JP3590496B2 - 非水リチウム二次電池用のリチウムマンガン複合酸化物の製造方法及びその用途 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サイクル特性に優れた非水リチウム二次電池用リチウムマンガン複合酸化物の製造方法及びその用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
非水リチウム二次電池の正極材料としては、これまでにチタンやモリブデンの硫化物や酸化物、並びにバナジウムやリンの酸化物等が提案されているが、これらは保存性が悪く高価なため、未だ実用化されるまでには至っていない。
一方、非水一次電極の正極活物質としては二酸化マンガンが代表的に用いられ、既に実用化されている。
二酸化マンガンは、資源的にも豊富で安価であり、更に化学的に安定であるため、電池としての保存性に優れている。しかしながら、二酸化マンガンは可逆性に難があるため、非水系二次電池の正極活物質としては不適当であり、そのため改質されたマンガン酸化物が種々提案されている。
【0003】
例えば、特開昭63−114064号や、特開昭63−187569号、特開平1−235158号の各公報に開示されているように、二酸化マンガンと、リチウム塩との混合物を熱処理して、その結晶構造中にリチウムを含有したマンガン酸化物が提案されている。
これらのマンガン酸化物は熱処理温度によって、生成するリチウム含有マンガン酸化物の構造が異なり、例えば、熱処理温度が250〜300℃では、X線回折図において、2θ=22°、31.7°、37°、42°、55°付近にピークを有する結晶構造のマンガン酸化物となり、300〜430℃では、Li2 MnO3 を含有したマンガン酸化物となり、そして800〜900℃では、スピネル型構造を有するマンガン酸化物となる。
【0004】
また、これらの改良法では二酸化マンガンとリチウム塩とを固相同志で反応させるため、二酸化マンガン粒子の内部まで改質が及ばず、高電流密度での充放電サイクルでは劣化が早いという欠点があった。
そこで、例えば特開平2−183963号公報に開示されているように、リチウム塩を溶解した水溶液中に二酸化マンガンを浸漬し、水分を蒸発乾固した後に熱処理し、二酸化マンガン粒子の細孔内部にまで改質反応を進める方法が提案されている。
しかしながら、これまでに提案されているリチウム含有二酸化マンガンでは、電気化学活性が不十分であり、正極に用いた場合、優れた初期容量及び容量保持率を有し、優れたサイクル特性を有する非水リチウム二次電池を製造することは困難であった。
【0005】
なお、特開平6−203834号や、特開平7−245106号、特開平7−307155号の各公報には、二酸化マンガン又はマンガン塩と、リチウム塩との混合物を熱処理して、リチウムイオン電池用のリチウムとマンガンとの複合酸化物が提案されている。しかしながら、何れの技術でも、高い初期容量及び長期の容量保持率を提供するリチウムマンガン複合酸化物は得られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、優れた初期容量及び容量保持率を有し、サイクル特性に優れた非水リチウム二次電池を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、水酸化リチウムと、二酸化マンガン及び炭酸マンガンから選ばれるマンガン化合物とを湿式で混合し、得られたスラリーを乾燥した後、解砕し、350〜500℃で一次焼成し、45℃以下に冷却し、再度解砕した後、600〜800℃で二次焼成することにより、サイクル特性に優れた非水リチウム二次電池を製造することのできるリチウムマンガン複合酸化物が得られることを見出し、本発明に到達したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について更に詳細に説明する。
本発明で使用する水酸化リチウムは、LiOH・H2 Oで示される一水塩として市販されるものが使用される。
本発明で使用されるマンガン化合物としては、二酸化マンガン又は炭酸マンガンが使用される。
二酸化マンガン又は炭酸マンガンとしては、各種の材料を使用することができる。例えば、二酸化マンガンとして、マンガン鉱石を400℃以上の温度で焼結して得られる Mn2O3又は Mn3O4等の低級マンガン酸化物を硫酸や硝酸、又はこれらの混合物等の鉱酸により不均化反応させることによって得られる化学合成二酸化マンガンを使用することができる。また、電解によって得られる電解二酸化マンガンを使用することができる。
