JP2006002020A - エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は低粘度で、耐熱性の高い硬化物を与えるエポキシ樹脂及びエポキシ樹脂組成物に関する。
エポキシ樹脂は、加工性、密着性、耐食性等に優れることから電気絶縁材料、接着剤、コーティング材などに広く利用されている。そのような用途に好適なエポキシ樹脂の製造方法の一つとして、低分子量のエポキシ樹脂と2価フェノール類を触媒の存在下で反応させて高分子量のエポキシ樹脂を製造する方法がある。この反応には液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールAの組み合わせが一般的に性能バランスの面から好適に使用されている。
しかしながら、プリント配線板を始めとする電子材料分野やコーティング材の進展により要求性能が高度化しており、耐熱性のみならず加工性の向上すなわち樹脂の低粘度化ということが望まれている。そのような背景の中で、特許文献1には低粘度化のためにエポキシ樹脂の原料に二核体純度の高いビスフェノールFを使用することが記載されている。そして、既に二核体純度の高い低粘度液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を分子蒸留することによって得られる二核体純度の高いビスフェノールF型エポキシ樹脂が実用化されている。ただし、このビスフェノールF型エポキシ樹脂の分子蒸留品は下記式(2)、(4)、(5)
下記式(4)
下記式(5)
で表される二量体成分のみの混合体であることが知られている。(非特許文献1)
分子蒸留された二核体純度の高いビスフェノールF型エポキシ樹脂を用いることは確かに低粘度化には有効であるが、逆に耐熱性を損ねてしまうといった欠点がある。そのため、ガラス転移温度が高く、耐熱性に優れていてなおかつ低粘度であるエポキシ樹脂が望まれている。
本発明者らはこうした実状に鑑み、耐熱性に優れた硬化物を与える低粘度のエポキシ樹脂を求めて鋭意研究した結果、本発明を完成させるに到った。
すなわち本発明は
(1)下記式(1)
(1)下記式(1)
(nは繰り返し数を表し、平均値で0.5〜80の正数を示す。)
で表されるエポキシ樹脂、
(2)nが0.5〜10(平均値)である上記(1)記載のエポキシ樹脂、
(3)nが1〜3(平均値)である上記(1)記載のエポキシ樹脂。
(4)エポキシ当量が200〜1500g/eqである上記(1)記載のエポキシ樹脂、
(5)上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂及び硬化剤並びに必要により硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物、
(6)無機充填剤を含有する上記(5)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物、
(7)上記(5)または(6)記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物、
(8)下記式(2)
で表されるエポキシ樹脂、
(2)nが0.5〜10(平均値)である上記(1)記載のエポキシ樹脂、
(3)nが1〜3(平均値)である上記(1)記載のエポキシ樹脂。
(4)エポキシ当量が200〜1500g/eqである上記(1)記載のエポキシ樹脂、
(5)上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂及び硬化剤並びに必要により硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物、
(6)無機充填剤を含有する上記(5)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物、
(7)上記(5)または(6)記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物、
(8)下記式(2)
で表されるエポキシ樹脂と、下記式(3)
で表されるビスフェノール化合物を触媒の存在下で加熱重合させることを特徴とする上記(1)エポキシ樹脂の製造法
に関する。
に関する。
本発明のエポキシ樹脂は低粘度であるため、加工性に優れ、複雑微細な形状の電気・電子部品に適用可能であり、更に耐熱性に優れるため高度な信頼性を要求される分野にも適している。
本発明のエポキシ樹脂は、前記式(2)で表されるエポキシ樹脂と、前記式(3)で表されるビスフェノール化合物を触媒の存在下で加熱重合させることによって得られる。この他、式(3)のビスフェノール化合物とエピクロルヒドリン(水酸基1モルに対し0.5〜1.5モル)をアルカリ金属水酸化物の存在下に反応させる方法等もある。
前記式(2)で表されるエポキシ樹脂は、前記式(3)で表されるビスフェノール化合物とエピハロヒドリンとをアルカリ金属水酸化物の存在下で反応させることにより得られる。
式(3)のビスフェノール化合物は融点が163℃の結晶であり、市販品が購入できる。市販品としてはp,p’−BPF(本州化学株式会社製、式(3)の化合物の純度>99%)が挙げられる。
式(2)の化合物を得る反応においてエピハロヒドリンとしてはエピクロルヒドリンやエピブロムヒドリンを用いることが出来る。エピハロヒドリンの量は式(3)で表される化合物の水酸基1モルに対し通常2〜15モル、好ましくは3〜12モルである。
