JPH07118489A - 塗装性の改良されたプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

塗装性の改良されたプロピレン系樹脂組成物

Info

Publication number
JPH07118489A
JPH07118489A JP26720993A JP26720993A JPH07118489A JP H07118489 A JPH07118489 A JP H07118489A JP 26720993 A JP26720993 A JP 26720993A JP 26720993 A JP26720993 A JP 26720993A JP H07118489 A JPH07118489 A JP H07118489A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
propylene
weight
ethylene
mfr
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP26720993A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshikazu Mizutani
谷 敏 和 水
Yoshihiro Tomono
野 義 博 伴
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP26720993A priority Critical patent/JPH07118489A/ja
Publication of JPH07118489A publication Critical patent/JPH07118489A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 成形性、生産性に優れると共に、耐衝撃性、
延性、耐熱性、硬度、低温物性等にも優れた、有機ハロ
ゲン溶剤等による前処理をしなくても優れた塗膜密着強
度が得られるプロピレン系樹脂組成物を提供する。 【構成】 成分(A): MFR10〜100g/10分、エチレン含有量2〜10重量% のプロピレン系ブロック共重合体 100重量部 成分(B): (b1 ): MFR0.2〜8g/10分のエチレン・プロピレン系共重合体 エラストマー、及び (b2 ):MFR10g/10分以上、スチレン含有量5〜50重量%のスチ レン系共重合体エラストマー の合計量が15〜80重量部 成分(C): 密度0.920g/cm3 以上、MFR0.5〜40g/10分 のエチレン重合体 2〜30重量部 成分(D): 平均粒径5μm以下の無機フィラー 5〜50重量部 からなり、上記成分(b2 )中のスチレン含有量が成分
(B)中に3〜30重量%の構成比にて形成されている
ことを特徴とする、塗装性の改良されたプロピレン系樹
脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成形性、生産性に優れ
ると共に、耐衝撃性、延性、耐熱性、硬度、低温物性等
にも優れ、かつ、自動車等の外装用ポリオレフィン系樹
脂部材の塗装性の改良されたプロピレン系樹脂組成物に
関し、更に詳細には、成形性、生産性に優れると共に、
耐衝撃性、延性、耐熱性、硬度、低温物性等にも優れ、
しかも有機ハロゲン溶剤等による前処理をしなくても優
れた塗膜密着強度が得られるプロピレン系樹脂組成物に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィン系樹脂を素材とした樹脂
組成物は、経済性と優れた機械的特性を有しており、エ
ネルギー保護、自然環境保護といった観点からのリサイ
クル性をも兼備していることから、従来より自動車等の
外装部材に多量に使用されている。しかし、これら外装
部材には、通常、美粧性、傷付き保護及び耐候性向上を
目的とした塗装が施されているが、これらポリオレフィ
ン系樹脂には、ポリプロピレン樹脂にて代表されるよう
に、上記のような優れた性能を有している反面、分子構
造中に極性基が存在せず、しかも結晶性が高いことか
ら、塗料の付着性が極めて低いことが知られている。
【0003】従って、この塗料付着性を高めるために、
ポリプロピレンにエチレン・プロピレン共重合体エラス
トマーを機械的或いは化学的にブレンドして溶解性の高
められた組成物とし、この成形体を溶解力の高い1,
1,1−トリクロロエタン等の有機ハロゲン化溶剤で蒸
気洗浄して、表面の脱脂を行なうと共に、該組成物中の
表面のエチレン・プロピレン共重合体エラストマーを溶
