JP3875775B2 - エポキシ樹脂組成物及び電子部品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐ブロッキング性、保存安定性に優れるとともに、速硬化性、流動性などの成形性に優れ、かつ機械的強度、耐熱性、低吸湿性、銅系リードフレームとの接着性、耐クラック性などに優れた硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物に関し、本発明のエポキシ樹脂組成物は、半導体素子等の電子部品封止用に好適に使用される。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂を主剤とする樹脂組成物は、注型、封止、積層板などの電気・電子分野に広く使用されている。近年、電子部品の小型化、薄型化により、より低粘度のエポキシ樹脂組成物が望まれている。従来のエポキシ樹脂組成物は、比較的粘度の高いものが多く、このため部品間の微細な間隙に樹脂が完全に流れないとか、気泡を巻きこんだりなど成型不良を起こし、絶縁不良や耐湿性の劣化を起こすなどの問題があった。
【0003】
特に、半導体の分野においては、プリント基板への部品の実装の方法として、従来のピン挿入方式から表面実装方式への移行が進展している。表面実装方式においては、パッケージ全体がはんだ温度まで加熱され、熱衝撃によるパッケージクラックが大きな問題点となっている。また、半導体素子の高集積化、素子サイズの大型化、配線幅の微細化も急速に進展しており、パッケージクラックの問題が一層深刻化している。さらに、近年、半導体チップをマウントするリードフレームの材質として銅系の材料を使用するケースが増えているが、銅系の材料は封止材料との接着性に劣る欠点があり、半導体素子の信頼性が低下する問題があった。
【0004】
上記問題点を克服するため、樹脂構造の強靱化、シリカの高充填化による高強度化、低吸水率化などの方法が検討されており、特にシリカ高充填化の観点から低粘度性に優れたエポキシ樹脂が望まれている。低粘度エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などが一般に広く用いられているが、これらのエポキシ樹脂において低粘度のものは常温で液状であり、取扱いが困難である。さらに、これらのエポキシ樹脂は、成形性、耐熱性、機械的強度、接着性などの点で十分ではない。
【0005】
このような背景から、常温で固体である結晶性エポキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物が最近数多く提案されている。特公平4−7365号公報には、取扱い作業性、耐熱性、靱性などを改良したものとしてビフェニル系エポキシ樹脂を主剤とした半導体封止用エポキシ樹脂組成物が提案されているが、低吸水性、低粘度性、硬化性、接着性の点で十分でない。また、特開平6−345850号公報には、主剤としてビスフェノールF型の固形エポキシ樹脂が提案されている。ビスフェノールF型エポキシ樹脂は低粘度性に優れた特徴があるが、エポキシ樹脂組成物としての軟らかさに欠点があり、またコンパウンドのブロッキングの問題がある。さらに、コンパウンドの保存時に粘度の上昇、ゲル化時間の短縮を引き起こし、保存安定性が低下する欠点があり、銅系材料に対する接着性も十分ではない。また、特開平6−145300号公報には、チオビスフェノール型エポキシ樹脂を半導体封止材料に適用することが開示されている。しかしながら、実施例に開示されているように、エポキシ樹脂成分としてチオビスフェノール型エポキシ樹脂を単独で使用すると、高温時(リフロー時温度200〜260℃)の機械的強度が低下し、耐クラック性が向上しないという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、エポキシ樹脂組成物としての耐ブロッキング性、保存安定性に優れるとともに、速硬化性、流動性などの成形性に優れ、かつ機械的強度、耐熱性、低吸湿性、銅系リードフレームとの接着性、耐クラック性などに優れた硬化物を与え、特に表面実装型の半導体素子等の電子部品封止用に好適に使用されるエポキシ樹脂組成物、及びその硬化物を用いた電子部品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点に鑑み鋭意検討した結果、エポキシ樹脂成分としてチオビスフェノール型エポキシ樹脂と特定の多官能型エポキシ樹脂とを併用することにより、上記目的を達成し得ることを見いだし、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明は、エポキシ樹脂、硬化剤及び無機充填剤を必須成分とするエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂成分として全エポキシ樹脂中、下記一般式(1)で表されるチオビスフェノール型エポキシ樹脂10〜90重量%と、下記一般式(2)で表されるノボラック型エポキシ樹脂10〜90重量%とを配合してなるエポキシ樹脂組成物である。
【化3】
(式中、R1 、R2 、R3 は水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を示し、Gはグリシジル基を示し、nは0〜15の数を示す)
【化4】
