JP2005314499A - 新規フェノール化合物、その製造法、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents
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- RZTDESRVPFKCBH-UHFFFAOYSA-N Cc(cc1)ccc1-c1ccc(C)cc1 Chemical compound Cc(cc1)ccc1-c1ccc(C)cc1 RZTDESRVPFKCBH-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
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Abstract
Description
本発明は、酸化防止剤、顕色剤、エポキシ・ポリカーボネート樹脂原料などの合成中間体として有用な新規フェノール化合物、およびその製造法、また、該新規フェノール化合物をグリシジルエーテル化させたエポキシ樹脂、そのエポキシ樹脂組成物、およびその硬化物に関する。
エポキシ樹脂は種々の硬化剤で硬化させることにより、一般的に機械的性質、耐水性、耐薬品性、耐熱性、電気的性質などに優れた硬化物となり、接着剤、塗料、積層板、成形材料、注型材料などの幅広い分野に利用されている。半導体封止材などの用途においては耐熱性が要求されるためクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が広く利用されている。実装方式は、表面実装方式が一般的になり、半導体パッケージも半田リフロー時に直接高温に晒されることが多くなった上、近年の環境問題に対する意識の向上につれ、半導体を実装する際に鉛フリー半田を使用する場合が増えている。鉛フリー半田は従来の半田と比較して溶融温度が約20℃高い(約260℃)ため、半田リフロー時にパッケージクラックが生じる可能性は従来の半導体封止材よりもはるかに高くなった。そのような背景において、耐熱性、耐湿性、耐衝撃性等の諸特性に優れた性能を有するエポキシ樹脂として、ビフェニルノボラック型のエポキシ樹脂が提案されている(特許文献1参照)。また、ビフェニル骨格を含むエポキシ樹脂の低溶融粘度化として分子量分布を有しない結晶性エポキシ樹脂が提案されている(特許文献2参照)。また、結晶性エポキシ樹脂に有用な原料となるビフェニル骨格を有するフェノール化合物については既に提案されているが、その原料として使用されるフェノール類についてはフェノールの他にクレゾールやキシレノールのような1から2置換のフェノール類のみが記載されている(特許文献3)。
特許文献1の実施例に記載されているような分子量分布を有するノボラック型のエポキシ樹脂は、溶融粘度が比較的高いため高フィラー充填には限界があった。また、特許文献2に記載の結晶性エポキシ樹脂を製造するためには、原料のビフェニル化合物に対して実質的に多量のフェノールを使用する必要があり、具体的にその効果が確認されているのは下記式(3)で表される化合物1モルに対して、フェノールを9モル使用した例である。本発明の主たる目的は、フェノール類を大量に使用しなくても製造が可能であり、しかもその硬化物において耐熱性、耐湿性、耐衝撃性に優れたビフェニル骨格を有する結晶性エポキシ樹脂を与えるフェノール性化合物を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は
(1)下記式(1)で表されるフェノール化合物、
(1)下記式(1)で表されるフェノール化合物、
(上記式(1)において、R1〜R4は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、またはアリル基であるが、R1〜R4のうち少なくとも3つは炭素数1〜4のアルキル基、またはアリル基である。)
(2)式(1)において、R1〜R3が炭素数1〜4のアルキル基であり、R4が水素原子である上記(1)に記載のフェノール化合物、
(3)下記式(2)で表されるフェノール類と下記式(3)で表されるビフェニル化合物を反応させ、得られた反応混合物を加熱した溶媒に溶解し、これを冷却することにより生じる結晶を単離することを特徴とする、前記式(1)で表されるフェノール化合物の製造法、
(2)式(1)において、R1〜R3が炭素数1〜4のアルキル基であり、R4が水素原子である上記(1)に記載のフェノール化合物、
(3)下記式(2)で表されるフェノール類と下記式(3)で表されるビフェニル化合物を反応させ、得られた反応混合物を加熱した溶媒に溶解し、これを冷却することにより生じる結晶を単離することを特徴とする、前記式(1)で表されるフェノール化合物の製造法、
(上記式(2)において、R1〜R4は式(1)におけるのと同じ意味を表す。)
(上記式(3)において、Xは塩素原子、臭素原子、メトキシ基、エトキシ基または水酸基を表す。)
(4)前記式(1)で表される化合物をアルカリ金属水酸化物の存在下、エピハロヒドリンと反応させることにより得られる結晶性エポキシ樹脂、
(5)上記(4)に記載のエポキシ樹脂及び硬化剤を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物、
(6)硬化促進剤を含有する(5)に記載のエポキシ樹脂組成物、
(7)無機充填剤を含有する(5)または(6)に記載のエポキシ樹脂組成物、
(8)(5)、(6)または(7)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物
に関する。
(4)前記式(1)で表される化合物をアルカリ金属水酸化物の存在下、エピハロヒドリンと反応させることにより得られる結晶性エポキシ樹脂、
