JP2001261790A - エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物及び半導体装置

Info

Publication number
JP2001261790A
JP2001261790A JP2000077927A JP2000077927A JP2001261790A JP 2001261790 A JP2001261790 A JP 2001261790A JP 2000077927 A JP2000077927 A JP 2000077927A JP 2000077927 A JP2000077927 A JP 2000077927A JP 2001261790 A JP2001261790 A JP 2001261790A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
epoxy resin
phenol
weight
resin composition
bisphenol
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000077927A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoji Kuroda
洋史 黒田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Bakelite Co Ltd filed Critical Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority to JP2000077927A priority Critical patent/JP2001261790A/ja
Publication of JP2001261790A publication Critical patent/JP2001261790A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Epoxy Resins (AREA)
  • Structures Or Materials For Encapsulating Or Coating Semiconductor Devices Or Solid State Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 常温保存性、速硬化性及び耐半田クラック性
に優れた半導体封止用エオイキシ樹脂組成物の提供。 【解決手段】 (A)ビスフェノールF類(a)と、結
晶性エポキシ樹脂の前駆体であるフェノール類(b)と
の混合物をグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂、
(B)変性ノボラック型フェノール樹脂、(C)無機充
填剤、(D)テトラ置換ホスホニウム(X)と1分子内
にフェノール性水酸基を2個以上含有する化合物(Y)
及び(Y)の共役塩基との分子会合体(M)であって、
ホスホニウム−フェノキシド型の塩を構造中に有する硬
化促進剤、を必須成分とする、半導体封止用エポキシ樹
脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機充填材の高充
填化技術による優れた耐半田クラック性を有し、かつ常
温保存性、速硬化性に優れる半導体封止用エポキシ樹脂
組成物及びこれを用いた半導体装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来よりダイオード、トランジスタ、I
C、LSI等の半導体部品を、外的刺激(機械的・熱的
衝撃、化学的作用等)から保護するためには、生産性や
コストの点を考慮してエポキシ樹脂組成物で封入成形す
るのが一般的になっている。一方近年の半導体の集積度
向上とそれに伴う半導体の寸法の増大とは相反して、最
近の電子機器の小型化による半導体装置の寸法の小型化
・薄型化が求められ、かつプリント回路基板への実装方
法も従来のピン挿入型から表面実装型へ移行してきたた
め、表面実装の半田処理時の熱衝撃による半導体装置の
クラックや、チップ・リードフレームと樹脂組成物の硬
化物との界面での剥離といった問題が生じ易くなり、耐
熱性に優れたエポキシ樹脂組成物が強く求められてい
る。これらのクラックや剥離は、半田処理前の半導体装
置自体が吸湿し、半田処理時の高温下でその水分が水蒸
気爆発を起こすことによって生じると考えられており、
それを防ぐためにエポキシ樹脂組成物に低吸湿性を付与
する等の手法がよく用いられ、その低吸湿化の手法の一
つとして低粘度の結晶性エポキシ樹脂を用いて無機充填
材を高充填化し、樹脂成分の含有量を減少させる技術が
ある。従来、このような手法に用いられるエポキシ樹脂
としては、ビフェニル型エポキシ樹脂があり、無機充填
材の高充填化樹脂組成物によく使用されるものである。
しかしながら、ビフェニル型エポキシ樹脂といえども、
充填材をエポキシ樹脂組成物において90重量%以上導
入することは製造上、簡単ではなく、それを実現するた
めにはより高度な生産技術を必要とすることが多く、又
生産コストが高くなることにもなっている。
【0003】更に低粘度の樹脂としては、ビスフェノー
ル型のエポキシ樹脂があるが、常温で液状のため取り扱
い作業性に劣り、かつこれらの樹脂は低分子であるがゆ
え、反応性が高く、常温でのエポキシ樹脂組成物の保存
性が悪いため半導体封止用材料への適用には難点があ
る。又エポキシ樹脂組成物、特に硬化促進剤に要求され
る特性に常温での保存性と速硬化性がある。従来からエ
ポキシ樹脂組成物に用いられている硬化促進剤として、
2−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ
(5,4,0)ウンデセン−7、トリフェニルホスフィ
ン等があるが、これらの硬化促進剤は比較的低温でも硬
化促進作用を示すため、これらを用いたエポキシ樹脂組
成物は常温での保存性が不十分であり、常温で保存する
と成形時の流動性の低下から充填不良が発生したり、半
導体素子の金ワイヤーが断線し導通不良が発生する等の
問題点が生じる。このためエポキシ樹脂組成物は、冷蔵
保存及び冷蔵輸送する必要があり、保存、輸送に多大な