出させることによってその表面をエッチングして、表面
に微細な凹凸部を形成させて、該組成物と塗料との結合
力を高めて、塗料付着性の高められた外装部品として使
用されていた。ところが、上記有機ハロゲン系溶剤は、
環境保護の観点から、その使用に当たっては十分注意す
る必要があり、一部使用の禁止が考慮される状況であ
る。このような状況下では、これら有機ハロゲン系洗浄
剤の代替として、水系洗浄剤、アルコール系洗浄剤の使
用や、更には無洗浄化等の検討がなされているが、これ
らの方法は有機ハロゲン系溶剤による従来の洗浄法に比
較すると、前述のエッチング効果や、溶出効果が極めて
低く、満足できる塗料の結合力、付着力を得ることがで
きなかった。
【0004】これらの問題を解決するために、従来より
種々のポリプロピレン系樹脂組成物が提案されている。
例えば、特開昭60−328242号公報には、 (A) メルトフローインデックス(MI)が0.01〜100g/10分の結 晶性ポリプロピレン系重合体: 100重量部に対して、 (B) 分子量が2.2万〜40万のスチレンを主成分とするスチレン系重合体 :0.5〜20.0重量部、 (C) (c1 )酢酸ビニル含有量が5.0〜50.0重量%であるエチレン・ 酢酸ビニル共重合体、及び/又は (c2 )アクリル酸エステル含有量が5.0〜40.0重量%であるエ チレン・アクリル酸エステル共重合体 :3.0〜28.0重量部、 (D) 密度が0.900〜0.975g/cm3 であり、かつメルトフローイ ンデックスが0.1g/10分以上のエチレン系重合体 :3.0〜30.0重量部、及び、 (E) ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)が140以下であり、プロピレン 含有量が20〜75重量%であるエチレン・プロピレン系共重合エラストマー :2.0〜25重量部 を配合してなる、塗装性、印刷性、並びに、密着性を備
えた樹脂組成物が開示されている。
【0005】また、特開平2−180950号公報に
は、 (a) 結晶性エチレン・プロピレンブロック共重合体 : 30〜85重量部と、 (b) ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAを少なくとも1個と 、水素添加された共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBを少なくとも 1個からなる水添ブロック共重合体 : 0〜55重量部と、 (c) ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAを少なくとも1個と 、水素添加された共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBを少なくとも 1個からなる水添ブロック共重合体に、カルボン酸基又はその誘導体基を含有す る分子単位が結合した変性ブロック共重合体: 5〜60重量部と、 (d) 結晶性ポリエチレン : 5〜35重量部 の合計100重量部からなる剛性の温度依存性が小さ
く、塗装性の改善された樹脂組成物が開示されている。
【0006】更に、特開昭57−51735号公報に
は、 (1) エチレン・プロピレン熱可塑性非弾性ブロック共重合体 : 67〜91重量部と、 (2) エチレン・プロピレン弾性共重合体 : 33〜9重量部及び (3) スチレン系エラストマーを前記(A),(B)両成分の合計100重量 部に対して : 3〜15重量部 を混練してなる塗装性の改善された樹脂組成物が開示さ
れている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開昭60−328242号公報に記載される樹脂組成物
は、耐熱性に乏しく、高温環境下での変形が生じたり、
射出成形においては金型からの離型性に難点を有してい
る。また、前記特開平2−180950号公報に記載さ
れる樹脂組成物は、耐熱性、常温剛性、経済性に乏し
く、自動車外装部材には不適であると言った難点を有し
ている。更に、前記特開昭57−51735号公報に記
載される樹脂組成物は、該樹脂組成物をバンパーに用い
た場合、塗料と成形体表面の密着性については優れてい
るものの、被着基材強度が低いために密着強度として十
分なものが得られず実用性に乏しいものであると言った
問題点がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
[発明の概要]本発明者等は、このような問題点を踏ま
えて、自動車等の外装用ポリオレフィン樹脂組成物につ
いて鋭意研究を重ねた結果、有機ハロゲン系溶剤等での
