JP3634965B2 - プロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形品の優れた射出成形(射出圧縮成形)加工性、物性バランス(高い剛性、衝撃強度と表面硬度)と共に、低光沢性とウェルド外観に優れ、無塗装での製品化も可能な新規なプロピレン系樹脂組成物に関し、各種工業部品、自動車部品とりわけ自動車内装部品用の素材として好適なプロピレン系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、工業部品分野に於ける各種成形品、例えばバンパー、インストルメントパネル、ファンシュラウド、グローブボックス等の自動車部品、テレビ、VTR、洗濯機等の家電機器製品の部品等としてプロピレン系樹脂組成物がその優れた成形性、機械的強度や経済性の特徴を活かし、多く実用に供されてきている。
しかしながら、近年上記各用途は益々高機能化や製品大型化が進みつつあり、それに伴いプロピレン系樹脂組成物には、例えば自動車内装部品分野に於いては、高度な成形性、高度な物性バランス(高い剛性、衝撃強度及び成形品表面硬度)と、それに加えコスト的に有利な無塗装化の進展に伴い、高度な外観の発現、具体的には落ち着いた風合いをもたらす低光沢性と、製品価値を一層高めるウェルド外観(樹脂の流れ突き合わせ部分の線状模様の目立ち難さ)の一段の向上が求められている。
【0003】
プロピレン系樹脂組成物の低光沢化やウェルド外観の良好化に関しては、プロピレンポリマーに部分架橋エラストマーやエチレン・プロピレン・共役ジエン−ターポリマーを充填した組成物(特開平7−157607号公報)、特定のプロピレン系重合体含有組成物に無機フィラーを配合した組成物(特開平9−71691号公報)、特定のプロピレン系樹脂に、エチレン・炭素数4〜18のα−オレフィン共重合体とタルクを配合した組成物(特開平9−263665号公報)、特定のプロピレン系樹脂に、特定触媒下にて重合して得られたエチレン・α−オレフィン共重合体と特定の高密度ポリエチレンとタルクを配合した組成物(特開平10−7851号公報)などが開示されている。
これらの組成物は、低光沢性やウェルド外観の改良がある程度達成されているものの、未だ充分でなく、成形加工性や物性バランスの点でも、成形品の大型化や薄肉化が進むに連れ未だ不充分である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この様な状況下で、射出成形(射出圧縮成形)加工性(流動性)に優れ、高度な物性バランス(高い剛性、衝撃強度と表面硬度)を備え、その上低光沢性とウェルド外観にも優れているプロピレン系樹脂組成物を提供することにより、塗装の必要がなく、そのためコストダウンを図ることが出来る高性能な工業部品、自動車部品とりわけ自動車内装部品を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために、種々の研究を重ねた結果、特定のプロピレン・エチレン−ブロック共重合体に、特定のエチレン・α−オレフィン共重合ゴムあるいはエチレン・α−オレフィン・ジエン共重合ゴム、特定のタルクと、場合により特定の高密度ポリエチレンを特定の比率で配合することにより得られたプロピレン系樹脂組成物が、優れた射出成形(射出圧縮成形)加工性、物性バランス(高い剛性、衝撃強度と表面強度)、低光沢性およびウェルド外観に優れ、無塗装での製品化も可能な性能を備えていることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。すなわち、本発明は、下記の成分(a)〜(d)からなることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物である。
(a)結晶性ポリプロピレン単独重合部分(A単位部)60〜95重量%と、エチレン含量が30重量%以上で、且つ重量平均分子量(Mw)が200,000〜1,000,000であるエチレン・プロピレン−ランダム共重合部分(B単位部)5〜40重量%とを含有し、この成分(a)全体のメルトフローレート(MFR:230℃、2.16kg)が30〜80g/10分であり、且つスウェル指数値(S値:190℃)が1.2以下であるプロピレン・エチレン−ブロック共重合体:100重量部(b)炭素数3〜8のα−オレフィンを20〜50重量%含有し、且つMFR(230℃、2.16kg)が0.05〜1.2g/10分の、エチレン・α−オレフィン共重合ゴム或いはエチレン・α−オレフィン・ジエン共重合ゴム:1〜50重量部(c)平均粒径が1.5〜15μmのタルク:5〜60重量部(d)MFR(190℃、2.16kg)が11g/10分以上の、高密度ポリエチレン:0〜10重量部
【0006】
【発明の実施の形態】
[I]プロピレン系樹脂組成物
1.構成成分
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、下記成分(a)、成分(b)、成分(c)場合により成分(d)からなる。
(1):プロピレン・エチレン−ブロック共重合体[成分(a)]
(i)構造