コストがかかっているのが現状である。更に生産効率の
向上の手段の一つとして成形時間を短くすることが挙げ
られるが、このためには成形時の速硬化性が要求され
る。従来から用いられている前記の硬化促進剤では、成
形時の速硬化性を示すのに十分な量を添加するとエポキ
シ樹脂組成物の常温での保存性が極端に低下するという
問題点がある。
【0004】この問題を解決すべく、近年では低温での
粘度、流動性の経時変化を抑え、成形時の加熱によって
のみ硬化反応を起こすような、いわゆる潜伏性硬化促進
剤の研究が盛んになされている。その手段として、硬化
促進剤の活性点をイオン対により保護することで、潜伏
性を発現する研究がなされており、特開平8−4129
0号公報では種々の有機酸とホスホニウムイオンとの塩
構造を有する潜伏性硬化促進剤が開示されている。しか
し、このホスホニウム塩は特定の高次の分子構造を有さ
ず、イオン対が比較的容易に外部環境の影響を受けるた
め、前述した低分子エポキシ樹脂等を用いる半導体封止
材料では、保存性が低下する問題が生じている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、常温で固形
の超低溶融粘度エポキシ樹脂を用いて、従来以上の無機
充填材の高充填化により低吸湿化をはかり、又特定のフ
ェノール樹脂との組み合わせによって、更なる低吸湿化
を実現し、かつ特定の硬化促進剤を用いることによって
常温での保存性、速硬化性、及び耐湿信頼性に優れた半
導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いた半導
体装置を提供するのものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)一般式
(1)で示されるビスフェノールF類(a)と結晶性エ
ポキシ樹脂の前駆体であるフェノール類(b)との混合
物をグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂、(B)フ
ェノール(c)と一般式(2)で示されるクレゾール類
(d)とをアルデヒドを介在して縮合した変性ノボラッ
ク型フェノール樹脂、(C)無機充填材、及び(D)テ
トラ置換ホスホニウム(X)と1分子内にフェノール性
水酸基を2個以上有する化合物(Y)及び1分子内にフ
ェノール性水酸基を2個以上有する化合物(Y)の共役
塩基との分子会合体(M)であって、該共役塩基が前記
フェノール性水酸基を2個以上有する化合物(Y)から
1個の水素を除いたフェノキシド型化合物からなる硬化
促進剤を必須成分とし、(a)と(b)との重量比(a
/b)が0.1〜19で、変性ノボラック型フェノール
樹脂中の(c)と(d)とのモル比(c/d)が0.1
〜19であり、全エポキシ樹脂のエポキシ基に対する全
フェノール樹脂のフェノール性水酸基の当量比が0.5
〜2.0であり、無機充填材(C)の含有量が全エポキ
シ樹脂(A)と全フェノール樹脂(B)の合計量100
重量部当たり200〜2400重量部であり、硬化促進
剤(D)の含有量が全エポキシ樹脂と全フェノール樹脂
の合計量100重量部当たり0.4〜20重量部である
ことを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び
これを用いて半導体素子を封止してなることを特徴とす
る半導体装置である。
【化5】 (R1は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、それらは
互いに同一であっても異なってもよい。mは0〜4の整
数。 )
【0007】
【化6】
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のエポキシ樹脂は、低粘度
・低分子量のビスフェノールF類(a)と結晶性エポキ
シ樹脂の前駆体であるフェノール類(b)との重量比
(a/b)を0.1〜19とした混合物(以下、混合フ
ェノールという)をグリシジルエーテル化した樹脂で、
ビスフェノールF型エポキシ樹脂に由来する低粘度化が
図られており、従来のビフェニル型エポキシ樹脂より、
更に加熱時の溶融粘度の低い樹脂となるため、ビフェニ
ル型エポキシ樹脂を主として用いた樹脂組成物よりも流
動性が向上し、無機充填材をより高充填化することがで
き、ひいてはエポキシ樹脂組成物の低吸湿化が可能とな
るため、耐半田クラック性の向上に寄与する。又高い結
晶性を有するエポキシ樹脂の前駆体であるビフェノール
類と共にグリシジルエーテル化させることによって、常
温で固体として取り扱うことができるようになり、ビス
フェノール型エポキシ樹脂の低い作業性を改善すること
ができる。又フェノールとクレゾール類の共縮合からな
る分子量を制御した低粘度変性ノボラック型フェノール
樹脂を硬化剤として用いることにより、更なる無機充填
材の高充填化による低吸湿化が図れる。更に特定の潜伏
性触媒を用いることにより、低粘度樹脂を用いたエポキ
シ樹脂組成物の問題点であった常温時の保存性も改善す
ることができる。
【0009】一般式(1)で示されるビスフェノールF
類(a)としては、分子量、粘度を制限するものはない
が、できるだけ低分子量であることが望ましく、より好
ましいのは一般式(1)において無置換で、2つの水酸
基がp−配向である4、4’−ジヒドロキシビスフェノ
ールである。これにより低粘度化への寄与が大きくな
り、かつ無置換ゆえにグリシジルエーテル化した場合、
高い反応性を有するエポキシ樹脂を得ることができる。
結晶性エポキシ樹脂の前駆体であるフェノール類(b)
としては、例えば、一般式(3)のビフェニル型フェノ
ール類、一般式(4)のスチルベン型フェノール類等が
挙げられる。
【化7】 (R2は、炭素数1〜6のアルキル基で、それらは互い
に同一であっても異なっていてもよい。mは0〜4の整
数。)
【0010】
【化8】 (R3は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基で、それ
らは互いに同一であっても異なっていてもよい。R4
炭素数1〜6のアルキル基で、それらは互いに同一であ
っても異なっていてもよい。mは0〜4の整数。)
【0011】一般式(3)のビフェニル型フェノール類
としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニ
ル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テ
トラメチルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,
3’−ジターシャリブチル−6,6’−ジメチルビフェ
ニル、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジターシャ
リブチル−6,6’−ジメチルビフェニル、4,4’−
ジヒドロキシ−3,3’−ジターシャリブチル−5,
5’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−
3,3’,5,5’−テトラターシャリブチルビフェニ
ル等(置換位置の異なる異性体を含む)が挙げられる。
【0012】一般式(4)のスチルベン型フェノール類
としては、例えば、3−ターシャリブチル−4,4’−
ジヒドロキシ−5,3’−ジメチルスチルベン、3−タ
ーシャリブチル−4,4’−ジヒドロキシ−3’,6−
ジメチルスチルベン、3−ターシャリブチル−2,4’
−ジヒドロキシ−3’,5’,6−トリメチルスチルベ
ン、3−ターシャリブチル−4,4’−ジヒドロキシ−
3’,5’,6−トリメチルスチルベン、3−ターシャ
リブチル−4,4’−ジヒドロキシ−3’,5,5’−
トリメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,
3’−ジメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−
3,3’,5,5’−テトラメチルスチルベン、4,
4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジターシャリブチルス
チルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジター
シャリブチル−6,6’−ジメチルスチルベン、2,
2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジターシャリブチル−
6,6’−ジメチルスチルベン、2,4’−ジヒドロキ
シ−3,3’−ジターシャリブチル−6,6’−ジメチ
ルスチルベン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’,
5,5’−テトラメチルスチルベン、4,4’−ジヒド
ロキシ−3,3’−ジターシャリブチル−5,5’−ジ
メチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,
3’,5,5’−テトラターシャリブチルスチルベン等
(置換位置の異なる異性体を含む)が挙げられる。
【0013】これらの内では、入手のし易さ、性能、原
料価格等の点から、4,4’−ジヒドロキシビフェニ
ル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テ
トラメチルビフェニル、(以上2種のフェノール類を、
以下a群という)、3−ターシャリブチル−2,4’−
ジヒドロキシ−3’,5’,6−トリメチルスチルベ
ン、3−ターシャリブチル−4,4’−ジヒドロキシ−
3’,5’,6−トリメチルスチルベン、3−ターシャ
リブチル−4,4’−ジヒドロキシ−3’,5,5’−
トリメチルスチルベン(以上3種のフェノール類を、以
下b群という)、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,
5,5’−テトラメチルスチルベン、4,4’−ジヒド
ロキシ−3,3’−ジターシャリブチル−6,6’−ジ
メチルスチルベン、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’
−ジターシャリブチル−6,6’−ジメチルスチルベ
ン、2,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジターシャリ
ブチル−6,6’−ジメチルスチルベン、2,2’−ジ
ヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルスチル
ベン、又は4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジター
シャリブチル−5,5’−ジメチルスチルベン(以上6
種のフェノール類を、以下c群という)から選択される
1種以上が好ましい。特にビフェニル型フェノール類で
は、低粘度化効果が大きく、かつ反応性に富む4,4’
−ジヒドロキシビフェニルが含まれていることが好まし
い。又スチルベン型フェノール類では、b群、c群それ
ぞれ単独ではその結晶性の高さから融点が高くなる傾向
にあるが、それぞれから選択される1種以上の混合物に
することにより、グリシジルエーテル化物の融点を低下
させる効果があるので混合物にすることが好ましい。こ
れらの混合比、混合方法は限定しない。
【0014】一般式(1)で示されるビスフェノールF
類(a)と結晶性エポキシ樹脂の前駆体であるフェノー
ル類(b)との混合方法は特に限定しないが、溶剤によ
る溶解や加熱による溶融混合等の方法により、均一に混
合することが好ましい。これは、不均一に混合されたも
のをグリシジルエーテル化しても、それぞれ単独にグリ
シジルエーテル化したものの混合物と同様の性状となる
ため、目的とする低粘度化や常温での固形化が図れない
ためである。一般式(1)で示されるビスフェノールF
類(a)と結晶性エポキシ樹脂の前駆体であるフェノー
ル類(b)との混合比は、重量比(a/b)で0.1〜
19が好ましく、より好ましくは0.5〜9である。
0.1未満だと、一般式(1)で示されるビスフェノー
ルF類に由来する低粘度化効果が薄いため好ましくな
い。又19を越えると、結晶性エポキシ樹脂成分を混合
したことによる作業性の向上が認められないので好まし
くない。
【0015】本発明のエポキシ樹脂の合成方法について
は特に限定しないが、例えば、混合フェノールを過剰の