(5)上記(4)に記載のエポキシ樹脂及び硬化剤を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物、
(6)硬化促進剤を含有する(5)に記載のエポキシ樹脂組成物、
(7)無機充填剤を含有する(5)または(6)に記載のエポキシ樹脂組成物、
(8)(5)、(6)または(7)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物
に関する。
本発明のエポキシ樹脂はこれまでに提案されてきたエポキシ樹脂と比較して、耐熱性、耐湿性、流動性などのバランスに優れた硬化物を与える。従って、本発明のエポキシ樹脂組成物は電気・電子材料、成型材料、注型材料、積層材料、塗料、接着剤、レジスト、光学材料などの広範囲の用途にきわめて有用である。
本発明のエポキシ樹脂は、前記式(1)のフェノール化合物をグリシジルエーテル化して得ることができる。式(1)で表される化合物は、例えば、下記式(2)
(上記式(2)において、R1〜R4は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、またはアリル基であるが、R1〜R4のうち少なくとも3つは炭素数1〜4のアルキル基、またはアリル基である。)で表されるフェノール類と下記式(3)
(上記式(3)において、Xは塩素原子、臭素原子、メトキシ基、エトキシ基または水酸基を表す。)で表されるビフェニル化合物とを縮合反応させた後、未反応のフェノール類、および不純物を加熱除去し、得られた反応混合物を再結晶処理し得ることが出来る。
フェノール類としては、式(2)で表される化合物であれば特に制限はない。式(2)において、R1〜R4のうち炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基またはtert−ブチル基等が挙げられる。R1〜R4は、それらのうち少なくとも3つが炭素数1〜4のアルキル基、またはアリル基である限り、それぞれ互いに同一であっても、異なっていてもよい。使用できる式(2)の化合物の具体例としては、2,3,5−トリメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノールなどのR1〜R3が炭素数1〜3のアルキル基で、R4が水素原子である化合物が挙げられる。上記の縮合反応において、仕込み比率は、式(3)の化合物1モルに対して式(2)のフェノール類が通常2〜20モル、好ましくは2〜10モル、特に好ましくは2.5〜3.5モルである。
式(3)の化合物としては例えば、4,4’−ビス(クロロメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(ブロモメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(エトキシメチル)−1,1’−ビフェニルなどが挙げられる。
反応時に必要に応じて酸触媒を添加することができる。具体的には、種々のものが使用できるが硫酸、p−トルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機あるいは無機酸、塩化第二錫、塩化亜鉛、塩化第二鉄等のフリーデルクラフツ型触媒等が挙げられる。なかでも塩化第二錫、硫酸、p−トルエンスルホン酸が好ましい。これら酸触媒の使用量は触媒の種類により異なるが、式(2)の化合物に対して0.0005〜5重量%の範囲内で添加すれば良い。
縮合反応は無溶剤下でも溶剤の存在下でも行うことが出来る。溶剤を使用する場合、用い得る溶剤としてはメタノール、エタノール、イソプロパノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン等が挙げられる。溶剤の使用量としては式(3)で表される化合物と式(2)で表されるフェノール類の合計重量に対して通常10〜300重量%、好ましくは20〜250重量%である。縮合反応温度としては通常40〜150℃、反応時間としては通常1〜10時間である。
縮合反応終了後、中和、水洗などにより酸触媒を除去し、次いで加熱減圧下で必要により使用した溶剤及び未反応のフェノール類を除去した後に再結晶およびろ過による精製を行う。なおフェノール類及び溶剤の除去工程は、反応終了後に析出した結晶をろ過、再結晶を行うことによって省略可能である。
再結晶に使用できる溶剤としてはトルエン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、n−ヘキサン、メタノール、エタノール等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、各種溶剤を混合しても構わない。再結晶は、これらの溶剤を加熱し、反応混合物を溶解した後、冷却、ろ過を行う。
再結晶に使用できる溶剤としてはトルエン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、n−ヘキサン、メタノール、エタノール等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、各種溶剤を混合しても構わない。再結晶は、これらの溶剤を加熱し、反応混合物を溶解した後、冷却、ろ過を行う。
こうして得られた(1)で表されるフェノール化合物をエピハロヒドリン中でアルカリ金属水酸化物の存在下、グリシジルエーテル化して本発明のエポキシ樹脂を得ることができる。本発明のエポキシ樹脂を得る反応において、アルカリ金属水酸化物はその水溶液を使用してもよく、その場合は該アルカリ金属水酸化物の水溶液を連続的に反応系内に添加すると共に減圧下、または常圧下連続的に水及びエピハロヒドリンを留出させ、更に分液し水は除去しエピハロヒドリンは反応系内に連続的に戻す方法でもよい。