【0009】
水酸化リチウムと、マンガン化合物とは湿式で混合する。湿式混合では、水酸化リチウムは、スラリー状に水溶解した状態にあり、この溶解した水酸化リチウムが、マンガン化合物中に高度に分散された状態となるので、後述する工程を経て得られるリチウムマンガン複合酸化物は、組成的に非常に均一となり、従って、放電容量の高いものとなる。これに対して、これらの化合物を乾式で混合すると、混合が不十分となるため、得られるリチウムマンガン複合酸化物におけるマンガン酸リチウムの組成が不均一となり、放電容量の高いリチウムマンガン複合酸化物を得ることができない。
湿式混合は、例えば、水酸化リチウム(LiOH・H2 O)と、マンガン化合物とを、通常、LiとMnとのモル比が1:1.8〜1:2.2、好ましくは、1:1.9〜1:2.1となるように配合し、水を加えて、スラリー状とし、これをポットミルを用いて混合することによって行う。水の量は、水酸化リチウム及びマンガン化合物の量に基づいて、例えば、10〜40重量%、好ましくは15〜25重量%である。10%以下では、水酸化リチウムの溶解量が十分でなく、かつ粘度が高く分散が困難である。40%以上では、乾燥速度が遅くなることと乾燥中の固液分離が大きくなり、リチウムの均一分散を大きく阻害する。
【0010】
得られたスラリーは、次いで、好適には70〜180℃、好ましくは130〜160℃で乾燥する。乾燥温度が、70℃よりも低い場合には、乾燥速度が遅くなり、生産効率が落ちるので好ましくない。一方、180℃を越えると、乾燥機自体の高性能化が必要であり、装置設備コスト、ひいては操業コストがかかるので経済的に好ましくない。また、LiとMnとの接触時間が相対的に短くなり、MnへのLiの浸透反応時間が短くなるので、好ましくない。
得られた乾燥物は、次いで、解砕する。乾燥解砕物の平均粒径は、通常、100〜20μm 、好ましくは80〜40μm であることが、好ましい。100μm 以上では解砕、均一混合が十分でない。20μm 以下では解砕過剰で、化合物の構造を破壊する懸念がある。更に作業者への微粉吸入を増大させる。
【0011】
このようにして得られた粒状物は、次いで、350〜500℃、好ましくは400〜500℃、更に好ましくは450〜500℃の温度において焼成する。水酸化リチウムの融点は、445℃であるので、500℃以下の温度で焼成することにより、リチウムイオンがマンガン化合物の細孔内部に、浸透し、均一なマンガン酸リチウムが得られる。
このようにして得られた焼成物は、一旦、45℃以下、好ましくは25℃以下、更に好ましくは20℃以下に冷却した後、再度二次解砕する。下限としては、実際の操作上として、0℃以上が適当である。この冷却操作によって、更に均一なリチウムマンガン複合酸化物を得ることが出来る。二次解砕は、一次焼成前の解砕の場合と同様である。
【0012】
二次解砕物は、次いで、2回目の焼成(二次焼成)を行う。この二次焼成は、600〜800℃、好ましくは650〜750℃、特に好ましくは680〜720℃で行う。この二次焼成により、組成の均一化及び未反応物の反応促進を効率良く達成することができるので、高容量のリチウムマンガン複合酸化物を得ることができる。また、600〜800℃で焼成することにより、反応は完結する。二次焼成温度が600℃未満では、反応が不十分のため、リチウムマンガン複合酸化物の結晶性は不十分となるだけでなく、未反応物の残留や、副生成物が生じ、正極活物質として十分な特性が得られない。一方、800℃を越えると、リチウムマンガン複合酸化物の結晶性が高くなり過ぎるために、リチウムイオンの挿入、脱離による結晶崩壊が起こり易くなり、リチウムマンガン複合酸化物のサイクル特性が低下する。
【0013】
得られたリチウムマンガン複合酸化物は、非水リチウム二次電池の正極材料として使用する。正極材料としての使用方法等は、従来の正極材料の使用方法等の場合と同様である。この場合、非水リチウム二次電池における負極としては、従来より使用されている金属リチウムや、リチウム合金及びリチウムがドープ、脱ドープできる炭素質素材や、酸化物等を使用することができる。
【0014】
【実施例】
以下、実施例により、本発明について更に詳細に説明する。
実施例1
水酸化リチウム(LiOH・H2 O)と、電解二酸化マンガンとを、LiとMnとのモル比が1:2となるように、配合し、配合物の合計の20重量%の脱イオン水を加えて、スラリーを形成した。このスラリーをポットミル中で混合した後、150℃で乾燥し、次いで、解砕した。解砕物の平均粒径は、60μm であった。この解砕物を、大気雰囲気下で470℃、12時間一次焼成した。次いで、焼成物を室温(20℃)まで下げた後、平均粒径が55μm となるように解砕し、大気雰囲気下で700℃、12時間二次焼成した。