エピクロルヒドリンに溶解した後、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の存在下で5
0〜150℃、好ましくは60〜120℃で1〜10時
間反応させる方法が挙げられる。反応終了後、過剰のエ
ピクロルヒドリンを留去し、残留物をトルエン、メチル
イソブチルケトン等の溶剤に溶解し、濾過し、水洗して
無機塩を除去し、次いで溶剤を留去することにより目的
のエポキシ樹脂を得ることができる。生成したエポキシ
樹脂の塩素イオン、ナトリウムイオン、その他フリーの
イオンは極力少ないことが望ましい。本発明のエポキシ
樹脂の結晶性エポキシ樹脂に由来する融点としては、7
0〜150℃が好ましく、特に、90〜140℃が好ま
しい。70℃未満だと、常温で固結し易くなり、作業性
やこれを用いたエポキシ樹脂組成物の常温保存性の低下
が見られるため好ましくない。150℃を越えると、加
熱混練の際に樹脂が十分に溶融されず不均一な樹脂組成
物となり、樹脂組成物の硬化物の物性にバラツキが生ず
るおそれがあるため、好ましくない。本発明でのエポキ
シ樹脂の融点は、示差走査熱量計(セイコー電子工業
(株)・製)で測定し、エポキシ樹脂10mg前後を精
秤し、昇温速度5℃/分で測定した吸熱ピークの温度と
した。
【0016】本発明に用いるエポキシ樹脂の融解熱量と
しては、3〜40mJ/mgが好ましい。3mJ/mg
未満だと、エポキシ樹脂はビスフェノールF類のような
挙動を示し、作業性が著しく低下するので好ましくな
い。40mJ/mgを越えると、加熱混練の際にエポキ
シ樹脂が十分に溶融されず不均一な樹脂組成物となり、
樹脂組成物の硬化物の物性にバラツキが生ずるおそれが
あるため好ましくない。本発明での融解熱量とは、示差
走査熱量計(セイコー電子工業(株)・製)を用い、エ
ポキシ樹脂10mg前後を精秤し、昇温速度5℃/分で
測定した吸熱ピークの熱量を言う。本発明に用いるエポ
キシ樹脂の重量平均分子量としては、1000以下が好
ましく、更に好ましくは500以下である。これは重量
平均分子量を1000以下にすることにより加熱溶融時
の粘度が低くく抑えられ、目的とする無機充填材の高充
填化が図れることによる。本発明での重量平均分子量
は、一般的なGPC(Gel Permeation Chromatograph
y)法によりポリスチレン換算して求めた値である。具
体的には、東ソー(株)・製GPCカラム(G1000
H×L:1本、G2000×L:2本、G3000×
L:1本)を用い、流量1.0ml/分、溶出溶媒とし
てテトラヒドロフラン、カラム温度40℃の条件で示差
屈折計を検出器に用いてGPC測定しポリスチレン換算
して求めた。
【0017】本発明のエポキシ樹脂は、その特性が損な
われない範囲で他のエポキシ樹脂と併用できる。併用で
きるエポキシ樹脂としては、例えば、クレゾールノボラ
ック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹
脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エ
ポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェノー
ルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フ
ェノール型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは単独で
も混合して用いてもよい。又常温で液状のエポキシ樹脂
や高軟化点のエポキシ樹脂を作業性や流動性の問題ない
範囲で併用することもできる。併用する場合には、一般
式(1)で示されるビスフェノールF類(a)と結晶性
エポキシ樹脂の前駆体であるフェノール類(b)との混
合物をグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂が全エポ
キシ樹脂中に50重量%以上含まれることが好ましい。
50重量%未満だと本発明のエポキシ樹脂の効果が充分
に発揮されないおそれがあるので好ましくない。
【0018】本発明で用いるフェノール(c)と一般式
(2)で示されるクレゾール類(d)とをアルデヒドを
介在して縮合した変性ノボラック型フェノール樹脂は、
フェノール樹脂の良好な硬化性とクレゾール樹脂の低吸
湿性を有している。変性ノボラック型フェノール樹脂中
の(c)と(d)とのモル比(c/d)は、0.1〜1
9である必要があり、好ましくは0.1〜9である。こ
れはフェノール(c)の比率が高くなると硬化性や強度
は向上するものの、耐吸湿性が低化し、クレゾール類
(d)の比率が高くなると耐吸湿性は向上するものの、
硬化性や強度が低下するためである。一般式(2)のク
レゾール類としては、オルソクレゾール、パラクレゾー
ル、及びメタクレゾール等の3種の異性体があり2種以
上を併用してもよいが工業製品としての入手の容易さか
らオルソクレゾールもしくは3種の混合物を使用するこ
とが好ましい。合成に用いるアルデヒド源としては特に
限定しないが、ホルムアルデヒドあるいはパラホルムア
ルデヒドが工業的に大量生産され安価である点で好まし
い。
【0019】本発明で用いる変性ノボラック型フェノー
ル樹脂は、例えば、オルソクレゾール類とホルムアルデ
ヒド(ホルマリン)を酸触媒の存在下で反応させた後、
フェノールとホルムアルデヒド(ホルマリン)を添加し
て縮合反応を行うとか、オルソクレゾール類とフェノー
ルにホルムアルデヒドを添加して酸触媒の存在下で縮合
反応を行い、未反応物を除去して固形樹脂とする製造方
法等があるが、変性ノホラック型フェノール樹脂中のモ
ル比(フェノール(c)/クレゾール類(d))が0.
1〜19ならば、特に限定されるものではない。変性ノ
ボラック型フェノール樹脂中のモル比(c/d)は、1
H−NMR(日本電子(株)・製、JNM−EX90)
によりフェノール含有率及びクレゾール類含有率を測定
して求めた。本発明の変性ノボラック型フェノール樹脂
の重量平均分子量は、2000以下が好ましい。これは
重量平均分子量を2000以下にすることにより加熱溶
融時の粘度が低くく抑えられ、目的とする無機充填材の
高充填化が図れるためである。変性ノボラック型フェノ
ール樹脂の重量平均分子量の測定方法は、前記したGP
