JP2004143414A - ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる射出成形体 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる射出成形体 Download PDF

Info

Publication number
JP2004143414A
JP2004143414A JP2003208590A JP2003208590A JP2004143414A JP 2004143414 A JP2004143414 A JP 2004143414A JP 2003208590 A JP2003208590 A JP 2003208590A JP 2003208590 A JP2003208590 A JP 2003208590A JP 2004143414 A JP2004143414 A JP 2004143414A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
propylene
weight
ethylene
resin composition
block copolymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003208590A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4423901B2 (ja
Inventor
Takeshi Watanabe
渡辺 毅
Kenichi Okawa
大川 健一
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP2003208590A priority Critical patent/JP4423901B2/ja
Publication of JP2004143414A publication Critical patent/JP2004143414A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4423901B2 publication Critical patent/JP4423901B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】安価で、耐衝突性能に優れたポリプロピレン系樹脂組成物およびそのポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形体を提供する。
【解決手段】プロピレン単独重合体部分(A1)80〜60重量%と、エチレン含量が40〜60重量%であるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分(A2)20〜40重量%とからなるプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)45〜90重量%、プロピレン単独重合体部分(B1)80〜60重量%と、エチレン含量が25〜38重量%であるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分(B2)20〜40重量%とからなるプロピレン−エチレンブロック共重合体(B)5〜30重量%、および、無機充填剤(C)5〜25重量%からなるポリプロピレン系樹脂組成物およびそのポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形体。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリプロピレン系樹脂組成物およびそのポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形体に関するものである。更に詳しくは、安価で、耐衝突性能に優れたポリプロピレン系樹脂組成物およびそのポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ポリプロピレン系樹脂組成物は自動車用材料に用いられている。
例えば、特開平9−208797号公報には、異なる2種類の結晶性エチレン・プロピレンブロック共重合体(成分(A)および成分(B))、エチレン・α−オレフィン共重合体、及びタルクを含み、剛性、耐熱変形性及び成形性に優れ、外観の良好な成形品を提供できるポリプロピレン樹脂組成物が記載されている。
【0003】
しかし、エチレン・α−オレフィン共重合体を含む射出成形体の耐衝突性能は、必ずしも充分でないこともあり、また、エチレン・α−オレフィン共重合体を使用すると、ポリプロピレン樹脂組成物およびそれからなる射出成形体が高価になるため、安価で、耐衝突性能が改良されたポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる射出成形体が望まれていた。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−208797号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、安価で、耐衝突性能に優れたポリプロピレン系樹脂組成物およびそのポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、かかる実情に鑑み、鋭意研究の結果、本発明が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
プロピレン単独重合体部分(A1)80〜60重量%と、エチレン含量が40〜60重量%であるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分(A2)20〜40重量%とからなるプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)45〜90重量%、プロピレン単独重合体部分(B1)80〜60重量%と、エチレン含量が25〜38重量%であるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分(B2)20〜40重量%とからなるプロピレン−エチレンブロック共重合体(B)5〜30重量%、および、無機充填剤(C)5〜25重量%からなるポリプロピレン系樹脂組成物に係るものである。(但し、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)、(B)および無機充填剤(C)の合計量を100重量%とする。)