本発明において用いられる成分(a)のプロピレン・エチレン−ブロック共重合体は、プロピレンの単独重合によって得られる結晶性ポリプロピレン単独重合部分(A単位部)を、60〜95重量%、好ましくは65〜92重量%、特に好ましくは70〜85重量%含有する。また、エチレン含量が30重量%以上、好ましくは35重量%以上、特に好ましくは40重量%以上で、且つ重量平均分子量(Mw)が200,000〜1,000,000、好ましくは250,000〜900,000、特に好ましくは300,000〜800,000であるエチレン・プロピレン−ランダム共重合部分(B単位部)を、5〜40重量%、好ましくは8〜35重量%、特に好ましくは15〜30重量%とを含有する。さらに、この成分(a)全体のMFRは30〜80g/10分であって、スウェル指数値(S値)は1.2以下、特に好ましくは1.1以下である。
また、A単位部の密度は、剛性等の点から0.9071g/cm以上、特に0.9081g/cm以上であることが好ましい。
【0007】
結晶性プロピレン単独重合部分(A単位部)の含有割合が上記範囲未満では、剛性や成形品表面硬度が不足し、一方上記範囲を超えると、衝撃強度や低光沢性が不足し、エチレン・プロピレン−ランダム共重合部分(B単位部)の含有割合が上記範囲未満では、衝撃強度や低光沢性が不足し、一方上記範囲を超えると、剛性や成形品表面硬度が不足する。
また、該B単位部のエチレン含量が上記範囲未満では、成形品表面硬度や低光沢性が不足し、ウェルド外観も悪化する。また、該B単位部のMwが上記範囲を超えると、ウェルド外観を著しく損ねたり、衝撃強度が低下し、上記範囲未満では、成形品の表面硬度が低下する。
さらに、該プロピレン・エチレン−ブロック共重合体全体のMFRが上記範囲未満では、成形加工性やウェルド外観が劣り、一方上記範囲を超えると衝撃強度が不足し、S値が上記を超えると、ウェルド外観が低下する。
該プロピレン・エチレン−ブロック共重合体は、上記物性値を満足する範囲において、1種単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0008】
(ii)製造
このプロピレン・エチレン−ブロック共重合体は、高立体規則性触媒を用いてスラリー重合、気相重合あるいは液相塊状重合により製造されるもので重合方式としてはバッチ重合、連続重合のどちらの方式も採用することができる。該プロピレン・エチレン−ブロック共重合体を製造するに際しては、最初にプロピレンの単独重合によって結晶性ポリプロピレン部分(A単位部)を形成し、次にエチレンとプロピレンとのランダム共重合によってエチレン・プロピレン−ランダム共重合部分(B単位部)を形成したものが品質上から好ましい。例えば、塩化マグネシウムに四塩化チタン、有機酸ハライド及び有機珪素化合物を接触させて形成した固体成分に、有機アルミニウム化合物成分を組合せた触媒を用いてプロピレンの単独重合を行い、次いでエチレンとプロピレンとのランダム共重合を行うことによって製造できる。
このプロピレン・エチレン−ブロック共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲内で不飽和化合物、例えば1−ブテン等のα−オレフィンと酢酸ビニル等のビニルエステルを含有する三元以上の共重合体であってもこれらの混合物であってもよい。
また、このプロピレン・エチレン−ブロック共重合体は、ペレット状でもパウダー状でも構わない。
【0009】
さらに、このプロピレン・エチレン−ブロック共重合体のMFRやS値は、重合条件で調整しても、重合後過酸化物にて任意に制御してもよい。どちらかと言えば、ウェルド外観や低光沢性の点から後者が好ましく、成分(a)全体または一部分に該過酸化物処理したプロピレン・エチレン−ブロック共重合体を用いることは好ましい手法である。因みに過酸化物処理すると、一般的にMFRは大きく、S値は小さく、さらには分子量分布は狭く制御することが出来る。
【0010】
プロピレン・エチレン−ブロック共重合体のMFRやS値の制御に用いることができる過酸化物は、特に限定されないが、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキサイド)バレレイト等パーオキシケタール;クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド;ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーカーボネート;t−ブチルパーオキシアセテート等のパーオキシエステル等が挙げられる。
中でも、10時間半減期温度が100℃以上で、且つ1分間半減期温度がプロピレン・エチレン−ブロック共重合体の融点以上であることが好ましく、この様な過酸化物としては、クメンハイドロパーオキサイド;ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド;1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン;ジクミルパーオキサイド等が挙げられる。