(式中、R4 は水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を示し、Gはグリシジル基を示し、mは0〜15の数を示す)
【0009】
また、本発明は、上記エポキシ樹脂組成物の硬化物で封止されてなる電子部品である。
【0010】
一般式(1)で表されるエポキシ樹脂は、下記一般式(3)で表されるチオビスフェノール化合物とエピクロルヒドリンとを反応させることにより製造される。
【化5】
(式中、R1 、R2 、R3 は水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を示す)
【0011】
このようなチオビスフェノール化合物としては、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−チオビス(2−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−チオビス(2,3,6−トリメチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−tertブチル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−tertブチル−6−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−シクロヘキシルフェノール)、4,4’−チオビス(2−フェニルフェノール)、4,4’−チオビス(2−ベンジルフェノール)、4,4’−チオビス(2−(1−フェニル−1−エチル)フェノール)などが挙げられる。
【0012】
チオビスフェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応は、通常のエポキシ化反応と同様に行うことができる。例えば、チオビスフェノール化合物を過剰のエピクロルヒドリンに溶解した後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の存在下に、50〜150℃、好ましくは60〜100℃で1〜10時間反応させる方法が挙げられる。この際、アルカリ金属水酸化物の使用量は、チオビスフェノール化合物中の水酸基1モルに対し0.8〜1.2モル、好ましくは0.9〜1.0モルである。反応終了後、過剰のエピクロルヒドリンを留去し、残留物をトルエン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解し、濾過し、水洗して無機塩を除去し、次いで溶剤を留去することにより目的のエポキシ樹脂を得ることができる。
【0013】
一般式(1)において、nは0〜15の数である。nの値は、エポキシ樹脂の合成反応時に用いるエピクロルヒドリンのチオビスフェノール化合物に対するモル比を変えることにより、容易に調整することができるが、nが0の成分が50%以上含まれることが好ましい。これより少ないと二量体以上の多量体の含有量が増加することにより粘度上昇を伴い好ましくない。
【0014】
一般式(1)で表されるエポキシ樹脂は、好ましくは結晶化させ固形化したのち使用される。この場合、エポキシ樹脂を工業的に速やかに結晶化させるためには、一般式(1)においてnが0の成分が70%以上含まれることが好ましい。結晶化した後の好ましい融点範囲は40〜150℃であり、より好ましくは50〜130℃である。これより低いと保存時にブロッキングの問題がある。また、これより高いと硬化剤又はその他添加剤との溶融混合性に劣り、エポキシ樹脂組成物調製時の作業性に劣る。ここでいう融点とは、キャピラリー法により昇温速度2℃/分で得られる値である。
【0015】
一般式(1)で表されるエポキシ樹脂の純度は高いほどよい。特に加水分解性塩素量は、封止する電子部品の信頼性向上の観点より、特に限定するものではないが、好ましくは1000ppm以下がよい。なお、本発明でいう加水分解性塩素とは、以下の方法により測定された値をいう。すなわち、試料0.5gをジオキサン30mlに溶解後、1N−KOH、10mlを加え30分間煮沸還流した後、室温まで冷却し、さらに80%アセトン水100mlを加え、0.002N−AgNO3 水溶液で電位差滴定を行い得られる値である。
【0016】
本発明のエポキシ樹脂組成物において、一般式(1)で表されるエポキシ樹脂の含有量は、全エポキシ樹脂成分中、10〜90重量%であり、好ましくは30〜80重量%である。これが10重量%より少ないと銅系リードフレームとの接着性を向上させる効果が不十分であり、耐クラック性に優れた硬化物を与えることができず、また粘度低下効果が小さく、無機充填剤の充填率を高くできない。また、これが90重量%を超えると高温時の機械的強度が低下し、耐クラック性が低下する。
【0017】
次に、一般式(2)で表されるエポキシ樹脂は、下記一般式(4)で表されるノボラック樹脂とエピクロルヒドリンとを反応させることにより製造される。
【化6】
(式中、R4 は水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を示し、mは0〜15の数を示す)
【0018】