得られた焼成物のX線回折及び化学分析の結果から、リチウムマンガン複合酸化物の組成は、LiMn2 O4 であるマンガン酸リチウムであることが確認できた。
この焼成物を正極活物質として、82重量部を使用し、更に、アセチレンブラック10重量部、バインダーとしてポリ弗化ビニリデン8重量部を予めN−メチル−2−ピロリドン58重量部に溶解したものを加えて十分に混合し、ペーストを得た。
このペーストをアルミニウム網に塗布し、圧着、乾燥させることによって正極板を作成した。対極には、正極と同じ大きさの金属リチウム板を使用し、正極電位測定には金属リチウム基準電極を用いた。
電解液とし1mol/dm3 のLiPF6 を溶解したエチレンカーボネート及びジエチルカーボネート1:1の混合溶媒を用いることによって試験電池を作成した。
【0015】
実施例2
正極活物質を生成するに際し、電解二酸化マンガンを化学合成二酸化マンガンに代えること以外は、実施例1と同様にして試験電池を作成した。
実施例3
マンガン化合物として炭酸マンガン(MnCO3 )を使用すること以外は、実施例1と同様にして試験電池を作成した。
【0016】
比較例1
水酸化リチウム(LiOH・H2 O)と、電解二酸化マンガンとを、LiとMnとのモル比が1:2になるように調整し、これをポットミルを用いて水を使わず乾式混合を行った以外は、実施例1と同様にして試験電池を作成した。
比較例2
電解二酸化マンガンを化学合成二酸化マンガンに代えたこと以外は、比較例1と同様にして試験電池を作成した。
比較例3
水酸化リチウム(LiOH・H2 O)と、電解二酸化マンガンとを、LiとMnとのモル比が1:2となるように配合し、配合物合計の20重量%の脱イオン水を加えて、スラリーを調製した。このスラリーをポットミル中で湿式混合を行い、150℃で乾燥した後、平均粒径60μm の粒子に解砕し、次いで、得られた粒子を大気雰囲気下で700℃、12時間一次焼成した。この焼成物を正極活物質として用いた以外は、実施例1と同様にして試験電池を作成した。
比較例4
水酸化リチウム(LiOH・H2 O)と、電解二酸化マンガンとを、LiとMnとのモル比が1:2となるように配合し、配合物合計の20重量%の脱イオン水を加えて、スラリーを調製し、これをポットミル中で湿式混合を行った。このスラリーを、150℃で乾燥した後、平均粒径が60μm の粒子に解砕し、大気雰囲気下で470℃、12時間一次焼成し、続けて更に700℃、12時間二次焼成した。この焼成物を正極活物質として用いた以外は、実施例1と同様にして試験電池を作成した。
比較例5(特開平6−203834号公報記載の技術)
酢酸リチウムと、酢酸マンガン四水和物とを1:2のモル比となるように、配合し、配合物合計の220重量%のエチレングリコール中で加熱溶解し、酢酸臭がなくなり、エチレングリコールが除去されるまで加熱を続け、固化させた。次いで、得られた混合物を400℃で3時間熱処理し、空気中700℃で焼成し、得られた焼成物を実施例1と同様にしてペースト状にし、試験電池を作成した。
【0017】
特性試験
以上のようにして作成した試験電池を電流密度0.5mA/cm2 の定電流で4.3Vまで充電した後、3.0Vまで放電する充放電サイクルを繰り返すことによって放電特性を評価した。その際、1サイクル目の放電容量を初期容量(mAh/g)とし、初期容量に対する10サイクル目の放電容量を容量保持率(%)とした。結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
表1に示すように、本発明の実施例1〜3の電池は、所定の充放電条件下で、高い初期容量及び容量保持率が得られた。
一方、正極活物質を生成するに際し、乾式混合を行った比較例1及び2、700℃における一次焼成のみの比較例3、一次焼成後、室温まで冷却することなしに二次焼成を行なう比較例4、公知例に従って製造した比較例5では、初期容量、容量保持率は低く、サイクル特性が悪かった。
【0019】
【発明の効果】
本発明の方法によって製造したリチウムマンガン複合酸化物は、非水リチウム二次電池の正極として使用する場合に、サイクル特性に優れた非水リチウム二次電池を提供する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、サイクル特性に優れた非水リチウム二次電池用リチウムマンガン複合酸化物の製造方法及びその用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
