JPH09255603A - ビス(ヒドロキシベンジル)ビフェニル及びその製法 - Google Patents
ビス(ヒドロキシベンジル)ビフェニル及びその製法Info
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Abstract
ポキシ化ノボラック樹脂の原料などに使用することがで
きる、新規な4,4'−ビス(ヒドロキシベンジル)ビフェ
ニルを提供することを目的とする。本発明の4,4'−ビス
(ヒドロキシベンジル)ビフェニルは、結晶性化合物で
あり、前記の用途に使用するのに好適であると共に、そ
れらの用途に使用されて得られたそれぞれの樹脂が優れ
た耐熱性を示し、また、吸水性、機械特性、接着特性な
どが高レベルである。 【構成】本発明は、新規な4,4'−ビス(ヒドロキシベン
ジル)ビフェニル、及び、その4,4'−ビス(ヒドロキシ
ベンジル)ビフェニルにおいてヒドロキシル基のp−置
換体及びo−置換体を主成分として含有する異性体混合
物、更に、それらの製法に関する。
Description
コキシメチル)ビフェニルとフェノールとを反応させて
得られる新規なフェノール化合物である『4, 4'-ビス
(ヒドロキシベンジル)ビフェニル』、その異性体混合
物およびその製法に関する。本発明のビス(ヒドロキシ
ベンジル)ビフェニルは、エポキシ樹脂の硬化剤、エポ
キシ化ノボラック樹脂用の原料などに使用することがで
きる。
ては、特開平5-117350号公報には、4,4'−ジ(2-ヒドロ
キシ−2-プロピル)ビフェニルとフェノールとを反応さ
せて得られた式(III)で示されるビスフェノール化
合物が知られていた。
ール化合物は、融点(又はガラス転位温度)が比較的高
い結晶性化合物であり、そのために溶融粘度が低くて流
動性が比較的大きいが、種々の用途(エポキシ樹脂の硬
化剤、エポキシ化ノボラック樹脂原料等)に使用する場
合に、OH当量(ビスフェノール化合物の分子量を分子
中のOH基数で割った値)が大きく、ビスフェノール化
合物の単位使用量当たりの反応性が低下すると共に、プ
ロピレン基を有しているので各用途における最終的な生
成物の耐熱性が低いなどの問題があった。
ビス(メトキシメチル)ビフェニルがフェノールと併用
される縮合剤として例示されているけれども、ビス(メ
トキシメチル)ビフェニルとフェノールとを反応させて
ビス(ヒドロキシベンジル)ビフェニルが生成されると
いう具体的な実施例は開示されておらず、本発明の新規
なビス(ヒドロキシベンジル)ビフェニルが実際にどの
ような性状を有しているかどうかはまったく開示されて
いないのである。
II)で示されるビスフェノール化合物以外の『他のビ
スフェノール化合物』については、具体的な実施例がま
ったく開示されていないので、それらの『他のビスフェ
ノール化合物』の存在を確認することができないのであ
る。
の式(III)で示されるビスフェノール化合物が有し
ていた問題点を有しておらず、エポキシ樹脂の硬化剤、
エポキシ化ノボラック樹脂用の原料などに好適に使用す
ることができる、新規なビス(ヒドロキシベンジル)ビ
フェニル又はその化合物を主として含有する混合物を提
供することを目的とするものである。
ル)ビフェニル、また、その異性体混合物に関すると共
に、さらに、式(II)
低級アルキル基である。〕で示される4, 4'-ビス(アル
コキシメチル)ビフェニルとフェノールとを反応させる
ことを特徴とする4, 4'-ビス(ヒドロキシベンジル)ビ
フェニルの製法に関する。
する。本発明の式(I)で示される 4,4'-ビス(ヒドロ
キシベンジル)ビフェニルは、例えば、次の式(I
V)、(V)又は(VI)で示される新規な結晶性化合
物の異性体を挙げることができる。
キシベンジル)ビフェニルの異性体混合物は、式(V
I)で示される4-(o-ヒドロキシベンジル)-4'-(p-ヒ
ドロキシベンジル)ビフェニルが主成分として含有され
ており、式(1V)で示される4, 4'-ビス(o-ヒドロキ
シベンジル)ビフェニル及び式(V)で示される4, 4'-
ビス(o-ヒドロキシベンジル)ビフェニルが比較的少な
い割合で含有されていてもよい。
ロキシベンジル)ビフェニルの異性体混合物は、前記の
式(VI)のビフェニル化合物が50モル%以上、特に
60〜90モル%程度であればよい。前記の4, 4'-ビス
(ヒドロキシベンジル)ビフェニルの異性体混合物は、