これらは、1種単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0011】
プロピレン・エチレン−ブロック共重合体中のB単位部分含量の測定は、1gの試料を沸騰キシレン300ml中に30分間浸漬して溶解させた後、室温まで冷却して、それをガラスフィルターで濾過乾燥して求めた固相重量から逆算した値である。
エチレン含量は、赤外スペクトル分析法等により測定したものである。
B単位部のMwは、上記のガラスフィルターで濾過(通過)した溶解物を別途濃縮乾燥し、それをゲルパーミェーションクロマトグラフィー(GPC)に供して測定したものである。
MFRは、JIS−K7210(230℃、2.16kg)に準拠して測定されたものである。
S値は、メルトインデクサー(MFR測定装置…JISK7210)を用い、押出温度190℃、ノズル内径1.0mm、ノズル長さ8mm、押出速度0.1g/分の条件下で、サンプルをメスシリンダー(エチルアルコール在中)に押し出し、固化したサンプルの直径を、レーザー光測定器またはマイクロメーターにて測定し、次記式にて算出して求める。
S値=固化押出サンプル直径/ノズル内径
なお、S値はキャピラリーレオメーターで求めるダイスウェル値(190℃、押出ノズル直径1.0mm、シェアーレート=24sec−1)でも近似し代替出来るが、どちらかと言えば前述法より0.05〜0.10程度大きくなるケースが多い。
【0012】
(2):エチレン・α−オレフィン共重合ゴム或いはエチレン・α−オレフィン・ジエン共重合ゴム[成分(b)]
本発明において用いられる成分(b)のエチレン・α−オレフィン共重合ゴム或いはエチレン・α−オレフィン・ジエン共重合ゴムは、炭素数3〜8のα−オレフィンを20〜50重量%、好ましくは20〜45重量%、特に好ましくは20〜40重量%含有し、ジエンとの3元共重合ゴムの場合は、ジエンを1〜10重量%、好ましくは2〜8重量%、特に好ましくは3〜6重量%含有し、且つMFR(230℃、2.16kg)が0.05〜1.2g/10分、好ましくは0.1〜0.8g/10分、特に好ましくは0.1〜0.5g/10分のものである。ここで、密度が0.85〜0.89g/cm、ガラス転移点が−40℃以下のものが好ましく、密度が0.85〜0.88g/cm、ガラス転移点が−45℃以下のものが特に好ましい。
MFRが、0.05g/10分未満であると、衝撃強度が不足し、一方、1.2g/10分を超えると、低光沢性が不足するので不適である。
【0013】
含有するα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等を挙げることができる。
なかでも、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましく、とりわけ、プロピレン、1−ブテン、1−オクテンが好ましい。
ジエンとの3元共重合体の場合は、共重合するジエンとしては、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン等を挙げることが出来、特にエチリデンノルボルネンが好ましい。
α−オレフィンの含有量が上記範囲未満であると、本発明のプロピレン系樹脂組成物の衝撃強度が劣り、一方上記範囲を超えると、プロピレン系樹脂組成物の剛性や表面硬度が低下するため、各々不適である。
【0014】
これらの共重合ゴムは1種単独でも2種以上組み合わせて用いてもよい。
エチレン・α−オレフィン共重合ゴムと、エチレン・α−オレフィン・ジエン共重合ゴムは、何れを用いてもよいが、どちらかと言えばウェルド外観、低光沢性、衝撃強度のバランス等の点から、エチレン・α−オレフィン・ジエン共重合ゴムが好ましく、エチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴムが特に好ましい。
【0015】
また、これらの製造方法は特に限定されないが、バナジウム化合物系や、WO−91/04257号公報等に示される様なメタロセン系触媒を用いて製造されたものが好ましく、ウェルド外観、低光沢性、衝撃強度のバランス等の点からバナジウム化合物系触媒を用いて製造されたものが好ましい。
【0016】
α−オレフィンの含有量は赤外スペクトル分析法や13C−NMR法等の常法(一般に、赤外スペクトル分析法で得られる値は、13C−NMR法に較べ低密度ほど小さく(約10〜50%)なる傾向がある)によって測定される値である。
MFRは、JIS−K7210(230℃、2.16kg)に準拠して測定された値である。
密度は、JIS−K7112に準拠して測定された値である。
ガラス転移点は、示差熱量計(以下DSC、例えばセイコー電子工業製RDC−220)で測定(20℃/分)された値である。
【0017】
(3);タルク[成分(c)]
本発明において用いられる成分(c)のタルクとしては、平均粒径が1.5〜15μm、好ましくは1.5〜10μm、特に好ましくは2〜8μm、のものである。該タルクは低光沢性や剛性の向上、成形品の寸法安定性・調整等に有効である。さらに、該タルクは、平均アスペクト比が4以上、特に5以上のものがより好ましい。タルクの平均粒径が1.5μm未満では、低光沢性が不足し、一方、15μmを超えると、衝撃強度や剛性が不足するので不適である。