また式(1)とエピハロヒドリンの混合物にテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を触媒として添加し50〜150℃で0.5〜8時間反応させて得られる式(1)のハロヒドリンエーテル化物にアルカリ金属水酸化物の固体または水溶液を加え、20〜120℃で1〜10時間反応させ脱ハロゲン化水素(閉環)させる方法でもよい。
通常これらの反応において使用されるエピハロヒドリンの量は式(1)の水酸基1当量に対し通常0.8〜12モル、好ましくは0.9〜11モルである。この際、反応を円滑に進行させるためにメタノール、エタノールなどのアルコール類、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒などを添加して反応を行うことが好ましい。
アルコール類を使用する場合、その使用量はエピハロヒドリンの量に対し通常2〜20重量%、好ましくは4〜15重量%である。また非プロトン性極性溶媒を用いる場合はエピハロヒドリンの量に対し通常5〜150重量%、好ましくは10〜140重量%である。
これらのエポキシ化反応の反応物を冷却後、析出した結晶をろ過、水洗によって無機塩を取り除くことにより、目的とするエポキシ樹脂が結晶として得られる。
また、エポキシ化反応の反応物を水洗後、または水洗無しに加熱減圧下でエピハロヒドリンや溶媒等を除去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、回収したエポキシ樹脂をトルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて反応を行い、閉環を確実なものにすることも出来る。この場合アルカリ金属水酸化物の使用量はエポキシ化に使用した式(1)中の水酸基1当量に対して通常0.01〜0.3モル、好ましくは0.05〜0.2モルである。反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜2時間である。
反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に加熱減圧下溶剤を留去することにより本発明のエポキシ樹脂が結晶として得られる。
なお、必要により得られた結晶を再結晶処理してもよい。再結晶に使用できる溶剤としてはトルエン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、n−ヘキサン、メタノール、エタノール等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、各種溶剤を混合しても構わない。再結晶は、これら溶剤を加熱し、反応混合物を溶解した後、冷却、ろ過を行うといった通常の方法で支障ない。
反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に加熱減圧下溶剤を留去することにより本発明のエポキシ樹脂が結晶として得られる。
なお、必要により得られた結晶を再結晶処理してもよい。再結晶に使用できる溶剤としてはトルエン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、n−ヘキサン、メタノール、エタノール等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、各種溶剤を混合しても構わない。再結晶は、これら溶剤を加熱し、反応混合物を溶解した後、冷却、ろ過を行うといった通常の方法で支障ない。
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物について説明する。本発明のエポキシ樹脂は単独でまたは他のエポキシ樹脂と併用して使用することが出来る。併用する場合、本発明のエポキシ樹脂の全エポキシ樹脂中に占める割合は30重量%以上が好ましく、特に40重量%以上が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂と併用し得る他のエポキシ樹脂の具体例としては、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、その他一般の公知のエポキシ樹脂などが挙げられるがこれらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は硬化剤を含有する。使用できる硬化剤としては、フェノール系化合物の他にアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。用い得る硬化剤の具体例としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、トリフェノールメタン型樹脂、フェニレンまたはビフェニレン骨格を含むフェノールアラルキル樹脂、本発明のフェノール化合物、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、フェノ−ルノボラック、及びこれらの変性物、イミダゾ−ル、BF3−アミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.7〜1.2当量が好ましい。エポキシ基1当量に対して、0.7当量に満たない場合、あるいは1.2当量を超える場合、いずれも硬化が不完全となり良好な硬化物性が得られない恐れがある。