蒸気洗浄や脱脂の工程を必要とせず、何の処理も施さな
いか、無害性の洗浄剤、水蒸気、アルコール系溶剤等で
払拭洗浄することによって、実用に耐え得る十分な塗料
の密着強度が得られ、かつ成形性に優れていると共に、
耐衝撃性、延性、耐熱変形性、機械的強度、脆化温度、
硬さ等のバランスが良好で、成形収縮率や線膨脹率の小
さい自動車等の外装用部材(例えば、バンパー)に最適
なプロピレン系樹脂組成物を完成するに至ったものであ
る。
【0009】すなわち、本発明の塗装性の改良されたプ
ロピレン系樹脂組成物は、 成分(A): MFR10〜100g/10分、エチレン含有量2〜10重量% のプロピレン系ブロック共重合体 100重量部 成分(B): (b1 ): MFR0.2〜8g/10分のエチレン・プロピレン系共重合体 エラストマー、及び (b2 ):MFR10g/10分以上、スチレン含有量5〜50重量%のスチ レン系共重合体エラストマー の合計量が15〜80重量部 成分(C): 密度0.920g/cm3 以上、MFR0.5〜40g/10分 のエチレン重合体 2〜30重量部 成分(D): 平均粒径5μm以下の無機フィラー 3〜50重量部 からなり、上記成分(b2 )中のスチレン含有量が成分
(B)中に3〜30重量%の構成比にて形成されている
こと、を特徴とするものである。
【0010】[発明の具体的説明] [I] プロピレン系樹脂組成物 (1) 構成成分 (a) プロピレン系ブロック共重合体成分(成分(A) ) 本発明の塗装性の改良されたプロピレン系樹脂組成物を
構成する(A)成分のプロピレン系ブロック共重合体
は、メルトフローレート(MFR:230℃、2.16
kg荷重)が10〜100g/10分、好ましくは20
〜80g/10分、エチレン含有量が2〜10重量%、
好ましくは3〜8重量%のプロピレン系ブロック共重合
体である。また、上記プロピレン系ブロック共重合体
は、通常、プロピレン単独重合体部分とプロピレン・エ
チレンランダム共重合体部分とからなるブロック共重合
により構成されているもので、好適には、エチレン含量
が20〜70重量%の実質的に非晶性である常温キシレ
ン可溶分を4〜30重量%、好ましくは6〜25重量%
含有しているブロック共重合体樹脂である。
【0011】該プロピレン系ブロック共重合体のMFR
が上記範囲未満のものは流動性が小さく成形が困難であ
り、得られる成形体の外観も満足するものが得られ難
い。また、MFRが上記範囲を超えるものは機械的強
度、具体的には耐衝撃性が低下するので実用性のある成
形体が得られ難い。これらエチレン・プロピレンブロッ
ク共重合体のMFRは、重合時に調整したものであって
も、或いは、重合後にジアニルパーオキサイド、ジアル
キル・パーオキサイド等の有機過酸化物で調整したもの
であっても良い。一方、プロピレン系ブロック共重合体
中のエチレン含有量が上記範囲未満のものは満足できる
塗膜の密着強度が得られ難い。また、エチレン含有量が
上記範囲を超えるものは、弾性率不足や成形金型からの
離型性不良等が生じ、実用性に欠き、成形速度も低下す
るので好ましいものではなかった。
【0012】前記常温キシレン可溶分の測定は2gの試
料を沸騰キシレン500g中に20分間浸漬して溶解さ
せた後、室温まで冷却し、析出した固相をガラスフィル
ターで濾過して求めた固相重量から逆算した値であり、
MFRはJIS−K7210に準拠して測定したもので
ある。また、ここでエチレン含量は赤外線スペクトル分
析法等により測定される値であり、この共重合体樹脂の
エチレン含量及び常温キシレン可溶分が上記範囲に満た
ないものは、本発明の塗装を施した自動車用部材とした
際に耐衝撃性が劣ったものとなり、他方、上記範囲を上
回るものはその剛性が不足したものとなる。この共重合
体樹脂の製造には通常の立体規則性触媒が用いられる。
このプロピレン・エチレンブロック共重合体は、本発明
の効果を著しく損なわない範囲内で他の不飽和単量体
{例えば、ブテン−1、ヘキセン−1等のα−オレフィ
ン、酢酸ビニルの如きビニルエステル、(メタ)アクリ
ル酸(エステル)や無水マレイン酸等の不飽和有機酸又
はその誘導体等}を含有する三元以上の共重合体(グラ
フト型、ランダム型、ブロック型のいずれでも構わな
い)であっても良い。
【0013】(b) エチレン・プロピレン系共重合体エラ
ストマー成分(成分(B) ) 本発明の塗装性の改良されたプロピレン系樹脂組成物を
構成する成分(B)のエチレン・プロピレン系共重合体
エラストマーは、下記に示す成分(b1 )のエチレン・
プロピレン系共重合体エラストマーと、成分(b2 )の
スチレン系共重合体エラストマーとからなるものであ