非水リチウム二次電池の正極材料としては、これまでにチタンやモリブデンの硫化物や酸化物、並びにバナジウムやリンの酸化物等が提案されているが、これらは保存性が悪く高価なため、未だ実用化されるまでには至っていない。
一方、非水一次電極の正極活物質としては二酸化マンガンが代表的に用いられ、既に実用化されている。
二酸化マンガンは、資源的にも豊富で安価であり、更に化学的に安定であるため、電池としての保存性に優れている。しかしながら、二酸化マンガンは可逆性に難があるため、非水系二次電池の正極活物質としては不適当であり、そのため改質されたマンガン酸化物が種々提案されている。
【0003】
例えば、特開昭63−114064号や、特開昭63−187569号、特開平1−235158号の各公報に開示されているように、二酸化マンガンと、リチウム塩との混合物を熱処理して、その結晶構造中にリチウムを含有したマンガン酸化物が提案されている。
これらのマンガン酸化物は熱処理温度によって、生成するリチウム含有マンガン酸化物の構造が異なり、例えば、熱処理温度が250〜300℃では、X線回折図において、2θ=22°、31.7°、37°、42°、55°付近にピークを有する結晶構造のマンガン酸化物となり、300〜430℃では、Li2 MnO3 を含有したマンガン酸化物となり、そして800〜900℃では、スピネル型構造を有するマンガン酸化物となる。
【0004】
また、これらの改良法では二酸化マンガンとリチウム塩とを固相同志で反応させるため、二酸化マンガン粒子の内部まで改質が及ばず、高電流密度での充放電サイクルでは劣化が早いという欠点があった。
そこで、例えば特開平2−183963号公報に開示されているように、リチウム塩を溶解した水溶液中に二酸化マンガンを浸漬し、水分を蒸発乾固した後に熱処理し、二酸化マンガン粒子の細孔内部にまで改質反応を進める方法が提案されている。
しかしながら、これまでに提案されているリチウム含有二酸化マンガンでは、電気化学活性が不十分であり、正極に用いた場合、優れた初期容量及び容量保持率を有し、優れたサイクル特性を有する非水リチウム二次電池を製造することは困難であった。
【0005】
なお、特開平6−203834号や、特開平7−245106号、特開平7−307155号の各公報には、二酸化マンガン又はマンガン塩と、リチウム塩との混合物を熱処理して、リチウムイオン電池用のリチウムとマンガンとの複合酸化物が提案されている。しかしながら、何れの技術でも、高い初期容量及び長期の容量保持率を提供するリチウムマンガン複合酸化物は得られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、優れた初期容量及び容量保持率を有し、サイクル特性に優れた非水リチウム二次電池を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、水酸化リチウムと、二酸化マンガン及び炭酸マンガンから選ばれるマンガン化合物とを湿式で混合し、得られたスラリーを乾燥した後、解砕し、350〜500℃で一次焼成し、45℃以下に冷却し、再度解砕した後、600〜800℃で二次焼成することにより、サイクル特性に優れた非水リチウム二次電池を製造することのできるリチウムマンガン複合酸化物が得られることを見出し、本発明に到達したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について更に詳細に説明する。
本発明で使用する水酸化リチウムは、LiOH・H2 Oで示される一水塩として市販されるものが使用される。
本発明で使用されるマンガン化合物としては、二酸化マンガン又は炭酸マンガンが使用される。
二酸化マンガン又は炭酸マンガンとしては、各種の材料を使用することができる。例えば、二酸化マンガンとして、マンガン鉱石を400℃以上の温度で焼結して得られる Mn2O3又は Mn3O4等の低級マンガン酸化物を硫酸や硝酸、又はこれらの混合物等の鉱酸により不均化反応させることによって得られる化学合成二酸化マンガンを使用することができる。また、電解によって得られる電解二酸化マンガンを使用することができる。
【0009】
水酸化リチウムと、マンガン化合物とは湿式で混合する。湿式混合では、水酸化リチウムは、スラリー状に水溶解した状態にあり、この溶解した水酸化リチウムが、マンガン化合物中に高度に分散された状態となるので、後述する工程を経て得られるリチウムマンガン複合酸化物は、組成的に非常に均一となり、従って、放電容量の高いものとなる。これに対して、これらの化合物を乾式で混合すると、混合が不十分となるため、得られるリチウムマンガン複合酸化物におけるマンガン酸リチウムの組成が不均一となり、放電容量の高いリチウムマンガン複合酸化物を得ることができない。
