JP2003056646A - 自己潤滑性ダンパゴムおよびこれを用いたゴムカップリング - Google Patents

自己潤滑性ダンパゴムおよびこれを用いたゴムカップリング

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JP2003056646A
JP2003056646A JP2001245640A JP2001245640A JP2003056646A JP 2003056646 A JP2003056646 A JP 2003056646A JP 2001245640 A JP2001245640 A JP 2001245640A JP 2001245640 A JP2001245640 A JP 2001245640A JP 2003056646 A JP2003056646 A JP 2003056646A
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coupling
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lubricating
damper rubber
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Kazunari Akaogi
和成 赤荻
Mikihito Ogawa
幹仁 小川
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Fukoku Co Ltd
Fukoku KK
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Fukoku Co Ltd
Fukoku KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】組合せ部材との固着が生じづらく、幅広い温度
下にて、充分な自己潤滑性を維持し、かつ、安価な自己
潤滑性ダンパゴムおよびこれを用いたカップリングダン
パゴムを提供することにある。 【解決手段】モータ用カップリング1は、ロックプレー
トと、自己潤滑性ダンパゴムからなるカップリングと、
ギヤケースと、出力軸40と、から構成されている。カ
ップリングは、ベースゴムと、融点が異なるブリード性
潤滑剤が2種類以上配合されて構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自己潤滑性ダンパ
ゴムおよびこれを用いたゴムカップリングに関する。
【0002】
【背景技術】従来より、一般に、自動車のパワーウィン
ドウやサンルーフは、平時においては、全閉状態におか
れることが普通であり、パワーウィンドウ等の開閉機構
には、モータ等の駆動源からの力の伝達系の一部にカッ
プリングゴム等を用い、全閉あるいは全開時には、窓ガ
ラスがストッパ又は窓枠に突き当たることによって生じ
る反力をモータやギヤなどの駆動源および伝達機構に伝
えないように、上記カップリングゴム自身が変形し、衝
撃的な反力を吸収する。そして、全閉時にはそのまま加
圧状態に保持することにより、窓ガラスを窓枠等に付勢
している。そして、上記パワーウィンドウやサンルーフ
の開閉機構に用いられるモーターカップリング用ダンパ
ゴムは、パワーウィンドウやサンルーフの全閉時は、加
圧状態で長時間保持されるため、金属や樹脂からなる相
手側部材と固着することがある。
【0003】モーターカップリング用ダンパゴムと相手
側部材が固着した場合には、モーター起動時に上記固着
を強制的に引き剥がすことになるので、衝撃的な引き剥
がし音、(以下、作動音)を生じ、ユーザーに不快な印
象を与えることがある。上記固着を防止する方法として
は、以下の手段が考えられる。
【0004】(1)組合せ部材またはカップリング用ダ
ンパゴムに表面処理する方法が提案されている。例え
ば、相手側部材に表面処理する方法としては、フッ化物
処理、ハロゲン処理が挙げられる。フッ化物処理は、高
価であり、剥がれやすく、長期間もたないなどの問題点
がある。
【0005】一方、ハロゲン処理は、ゴムの表面に行わ
れるコーティング処理の一種で、ゴムとの結合性が良
く、比較的耐摩耗性もあるので、長期間有効であるが、
ダンパゴム形成後、表面処理を行う必要があり、加工の
工程数が増えるなどの問題点がある。
【0006】(2)(1)の表面処理の問題点を克服す
るために、カップリング用ダンパゴムのゴム自体をフッ
素ゴムなどの自己摺動性を有する素材で形成する方法が
考えられる。この方法は固着に対しては、有効である
が、フッ素ゴムは非常に高価であるし、繰り返し荷重や
低温特性など、カップリング用ダンパゴムとしての要求
