JP4502195B2 - 液状エポキシ樹脂、それを含むエポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents
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構造用材料としては、航空宇宙材料用またはレジャー・スポーツ器具用等において軽量で機械特性の優れた材料が求められている。
1)一般式(1)
で表されるフェノールアラルキル樹脂をエポキシ化し、結晶性エポキシ樹脂を除去してなる液状エポキシ樹脂;
2)一般式(3)
で表されるエポキシ樹脂であって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定において、式(3)におけるnが1であるエポキシ樹脂の含有率が80%以上であり、主鎖のメチレン基と側鎖のグリシジルオキシ基の置換位置がオルト−オルト体であるエポキシ樹脂に対して、パラ−パラ体であるエポキシ樹脂の割合が0.5以下である液状エポキシ樹脂;
4)上記1)〜3)のいずれか一項に記載の液状エポキシ樹脂及び硬化剤を含有してなるエポキシ樹脂組成物;
5)上記4)に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物;
6)一般式(2)
で表される化合物と、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基若しくはアリル基で置換されていてもよいフェノール類とを酸存在下で反応してフェノールアラルキル樹脂を得、次いで、該樹脂とエピハロヒドリンとをアルカリ条件下で反応して得られるエポキシ樹脂から、結晶性エポキシ樹脂を除去することを特徴とする上記1)〜3)のいずれか一項に記載の液状エポキシ樹脂の製造法;
8)結晶性エポキシ樹脂の除去がメチルイソブチルケトン、シクロヘキサン及びイソプロパノールの混合溶媒を用いて行うことを特徴とする上記6)または7)に記載の液状エポキシ樹脂の製造法;
に関する。
一般式(1)のRにおける炭素数1〜6のアルキル基とは、直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
得られたフェノールアラルキル樹脂の重合度はゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができ、エポキシ化後の諸特性からnが1であるフェノールアラルキル樹脂の含有率が80%以上であることが好ましい。
アルカリとしては、通常、アルカリ金属水酸化物を固形物または水溶液として使用する。水溶液を使用する場合は、連続的に反応系内に添加すると共に、減圧下または常圧下連続的に水及びエピハロヒドリンを留去させ、水とエピハロヒドリンを分液し、エピハロヒドリンを反応系内に戻す方法でもよい。アルカリ金属水酸化物の使用量は一般式(1)で表される化合物のフェノール性水酸基に対して通常0.9〜2.5モル当量であり、好ましくは0.95〜2.0モル当量である。
この際、一般式(1)で表される化合物の溶解性を高めるために、メタノール、エタノール等のアルコール類、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒等を添加して反応を行うことが好ましい。
エポキシ化反応後、必要に応じて反応物を水洗し、加熱減圧下でエピハロヒドリン等を留去する。
反応終了後、生成した塩を濾過、水洗等により除去し、加熱減圧下溶剤を留去することにより加水分解性ハロゲン化合物の少ないエポキシ樹脂を得ることができる。
有機溶媒としては、トルエン、キシレン、クレゾール等の芳香族化合物;アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン等のケトン類;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類等が挙げられる。これらの使用量は残渣の重量に対して通常50〜400重量%、好ましくは50〜200重量%である。
一般式(3)で表される化合物以外の副生成物としては、反応中のグリシジル基と未反応のフェノール体が付加した化合物あるいはエポキシ環が閉環せずに残ったクロロヒドリン体等が含まれる。
結晶性エポキシ樹脂を除去しないとパラ−パラ体/オルト−オルト体は0.8〜1.2程度であるが、結晶を除去することにより、本発明の液状エポキシ樹脂のパラ−パラ体/オルト−オルト体は0.5以下であり、好ましくは0.2以下である。
本発明のエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂の使用量は、エポキシ樹脂組成物に対して0〜90重量%、好ましくは0〜80重量%である。