また、本発明の一つは上記ポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形体に係るものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)は、プロピレン単独重合体部分(A1)と、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分(A2)からなるプロピレン−エチレンブロック共重合体である。プロピレン単独重合体部分(A1)の重量割合は80〜60重量%であり、好ましくは75〜60重量%である。また、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分(A2)の重量割合は20〜40重量%であり、好ましくは25〜40重量%である。(但し、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)の全重量を100重量%とする。)
【0008】
単独重合体部分(A1)の重量割合が80重量%を超えた場合(すなわち、ランダム共重合体部分(A2)の重量割合が20重量%未満の場合)、衝撃強度が不充分なことがあり、単独重合体部分(A1)の重量割合が60重量%未満の場合(すなわち、ランダム共重合体部分(A2)の重量割合が40重量%を超えた場合)、柔らかすぎて剛性が不充分なことがある。
【0009】
ブロック共重合体(A)のエチレン含量(C2’)は、耐衝撃性の観点から、通常、10重量%以上であり、好ましくは10〜15重量%である。
【0010】
ブロック共重合体(A)におけるランダム共重合体部分(A2)のエチレン含量((C2’)EP)は、40〜60重量%であり、好ましくは40〜55重量%である。(但し、ランダム共重合体部分(A2)の全重量を100重量%とする。)
【0011】
ランダム共重合体部分(A2)のエチレン含量((C2’)EP)が60重量%を超えた場合、ゴム部の分散不良になり、衝撃性能が不充分なことがある。
【0012】
ブロック共重合体(A)における単独重合体部分(A1)のアイソタクチック・ペンタッド分率は、剛性や耐熱性の観点から、通常、0.97以上であり、より好ましくは0.98以上である。
【0013】
ブロック共重合体(A)におけるランダム共重合体部分(A2)の固有粘度([η]EP)は、剛性と衝撃性のバランス、ブツ部の発生や面品質の観点から、通常、1〜6dl/gであり、より好ましくは2〜5.5dl/gである。
【0014】
ブロック共重合体(A)の製造方法としては、プロピレン単独重合体部分(A1)を第1工程で製造し、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分(A2)を第2工程で製造する方法が挙げられる。そして、重合触媒としては、例えば、チーグラー触媒やメタロセン触媒が挙げられ、重合方法としては、例えば、スラリー重合法や気相重合法が挙げられる。
【0015】
また、本発明で用いられるブロック共重合体(A)のうち、1〜20重量%はプロピレン単独重合体を用いても良く、ブロック共重合体(A)の単独重合体部分(A1)と同様のプロピレン単独重合体を用いることができる。
【0016】
本発明で用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体(B)とは、プロピレン単独重合体部分(B1)と、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分(B2)とからなるプロピレン−エチレンブロック共重合体である。
プロピレン単独重合体部分(B1)の重量割合は80〜60重量%であり、好ましくは75〜60重量%である。また、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分(B2)の重量割合は20〜40重量%であり、好ましくは25〜40重量%である。(但し、プロピレン−エチレンブロック共重合体(B)の全重量を100重量%とする。)
【0017】
単独重合体部分(B1)の重量割合が80重量%を超えた場合(すなわち、ランダム共重合体部分(B2)の重量割合が20重量%未満の場合)、衝撃強度が不充分なことがあり、単独重合体部分(B1)の重量割合が60重量%未満の場合(すなわち、ランダム共重合体部分(B2)の重量割合が40重量%を超えた場合)、柔らかすぎて剛性が不充分なことがある。
【0018】
ブロック共重合体(B)におけるランダム共重合体部分(B2)のエチレン含量((C2’)EP)は、25〜38重量%であり、好ましくは25〜35重量%である。(但し、ランダム共重合体部分(B2)の全重量を100重量%とする。)
【0019】
ランダム共重合体部分(B2)のエチレン含量((C2’)EP)が25重量%未満の場合、衝撃強度が不充分なことがある。
【0020】
ブロック共重合体(B)における単独重合体部分(B1)のアイソタクチック・ペンタッド分率は、剛性や耐熱性の観点から、通常、0.97以上であり、より好ましくは0.98以上である。
【0021】
ブロック共重合体(B)におけるランダム共重合体部分(B2)の固有粘度([η]B2)は、剛性と衝撃性のバランス、ブツ部の発生や面品質の観点から、通常、1〜6dl/gであり、より好ましくは2〜5.5dl/gである。
【0022】
ブロック共重合体(B)の製造方法としては、前述の本発明で用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)と同様の方法が挙げられる。
【0023】