該タルクは、先ず例えばタルク原石を衝撃式粉砕機やミクロンミル型粉砕機で粉砕して製造したり、更にジェットミルなどで微粉砕した後、サイクロンやミクロンセパレーター等で分級調整する等の方法で製造する。ここで原石は中国産が金属不純物成分が少ないので好ましい。
また、該タルクは、各種金属塩などで表面処理したものでも良く、さらに見掛け比容を2.50ml/g以下にした、いわゆる圧縮タルクを用いても良い。
タルクの平均粒径は、レーザー回折散乱方式粒度分布計を用いて測定した値であり、測定装置としては、例えば、堀場製作所製LA−920型が測定精度において優れているので好ましい。
タルクの直径や長さ及びアスペクト比の測定は、顕微鏡等により測定された値より求められる。
【0018】
(4):高密度ポリエチレン[成分(d)]
本発明において場合により用いられる成分(d)の高密度ポリエチレンは、MFR(190℃、2.16kg)が11g/10分以上、好ましくは11〜50g/10分、特に好ましくは15〜30g/10分であり、密度が0.94〜0.98g/cm、好ましくは0.94〜0.97g/cm、特に好ましくは0.95〜0.97g/cmのものである。
上記範囲外のMFRや密度のものは、低光沢性、ウェルド外観や耐傷付き性が劣り不適である。
MFRは、JIS−K7210(190℃、2.16kg)に準拠して測定されたものである。
密度は、JIS−K7112に準拠して測定されたものである。
【0019】
(5):その他の配合成分(任意成分)[成分(e)]
本発明のプロピレン系樹脂組成物においては、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、或いは、更に性能の向上を図る為に、上記成分(a)、(b)、(c)及び(d)以外に、以下に示す任意の添加剤や配合材成分を配合することが出来る。
具体的には、着色する為の顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、核剤、難燃剤、分散剤、上記成分(a)〜(d)以外のポリスチレン等の各種樹脂、EPR、EPDM、EBR、EOR、SEBS、SEP、SEPS等の各種ゴム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ等の各種フィラー等の配合材を挙げることが出来る。
なかでも、MFR(230℃、2.16kg)が1.2g/10分を超える、エチレン・炭素数3〜8のα−オレフィン(・ジエン)共重合ゴムあるいは/および炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ワラストナイト、ガラス類等の各種フィラー類は、射出成形(射出圧縮成形)加工性、ウェルド外観、低光沢性や、物性バランスの向上等に有効である。
【0020】
また、帯電防止剤、例えば非イオン系、カチオン系などの帯電防止剤は、本発明の組成物や成形品の帯電防止性の付与・向上に極めて有効である。
具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアマイド、アルキルジエタノールアミンエステル等が挙げられる。
【0021】
さらに、光安定剤や紫外線吸収剤、例えばヒンダードアミン化合物、ベンゾエート化合物系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系やホルムアミジン系等は、本発明の組成物や成形品の耐候性の付与・向上に極めて有効である。
具体例としては、ヒンダードアミン化合物として、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの縮合物;ポリ〔〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕;テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート;テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート;ポリ〔2−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン−4−(N−モルホリノ)シムトリアジン〕;ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート;ビス−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルセバケート等が挙げられ、ベンゾエート系化合物系としては2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート;n−ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられ、ベンゾトリアゾール系としては、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等が挙げられ、ベンゾフェノン系としては2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