Cの測定方法と同一である。
【0020】本発明の変性ノボラック型フェノール樹脂
は、ビフェニル型エポキシ樹脂との組み合わせで、用い
られる低吸湿性フェノールアラルキル樹脂と比較し、更
に低吸湿で、かつ硬化性が良好であるため、より品質に
優れたエポキシ樹脂組成物を得ることができる。又変性
ノボラック型フェノール樹脂には、この樹脂の特性を損
なわない範囲で他のフェノール樹脂を併用しても差し支
えない。併用できるフェノール樹脂としては、例えば、
フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹
脂、ナフトールアラルキル樹脂、テルペン変性フェノー
ル樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等が
挙げられ、これらは単独でも混合してもよい。これらの
フェノール樹脂は、分子量、軟化点、水酸基当量等に制
限なく使用することができるが、軟化点90℃以下の比
較的低粘度のフェノール樹脂が好ましい。軟化点が90
℃を越えると、本発明の変性ノボラック型フェノール樹
脂の低粘度化の効果が充分に発現されない。併用する場
合には、変性ノボラック型フェノール樹脂が、全フェノ
ール樹脂中に50重量%以上含まれることが好ましい。
50重量%未満だと本発明の変性ノボラック型フェノー
ル樹脂の本来の効果が充分に発揮されないおそれがあ
る。又全エポキシ樹脂のエポキシ基と全フェノール樹脂
のフェノール性水酸基との当量比としては、好ましくは
0.5〜2.0、特に好ましくは0.7〜1.5であ
る。0.5〜2の範囲を外れると、硬化性、耐湿信頼性
等が低下するので好ましくない。
【0021】本発明で用いられる無機充填材の種類につ
いては特に制限はなく、一般に封止材料に用いられてい
るものを使用することができる。例えば、溶融破砕シリ
カ粉末、溶融球状シリカ粉末、結晶シリカ粉末、2次凝
集シリカ粉末、アルミナ、チタンホワイト、水酸化アル
ミニウム等が挙げられ、特に溶融球状シリカが好まし
い。形状は限りなく真球状であることが好ましく、又粒
子の大きさの異なるものを混合することにより充填量を
多くすることができる。この無機充填材の配合量として
は、全エポキシ樹脂と全フェノール樹脂との合計量10
0重量部当たり200〜2400重量部が好ましく、特
に400〜1600重量部が好ましい。200重量部未
満だと、無機充填材による補強効果が十分に発現せず、
かつ吸湿要因である樹脂成分の配合量が多くなるので、
高吸湿性となるおそれがあり、2400重量部を越える
と、樹脂組成物の流動性が低下し、成形時に充填不良等
が生じるおそれがあるので好ましくない。本発明に用い
られる無機充填材は、予め十分に混合しておくことが好
ましい。又必要に応じて無機充填材をカップリング剤や
エポキシ樹脂あるいはフェノール樹脂で予め処理して用
いてもよく、処理の方法としては、溶剤を用いて混合し
た後に溶媒を除去する方法や直接無機充填材に添加し、
混合機を用いて処理する方法等がある
【0022】本発明で用いられる硬化促進剤は、テトラ
置換ホスホニウム(X)と1分子内にフェノール性水酸
基を2個以上有する化合物(Y)及び1分子内にフェノ
ール性水酸基を2個以上有する化合物(Y)の共役塩基
との分子会合体(M)であって、該共役塩基が前記フェ
ノール性水酸基を2個以上有する化合物(Y)から1個
の水素を除いたフェノキシド型化合物であり、その構成
成分の一つであるテトラ置換ホスホニウム(X)の置換
基については何ら限定されず、置換基は互いに同一であ
っても異なっていてもよい。例えば、置換又は無置換の
アリール基やアルキル基を置換基に有するテトラ置換ホ
スホニウムイオンが、熱や加水分解に対して安定であり
好ましい。具体的には、テトラフェニルホスホニウム、
テトラトリルホスホニウム、テトラエチルフェニルホス
ホニウム、テトラメトキシフェニルホスホニウム、テト
ラナフチルホスホニウム、テトラベンジルホスホニウ
ム、エチルトリフェニルホスホニウム、n−ブチルトリ
フェニルホスホニウム、2−ヒドロキシエチルトリフェ
ニルホスホニウム、トリメチルフェニルホスホニウム、
メチルジエチルフェニルホスホニウム、メチルジアリル
フェニルホスホニウム、テトラ−n−ブチルホスホニウ
ム等を例示できる。
【0023】分子会合体(M)の構成成分である、1分
子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物
(Y)としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシ−3,
5−ジメチルフェニル)メタン(通称テトラメチルビス
フェノールF)、4,4’−スルホニルジフェノール、
4,4’−イソプロピリデンジフェノール(通称ビスフ
ェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒ
ドロキシフェニル)−(4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン及びこれらの内ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒ
ドロキシフェニル)−(4−ヒドロキシフェニル)メタ
ンの3種の混合物(例えば、本州化学工業(株)・製、
ビスフェノールF−D)等のビスフェノール類、1,2
−ベンゼンジオール、1,3−ベンゼンジオール、1,
4−ベンゼンジオール等のジヒドロキシベンゼン類、
1,2,4−ベンゼントリオール等のトリヒドロキシベ
ンゼン類、1,6−ジヒドロキシナフタレン等のジヒド
ロキシナフタレン類の各種異性体、2,2’−ビフェノ
ール、4,4’−ビフェノール等のビフェノール類の各
種異性体等の化合物が挙げられる。更に、他の構成成分
である共役塩基は、上記の化合物(Y)から1個の水素
を除いたフェノキシド型化合物である。
【0024】分子分子会合体(M)は、前述のようにホ
スホニウム−フェノキシド型の塩を構造中に有するが、
従来の技術におけるホスホニウム−有機酸アニオン塩型
の化合物と異なる点は、本発明の分子会合体(M)では
水素結合による高次構造がイオン結合を取り囲んでいる
点である。従来の技術における塩では、イオン結合の強
