JP2002308625A - スピネル型マンガン酸リチウムの製造方法 - Google Patents
スピネル型マンガン酸リチウムの製造方法Info
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Abstract
高温特性を向上させたスピネル型マンガン酸リチウムの
製造方法を提供する。 【解決手段】 電解析出した二酸化マンガンを粉砕後、
水酸化ナトリウムもしくは炭酸ナトリウムで中和し、p
Hを2以上とし、その比表面積が50m2/g以上である
電解二酸化マンガンと、リチウム原料とを混合し、焼成
する。
Description
酸リチウムの製造方法に関し、詳しくは、非水電解質二
次電池用正極材料とした時に、Mnの溶出量を抑制し、
高温保存特性、高温サイクル特性等の電池の高温特性を
向上させたスピネル型マンガン酸リチウムの製造方法に
関する。
のパソコンや電話等のポータブル化、コードレス化の急
速な進歩によりそれらの駆動用電源としての二次電池の
需要が高まっている。その中でも非水電解質二次電池は
最も小型かつ高エネルギー密度を持つため特に期待され
ている。上記の要望を満たす非水電解質二次電池の正極
材料としてはコバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル
酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)
等がある。これらの複合酸化物はリチウムに対し4V以
上の電圧を有していることから、高エネルギー密度を有
する電池となり得る。
理論容量が280mAh/g程度であるのに対し、LiMn2O4
は148mAh/gと小さいが、原料となるマンガン酸化物
が豊富で安価であることや、LiNiO2のような充電時の熱
的不安定性がないことから、EV用途に適していると考
えられている。
iMn2O4) は、高温においてMnが溶出するため、高温保
存性、高温サイクル特性等の高温での電池特性に劣ると
いう問題がある。
池用正極材料とした時に、充電時のMn溶出量を抑制
し、高温保存性、高温サイクル特性等の高温での電池特
性を向上させたスピネル型マンガン酸リチウムの製造方
法および該マンガン酸リチウムからなる正極材料、並び
に該正極材を用いた非水電解質二次電池を提供すること
にある。
チウムに用いるマンガン原料としてさまざまなマンガン
化合物の研究がなされている。電解二酸化マンガンは安
価、豊富であることから、スピネル型マンガン酸リチウ
ムのマンガン原料として好適である。リチウム一次電池
の正極活物質には比表面積の高い電解二酸化マンガンを
特定の温度で焼成したものが用いられている。この電解
二酸化マンガンの比表面積は電解条件に依存する。ま
た、アルカリマンガン電池用途にはソーダ中和が施され
る。ソーダ中和された電解二酸化マンガン中には少量の
ナトリウムが残留することが知られており、このナトリ
ウム量は中和条件に依存する。
面積及び中和条件に着目し、これを特定することによ
り、得られたスピネル型マンガン酸リチウムが上記目的
を達成し得ることを知見した。
で、第1のスピネル型マンガン酸リチウムの製造方法の
発明は、電解析出した二酸化マンガンを粉砕後、水酸化
ナトリウムもしくは炭酸ナトリウムで中和し、pHを2
以上とし、その比表面積が50m2/g以上である電解二
酸化マンガンと、リチウム原料とを混合し、焼成するこ
とを特徴とする。
焼成が750℃以上で行われることを特徴とする。
て、上記粉砕後の二酸化マンガンの平均粒径が5〜30
μmであることを特徴とする。
明は、第1乃至第3のいずれか一の発明によって得られ
たスピネル型マンガン酸リチウムからなることを特徴と
する。
第4の正極材料を用いた正極とリチウムを吸蔵、脱蔵で
きる負極と非水電解質とから構成されることを特徴とす
る。
本発明において、スピネル型マンガン酸リチウムのマン
ガン原料として、電解二酸化マンガンを用いる。本発明
における電解二酸化マンガンは、次の方法によって得ら
れる。電解液として所定濃度の硫酸マンガン溶液を用
い、陰極にカーボン板、陽極にチタン板を用い、加温し
つつ、一定の電流密度で電解を行い、陽極に二酸化マン
ガンを電析させる。次に、電析した二酸化マンガンを陽
極から剥離し、所定粒度に粉砕する。
平均粒径5〜30μmに粉砕するのが好ましい。これ
