JP2003000145A - 茶飲料の製造法 - Google Patents
茶飲料の製造法Info
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Abstract
ムダウンが顕著に改善された茶飲料を提供すること。 【解決手段】茶飲料の製造に際し、460nm〜520
nmにヨ−ド呈色を有する澱粉加水分解物が茶飲料に
0.5〜4質量%含まれるように茶抽出液に添加するこ
と。
Description
詳しくは保存中に乳濁(クリ−ムダウン)を生じない茶
飲料の製造法に関する。
ウ−ロン茶などをペトルポット、缶や紙容器に充填して
長期保存する茶飲料が一般化している。これら茶飲料は
茶葉を温水や熱水で抽出した抽出液から調製されている
が、茶葉を熱水で抽出した抽出液を冷却した際、或は茶
飲料として長期保存するとクリ−ムダウンと呼ばれる乳
濁を生じる。この現象が起こると生産の障害になるだけ
でなく、茶飲料そのものの商品価値が著しく損なわれ
る。
ノ−ル類とカフェインが複合体を形成し、乳濁すると考
えられている。このクリ−ムダウンを防止する方法とし
て、抽出温度を下げる(特開昭53−24099号)、
(特開昭53−52696号)、(特開昭59−213
46号)、抽出した茶を冷却して強制的にクリ−ムダウ
ンを起こさせたものを遠心分離などで取り除く(特許第
2685220号)、(特許第2553116号)、タ
ンナ−ゼ処理をする(特開昭50−154462号)な
どの方法が提案されている。しかし、これらの方法では
製造直後のクリ−ムダウンは防止できても、長期保存中
のクリ−ムダウンを防止する方法としては不十分であっ
た。
蔗糖、オリゴ糖類などは、添加量を多くすると保存中の
クリ−ムダウン防止に有効であるが、効果が発揮される
程度に添加すると茶飲料に甘味や重い感じを生じて茶飲
料本来の味質を変えてしまう問題があった。また、サイ
クロデキストリンの添加もある程度効果があることが認
められているが、サイクロデキストリンが高価で実用化
に難点があった。
のデキストリンを5−30%溶解した水溶液で茶葉を抽
出する茶葉エクストラクトの製法が開示され、製造時及
び製造直後のクリ−ムダウンの防止に有効であることが
示されているが、缶やペットボトルなどに充填した茶飲
料のような長期保存を必要とする茶飲料は考慮されてい
ないし、期待もされていない。例えば、DE10程度以
下のデキストリンの溶液は特殊なものを除き老化し易
く、水溶液を長期保存するとそれ自体が白濁化するし、
特開平8−298930号の実施例1にはデキストリン
の添加でクリ−ムダウンを生じることが述べられてい
る。
開平6−32802号に該品の広範囲な利用し得る食品
の一つとして茶飲料が挙げられているが、これは該品の
食物繊維としての生理機能を利用する上でのもので、茶
飲料の品質改善を期待するものでも示唆するものでもな
い。
の防止策として多くの提案が見られ、製造時のクリ−ム
ダウンに関してはろ過や遠心分離が有効な手段として用
いられているが、保存中のクリ−ムダウンについては風
味を変化させないことを含めると、これまで満足できる
方法に欠け、保存中に乳濁を生じても目立たないように
缶や着色したペットボトルなど容器で工夫されていた。
する課題は、お茶本来の風味を有しながら、保存中のク
リ−ムダウンが顕著に改善された茶飲料を提供すること
である。
討を重ねた結果、特定のヨ−ド呈色を有する澱粉加水分
解物を用いることにより課題が解決出来ることを見いだ
して本発明を完成した。即ち、本発明は茶飲料の製造に
際し、460nm〜520nmにヨ−ド呈色を有する澱
粉加水分解物が茶飲料に0.5〜4質量%含まれるよう
に茶抽出液に添加することを特徴とする茶飲料の製造法
に関する。
ン茶、緑茶、プア−ル茶を単独及びこれらの混合茶、そ
の他麦茶、グァバ茶、はと麦など他の成分を複合した複
合茶の茶葉を温水乃至熱水で抽出した抽出液から調製し
た液体の飲料で、缶、ペットボトル、紙容器などに充填
して長期間に亙って飲用される飲料の他に、これら飲料
の調製用として或は飲用時希釈して用いられる茶抽出液