さのみにより反応性を制御しているのに対し、本発明の
分子会合体(M)では、常温ではアニオンの高次構造に
よる囲い込みが活性点の保護を行う一方、成形の段階に
おいては、この高次構造が崩れることで活性点がむき出
しになり、反応性を発現する、いわゆる潜伏性が付与さ
れている。
【0025】本発明の分子会合体(M)の製造方法は何
ら限定されないが、代表的な2方法を挙げることができ
る。1つ目は、テトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボ
レート(Z)と、1分子内に2個以上のフェノール性水
酸基を有する化合物(Y)とを、高温下で反応させた
後、更に沸点60℃以上の溶媒中で熱反応させる方法で
ある。2つ目は、1分子内に2個以上のフェノール性水
酸基を有する化合物(Y)と、無機塩基又は有機塩基
と、テトラ置換ホスホニウムハライドとを反応させる方
法である。用いるテトラ置換ホスホニウムハライドの置
換基については何ら限定されることはなく、置換基は互
いに同一であっても異なっていてもよい。例えば、置換
又は無置換のアリール基やアルキル基を置換基に有する
テトラ置換ホスホニウムイオンが、熱や加水分解に対し
て安定であり好ましい。具体的には、テトラフェニルホ
スホニウム、テトラトリルホスホニウム、テトラエチル
フェニルホスホニウム、テトラメトキシフェニルホスホ
ニウム、テトラナフチルホスホニウム、テトラベンジル
ホスホニウム、エチルトリフェニルホスホニウム、n−
ブチルトリフェニルホスホニウム、2−ヒドロキシエチ
ルトリフェニルホスホニウム、トリメチルフェニルホス
ホニウム、メチルジエチルフェニルホスホニウム、メチ
ルジアリルフェニルホスホニウム、テトラ−n−ブチル
ホスホニウム等を例示できる。ハライドとしてはクロラ
イドやブロマイドを例示でき、テトラ置換ホスホニウム
ハライドの価格や吸湿等の特性、及び入手のし易さから
選択すれば良く、いずれを用いても差し支えない。
【0026】又この硬化促進剤の特性を損なわない範囲
で、トリフェニルホスフィン、1,8−ジアザビシクロ
(5,4,0)ウンデセン−7、2−メチルイミダゾー
ル等の他の硬化促進剤と併用しても何ら問題はない。硬
化促進剤(D)の配合量としては、全エポキシ樹脂と全
フェノール樹脂との合計量100重量部当たり0.4〜
20重量部が好ましい。配合量が0.4重量部未満だ
と、加熱成形時に十分な硬化性が得られないおそれがあ
り、一方、20重量部を越えると、硬化が速すぎて成形
時に流動性の低下による充填不良等を生じるおそれがあ
るので好ましくない。
【0027】本発明のエポキシ樹脂組成物は、(A)〜
(D)成分の他、必要に応じて臭素化エポキシ樹脂、酸
化アンチモン、リン化合物、水酸化マグネシウム、硼酸
化合物等の難燃剤類、酸化ビスマス水和物等の無機イオ
ン交換体、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン等のカップリング剤、カーボンブラック、ベンガラ等
の着色剤、シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応
力化成分、天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸及
びその金属塩類もしくはパラフィン等の離型剤、酸化防
止剤等の各種添加剤を配合することができる。本発明の
エポキシ樹脂組成物は、(A)〜(D)成分、及びその
他の添加剤等をミキサーを用いて常温混合し、ロール、
ニーダー、押出機等の混練機で溶融混練し、冷却後粉砕
する一般的な方法で得られる。本発明のエポキシ樹脂組
成物を用いて、半導体素子等の電子部品を封止し、半導
体装置を製造するには、トランスファーモールド、コン
プレッションモールド、インジェクションモールド等の
成形方法で成形硬化すればよい。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例で具体的に説明する。
実施例及び比較例のエポキシ樹脂A〜Dの合成に使用し
たビスフェノールF類の構造式(5)、及び結晶性エポ
キシ樹脂の前駆体であるフェノール類の構造式(6)〜
式(8)、比較例に用いた式(9)の構造を主成分とす
るビスフェノールF型エポキシ樹脂(以下、ビスF型エ
ポキシ樹脂という)、式(10)の構造を主成分とする
ビフェニル型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)
製、YX4000K。以下、 YX4000Kという)
の構造を以下に示す。
【化9】
【0029】
【化10】
【0030】
【化11】
【0031】
【化12】
【0032】
【化13】
【0033】
【化14】
【0034】又比較例に使用した式(11)のフェノー
ルノボラック樹脂、実施例、比較例に使用した式(1
2)のフェノールアラルキル樹脂の構造を以下に示す。
【化15】
【0035】
【化16】
【0036】実施例及び比較例に用いた硬化促進剤の合
成例を以下に示す。 (合成例1)本州化学工業(株)・製ビスフェノールF
−D(化合物(Y)に相当)300g(1.5モル)
と、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレ
ート(Z)329g(0.5モル)とを3Lセパラブル
フラスコに仕込み、200℃で3時間反応させた。この
反応でのベンゼン留出量は、理論生成量の97重量%
(即ちベンゼン留出率97%)であった。この反応によ
る粗生成物を微粉砕し、セパラブルフラスコに仕込み、
2−プロパノールを粗生成物の仕込み重量の3倍量加
え、内温82.4℃(2−プロパノールの沸点温度)で
1.5時間攪拌した。その後、2−プロパノールの大部
分を除去し、更に加熱減圧下で低沸点分を除去した。得
られた生成物を硬化促進剤M1とした。又溶媒を重メタ
ノールとして、M1の1H−NMRでの測定を行った。
4.8ppm付近及び3.3ppm付近のピークは溶媒
のピークで、6.4〜7.1ppm付近のピーク群は、
原料であるビスフェノールF[(X)1モルに対するモ
ル数(a)]及びこのビスフェノールFから1個の水素
を除いたフェノキシド型の共役塩基[(X)1モルに対
するモル数(b)]のフェニルプロトン、7.6〜8.