本発明で用いられる無機充填剤(C)としては、例えば、タルク、マイカ、ワラスナイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、クレー、アルミナ、シリカ、硫酸カルシウム、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、けい砂、カーボンブラック、酸化チタン、水酸化マグネシウム、ゼオライト、モリブデン、けいそう土、セリサイト、シラス、水酸化カルシウム、亜硫酸カルシウム、硫酸ソーダ、ベントナイト、黒鉛等が挙げられる。衝撃強度、成形体の光沢や良好な外観を得るという観点から、好ましくは、タルクである。
【0024】
タルクの平均粒子径は、通常、10μm以下であり、好ましくは5μm以下である。ここでタルクの平均粒子径とは、遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて水、アルコール等の分散媒中に懸濁させて測定した篩下法の積分分布曲線から求めた50%相当粒子径D50のことを意味する。
【0025】
また、タルクは無処理のまま使用しても良く、ポリプロピレン系樹脂との界面接着性を向上させ、ポリプロピレン系樹脂に対する分散性を向上させるために、通常知られているシランカップリング剤、チタンカップリング剤や界面活性剤で表面を処理して使用しても良い。界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩類等が挙げられる。
【0026】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法としては、各成分を混合し、混練する方法が挙げられ、混練に用いられる装置としては、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、熱ロール等が挙げられる。混練の温度は、通常、170〜250℃であり、時間は、通常、1〜20分である。また、各成分の混合は同時に行なってもよく、分割して行なってもよい。
【0027】
各成分を分割して混合する方法としては、例えば、次の(1)または(2)の方法が挙げられる。
(1)プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)と無機充填剤(C)を混練した後、プロピレン−エチレンブロック共重合体(B)を添加する方法。
(2)プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)とプロピレン−エチレンブロック共重合体(B)を混練した後、無機充填材(C)を添加する方法。
また、上記の(1)または(2)の方法において、得られるポリプロピレン樹脂組成物に対して、任意に1〜20重量%のプロピレン単独重合体を混合しても良い。
【0028】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤、銅害防止剤、難燃剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、造核剤、気泡防止剤、架橋剤等の添加剤を配合しても良い。
【0029】
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、共重合体ゴムを、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して、0.01〜1重量部を添加しても良い。共重合体ゴムとしては、例えば、ビニル芳香族化合物含有共重合体ゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−ブテン共重合体ゴム、エチレン−ヘキセン共重合体ゴム、エチレン−オクテン共重合体ゴム等が挙げられる。
【0030】
本発明の射出成形体は、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を、射出成形法によって、成形して得られるものである。
本発明の射出成形体の用途としては、例えば、自動車用部品、電気製品・電子製品用部品、建材部品等が挙げられ、好ましくは自動車用部品である。
【0031】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって本発明を説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例における物性値の測定法を以下に示した。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS−K−6758に規定された方法に従い、測定した。特に断りのない限り、測定温度は230℃であり、荷重は2.16kgであった。
【0032】
(2)曲げ弾性率(単位:MPa)
JIS−K−7203に規定された方法に従い、測定した。射出成形によって成形された試験片を用いた。試験片の厚みは6.4mmであり、スパン長さ100mm、荷重速度2.0mm/minの条件で曲げ弾性率を評価した。測定温度は23℃で行った。
【0033】
(3)IZOD衝撃強度(単位:KJ/m
JIS−K−7110に規定された方法に従い、測定した。射出成形によって成形された試験片を用いた。試験片の厚みは3.2mmであり、ノッチ付きの金型を用いて作成したノッチ付き試験片と、ノッチがない金型を用いて成形し、成形後にノッチ加工された試験片を用いて、IZOD衝撃強度を評価した。測定温度は23℃で行った。
【0034】
(4)極限粘度([η]、単位:dl/g)
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1、0.2および0.5g/dlの3点について還元粘度を測定した。極限粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法、すなわち、還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求めた。ポリプロピレンについては、溶媒としてテトラリンを用い、温度135℃で評価した。
【0035】
(5)分子量分布(Q値)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下に示した条件で測定した。
GPC:Waters社製 150C型
カラム:昭和電工社製 Shodex 80 MA 2本