例えば、式(IV)のビフェニル化合物1モルに対し
て、式(V)のビフェニル化合物が1.5〜3.5モル
程度の割合であり、そして、式(VI)のビフェニル化
合物が2.5〜4.0モル程度の割合であればよい。
ベンジル)ビフェニル混合物における各ベンジル基のベ
ンゼン核に結合している全ヒドロキシ基は、p−位/o
−位の比が、0.6〜2.0、特に0.8〜1.6、更
に0.9〜1.4程度の割合であることが好ましい。
化合物、又、式(IV)、式(V)及び式(VI)で示
されるビフェニル化合物からなる異性体の混合物は、乳
白色結晶体(常温で結晶性固体)であり、その溶融温度
が約118℃であり、さらに、その溶融粘度が約10〜
30センチポイズ、特に15〜25センチポイズ程度と
低いのであり、そのような性状は、エポキシ樹脂の硬化
剤、或いは、エポキシ化ノボラック樹脂を製造するため
の原料として使用する際に、他の成分との混合などの作
業が行い易いのでそれらの用途に好適である。
な結晶性化合物は、OH基当量が約183であるので、
エポキシ樹脂の硬化剤、或いは、エポキシ化ノボラック
樹脂又はフェノール樹脂を製造するための原料として使
用する際に、それらの樹脂を得るための反応性が高く、
また、反応速度が速いのである。
4'-ビス(ヒドロキシベンジル)ビフェニルは、ビフェ
ニルとヒドロキシフェニルとがメチレン基で結合してい
るので、イソプロピレン基で連結されている公知の式
(III)で示されるビスフェノール化合物よりも、耐
熱性が約5℃以上優れているエポキシ硬化物又はエポキ
シ化ノボラック樹脂を得ることができるのである。
フェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エ
ポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ジヒド
ロキシビフェニルジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂
等を挙げることができる。式(I)で示される4, 4'-ビ
ス(ヒドロキシベンジル)ビフェニル又はその異性体混
合物、或いはそれらを主成分として含有する混合物を、
ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック
型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂の硬化剤として用い
て得られたエポキシ樹脂の硬化物は、吸湿性、接着性及
び可撓性が好適であると共に、前述のように耐熱性に優
れているのである。
本発明の式(I)の4, 4'-ビス(ヒドロキシベンジル)
ビフェニル又はその異性体混合物と、エポキシ樹脂と
を、該ビフェニルのOH基(水酸基)とエポキシ樹脂の
エポキシ基との比がおよそ等量となるように混合して、
必要であれば、硬化促進剤(例えば、N−メチルイミダ
ゾール、トリエチルアミン、トリフェニルフォスフィン
等)、充填剤、カップリング剤、難燃剤、滑剤、離型
剤、可塑剤、着色剤、増粘剤などの各種添加剤を添加し
て、エポキシ樹脂組成物を調製し、これを100〜25
0℃に加熱することによって、得ることができる。
ドロキシベンジル)ビフェニル又はその異性体混合物
は、アルカリの存在下、エピクロルヒドリン等のエピク
ロルハロヒドリンと反応させると、グリシジル基を有す
るノボラック型エポキシ樹脂を得ることができる。この
ノボラック型エポキシ樹脂は硬化剤と混合し、これを1
00〜250℃に加熱して硬化させて得られた硬化物
が、良好な吸湿性、接着性及び可撓性を有すると共に、
前述のように耐熱性に優れているのである。前記の硬化
剤としては、公知のパラキシレンノボラック型硬化剤を
用いることができると共に、4, 4'-ビス(ヒドロキシベ
ンジル)ビフェニル又はその異性体混合物を用いること
ができる。
(ヒドロキシベンジル)ビフェニル又はその異性体混合
物は、ヘキサメチレンテトラミン、ホルムアルデヒドな
どのフェノール樹脂用硬化剤を混合して、必要であれ
ば、充填剤、カップリング剤、難燃剤、滑剤、離型剤、
可塑剤、着色剤、増粘剤などの各種添加剤を添加してフ
ェノール樹脂組成物を調製し、これを80〜200℃、
特に150〜180℃で加熱して硬化することによっ
て、フェノール樹脂の硬化物を得ることができる。
シベンジル)ビフェニル又はその異性体混合物を使用し
て前述のようにして得られたエポキシ樹脂、フェノール