0ppm付近のピーク群は、テトラフェニルホスホニウ
ム基のフェニルプロトンと帰属され、それらの面積比か
ら、モル比が[(a+b)/(X)]=2.2/1であ
ると計算された。
【0037】(合成例2)5Lのセパラブルフラスコ
に、本州化学工業(株)・製ビスフェノールF−D(化
合物(Y)に相当)300g(1.5モル)、北興化学
工業(株)・製テトラフェニルホスホニウムブロマイド
314g(0.75モル)、メタノール3000gを仕
込み、完全に溶解させた。そこに水酸化ナトリウムを3
0g含有するメタノール/水混合溶液を攪拌しながら滴
下した。得られた溶液を多量の水中に滴下する再沈作業
を行い、目的物を固形物として得た。濾過して固形物を
取り出し、乾燥させて得られた生成物を硬化促進剤M2
とした。又溶媒を重メタノールとして、M2の1H−N
MRでの測定を行った。4.8ppm付近及び3.3p
pm付近のピークは溶媒のピークで、6.4〜7.1p
pm付近のピーク群は、原料であるビスフェノールF
[(X)1モルに対するモル数(a)]及びこのビスフ
ェノールFから1個の水素を除いたフェノキシド型の共
役塩基[(X)1モルに対するモル数(b)]のフェニ
ルプロトン、7.6〜8.0ppm付近のピーク群は、
テトラフェニルホスホニウム基のフェニルプロトンと帰
属され、それらの面積比から、モル比が[(a+b)/
(X)]=2/1であると計算された。
【0038】実施例及び比較例で使用した本発明のエポ
キシ樹脂A〜Dと、ビスフェノールF型エポキシ樹脂
(以下、ビスF型エポキシ樹脂という)、ビフェニル型
エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、YX40
00K。以下、 YX4000Kという)、及び変性ノ
ボラック型フェノール樹脂E〜Gとフェノールノボラッ
ク樹脂、フェノールアラルキル樹脂について、その内容
及び特性を表1、2に示す。なお、エポキシ樹脂A〜D
は、式(5)と式(6)〜(8)を表1の配合(重量部
割合)で常法によりグリシジルエーテル化したものであ
り、変性ノボラック型フェノール樹脂E〜Gは、常法に
よりノボラック化したものである。表2中のフェノール
(c)/オルソクレゾール(d)のモル比は、得られた
変性ノボラック型フェノール樹脂を前記した1H−NM
Rで測定した値である。溶融粘度は、ICIコーン&プ
レート粘度計(Research Equipment社・製)を用いて、
150℃での粘度を測定した。重量平均分子量は、前記
したGPC法により求めた。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】以下、本発明を実施例で示す。配合割合は
重量部とする。 実施例1 エポキシ樹脂(A) 5.2重量部 変性ノボラック型フェノール樹脂(E) 3.6重量部 溶融球状シリカ 88.5重量部 硬化促進剤M1 0.3重量部 臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量359、粘度1.3ポ イズ/150℃) 0.5重量部 酸化アンチモン 0.5重量部 カーボンブラック 0.2重量部 カルナバワックス 0.4重量部 その他添加物 0.8重量部 をミキサーを用いて混合した後、表面温度が90℃と4
5℃の2本ロールを用いて30回混練し、得られた混練
物シートを冷却後粉砕して、樹脂組成物とした。得られ
た樹脂組成物の特性を以下の方法で評価した。結果を表
3に示す。
【0042】評価方法 スパイラルフロー:EMMI−1−66に準じたスパイ
ラルフロー測定用の金型を用いて、金型温度175℃、
注入圧力70kg/cm2、硬化時間2分で測定した。
単位はcm。 吸水率:トランスファー成形機を用いて、金型温度17
5℃、注入圧力75kg/cm2、硬化時間2分で直径
50mm、厚さ3mmの成形品を成形し、175℃、8
時間で後硬化し、得られた成形品を85℃、相対湿度8
5%の環境下で168時間放置し、重量変化を測定して
吸水率を計算した。単位は重量%。 作業性:樹脂組成物の室温下30分後のブロッキング性
にて評価。 耐半田クラック性:トランスファー成形機を用いて、金
型温度175℃、注入圧力75kg/cm2、硬化時間
2分で100pTQFP(パッケージサイズは14×1
4mm、厚み1.4mm、半導体素子の寸法は8.0×
8.0mm、リードフレームは42アロイ製)を成形
し、175℃、8時間で後硬化し、得られたパッケージ
を85℃、相対湿度85%で168時間放置し、その後
240℃の半田槽に10秒間浸漬した。顕微鏡でパッケ
ージを観察し、外部クラックの発生率[(クラック発生
パッケージ数)/(全パッケージ数)×100]を求め
た。単位は%。又、半導体素子と樹脂組成物の硬化物の
剥離面積の割合を超音波探傷装置を用いて測定し、剥離
率[(剥離面積)/(半導体素子面積)×100]を求
めた。単位は%。 ショアD硬度:金型温度175℃、注入圧力70kg/
cm2、硬化時間2分で成形し、型開き10秒後に測定
したショアD硬度の値を硬化性とする。ショアD硬度は
硬化性の指標であり、数値が大きい方が硬化性が良好で
ある。 30℃保存性:30℃で6ヶ月間保存した後、スパイラ
ルフローを測定し、調製直後のスパイラルフローに対す
る百分率として表す。単位は%。
【0043】実施例2〜10、比較例1〜4 表3、表4の配合に従い、実施例1と同様にして樹脂組
成物を得て、実施例1と同様にして評価した。結果を表
3、表4に示す。
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
【発明の効果】本発明のエポキシ樹脂組成物は、常温保
存特性、速硬化性で、これを用いて封止された半導体装
置は低吸湿性で耐半田クラック性に優れている。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)一般式(1)で示されるビスフェ
    ノールF類(a)と結晶性エポキシ樹脂の前駆体である
    フェノール類(b)との混合物をグリシジルエーテル化
    したエポキシ樹脂(A)、(B)フェノール(c)と一
    般式(2)で示されるクレゾール類(d)とをアルデヒ
    ドを介在して縮合した変性ノボラック型フェノール樹
    脂、(C)無機充填材、及び(D)テトラ置換ホスホニ
    ウム(X)と1分子内にフェノール性水酸基を2個以上
    有する化合物(Y)及び1分子内にフェノール性水酸基
    を2個以上有する化合物(Y)の共役塩基との分子会合
    体(M)であって、該共役塩基が前記フェノール性水酸
    基を2個以上有する化合物(Y)から1個の水素を除い
    たフェノキシド型化合物からなる硬化促進剤を必須成分
    とし、(a)と(b)との重量比(a/b)が0.1〜
    19で、変性ノボラック型フェノール樹脂中の(c)と
    (d)とのモル比(c/d)が0.1〜19であり、全
    エポキシ樹脂のエポキシ基に対する全フェノール樹脂の
    フェノール性水酸基の当量比が0.5〜2.0であり、
    無機充填材(C)の含有量が全エポキシ樹脂(A)と全
    フェノール樹脂(B)の合計量100重量部当たり20
    0〜2400重量部であり、硬化促進剤(D)の含有量
    が全エポキシ樹脂と全フェノール樹脂の合計量100重
    量部当たり0.4〜20重量部であることを特徴とする
    半導体封止用エポキシ樹脂組成物。 【化1】 (R1は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、それらは
    互いに同一であっても異なってもよい。mは0〜4の整
    数。 ) 【化2】
  2. 【請求項2】 一般式(1)で示されるビスフェノール
    F類(a)と結晶性エポキシ樹脂の前駆体であるフェノ
    ール類(b)とを混合しグリシジルエーテル化したエポ
    キシ樹脂(A)が、融点70〜150℃である請求項1
    記載の半導体封止エポキシ樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 一般式(1)で示されるビスフェノール
    F類(a)と結晶性エポキシ樹脂の前駆体であるフェノ