一般式(4)で表されるノボラック樹脂は、アルキル置換又は未置換のフェノール化合物を、ホルムアルデヒドと反応させることにより得られる。このようなフェノール化合物としては、例えばフェノール、2−メチルフェノール、2−エチルフェノール、2−イソプロピルフェノール、2−フェニルフェノール、2−ベンジルフェノール、2−(1−フェニル−1−エチル)フェノール、2−ブロモフェノールなどが挙げられる。このノボラック樹脂とエピクロルヒドリンとの反応は、通常のエポキシ化反応と同様に行うことができる。この場合、当然のことながら、エポキシ基と水酸基との結合によりオリゴマーが生じるが、このようなオリゴマーが少量の存在したものも一般式(2)で表されるエポキシ樹脂とみなす。
【0019】
一般式(2)で表されるエポキシ樹脂の軟化点範囲は、好ましくは40〜120℃、より好ましくは50〜100℃である。これより低いとエポキシ樹脂組成物としての耐ブロッキング性が低下し、これより高いと粘度上昇により無機充填剤を高充填化できない。
【0020】
一般式(4)において、mは0〜15の数である。mの値は、上記フェノール化合物とホルムアルデヒドとを反応させる際の両者のモル比を変えることにより容易に調整できる。すなわち、フェノール化合物をホルムアルデヒドに対して過剰に用いるほどmの値は小さくコントロールできる。mの値が大きいほど得られた樹脂の軟化点及び粘度が高くなる。また、mの値が小さいほど粘度が低下するが、合成後の未反応フェノール化合物が多くなり、樹脂の生産効率が低下する。両者のモル比は、実用上、フェノール化合物1モルに対しホルムアルデヒドが1モル以下でなければならず、好ましくは0.1〜0.9モルである。ホルムアルデヒドが0.1モルより少ないと未反応のフェノール化合物量が多くなり、工業上好ましくない。
【0021】
本発明のエポキシ樹脂組成物において、一般式(2)で表されるエポキシ樹脂の含有率は、全エポキシ樹脂成分中、10〜90重量%、好ましくは20〜70重量%である。これが10重量%より少ないと高温時の機械的強度の低下により耐クラック性が低下する。これが90重量%を超えると、銅フレ−ムとの接着性の低下により耐クラック性が低下し、また粘度上昇を伴い、無機充填剤の充填率を高くできない。
【0022】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、本発明の必須成分として使用される一般式(1)及び(2)で表されるエポキシ樹脂以外に、分子中にエポキシ基を2個以上有する通常のエポキシ樹脂を併用してもよい。このようなエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン等の2価のフェノール類や、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂等の3価以上のフェノール類や、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類から誘導されるグリシジルエーテル化物などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は単独でもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0023】
本発明のエポキシ樹脂組成物において、一般式(1)及び(2)で表されるエポキシ樹脂の含有量は、全エポキシ樹脂成分中、40重量%以上、好ましくは60重量%以上である。これらが40重量%より少ないと本発明の効果、すなわちコンパウンドとしての優れた耐ブロッキング性、保存安定性の向上及び硬化物としての優れた耐クラック性の向上が期待できない。
【0024】
本発明のエポキシ樹脂組成物に使用する硬化剤としては、一般にエポキシ樹脂の硬化剤として知られているものは全て使用できる。このようなエポキシ樹脂硬化剤としては、例えばジシアンジアミド、酸無水物類、多価フェノール類、芳香族及び脂肪族アミン類などが挙げられるが、これらの中で特に多価フェノール類が好ましい。
【0025】
このような多価フェノール類としては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類や、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、ポリビニルフェノール等に代表される3価以上のフェノール類や、さらにはフェノール類、ナフトール類又は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−キシリレングリコール、p−キシリレングリコールジメチルエーテル、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、ジメトキシメチルビフェニル類、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル類等の架橋剤との反応により合成される多価フェノール性化合物などが挙げられる。これらの硬化剤は単独でもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0026】
多価フェノール性化合物の軟化点範囲は、好ましくは40〜150℃、より好ましくは50〜120℃である。これより低いと保存時のブロッキングの問題があり、これより高いとエポキシ樹脂組成物調製時の混練性と成形性に問題がある。また、150℃における溶融粘度は、好ましくは20ポイズ以下、より好ましくは5ポイズ以下である。これより高いとエポキシ樹脂組成物調製時の混練性と成形性に問題がある。
【0027】