る。
【0014】 エチレン・プロピレン系共重合体エラ
ストマー成分(成分(b1 ) ) 上記成分(b1 )のエチレン・プロピレン系共重合体エ
ラストマー成分は、メルトフローレート(MFR:23
0℃、2.16kg荷重)が0.2〜8g/10分、好
ましくは2〜4g/10分のエチレン・プロピレン系共
重合体エラストマーである。また、このエチレン・プロ
ピレン系共重合体エラストマー中のプロピレン含有量は
好ましくは10〜50重量%、特に好ましくは15〜4
0重量%のものである。このエチレン・プロピレン系共
重合体エラストマーは、エチレン・プロピレンゴム(E
PM)、或いは、第三成分としてエチリデンノルボルネ
ン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン等を
用いたエチレン・プロピレン・ジエンモノマーゴム(E
PDM)であっても良く、また、EPMとEPDMを併
用したものであっても良い。MFRが上記範囲未満のも
のは十分な塗膜の密着強度が得られない。一方、MFR
が上記範囲を超えるものは成形体の強度が低下し、外装
部材等の用途に使用することができなくなる。また、エ
チレン・プロピレン系共重合体エラストマー中のプロピ
レン含有量が上記範囲未満のものは外装部材として必要
な耐衝撃強度が得られ難くなる。一方、プロピレン含有
量が上記範囲を超えるものは表面硬度が低下してくるの
で好ましくない。
【0015】 スチレン系共重合体エラストマー成分
(成分(b2 ) ) 上記成分(b2 )のスチレン系共重合体エラストマー成
分は、メルトフローレート(MFR:230℃、2.1
6kg荷重)が10g/10分以上、好ましくは10〜
180g/10分、スチレン含有量が5〜50重量%、
好ましくは10〜45重量%のスチレン系共重合体エラ
ストマーである。該スチレン系共重合体エラストマー
は、スチレン・ブタジエンブロック共重合体或いはスチ
レン・イソプレンブロック共重合体を完全に又は部分水
素添加して得られた、水素添加スチレン・ブタジエンブ
ロック共重合体及び水素添加スチレン・イソプレンブロ
ック共重合体であり、いわゆる、スチレン・ブチレン・
スチレンブロック共重合体(SEBS)或いはスチレン
・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体
(SEPS)と称されるものである。通常、これら共重
合体の水添率は95%以上、好ましくは99%以上のも
のである。また、分子量が20万以下、特に10万以下
のものが好ましい。MFRが上記範囲未満のものは満足
する塗膜の密着強度のものが得られ難い。スチレン含有
量が上記範囲未満のものは満足する塗膜の密着強度のも
のが得られ難い。一方、スチレン含有量が上記範囲を超
えるものは塗膜密着強度がバラツキ、安定した塗膜性能
のものが得られない。
【0016】(c) エチレン重合体成分(成分(C) ) 本発明の塗装性の改良されたプロピレン系樹脂組成物を
構成する成分(C)のエチレン重合体は、メルトフロー
レート(MFR:190℃、2.16kg荷重)が0.
5〜40g/10分、好ましくは5〜30g/10分、
密度が0.920g/cm3 以上、好ましくは0.94
0g/cm3 以上、のエチレン重合体である。該エチレ
ン重合体は好適にはエチレン単独重合体又はα−オレフ
ィンとの共重合体の樹脂組成物であり、その分岐構造に
より低密度エチレン重合体、中密度エチレン重合体、高
密度エチレン重合体が挙げられるが、密度が0.940
g/cm3 以上、特に0.940〜0.970g/cm
3 の高密度エチレン重合体が好ましい。MFRが上記範
囲未満のものや上記範囲を超えるものは塗装性(塗膜の
密着強度)が低下する。また、密度が上記範囲未満のも
のは塗装性(塗膜の密着強度)が低下する。
【0017】(d) 無機フィラー成分(成分(D) ) 本発明の塗装性の改良されたプロピレン系樹脂組成物を
構成する成分(D)の無機フィラーは、平均粒径5μm
以下、好ましくは0.5〜3μmの無機フィラーであ
る。平均粒径が大きすぎると分散不良となり耐衝撃性が
低下するので好ましくない。該無機フィラーは比表面積
3.5m2 /g以上、特に3.5〜62 /gのものが好
ましい。また、弾性率を得るためにアスペクト比(形状
の縦横比)の大きい板状、針状のものが好ましい。具体
的には、タルク、マイカ、ガラス繊維、各種ウィスカー
等を挙げることができる。これらの中でもタルクを使用
することが好ましい。平均粒径が上記範囲未満のもので
は耐衝撃性が劣る傾向にある。上記平均粒径の測定は、
液相沈降式光透過法(例えば、島津製作所製CP型等)