ノボラック樹脂、フェノール樹脂などは、接着性、密着
性、耐熱性、吸水性、高温時の寸法安定性、磨耗性、機
械特性が良好であるので、接着剤、塗料、封止材、研磨
材、砥石などの用途に使用することができる。
される4, 4'-ビス(アルコキシメチル)ビフェニルにお
いて、式(II)におけるR1 及びR2 は、メチル基、
エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル
基、イソブチル基などが好ましい。式(II)で示され
る4, 4'-ビス(アルコキシメチル)ビフェニルとして
は、例えば、4, 4'-ビス(メトキシメチル)ビフェニ
ル、4, 4'-ビス(エトキシメチル)ビフェニル、4, 4'-
ビス(n−プロポキシメチル)ビフェニル、4, 4'-ビス
(n−ブトキシメチル)ビフェニルなどを挙げることが
できる。
フェニルは、例えば、アルコキシメチルハロゲン化ベン
ゼンを脱ハロゲン化カップリング反応させることによっ
て得ることができ、また、ビフェニルをクロルメチル化
した後、ナトリウムメトキシドと反応させることによっ
て得ることができる。
(II)で示される4, 4'-ビス(アルコキシメチル)ビ
フェニルとを、酸触媒の存在下、0.5〜10時間、特
に1〜8時間、脱アルコール反応させることによって、
式(I)で示される4, 4'-ビス(ヒドロキシベンジル)
ビフェニルを主として含有する反応生成物(混合物)を
得ることができる。前記の製法において得られる反応生
成物は、次の式(VII)
されるフェノールノボラック縮合体であり、nが0であ
る場合が、式(I)で示されるビス(ヒドロキシベンジ
ル)ビフェニルであり、前記反応生成物中には式(I)
で示されるビス(ヒドロキシベンジル)ビフェニルが少
なくとも30重量%、特に50重量%以上、更に60重
量%以上含有していることが好ましい。なお、前述のよ
うにして得られた反応生成物は、公知の精製法(例え
ば、溶解度差と結晶性とを用いる分離精製法)によっ
て、式(I)で示されるビス(ヒドロキシベンジル)ビ
フェニルを高い濃度で得ることができる。
4'-ビス(アルコキシメチル)ビフェニルとの使用割合
(モル比)は、約1:0.01〜1:0.8、特に1:
0.01〜1:0.5程度であることが好ましい。本発
明の製法においては、前記のフェノールと4, 4'-ビス
(アルコキシメチル)ビフェニルとの使用割合が1:
0.5以下、特に1:0.1以下として反応を行うと、
目的物である4, 4'-ビス(ヒドロキシメチル)ビフェニ
ルを高い割合で(特に60重量%以上、更に80重量%
以上)含有する反応生成物(特に結晶性混合物)を得る
ことができるので、好ましい。
フォン酸、硫酸、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸など硫酸
系の酸触媒を好適に挙げることができる。本発明の製法
において、酸触媒の使用割合は、フェノール1モルに対
して1/10〜1/100モル程度であることが好まし
い。前記の反応において酸触媒の使用量が少ない場合に
は、フェノールとビス(アルコキシメチル)ビフェニル
との反応速度が遅くなるので望ましくなく、また、酸触
媒の使用量が多くなり過ぎると反応が急激に進行して反
応のコントロールが困難になることがあるので、望まし
くない。
0〜200℃、特に120〜190℃程度であることが
好ましい。その反応温度が低くなり過ぎると前述の反応
速度が遅くなり、また、反応温度が高くなり過ぎると反
応中にゲル化が生じることがあるので、望ましくない。
体的に説明する。下記の実施例によって得られた反応混
合物は、MS(EI)分析、GPC分析及びDSC分
析、並びに、 1H−NMR及び13C−NMR分析、更
に、IR分析を行ってその化学的又は物理的性状を確認
した。
成〕2リットルフラスコに、フェノール1019g(1
0.84モル)と4, 4'-ビス(メトキシメチル)ビフェ
ニル93g(0.384モル)とを計量して混合し(モ
ル比:フェノール/ビフェニル=28.21)、触媒と
して48%硫酸水溶液0.95ミリリットルを添加し
て、反応用混合液を調製した。
160℃で2時間、フェノールと4,4'-ビス(メトキシ
メチル)ビフェニルとの反応を行い、反応終了後、16
0℃で20torrに減圧して、未反応のフェノールを留去
し、さらに、その温度で常圧に戻してフラスコ内にスチ
ームを吹き込んで、反応混合物中のフェノールを実質的