は、粒度は細かいほど電流負荷率が向上して好ましい
く、一方平均粒径が30μmを超えると、正極材料とし
て形成される膜にひび割れ等が発生し、均一が膜厚が形
成しにくくなるからである。
ガンは、ナトリウム中和後、水洗、乾燥する。ナトリウ
ム中和としては、具体的には水酸化ナトリウムまたは炭
酸ナトリウムで中和される。なお、粉砕、中和の順序は
特に限定されず、中和後、粉砕してもよい。
以上、好ましくは2〜5.5、さらに好ましくは2〜4で
ある。これはpHが高いほど、高温でのMn溶出量は低
減されるが、初期放電容量が減少する。pHが2未満で
はその効果は不十分である。
面積は50m2/g以上である。比表面積が50m2/g以
下だとリチウム原料との反応性が悪くなり、均一なもの
が得られないためMn溶出量が低減されない。また、比
表面積が50m2/g以上の電解二酸化マンガンでは、均
一なスピネル型マンガン酸リチウムを得ることはできる
が、比表面積も高くなるため電解液との反応面積も高く
なりMn溶出量は低減されない。そこでナトリウム中和
することで残存したナトリウムが焼成したときに均一に
分散して反応したことによりMn溶出量が低減される。
チウム原料と混合し、焼成してスピネル型マンガン酸リ
チウムを得る。リチウム原料としては、炭酸リチウム
(Li2CO3)、硝酸リチウム(LiNO3)、水酸化リチウム
(LiOH)等が挙げられる。電解二酸化マンガンとリチウ
ム原料のLi/Mnモル比は0.50〜0.60が好まし
い。
原料は、より大きな反応面積を得るために、原料混合前
あるいは後に粉砕することも好ましい。秤量、混合され
た原料はそのままでもあるいは造粒して使用してもよ
い。造粒方法は、湿式でも乾式でもよく、押し出し造
粒、転動造粒、流動造粒、混合造粒、噴霧乾燥造粒、加
圧成型造粒、あるいはロール等を用いたフレーク造粒で
もよい。
投入され、600〜1000℃で焼成することによっ
て、スピネル型マンガン酸リチウムが得られる。単一相
のスピネル型マンガン酸リチウムを得るには600℃程
度でも十分であるが、焼成温度が低いと粒成長が進まな
いので750℃以上の焼成温度、好ましくは850℃以
上の焼成温度が必要となる。ここで用いられる焼成炉と
しては、ロータリーキルンあるいは静置炉等が例示され
る。焼成時間は1時間以上、好ましくは5〜20時間で
ある。
するスピネル型マンガン酸リチウムが得られる。ナトリ
ウムの含有量は0.07〜2.5重量%が好ましい。このナ
トリウムを含有するスピネル型マンガン酸リチウムは非
水電解質二次電池の正極材料として用いられる。
極材料とカーボンブラック等の導電材とテフロン(登録
商標)バインダー等の結着剤とを混合して正極合剤と
し、また、負極にはリチウムまたはカーボン等のリチウ
ムを吸蔵、脱蔵できる材料が用いられ、非水系電解質と
しては、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)等のリチウム
塩をエチレンカーボネート−ジメチルカーボネート等の
混合溶媒に溶解したものが用いられるが、特に限定され
るものではない。
のマンガンの溶出を抑制することができるので、高温保
存、高温サイクル特性等の高温での電池特性を向上させ
ることかできる。
明するが、本発明は特にこれに限定されるものではな
い。
酸濃度10g/l、マンガン濃度55g/lの硫酸マン
ガン水溶液を調製した。この電解液の温度を90℃とな
るように加温して、陰極にカーボン板、陽極にチタン板
を用いて、90A/m2 の電流密度で電解を行った。次
いで、陽極に電析した二酸化マンガンを剥離し、7mm
以下のチップに粉砕し、さらにこのチップを平均粒径約
20μmに粉砕した。
ルの水で洗浄し、洗浄水を排出後、再度20リットルの
水を加えた。ここに水酸化ナトリウム110gを溶解
し、攪拌しながら24時間中和処理し、水洗、濾過後、
乾燥(50℃、12時間)した。得られた粉末につい
て、JIS K14677−1984に従って測定したp
H、ナトリウム含有量、および比表面積を「表1」に示
す。
1kgにLi/Mnモル比が0.54となるように炭酸リ
チウムを加えて混合し、箱型炉中、800℃で20時間
焼成してスピネル型マンガン酸リチウムを得た。
ン酸リチウムを80重量部、導電剤としてカーボンブラ
ック15重量部および結着剤としてポリ四フッ化エチレ