アルカリ金属水酸化物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ固体でも、その水溶液を使用しても良く、水溶液を使用する場合は連続的に反応系内に添加すると同時に減圧下、または常圧下水及びエピハロヒドリンを留出させ更に分液し、水は除去しエピハロヒドリンは反応系内に連続的に戻す方法でもよい。アルカリ金属水酸化物の使用量は式(3)の化合物の水酸基1モルに対して通常0.9〜1.2モル、好ましくは0.95〜1.15モルである。反応温度は通常20〜110℃、好ましくは25〜100℃である。反応時間は通常0.5〜15時間、好ましくは1〜10時間である。
反応系にメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、或いはジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどの非プロトン性極性溶媒を添加することは反応を促進させる上で好ましい。
アルコール類を使用する場合、その使用量はエハロルヒドリンの重量に対し通常3〜30重量%、好ましくは5〜20重量%である。非プロトン性極性溶媒を使用する場合、その使用量はエピハロヒドリンの重量に対して通常10〜150重量%、好ましくは15〜120重量%である。
また、エピハロヒドリンと式(3)の化合物との混合物にテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム塩を触媒として添加し30〜110℃で0.5〜8時間反応させて得られる式(3)の化合物のハロヒドリンエーテル化物にアルカリ金属水酸化物の固体または水溶液を加え20〜100℃で1〜10時間反応させ脱ハロゲン化水素(閉環)させる方法でもよい。
これらのエポキシ化反応の反応物を水洗後、或いは水洗無しに加熱減圧下で過剰のエピハロヒドリン及び溶剤などを除去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、回収したエポキシ樹脂をトルエン、メチルイソブチルケトンなどに溶解させ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて閉環を確実にすることも出来る。この場合、アルカリ金属水酸化物の使用量は式(3)の化合物の水酸基1モルに対して通常0.01〜0.3モル、好ましくは0.05〜0.2モルである。反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜2時間である。
反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し加熱減圧下で溶剤を除去することにより本発明で用いる式(2)で表されるエポキシ樹脂が得られる。
本発明のエポキシ樹脂は、前記において得られた式(2)で表されるエポキシ樹脂と前記式(3)のビスフェノール化合物を触媒の存在下で加熱重合させることによって得られる。
この場合の、式(2)で表されるエポキシ樹脂と式(3)で表されるビスフェノール化合物の配合比率は、特に限定されるものではなく目的の分子量を得るために任意に設定することが出来るが、エポキシ基:フェノール性水酸基の当量比として、9〜1:1とするのが好ましい。
使用される触媒は、エポキシ基とフェノール性水酸基との反応を進めるような触媒機能を有する化合物であればどのようなものでもよい。例えば、アルカリ金属化合物、有機リン化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩、イミダゾール類等が挙げられる。アルカリ金属化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化リチウム、水酸化リチウム、メトキシナトリウム、水素化ナトリウム等が挙げられる。有機リン化合物の具体例としては、トリフェニルホスフィン、テトラメチルホスホニウムブロマイド、テトラメチルホスホニウムアイオダイド、テトラエチルホスホニウムブロマイド、テトラエチルホスホニウムアイオダイド、トリフェニルエチルホスホニウムアイオダイド、トリフェニルエチルホスホニウムブロマイド、トリフェニルエチルホスホニウムクロライド等が挙げられる。
第3級アミンの具体例としては、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリエタノールアミン、ベンジルジメチルアミン等が挙げられる。第4級アンモニウム塩の具体例としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハイドロオキサイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド等が挙げられる。イミダゾール類の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等が挙げられる。これらの触媒は併用することができる。通常、触媒量は式(2)と式(3)の化合物の合計重量に対し、中0.001〜10重量%、好ましくは0.002〜1重量%未満である。
反応条件は、通常50〜230℃、好ましくは100〜200℃ある。50℃未満では付加重合反応は著しく遅く、十分に高分子量化しなくなるし、230℃超では副反応が多くなり好ましくない。
反応は、無溶剤で実施することもできるが、分子量のより大きい式(1)のエポキシ樹脂の製造には、溶媒中で実施することが好ましい。使用する溶媒としては、原料となる式(2)のエポキシ樹脂と式(3)のビスフェノール化合物を溶解するものであればどのようなものでもよい。例えば、芳香族系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、グリコールエーテル系溶媒等が挙げられる。芳香族系溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。ケトン系溶媒の具体例としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