物性を満たしづらいという問題がある。
【0007】(3)(1)、(2)の問題点を克服する
ために、カップリング用ダンパゴムのベースゴムに脂肪
酸アミドを含有させて、脂肪酸アミドを徐々に、にじみ
出させる(ブリード)ことにより、自己潤滑性を付与し
た技術が提案されている(特開2000−24080
5、特開平7−278355)。以上(3)の技術で
は、ベースゴムに自己潤滑性を付与するために、脂肪酸
アミドを混練りしたものが記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、(3)
の技術では、単純にベースゴム上に脂肪酸アミドを混練
りしただけなので、以下の問題点がある。
【0009】脂肪酸アミドのブリード速度は、温度等に
より左右されるものの長期的にはほぼ一定であるから、
最初期から長期にわたって潤滑性を維持するためには、
大量に脂肪族アミドを混練りするか、ブリード速度を遅
くする必要がある。しかし、脂肪酸アミドを大量に入れ
た場合には、ダンパゴム本来の緩衝機能を阻害するた
め、適用できない。また、ブリード速度を遅くした場合
には、潤滑性が不十分で、特に、接触部位間に潤滑剤が
充分存在していない最初期の潤滑性が不足しがちであ
る。
【0010】さらに、例えば、自動車用パワーウィンド
ウのモーターカップリング用ダンパゴムとして使用する
場合には、使用地域が夏場40℃(車内温度は、さらに
高温になる)にもなる地域と冬場氷点下30℃程度にも
なる地域での使用を想定する必要があり、高温から低温
まで充分な自己潤滑性を維持することは難しいものであ
った。
【0011】本発明の目的は、組合せ部材との固着が生
じづらく、幅広い温度下にて、充分な自己潤滑性を維持
し、かつ、安価な自己潤滑性ダンパゴムおよびこれを用
いたカップリングダンパゴムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達するため
に、本発明の自己潤滑性ダンパゴムは、1つ以上の材料
からなるベースゴムに、融点が異なるブリード性潤滑剤
を2種類以上配合してなることを特徴とする。ここで、
ベースゴムとしては、通常この用途に用いられるもので
あれば、特に制限はなく、例えば、天然ゴム、アクリロ
ニトリル−ブタジエンゴム、水素化アクリロニトリル−
ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元重
合体ゴム、各種フッ素ゴム、アクリルゴムなどが挙げら
れるが、用途および後述するブリード性潤滑剤との相性
によって適宜選択して用いることができる。
【0013】ブリード性潤滑剤としては、ベースゴムか
らブリードし、かつ潤滑性を有する(以上2つの性質を
まとめて、自己潤滑性という。)ものであれば、特に制
限はなく、通常、滑剤等として用いられているものも採
用でき、例えば、シリコーンオイルや変性シリコーンオ
イルなどの各種オイル類、パラフィンワックスなどのワ
ックス類、また、脂肪酸や脂肪酸塩、脂肪族アミドなど
の脂肪酸類が挙げられる。
【0014】上記の脂肪酸類を例示すると、脂肪酸とし
ては、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸などが挙
げられ、また、脂肪酸塩としては、ステアリン酸亜鉛な
どが挙げられる。以上のブリード性潤滑剤は、融点が異
なる2種類のものを組合わせて配合される。2種類以上
であるので、低融点、中融点、高融点というように、3
種類のものを組合わせても良く、使用時の温度条件等に
より適宜設定することができる。具体的には、例えば、
低融点とは、融点が、80℃以下のもの、中融点とは、
融点が、80〜100℃のもの、高融点とは、融点が1
00℃以上に分類できる。
【0015】また、本発明において、上記ブリード性潤
滑剤の配合量は、ベースゴム100重量部に対して、
1.5重量部から10重量部程度とするのが好ましい。
配合量が1.5重量部未満であると十分なブリード量が
得られない傾向にあり、10重量部を越えるとブリード
量が過大となる傾向にあり、また、加工性が著しく低下
する傾向にある。
【0016】さらに、ブリード性潤滑剤として、低融
点、高融点の2種を採用した場合、ブリード性潤滑剤中
の低融点のブリード性潤滑剤の割合は、40〜60重量
%に配合すれば、自己潤滑性を十分に発揮することがで
きる。
【0017】ベースゴムは、例えば加硫剤、加硫促進
剤、加硫助剤、加工助剤、老化防止剤、粘着付与剤等を
適宜配合されて、調製される。加硫剤としては、例え
ば、硫黄、過酸化物、チオウレア、チオウレタ、オキシ
ム、アルキルフェノール樹脂、ジスルフィド、金属酸化
物、ポリアミン類等が適宜、ゴム種に応じて使用され
る。