【0022】
さらに、核剤、例えばタルクなどの無機系、または芳香族カルボン酸の金属塩、ソルビトール系または芳香族リン酸金属塩などの有機系の核剤は、本発明の組成物の成形品の剛性、耐熱性や硬度の付与・向上に極めて有効である。
具体例としては、タルク、芳香族カルボン酸の金属塩として、アルミニウム−モノ−ヒドロキシ−ジ−p−t−ブチルベンゾエート、安息香酸ナトリウ等ムが挙げられ、さらにソルビトール系のものとしては、1,3,2,4−ジベンジリデン−ソルビトール;1,3,2,4−ジ−(p−メチル−ベンジリデン)ソルビトール;1,3,2,4−ジ−(p−エチル−ベンジリデン)ソルビトール;1,3,2,4−ジ−(2’,4’−ジ−メチル−ベンジリデン)ソルビトール;1,3−p−クロロ−ベンジリデン−2,4−p−メチル−ベンジリデン−ソルビトール;1,3,2,4−ジ−(p−プロピル−ベンジリデン)ソルビトール等が挙げられ、また芳香族リン酸金属塩のものとしては、ソジウムビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート;ソジウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート;リチウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート等が挙げられる。
【0023】
さらに分散剤としての各種金属塩は、タルクや着色含量の分散性を高め、本発明の組成物の成形品の剛性、耐熱性、硬度やウェルド等の外観・風合い等の向上に極めて有効である。
具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸マグネシウム、ベヘン酸亜鉛、モンタン酸亜鉛、モンタン酸カルシウム、モンタン酸マグネシウム、メリシン酸カルシウム、メリシン酸マグネシウム、メリシン酸亜鉛、セロチン酸カルシウム、セロチン酸マグネシウム、セロチン酸亜鉛、リグノセリン酸カルシウム、リグノセリン酸マグネシウム、リグノセリン酸亜鉛等を挙げることができる。
【0024】
2.配合割合
本発明のプロピレン系樹脂組成物中に配合される成分(b)、成分(c)、成分(d)の各成分は、成分(a)100重量部を基準として配合される。
本発明のプロピレン系樹脂組成物中に配合される成分(b)のエチレン・α−オレフィン共重合ゴム或いはエチレン・α−オレフィン・ジエン共重合ゴムの配合割合は、成分(a)100重量部に対して、1〜50重量部、好ましくは2〜30重量部、特に好ましくは3〜25重量部である。
配合割合が1重量部未満では低光沢性、ウェルド外観や衝撃強度が不足し、50重量部を超えると、硬度、剛性や射出成形加工性が劣り各々不適である。
【0025】
本発明のプロピレン系樹脂組成物中に配合される成分(c)のタルクの配合割合は、成分(a)100重量部に対して、5〜60重量部、好ましくは10〜50重量部、特に好ましくは20〜40重量部である。
配合割合が5重量部未満では、低光沢性、剛性や耐熱性が不足し、60重量部を超えるとウェルド外観、衝撃強度や成形加工性が劣る様になり、各々不適である。
【0026】
本発明のプロピレン系樹脂組成物中において必要に応じて配合される成分(d)の高密度ポリエチレンの配合割合は、成分(a)100重量部に対して、0〜10重量部、好ましくは1〜8重量部、特に好ましくは2〜6重量部である。
配合割合が上記範囲を超えると、低光沢性、ウェルド外観、剛性や耐熱性が劣る様になり不適である。
【0027】
3.プロピレ系樹脂組成物の製造
(1)混練・造粒
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、上記成分(a)、成分(b)、成分(c)、場合により成分(d)、成分(e)を上記配合割合で配合して単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダ−プラストグラフ、ニーダー等通常の混練機を用いて混練・造粒することによって得られる。
この場合、各成分の分散を良好にすることが出来る混練・造粒方法を選択することが望ましく、通常は二軸押出機を用いて混練・造粒が行われる。この混練・造粒の際には、上記成分(a)、成分(b)、成分(c)、場合により、成分(d)、成分(e)の配合物を同時に混練しても良く、また性能向上を図るべく各成分を分割、例えば先ず成分(a)と成分(b)の一部または全部を混練し、その後に残りの成分を混練・造粒することも出来る。
また、この際、成分(a)〜成分(e)と共に、前述の過酸化物を配合して混練・造粒することもでき、この方法は、本発明のプロピレン系樹脂組成物のMFR、S値の制御を可能にすると共に、流動性(成形加工性)、低光沢性、ウェルド外観などの更なる向上に有効で好ましい混練・造粒方法である。
【0028】
(2)プロピレン系樹脂組成物の成形