アミド系溶媒の具体例としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。グリコールエーテル系溶媒の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。これらの溶媒は2種以上を併用することができる。溶媒の使用量は、反応混合物の固形分濃度が50〜98重量%となる量が好ましい。
反応終了後、必要に応じて、添加した触媒を濾過、水洗などにより除去し、加熱減圧下で溶剤を除去することにより本発明のエポキシ樹脂が得られる。
本発明のエポキシ樹脂は式(1)で表され、その繰り返し数nは通常0.5〜80(平均値)、好ましくは、0.5〜10(平均値)、特に好ましくは1〜3(平均値)である。なお、nの値はJIS K−7236に記載の方法により測定したエポキシ当量より計算で求めることができる。また、本発明のエポキシ樹脂のエポキシ当量は200〜1500g/eqが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂は式(1)で表され、その繰り返し数nは通常0.5〜80(平均値)、好ましくは、0.5〜10(平均値)、特に好ましくは1〜3(平均値)である。なお、nの値はJIS K−7236に記載の方法により測定したエポキシ当量より計算で求めることができる。また、本発明のエポキシ樹脂のエポキシ当量は200〜1500g/eqが好ましい。
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物について説明する。本発明のエポキシ樹脂組成物において、本発明のエポキシ樹脂は単独でまたは他のエポキシ樹脂と併用して使用することができる。併用する場合、本発明のエポキシ樹脂の全エポキシ樹脂中に占める割合は30重量%以上が好ましく、特に40重量%以上が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂と併用されうる他のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、ジシクロペンタジエン、キシリレンクロライド、ビスメトキシメチルビフェニル、ビスクロロメチルビフェニル等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類から誘導されるグリシジルエーテル化物、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等の固形または液状エポキシ樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物に含有される硬化剤の例としては、フェノール系化合物の他にアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。用い得る硬化剤の具体例としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、トリフェノールメタン型樹脂、フェニレンまたはビフェニレン骨格を含むフェノールアラルキル樹脂、ナフトール・クレゾール共重合型樹脂、およびこれらの変性物、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、有機酸ヒドラジド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、イミダゾ−ル、BF3−アミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.7〜1.2当量が好ましい。エポキシ基1当量に対して、0.7当量に満たない場合、あるいは1.2当量を超える場合、いずれも硬化が不完全となり良好な硬化物性が得られない恐れがある。
また本発明のエポキシ樹脂組成物においては硬化促進剤を使用しても差し支えない。用い得る硬化促進剤の具体例としては例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチレンジアミン、トリエタノールアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機ホスフィン類、オクチル酸スズなどの金属化合物、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。硬化促進剤はエポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重量部が必要に応じ用いられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は必要により無機充填剤を含有しうる。用いうる無機充填剤の具体例としては結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、タルク等の粉体またはこれらを球形化したビーズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。無機充填剤は本発明のエポキシ樹脂組成物中において0〜90重量%を占める量が用いられる。更に本発明のエポキシ樹脂組成物には、シランカップリング剤、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の離型剤、顔料等の種々の配合剤を添加することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は必要により既知の熱硬化性樹脂、または熱可塑性樹脂を含有しうる。