    ール類(b)とを混合しグリシジルエーテル化したエポ
    キシ樹脂(A)が、融解熱量3〜40mJ/mgである
    請求項1、又は2記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成
    物。
  4. 【請求項4】 結晶性エポキシ樹脂の前駆体であるフェ
    ノール類(b)が、一般式(3)、又は一般式(4)の
    少なくとも一種以上である請求項1、2、又は3記載の
    半導体封止用エポキシ樹脂組成物。 【化3】 (R2は、炭素数1〜6のアルキル基で、それらは互い
    に同一であっても異なっていてもよい。mは0〜4の整
    数。) 【化4】 (R3は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基で、それ
    らは互いに同一であっても異なっていてもよい。R
    4は、炭素数1〜6のアルキル基で、それらは互いに同
    一であっても異なっていてもよい。mは0〜4の整
    数。)
  5. 【請求項5】 一般式(1)で示されるビスフェノール
    F類(a)と、結晶性エポキシ樹脂の前駆体であるフェ
    ノール類(b)との混合物をグリシジルエーテル化した
    エポキシ樹脂(A)が重量平均分子量1000以下で、
    かつ全エポキシ樹脂中に50重量%以上含まれ、フェノ
    ール(c)と一般式(2)で示されるクレゾール類
    (d)とをアルデヒドを介在して縮合した変性ノボラッ
    ク型フェノール樹脂(B)が重量平均分子量2000以
    下で、かつ全フェノール樹脂中に50重量%以上含まれ
    る請求項1、2、3、又は4記載の半導体封止用エポキ
    シ樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5記載のいずれかのエポキシ
    樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなることを特
    徴とする半導体装置。
JP2000077927A 2000-03-21 2000-03-21 エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 Pending JP2001261790A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000077927A JP2001261790A (ja) 2000-03-21 2000-03-21 エポキシ樹脂組成物及び半導体装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000077927A JP2001261790A (ja) 2000-03-21 2000-03-21 エポキシ樹脂組成物及び半導体装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001261790A true JP2001261790A (ja) 2001-09-26

Family

ID=18595409

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000077927A Pending JP2001261790A (ja) 2000-03-21 2000-03-21 エポキシ樹脂組成物及び半導体装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001261790A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006002020A (ja) * 2004-06-17 2006-01-05 Nippon Kayaku Co Ltd エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物
WO2006068185A1 (ja) * 2004-12-21 2006-06-29 Nippon Kayaku Kabushki Kaisha エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006002020A (ja) * 2004-06-17 2006-01-05 Nippon Kayaku Co Ltd エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物
WO2006068185A1 (ja) * 2004-12-21 2006-06-29 Nippon Kayaku Kabushki Kaisha エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5170493B2 (ja) フェノール系重合体、その製法及びその用途
JP3587570B2 (ja) ベンジル化ポリフェノール、そのエポキシ樹脂、それらの製造方法および用途
US6713589B2 (en) Phenyl, naphthly or fluorene cyclopentyl epoxy resins
EP1130041B1 (en) Epoxy resin composition and semiconductor device
JPH111544A (ja) エポキシ樹脂組成物及び電子部品
JP4491897B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP4696372B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP4568945B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2001261790A (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP4622030B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP3933763B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及び電子部品
JP2002053643A (ja) エポキシ樹脂用硬化剤及びこれを用いた半導体封止用組成物
JP2001233944A (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JPH10292032A (ja) エポキシ樹脂組成物及びその硬化物
JP3875775B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及び電子部品
JP4765135B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2001316453A (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2001064362A (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2001089636A (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP4496739B2 (ja) 硬化促進剤、エポキシ樹脂組成物および半導体装置
JP2001270931A (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP4622025B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP4517433B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP4639412B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2000309678A (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置