【0018】加硫剤に組み合わせる加硫促進剤として
は、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、
ジチオカルバミン酸塩類、キサントゲン酸塩類等の中か
ら、通常1種又は2種以上選択して使用する。加硫助剤
としては、通常酸化亜鉛が使用される。加工助剤とし
て、ステアリン酸等の脂肪酸や脂肪油系油脂類が使用さ
れる。また補強剤としては、通常、カーボンブラック・
シリカ等が好適に使用される。軟化剤としては、パラフ
ィン系、ナフラン系、芳香族のプロセスオイルを使用可
能である。
【0019】自己潤滑性ダンパゴムの製造方法として
は、素練り、各種配合剤の混合(前記2つの工程を合わ
せて混練りともいう。)、圧延、成形、加硫、仕上げの
工程を経る方法が採用できる。
【0020】このような本発明によれば、1つ以上の材
料からなるベースゴムに、融点が異なるブリード性潤滑
剤を2種類以上配合してなることにより、ベースゴムか
らブリード性潤滑剤がブリードし、かつ潤滑性を有する
ので、組合せ部材との固着が生じづらい。また、低融点
のブリード性潤滑剤は、ベースゴムとの加硫成形直後の
残留熱によりダンパゴム表面にブリードするため、使用
初期の時点から表面に潤滑性を与え、このまま長期間使
用された場合には、低融点のブリード性潤滑剤に変わっ
て高融点のブリード性潤滑剤がゆっくりブリードするの
で、幅広い温度下にて、充分な自己潤滑性を維持するこ
とができる。さらに、フッ素ゴム等を使用せず、ブリー
ド性潤滑剤を配合するだけなので、安価である。
【0021】本発明の自己潤滑性ダンパゴムでは、前記
ブリード性潤滑剤は、脂肪族アミドであることが好まし
い。これによれば、ブリード性潤滑剤を、脂肪族アミド
とすることにより、安定的にブリード性が得られるの
で、長期に亘って、自己潤滑性を維持することができ
る。
【0022】本発明の自己潤滑性ダンパゴムでは、前記
脂肪族アミドは、ステアロアミド、パルミチルアミドか
ら少なくとも1つ以上選ばれる高融点系脂肪族アミド
と、オレイルアミド、エルシルアミド、ラウリルアミド
から少なくとも1つ以上選ばれる低融点系脂肪族アミド
と、からなることが好ましい。
【0023】ここで、特に、自動車用パワーウィンドウ
モーター用カップリングのダンパゴムやサンルーフモー
ター用カップリングのダンパゴムに用いる脂肪族アミド
としては、ステアロイドとオレイルアミドの組合せが好
ましい。これによれば、より安定的にブリード性が得ら
れるので、より一層自己潤滑性を維持することができ
る。
【0024】本発明のゴムカップリングは、駆動源から
の力を他に伝達する伝達機構を構成し、自身が加圧変形
して、衝撃力を吸収するゴムカップリングであって、前
述の自己潤滑性ダンパゴムを用いてなることを特徴とす
る。これによれば、前述の自己潤滑性ダンパゴムを用い
てなることにより、前述と同様な作用・効果を享受でき
る。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に
係るパワーウィンドウ駆動部3が示されている。パワー
ウィンドウ駆動部3は、モータ50と、ケース60と、
電源コード70と、モータ用カップリング1と、ギヤ2
と、を備えて構成される。ギヤ2は、円盤状の部材に、
外周壁面側に歯が設けられている一般的な歯車、ギヤ等
の構造をもったものである。
【0026】プラスチック製のケース60は、略五角形
状のケース本体61と、ケース本体61の中央部に形成
されたギヤ収納部62と、固定用孔63と、円形の突起
部64と、固定孔65と、角柱状のモータ軸収納部66
と、コード収納部67と、モータ固定部68と、突起部
69と、を備えて構成される。
【0027】ギヤ収納部62は、略ひょうたん形状の凹
部として構成され、この部分にモータ用カップリング1
及びギヤ2が収納され、モータ用カップリング1及びギ
ヤ2の中央には、これらの回転により回動する出力軸4
0が設けられている。
【0028】固定用孔63は、五角形状のケース本体6
1の対向する頂点側に形成されている。突起部64は、
ギヤ収納部62及び固定用孔63の間に設けられてい
る。固定孔65は、五角形状のケース本体61の底辺側
に形成され、パワーウィンドウの他の部品に固定するた
めに、ネジ等の固定部材を挿通することができる。モー
タ軸収納部66は、五角形状のケース本体61の頂点側
に配置され、ケース本体61の下面側に設けられてお
り、モータ50の回転を伝える軸(図示略)を収納して
いる。
【0029】コード収納部67は、モータ軸収納部66
の上側に設けられている。モータ固定部68は、モータ
軸収納部66及びコード収納部67の先端部に設けられ
ている。突起部69は、ケース本体61及びモータ軸収
