に比べて劣っており、特に、常温での抵抗荷重が1500Nよりも大きく、また、ゴムの軟化によりすぐり部が潰れやすくなる高温時の潤滑性にも劣っていた。
比較例3は、脂肪酸アミドとシリコーンオイルが未配合のため、潤滑性が大きく劣るものであった。比較例4は、オレイン酸アミドとステアリン酸アミドの併用であるが、これらの配合量が少なく、かつシリコーンオイル未添加であったため、広い温度範囲での潤滑性、特には低温側での潤滑性が不十分であった。また、脂肪酸アミドを配合せずシリコーンオイル単独使用の比較例5でも、広い温度範囲での潤滑性、特には低温側での潤滑性が不十分であった。
これに対し、実施例1〜7であると、オレイン酸アミドとステアリン酸アミドとシリコーンオイルの3者を組みあわせて用いたことにより、脂肪酸アミドの配合量を少量に抑えながら、広い温度範囲で潤滑性が発揮されており(図5参照)、また脂肪酸アミドの配合量が少ないことによって、耐へたり性及び接着性に優れていた。
詳細には、耐へたり性は、脂肪酸アミドの配合量に比例して悪化しており、本発明に係る実施例のゴム組成物では、潤滑補助剤としてシリコーンオイルを添加したことにより、脂肪酸アミドの配合量を抑えることができ、その結果、耐へたり性も向上していた。
また、実施例1〜5および比較例6,7から明らかなように、シリコーンオイルの粘度が小さいほど潤滑性に優れており(図6参照)。動粘度100mm/s以下のシリコーンオイルを用いることにより、常温での潤滑性(抵抗荷重)を概ね1500N以下とすることができた。より詳細には、図6は、シリコーンオイルの粘度を対数で表した片対数グラフであり、10〜50mm/sの低粘度域と、50〜500mm/sの高粘度域とでは、潤滑性の傾向(即ち、粘度と抵抗荷重との関係式)が明らかに異なっていた。このグラフから、50mm/s以下の低粘度域のものが、シリコーンオイル自体の潤滑性及びブリード性がより良好であり、実施例2〜5に示されるように、より優れた潤滑性が得られることが分かった。
また、表2中の実施例5に示されたように、シリコーンオイルの粘度低下に伴い接着性が低下しており、よって、接着性の点からは、動粘度が15mm/s以上であることが好ましいことが分かる。更には、表2の実施例5〜7の対比から明らかなように、シリコーンオイルの添加量が増えると接着性が低下しており、シリコーンオイルの配合量は2〜4重量部が最適である。
本発明に係る潤滑ゴム組成物は、スタビライザブッシュを始めとする車両用防振ゴムなどの車両用ゴム製品、各種産業機器などの防振ゴムなどに好適に用いることができる。
1…スタビライザブッシュ、2…中空部、3…本体、4…フランジ部、5…スタビライザバー

Claims (5)

  1. ゴム成分に、オレイン酸アミドと、ステアリン酸アミドと、25℃での動粘度が5〜100mm/sのシリコーンオイルとを含有せしめてなる潤滑ゴム組成物。
  2. 前記シリコーンオイルは25℃での動粘度が15〜35mm/sであることを特徴とする請求項1記載の潤滑ゴム組成物。
  3. 前記ゴム成分100重量部に対し、前記オレイン酸アミドを1〜5重量部と、前記ステアリン酸アミドを1〜5重量部と、前記シリコーンオイルを1〜10重量部含有する請求項1又は2記載の潤滑ゴム組成物。
  4. 前記シリコーンオイルの配合量がゴム成分100重量部に対し2〜4重量部である請求項3記載の潤滑ゴム組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いてなる防振ゴム。
JP2009195902A 2009-08-26 2009-08-26 潤滑ゴム組成物及び防振ゴム Expired - Fee Related JP5399169B2 (ja)

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