湿式混合は、例えば、水酸化リチウム(LiOH・H2 O)と、マンガン化合物とを、通常、LiとMnとのモル比が1:1.8〜1:2.2、好ましくは、1:1.9〜1:2.1となるように配合し、水を加えて、スラリー状とし、これをポットミルを用いて混合することによって行う。水の量は、水酸化リチウム及びマンガン化合物の量に基づいて、例えば、10〜40重量%、好ましくは15〜25重量%である。10%以下では、水酸化リチウムの溶解量が十分でなく、かつ粘度が高く分散が困難である。40%以上では、乾燥速度が遅くなることと乾燥中の固液分離が大きくなり、リチウムの均一分散を大きく阻害する。
【0010】
得られたスラリーは、次いで、好適には70〜180℃、好ましくは130〜160℃で乾燥する。乾燥温度が、70℃よりも低い場合には、乾燥速度が遅くなり、生産効率が落ちるので好ましくない。一方、180℃を越えると、乾燥機自体の高性能化が必要であり、装置設備コスト、ひいては操業コストがかかるので経済的に好ましくない。また、LiとMnとの接触時間が相対的に短くなり、MnへのLiの浸透反応時間が短くなるので、好ましくない。
得られた乾燥物は、次いで、解砕する。乾燥解砕物の平均粒径は、通常、100〜20μm 、好ましくは80〜40μm であることが、好ましい。100μm 以上では解砕、均一混合が十分でない。20μm 以下では解砕過剰で、化合物の構造を破壊する懸念がある。更に作業者への微粉吸入を増大させる。
【0011】
このようにして得られた粒状物は、次いで、350〜500℃、好ましくは400〜500℃、更に好ましくは450〜500℃の温度において焼成する。水酸化リチウムの融点は、445℃であるので、500℃以下の温度で焼成することにより、リチウムイオンがマンガン化合物の細孔内部に、浸透し、均一なマンガン酸リチウムが得られる。
このようにして得られた焼成物は、一旦、45℃以下、好ましくは25℃以下、更に好ましくは20℃以下に冷却した後、再度二次解砕する。下限としては、実際の操作上として、0℃以上が適当である。この冷却操作によって、更に均一なリチウムマンガン複合酸化物を得ることが出来る。二次解砕は、一次焼成前の解砕の場合と同様である。
【0012】
二次解砕物は、次いで、2回目の焼成(二次焼成)を行う。この二次焼成は、600〜800℃、好ましくは650〜750℃、特に好ましくは680〜720℃で行う。この二次焼成により、組成の均一化及び未反応物の反応促進を効率良く達成することができるので、高容量のリチウムマンガン複合酸化物を得ることができる。また、600〜800℃で焼成することにより、反応は完結する。二次焼成温度が600℃未満では、反応が不十分のため、リチウムマンガン複合酸化物の結晶性は不十分となるだけでなく、未反応物の残留や、副生成物が生じ、正極活物質として十分な特性が得られない。一方、800℃を越えると、リチウムマンガン複合酸化物の結晶性が高くなり過ぎるために、リチウムイオンの挿入、脱離による結晶崩壊が起こり易くなり、リチウムマンガン複合酸化物のサイクル特性が低下する。
【0013】
得られたリチウムマンガン複合酸化物は、非水リチウム二次電池の正極材料として使用する。正極材料としての使用方法等は、従来の正極材料の使用方法等の場合と同様である。この場合、非水リチウム二次電池における負極としては、従来より使用されている金属リチウムや、リチウム合金及びリチウムがドープ、脱ドープできる炭素質素材や、酸化物等を使用することができる。
【0014】
【実施例】
以下、実施例により、本発明について更に詳細に説明する。
実施例1
水酸化リチウム(LiOH・H2 O)と、電解二酸化マンガンとを、LiとMnとのモル比が1:2となるように、配合し、配合物の合計の20重量%の脱イオン水を加えて、スラリーを形成した。このスラリーをポットミル中で混合した後、150℃で乾燥し、次いで、解砕した。解砕物の平均粒径は、60μm であった。この解砕物を、大気雰囲気下で470℃、12時間一次焼成した。次いで、焼成物を室温(20℃)まで下げた後、平均粒径が55μm となるように解砕し、大気雰囲気下で700℃、12時間二次焼成した。
得られた焼成物のX線回折及び化学分析の結果から、リチウムマンガン複合酸化物の組成は、LiMn2 O4 であるマンガン酸リチウムであることが確認できた。