納部66が交差する頂点側に設けられている。
【0030】モータ50は、金属製のケースに収納され
た、一般的な電動モータであり、ねじ51によってモー
タ固定部68に固定される。電源コード70は、モータ
50からコード収納部67を経て、外側に延びており、
電源(図示略)に接続されている。
【0031】モータ用カップリング1は、図2に示すよ
うに、ロックプレート10と、自己潤滑性ダンパゴムか
らなるカップリング20と、ギヤケース30と、出力軸
40と、から構成されている。
【0032】金属製のロックプレート10は、図3に示
すように、円板状のプレート本体11と、プレート本体
11の外周側に120度の間隔で設けられている突起部
12と、プレート本体11の中心部に同心円状に設けら
れる軸受13と、中心部を含んでプレート本体11及び
軸受13を挿通する軸孔14と、を備えて構成されてい
る。突起部12は、断面略台形状の角柱である。軸受1
3は、円柱状である。軸孔14は、短辺側が丸みを帯び
た断面略矩形状の角柱形をしている。
【0033】カップリング20は、図3に示すように、
円盤状の本体21と、本体21の外周側に60度の間隔
で形成された突起受け22と、各突起受け22を挟むよ
うにして設けられた円形の突起部23と、本体21の中
心部に同心円状に形成された円形の軸孔24と、を備え
て構成される。
【0034】突起部23は、6つの放射状片の一片につ
き1個ずつ、中央部に設けられ、ロックプレート10お
よびカップリング20が固着しないように、隙間をもた
せるために設けられている。軸孔24の直径は、軸受1
3の直径と同じである。突起受け22は、突起部12と
同一形状であり、対応するようになっている。
【0035】カップリング20は、ベースゴムと、融点
が異なるブリード性潤滑剤が2種類以上配合されて構成
されている。ベースゴムとしては、天然ゴム、アクリロ
ニトリル−ブタジエンゴム、水素化アクリロニトリル−
ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元重
合体ゴム、各種フッ素ゴム、アクリルゴム等が1種類以
上からなるものを採用している。
【0036】ブリード性潤滑剤は、低融点の脂肪族アミ
ドと、高融点の脂肪族アミドと、を配合したものであ
り、低融点の脂肪族アミドとしては、オレイルアミド、
エルシルアミド、ラウリルアミドが挙げられ、高融点の
脂肪族アミドとしては、ステアロアミド、パルミチルア
ミドが挙げられる。
【0037】カップリング20の製造方法としては、素
練り、各種配合剤の混合(前記2つの工程を合わせて混
練りともいう。)、圧延、成形、加硫、仕上げの工程を
経る方法を採用している。
【0038】金属製のギヤケース30は、図3に示すよ
うに、円盤状のギヤケース本体31と、ギヤケース本体
31の外周円上に設けられた側壁32と、側壁32の内
壁面に設けられた突起部33と、側壁32の外壁面に設
けられた歯34と、ギヤケース本体31の中心部に同心
円状に形成された円形の軸孔35と、を備えて構成され
る。突起部33及び歯34は、断面略台形状の角柱であ
る。突起部33は、突起受け22と同一形状であり、対
応するようになっている。
【0039】金属製の出力軸40は、図2に示すよう
に、円柱状の軸本体41と、軸本体41の先端に設けら
れた軸止め42と、から構成されている。軸止め42
は、短辺側が丸みを帯びた断面略矩形状の角柱である。
軸本体41の直径は、軸孔35の直径と略同一である。
軸止め42は、軸孔14と同一形状であり、略同じ大き
さであり、対応するようになっている。
【0040】以上に述べたロックプレート10、ギヤケ
ース30及び出力軸40は、金型、溶接加工等の公知の
方法で製造され、その材質は、一般的に用いられている
合金等である。
【0041】モータ用カップリング1の組み立て手順と
しては、図3に示すように、ロックプレート10と、カ
ップリング20と、ギヤケース30と、出力軸40の中
心部を一直線上に対応するようにし、突起部12及び軸
受13をそれぞれ、軸孔24及び突起受け22を嵌め込
むようにする。さらに、突起部12から、円周方向に6
0度回転させて、突起部33を突起受け22に嵌め込
む。そして、軸止め42を軸孔14に挿入し、固定し
て、モータ用カップリング1が完成する。
【0042】実際のパワーウィンドウ駆動部3の使用時
には、電源(図示略)を入れ、モータ50を動作させ、
図示は略すが、モータ軸収納部66内に設けられた歯車
によって、モータ用カップリング1のギヤケース30に
回転が伝達される。
【0043】さらにギヤケース30からカップリング2
0を介してロックプレート10に回転が伝わり、ロック
プレート10に固定された出力軸40から図示裏面側に
