JP2003026760A - 結晶性エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents
結晶性エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物Info
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Abstract
性エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂組成物を提供するこ
と。 【解決手段】ビフェニル骨格の両末端にメチレン基を介
してフェノールがパラ位に2個結合した化合物をフェノ
ール化合物と特定の割合で混合してアルカリ金属水酸化
物の存在下にてエピハロヒドリンと反応させることによ
り得られる結晶性エポキシ樹脂を用いる。
Description
を与え、溶融粘度が低い結晶性エポキシ樹脂及びエポキ
シ樹脂組成物に関する。
ることにより、一般的に機械的性質、耐水性、耐薬品
性、耐熱性、電気的性質などに優れた硬化物となり、接
着剤、塗料、積層板、成形材料、注型材料などの幅広い
分野に利用されている。従来工業的に最も使用されてい
る液状エポキシ樹脂としてはビスフェノールAにエピク
ロルヒドリンを反応させて得られる化合物が知られてい
る。半導体封止材などの用途においては耐熱性が要求さ
れるためクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が広く利
用されている。また、表面実装方式が一般的になり、半
導体パッケージも半田リフロー時に直接高温に晒される
ことが多くなるため封止材全体としての吸水率や線膨張
率を下げる為に、高フィラー充填が効果的な方法として
提案されている。高フィラー充填を可能にするためには
エポキシ樹脂の溶融粘度が低いことが必要条件となる。
この様な要求を満たすために最近ではテトラメチルビフ
ェノールのエポキシ化物などが広く用いられている。こ
の樹脂は結晶性であるため溶融状態において極めて低い
溶融粘度を示す。
たテトラメチルビフェノールのエポキシ化物は溶融粘度
が低く、高フィラー充填は可能なものの、樹脂そのもの
の吸水率は決して低くない。一方近年の環境問題に対す
る意識の向上につれ、半導体を実装する際に鉛フリー半
田を使用する場合が増えてきた。鉛フリー半田は従来の
半田と比較して溶融温度が約20℃高い(約260℃)
ため、半田リフロー時にパッケージクラックが生じる可
能性は従来の半導体封止材よりもはるかに高くなった。
この様な過酷な条件においては封止材に使用されるエポ
キシ樹脂の溶融粘度を低減し高フィラー充填を可能にす
るだけでは不十分であり、樹脂そのものの吸水率をも下
げる必要性が指摘されている。
状に鑑み、吸水率が低く、しかも溶融粘度の低い結晶性
エポキシ樹脂を求めて鋭意検討した結果、特定の分子構
造を有するエポキシ樹脂がこれらの特性を満たすもので
あることを見出し、本発明を完成させるに至った。
以外のフェノール化合物が95〜40重量%、からなる
混合物をエピハロヒドリンに溶解しアルカリ金属水酸化
物の存在下グリシジルエーテル化させることにより得ら
れる結晶性エポキシ樹脂、(2)成分(b)の軟化点が
50〜130℃である上記(1)記載の結晶性エポキシ
樹脂、(3)成分(b)が下記式(2)
化合物である上記(1)または(2)記載のエポキシ樹
脂、(4)上記(1)、(2)または(3)のいずれか
1項に記載の記載のエポキシ樹脂及び硬化剤を含有する
ことを特徴とするエポキシ樹脂組成物、(5)硬化促進
剤を含有する上記(4)記載のエポキシ樹脂組成物、
(6)無機充填剤を含有する上記(4)または(5)記
載のエポキシ樹脂組成物、(7)上記(4)、(5)ま
たは(6)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物
を硬化してなる硬化物を提供するものである。
式(1)の化合物と(b)(a)以外のフェノール化合
物を特定の割合で混合して得られた混合物をグリシジル
エーテル化して得ることができる。(b)成分は1分子
中にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物であれ
ば特に制限はないが、軟化点が50〜130℃であるも
のが好ましい。このようなフェノール化合物としてはフ
ェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェ
ノールAノボラック、ナフトールとクレゾールをホルマ
リンで重縮合した化合物、トリフェニルメタン型樹脂、
フェノールをジシクロペンタジエンで付加重合した化合
物、フェノールアラルキルノボラック、前記式(2)の
化合物等が挙げられるが、特に硬化物の吸湿性や難燃性
の面から式(2)で表されるビフェニルノボラック型樹
脂が特に好ましい。これらフェノール化合物は、それ自
