JP2003026992A - 水性塗料組成物 - Google Patents

水性塗料組成物

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JP2003026992A
JP2003026992A JP2001219783A JP2001219783A JP2003026992A JP 2003026992 A JP2003026992 A JP 2003026992A JP 2001219783 A JP2001219783 A JP 2001219783A JP 2001219783 A JP2001219783 A JP 2001219783A JP 2003026992 A JP2003026992 A JP 2003026992A
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polyester resin
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acid
aqueous coating
resin
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JP2001219783A
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Hideo Yokoi
英生 横井
Takashi Inomata
敬司 猪股
Yuji Hirose
有志 広瀬
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Kansai Paint Co Ltd
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Kansai Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】加工性及び耐食性に優れ、毒性物質、アレルギ
ー誘因物質、外因性内分泌撹乱化学物質等を含有しない
人体に安全な水性塗料組成物の提供。 【解決手段】エチレン性二重結合を樹脂端部に含有する
数平均分子量2,000〜50,000のポリエステル
樹脂に、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマーを含
む重合性不飽和モノマーをグラフト重合してなるアクリ
ル変性ポリエステル樹脂が中和され、水性媒体中に分散
された水性塗料組成物であって、β−ヒドロキシアルキ
ルアミド架橋剤を含有してなる水性塗料組成物により、
課題を満足する水性塗料組成物を得ることが出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加工性及び耐食性
に優れ、毒性物質、アレルギー誘因物質、外因性内分泌
撹乱化学物質等を含有しない、人体に安全な水性塗料組
成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術およびその課題】有機溶剤の揮散による地
球環境汚染を回避ことができる塗料の開発は現在の最重
要課題である。環境汚染の少ない塗料としては粉体塗料
及び水性塗料がまず挙げられるが、粉体塗料は新規な塗
装設備が必要であり、従来の塗装設備を利用できる液状
塗料である水性塗料のニーズは非常に大きい。しかしな
がら水性塗料にも有機溶剤以外の環境汚染原因を含んで
いるものが多い。
【0003】たとえばイソシアネートを架橋剤とした水
性塗料ではかぶれなどの皮膚刺激性、毒性の問題があ
り、メラミン硬化型水性塗料では、放出されるアルデヒ
ドにより引き起こされるアレルギーの問題があり、エポ
キシ変性ラッカーやエポキシ硬化型水性塗料ではエポキ
シに微量含有されるビスフェノールAが外因性内分泌撹
乱化学物質(俗称:環境ホルモン)である疑いが強く持
たれているという問題点がある。
【0004】本発明の目的は、加工性及び耐食性に優
れ、毒性物質、アレルギー誘因物質、外因性内分泌撹乱
化学物質等を含有しない、人体に安全な水性塗料組成物
の提供である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、人体に安
全な水性塗料用樹脂と硬化剤の組み合わせについて種々
検討を行い、カルボキシル基含有樹脂とβ−ヒドロキシ
アルキルアミド架橋剤の組み合わせに着目した。
【0006】カルボキシル基含有ポリエステルとβ−ヒ
ドロキシアルキルアミドを組み合わせる事により熱硬化
性塗料を製造できる事は公知である(特開昭51−17
970号公報参照)。また、この組み合わせを用いて、