この様にして得られたプロピレン系樹脂組成物は、射出成形(ガス射出成形も含む)または射出圧縮成形(プレスインジェクション)にて成形することによって各種成形品を得ることが出来る。
【0029】
[II]プロピレン系樹脂組成物の物性
上記方法によって製造された本発明のプロピレン系樹脂組成物は、MFR(230℃、2.16kg)が好ましくは10g/10分以上、とりわけ好ましくは20g/10分以上に制御されて、射出成形加工性、射出圧縮成形加工性が良好であるほか、曲げ弾性率が好ましくは1800Mpa以上、とりわけ好ましくは2000Mpa以上、ノッチ付Izod衝撃強度(23℃)が好ましくは10KJ/m以上、とりわけ好ましくは20KJ/m以上、成形品表面のロックウェル硬度が、好ましくは60以上、とりわけ好ましくは65以上に制御されて物性バランスに優れるとともに、良好な低光沢性、好ましくはシボ光沢値が2.0%以下、とりわけ好ましくはシボ光沢値が1.6%以下の低光沢性を有し、さらにS値が、好ましくは1.1以下、とりわけ好ましくは1.05以下であって、良好なウェルド外観を示し、加えてフローマークが極めて発生し難い高度な外観の各性能を発現することが出来る。
【0030】
[III]用途
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、上記性能を発現出来るため、各種の生活資材用製品、自動車部品や家電機器部品など各種工業部品等の成形材料としての実用性能を有しており、なかでも、自動車用内外装部品、とりわけインストルメントパネル、コンソール、トリム、ピラー、ドアトリム等の内装部品用成形材料として好適である。
【0031】
【実施例】
本発明のプロピレン系樹脂組成物を更に詳細に説明するために、以下に実施例を示して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[I]原材料
ここでの原材料は次に示すとおりである。
(1)成分(a):いずれも酸化防止剤を含有し、パウダー状品はドライブレンド済である。
a−1:密度が0.9091g/cmのA単位部を89重量%、エチレン含量51重量%、重量平均分子量730,000のB単位部を11重量%各々含有し、且つ成分(a)全体の重合MFRが62g/10分、S値が1.17である気相重合で製造したプロピレン・エチレン−ブロック共重合体(ペレット)。
a−2:密度が0.9092g/cmのA単位部を75重量%、エチレン含量42重量%、重量平均分子量380,000のB単位部を25重量%各々含有し、且つ成分(a)全体の重合MFRが30g/10分、S値が1.02である気相重合で製造したプロピレン・エチレン−ブロック共重合体(パウダー)。
a−3:密度が0.9092g/cmのA単位部を84重量%、エチレン含量60重量%、重量平均分子量560,000のB単位部を16重量%各々含有する、気相重合で製造したプロピレン・エチレン−ブロック共重合体であって、製造工程中途において、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼンを用いて処理し、成分(a)全体の重合MFRを31g/10分、且つS値を0.98に制御したプロピレン・エチレン−ブロック共重合体(ペレット)。
a−4:密度が0.9092g/cmのA単位部を80重量%、エチレン含量49重量%、重量平均分子量440,000のB単位部を20重量%各々含有する、気相重合で製造したプロピレン・エチレン−ブロック共重合体であって、製造工程中途において、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼンを用いて処理し、成分(a)全体の重合MFRを35g/10分、且つS値を1.00に制御したプロピレン・エチレン−ブロック共重合体(ペレット)。
a−5:密度が0.9092g/cmのA単位部を73重量%、エチレン含量57重量%、重量平均分子量330,000のB単位部を27重量%各々含有し、且つ成分(a)全体の重合MFRが33g/10分、S値が1.09である気相重合で製造したプロピレン・エチレン−ブロック共重合体(パウダー)。
a−6:密度が0.9091g/cmのA単位部を85重量%、エチレン含量51重量%、重量平均分子量380,000のB単位部を15重量%各々含有し、且つ成分(a)全体の重合MFRが8g/10分、S値が1.22である気相重合で製造したプロピレン・エチレン−ブロック共重合体(ペレット)。
a−7:密度が0.9091g/cmのA単位部を92重量%、エチレン含量39重量%、重量平均分子量1,050,000のB単位部を8重量%各々含有し、且つ成分(a)全体の重合MFRが60g/10分、S値が1.56であるスラリー重合で製造したプロピレン・エチレン−ブロック共重合体(ペレット)。
a−8:密度が0.9091g/cmのA単位部を93重量%、エチレン含量20重量%、重量平均分子量820,000のB単位部を7重量%各々含有し、且つ成分(a)全体の重合MFRが48g/10分、S値が1.52であるスラリー重合で製造したプロピレン・エチレン−ブロック共重合体(ペレット)。
【0032】
(2)成分(b):いずれもペレット状