接続されたパワーウィンドウが動作する。パワーウィン
ドウが、窓枠まで窓ガラスを押し上げ、窓が全閉状態に
なった時に、カップリング20に圧力がかかり、窓ガラ
スが付勢されて、動作が停止する。
【0044】このカップリング20にかかる圧力によっ
て、使用初期または低温時には、低融点の脂肪族アミド
がブリードし、さらに、使用中・後期または高温時に
は、高融点の脂肪族アミドがブリードする。ロックプレ
ート10およびギヤケース30からカップリング20に
かかる圧力、特に突起受け22付近に圧力が集中するた
め、この付近から脂肪族アミドがブリードするので、カ
ップリング20は、ギヤケース30等と固着しない。
【0045】上述のような本実施形態によれば、次のよ
うな効果がある。 (1)ベースゴムに、融点が異なるブリード性潤滑剤を
2種類以上配合してなることにより、カップリング20
からブリード性潤滑剤が、ブリードし、かつ潤滑性を有
するので、ギヤケース30との固着が生じづらい。 (2)低融点のブリード性潤滑剤は、ベースゴムとの加
硫成形直後の残留熱によりカップリング20表面にブリ
ードするため、使用初期の時点から表面に潤滑性を与
え、このまま長期間使用された場合には、低融点のブリ
ード性潤滑剤に変わって高融点のブリード性潤滑剤がゆ
っくりブリードするので、幅広い温度下にて、充分な自
己潤滑性を維持することができる。 (3)材料にフッ素ゴム等を使用せず、ブリード性潤滑
剤を配合するだけなので、安価である。
【0046】なお、本発明は前記各実施形態に限定され
るものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変
形、改良は、本発明に含まれるものである。例えば、ブ
リード性潤滑剤としては、前記実施形態では、脂肪族ア
ミドを採用していたが、これに限られず、例えば、シリ
コーンオイルや変性シリコーンオイルなどの各種オイル
類、パラフィンワックスなどのワックス類、また、脂肪
酸や脂肪酸塩等を採用できる。上記の脂肪酸類を例示す
ると、脂肪酸としては、ステアリン酸、ヒドロキシステ
アリン酸などが挙げられ、また、脂肪酸塩としては、ス
テアリン酸亜鉛などが挙げられる。
【0047】また、ベースゴムには、例えば加硫剤、加
硫促進剤、加硫助剤、加工助剤、老化防止剤、粘着付与
剤等を適宜配合されて、調製されていてもよい。加硫剤
としては、例えば、硫黄、過酸化物、チオウレア、チオ
ウレタ、オキシム、アルキルフェノール樹脂、ジスルフ
ィド、金属酸化物、ポリアミン類等が適宜、ゴム種に応
じて使用される。
【0048】加硫剤に組み合わせる加硫促進剤として
は、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、
ジチオカルバミン酸塩類、キサントゲン酸塩類等の中か
ら、通常1種又は2種以上選択して使用する。加硫助剤
としては、通常酸化亜鉛が使用される。加工助剤とし
て、ステアリン酸等の脂肪酸や脂肪油系油脂類が使用さ
れる。また補強剤としては、通常、カーボンブラック・
シリカ等が好適に使用される。軟化剤としては、パラフ
ィン系、ナフラン系、芳香族のプロセスオイルを使用可
能である。老化防止剤としては、アミン−ケトン類、芳
香族アミン類、フェノール類、イミダゾール類などがあ
る。
【0049】前記実施形態では、パワーウィンドウに用
いられていたが、これに限られず、サンルーフの開閉機
構等のカップリングとして使用できる。その他、本発明
を実施する際の具体的な構造および形状等は、本発明の
目的を達成できる範囲内で他の構造等としてもよい。
【0050】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて、本発明
をより具体的に説明する。なお、本発明は実施例の内容
に限定されるものではない。 [実施例1]以下、実施例および比較例を挙げて、本発
明をより具体的に説明する。表1に示すような組成を有
する基本組成物を、混練りし、160℃で約10分、加
熱・加硫して、カップリング20を成形し、これを実施
例1とした。
【0051】[比較例1]表1に示すような組成を有す
る基本組成物を、混練りし、160℃で約10分、加熱
・加硫して、カップリング20を成形し、これを比較例
1とした。実施例1とは、オレイルアミド、ステアロア
ミドが添加されていない点が異なる。
【0052】[比較例2]表1に示すような組成を有す
る基本組成物を、混練りし、160℃で約10分、加熱
・加硫して、カップリング20を成形した。さらに、塩
素ガスを水に混合して塩素濃度0.3%になるように調
整したハロゲン化液に、以上において成形したカップリ
ング20を浸漬し、引き上げた後、十分乾燥させ、表面