主にポリエステル粉体塗料として多くの発明がなされて
いる(例えば、特許2594346号公報、特表平8-5
12077号公報等参照)。これはβ−ヒドロキシアル
キルアミド化合物の中でも対称構造を持つBis−ジヒ
ドロキシアルキルアミドが、結晶性が高く常温で固体で
あるため、従来粉体塗料の硬化剤として多用されてきた
TGIC(トリグリシジルイソシアヌレート)に代わ
る、無毒で人体に安全な架橋剤として利用したものであ
る。
【0007】しかしながら、カルボキシル基含有ポリエ
ステルとβ−ヒドロキシアルキルアミドの組み合わせを
液状塗料である溶剤型塗料もしくは水性塗料として実用
化する事は出来なかった。β−ヒドロキシアルキルアミ
ドの多くは非常に極性が高く、水以外の溶剤には難溶解
性である事、そして水以外の溶剤に溶解させたとしても
貯蔵中に析出結晶化し易く、塗料の貯蔵安定性が得られ
ない事が、この組み合わせを溶剤型塗料に利用できない
原因であった。水性塗料の場合はβ−ヒドロキシアルキ
ルアミドの溶解性に問題はないが、カルボキシル基とβ
−ヒドロキシ基の反応性が高いため塗料貯蔵中の粘度上
昇が著しいという問題があった。また、焼き付け硬化後
の塗膜が加工性、耐食性に乏しいことも実用化を阻む大
きな問題点であった。これらの理由によりβ−ヒドロキ
シアルキルアミドは液状塗料として用いる事が出来なか
ったと考えられる。
【0008】本発明者らは以上の背景に鑑み、鋭意研究
を重ねた結果、特定のポリエステル樹脂にカルボキシル
基含有重合性不飽和モノマーを含む重合性不飽和モノマ
ーをグラフト重合してなるアクリル変性ポリエステル樹
脂とβ−ヒドロキシアルキルアミド架橋剤とが水分散さ
れてなる水性樹脂溶液により加工性及び耐薬品性に優
れ、毒性物質、アレルギー誘因物質、外因性内分泌撹乱
化学物質等を含有しない、人体に安全な水性塗料組成物
が得られる事を見出し発明を完成するに到った。
【0009】すなわち、エチレン性二重結合を樹脂端部
に持つ数平均分子量2,000〜50,000のポリエ
ステル樹脂に、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマ
ーを含む重合性不飽和モノマー成分をグラフト重合して
なるアクリル変性ポリエステル樹脂と、β−ヒドロキシ
アルキルアミド架橋剤とが水性媒体中に安定に分散され
てなる水性塗料組成物を提供するものである。
【0010】以下に本発明の水性塗料組成物について説
明する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の水性塗料組成物はアクリ
ル変性ポリエステル樹脂(C)及びβ−ヒドロキシアル
キルアミド架橋剤(D)を含有するものである。
【0012】アクリル変性ポリエステル樹脂(C) 本発明の(C)成分であるアクリル変性ポリエステル樹
脂はエチレン性二重結合を樹脂端部に含有するポリエス
テル樹脂(A)に、カルボキシル基含有重合性不飽和モ
ノマーを含む重合性不飽和モノマー成分(B)をグラフ
ト重合して得られるものである。
【0013】エチレン性二重結合を樹脂端部に含有する
ポリエステル樹脂(A) ここで言う「樹脂端部」とはポリエステル樹脂鎖の末端
成分の意味であり、上記エチレン性二重結合を樹脂端部
に含有するポリエステル樹脂(A)とは、樹脂の末端成
分がエチレン性二重結合を含むモノマーである、特徴的
な構造を持つポリエステル樹脂である。かかるポリエス
テル樹脂を合成するにはエチレン性二重結合を有する不
飽和一塩基酸を用いる方法とエチレン性二重結合を有す
る不飽和多塩基酸を用いる方法がある。
【0014】前者は飽和多塩基酸成分と多価アルコール
成分と不飽和一塩基酸を用いてポリエステルを合成する
方法であり一塩基酸のところで重縮合反応が停止するの
で不飽和一塩基酸は必ず樹脂端部に存在する。この時用
いられる不飽和一塩基酸としてはアクリル酸、メタクリ
ル酸のようなビニルモノマーやテトラヒドロ安息酸が挙
げられる。この方法は1段階で目的の樹脂を合成できる
が、ポリエステル合成反応は後述するように高温反応で
あるため合成中に不飽和二重結合の反応、重合が起こっ
てしまい反応制御が難しい。
【0015】後者は不飽和多塩基酸を含む多塩基酸成分
と多価アルコール成分からポリエステルを合成する方法
であり酸無水物のハーフエステル化による付加反応を利
用するものである。この反応は比較的低温で進行するた
め不飽和基を保存する事が出来る。
【0016】該ポリエステル樹脂は2段反応で製造する
ことができる。即ち、1段目の反応としてエチレン性二
重結合を有しない多塩基酸成分と多価アルコール成分を
縮合させてベースとなるポリエステルポリオールを合成