ン5重量部を混合して正極合剤を作製した。この正極合
剤を用いて図1に示すコイン型非水電解質二次電池を作
製した。すなわち、耐有機電解液性のステンレス鋼製の
正極ケース1の内側には同じくステンレス鋼製の集電体
3がスポット熔接されている。集電体3の上面には上記
正極合剤からなる正極5が圧着されている。正極5の上
面には、電解液を含浸した微孔性のポリプロピレン樹脂
製のセパレータ6が配置されている。正極ケース1の開
口部には、下方に金属リチウムからなる負極4を接合し
た封口板2が、ポリプロピレン製のガスケット7を挟ん
で配置されており、これにより電池は密封されている。
封口板2は、負極端子を兼ね、正極ケース1と同様のス
テンレス鋼製である。電池の直径は20mm、電池総高
1.6mmである。電解液には、エチレンカーボネートと
1,3−ジメトキシエタンを等体積混合したものを溶媒
とし、これに溶質として六フッ化リン酸リチウムを1mo
l/リットル溶解させたものを用いた。
電試験を行った。充放電試験は20℃において行われ、
電流密度を0.5mA/cm2 とし、電圧4.3Vから3.0
Vの範囲で行った。また、この電池を4.3Vで充電し、
80℃の環境下で3日間保存した後、これらの電池の放
電容量を容量維持率として電池の保存特性を確認した。
初期放電容量および高温保存容量維持率の測定結果を
「表1」に示す。
際の水酸化ナトリウム添加量を45gとした以外は、実
施例1と同様にスピネル型マンガン酸リチウムの合成を
行った。中和後のpH、ナトリウム含有量、および比表
面積を「表1」に示す。また、このスピネル型マンガン
酸リチウムを正極材料として実施例1と同様にしてコイ
ン型非水電解質二次電池を作製し、初期放電容量および
高温保存容量維持率を測定し、その結果を「表1」に示
す。
際の水酸化ナトリウム添加量を75gとした以外は、実
施例1と同様にスピネル型マンガン酸リチウムの合成を
行った。中和後のpH、ナトリウム含有量、および比表
面積を「表1」に示す。また、このスピネル型マンガン
酸リチウムを正極材料として実施例1と同様にしてコイ
ン型非水電解質二次電池を作製し、初期放電容量および
高温保存容量維持率を測定し、その結果を「表1」に示
す。
際の水酸化ナトリウム添加量を140gとした以外は、
実施例1と同様にスピネル型マンガン酸リチウムの合成
を行った。中和後のpH、ナトリウム含有量、および比
表面積を「表1」に示す。また、このスピネル型マンガ
ン酸リチウムを正極材料として実施例1と同様にしてコ
イン型非水電解質二次電池を作製し、初期放電容量およ
び高温保存容量維持率を測定し、その結果を「表1」に
示す。
際の水酸化ナトリウム添加量を200gとした以外は、
実施例1と同様にスピネル型マンガン酸リチウムの合成
を行った。中和後のpH、ナトリウム含有量、および比
表面積を「表1」に示す。また、このスピネル型マンガ
ン酸リチウムを正極材料として実施例1と同様にしてコ
イン型非水電解質二次電池を作製し、初期放電容量およ
び高温保存容量維持率を測定し、その結果を「表1」に
示す。
際の水酸化ナトリウム添加量を280gとした以外は、
実施例1と同様にスピネル型マンガン酸リチウムの合成
を行った。中和後のpH、ナトリウム含有量、および比
表面積を「表1」に示す。また、このスピネル型マンガ
ン酸リチウムを正極材料として実施例1と同様にしてコ
イン型非水電解質二次電池を作製し、初期放電容量およ
び高温保存容量維持率を測定し、その結果を「表1」に
示す。
外は、実施例1と同様にスピネル型マンガン酸リチウム
の合成を行った。中和後のpH、ナトリウム含有量、お
よび比表面積を「表1」に示す。また、このスピネル型
マンガン酸リチウムを正極材料として実施例1と同様に
してコイン型非水電解質二次電池を作製し、初期放電容
量および高温保存容量維持率を測定し、その結果を「表
1」に示す。
外は、実施例1と同様にスピネル型マンガン酸リチウム
の合成を行った。中和後のpH、ナトリウム含有量、お
よび比表面積を「表1」に示す。また、このスピネル型
マンガン酸リチウムを正極材料として実施例1と同様に
してコイン型非水電解質二次電池を作製し、初期放電容
量および高温保存容量維持率を測定し、その結果を「表
1」に示す。
酸濃度50g/l、マンガン濃度40g/lの硫酸マン
ガン水溶液を調製した。この電解液の温度を95℃とな