具体例としてはビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、マレイミド樹脂、ポリシアナート樹脂、イソシアナート化合物、ベンゾオキサジン化合物、ビニルベンジルエーテル化合物、ポリブタジエンおよびこの変性物、アクリロニトリル共重合体の変性物、インデン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリエチレン、ジシクロペンタジエン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂、または熱可塑性樹脂は本発明のエポキシ樹脂組成物中において0〜90重量%を占める量が用いられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、各成分を均一に混合することにより得られる。本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物とすることが出来る。例えば本発明のエポキシ樹脂と硬化剤ならびに必要により硬化促進剤、無機充填剤、配合剤、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂とを必要に応じて押出機、ニーダ、ロールなどを用いて均一になるまで十分に混合してエポキシ樹脂組成物を得、そのエポキシ樹脂組成物を溶融後注型あるいはトランスファー成型機などを用いて成型し、更に80〜200℃で2〜10時間加熱することにより硬化物を得ることが出来る。
また本発明のエポキシ樹脂組成物をトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解させ、ガラス繊維、カ−ボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱半乾燥して得たプリプレグを熱プレス成型して硬化物を得ることもできる。この際の溶剤は、本発明のエポキシ樹脂組成物と該溶剤の混合物中で通常10〜70重量%、好ましくは15〜70重量%を占める量を用いる。
また本発明のエポキシ樹脂組成物を溶解可能な溶剤に、固形分濃度が10〜70重量%の範囲になるように調整し、金属基材にスプレーやロールコート等の公知の方法により塗布後、加熱することで焼き付けたり、フィルム又はシートとして利用可能な各種高分子基材に公知の方法により塗布後、加熱することでフィルム状の膜を形成したりすることもできる。この場合の基材の材質としては、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、エポキシ系樹脂、他官能アクリレート樹脂、フェノキシ樹脂などが挙げられる。
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、以下において部は特に断わりのない限り重量部である。なお各種特性値の測定は以下の条件で測定した。
・エポキシ当量
JIS K−7236に記載の方法で測定
・軟化点の測定
JIS K−7234に記載の方穂で測定
・溶融粘度
150℃におけるコーンプレート法における溶融粘度
測定機械:コーンプレート(ICI)高温粘度計
(RESEARCH EQUIPMENT(LONDON)LTD.製)
コーンNo.:3(測定範囲0〜2.00Pa・s)
JIS K−7236に記載の方法で測定
・軟化点の測定
JIS K−7234に記載の方穂で測定
・溶融粘度
150℃におけるコーンプレート法における溶融粘度
測定機械:コーンプレート(ICI)高温粘度計
(RESEARCH EQUIPMENT(LONDON)LTD.製)
コーンNo.:3(測定範囲0〜2.00Pa・s)
合成例1
温度計、冷却管、分留管、撹拌機を取り付けたフラスコに窒素パージを施しながら、前記式(3)で表されるフェノール系化合物(商品名p,p’−BPF 本州化学株式会社製)100部に対しエピクロルヒドリン463部、メタノール40部を仕込み撹拌下で70℃まで昇温し、完全に溶解せしめた後、フレーク状水酸化ナトリウム40.4部を100分かけて分割添加した。その後、更に70℃で1時間反応を行った。次いで水を150部加えて水洗を行い、油層から過剰のエピクロルヒドリンなどを除去した。残留分にメチルイソブチルケトン312部を加えて溶解し、70℃で30重量%水酸化ナトリウム水溶液10部を加えて1時間反応を行った。反応後、水洗を3回行い生成塩などを除去した。
加熱減圧下でメチルイソブチルケトンを留去し、前記式(2)で表されるエポキシ樹脂(A)153部を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は170g/eqであった。
温度計、冷却管、分留管、撹拌機を取り付けたフラスコに窒素パージを施しながら、前記式(3)で表されるフェノール系化合物(商品名p,p’−BPF 本州化学株式会社製)100部に対しエピクロルヒドリン463部、メタノール40部を仕込み撹拌下で70℃まで昇温し、完全に溶解せしめた後、フレーク状水酸化ナトリウム40.4部を100分かけて分割添加した。その後、更に70℃で1時間反応を行った。次いで水を150部加えて水洗を行い、油層から過剰のエピクロルヒドリンなどを除去した。残留分にメチルイソブチルケトン312部を加えて溶解し、70℃で30重量%水酸化ナトリウム水溶液10部を加えて1時間反応を行った。反応後、水洗を3回行い生成塩などを除去した。
加熱減圧下でメチルイソブチルケトンを留去し、前記式(2)で表されるエポキシ樹脂(A)153部を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は170g/eqであった。