を用いて測定した粒度累積分布曲線から読み取った累積
重量50重量%のときの粒径値である。上記比表面積の
測定は空気透過法(例えば、島津製作所製SS−100
型恒圧通気式比表面積測定装置等)により測定した値で
ある。
【0018】(d) その他の成分(成分(E) ) 本発明の塗装性の改良されたプロピレン系樹脂組成物に
は必要に応じて各種の添加剤を添加することができる。
具体的には、酸化防止剤、分散剤、紫外線吸収剤、帯電
防止剤、顔料、染料、滑剤、結晶化促進剤、可塑剤、難
燃剤等を挙げることができる。
【0019】(2) 量比 本発明の塗装性の改良されたプロピレン系樹脂組成物
は、成分(A)のプロピレン系ブロック共重合体100
重量部に対して、成分(B)としてエチレン・プロピレ
ン系共重合体エラストマー(b1 )及びスチレン系共重
合体エラストマー(b2 )の合計量で15〜80重量
部、好ましくは20〜60重量部、特に好ましくは30
〜50重量部、成分(C)のエチレン重合体2〜30重
量部、好ましくは5〜20重量部、特に好ましくは5〜
10重量部、成分(D)の無機フィラー5〜50重量
部、好ましくは5〜30重量部、特に好ましくは5〜2
0重量部からなり、成分(b2 )中のスチレン含有量が
成分(B)中に3〜30重量%、好ましくは5〜20重
量%、特に好ましくは5〜15重量%の構成比にて配合
される。
【0020】成分(B)のエチレン・プロピレン系共重
合体エラストマー(b1 )及びスチレン系共重合体エラ
ストマー(b2 )の合計量が上記範囲未満では十分な塗
膜の密着性が得られない。一方、上記範囲超過では耐熱
性、剛性が不足する。成分(C)のエチレン重合体が上
記範囲未満では十分な塗膜の密着性が得られない。一
方、上記範囲超過では塗膜の密着性は有していても、成
形体表面の強度が低下して、結果として塗膜の密着強度
が落ちるので実用上好ましくない。成分(D)の無機フ
ィラーが上記範囲未満では成形体の硬さが得られない。
一方、上記範囲超過では成形体の比重が大きくなるので
好ましくない。成分(b2 )中のスチレン含有量が上記
範囲未満では十分な塗膜の密着性が得られない。
【0021】[II] プロピレン系樹脂組成物の製造 (1) 混 練 上記構成成分を混練機へ投入し、溶融混練してペレット
状の本発明のプロピレン系樹脂組成物が得られる。従っ
て、上記構成成分をヘンシェルミキサー、タンブラー、
ブラベンダープラストグラフ、ニーダー等で一括混合し
て混練機へ投入するか、或いは、重量、容積式等のフィ
ーダーにより各成分を計量しながら、個別に混練機へ投
入することもできる。前記混練機としては、バンバリー
ミキサー、熱ロール、単軸押出機、二軸押出機等があ
り、これら混練機で溶融混練してペレット状の本発明の
プロピレン系樹脂組成物が得られる。通常は、各成分の
分散を良好化する混練造粒方法を選択する必要があり、
通常は二軸押出機を用いて混練造粒する。この際、上記
成分(A)〜(E)の各成分を同時混練しても良く、ま
た性能の向上を図るべく各成分を分割して、例えば、先
ず成分(A)〜成分(E)の中の一部成分又は全成分を
混練し、その後に残りの成分を分割或いは同時に混合し
て、混練造粒することも出来る。混練は、一般に190
〜250℃、好ましくは200〜240℃の温度下で、
一般に0.1〜3分間程度行なわれる。
【0022】(2) 成 形 このようなプロピレン系樹脂組成物は、各種成形法によ
って成形される。成形方法としては、通常の射出成形、
圧縮成形、射出圧縮成形、押出成形(シート成形、異形
押出成形)、そして、このシートを用いた真空成形、ブ
ロー成形、発泡成形等のいずれの成形法であっても本発
明の効果が得られる。これら成形法の中で自動車等の複
雑な形状を有する外装部品を成形するには射出成形、射
出圧縮成形(プレスインジェクション)が最適であり、
本発明に有効な成形法である。
【0023】[III] 用 途 (1) 塗装方法 本発明の塗装性の改良されたプロピレン系樹脂組成物
は、上記成形体の表面に直接塗料を塗布して成形体の表
面に直接塗膜を形成することによって得られる。該成形
体の表面に直接塗膜を形成するための塗装方法として
は、従来の塗装工程からTCE脱脂処理、プライマー塗
布やプラズマ処理等の表面改質工程を除いた工程を採用
することができる。すなわち、上記樹脂組成物で成形し
た自動車部材に直接、塗料を塗布するものである。
【0024】塗料の塗布手段としては、スプレーによる
吹き付け、刷毛塗り、ローラーによる塗布等があるが、
いずれの方法も本発明の方法で採用することができる。
本発明の塗装性の改良されたプロピレン系樹脂組成物に