サンプル量:300μl(ポリマー濃度0.2wt%)
流量:1ml/min
温度:135℃
溶媒:o−ジクロルベンゼン
東洋曹達社製の標準ポリスチレンを用いて溶出体積と分子量の検量線を作成した。検量線を用いて検体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を求め分子量分布の尺度としてQ値=重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)を求めた。
【0036】
(6)アイソタクチック・ペンタッド分率(単位:%)
アイソタクチック・ペンタッド分率は、A.Zambelliらによって、Macromolecules,6,925(1973)に発表、記載されている方法に従って測定した。すなわち、13C−NMRを使用して測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖、換言すれば、プロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率を求めた。ただし、NMRの吸収ピークの帰属に関しては、その後発刊されたMacromolecules,8,687(1975)に基づいて行った。
具体的には、13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中のmmmmピークの面積分率としてアイソタクチック・ペンタッド分率を測定した。この方法により英国NATIONAL PHYSICAL LABORATORYのNPL標準物質 CRM No.M19−14 PolypropylenePP/MWD/2のアイソタクチック・ペンタッド分率を測定したところ、0.944であった。
【0037】
(7)プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の全ブロック共重合体に対する重量比率(X、単位:重量%)及びプロピレン−エチレンブロック共重合体中のプロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量((C2’)EP、単位:重量%)、及びプロピレン−エチレンブロック共重合体中のエチレン含量((C2’)、単位:重量%)
下記の条件で測定した13C−NMRスペクトルから、Kakugoらの報告(Macromolecules 1982,15,1150−1152)に基づいて求めた。
10mmΦの試験管中で約200mgのプロピレン−エチレンブロック共重合体を3mlのオルソジクロロベンゼンに均一に溶解させて試料を調整し、その試料の13C−NMRスペクトルを下記の条件で測定した。
測定温度:135℃
パルス繰り返し時間:10秒
パルス幅:45°
積算回数:2500回
【0038】
(8)プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度([η]EP、単位:dl/g)
プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度[η]EPは、プロピレン単独重合体部分と全ブロック共重合体の各々の極限粘度を測定することにより、次式から算出した。
[η]EP=[η]T/X−(1/X−1)[η]P
[η]P:プロピレン単独重合体部分の極限粘度(dl/g)
[η]T:ブロック共重合体全体の極限粘度(dl/g)
なお、プロピレン−エチレンブロック共重合体の第1セグメントであるプロピレン単独重合体部分の極限粘度[η]Pは、その製造時に、第一工程であるプロピレン単独重合体部分の製造後に重合槽内より取り出し、取り出されたプロピレン単独重合体から[η]Pを求めた。
【0039】
実施例1および比較例1
(試料)
(1)プロピレン−エチレンブロック共重合体(BC−1)
The Polyolefin Company社製AW191Aを用いた。
AW191AのMFR(230℃)は、10g/10分であった。プロピレン単独重合体部分の分子量分布(Q値)は3.9であり(Mw=234000、Mn=60000)、極限粘度([η]P)は1.05dl/gであり、アイソタクチックペンタッド分率は0.97であり、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度([η]EP)は2.5dl/gであり、プロピレン−エチレンブロック共重合体(BC−1)に対する重量割合は30重量%であり、エチレン含量は43重量%であった。プロピレン−エチレンブロック共重合体(BC−1)の構造値を表1に示した。
【0040】
(2)プロピレン−エチレンブロック共重合体(BC−2)
(2−1)予備重合
製攪拌機付きオートクレーブにおいて、充分に脱水、脱気処理したヘキサンにトリエチルアルミニウム(以下、TEAと略す。)を25mmol/L、電子供与体成分としてシクロヘキシルエチルジメトキシシラン(以下、CHEDMSと略す。)をCHEDMS/TEA=0.1(mol/mol)、および特開平10−212319号公報に記載の固体触媒成分Iを触媒成分に含まれるTi含量で[TEA]/Ti=5となるように上記の順に仕込み、固体触媒成分あたりの重合体量比(以下PP/catと略す。)が2.5(g/g)になるように5〜15℃を維持しながらプロピレンを連続的に供給して予備重合体スラリーを得た。得られた予備重合体スラリーを製攪拌機付きオートクレーブに移送した後、十分に精製された液状ブタンを加えて10℃以下の温度に保持して保存した。
【0041】
(2−2)本重合
2槽からなる重合槽を直列に配置し、第1槽目でプロピレン単独重合体(第1セグメント)の連続式気相重合を行い、生成パウダーの置換が完了したところで槽内にホールドしているパウダーを第2槽目に移送し、続いてその槽でプロピレン−エチレンランダム共重合体(第2セグメント)のバッチ式気相重合を行う、いわゆるセミバッチ方式でP−EPブロック共重合体の重合を行った。