の濃縮タイプから調製した飲料を称する。
を糊化して、或は糊化しながらα−アミラ−ゼ又は塩酸
や蓚酸などの酸で一段で分解、酸又はα−アミラ−ゼで
分解後再度α−アミラ−ゼで分解する二段分解などの方
法で澱粉を分解したもの、及び(ロ)澱粉を焙焼した後
に酵素分解して得られる難消化性デキストリンを称し、
本発明ではこれらの中でも上述のヨ−ド呈色を有するも
のが有効である。通常、澱粉加水分解物はその分解度を
DE(ブド−糖量)で表すが、本発明で述べるヨ−ド呈
色とDEとは相関性がなく、DEで表すのは正確性に欠
けるが、一応の目安とすればDE5〜20程度に分解し
たものである。
の澱粉加水分解物の中でヨ−ド呈色を460nm〜52
0nmに有するものである。ヨ−ド呈色がこの範囲のど
ちらにはずれてもクリ−ムダウン防止効果が劣る、風味
が悪くなるなどの問題を生じる。
法による場合ではかなり厳密な製造条件を設定しないと
このヨ−ド呈色を有するものは得難いが、得られる一つ
の態様を挙げると以下のようである。先ず25〜40質
量%の澱粉スラリ−を調製し、これに適量の塩酸、蓚酸
などの酸又はα−アミラ−ゼを加え、加熱してDE5〜
7程度に一次分解し、次いで酸を用いた場合にはpH5
〜7に中和し、α−アミラ−ゼを用いた場合には加圧蒸
煮又は酸を添加して酵素を失活させて加水分解を一旦停
止した後、この液に新たにα−アミラ−ゼを添加してD
E11〜18程度に二次分解し、加圧蒸煮又は酸を添加
して酵素を失活させて反応を停止させ、必要に応じて脱
色、脱塩処理などの精製処理し、濃縮して液状の製品と
して、或は噴霧乾燥などの手段によって乾燥して粉末状
の製品を得る。
解すると、必要とするヨ−ド呈色を有する澱粉加水分解
物を得ることができるが、より容易に得る方法として、
(イ)の方法で得たDE5〜30程度の澱粉加水分解物
を疑似移動式連続クロマトグラフィ−や逆浸透膜、限外
濾過膜などを用いて該分解物の低分子区分及び/又は高
分子区分を分画除去して好ましいヨ−ド呈色を有する区
分を残す方法が挙げられ、より簡便でクリ−ムダウン防
止効果、風味ともより良好な澱粉加水分解物が得られる
好ましい方法としてDE15〜25程度に分解したもの
の低分子区分を除去する方法が挙げられる。
上述のものの他に、(ロ)の難消化性デキストリンがあ
る。これは澱粉を焙焼して得た焙焼デキストリンを澱粉
分解酵素で処理後、脱色、脱塩処理などの精製処理して
得られる難消化性部を含有するデキストリンで、詳しく
は例えば、特開平2−154664号に従って製造され
る。この場合、焙焼デキストリンの焙焼の程度によって
難消化部の含量が異なり、また難消化部の含量によって
ヨ−ド呈色が異なり、難消化部が多くなる程好ましいヨ
−ド呈色を示すので、難消化部が概ね55質量%以上、
好ましくは80質量%以上になるように焙焼デキストリ
ンの焙焼程度を行うか、或は難消化部以外を分画除去し
て製造する。
用する原料澱粉としては、市販されている各種澱粉、例
えば馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、コ−ンスタ−チ、ワキ
シ−コ−ンスタ−チ、米澱粉、サゴ澱粉などのいずれで
もよくて特に制限はないし、必要に応じてこれらの澱粉
を酸化、エ−テル化、エステル化などの加工処理をした
加工澱粉を使用することもできる。
は、所定の程度に加水分解し、精製した後に、ラネ−ニ
ッケルなどの還元触媒並びに必要に応じて適当な緩衝剤
を加え、水素圧5〜13MPa、温度50〜150℃程
度の条件で水素添加して得られる還元澱粉加水分解物や
還元難消化性デキストリンも、水素添加によってヨ−ド
呈色は変化せず、所定のヨ−ド呈色を有する限りに於て
同様に使用することができる。これら本発明で用いる澱
粉加水分解物は液状タイプ、噴霧乾燥、凍結乾燥、ドラ
ム乾燥など所望の方法で乾燥した粉末品、更にそれを造
粒した造粒品などその形状によって効果は変わらず、何
れであっても良い。尚、本発明で述べるヨ−ド呈色は、
局法デキストリンの確認試験に従って発色後、分光光度
計を用いて380〜800nmのスペクトルを測定し、