実施例1
温度計、冷却管、分留管、撹拌機を取り付けたフラスコに窒素パージを施しながら、合成例1で得られたエポキシ樹脂(A)492部と前記式(3)で表されるフェノール系化合物(商品名p,p’−BPF 本州化学株式会社製)150部、シクロペンタノン150部、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド2部を仕込み、撹拌下で130℃まで昇温し、同温度で5時間反応を行った。反応終了後、シクロペンタノン1134部、メチルエチルケトン1000部で希釈し、水洗を3回行い触媒などを除去した。次いで加熱減圧下でシクロペンタノン、メチルエチルケトンを留去し、前記式(1)においてnが2.3で表される本発明のエポキシ樹脂(B)618部を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は451g/eq、軟化点は53℃、溶融粘度(ICI、150℃)は0.20Pa・sであった。
温度計、冷却管、分留管、撹拌機を取り付けたフラスコに窒素パージを施しながら、合成例1で得られたエポキシ樹脂(A)492部と前記式(3)で表されるフェノール系化合物(商品名p,p’−BPF 本州化学株式会社製)150部、シクロペンタノン150部、触媒としてテトラメチルアンモニウムクロライド2部を仕込み、撹拌下で130℃まで昇温し、同温度で5時間反応を行った。反応終了後、シクロペンタノン1134部、メチルエチルケトン1000部で希釈し、水洗を3回行い触媒などを除去した。次いで加熱減圧下でシクロペンタノン、メチルエチルケトンを留去し、前記式(1)においてnが2.3で表される本発明のエポキシ樹脂(B)618部を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は451g/eq、軟化点は53℃、溶融粘度(ICI、150℃)は0.20Pa・sであった。
実施例2、比較例1
実施例1で得られたエポキシ樹脂(B)、比較例1として市販の固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート1001(ジャパンエポキシレジン株式会社製、軟化点66℃、溶融粘度(ICI、150℃)0.27Pa・s)を用いてエポキシ樹脂組成物を調製した。すなわち、これらエポキシ樹脂1エポキシ当量に対して硬化剤(フェノールノボラック樹脂(日本化薬(株)製、PN−80、150℃におけるICI粘度1.5ps、軟化点83℃、水酸基当量106g/eq)を1水酸基当量配合し、更に硬化促進剤(トリフェニルホスフィン)をエポキシ樹脂100重量部あたり1重量配合し、トランスファー成型により樹脂成形体を調製し、160℃で2時間、更に180℃で6時間かけて硬化させた。エポキシ樹脂組成物の具体的な配合割合を表1の「エポキシ樹脂組成物の組成」の欄(数値は「部」)に示す。
実施例1で得られたエポキシ樹脂(B)、比較例1として市販の固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート1001(ジャパンエポキシレジン株式会社製、軟化点66℃、溶融粘度(ICI、150℃)0.27Pa・s)を用いてエポキシ樹脂組成物を調製した。すなわち、これらエポキシ樹脂1エポキシ当量に対して硬化剤(フェノールノボラック樹脂(日本化薬(株)製、PN−80、150℃におけるICI粘度1.5ps、軟化点83℃、水酸基当量106g/eq)を1水酸基当量配合し、更に硬化促進剤(トリフェニルホスフィン)をエポキシ樹脂100重量部あたり1重量配合し、トランスファー成型により樹脂成形体を調製し、160℃で2時間、更に180℃で6時間かけて硬化させた。エポキシ樹脂組成物の具体的な配合割合を表1の「エポキシ樹脂組成物の組成」の欄(数値は「部」)に示す。
このようにして得られた硬化物の物性を測定した結果を表1の「硬化物の物性」の欄に示す。尚、物性値の測定は以下の方法で行った。
・ガラス転移温度(TMA)
真空理工(株)製 TM−7000(昇温速度 2℃/min.)
・ガラス転移温度(TMA)
真空理工(株)製 TM−7000(昇温速度 2℃/min.)
表1
実施例2 比較例1
エポキシ樹脂組成物の組成
エポキシ樹脂(B) 100
エピコート1001 100
PN−80 24 22
トリフェニルホスフィン 1 1
硬化物の物性
ガラス転移温度(℃) 127 122
実施例2 比較例1
エポキシ樹脂組成物の組成
エポキシ樹脂(B) 100
エピコート1001 100
PN−80 24 22
トリフェニルホスフィン 1 1
硬化物の物性
ガラス転移温度(℃) 127 122
表1より本発明の硬化物は、ガラス転移点が高いことから優れた耐熱性を得ることが出来る。
Claims (8)
- nが0.5〜10(平均値)である請求項1記載のエポキシ樹脂。
- nが1〜3(平均値)である請求項1記載のエポキシ樹脂。
- エポキシ当量が200〜1500g/eqである請求項1記載のエポキシ樹脂。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂及び硬化剤並びに必要により硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物。
- 無機充填剤を含有する請求項5記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項5または6記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
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