し、その後2段目の反応としてエチレン性二重結合を有
する不飽和多塩基酸をエステル化反応によりその端部に
導入し目的のポリエステル樹脂(A)を得る。
【0017】1段目のポリエステルポリオールの合成に
用いられるエチレン性二重結合を有しない多塩基酸成分
としては、例えば無水フタル酸、イソフタル酸、テレフ
タル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロイソ
フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、コハク酸、アジ
ピン酸、セバシン酸などから選ばれる1種以上の二塩基
酸が主として用いられ、必要に応じて安息香酸、クロト
ン酸、p−t−ブチル安息香酸などの一塩基酸、無水ト
リメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、
無水ピロメリット酸などの3価以上の多塩基酸などが併
用される。多塩基酸成分のうち、芳香族ジカルボン酸の
占める割合が60〜99.5モル%、且つそのうち、テ
レフタル酸の占める割合が30〜99.5モル%である
ことが塗膜の硬度などの点から好ましい。これらの多塩
基酸成分は単独で、あるいは2種以上を混合して使用す
ることができる。
【0018】多価アルコール成分としては、例えばエチ
レングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロ
ピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4
−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチ
ルペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,
6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタ
ノールなどの二価アルコールが主に用いられ、さらに必
要に応じてグリセリン、トリメチロールエタン、トリメ
チロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの3価以
上の多価アルコールを併用することができる。3価以上
の多価アルコールの量としてはアルコール成分中3〜1
5、特に5〜12モル%の範囲内であることが、塗膜性
能と樹脂製造安定性の観点から好ましい。これらの多価
アルコールは単独で、あるいは2種以上を混合して使用
することができる。
【0019】両成分のエステル化反応は、公知の方法に
よって行うことができる。また、エステル化反応におい
て、多塩基酸のかわりに多塩基酸の低級アルキルエステ
ル(例えばメチルエステル、エチルエステルなど)を用
い、エステル交換反応を行うことによっても得ることが
できる。両成分のエステル交換反応は、公知の方法によ
って行うことができる。
【0020】1段目の反応で得たポリエステルポリオー
ルにエチレン性二重結合を有する不飽和多塩基酸を加え
て2段目の反応を行い端部に二重結合を導入する。
【0021】2段目の反応に用いられる不飽和多塩基酸
としては、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸
などの不飽和多塩基酸無水物が挙げられる。エチレン性
二重結合を有する多塩基酸は、1種単独でもよいし、2
種以上を併用してもよい。不飽和多塩基酸の配合量とし
ては多塩基酸成分中0.5〜15モル%、特に2〜8モ
ル%の範囲内が好適である。
【0022】2段目の反応過程において不飽和多塩基酸
が端部に入るようにマイルドな反応条件を設定する必要
がある。
【0023】通常のポリエステル樹脂製造は原料を溶融
させ高温(例えば200℃以上)で縮合反応を行い、縮
合生成物を反応系外に留去する事により樹脂化を進行さ
せる。これは1段目の反応で採用する事が出来る公知の
方法の1つであるが、2段目反応ではこのような条件を
用いるとエステル交換が起こり不飽和多塩基酸がポリエ
ステル樹脂の分子鎖の中にランダムに配置されてしま
い、分子鎖の中央部に二重結合部位があるポリエステル
樹脂が多く出来る。
【0024】このようなポリエステル樹脂にアクリルモ
ノマーをグラフト重合させると、樹脂の中央部分で分岐
している構造が生じるためゲル化しやすくなり、製造安
定性が劣る傾向がある。また樹脂を中和し水性化した後
も樹脂凝集が起こり易く、液の安定性が低くなってしま
う。
【0025】それら不都合を避けるため2段目の反応で
は、100〜180℃でエチレン性二重結合を有する多