その最大吸収波長をもって表す。
〜520nmにヨ−ド呈色を有する澱粉加水分解物が茶
飲料に0.5〜4質量%含まれるように茶抽出液に添加
する茶飲料の製造法であり、茶飲料に本発明の澱粉加水
分解物が0.5〜4質量%含まれるように茶抽出液に添
加されれば、その他の茶飲料の製造法は従来の方法を踏
襲することができる。その一例としては、茶葉を温水乃
至熱水で抽出を行い、濾過、遠心分離などにより清澄化
して得た茶抽出液に澱粉加水分解物と、所望に応じて添
加される成分を加え、加熱殺菌してペットボトル充填、
或は加熱し、缶充填してレトルト殺菌するなどにより製
造される。
満たない量ではクリ−ムダウン防止効果に劣り、4質量
%を越えて多くなると風味が劣ったものになってくる。
但し、茶抽出液の濃縮タイプを用いる場合には、飲用時
上記添加量になるように、予めその希釈倍率に応じた量
を濃縮茶抽出液に添加しておくことにより、濃縮茶抽出
液の保存中のクリ−ムダウンも防止することができる。
えばレモン果汁などの天然酸味料、クエン酸、L−アス
コルビン酸などの酸味料、ソルビト−ル、エリスリト−
ル、異性化糖、フラクト−ス、砂糖などの甘味料や香
料、pH調整剤など従来より使用されてきた成分を所望
に応じて適宜用いることができる。また、これまで提案
されているクリ−ムダウン防止策を所望により適宜用い
ることを否定するものでもない。
らに詳しく説明する。尚、参考例、実施例で%は質量%
を表す。
耐熱性α−アミラ−ゼ(「クライスタ−ゼKD」大和化
成社製)を0.2%添加し、90℃でDE2−5に分解
されるまで加熱し、塩酸を加えてpH3.5に調整して
酵素を失活させて一次分解した。次いで苛性ソ−ダでp
H6.0にした後に再度α−アミラ−ゼを添加してDE
9に分解する二段分解法で加水分解し、酵素を失活させ
た後、活性炭で脱色し、イオン交換樹脂を通して脱塩
し、濃縮、噴霧乾燥して試料1の澱粉加水分解物を調製
した。
変えて一次分解をDE6とし、二次分解をその分解時間
を調製してDE11(試料2)、DE16(試料3)、
DE22(試料4)に分解した他は同様にして試料2〜
4の澱粉加水分解物を調製した。
塩酸を加えてDE6.5に一次分解し、中和後α−アミ
ラ−ゼで同様に二次分解してDE17とし、同様に処理
して試料5の澱粉加水分解物を調製した。
酸を添加してpH1.8とし130℃で30分間加熱し
てDE25の分解物を得た。中和後、活性炭による脱
色、イオン交換樹脂による脱塩を行った後、噴霧乾燥し
て試料6の澱粉加水分解物を調製した。
0322−1DOWEX99)を充填した擬似移動式連
続クロマトグラフィ−装置(日立製作所社製)により低
分子区分を分画除去して試料7を調製した。また、試料
4及び試料5を膜分画装置メンブランマスタ−ズRUW
−5A、膜モジュ−ルNTR−7450HG−S2(日
東電工社製)により低分子区分を除去して試料8及び試
料9の澱粉加水分解物を調製した。これらの物性値を表
1に示す。
85℃の脱イオン水で8分間抽出した(30倍抽出)。
粗濾過で茶殻を除去した後、ろ紙(アドバンテックN
o.2)を用いて吸引濾過した。この抽出液に各種澱粉
分解物、糖質を、最終の紅茶飲料に2%含まれるように
添加すると共にL−アスコルビン酸、炭酸ナトリュ−ム
を加えてpH5〜6、タンニン量50mg/100ml
になるように調製した。次いで85℃達温で缶詰し、1
20℃で10分殺菌して紅茶飲料を製造した。得られた
紅茶飲料を4℃に保存し、1か月及び3か月後に以下の
評価基準に従って評価し、その結果を表1に示す。
に採り、720nmに於ける吸光度を分光光度計で測定
して次式のクリ−ムダウン指数で表す。720nmの吸
光度が0.04を越えると、目視で白濁が起こっている
と認められるので、クリ−ムダウン指数が1.0を越え
るとクリ−ムダウンが生じていることになる。 クリ−ムダウン指数=試料の吸光度/0.04 〈風味試験〉下記基準に従って10名のパネラ−で官能
試験し、その平均点をもって表す。 4点:苦味又は渋味とうま味のバランスが極めて良く、