体公知の方法で得たり、市販品を使用したりすることが
できる。また、本発明の好ましい態様である軟化点が5
0〜130℃であるものを得るには、数平均分子量を適
切な範囲にすることで達成でき、式(2)の化合物を例
にとるとnが平均値で1.5〜10のものが好ましい。
物と成分(b)であるフェノール化合物との仕込み比率
はa:b=5〜60重量%:95〜40重量%である
が、10〜50重量%:90〜50重量%が好ましい。
記式(3)
水酸基を表す。)で表される化合物と過剰のフェノール
を縮合反応させた後、未反応のフェノール及び高分子量
体を蒸発、再結晶などによって除去することにより得る
ことが出来る。
常、式(3)で表される化合物1モルに対してフェノー
ル2〜30モルであり、好ましくは3〜25モルであ
る。
が、メトキシ基又は、水酸基の場合は酸触媒を用いる。
用い得る酸触媒としては塩酸、硫酸、パラトルエンスル
ホン酸などが挙げられるが、特にパラトルエンスルホン
酸が好ましい。酸触媒の使用量としては前記式(3)で
表される化合物1モルに対し通常0.001〜0.1重
量部、好ましくは0.005〜0.05重量部である。
行うことが出来る。溶剤を使用する場合、用い得る溶剤
としてはメタノール、エタノール、イソプロパノール、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げ
られる。溶剤の使用量としては前記式(3)で表される
化合物とフェノールの合計重量に対して通常10〜30
0重量%、好ましくは20〜250重量%である。縮合
反応は前記式(3)で表される化合物が完全に消失する
まで行う。反応温度としては通常40〜150℃、反応
時間としては通常1〜10時間である。
触媒を除去し、次いで加熱減圧下で溶剤及び未反応のフ
ェノールを除去する。
る化合物と始めに仕込んだフェノールとの比率にもよる
が、前記式(1)で表される化合物を、通常10〜60
%含み、その他に異性体や高分子量化物を含んでいる。
この粗生成物から、溶剤を用いて再結晶及び濾過による
精製を行うことによって前記式(1)で表される化合物
を単離することが出来る。この再結晶に使用できる溶剤
としてはトルエン、メチルエチルケトン、アセトン、メ
チルイソブチルケトン、n−ヘキサン、メタノール、エ
タノール等が挙げられるが、これらに限定されるもので
はない。
の混合物をエピハロヒドリン中でアルカリ金属水酸化物
の存在下、グリシジルエーテル化して本発明のエポキシ
樹脂を得ることができる。本発明のエポキシ樹脂を得る
反応において、アルカリ金属水酸化物はその水溶液を使
用してもよく、その場合は該アルカリ金属水酸化物の水
溶液を連続的に反応系内に添加すると共に減圧下、また
は常圧下連続的に水及びエピハロヒドリンを流出させ、
更に分液し水は除去しエピハロヒドリンは反応系内に連
続的に戻す方法でもよい。
ヒドリンの混合物にテトラメチルアンモニウムクロライ
ド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチル
ベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム
塩を触媒として添加し50〜150℃で0.5〜8時間
反応させて得られる成分(a)及び成分(b)の混合物
のハロヒドリンエーテル化物にアルカリ金属水酸化物の
固体または水溶液を加え、20〜120℃で1〜10時
間反応させ脱ハロゲン化水素(閉環)させる方法でもよ
い。
ハロヒドリンの量は成分(a)及び成分(b)の混合物
の水酸基1当量に対し通常0.8〜12モル、好ましく
は0.9〜11モルである。この際、反応を円滑に進行
させるためにメタノール、エタノールなどのアルコール
類、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド等の非プ
ロトン性極性溶媒などを添加して反応を行うことが好ま
しい。
はエピハロヒドリンの量に対し通常2〜20重量%、好
ましくは4〜15重量%である。また非プロトン性極性
溶媒を用いる場合はエピハロヒドリンの量に対し通常5
〜150重量%、好ましくは10〜140重量%であ
る。
後、または水洗無しに加熱減圧下でエピハロヒドリンや
溶媒等を除去する。また更に加水分解性ハロゲンの少な
いエポキシ樹脂とするために、回収したエポキシ樹脂を
トルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤に溶解
し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ
金属水酸化物の水溶液を加えて反応を行い、閉環を確実
なものにすることも出来る。この場合アルカリ金属水酸
化物の使用量はエポキシ化に使用した成分(a)及び成
分(b)の混合物中の水酸基1当量に対して通常0.0
1〜0.3モル、好ましくは0.05〜0.2モルであ
る。反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常