また本発明のエポキシ樹脂組成物においては硬化促進剤を併用しても差し支えない。用い得る硬化促進剤の具体例としては2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾ−ル類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、オクチル酸スズ等の金属化合物等が挙げられる。硬化促進剤はエポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重量部が必要に応じ用いられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は必要により無機充填剤を含有しうる。用いうる無機充填剤の具体例としてはシリカ、アルミナ、タルク等が挙げられる。無機充填剤は本発明のエポキシ樹脂組成物中において0〜90重量%を占める量が用いられる。更に本発明のエポキシ樹脂組成物には、シランカップリング剤、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の離型剤、顔料等の種々の配合剤を添加することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は必要により既知の熱硬化性樹脂、または熱可塑性樹脂を含有しうる。具体例としてはビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、マレイミド樹脂、ポリシアナート樹脂、イソシアナート化合物、ベンゾオキサジン化合物、ビニルベンジルエーテル化合物、ポリブタジエンおよびこの変性物、アクリロニトリル共重合体の変性物、インデン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリエチレン、ジシクロペンタジエン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂、または熱可塑性樹脂は本発明のエポキシ樹脂組成物中において0〜90重量%を占める量が用いられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記の各成分を均一に混合することにより得られる。本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物とすることができる。例えばエポキシ樹脂、硬化剤並びに必要により硬化促進剤、無機充填剤及び配合剤とを必要に応じて押出機、ニ−ダ、ロ−ル等を用いて均一になるまで充分に混合してエポキシ樹脂組成物を得、そのエポキシ樹脂組成物を溶融後注型あるいはトランスファー成型機などを用いて成型し、さらに80〜200℃で2〜10時間加熱することにより硬化物を得ることができる。
また本発明のエポキシ樹脂組成物をトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解させ、ガラス繊維、カ−ボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱半乾燥して得たプリプレグを熱プレス成型して硬化物を得ることもできる。この際の溶剤は、本発明のエポキシ樹脂組成物と該溶剤の混合物中で通常10〜70重量%、好ましくは15〜70重量%を占める量を用いる。
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、以下において部は特に断わりのない限り重量部である。なお、融点、エポキシ当量は以下の条件で測定した。
・融点:DSC法
測定機械;示差走査熱量測定(DSC6200 セイコー電子工業(株))
昇温速度;10℃/min.
パン;Alパン
・エポキシ当量
JIS K−7236に準じた方法で測定
測定機械;示差走査熱量測定(DSC6200 セイコー電子工業(株))
昇温速度;10℃/min.
パン;Alパン
・エポキシ当量
JIS K−7236に準じた方法で測定
実施例1
温度計、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら、2,3,6−トリメチルフェノール613部、及び4,4’−ビス(クロロメチル)−1,1’−ビフェニル377部、p−トルエンスルホン酸14部を仕込み撹拌下で80℃まで昇温、溶解させた。そのまま4時間撹拌した。撹拌中結晶が析出し始めたがそのまま撹拌を続けた。4時間後、トルエン500部を加えた後、室温まで冷却し、濾過、及び300部のメタノールを用いて洗浄を行った。その後、得られた結晶を75℃に加熱したトルエンとエタノールの混合溶媒に溶解し、これを室温まで冷却することにより再結晶を行い、式(4)で表される本発明のフェノール化合物182部を得た。得られたフェノール化合物の融点は209℃であった。1H−NMRスペクトル((CD3)2SO、300MHz)を図1に示す。
温度計、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら、2,3,6−トリメチルフェノール613部、及び4,4’−ビス(クロロメチル)−1,1’−ビフェニル377部、p−トルエンスルホン酸14部を仕込み撹拌下で80℃まで昇温、溶解させた。そのまま4時間撹拌した。撹拌中結晶が析出し始めたがそのまま撹拌を続けた。4時間後、トルエン500部を加えた後、室温まで冷却し、濾過、及び300部のメタノールを用いて洗浄を行った。その後、得られた結晶を75℃に加熱したトルエンとエタノールの混合溶媒に溶解し、これを室温まで冷却することにより再結晶を行い、式(4)で表される本発明のフェノール化合物182部を得た。得られたフェノール化合物の融点は209℃であった。1H−NMRスペクトル((CD3)2SO、300MHz)を図1に示す。
実施例2