塩基酸の酸無水物をポリエステルポリオールに添加し
て、ハーフエステル化反応を行う。これは開環付加反応
であり、た易く反応が進行する。このとき反応監視の容
易性や製造安定性の向上のために、少量の高沸点極性溶
剤を加え系の粘度を低くする事が出来る。かかる用途に
用いられる高沸点極性溶媒としてはシクロヘキサノンな
どが挙げられる。
【0026】反応の監視、終了判断は酸価により行うこ
とができ、2段目で加えた不飽和多塩基酸の酸基の半分
がエステル化されたときの計算酸価をもって反応終点と
することができる。(このハーフエステル化反応は酸無
水基の開環反応であるため、反応率が高くなって行くと
共に酸価が増加する。)上記ポリエステル樹脂(A)
は、ガラス転移温度が30℃〜80℃、特に40〜60
℃の範囲のものであることが硬度と加工性のバランスの
点から好ましく、数平均分子量は2,000〜50,0
00、特に4,000〜20,000の範囲内のものが
加工性などの観点から好適である。
【0027】重合性不飽和モノマー成分(B) 本発明に用いられる重合性不飽和モノマー成分(B)と
しては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマ
ル酸等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマーを必
須成分とし、必要に応じてその他の重合性不飽和モノマ
ーを用いることができる。その他の重合性不飽和モノマ
ー成分としては、例えば、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)ア
クリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブ
チル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリ
レート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラ
ウリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリ
レート、ステアリル(メタ)アクリレート、セチル(メ
タ)アクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭
素原子数1〜18のアルキルエステル;シクロヘキシル
(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレ
ート;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン
等の芳香族ビニル系単量体;ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキ
シアミル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル
(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)
アクリレート、該ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレ
ート1モルに対してε−カプロラクトンを1〜5モル開
環付加反応させてなる、水酸基を有するカプロラクトン
変性アルキル(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合
性不飽和単量体;アクリルアミド、メタアクリルアミ
ド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−
エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロ
ポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロポ
キシメチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシ
メチル(メタ)アクリルアミド、N−sec−ブトキシ
メチル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブトキ
シメチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド系
モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢
酸ビニル、エチレン、ブタジエン等を挙げることができ
る。
【0028】本発明において、各化合物の語尾の「(メ