b−1:1−オクテンを24.5重量%含有(赤外法)し、MFRが1.1g/10分、密度が0.870g/cm、ガラス転移点が−57.5℃の、メタロセン系触媒を用いて溶液重合法で製造されたエチレン・1−オクテン共重合ゴム。
b−2:プロピレンを26.2重量%含有(赤外法)し、MFRが0.6g/10分、密度が0.860g/cm、ガラス転移点が−54.3℃の、バナジウム系触媒を用いて溶液重合法で製造されたエチレン・プロピレン共重合ゴム。
b−3:プロピレンを27.9重量%含有(赤外法)し、MFRが0.2g/10分、密度が0.863g/cm、ガラス転移点が−48.9℃の、バナジウム系触媒を用いて溶液重合法で製造されたエチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合ゴム。
b−4:1−オクテンを24.1重量%含有(赤外法)し、MFRが12.0g/10分、密度が0.871g/cm、ガラス転移点が−58.4℃の、メタロセン系触媒を用いて溶液重合法で製造されたエチレン・1−オクテン共重合ゴム。
b−5:1−ブテンを32.7重量%含有(赤外法)し、MFRが2.1g/10分、密度が0.863g/cm、ガラス転移点が−60.8℃の、メタロセン系触媒を用いて溶液重合法で製造されたエチレン・1−ブテン共重合ゴム。
なお、ここでのMFRは、230℃、2.16kgの条件測定値である。
【0033】
(3)成分(c)
c−1:平均粒径5.2μm、平均アスペクト比が6のタルク。
c−2:平均粒径23.5μm、平均アスペクト比が4のタルク。
【0034】
(4)成分(d)
d−1:MFR(190℃、2.16kg)が20g/10分、密度が0.958g/cmの高密度ポリエチレン。
【0035】
[II]評価方法
評価は次に示すとおりの方法で行った。
(1)MFR:JIS−K7210に準拠して、230℃、2.16kg荷重にて測定した。
(2)S値:メルトインデクサー(MFR測定装置…JISK7210)を用い、押出温度190℃、ノズル内径1.0mm、ノズル長さ8mm、押出速度0.1g/分の条件下で、サンプルをメスシリンダー(エチルアルコール在中)に押し出し、固化したサンプルの直径を、レーザー光測定器にて測定し、次式にて算出した。
S値=固化押出サンプル直径/ノズル内径
【0036】
(3)曲げ弾性率:JIS−K7203に準拠して、23℃の温度下にて測定した。本値は耐熱性の目安ともなる。
(4)Izod衝撃強度:JIS−K7110に準拠して、23℃の温度下にてノッチ付で測定した。
(5)ロックウェル硬度:JIS−K7202に準拠して、Rスケールにて、23℃の温度下にて測定した。
(6)シボ光沢:360×100×3mmt.の寸法であって、測定用平面に深さ100μmのC型シボを施した射出成形シートの測定用平面の光沢を、JIS−K7105に準拠して、入射角60°の条件で測定した。
【0037】
(7)ウェルド外観:シボ光沢測定用シート金型を用い、長手方向両端ゲートから樹脂を射出成形して、該シートのほぼ中央部に突き合わせ状ウェルドライン(線状模様)を生じさせ、該部分を目視観察して下記の様に判定した。
A:ウェルドラインが全く認められないか殆ど目立たない。
B:ウェルドラインが極わずかに認められる。
C:ウェルドラインが認められる。
D:ウェルドラインがくっきりと目立つ。
この場合、AおよびBが無塗装の成形品として、実用可能のレベルである。
【0038】
(8)フローマーク:360×100×2mmt.の寸法であって、測定用平面に深さ100μmのC型シボを施した射出成形シート金型を用い、長手方向片側ゲートから樹脂を射出成形して、測定用平面に生ずるフローマーク(波形状流れ模様)の目立ち状況を目視観察して下記の様に判定した。
A:フローマークが平面上に全く認められないか、先端部に極わずか認められるもの。
B:フローマークが認めらるが、その発生がゲートから250mm以上で目立ち難いもの。
C:フローマークが認められ、その発生がゲートから250mm未満のもの。
この場合、AおよびBが無塗装の中・大型成形品として、実用可能のレベルである。
【0039】
実施例1〜6及び比較例1〜6
上記の成分(a)、成分(b)、成分(c)および成分(d)を、ベヘン酸カルシウム0.3重量部(成分(a)〜成分(d)の合計100重量部当たり)と共に、表1に示す割合で配合し、タンブラーミキサーにて充分混合し、(株)神戸製鋼所製高速二軸押出機(KCM)を用い混練造粒した。但し、実施例6は上記成分以外にさらに、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼンも配合した。その後、得られたペレットを射出成形機へ供し、評価用シート試験片を成形して、評価を行った。
なお、シボ光沢、ウェルド外観、フローマーク外観は、表面状態を観察し易い様に、射出成形時に黒灰着色マスターバッチを1.5重量部ドライブレンドした。その評価結果を表2に示す。
【0040】
表2に示す様に実施例1〜6に示す組成を持った樹脂組成物は、何れも良好な流動性(射出成形加工性、射出圧縮成形加工性)、良好な物性(剛性、衝撃強度と硬度)バランスを示すとともに、極めて低いシボ光沢、良好なウェルド外観を有し、フローマークの発生も抑制されて、無塗装成形品としての実用十分な成形外観を有していた。