この焼成物を正極活物質として、82重量部を使用し、更に、アセチレンブラック10重量部、バインダーとしてポリ弗化ビニリデン8重量部を予めN−メチル−2−ピロリドン58重量部に溶解したものを加えて十分に混合し、ペーストを得た。
このペーストをアルミニウム網に塗布し、圧着、乾燥させることによって正極板を作成した。対極には、正極と同じ大きさの金属リチウム板を使用し、正極電位測定には金属リチウム基準電極を用いた。
電解液とし1mol/dm3 のLiPF6 を溶解したエチレンカーボネート及びジエチルカーボネート1:1の混合溶媒を用いることによって試験電池を作成した。
【0015】
実施例2
正極活物質を生成するに際し、電解二酸化マンガンを化学合成二酸化マンガンに代えること以外は、実施例1と同様にして試験電池を作成した。
実施例3
マンガン化合物として炭酸マンガン(MnCO3 )を使用すること以外は、実施例1と同様にして試験電池を作成した。
【0016】
比較例1
水酸化リチウム(LiOH・H2 O)と、電解二酸化マンガンとを、LiとMnとのモル比が1:2になるように調整し、これをポットミルを用いて水を使わず乾式混合を行った以外は、実施例1と同様にして試験電池を作成した。
比較例2
電解二酸化マンガンを化学合成二酸化マンガンに代えたこと以外は、比較例1と同様にして試験電池を作成した。
比較例3
水酸化リチウム(LiOH・H2 O)と、電解二酸化マンガンとを、LiとMnとのモル比が1:2となるように配合し、配合物合計の20重量%の脱イオン水を加えて、スラリーを調製した。このスラリーをポットミル中で湿式混合を行い、150℃で乾燥した後、平均粒径60μm の粒子に解砕し、次いで、得られた粒子を大気雰囲気下で700℃、12時間一次焼成した。この焼成物を正極活物質として用いた以外は、実施例1と同様にして試験電池を作成した。
比較例4
水酸化リチウム(LiOH・H2 O)と、電解二酸化マンガンとを、LiとMnとのモル比が1:2となるように配合し、配合物合計の20重量%の脱イオン水を加えて、スラリーを調製し、これをポットミル中で湿式混合を行った。このスラリーを、150℃で乾燥した後、平均粒径が60μm の粒子に解砕し、大気雰囲気下で470℃、12時間一次焼成し、続けて更に700℃、12時間二次焼成した。この焼成物を正極活物質として用いた以外は、実施例1と同様にして試験電池を作成した。
比較例5(特開平6−203834号公報記載の技術)
酢酸リチウムと、酢酸マンガン四水和物とを1:2のモル比となるように、配合し、配合物合計の220重量%のエチレングリコール中で加熱溶解し、酢酸臭がなくなり、エチレングリコールが除去されるまで加熱を続け、固化させた。次いで、得られた混合物を400℃で3時間熱処理し、空気中700℃で焼成し、得られた焼成物を実施例1と同様にしてペースト状にし、試験電池を作成した。
【0017】
特性試験
以上のようにして作成した試験電池を電流密度0.5mA/cm2 の定電流で4.3Vまで充電した後、3.0Vまで放電する充放電サイクルを繰り返すことによって放電特性を評価した。その際、1サイクル目の放電容量を初期容量(mAh/g)とし、初期容量に対する10サイクル目の放電容量を容量保持率(%)とした。結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
表1に示すように、本発明の実施例1〜3の電池は、所定の充放電条件下で、高い初期容量及び容量保持率が得られた。
一方、正極活物質を生成するに際し、乾式混合を行った比較例1及び2、700℃における一次焼成のみの比較例3、一次焼成後、室温まで冷却することなしに二次焼成を行なう比較例4、公知例に従って製造した比較例5では、初期容量、容量保持率は低く、サイクル特性が悪かった。
【0019】
【発明の効果】
本発明の方法によって製造したリチウムマンガン複合酸化物は、非水リチウム二次電池の正極として使用する場合に、サイクル特性に優れた非水リチウム二次電池を提供する。
Claims (2)
- 水酸化リチウムと、二酸化マンガン及び炭酸マンガンから選ばれるマンガン化合物とを湿式混合し、得られたスラリーを乾燥した後、解砕し、350〜500℃で一次焼成し、45℃以下に冷却し、再度解砕した後、600〜800℃で二次焼成することを特徴とする非水リチウム二次電池用のリチウムマンガン複合酸化物の製造方法。
- 負極に金属リチウム若しくはその合金、又はリチウム化合物を用いるリチウム二次電池において、請求項1に記載のリチウムマンガン複合酸化物を正極として用いることを特徴とする非水リチウム二次電池。
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