タ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレー
ト」を意味する。
【0029】重合性不飽和モノマー成分(B)は、単独
または2種以上組み合わせて使用されるが、得られるア
クリル変性ポリエステル樹脂(C)がカルボキシル基の
導入により水性化されることから、アクリル変性ポリエ
ステル樹脂(C)の酸価が30〜120mgKOH/
g、特に50〜100mgKOH/gの範囲になるよう
にカルボキシル基含有重合性不飽和モノマーの配合量を
調整することが好ましい。
【0030】エチレン性二重結合を含有するポリエステ
ル樹脂(A)と重合性不飽和モノマー成分(B)を重合
させてアクリル変性ポリエステル樹脂(C)を合成する
方法としては、有機溶媒中でのラジカル重合を利用する
ことができ、例えば、前記エチレン性二重結合を含有す
るポリエステル樹脂(A)と重合性不飽和モノマー成分
(B)及びラジカル重合開始剤、さらに必要に応じて連
鎖移動剤を添加し、90〜120℃で1〜5時間加熱す
る方法を利用することができる。
【0031】上記重合開始剤としては、有機過酸化物
系、アゾ系等のものが使用できる。有機過酸化物系重合
開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ
−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベ
ンゾエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサ
ノエート等が挙げられ、アゾ系重合開始剤としては、例
えばアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバ
レロニトリル等が挙げられる。また、上記連鎖移動剤と
しては、α−メチルスチレンダイマー、メルカプタン類
等が挙げられる。
【0032】エチレン性二重結合を含有するポリエステ
ル樹脂(A)と重合性不飽和モノマー成分(B)の固形
分重量比は、(A)/(B)=20/80〜90/10
の範囲であることが好ましく、50/50〜85/15
の範囲にあることが更に好ましい。エチレン性二重結合
を含有するポリエステル樹脂(A)が20%未満となる
と、得られる塗膜の加工性および素地密着性に劣る傾向
があり、90%を超えると耐食性に劣る傾向にある。
【0033】上記により合成されたアクリル変性ポリエ
ステル樹脂(C)は、中和、水分散されるが、中和に用
いられる中和剤としては、アミン類やアンモニアが好適
に使用される。上記アミン類の代表例として、例えば、
トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエ
タノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリ
ン等が挙げられる。中でも特にトリエチルアミン、ジメ
チルエタノールアミンが好適である。アクリル変性ポリ
エステル樹脂(C)の中和の程度は、特に限定されるも
のではないが、樹脂中のカルボキシル基に対して通常
0.3〜1.0当量中和の範囲であることが望ましい。
【0034】アクリル変性ポリエステル樹脂(C)が分
散せしめられる水性媒体は、水のみであってもよいし、
水と有機溶媒との混合物であってもよい。この有機溶剤
としては、アクリル変性ポリエステル樹脂(C)の水性
媒体中での安定性に支障を来さない有機溶媒である限
り、従来公知のものをいずれも使用できる。
【0035】上記有機溶媒としては、アルコール系溶
剤、セロソルブ系溶剤、カルビトール系溶剤等が好まし
い。この有機溶剤の具体例としては、n−ブタノール等
のアルコール系溶剤;エチレングリコールモノブチルエ
ーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテ
ル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレ
ングリコールモノメチルエーテル等のセロソルブ系溶
剤;ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のカル
ビトール系溶剤等を挙げることができる。また、有機溶
剤としては、上記以外の水と混合しない不活性有機溶剤
もアクリル変性ポリエステル樹脂の水性媒体中での安定
性に支障を来たさない範囲で使用可能であり、この有機
溶剤として、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化
水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶
剤、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン
系溶剤を挙げることができる。本発明の水性被覆組成物
における有機溶剤の量は、環境保護の観点から水性媒体
中の50重量%以下の範囲であることが望ましい。
【0036】アクリル変性ポリエステル樹脂(C)を水
性媒体中に中和、分散するには、常法によれば良く、例
えば中和剤を含有する水性媒体中に撹拌下にアクリル変
性ポリエステル樹脂(C)を徐々に添加する方法、アク
リル変性ポリエステル樹脂(C)を中和剤によって中和
した後、撹拌下にて、この中和物に水性媒体を添加する
か又はこの中和物を水性媒体中に添加する方法等を挙げ
ることができる。これら中和、分散過程においてβ−ヒ
ドロキシアルキルアミド架橋剤(D)が系中に加えられ
ていてもよく、加えられていなくてもよい。
【0037】β−ヒドロキシアルキルアミド架橋剤
(D) 本発明の(D)成分であるβ-ヒドロキシアルキルアミ
ド架橋剤は1分子中にヒドロキシアルキル基を複数持つ
物質であり、分子末端に存在するヒドロキシ基がカルボ
キシル基と反応する。その化学構造を次式に示す。
【0038】
【化3】
【0039】ここで、RおよびR'はHまたは炭素
数1〜5のアルキル基であり、RおよびR'はH、
炭素数1〜5のアルキル基、または
【0040】
【化4】
【0041】ここでRはHまたは炭素数1〜5のアル
キル基である。Aは飽和、不飽和、または芳香族の炭化
水素基(該炭化水素基は置換されていても良い)の多価有
機残基であり、該有機残基は炭素数2〜20である。m
は1から2であり、nは0〜2であり、m+nは少なく
とも2である。
【0042】かかる構造の化合物の中でもAは炭素数3
〜の飽和脂肪族炭化水素基であることが架橋塗膜の加工
性の見地から好ましい。そのような化合物の市販例とし
てN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエ
チル)アジパミド(商品名:PrimidXL552;
Rohm&Haas社製、CAS 6334−25−
4)やN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキ
シプロピル)アジパミド(商品名:PrimidQM1
260;Rohm&Haas社製、CAS 57843
−53−5)が挙げられる。
【0043】本発明において、アクリル変性ポリエステ
ル樹脂(C)とβ−ヒドロキシアルキルアミド架橋剤
(D)の配合比は、アクリル変性ポリエステル樹脂の酸
に対するβ−ヒドロキシアルキルアミドの水酸基の当量
比が0.7〜1.4:1の範囲内にあることが望まし
い。この範囲を外れた配合比では硬化塗膜の耐薬品性が
不足する。酸過剰の場合は耐アルカリ性が、水酸基過剰
の場合は耐酸性が不足する。
【0044】
【実施例】以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて、
本発明をより具体的に説明する。なお、以下、「部」及
び「%」はいずれも重量基準によるものとする。
【0045】ポリエステル樹脂(A)の合成 合成例1 (1段目)テレフタル酸66.45部、イソフタル酸6
6.45部、シクロヘキサンジカルボン酸17.22
部、エチレングリコール55.86部、トリメチロール
プロパン13.42部を反応容器に仕込み、220℃で
加熱、撹拌して生成する水を除去しながらエステル化反
応を行い、数平均分子量3500、酸価0.5mgKO
H/gのポリエステルポリオール樹脂を得た。
【0046】(2段目)得られたポリエステルポリオール
を冷却しながらシクロヘキサノンを加えて一旦100℃
以下に保ち、無水マレイン酸6.86部を追加仕込み
し、160℃まで加熱しハーフエステル化反応を行っ
た。反応は樹脂酸価により追跡し、加えた無水マレイン
酸全量がハーフエステル化した場合の酸価の計算値(こ
の場合は出発酸価:0.5+無水マレイン酸由来酸価:
20.3=20.8mgKOH/g)を反応終点とし
た。
【0047】反応終了後直ちに反応液を冷却しシクロヘ
キサノンを加え固形分含量60%のポリエステル樹脂A
−1溶液を得た。
【0048】合成例2〜11 合成例1と同様の手順により表1及び表2に示す樹脂A
−2〜A−11溶液を得た。
【0049】合成例12 表2に示す樹脂A−12は1段目反応で不飽和多塩基酸
も仕込んで製造したため、2段目反応は行わずに1段目
で樹脂酸価が0.5mgKOH/gとなった所で反応を
終了し、他の樹脂溶液と同様に濃度60%迄希釈した。