て使用することができる塗料としては、一般に広く用い
られている塗料、例えば、アクリル系塗料、エポキシ系
塗料、ポリエステル系塗料、ウレタン系塗料、アルキッ
ド系塗料、メラミン系塗料等を挙げることができる。こ
れらの塗料の中ではアクリル系塗料、ポリエステル系塗
料、ウレタン系塗料、アルキッド系塗料、メラミン系塗
料を用いることが好ましい。
【0025】本発明の塗装性の改良されたプロピレン系
樹脂組成物に塗装される塗料は一般に10〜100μ
m、好ましくは15〜70μmの厚さで塗布され、その
塗膜は碁盤目付着試験で残存枚数が通常100枚、40
0g/cm以上、特に700〜2,000g/cmの剥
離強度で強固に被着されているので、フェンダー、ドア
パネル、バンパー、スポイラー、マットガード、サイド
モール、ホイールキャップ、インストルメントパネル等
の自動車部材としての十分な塗装性能を有している。
【0026】このようにして得られた本発明の塗装性の
改良されたプロピレン系樹脂組成物に塗装が施された自
動車用成形体部品は、従来のポリプロピレン系樹脂で成
形された成形体と異なり、塗料を直接塗布するのみで実
用十分な塗装強度を持ち、その曲げ弾性率は7,000
kg/cm2 以上、好ましくは7,500〜30,00
0kg/cm2 、特に好ましくは8,000〜25,0
00kg/cm2 のものであり、かつ美麗な外観、実用
十分な衝撃強度を有している。
【0027】
【実施例】本発明を更に具体的に説明するために、以下
に実施例及び比較例を挙げるが、これら実施例及び比較
例に示される諸条件は一般的な条件を示したもので、本
発明はこれらにより限定するものではない。 [I] 評価方法 (1) MFR :JIS−K7210に準拠 (2) 曲げ弾性率 :JIS−K7203に準拠 (3) アイゾット衝撃強度:JIS−K7110に準拠
【0028】(4) 成形性 :成形性は、下
記の成形条件にて、実際にパンパーを成形し、得られた
成形体の金型からの離型性について評価した。 [成形条件]射出成形機:日本製鋼4000T(型締め
力) 成形温度:200℃ 金型温度:40℃ 射出圧力:800kg/cm2
【0029】(5) 塗装膜密着強度 :塗装膜密着強
度は、上記の成形条件にて、実際にパンパーを成形し、
下記の「塗装法」にて塗装を施して、下記の「密着強度
測定法」によりその塗装膜密着強度を評価した。 [塗装法]成形体表面は前処理したものと、IPA拭き
(イソプロピルアルコールを含ませたガーゼで表面を5
〜6回拭く)した成形体を準備した。塗装は、エアース
プレーにて上記成形体にポリオレフィン用の汎用プライ
マーをその塗装仕様に従って乾燥させた後、膜厚が5〜
15μmになるように塗装した。そして、これを5分間
常温にてセッティングした後、二液タイプのウレタン塗
料をその塗装仕様に従ってエアースプレー塗装を施し
た。この上塗り塗装の膜厚は、密着強度評価用には80
〜100μm、付着性評価(耐水性、耐ガソリン性)用
には30〜50μmになるよう塗装した。次いで、熱風
循環式オーブンにて90℃、30分間焼き付けを行ない
塗装を完了した。
【0030】[密着強度測定法]塗膜を幅10mmにて
スリットし、島津製作所製「オートグラフ AG500
B」にて剥離角度180度、剥離速度50mm/分で、
その塗膜密着強度を測定した。 [判定] ◎:1,000g/cm以上 ○:800〜1,000g/cm未満 △:600〜800g/cm未満 ×:600g/cm未満
【0031】(6) 付着性 :付着性は、上
記の成形条件にて、実際にパンパーを成形し、塗装して
得られた塗膜の付着性を評価した。 (a) 耐水性 :上塗り塗装したものを40℃
の温水に10日間浸漬した後、片刃剃刀を用いて2mm
×2mmの塗膜の貫通した碁盤目を100個作り、その
上にセロハン粘着テープ(JIS−Z1522)を十分
圧着した。そして、該セロハン粘着テープを塗膜面に対
して約30度に保ちながら手前方向に一気に引き剥がし
た。剥離後の碁盤目塗膜の残存数を測定し判定した。 [判定] ◎: 100個/100個 ○:90〜99個/100個 △:70〜89個/100個 ×: 69以下個/100個 (b) 耐ガソリン性:20℃のガソリン中に24時間浸漬
し、耐水性と同様な碁盤目剥離試験をし、判定した。 [判定] ◎: 100個/100個 ○:90〜99個/100個 △:70〜89個/100個 ×: 69以下個/100個