前段1槽目において、リアクター内温度80℃、リアクター内圧力1.8MPaにおいて、気相部のプロピレンを90体積%、水素を10体積%に保持する条件下、(2−1)で作成した予備重合体スラリーを固体触媒成分としてTEAおよびCHEDMSを供給しながら連続的に気相重合を行った。得られた重合体中の濃度として[TEA]=200ppm程度で行い、[CHEDMS]/[TEA]=0.1(mol/mol)、PP/cat=20000(g/g)になるように重合を行った。平均滞留時間は3.5hrであった。得られたポリマーの極限粘度[η]は0.92dl/gであった。次に第1槽目内にホールドしているプロピレンホモパウダーのうち32kgを第2槽目に移送し、2槽目においてはリアクター内温度65℃、リアクター内圧力1.4MPaにおいて、気相部のプロピレンを77体積%、エチレンを20体積%、水素を3体積%に保持する条件下でバッチ式気相重合を行った。第2槽目で重合されるポリマー量が、槽内にホールドされているパウダーの30%になるようにし、その時点でバッチ重合を終了し表1記載の構造のP−EPブロック共重合体(BC−2)を回収した。トータルのPP/cat=29200(g/g)、[TEA]=143(ppm)、回収量46.4kgであり、第2槽目の重合時間は3.4hrであった。
【0042】
(3)プロピレン−エチレンブロック共重合体(BC−3)
特開平10−212319号広報記載の触媒を用い、特開平8−302103号広報記載の重合方法で、表1記載の構造になるように条件を調整して製造した。
【0043】
(4)プロピレン単独重合体(PP)
分子量分布(Q値)が5.3であり(Mw=89800、Mn=17000)、極限粘度([η]P)が0.77dl/gであり、アイソタクチック・ペンタッド分率が0.99であり、MFR(230℃)が320g/10分であるプロピレン単独重合体を用いた。
【0044】
(C)無機充填剤
無機充填剤としては、タルク(林化成社製 MWHST)を用いた。(Talc−1と称する。)Talc−1の平均粒子径は、2.7μmであった。
【0045】
(D)共重合体ゴム
特開平9−87313号公報記載の触媒系を用い、220℃、78MPaにおいて製造された密度が0.870g/cmであり、MFR(190℃)が17g/10分であるエチレン−1−ヘキセン共重合ゴム
【0046】
(ポリプロピレン系樹脂組成物)
表2に示した組成になるように各成分を配合して、これらをヘンシェルミキサーおよびタンブラーで均一に予備混合した後、二軸混練押出機(日本製鋼所社製TEX44SS−31.5BW−2V型)を用いて、押出量50kg/hr、スクリュー回転数900rpm、ベント吸引下で、ポリプロピレン系樹脂組成物を製造した。得られたポリプロピレン系樹脂組成物のMFRを測定し、その結果を表3に示した。
【0047】
(物性評価用試験片)
物性評価用試験片は、次のとおり、射出成形によって作製した。
上記で得られたポリプロピレン系樹脂組成物を熱風乾燥器で120℃、2時間乾燥した後、東芝機械製IS150E−V型射出成形機を用いて、成形温度180℃、金型冷却温度50℃、射出時間15sec、冷却時間30secで射出成形を行った。得られた射出成形体の曲げ弾性率、IZOD衝撃強度を測定し、その結果を表3に示した。
【0048】
(衝突試験)
上記で得られたポリプロピレン系樹脂組成物を用いて、下記のとおり、成形部材Aを成形した。成形部材Aを用いて衝突試験を実施し、その結果を表4に示した。
【0049】
(1)成形部材A
衝突試験には、図1および図2に示したチャンネル状の断面を有する成形部材Aを用いた。
図1には、成形部材Aを正面から見た形状を示した。この成形部材Aは、2段の溝を有するチャンネル形状であり、図2に示すように、溝の内側には幅方向にわたる補強用リブを長さ方向に対して等間隔に形成した。成形部材Aは、幅を115mmに、長さを500mmに、中央溝深さを30mmに、全深さを70mmに設定した。肉厚は、全体に均一で3.0mmであり、補強用リブには、型抜きのためのテーパを形成した。
【0050】
成形部材Aは、上記で得られたポリプロピレン系樹脂組成物を熱風乾燥器で120℃、2時間乾燥した後、下記の条件で成形した。
(射出成形機)
東芝機械(株)製IS650E
型締力:650t
スクリュウ径:90mm
スクリュウL/D:20
スクリュウタイプ:フルフライト
(射出成形用金型)
成形品:115mm×500mm×70mm、チャンネル形状
ゲート:ダブゲート(センター)
(射出成形条件)
シリンダー温度:220℃
金型温度:50℃
【0051】
(2)衝突試験
成形部材Aの耐衝突性能を試験するために、図3、図4に示した衝突試験を行った。すなわち、図3のとおり成形品の両末端を金具で固定し、23℃において、図4のように表面側から半球状ダートを一定速度で前進させて成形部材に衝突させ、その際の成形部品の破損状況を確認した。ダートは、直径165mmの半球状であり、成形部材Aに対して45度の角度で衝突させた。
試験条件は、ダート質量が6.8kgであり、衝突速度を4.6m/sから6.0m/sの範囲の4水準の速度にして試験を行った。
【0052】
【表1】
Figure 2004143414
【0053】
【表2】
Figure 2004143414
【0054】
【表3】
Figure 2004143414
【0055】
【表4】
Figure 2004143414
○:割れ無し
△:ひびが発生
×:割れが発生
【0056】
本発明の要件を満足する実施例1は、耐衝突性能に優れていることが分かる。これに対して、本発明の要件であるプロピレン−エチレンブロック共重合体(B)のエチレン含量およびブロック共重合体(B)の配合量を満足せず、本発明の要件ではない共重合体ゴムを5%含有する比較例1は、耐衝突性能が不充分であることが分かる。
【0057】
【発明の効果】
以上、詳述したとおり、本発明によって、安価で、耐衝突性能に優れたポリプロピレン系樹脂組成物およびそのポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】成形部材Aの表側を示す図面である。
【図2】成形部材Aの裏側を示す図面である。
【図3】成形部材Aの固定方法
1.成形部材A
2.固定用治具
3.成形部材Aの上部を固定用治具で固定する。
4.成形部材Aの下部を固定用治具で固定する。
【図4】衝突試験方法
1.成形部材Aの上部及び下部を固定用治具で固定する。
2.半球状のダートを45度の角度で衝突させる。