0.5〜2時間である。
により除去し、更に加熱減圧下溶剤を留去することによ
り本発明のエポキシ樹脂が得られる。
て説明する。本発明のエポキシ樹脂は単独でまたは他の
エポキシ樹脂と併用して使用することが出来る。併用す
る場合、本発明のエポキシ樹脂の全エポキシ樹脂中に占
める割合は30重量%以上が好ましく、特に40重量%
以上が好ましい。
ポキシ樹脂の具体例としては、ノボラック型エポキシ樹
脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノール
F型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフ
ェニルメタン型エポキシ樹脂などが挙げられるがこれら
は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合
物、アミド系化合物、フェノ−ル系化合物などが挙げら
れる。用い得る硬化剤の具体例としては、ジアミノジフ
ェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテ
トラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジ
アミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチ
レンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂、無水フ
タル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無
水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテト
ラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサ
ヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル
酸、フェノ−ルノボラック、及びこれらの変性物、イミ
ダゾ−ル、BF3−アミン錯体、グアニジン誘導体など
が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これ
らは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対し
て0.7〜1.2当量が好ましい。エポキシ基1当量に
対して、0.7当量に満たない場合、あるいは1.2当
量を超える場合、いずれも硬化が不完全となり良好な硬
化物性が得られない恐れがある。
は硬化促進剤を使用しても差し支えない。用い得る硬化
促進剤の具体例としては2−メチルイミダゾール、2−
エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾ
ール等のイミダゾ−ル類、2−(ジメチルアミノメチ
ル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,
0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニル
ホスフィン等のホスフィン類、オクチル酸スズ等の金属
化合物等が挙げられる。硬化促進剤はエポキシ樹脂10
0重量部に対して0.1〜5.0重量部が必要に応じ用
いられる。
無機充填剤を含有しうる。用いうる無機充填剤の具体例
としてはシリカ、アルミナ、タルク等が挙げられる。無
機充填剤は本発明のエポキシ樹脂組成物中において0〜
90重量%を占める量が用いられる。更に本発明のエポ
キシ樹脂組成物には、シランカップリング剤、ステアリ
ン酸、パルミチン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸
カルシウム等の離型剤、顔料等の種々の配合剤を添加す
ることができる。
均一に混合することにより得られる。本発明のエポキシ
樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易
にその硬化物とすることができる。例えばエポキシ樹
脂、硬化剤並びに必要により硬化促進剤、無機充填剤及
び配合剤とを必要に応じて押出機、ニ−ダ、ロ−ル等を
用いて均一になるまで充分に混合してエポキシ樹脂組成
物を得、そのエポキシ樹脂組成物を溶融後注型あるいは
トランスファ−成型機などを用いて成型し、さらに80
〜200℃で2〜10時間加熱することにより硬化物を
得ることができる。
ン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン等の溶剤に溶解させ、ガラス繊維、カ
−ボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アル
ミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱半乾燥して得た