【0032】 [II] 原材料 (1) (A)成分:エチレン・プロピレンブロック共重合体 MFR エチレン含有量 (g/10分) (重量%) PP−1 40 6 −2 80 1.5 −3 60 11 (2) (B)成分:エチレン・プロピレン共重合エラストマー MFR プロピレン含有量 (g/10分) (重量%) EPR−1 3.2 27 −2 8.5 27 (3) (C)成分:スチレン系ブロック共重合エラストマー MFR スチレン含有量 (g/10分) (重量%) SEBS−1 160 30 −2 40 20 −3 1 40 (4) (D)成分:エチレン重合体 MFR 密 度 (g/10分) (g/cm3 PE−1 20 0.958 −2 0.4 0.956 −3 45 0.923 −4 0.5 0.918 (5) (E)成分:無機フィラー タルク 平均粒径2μm
【0033】[III] 実験例 実施例1〜7及び比較例1〜10 上記原料成分を表1及び表2に示す配合割合で計量し、
ミキサーによりブレンドした後、二軸押出機に投入し、
220℃の温度で溶融混練してペレット状の樹脂組成物
を得た。そして、このペレット状の樹脂組成物を成形温
度210℃で射出成形し試験片を作成し、上記評価方法
にて評価した。その評価結果を表1及び表2に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】このような本発明のプロピレン系ブロッ
ク共重合体、エチレン・プロピレン系共重合体エラスト
マー及びスチレン系共重合体エラストマー、エチレン重
合体及び無機フィラーからなる塗装性の改良されたプロ
ピレン系樹脂組成物は、成形性、生産性に優れると共
に、耐衝撃性、延性、耐熱性、硬度、低温物性等にも優
れ、有機ハロゲン溶剤等による前処理をしなくても優れ
た塗膜密着強度が得られることから自動車等の外装用ポ
リオレフィン系樹脂部材として最適である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成分(A): MFR10〜100g/10分、エチレン含有量2〜10重量% のプロピレン系ブロック共重合体 100重量部 成分(B): (b1 ): MFR0.2〜8g/10分のエチレン・プロピレン系共重合体 エラストマー、及び (b2 ):MFR10g/10分以上、スチレン含有量5〜50重量%のスチ レン系共重合体エラストマー の合計量が15〜80重量部 成分(C): 密度0.920g/cm3 以上、MFR0.5〜40g/10分 のエチレン重合体 2〜30重量部 成分(D): 平均粒径5μm以下の無機フィラー 3〜50重量部 からなり、上記成分(b2 )中のスチレン含有量が成分
    (B)中に3〜30重量%の構成比にて形成されている
    ことを特徴とする、塗装性の改良されたプロピレン系樹
    脂組成物。
JP26720993A 1993-10-26 1993-10-26 塗装性の改良されたプロピレン系樹脂組成物 Pending JPH07118489A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26720993A JPH07118489A (ja) 1993-10-26 1993-10-26 塗装性の改良されたプロピレン系樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26720993A JPH07118489A (ja) 1993-10-26 1993-10-26 塗装性の改良されたプロピレン系樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07118489A true JPH07118489A (ja) 1995-05-09

Family

ID=17441654

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26720993A Pending JPH07118489A (ja) 1993-10-26 1993-10-26 塗装性の改良されたプロピレン系樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07118489A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002036698A2 (en) * 2000-11-06 2002-05-10 A. Schulman, Inc. Polyolefin film for use as a non-staining masking film
JP2002294006A (ja) * 2001-03-28 2002-10-09 Sumitomo Chem Co Ltd 熱可塑性エラストマー組成物