本発明のエポキシ樹脂組成物に配合する無機充填剤としては、例えばシリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニアなどの粉体、又はこれらを球形化したビーズなどが挙げられる。これらの無機充填剤は単独でもよいし、2種以上を併用してもよい。特に、本発明のエポキシ樹脂組成物を電子部品封止材に用いる場合、性能向上の観点から無機充填剤を高充填化することが好ましく、球状の溶融シリカが好適に使用される。通常、シリカは、数種類の粒径分布を持ったものを組み合わせて使用される。組み合わせるシリカの平均粒径は、0.5〜100μmである。この場合、無機充填剤の配合量は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上である。これより少ないと耐クラック性の向上効果が小さい。
【0028】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、従来より公知の硬化促進剤を用いることができる。硬化促進剤としては、例えばアミン類、イミダゾール類、有機ホスフィン類 、ルイス酸などが挙げられ、具体的には、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−へプタデシルイミダゾール等のイミダゾール類、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン類、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。その配合量は、通常、エポキシ樹脂100重量部に対し0.2〜10重量部である。
【0029】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、成形時の流動性改良及びリードフレーム等との密着性向上の観点より、熱可塑性のオリゴマー類を添加することができる。熱可塑性のオリゴマー類としては、C5 系及びC9 系の石油樹脂、スチレン樹脂、インデン樹脂、インデン・スチレン共重合樹脂、インデン・スチレン・フェノール共重合樹脂、インデン・クマロン共重合樹脂、インデン・ベンゾチオフェン共重合樹脂なとが挙げられる。その配合量は、エポキシ樹脂100重量部に対し2〜30重量部程度がよい。
【0030】
さらに必要に応じて、本発明のエポキシ樹脂組成物には、臭素化エポキシ等の難燃剤、カルナバワックス、エステル系ワックス等の離型剤、エポキシシラン、アミノシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン、アルキルシラン、有機チタネート、アルミニウムアルコレート等のカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、三酸化アンチモン等の難燃助剤、シリコンオイル等の低応力化剤、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩等の滑剤などを配合することができる。
【0031】
以上のような原材料を、一般的には、所定の配合量でミキサーなどにより十分混合した後、ミキシングロール、押し出し機などにより混練し、冷却、粉砕することによって、成形材料に調製することができる。
【0032】
本発明で得られる成形材料を用いて、電子部品を封止する方法としては、低圧トランスファー成形法が最も一般的であるが、射出成形法、圧縮成形法によっても可能である。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1〜4及び比較例1〜5
下記のエポキシ樹脂成分、硬化剤及び難燃剤、無機充填剤として球状シリカA(平均粒径30μm)、B(平均粒径16μm)、C(平均粒径0.6μm)の3種類の混合物、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン、シランカップリング剤としてγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、その他の表1に示す添加剤を用い、表1に示す配合割合で混練してエポキシ樹脂組成物を調製した。なお、表1中の数値は重量部で示されている。
【0034】
エポキシ樹脂A: 2,2’−ジメチル−5,5’−ジターシャリーブチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのエポキシ化物(新日鐵化学製、ESLV−120TE;エポキシ当量251、加水分解性塩素380ppm、融点108℃、150℃での溶融粘度0.14ポイズ)
エポキシ樹脂B: 3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのエポキシ化物(エポキシ当量204、加水分解性塩素360ppm、150℃での溶融粘度0.10ポイズ)
エポキシ樹脂C:o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂 (日本化薬製、EOCN−1020−65;エポキシ当量200、加水分解性塩素400ppm、軟化点65℃、150℃での溶融粘度2.5ポイズ)
エポキシ樹脂D:2−ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂 (新日鐵化学製、ESN−185;エポキシ当量280、加水分解性塩素200ppm、軟化点85℃、150℃での溶融粘度4.6ポイズ)