Claims (5)

  1. プロピレン単独重合体部分(A1)80〜60重量%と、エチレン含量が40〜60重量%であるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分(A2)20〜40重量%とからなるプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)45〜90重量%、プロピレン単独重合体部分(B1)80〜60重量%と、エチレン含量が25〜38重量%であるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分(B2)20〜40重量%とからなるプロピレン−エチレンブロック共重合体(B)5〜30重量%、および、無機充填剤(C)5〜25重量%からなることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。(但し、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)、(B)および無機充填剤(C)の合計量を100重量%とする。)
  2. プロピレン−エチレンブロック共重合体(A)のエチレン含量が10重量%以上であることを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. ノッチつき金型を用いて成形された厚みが3.2mmである試験片を用いて、23℃でJIS−K−7110に規定された方法に従って測定されたIZOD衝撃強度(A)と、ノッチがない金型を用いて成形された後に、ノッチ加工された厚みが3.2mmである試験片を用いて、前記方法に従って測定されたIZOD衝撃強度(B)の比(IZOD衝撃強度(A)/IZOD衝撃強度(B))が、1.4以上であることを特徴とする請求項1または2記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  4. 無機充填剤(C)がタルクであることを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形体。
JP2003208590A 2002-08-28 2003-08-25 ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる射出成形体 Expired - Fee Related JP4423901B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003208590A JP4423901B2 (ja) 2002-08-28 2003-08-25 ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる射出成形体