【0050】合成例13(無変性ポリエステル樹脂) 表2に示す樹脂A−13は不飽和多塩基酸を含まない通
常の高酸化ポリエステル樹脂の製造例であり、1段目反
応を樹脂酸価70で止め、他の樹脂溶液と同様に濃度6
0%迄希釈した。
【0051】以下の表1、2に合成したポリエステル樹
脂の配合を示した。又、これらポリエステル樹脂のゲル
浸透クロマトグラフィー法により求めた数平均分子量お
よび示差熱分析法により求めたガラス転移点も同表に示
した。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】アクリル変性ポリエステル樹脂(C)の製
製造例1 ポリエステル樹脂溶液A−1、133.3部を反応容器
に仕込み、メタクリル酸9.0部、スチレン9.0部、
エチルアクリレート2.0部、重合開始剤である過酸化
ベンゾイル0.6部およびシクロヘキサノン13.3部
の混合溶液を加え、90℃にて3時間保持しアクリル変
性ポリエステル樹脂溶液を得た。樹脂酸価は79mgK
OH/gであった。次いで、溶液を室温に冷却した後に
樹脂カルボン酸の0.5当量にあたるトリエチルアミン
7.1部を加え約10分間攪拌し充分に中和を行った。
その後激しく撹拌しながら上水325.7部を徐々に加
え、固形分濃度20%のアクリル変性ポリエステル樹脂
水分散液C−1を得た。
【0055】製造例2〜16 製造例1と同様の手順により表3及び表4に示す水分散
液C−2〜16を得た。
【0056】製造例17、18 製造例1同様の手順でアクリルグラフト反応を行ったと
ころ表4に示すC−17、18はゲル化した。
【0057】製造例19(無変性ポリエステル樹脂) 合成例13で製造した高酸化ポリエステル樹脂を無変性
のままトリエチルアミンにて中和し、その後は上記製造
例1と同様の工程によりポリエステル樹脂水分散液C−
19を得た。
【0058】製造例20(無変性アクリル樹脂) 反応容器内にメタクリル酸15部、スチレン35部、エ
チルアクリレート50部、重合開始剤である過酸化ベン
ゾイル1部およびシクロヘキサノン66.7部の混合溶
液を加え、90℃にて3時間保持し、樹脂酸価98mg
KOH/g、ガラス転移点77℃、数平均分子量150
00のアクリル樹脂溶液を得た。次にトリエチルアミン
8.8部を加え約10分間攪拌し充分に中和を行った。
その後激しく撹拌しながら上水323.5部を徐々に加
え、固形分濃度20%のアクリル樹脂水分散液C−20
を得た。
【0059】以下の表3、4にアクリル変性ポリエステ
ル樹脂(C)の製造配合及び水分散液の製造配合を示し
た。
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】実施例及び比較例 実施例1 容量500mlのガラスビーカーに、製造例1により得
た水分散液C−1を100部、架橋剤D−1を3.2
部、脱イオン水を12.6部入れ、攪拌して実施例1の
水性塗料組成物を得た。
【0063】実施例2〜13及び比較例1〜7 表5及び表6に示す配合以外は実施例1と同様にして実
施例2〜13及び比較例1〜7の各水性塗料組成物を得
た。
【0064】
【表5】
【0065】
【表6】
【0066】(注1)Primid XL552(Ro
hm&Haas社製) (注2)Primid QM1260(Rohm&Ha
as社製)塗膜性能評価 実施例及び比較例で製造した塗料を試験板に塗装し、焼
き付けた。塗装板の作成手順を以下に示す。
【0067】表面が清浄な厚さ0.3mmのTFS鋼板
上に、乾燥膜厚が10μmとなるようにバーコーターを
用いて塗装し、被塗物の最高到達温度が200℃となる
ように3分間焼き付けて塗料を硬化させ、試験に供する
塗装金属板を得た。
【0068】こうして得た塗装板について下記試験法に
より塗膜性能評価を行った。
【0069】塗面状態:塗装板の塗面を目視観察し、下
記の基準によって評価した。 ◎:塗面全面が滑らかで、発泡なども認められない ○:塗面全面に僅かに凹凸がみられる。 △:塗面全面に僅かに凹凸がみられ、小さい発泡が認め
られる ×:塗面全面に僅かに凹凸がみられ、大きい発泡が認め
られる。
【0070】加工性:20℃の室内において塗装板の塗
膜面を外側にして180度折曲げ部を設け、特殊ハゼ折
り型デュポン衝撃試験機を用いて、この折曲げ部に接触
面が平らな重さ1kgの鉄の錘を高さ50cmから落下
させた時に折曲げ部分の塗膜に生ずる亀裂の長さを測定
し、以下の基準で評価した。 ◎:5mm未満 ○:5mm以上で10mm未満 △:10mm以上で20mm未満 ×:20mm以上。
【0071】耐腐食性:塗装板を150mm×70mm
の大きさに切断し、塗膜に素地に達するようにクロスカ