JP2003055529A (ja) * 2001-08-20 2003-02-26 Japan Polychem Corp プロピレン系樹脂組成物
CN109776920A (zh) * 2019-01-23 2019-05-21 上海邦中新材料有限公司 一种阻燃聚乙烯包装膜及其制备方法
CN112726285A (zh) * 2021-01-20 2021-04-30 宝燕工业科技(南通)有限公司 一种用于紧密贴合型胶带生产的离型纸

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002036698A2 (en) * 2000-11-06 2002-05-10 A. Schulman, Inc. Polyolefin film for use as a non-staining masking film
WO2002036698A3 (en) * 2000-11-06 2003-02-27 Schulman A Inc Polyolefin film for use as a non-staining masking film
JP2002294006A (ja) * 2001-03-28 2002-10-09 Sumitomo Chem Co Ltd 熱可塑性エラストマー組成物
JP2003055529A (ja) * 2001-08-20 2003-02-26 Japan Polychem Corp プロピレン系樹脂組成物
CN109776920A (zh) * 2019-01-23 2019-05-21 上海邦中新材料有限公司 一种阻燃聚乙烯包装膜及其制备方法
CN112726285A (zh) * 2021-01-20 2021-04-30 宝燕工业科技(南通)有限公司 一种用于紧密贴合型胶带生产的离型纸

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4946896A (en) Thermoplastic elastomer composition
US5462987A (en) Polypropylene resin composition having an improved compatibility with paint-coatings and a paint-coated article thereof
JPH04185654A (ja) ポリプロピレン系樹脂成形品の塗装方法
US5273789A (en) Method of treating surface of molded article of polypropylene resin and method of coating said molded article with paint
CA2086420C (en) Polypropylene resin compositions, coating process for moldings thereof and its coated moldings
JP2632980B2 (ja) 変性ポリオレフィン樹脂組成物
JPH07118489A (ja) 塗装性の改良されたプロピレン系樹脂組成物
JP3219306B2 (ja) 塗装性に優れたポリオレフィン組成物
JPH06306221A (ja) プロピレン系重合体組成物
JPH069835A (ja) ポリプロピレン樹脂組成物
JP3088436B2 (ja) 自動車部材
JPH0556377B2 (ja)
JP2649770B2 (ja) 熱可塑性樹脂の塗装成形体
JP3437222B2 (ja) 塗装を施した自動車用部材
JP3366463B2 (ja) 樹脂製自動車バンパ
JPH0718104A (ja) オレフィン系樹脂成形体の塗装方法
JP3115330B2 (ja) 塗装を施した自動車用部材
JP2877886B2 (ja) 自動車部材
JPH0493330A (ja) 成形体および塗装された成形体
JP3175530B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物成形品の表面処理方法、塗装方法およびポリプロピレン系樹脂塗装成形品
JPH04261450A (ja) 塗装性に優れたポリプロピレン樹脂組成物
JP3203386B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂成形品の表面処理方法及び該成形品の塗装方法
JPH08269252A (ja) 熱可塑性重合体組成物、その製造法及び該組成物からなる射出成形体
JPH0124409B2 (ja)
JPH047112A (ja) 射出成形体