るように加温して、陰極にカーボン板、陽極にチタン板
を用いて、60A/m2 の電流密度で電解を行った。こ
れ以外は実施例1と同様にスピネル型マンガン酸リチウ
ムの合成を行った。中和後のpH、ナトリウム含有量、
および比表面積を「表1」に示す。また、このスピネル
型マンガン酸リチウムを正極材料として実施例1と同様
にしてコイン型非水電解質二次電池を作製し、初期放電
容量および高温保存容量維持率を測定し、その結果を
「表1」に示す。
行わなかった(水酸化ナトリウム添加量0g)とした以
外は、比較例1と同様にスピネル型マンガン酸リチウム
の合成を行った。中和後のpH、ナトリウム含有量、お
よび比表面積を「表1」に示す。また、このスピネル型
マンガン酸リチウムを正極材料として実施例1と同様に
してコイン型非水電解質二次電池を作製し、初期放電容
量および高温保存容量維持率を測定し、その結果を「表
1」に示す。
行わなかった(水酸化ナトリウム添加量0g)とした以
外は、実施例1と同様にスピネル型マンガン酸リチウム
の合成を行った。中和後のpH、ナトリウム含有量、お
よび比表面積を「表1」に示す。また、このスピネル型
マンガン酸リチウムを正極材料として実施例1と同様に
してコイン型非水電解質二次電池を作製し、初期放電容
量および高温保存容量維持率を測定し、その結果を「表
1」に示す。
の平均粒径を5μmとした以外は実施例1と同様にスピ
ネル型マンガン酸リチウムの合成を行った。このスピネ
ル型マンガン酸リチウムを正極材料として実施例1と同
様にしてコイン型非水電解質二次電池を作製し、2種の
電流密度、0.5mA/cm2 と1.0mA/cm2 で評価
し、0.5mA/cm2 の電流密度の放電容量を100と
し、1.0mA/cm2 での放電容量比率を電流負荷率と
して表した。「表2」に電流負荷率を示す。
型非水電解質二次電池について実施例9と同様の評価を
行った。「表2」に電流負荷率を示す。
時の平均粒径を30μmとした以外は、実施例1と同様
にスピネル型マンガン酸リチウムの合成を行った。この
スピネル型マンガン酸リチウムを正極材料として実施例
1と同様にしてコイン型非水電解質二次電池を作製し、
実施例9と同様の評価を行った。「表2」に電流負荷率
を示す。
の平均粒径を35μmとした以外は、実施例1と同様に
スピネル型マンガン酸リチウムの合成を行った。このス
ピネル型マンガン酸リチウムを正極材料として実施例1
と同様にしてコイン型非水電解質二次電池を作製し、実
施例9と同様の評価を行った。「表2」に電流負荷比率
を示す。
で得られたスピネル型マンガン酸リチウムを非水電解質
二次電池用正極材料として用いることによって、充電時
のMn溶出量を抑制し、高温保存特性、高温サイクル特
性等の高温での電池特性を向上させ、また電流負荷率を
改善することができる。
池の縦断面図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 電解析出した二酸化マンガンを粉砕後、
水酸化ナトリウムもしくは炭酸ナトリウムで中和し、p
Hを2以上とし、その比表面積が50m2/g以上である
電解二酸化マンガンと、リチウム原料とを混合し、焼成
することを特徴とするスピネル型マンガン酸リチウムの
製造方法。 - 【請求項2】 請求項1において、 上記焼成が750℃以上で行われることを特徴とするス
ピネル型マンガン酸リチウムの製造方法。 - 【請求項3】 請求項1又は2において、 上記粉砕後の二酸化マンガンの平均粒径が5〜30μm
であることを特徴とするスピネル型マンガン酸リチウム
の製造方法。 - 【請求項4】 上記請求項1乃至3のいずれか一項に記
載の製造方法によって得られたスピネル型マンガン酸リ
チウムからなることを特徴とする非水電解質二次電池用
正極材料。 - 【請求項5】 上記請求項4に記載の正極材料を用いた
正極とリチウムを吸蔵、脱蔵できる負極と非水電解質と
から構成されることを特徴とする非水電解質二次電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001111204A JP4806755B2 (ja) | 2001-04-10 | 2001-04-10 | スピネル型マンガン酸リチウムの製造方法 |
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