ットを入れた後、その塗装板を用いて、3週間塩水噴霧
試験を行った。試験後の塗装板について、下記の基準に
より評価を行った。 ○:カット部からの錆幅が片側2mm未満 △:カット部からの錆幅が片側2mm以上5mm未満 ×:カット部からの錆幅が片側5mm以上 密着性:塗装板の塗膜にナイフを使用して約1.5mm
の幅で縦、横それぞれ11本の切り目をゴバン目に入
れ、24mm幅のセロハン粘着テープを密着させ、強く
剥離した時のゴバン目部の塗膜を観察し、以下の基準に
より評価した。 ◎:全く剥離が認められない ○:僅かな剥離が認められる △:かなりの剥離が認められる ×:著しい剥離が認められる。
【0072】下記表7、8に塗膜の性能評価結果を一覧
にして示した。
【0073】
【表7】
【表8】
【0074】
【発明の効果】本発明の水性塗料組成物は、毒性物質、
アレルギー誘因物質、外因性内分泌撹乱化学物質等を含
有しない人体に安全な水性塗料組成物であり、その硬化
塗膜は加工性、耐食性及び素地密着性に優れ、工業用塗
料として好適に使用する事が出来る。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J027 AB03 AB05 AB06 BA04 BA05 BA07 BA08 BA10 BA11 BA13 BA14 CB04 CC02 CD08 4J038 CP121 DD051 DD081 DD181 GA01 GA06 JA32 JA66 JB13 JB16 KA03 KA06 MA08 MA10 MA13 NA04 NA27

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレン性二重結合を樹脂端部に持つ数平
    均分子量2,000〜50,000のポリエステル樹脂
    (A)に、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマーを
    含む重合性不飽和モノマー成分(B)をグラフト重合し
    てなるアクリル変性ポリエステル樹脂(C)と、以下の
    構造式を有するβ−ヒドロキシアルキルアミド架橋剤
    (D)とが水性媒体中に安定に分散されてなる水性塗料
    組成物。 【化1】 ここで、RおよびR'は同一又は異なってHまたは
    炭素数1〜5のアルキル基であり、RおよびR'は
    同一又は異なってH、炭素数1〜5のアルキル基、また
    は 【化2】 ここでRはHまたは炭素数1〜5のアルキル基であ
    る:Aは飽和、不飽和、または芳香族の炭化水素基(該
    炭化水素基は置換されていても良い)の多価有機残基で
    あり、該有機残基は炭素数2〜20である:mは1又は
    2であり、nは0、1又は2であり、m+nは少なくと
    も2である。
  2. 【請求項2】ポリエステル樹脂(A)の原料である酸成
    分中、エチレン性二重結合を有する多塩基酸を0.5〜
    15モル%の範囲内で含有することを特徴とする請求項
    1記載の水性塗料組成物。
  3. 【請求項3】ポリエステル樹脂(A)の原料である多価
    アルコール成分中、3価以上の多価アルコールを3〜1
    5モル%の範囲内で含有することを特徴とする請求項1
    または2記載の水性塗料組成物。
  4. 【請求項4】ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度が
    30〜80℃の範囲にある請求項1〜3のいずれか1項
    に記載の水性塗料組成物。
  5. 【請求項5】アクリル変性ポリエステル樹脂(C)が、
    酸価30〜120mgKOH/gの範囲内のものである
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
  6. 【請求項6】アクリル変性ポリエステル樹脂(C)の酸
    基に対するβ−ヒドロキシアルキルアミド架橋剤(D)
    の水酸基の当量比が0.7〜1.4の範囲内にある請求
    項1〜5のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
  7. 【請求項7】ポリエステル樹脂(A)と重合性不飽和モ
    ノマー成分(B)との固形分重量比が、(A)/(B)
    の比で20/80〜90/10の範囲内にある請求項1
    〜6のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
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