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら、実施例1と同様にして得られたフェノール化合物228部、エピクロルヒドリン925部、ジメチルスルホキシド463部を仕込み撹拌下で50℃まで昇温し、溶解させた。次いでフレーク状水酸化ナトリウム40部を100分かけて分割添加し、その後、更に50℃で2時間、75℃で2時間反応させた。反応終了後、加熱減圧下、ジメチルスルホキシド、および過剰のエピクロルヒドリン等を留去した後、残留物にメチルイソブチルケトンを1000部加えた。スラリー状の混合物をろ過した後、メタノールおよび水で洗浄することによって、本発明のエポキシ樹脂(A)216部を得た。得られたエポキシ樹脂の融点は186℃、エポキシ当量は289g/eqであった。1H−NMRスペクトル(CDCL3、300MHz)を図2に示す。
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら、実施例1と同様にして得られたフェノール化合物228部、エピクロルヒドリン925部、ジメチルスルホキシド463部を仕込み撹拌下で50℃まで昇温し、溶解させた。次いでフレーク状水酸化ナトリウム40部を100分かけて分割添加し、その後、更に50℃で2時間、75℃で2時間反応させた。反応終了後、加熱減圧下、ジメチルスルホキシド、および過剰のエピクロルヒドリン等を留去した後、残留物にメチルイソブチルケトンを1000部加えた。スラリー状の混合物をろ過した後、メタノールおよび水で洗浄することによって、本発明のエポキシ樹脂(A)216部を得た。得られたエポキシ樹脂の融点は186℃、エポキシ当量は289g/eqであった。1H−NMRスペクトル(CDCL3、300MHz)を図2に示す。
実施例3〜4、比較例1〜2
実施例2で得られたエポキシ樹脂(A)、比較用のエポキシ樹脂としてビフェニルノボラック型エポキシ樹脂(B)(NC−3000:日本化薬(株)製)、硬化剤としてフェノールノボラック(軟化点83℃、水酸基当量106g/eq)、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(純正化学(株)製)、無機充填剤として球状シリカ(MSR−2212:龍森(株)製)を用いて表1の「配合物の組成の欄」に示す重量比で配合し、ロールで混練後、175℃、成型圧力70Kg/cm2の条件でスパイラルフローを測定した(実施例3、比較例1)。また、無機充填剤を加えずに表1「配合物の組成の欄」に示す重量比で配合した組成物を180秒間トランスファー成型してその後160℃で2時間、更に180℃で8時間硬化せしめて試験片を作成し、ガラス転移温度(TMA)、吸水率、アイゾッド衝撃試験の項目について以下の条件で試験を実施し表1の「硬化物の物性の欄」に示した(実施例4、比較例2)。
実施例2で得られたエポキシ樹脂(A)、比較用のエポキシ樹脂としてビフェニルノボラック型エポキシ樹脂(B)(NC−3000:日本化薬(株)製)、硬化剤としてフェノールノボラック(軟化点83℃、水酸基当量106g/eq)、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(純正化学(株)製)、無機充填剤として球状シリカ(MSR−2212:龍森(株)製)を用いて表1の「配合物の組成の欄」に示す重量比で配合し、ロールで混練後、175℃、成型圧力70Kg/cm2の条件でスパイラルフローを測定した(実施例3、比較例1)。また、無機充填剤を加えずに表1「配合物の組成の欄」に示す重量比で配合した組成物を180秒間トランスファー成型してその後160℃で2時間、更に180℃で8時間硬化せしめて試験片を作成し、ガラス転移温度(TMA)、吸水率、アイゾッド衝撃試験の項目について以下の条件で試験を実施し表1の「硬化物の物性の欄」に示した(実施例4、比較例2)。
・ガラス転移温度
熱機械測定装置(TMA):真空理工 TM−7000
昇温速度:2℃/min.
・吸水率
試験片:直径5cm×厚み4mmの円盤
100℃の温水中で24時間煮沸した後の重量増加量(重量%)
・アイゾッド衝撃試験
JIS K−7710に準拠して測定
熱機械測定装置(TMA):真空理工 TM−7000
昇温速度:2℃/min.
・吸水率
試験片:直径5cm×厚み4mmの円盤
100℃の温水中で24時間煮沸した後の重量増加量(重量%)
・アイゾッド衝撃試験
JIS K−7710に準拠して測定
このように本発明のエポキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物は、極めて低い粘度(フィラー含有量が83%と比較的高いにも拘わらずスパイラルフローが長いことから判断される)を、また、その硬化物は優れた耐熱性、耐水性、耐衝撃性を示した。
Claims (8)
- 式(1)において、R1〜R3が炭素数1〜4のアルキル基であり、R4が水素原子である請求項1に記載のフェノール化合物。
- 前記式(1)で表される化合物をアルカリ金属水酸化物の存在下、エピハロヒドリンと反応させることにより得られるエポキシ樹脂。
- 請求項4に記載のエポキシ樹脂及び硬化剤を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 硬化促進剤を含有する請求項5に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 無機充填剤を含有する請求項5または6に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項5、6または7のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
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2004
- 2004-04-28 JP JP2004132278A patent/JP2005314499A/ja active Pending
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