一方、比較例1〜6に示したものは、これらの性能バランスが不良であった。
また、実施例5の組成物(黒灰着色マスターバッチを1.5重量部ドライブレンド)で、1300mm×420mm×305mm×3.5mmt.(概略寸法)の自動車インストルメントパネルを、(株)日本製鋼所製J4000EV(成形温度220℃、金型温度40℃、射出圧力800kg/cm)で射出成形した処、良好な成形性、機械的強度バランスと無塗装での実用充分、且つ良好な外観を発現すると共に、耐傷付き性および耐久性も良好であった。
【0041】
【表1】
Figure 0003634965
【0042】
【表2】
Figure 0003634965
【0043】
【発明の効果】
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、優れた射出(射出圧縮)成形加工性、物性バランス(高い剛性、衝撃強度と表面硬度)と共に低光沢性と良好なウェルド外観を有し、無塗装成形品としても実用充分な外観性能を有するほか、耐傷付き性、耐久性も良好なため、各種の生活資材用製品、工業部品用など、なかでも、自動車部品、とりわけインストルメントパネル、トリム、ピラー等の内装部品成形用として重要な素材である。

Claims (9)

  1. 下記の成分(a)〜(d)からなることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物。
    (a)結晶性ポリプロピレン単独重合部分(A単位部)60〜95重量%と、エチレン含量が30重量%以上で、且つ重量平均分子量(Mw)が200,000〜1,000,000であるエチレン・プロピレン−ランダム共重合部分(B単位部)5〜40重量%とを含有し、この成分(a)全体のメルトフローレート(MFR:230℃、2.16kg)が30〜80g/10分であり、且つスウェル指数値(S値:190℃)が1.2以下であるプロピレン・エチレン−ブロック共重合体:100重量部
    (b)炭素数3〜8のα−オレフィンを20〜50重量%含有し、且つMFR(230℃、2.16kg)が0.05〜1.2g/10分の、エチレン・α−オレフィン共重合ゴム或いはエチレン・α−オレフィン・ジエン共重合ゴム:1〜50重量部
    (c)平均粒径が1.5〜15μmのタルク:5〜60重量部
    (d)MFR(190℃、2.16kg)が11g/10分以上の、高密度ポリエチレン:0〜10重量部
  2. 成分(a)の、少なくとも一部が、エチレン・プロピレン−ランダム共重合部分(B単位部)を15〜30重量%含有するプロピレン・エチレン−ブロック共重合体である請求項1に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  3. 成分(a)のエチレン・プロピレン−ランダム共重合部分(B単位部)が、エチレン含量が45重量%以上で、且つ重量平均分子量(Mw)が300,000〜800,000である請求項1〜2に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  4. 成分(a)の、少なくとも一部が重合後過酸化物処理したプロピレン・エチレン−ブロック共重合体である請求項1〜3に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  5. 成分(b)が、MFR0.1〜0.5g/10分のエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴムである請求項1〜4に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  6. 成分(b)が、バナジウム系触媒を用いて重合されたエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴムである、請求項1〜5に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  7. 成分(a)〜(d)、場合によりその他の成分(e)を混練造粒する際、過酸化物を同時添加して処理する方法にて製造した組成物である請求項1〜6に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  8. MFR(230℃、2.16kg)が10g/10分以上、曲げ弾性率が1800Mpa以上、Izod衝撃強度(23℃)が10KJ/m以上、ロックウェル硬度が60以上、シボ光沢値が2.0%以下およびS値が1.1以下の性能を有する請求項1〜7に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8に記載のプロピレン系樹脂組成物を用いて射出成形法または射出圧縮成形法を用いて成形加工された自動車用部品。
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