エポキシ樹脂E:ジシクロペンタジエン系エポキシ樹脂 (日本化薬製、XD−1000L;エポキシ当量250、加水分解性塩素400ppm、軟化点65℃、150℃での溶融粘度1.2ポイズ)
エポキシ樹脂F:ジシクロペンタジエン系エポキシ樹脂 (日本化薬製、XD−1000−2L;エポキシ当量240、加水分解性塩素400ppm、軟化点57℃、150℃での溶融粘度0.5ポイズ)
エポキシ樹脂G:3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルのエポキシ化物 (油化シェルエポキシ製、YX4000HK;エポキシ当量195、加水分解性塩素450ppm、融点105℃、150℃での溶融粘度0.11ポイズ)
硬化剤A:フェノールノボラック (群栄化学製、PSM−4261;OH当量103、軟化点82℃)
硬化剤B:フェノールアラルキル型樹脂 (三井東圧製、XL−225−3L;OH当量170、軟化点70℃)
臭素化エポキシA:ノボラック型臭素化エポキシ (日本化薬製、BREN−S;エポキシ当量284、加水分解性塩素600ppm、軟化点84℃)
【0035】
次に、これらのエポキシ樹脂組成物を175℃で成形し、175℃で12時間ポストキュアを行い、硬化物試験片を得た後、各種物性測定に供した。ガラス転移点は熱機械測定装置により昇温速度10℃/分の条件で求めた。曲げ強度、曲げ弾性率の測定は、常温(25℃)、高温(260℃)の2水準で行った。
【0036】
銅との接着強度は、図1(試験用成形物の展開図)に示すとおり、銅板2枚を圧縮成型機により175℃で成形し、25×12.5×0.5mmの封止材成形物で接着した後、175℃、12時間ポストキュアを行って試験用成形物を、それを図2(試験用成形物の横からの投影図)に示す方向に引張ったときの破壊強度により評価した。なお、接着強度は破壊強度を接触面積(25mm×12.5mm=3.125cm2 )で除した値で示した。
【0037】
また、吸水率はエポキシ樹脂組成物を用いて直径50mm、厚さ3mmの円盤を成形し、ポストキュアした後85℃、85%RHの条件で24時間及び100時間吸湿させたときのものである。クラック発生率はQFP−80pin(14×20×2.5mmt、銅系リードフレーム使用)を成形し、ポストキュア後、吸水率と同条件の85℃、85%RHの条件で所定の時間吸湿させた後、260℃のはんだ浴に10秒間浸漬させた後、パッケージの状態を観察し求めた。ブロッキング性は、微粉砕したエポキシ樹脂組成物を25℃で24時間放置後、凝集した組成物の重量割合とした。保存安定性は、微粉砕したエポキシ樹脂組成物の25℃、7日間放置後のスパイラルフロ−の、スパイラルフロ−初期値(0日間放置)に対する比率とした。各種物性の測定結果を表2に示す。
【0038】
本発明で規定した条件を満たす実施例1〜4は全て、耐ブロッキング性、保存安定性に優れるとともに、速硬化性、流動性などの成形性に優れ、かつ機械的強度、耐熱性、低吸湿性、銅系リードフレームとの接着性、耐クラック性などに優れた硬化物を与えることがわかる。一方、本発明で規定した条件を満たしていない比較例1〜5は、実施例ほど前記の特性全てが同時に優れてはいない。すなわち、比較例1〜3では一般式(2)で表わされるエポキシ樹脂を成分として含んでいないため、高温時(260℃)の曲げ強度が低く、硬化物の耐クラック性が実施例に比べて低下している。比較例4では一般式(1)、(2)で表わされるエポキシ樹脂を成分として含んでいないため、銅系リードフレームとの接着性が低く、硬化物の耐クラック性が実施例に比べて低下している。また、エポキシ樹脂組成物の流動性も実施例に比べて低下しており、無機充填剤の高充填に不適である。比較例5では一般式(1)、(2)で表わされるエポキシ樹脂を成分として含んでいないため、銅系リードフレームとの接着性が低く、硬化物の耐クラック性が実施例に比べて低下している。また、耐ブロッキング性、保存安定性も実施例に比べて低下している。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、耐ブロッキング性、保存安定性に優れるとともに、速硬化性、流動性などの成形性に優れ、かつ機械的強度、耐熱性、低吸湿性、銅系リードフレームとの接着性、耐クラック性などに優れた硬化物を与え、半導体素子等の電子部品の封止に用いた場合、耐クラック性が大幅に改善し、優れたはんだ耐熱性を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】銅板との接着性評価方法における試験用成形物の展開図である。
【図2】銅板との接着性評価方法における試験用成形物の横からの投影図である。
Claims (2)
- 請求項1のエポキシ樹脂組成物の硬化物で封止されてなる電子部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25870097A JP3875775B2 (ja) | 1997-09-24 | 1997-09-24 | エポキシ樹脂組成物及び電子部品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25870097A JP3875775B2 (ja) | 1997-09-24 | 1997-09-24 | エポキシ樹脂組成物及び電子部品 |
Publications (2)
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