更に、本発明のエポキシ樹脂組成物には、シランカップリング剤;ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の離型剤;顔料等の種々の配合剤を添加することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物となり、該硬化物も本発明に含まれる。即ち、本発明のエポキシ樹脂組成物を溶融後、注型あるいはトランスファ−成型機等を用いて成型し、80〜200℃で2〜10時間加熱することにより硬化物を得る。
また、光半導体分野においては、発光ダイオード(LED)、フォトトランジスタ、CCD(荷電結合素子)、UV−EPROM等のEPROM等の光半導体素子(半導体チップ)を封止した物が挙げられる。
・軟化点
JIS K−7234に準じた方法で測定した。
・エポキシ当量
JIS K−7236に準じた方法で測定し、単位はg/eqである。
撹拌機、温度計、コンデンサーを備えた四つ口フラスコに窒素をパージしながらフェノール1647部、パラトルエンスルホン酸0.1部を仕込み、80℃で撹拌しながら4,4'−ビス(クロロメチル)ビフェニル176部を1時間かけて加えた。続けて80℃にて、95〜105kPaの減圧下で2時間の反応を行った。その後、加熱減圧下(140℃、1.33kPa)で未反応フェノールを留去した。得られた残渣は結晶状であり、GPC(測定波長;UV254nm)の測定からnが1であるフェノールアラルキル樹脂を87%含有していた。その水酸基当量は、188g/eqであった。
撹拌機、温度計、コンデンサーを備えた四つ口フラスコに窒素をパージしながらフェノール1185部、パラトルエンスルホン酸0.1部を仕込み、80℃で撹拌しながら4,4'−ビス(クロロメチル)ビフェニル176部を1時間かけて加えた。続けて80℃にて、95〜105kPaの減圧下で2時間の反応を行った。その後、加熱減圧下(140℃、1.33kPa)で未反応フェノールを留去した。得られた残渣は結晶状であり、GPC(測定波長;UV254nm)の測定からnが1であるフェノールアラルキル樹脂を71%含有していた。その水酸基当量は、197g/eqであった。
エポキシ樹脂B1、A1、A2,A3の結果を表1にまとめる。
本発明の液状エポキシ樹脂は、GPCにおいて、一般式(1)におけるnが1であるフェノールアラルキル樹脂をエポキシ化してなるエポキシ樹脂の含有率が80%以上であり、且つ、そのメチレン基とグリシジルオキシ基の置換位置がパラ−パラ体であるエポキシ樹脂の、オルト−オルト体であるエポキシ樹脂に対する割合が0.5以下である。
エポキシ樹脂として実施例1で得られたエポキシ樹脂(B1)、硬化剤としてジエチルアミノジフェニルメタン(日本化薬(株)製、カヤハードA−A)を表2に示す割合(重量部)で配合した。
エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、RE−310S、エポキシ当量 185g/eq)、硬化剤としてジエチルアミノジフェニルメタン(日本化薬(株)製、カヤハードA−A)を表2に示す割合(重量部)で配合した。
実施例2 比較例2
エポキシ樹脂 B1 100
RE−310S 100
硬化剤 カヤハードA−A 24.3 34.3
実施例2、比較例2で得られたエポキシ樹脂組成物について注型法により樹脂成形体を調製し、120℃で2時間、更に150℃で6時間加熱し硬化させた。このようにして得られた硬化物の物性の測定結果を表3に示す。
・ガラス転移温度(TMA):真空理工(株)製 TM−7000、昇温速度 2℃/分
・吸水率:直径5cm×厚み4mmの円盤状の試験片を100℃の水中で72時間煮沸した後、その重量増加率(%)を求める
実施例2 比較例2
ガラス転移温度(℃) 134 132
吸水率(%) 0.9 1.2
Claims (7)
- mが0である請求項1に記載のエポキシ樹脂。
- 請求項1又は請求項2に記載のエポキシ樹脂及び硬化剤を含有してなるエポキシ樹脂組成物。
- 請求項3に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
- 一般式(2)の化合物1モルに対してフェノール類10〜50モルを反応することを特徴とする請求項5記載のエポキシ樹脂の製造法。
- 結晶性エポキシ樹脂の除去がメチルイソブチルケトン、シクロヘキサン及びイソプロパノールの混合溶媒を用いて行うことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のエポキシ樹脂の製造法。
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