に除去し、更に、160℃で再度20torrに減圧して反
応混合物中の水分を実質的に除去して、反応混合物を1
24g得た。
析し、更に、 1H−NMR及び13C−NMR分析、そし
て、IR分析を行った。その結果を図1〜6に示す。そ
の反応混合物は、元素分析値が、水素:6.07及び炭
素:85.27であり(理論値が水素:6.01及び炭
素:85.24である。)、また、前述のGPC分析に
よれば、4, 4'-ビス(ヒドロキシベンジル)ビフェニル
が86.4重量%含有されていた。(GPCチャートを
参照)
ンジル)ビフェニルは、 1H−NMR及び13C−NMR
分析、並びにIR分析などにより、式(IV)、(V)
及び(VI)で示される異性体構造を有する化合物の混
合物であることがほぼ確認された。前記の分析結果によ
れば、前記の4, 4'-ビス(ヒドロキシベンジル)ビフェ
ニルは、m−位体が実質的に含まれていないことが判明
した。
ドロキシベンジル)ビフェニルにおいて、反応混合物の
NMR分析から、4, 4'-ビス(ヒドロキシベンジル)ビ
フェニルのベンジル基のp−位にヒドロキシル基がある
構造(p−位)とベンジル基のo−位にヒドロキシル基
がある構造(o−位)との比〔OH位置構造の比(p−
位)/(o−位)〕が約1/1.3であった。前述のよ
うにして得られた反応混合物は、融点が118℃である
結晶性の乳白色混合物であると共に、軟化点が142℃
であり、そして、150℃での溶融粘度が0.2ポイズ
であった。
る4, 4'-ビス(ヒドロキシベンジル)ビフェニルは、新
規な結晶性化合物であり、OH基当量が比較的小さいの
で、エポキシ樹脂の硬化剤などの用途に用いる際に、そ
れらの樹脂を得るための反応性が高く、また、反応速度
が速いのであり、そして、ビフェニルとヒドロキシフェ
ニルとがメチレン基で結合しているので、イソプロピレ
ン基で連結されている公知のビスフェノール化合物より
も、耐熱性が優れているエポキシ硬化物又はエポキシ化
ノボラック樹脂を得ることができるのである。
分析チャートである。
ャートである。
トである。
チャートである。
チャートである。
ャートである。
Claims (3)
- 【請求項1】式(I) 【化1】 で示される4, 4'-ビス(ヒドロキシベンジル)ビフェニ
ル。 - 【請求項2】4, 4'-ビス(ヒドロキシベンジル)ビフェ
ニルの異性体混合物。 - 【請求項3】式(II) 【化2】 〔但し、R1 及びR2 は、炭素数1〜6の低級アルキル
基である。〕で示される4, 4'-ビス(アルコキシメチ
ル)ビフェニルとフェノールとを反応させることを特徴
とする4, 4'-ビス(ヒドロキシベンジル)ビフェニルの
製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06996996A JP3621500B2 (ja) | 1996-03-26 | 1996-03-26 | ビス(ヒドロキシベンジル)ビフェニル及びその製法 |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH09255603A true JPH09255603A (ja) | 1997-09-30 |
JP3621500B2 JP3621500B2 (ja) | 2005-02-16 |
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ID=13417999
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP06996996A Expired - Lifetime JP3621500B2 (ja) | 1996-03-26 | 1996-03-26 | ビス(ヒドロキシベンジル)ビフェニル及びその製法 |
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JP (1) | JP3621500B2 (ja) |
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- 1996-03-26 JP JP06996996A patent/JP3621500B2/ja not_active Expired - Lifetime
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