風味として極めて良好 3点:苦味又は渋味とうま味のバランスが良く、風味と
して良好 2点:甘味又はこく味がやや強過ぎる、或は雑味又は重
い感じがややある、或は香りがやや不足して全体のバラ
ンスがやや悪く、風味としてやや悪い 1点:甘味又はこく味が強過ぎる、或は雑味又は重い感
じがある、或は香りが不足して全体のバランスが悪く、
風味として悪い
還元澱粉加水分解物 2) 松谷化学工業社製の難消化性デキストリン「ファイ
バ−ソル2」で、難消化部を90%含有 3) 「ファイバ−ソル2」をラネ−ニッケルを触媒にし
て水素添加した還元難消化性デキストリンで、難消化部
を90%含有 4) グラニュ−糖を5%添加
として用い、その添加量を表2に示すように替えた他は
同様にして紅茶飲料を調製し、同様に評価してその結果
を表2に示す。
75℃の脱イオン水で5分間抽出した(30倍抽出)。
粗濾過で茶殻を除去した後、ろ紙(アドバンテックN
o.2)を用いて吸引濾過した。この抽出液に実施例1
で用いた難消化性デキストリン(「ファイバ−ソル2」
松谷化学工業社製)を最終の紅茶飲料に2.5%含まれ
るように添加すると共に、レモン果汁1%、L−アスコ
ルビン酸(300ppm)を添加し、紅茶飲料のタンニ
ン量が40mg/100ml、pH3.9になるように
調製した。この紅茶飲料を3か月4℃に保存した後、実
施例1に従って評価したところ、クリ−ムダウン指数は
0.8、風味試験3.3と良好であった。
900mlで4分間抽出し、粗濾過で茶殻を除去した
後、ろ紙(アドバンテックNo.2)で吸引濾過して7
50mlの抽出液を得た。この抽出液250mlに試料
7の澱粉加水分解物10g、L−アスコルビン酸200
ppm、炭酸水素ナトリュ−ムをpH5〜6になるよう
に添加し、1000mlにメスアップした。これを85
℃達温で缶詰し、120℃で10分間殺菌してウ−ロン
茶飲料を得た。得られたウ−ロン茶飲料を4℃に3か月
保存したものは、目視による白濁化は見られず、試飲す
ると風味も良好であった。
0mlで5分間抽出し、粗濾過で茶殻を除去した後、ろ
紙(アドバンテックNo.5C)を用いて吸引濾過して
750mlの抽出液を得た。この抽出液250mlに実
施例1で用いた試料8に水素添加した還元澱粉加水分解
物10gを添加すると共に、L−アスコルビン酸200
ppm、炭酸水素ナトリュ−ムをpH5〜6になるよう
に添加し、1000mlにメスアップした。これを85
℃達温で缶詰し、120℃で10分間殺菌して緑茶飲料
を製造した。得られた飲料を4℃で3か月間保存したも
のはクリ−ムダウン、風味とも良好であった。
85℃の脱イオン水で8分間抽出した(30倍抽出)。
粗濾過で茶殻を除いた後、ろ紙(アドバンテックNo.
2)を用いて吸引濾過し、ろ液をエバポレ−タ−を用い
て濃縮した茶抽出液に実施例1で用いた難消化性デキス
トリン(「ファイバ−ソル2」松谷化学工業社製)が3
5%含まれるように添加すると共にタンニン量が500
ml/100mlになるように調整して澱粉加水分解物
を含む濃縮茶抽出液を得た。これを4℃に1週間保存
後、10倍希釈して得た茶飲料はクリ−ムダウンがな
く、風味も良好であった。
ル茶を2:2:1に混合)30gを95℃の脱イオン水
900mlで5分間抽出した。これを実施例5と同様に
処理して複合茶飲料を製造した。得られた飲料を同様に
保存したものはクリ−ムダウン、風味とも良好であっ
た。
Claims (3)
- 【請求項1】茶飲料の製造に際し、460nm〜520
nmにヨ−ド呈色を有する澱粉加水分解物が茶飲料に
0.5〜4質量%含まれるように茶抽出液に添加するこ
とを特徴とする茶飲料の製造法。 - 【請求項2】澱粉加水分解物が澱粉をDE約15−25
に分解後、460〜520nmにヨ−ド呈色を有するよ
うに低分子区分を除去したものである請求項1に記載の
茶飲料の製造法。 - 【請求項3】澱粉分解物が難消化部を80質量%以上含
有する難消化性デキストリンである請求項1に記載の茶
飲料の製造法。 【0001】
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