にハロゲン化処理を施したカップリング20とし、これ
を比較例2とした。
【0053】
【表1】
【0054】[評価試験]図3に示すパワーウィンドウ
駆動部3に上記実施例1、比較例1、比較例2を組み込
み、雰囲気温度80℃、負荷トルク9.8N/m(2c
ycle/分)、10000cycleの耐久試験を行
い、それぞれの組付後、5cycle時のガタ角度と1
0000cycle時のガタ量を測定し、ガタ角度の増
加量を測定し、測定結果を表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】評価試験の結果より、本発明にかかる実施
例1は、+1.5°とあまり変化していないのに対し、
比較例1、比較例2とも大きく変化している。実施例1
は、その組み付け部材とのあたり表面の状態は、目視に
おいては、摩耗の様子はみられなかった。評価試験の増
加量は、カップリング20自体のへたりを含む量である
ので、本発明にかかる実施例1においては、長期にわた
り、十分な潤滑性を有するため、ほとんど摩耗が生じて
いないことがわかる。
【0057】一方、比較例1は、実施例1に対し4倍以
上の増加を示し、その評価試験後の表面には摩耗が目視
で確認できた。
【0058】比較例2は、実施例1に対し4倍以上の増
加を示し、その評価試験後の表面には多少の摩耗が目視
で確認できた。比較例2は、カップリング20は表面に
ハロゲン化処理によるハロゲン処理膜を形成しているか
ら、摩耗が生じているということは、ハロゲン処理膜が
摩滅したことを意味するので、ハロゲン処理膜が摩滅後
にカップリング20の表面の摩耗が進行したことがわか
る。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、1つ以上の材料からな
るベースゴムに、融点が異なるブリード性潤滑剤を2種
類以上配合してなることにより、ベースゴムからブリー
ド性潤滑剤がブリードし、かつ潤滑性を有するので、組
合せ部材との固着が生じづらい。また、低融点のブリー
ド性潤滑剤は、ベースゴムとの加硫成形直後の残留熱に
よりダンパゴム表面にブリードするため、使用初期の時
点から表面に潤滑性を与え、このまま長期間使用された
場合には、低融点のブリード性潤滑剤に変わって高融点
のブリード性潤滑剤がゆっくりブリードするので、幅広
い温度下にて、充分な自己潤滑性を維持することができ
る。さらに、フッ素ゴム等を使用せず、ブリード性潤滑
剤を配合するだけなので、安価である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のパワーウィンドウ駆動部
の平面図である。
【図2】図1の実施形態におけるモータ用カップリング
を示す断面図である。
【図3】図1の実施形態におけるモータ用カップリング
の組み立て斜視図である。
【符号の説明】
1 モータ用カップリング 20 カップリング 50 モータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AC011 AC071 AC111 BB151 BD121 BG041 EP016 EP017 FD010 FD020 FD140 FD150 FD176 FD177 GM00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1つ以上の材料からなるベースゴムに、融
    点が異なるブリード性潤滑剤を2種類以上配合してなる
    ことを特徴とする自己潤滑性ダンパゴム。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の自己潤滑性ダンパゴムに
    おいて、 前記ブリード性潤滑剤は、脂肪族アミドであることを特
    徴とする自己潤滑性ダンパゴム。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の自己潤滑性ダンパゴムに
    おいて、 前記脂肪族アミドは、ステアロアミド、パルミチルアミ
    ドから少なくとも1つ以上選ばれる高融点系脂肪族アミ
    ドと、 オレイルアミド、エルシルアミド、ラウリルアミドから
    少なくとも1つ以上選ばれる低融点系脂肪族アミドと、
    からなることを特徴とする自己潤滑性ダンパゴム。
  4. 【請求項4】駆動源からの力を他に伝達する伝達機構を
    構成し、自身が加圧変形して、衝撃力を吸収するゴムカ
    ップリングであって、 請求項1から請求項3のいずれかに記載の自己潤滑性ダ
    ンパゴムを用いてなることを特徴とするゴムカップリン
    グ。
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