プリプレグを熱プレス成型して硬化物を得ることもでき
る。この際の溶剤は、本発明のエポキシ樹脂組成物と該
溶剤の混合物中で通常10〜70重量%、好ましくは1
5〜70重量%を占める量を用いる。
するが、以下において部は特に断わりのない限り重量部
である。
スコに窒素ガスパージを施しながら前記式(1)で表さ
れる化合物54.9部、前記式(2)で表されるビフェ
ニルノボラック型フェノール樹脂(軟化点72.5℃)
142.1部、エピクロルヒドリン370部、ジメチル
スルホキシド92.5部を仕込み撹拌下で45℃まで昇
温し、溶解させた。次いでフレーク状水酸化ナトリウム
40部を100分かけて分割添加し、その後、更に45
℃で2時間、70℃で1時間反応させた。反応終了後、
ロータリーエバポレーターを使用して加熱減圧下、ジメ
チルスルホキシド及び過剰のエピクロルヒドリン等を留
去し残留物に506部のメチルイソブチルケトンを加え
溶解した。
℃に加熱し30重量%の水酸化ナトリウム水溶液10部
を添加し、1時間反応させた後洗浄液が中性になるまで
水洗を繰り返した。更に水層は分離除去し、ロータリー
エバポレーターを使用して加熱減圧下、メチルイソブチ
ルケトンを留去することにより本発明のエポキシ樹脂
(A)240部を得た。得られたエポキシ樹脂は結晶状
態であり融点は96.50℃、150℃における溶融粘
度は0.0035Pa・s、エポキシ当量は265g/
eqであった。
してフェノールノボラック(軟化点83℃、水酸基当量
106g/eq、150℃における溶融粘度Pa・
s)、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(TP
P)、無機充填剤として球状シリカ(平均粒径30ミク
ロン)及び破砕シリカ(平均粒径5ミクロン)を用いて
表1の「配合物の組成の欄」に示す重量比で配合し、7
0℃で15分ロールで混練し、175℃、成型圧力70
Kg/cm2の条件でスパイラルフローを測定した(実
施例2)。また、無機充填剤を加えずに表1「配合物の
組成の欄」に示す重量比で配合した組成物を180秒間
トランスファー成型してその後160℃で2時間、更に
180℃で8時間硬化せしめて試験片を作成し、下記の
条件で吸水率を測定し表1の「硬化物の物性の欄」に示
した(実施例3)。
用いたエポキシ樹脂組成物は表1に示されるように極め
て低い粘度(フィラー含有量が80%と比較的高いにも
関わらすスパイラルフローが長いことから判断される)
及びその硬化物は優れた耐水性(吸水率が低いことから
判断される)を示した。
的に使用されてきたエポキシ樹脂と比較して溶融粘度が
低く、これを含有するエポキシ樹脂組成物は耐水性に優
れた硬化物を与える。従って、本発明のエポキシ樹脂組
成物は電気・電子材料、成型材料、注型材料、積層材
料、塗料、接着剤、レジスト、光学材料などの広範囲の
用途にきわめて有用である。
Claims (7)
- 【請求項1】(a)下記式(1) 【化1】 で表されるで表される化合物が5〜60重量%、(b)
(a)成分以外のフェノール化合物が95〜40重量
%、からなる混合物をエピハロヒドリンに溶解しアルカ
リ金属水酸化物の存在下グリシジルエーテル化させるこ
とにより得られる結晶性エポキシ樹脂。 - 【請求項2】成分(b)の軟化点が50〜130℃であ
るである請求項1記載の結晶性エポキシ樹脂。 - 【請求項3】成分(b)が下記式(2) 【化2】 (式中、nは正数であり、平均値を表す。)で表される
化合物である請求項1または2記載のエポキシ樹脂。 - 【請求項4】請求項1、2または3のいずれか1項に記
載のエポキシ樹脂及び硬化剤を含有することを特徴とす
るエポキシ樹脂組成物。 - 【請求項5】硬化促進剤を含有する請求項4記載のエポ
キシ樹脂組成物。 - 【請求項6】無機充填剤を含有する請求項4または5記
載のエポキシ樹脂組成物。 - 【請求項7】請求項4、5または6のいずれか1項に記
載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
Priority Applications (1)
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JP2001210744A JP5252671B2 (ja) | 2001-07-11 | 2001-07-11 | 結晶性エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 |
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- 2001-07-11 JP JP2001210744A patent/JP5252671B2/ja not_active Expired - Lifetime
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