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002248411 2002-08-28
JP2003208590A JP4423901B2 (ja) 2002-08-28 2003-08-25 ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる射出成形体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004143414A true JP2004143414A (ja) 2004-05-20
JP4423901B2 JP4423901B2 (ja) 2010-03-03

Family

ID=32472729

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003208590A Expired - Fee Related JP4423901B2 (ja) 2002-08-28 2003-08-25 ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる射出成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4423901B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007290323A (ja) * 2006-04-27 2007-11-08 Japan Polypropylene Corp 射出成形体
US7718735B2 (en) * 2005-01-14 2010-05-18 Sumitomo Chemical Company, Limited Polypropylene resin composition

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7718735B2 (en) * 2005-01-14 2010-05-18 Sumitomo Chemical Company, Limited Polypropylene resin composition
JP2007290323A (ja) * 2006-04-27 2007-11-08 Japan Polypropylene Corp 射出成形体

Also Published As

Publication number Publication date
JP4423901B2 (ja) 2010-03-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4205786B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物およびその射出成形体
JP5092216B2 (ja) プロピレン系樹脂組成物の製造方法、プロピレン系樹脂組成物およびそれからなる射出成形体
JP3352282B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびその射出成形体
US6011102A (en) Polypropylene-based resin composition and injection molded article thereof
JP3414548B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびその射出成形体
US6759465B1 (en) Thermoplastic resin composition and injection-molded object thereof
JP4915067B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる射出成形体
US6869993B2 (en) Polypropylene-based resin composition and injection molded article comprising the same
JP5417681B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体
US20030176555A1 (en) Polypropylene-based resin composition and its injection molded article
JP2007092050A (ja) プロピレン系樹脂組成物、その製造方法および射出成形体
EP0739944B1 (en) Thermoplastic resin composition and injection molded article thereof
JP3873652B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物及びその射出成形体
JP2003286383A (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる射出成形体
JPH10316722A (ja) グラフト共重合体ゴムの製造法およびポリプロピレン系樹脂組成物
JP2008208303A (ja) プロピレン系樹脂組成物、その製造方法および射出成形体
JP5098360B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体
JP5098574B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物及びその製造方法、並びに成形体
JP4423901B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれからなる射出成形体
JP2003128855A (ja) 熱可塑性樹脂組成物及びその射出成形体
JP5106917B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物
JPH1129690A (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物およびその射出成形体
US7368498B2 (en) Polypropylene resin composition and injection-molded article made of the same
JP4038874B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物およびその射出成形体
JP2007063397A (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060720

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20080130

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20080513

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080822

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090721

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090911

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090911

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091117

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091130

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4423901

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121218

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121218

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131218

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees