JPH10279315A - リチウムコバルト複合酸化物の製造方法 - Google Patents

リチウムコバルト複合酸化物の製造方法

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JPH10279315A
JPH10279315A JP9094408A JP9440897A JPH10279315A JP H10279315 A JPH10279315 A JP H10279315A JP 9094408 A JP9094408 A JP 9094408A JP 9440897 A JP9440897 A JP 9440897A JP H10279315 A JPH10279315 A JP H10279315A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リチウム二次電池用高性能電極活性物質
の安価で簡便な製造方法の提供。 【解決手段】 不定形及び/又は多形の3価コバルト化
合物とリチウム化合物の混合体を250〜10000℃
の温度で熱処理して製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はリチウムコバルト複
合酸化物及び製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】六方晶系の層状結晶構造を持つ遷移金属
酸化物は、適当なサイズの金属イオンを結晶の格子サイ
ト及び/又は格子間に導入できることが知られている。
特にリチウム層間化合物は、特定の電位差の下でリチウ
ムイオンを結晶格子サイト及び/又は格子間に導入し、
再びこれを取り出すことができることから、リチウム複
合化合物を電極活物質としたリチウム電池、二次電池が
工業的に利用、生産されている。電極活物質としては、
リチウム酸コバルトが最も基本であり、最も有効な材料
である。高価なコバルトを安価な他の遷移金属、例えば
ニッケルやマンガン等に代替しようとする検討も行われ
ているが、コバルトを完全に代替できる技術はまだな
い。
【0003】電極の調製は、従来、活物質の粉体、粉末
状の誘電材、バインダーを溶媒及び/又は分散媒に混合
してスラリーやペーストとし、集電体に塗布、乾燥して
行われる。したがって電池性能は、活物質粒子の特性、
例えば結晶形態、粒径、かさ密度及び充填率、比表面積
等に大きく影響を受けることになる。リチウム相間化合
物は、一般には固相反応で、すなわち化合物を構成する
原料成分粒子の混合体を加熱処理して調製される。した
がって活物質粒子の特性は、原料成分の選択と原料成分
粒子の特性及び混合体の混じり具合にも大きな影響を受
けることになる。
【0004】乾式法と呼ばれる従来のリチウム相間化合
物からなる電極活物質粒子の製造方法は、活物質を構成
する原料成分粒子の所定量を混合、粉砕しながら混ぜ合
わせた後、かかる活物質前駆体の混合体を加熱処理して
製造する方法である。この方法では、各原材料を分子レ
ベルで混合することは不可能であり、かつ、粒子間でも
均質に分散することは困難であった。したがって、かか
る従来方法で製造された活物質は、組織に大きなバラツ
キを持ったものであった。さらに分散性の悪い粒子混合
体の固相反応には高温焼成が必要なため、得られる活物
質粒子は強く凝集して粗大化し、充填密度の低いものに
なってしまうという欠点があった。
【0005】しかも、コバルト源としてコバルトメタル
や2価のコバルト化合物である水酸化コバルト、炭酸コ
バルト等を用いる従来技術では、800℃以上の高温焼
成を必要とするため、得られるリチウムコバルト複合化
合物は、緻密な粗大粒子となり、粉砕処理を施さなけれ
ば電極材料として使用できないという欠点も有してい
た。一方、2価と3価の混合体と見れる四三酸化コバル
トをコバルト源とする方法も検討されている。しかしな
がら一度焼成工程を経た四三酸化コバルトはそれ自体緻
密なため、リチウムを結晶中の所定サイトに導入するの
はなかなか困難で、高温で焼成しても、得られるリチウ
ムコバルト複合酸化物は組成変動の大きなものになって
しまう問題があった。
【0006】さらに、六方晶系の形態を既に有する3価
コバルト化合物を用い、イオン交換の手法を用いて低温
でリチウムコバルト複合酸化物を製造する試みも検討さ
れた[Solid State Ionios 84,
169(’96)]。しかしながらこの方法は、かかる
コバルト化合物と2倍当量のリチウム化合物とを加圧し
てペレットとし、これとほぼ同量の水を加えて6気圧以
上の加圧下に5日間程置いて製造されるという複雑な工
程を必要とする欠点を有していた。しかもその後、過剰
量のリチウム化合物を洗浄して除去し、さらに250℃
以上の温度で1日間熱処理しなければ電極活物質として
は使用できないという問題も有していた。
【0007】前駆体粒子混合体のこのような分散性の悪
さや焼成のしにくさを改善する試みはこれまでにも種々
なされていきた。例えば、電極活物質を構成するリチウ
ムや所定の遷移金属のアルコキシド等からなるゾルを、
ゾル・ゲル法の手法を用いてゲル化し、焼成して活物質
とする方法がある。かかる方法では低温焼成が可能であ
り、また製造された活物質粒子は、微細な粒径と大きな
表面積、高い充填率を持つことから、電極材料として有
効と期待された。
【0008】しかしながら、かかるアルコキシド等は著
しく高価なため、工業的には使用しにくいという難点が
あった。一方、活物質構成元素を含有する溶液からこれ
を塩として析出させ、均質に混合された前駆体混合体粒
子を得る湿式法も検討された。かかる方法では、通常、
しゅう酸塩として析出、沈殿された前駆体混合体粒子
を、水洗して乾燥し、焼成して活物質粒子としている。
しかしながらしゅう酸塩の水に対する溶解性は元素によ
り大きく異なり、このため洗浄中に組成のズレを生じて
しまうという欠点があった。
【0009】さらに水酸化物や炭酸塩として沈殿させた
場合も検討されているが、洗浄に伴う組成のズレは避け
難いうえ、焼成による粒子の粗大化も引き起こしてしま
うという問題もあった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、粒径、比表
面積等を広範囲に制御でき、しかも均質な組成を有す
る、リチウム電池、二次電池用電極活物質、特に、リチ
ウムコバルト複合酸化物の製造方法の提供と、かかる方
法により製造された電極活物質の提供を目的とするもの
である。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、不定形及び/
又は多形の3価コバルト化合物とリチウム化合物の混合
体を加熱処理して製造することを特徴とするリチウムコ
バルト複合酸化物の製造方法、及び、本方法により製造
されたリチウムコバルト複合酸化物と電極活物質を提供
する。
【0012】本発明は、リチウムコバルト複合酸化物の
コバルト源として、不定形及び/又は多形の3価コバル
ト化合物を用いる点に特徴がある。3価のコバルト化合
物であればいずれも本発明に使用可能ではあるが、特に
成長した特定の結晶構造を持たないCoOOH及び/又
はCo23 ・H2 Oであるのが、広い焼成温度範囲に
わたって均質な組成のリチウムコバルト複合酸化物を製
造できる点で好ましい。。
【0013】CoOOH及び/又はCo23 ・H2
は製造方法が公知であり、容易に製造できる。また市販
もされており、これを入手して使用することも可能であ
る。リチウム化合物としてはリチウム元素を含有するも
のであればいずれも使用可能である。しかしながら、取
扱の容易な点からリチウムの酸化物、水酸化物、塩類、
あるいはこれら化合物2種以上の混合物等であるのが好
ましい。
【0013】上記コバルト化合物とリチウム化合物とか
らリチウム酸コバルトを合成する反応は下記式で示され
る。この式から明らかなように、本発明の反応は脱水縮
合のような簡単な脱離反応で進行する。
【式1】 本発明では前記コバルト化合物と前記リチウム化合物の
混合体を加熱処理して、リチウムコバルト複合酸化物を
製造する。製造されたリチウムコバルト複合酸化物は、
粒子の形態で電池材料として利用される。従って、前駆
体混合体も粒子の形態であるのが好ましい。同様な理由
から、コバルト化合物やリチウム化合物も、少なくとも
いずれか1つは粒子形態であるのが好ましい。
【0014】本発明のリチウムコバルト複合酸化物とな
る前駆体混合体の調製は、従来の乾式法の手法をそのま
ま用いることができる。すなわち、所定量の前記リチウ
ム化合物の粒子と前記コバルト化合物の粒子を混合、粉
砕することにより、均質に分散された前駆体混合体を得
ることができる。本手法により均質な前駆体混合体が得
られるのは、本発明に使用する前記コバルト化合物の効
果による。また、リチウム化合物粒子とコバルト化合物
粒子の混合体に溶媒及び/又は分散媒を加えて混合し、
調製したスラリーをそのまま、あるいは乾燥して前駆体
混合体とすることもできる。この場合、溶媒及び/又は
分散媒としては水を用いることも可能である。
【0015】通常、本発明のコバルト源であるCoOO
H及び/又はCo23 ・H2 Oは、しっかりとした結
晶構造をもたない極めて微細な粒子の軽い凝集体と見ら
れる。かかるコバルト化合物粒子とリチウム化合物粒子
の混合体に粉砕を加えながら混合する操作を加えると、
コバルト化合物は容易に粉砕され、均質に分散混合され
た前駆体混合体が調製できる。一方溶媒及び/又は分散
媒とのスラリーを経て調製した前駆体混合体は、コバル
ト化合物粒子の隙間にまでリチウム化合物が浸透し得る
ため、さらに低温の焼成においても均質なリチウムコバ
ルト複合酸化物が製造できるものと期待される。本発明
のリチウムコバルト複合酸化物には、他にも多くの遷移
金属を配合できる。特に、クロム、銅、鉄、インジウ
ム、マンガン、ニッケル、バナジウム等が有効と判断さ
れ、本発明に有効に用いられる。
【0016】これら遷移金属等の配合は、かかる金属の
酸化物、水酸化物、過酸化物、塩類等の粒子あるいは溶
液、分散液等の形状でなされ、本発明のリチウムコバル
ト複合酸化物の前駆体混合体に形成される。上述のごと
くして調製された前駆体混合体の粒子は、焼成されて本
発明のリチウムコバルト複合酸化物となる。焼成温度は
250〜1000℃の範囲であるのが好ましい。250
℃未満の温度では反応が完結せず、残留未反応物が電池
性能を低下させてしまう。一方1000℃を超える温度
では結晶構造に乱れが生じ易くなり、これが電池性能を
低下させたり安全性を損ねたりしまうからである。
【0017】焼成時間は焼成温度にも依存するが、例え
ば500℃の場合、少なくとも30分以上処理されるの
が反応を終結できる点で好ましい。一方、反応終結後、
長時間にわたって加熱処理を続けても得られるメリット
は少ないことから、長くとも100時間であるのが好ま
しい。本発明のリチウムコバルト複合酸化物の製造方法
は、低温焼成においてもしっかりした単一相の層状結晶
構造を持つリチウム相間化合物を製造でき、製造コスト
の削減も可能となる。
【0018】本発明の方法で製造されたリチウムコバル
ト複合酸化物粒子は、強靭な層状結晶構造、微細な粒
径、高い比表面積と充填率を持ち、電極活物質として特
に有効に機能する。かかる活物質から形成された電極
は、電池、二次電池用電極に有効に使用される。特にリ
チウムイオン電池を含めたリチウム二次用電極として、
極めて有効である。本発明の活物質を使用したリチウム
二次電池は、大きな充放電容量と高いエネルギ密度を持
ち、優れた充放電サイクル特性を発現する。
【0019】
【作用】本発明のリチウムコバルト複合酸化物の製造方
法は、不定形及び/又は多形の3価コバルト化合物をコ
バルト源としている。本発明の方法において、低い焼成
温度においてもリチウム相間化合物を形成する固相反応
を終結できるのは、前述の式1にも示される通り、反応
生成物と同様の3価のコバルト化合物をコバルト源とし
ていることによるものと判断される。しかも、本発明に
用いられるCoOOH及び/又はCo23 ・H2 Oは
X線回折パターンから判断されるように特定の成長した
結晶形態を持たず、また高い比表面積から判断されるよ
うに、極めて微細な粒子の軽い集合体である。このた
め、容易に解砕されて分散し、リチウム化合物と良好に
混和する。本発明の方法ではこれらの効果が作用し合
い、広い焼成温度範囲にわたって、乱れのない単一相の
層状結晶構造を有するリチウムコバルト複合酸化物が製
造できる。
【0020】本発明の方法によれば、製造されるリチウ
ムコバルト複合酸化物の諸特性は、焼成条件、特に温度
と時間とを管理することにより制御できる。上述のよう
に本発明の全駆体混合体は、250℃といった低温焼成
でも反応が完結する。かかる温度条件に長時間、反応生
成物であるリチウム相間化合物を放置しておいても、粒
子が粗大化するといった厄介な問題は生じない。一方8
00℃といった高温では、短時間に反応が終結してしま
うため、粒子の緻密化や粗大かを起こす前に焼成工程を
終了できる。
【0021】よって、本発明の方法では、微細な粒径、
高い比表面積、高い重点率、及び強靱な層状結晶構造を
有するリチウムコバルト複合酸化物が製造できる。高い
比表面積を有する本発明の活物質は電解質溶液との大き
な接触面積を持ち、リチウムイオンのスムースな移動を
可能にする。また本発明の活物質の持つ強靱な結晶は、
リチウムイオンの挿入及び脱離時の歪の発生を抑制し、
電極の破壊を防止する。かかる作用の結果、本発明の活
物質を用いた二次電池は、大電流を流せ、急速充電が可
能で、しかも高容量と長寿命を達成した。
【0022】
【実施例】
(実施例1)Co含有量測定値が64.2重量%である
CoOOH(QueenslandNickel Pt
y.Ltd.製)の91.8gとLi2 Oを15g、水
100gを混合し、95℃にて撹拌した、1時間後、乾
固した粉体を取り出し、さらに100℃にて2時間乾燥
して、リチウムコバルト複合酸化物前駆体粒子105.
5gを得た。この前駆体粒子を700℃にて3時間焼成
したら、97.1gのLiCoO2が得られた。図1は
そのX線回折パターンであり、図2はその走査電子顕微
鏡写真である。これら二つの図は結晶性良好なLiCo
2 の特徴を明確に示している。また、レーザー散乱法
による平均粒径は5.6μmであり、図3から粒径の揃
ったものであることがわかる。さらに窒素吸着法により
求めた比表面積は0.6m3 /gであった。
【0023】なお、図4は原料としたCoOOHのX線
回折パターンであり、その平均粒径は10.4μmであ
った。
【0024】(比較例1)2.3重量%の水を含有した
Co(OH)2 の95gを800℃にて2時間加熱処理
し、平均粒径11.2μmのCo34 を78.5g得
た。これに36.1gのLi2 CO3 と100gの水を
加えて混合し、実施例1と同様にして125.5gリチ
ウムコバルト複合化合物前駆体粒子を調整した。この前
駆体粒子を700℃にて2時間焼成した後X線回折を測
定したが、LiCoO2 の六方晶系に基づく(003)
や(104)といった特徴的な強い反射はほとんど観察
されなかった。なお図5は、ここで使用したCo(O
H)2 のX線回折パターンであり、図6はCo34
X線回折パターンである。
【0025】(比較例2)比較例1と同様にして調整し
たリチウムコバルト複合酸化物前駆体粒子を900℃に
て24時間焼成し、LiCoO2 の合成を試みた。しか
しながら、図7に示したように焼成物のX線回折を測定
した結果、Co34 に基づく特徴的な反射が観察さ
れ、まだ反応の完結していないことがわかった。
【0026】(実施例2)実施例1と同様にして調整し
たリチウムコバルト複合酸化物前駆体粒子を300℃に
て15時間焼成し、LiCoO2 の合成した。図8はこ
のもののX線回折パターンで、結晶性良好なLiCoO
2 の特徴を示していた。またその平均粒径は10.8μ
m、比表面積は35.1m2 /gであった。
【0027】(実施例3)実施例1と同様のCoOOH
を91.8g、及びLi2 CO3 の37.0gを乳鉢に
取り、撹拌、粉砕しながら混合した後、550℃で3時
間加熱処理して、95.8gのLiCoO2 を得た。こ
のLiCoO2 の90部、カーボン5部、及びポリフッ
化ビニリデン5部に20部のN−メチルピロリドンを加
えて混練りして、ペーストとした。このペーストをアル
ミ箔に塗布して乾燥後、圧延して所定の大きさに打ち抜
き、正極板とした。
【0028】次に、95部のカーボンと5部のポリフッ
化ビニリデンに20部のN−メチルピロリドンを加えて
混練りしてペーストとした。このペーストを銅箔に塗布
して乾燥後、圧延して所定の大きさに打ち抜き、負極板
とした。こうして得られた正極板、負極板にそれぞれリ
ード線を取り付け、ポリオレフィン系セパレータを介し
てステンレス製セルケースに収納した。続いて、エチレ
ンカーボネートとジエチレンカーボネートの混合液に六
フッ化リン酸リチウムを1モル/リットル溶かした電解
質溶液を注入し、モデルセルとした。電池特性は、充放
電測定装置を用い、25℃において、最大充電電流0.
20mAで電池電圧4.2Vになるまで充填した後、同
一電流で2.7Vになるまで放電する充放電の繰返しを
行い、初期放電容量と100サイクル後の放電容量とを
求めて評価した。
【0029】その結果を表1にした。なお、容量保持率
は式2で求めた。
【式2】
【表1】 表1より本モデルセルは、電気容量が大きく、サイクル
寿命の長いことがわかる。
【0030】(実施例4)実施例3と同様に、91.8
gのCoOOHと42.1gのLiOH・H2 Oを撹
拌、粉砕して混合し、380℃で10時間加熱処理し
て、96.0gのLiCoO2 を得た。このLiCoO
2 を用いたことを除き、実施例4と同様にしてモデルセ
ルを作成し、その電池特性を調べた。その結果を表2に
示した。
【表2】 表2より本モデルセルは、電気容量が大きく、サイクル
寿命の長いことがわかる。
【0031】
【発明の効果】本発明の方法によれば、微細で、強固に
発達した層状の結晶構造、及び高い比表面積とを有する
リチウムコバルト複合酸化物が、250〜1000℃と
いう広い温度範囲で安定して製造できる。また、かかる
リチウムコバルト複合酸化物は高い充填率を持つことか
ら、リチウム二次電池用電極活物質として特に優れてい
る。そして、本発明の方法で製造されたLiCoO2
電極活物質としたリチウム二次電池は、電気容量が大き
く、エネルギ密度と充放電効率が高いうえ、寿命が長い
というすぐれた効果を有している。
【0032】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1で製造されたLiCoO2
X線回折パターン図。
【図2】本発明の実施例1で製造されたLiCoO2
走査電子顕微鏡写真。
【図3】本発明の実施例1で製造されたLiCoO2
粒径分布図。
【図4】実施例1で使用したCoOOHのX線回折パタ
ーン図。
【図5】比較例1で使用したCo(OH)2 のX線回折
パターン図。
【図6】比較例1で調整したCo34 のX線回折パタ
ーン。図
【図7】比較例2で製造されたLiCoO2 のX線回折
パターン図。
【図8】本発明の実施例2で製造されたLiCoO2
X線回折パターン図。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年6月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はリチウムコバルト複
合酸化物及び製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】六方晶系の層状結晶構造を持つ遷移金属
酸化物は、適当なサイズの金属イオンを結晶の格子サイ
ト及び/又は格子間に導入できることが知られている。
特にリチウム層間化合物は、特定の電位差の下でリチウ
ムイオンを結晶格子サイト及び/又は格子間に導入し、
再びこれを取り出すことができることから、リチウム複
合化合物を電極活物質としたリチウム電池、二次電池が
工業的に利用、生産されている。電極活物質としては、
コバルト酸リチウムが最も基本であり、最も有効な材料
である。高価なコバルトを安価な他の遷移金属、例えば
ニッケルやマンガン等に代替しようとする検討も行われ
ているが、コバルトを完全に代替できる技術はまだな
い。
【0003】電極の調製は、従来、活物質の粉体、粉末
状の導電材、バインダーを溶媒及び/又は分散媒に混合
してスラリーやペーストとし、集電体に塗布、乾燥して
行われる。したがって電池性能は、活物質粒子の特性、
例えば結晶形態、粒径、かさ密度及び充填率、比表面積
等に大きく影響を受けることになる。リチウム相間化合
物は、一般には固相反応で、すなわち化合物を構成する
原料成分粒子の混合体を加熱処理して調製される。した
がって活物質粒子の特性は、原料成分の選択と原料成分
粒子の特性及び混合体の混じり具合にも大きな影響を受
けることになる。
【0004】乾式法と呼ばれる従来のリチウム相間化合
物からなる電極活物質粒子の製造方法は、活物質を構成
する原料成分粒子の所定量を混合、粉砕しながら混ぜ合
わせた後、かかる活物質前駆体の混合体を加熱処理して
製造する方法である。この方法では、各原材料を分子レ
ベルで混合することは不可能であり、かつ、粒子間でも
均質に分散することは困難であった。したがって、かか
る従来方法で製造された活物質は、組織に大きなバラツ
キを持ったものであった。さらに分散性の悪い粒子混合
体の固相反応には高温焼成が必要なため、得られる活物
質粒子は強く凝集して粗大化し、充填密度の低いものに
なってしまうという欠点があった。
【0005】しかも、コバルト源としてコバルトメタル
や2価のコバルト化合物である水酸化コバルト、炭酸コ
バルト等を用いる従来技術では、800℃以上の高温焼
成を必要とするため、得られるリチウムコバルト複合酸
化物は、緻密な粗大粒子となり、粉砕処理を施さなけれ
ば電極材料として使用できないという欠点も有してい
た。一方、2価と3価の混合体と見れる四三酸化コバル
トをコバルト源とする方法も検討されている。しかしな
がら一度焼成工程を経た四三酸化コバルトはそれ自体緻
密なため、リチウムを結晶中の所定サイトに導入するの
はなかなか困難で、高温で焼成しても、得られるリチウ
ムコバルト複合酸化物は組成変動の大きなものになって
しまう問題があった。
【0006】さらに、六方晶系の形態を既に有する3価
コバルト化合物を用い、イオン交換の手法を用いて低温
でリチウムコバルト複合酸化物を製造する試みも検討さ
れた[Solid State Ionios 84,
169(’96)]。しかしながらこの方法は、かかる
コバルト化合物と2倍当量のリチウム化合物とを加圧し
てペレットとし、これとほぼ同量の水を加えて6気圧以
上の加圧下に5日間程置いて製造されるという複雑な工
程を必要とする欠点を有していた。しかもその後、過剰
量のリチウム化合物を洗浄して除去し、さらに250℃
以上の温度で1日間熱処理しなければ電極活物質として
は使用できないという問題も有していた。
【0007】前駆体粒子混合体のこのような分散性の悪
さや焼成のしにくさを改善する試みはこれまでにも種々
なされていきた。例えば、電極活物質を構成するリチウ
ムや所定の遷移金属のアルコキシド等からなるゾルを、
ゾル・ゲル法の手法を用いてゲル化し、焼成して活物質
とする方法がある。かかる方法では低温焼成が可能であ
り、また製造された活物質粒子は、微細な粒径と大きな
表面積、高い充填率を持つことから、電極材料として有
効と期待された。
【0008】しかしながら、かかるアルコキシド等は著
しく高価なため、工業的には使用しにくいという難点が
あった。一方、活物質構成元素を含有する溶液からこれ
を塩として析出させ、均質に混合された前駆体混合体粒
子を得る湿式法も検討された。かかる方法では、通常、
しゅう酸塩として析出、沈殿された前駆体混合体粒子
を、水洗して乾燥し、焼成して活物質粒子としている。
しかしながらしゅう酸塩の水に対する溶解性は元素によ
り大きく異なり、このため洗浄中に組成のズレを生じて
しまうという欠点があった。
【0009】さらに水酸化物や炭酸塩として沈殿させた
場合も検討されているが、洗浄に伴う組成のズレは避け
難いうえ、焼成による粒子の粗大化も引き起こしてしま
うという問題もあった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、粒径、比表
面積等を広範囲に制御でき、しかも均質な組成を有す
る、リチウム電池、二次電池用電極活物質、特に、リチ
ウムコバルト複合酸化物の製造方法の提供と、かかる方
法により製造された電極活物質の提供を目的とするもの
である。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、無定形及び/
又は多形の3価コバルト化合物とリチウム化合物の混合
体を加熱処理して製造することを特徴とするリチウムコ
バルト複合酸化物の製造方法、及び、本方法により製造
されたリチウムコバルト複合酸化物と電極活物質を提供
する。
【0012】本発明は、リチウムコバルト複合酸化物の
コバルト源として、無定形及び/又は多形の3価コバル
ト化合物を用いる点に特徴がある。3価のコバルト化合
物であればいずれも本発明に使用可能ではあるが、特に
成長した特定の結晶構造を持たないCoOOH及び/又
はCo23 ・H2 Oであるのが、広い焼成温度範囲に
わたって均質な組成のリチウムコバルト複合酸化物を製
造できる点で好ましい
【0013】CoOOH及び/又はCo23 ・H2
の製造は、3価コバルトの錯塩溶液を加熱分解させる等
の方法により成される。リチウム化合物としてはリチウ
ム元素を含有するものであればいずれも使用可能であ
る。しかしながら、取扱の容易な点からリチウムの酸化
物、水酸化物、塩類、あるいはこれら化合物2種以上の
混合物等であるのが好ましい。
【0014】 上記コバルト化合物とリチウム化合物とか
コバルト酸リチウムを合成する反応は下記式で示され
る。この式から明らかなように、本発明の反応は脱水縮
合のような簡単な脱離反応で進行する。
【式1】 本発明では前記コバルト化合物と前記リチウム化合物の
混合体を加熱処理して、リチウムコバルト複合酸化物を
製造する。製造されたリチウムコバルト複合酸化物は、
粒子の形態で電池材料として利用される。従って、前駆
体混合体も粒子の形態であるのが好ましい。同様な理由
から、コバルト化合物やリチウム化合物も、少なくとも
いずれか1つは粒子形態であるのが好ましい。
【0015】 本発明のリチウムコバルト複合酸化物とな
る前駆体混合体の調製は、従来の乾式法の手法をそのま
ま用いることができる。すなわち、所定量の前記リチウ
ム化合物の粒子と前記コバルト化合物の粒子を混合、粉
砕することにより、均質に分散された前駆体混合体を得
ることができる。本手法により均質な前駆体混合体が得
られるのは、本発明に使用する前記コバルト化合物の効
果による。また、リチウム化合物粒子とコバルト化合物
粒子の混合体に溶媒及び/又は分散媒を加えて混合し、
調製したスラリーをそのまま、あるいは乾燥して前駆体
混合体とすることもできる。この場合、溶媒及び/又は
分散媒としては水を用いることも可能である。
【0016】 通常、本発明のコバルト源であるCoOO
H及び/又はCo23 ・H2 Oは、しっかりとした結
晶構造をもたない極めて微細な粒子の軽い凝集体と見ら
れる。かかるコバルト化合物粒子とリチウム化合物粒子
の混合体に粉砕を加えながら混合する操作を加えると、
コバルト化合物は容易に粉砕され、均質に分散混合され
た前駆体混合体が調製できる。一方溶媒及び/又は分散
媒とのスラリーを経て調製した前駆体混合体は、コバル
ト化合物粒子の隙間にまでリチウム化合物が浸透し得る
ため、さらに低温の焼成においても均質なリチウムコバ
ルト複合酸化物が製造できるものと期待される。本発明
のリチウムコバルト複合酸化物には、他にも多くの遷移
金属を配合できる。特に、クロム、銅、鉄、インジウ
ム、マンガン、ニッケル、バナジウム等が有効と判断さ
れ、本発明に有効に用いられる。
【0017】 これら遷移金属等の配合は、かかる金属の
酸化物、水酸化物、過酸化物、塩類等の粒子あるいは溶
液、分散液等の形状でなされ、本発明のリチウムコバル
ト複合酸化物の前駆体混合体に形成される。上述のごと
くして調製された前駆体混合体の粒子は、焼成されて本
発明のリチウムコバルト複合酸化物となる。焼成温度は
250〜1000℃の範囲であるのが好ましい。250
℃未満の温度では反応が完結せず、残留未反応物が電池
性能を低下させてしまう。一方1000℃を超える温度
では結晶構造に乱れが生じ易くなり、これが電池性能を
低下させたり安全性を損ねたりしまうからである。
【0018】 焼成時間は焼成温度にも依存するが、例え
ば500℃の場合、少なくとも30分以上処理されるの
が反応を終結できる点で好ましい。一方、反応終結後、
長時間にわたって加熱処理を続けても得られるメリット
は少ないことから、長くとも100時間であるのが好ま
しい。本発明のリチウムコバルト複合酸化物の製造方法
は、低温焼成においてもしっかりした単一相の層状結晶
構造を持つリチウム相間化合物を製造でき、製造コスト
の削減も可能となる。
【0019】 本発明の方法で製造されたリチウムコバル
ト複合酸化物粒子は、強靭な層状結晶構造、微細な粒
径、高い比表面積と充填率を持ち、電極活物質として特
に有効に機能する。かかる活物質から形成された電極
は、電池、二次電池用電極に有効に使用される。特にリ
チウムイオン電池を含めたリチウム二次電池用電極とし
て、極めて有効である。本発明の活物質を使用したリチ
ウム二次電池は、大きな充放電容量と高いエネルギ密度
を持ち、優れた充放電サイクル特性を発現する。
【0020】
【作用】本発明のリチウムコバルト複合酸化物の製造方
法は、無定形及び/又は多形の3価コバルト化合物をコ
バルト源としている。本発明の方法において、低い焼成
温度においてもリチウム相間化合物を形成する固相反応
を終結できるのは、前述の式1にも示される通り、反応
生成物と同様の3価のコバルト化合物をコバルト源とし
ていることによるものと判断される。しかも、本発明に
用いられるCoOOH及び/又はCo23 ・H2 Oは
X線回折パターンから判断されるように特定の成長した
結晶形態を持たず、また高い比表面積から判断されるよ
うに、極めて微細な粒子の軽い集合体である。このた
め、容易に解砕されて分散し、リチウム化合物と良好に
混和する。本発明の方法ではこれらの効果が作用し合
い、広い焼成温度範囲にわたって、乱れのない単一相の
層状結晶構造を有するリチウムコバルト複合酸化物が製
造できる。
【0021】 本発明の方法によれば、製造されるリチウ
ムコバルト複合酸化物の諸特性は、焼成条件、特に温度
と時間とを管理することにより制御できる。上述のよう
に本発明の全駆体混合体は、250℃といった低温焼成
でも反応が完結する。かかる温度条件に長時間、反応生
成物であるリチウム相間化合物を放置しておいても、粒
子が粗大化するといった厄介な問題は生じない。一方8
00℃といった高温では、短時間に反応が終結してしま
うため、粒子の緻密化や粗大を起こす前に焼成工程を
終了できる。
【0022】 よって、本発明の方法では、微細な粒径、
高い比表面積、高い充填率、及び強靱な層状結晶構造を
有するリチウムコバルト複合酸化物が製造できる。高い
比表面積を有する本発明の活物質は電解質溶液との大き
な接触面積を持ち、リチウムイオンのスムースな移動を
可能にする。また本発明の活物質の持つ強靱な結晶は、
リチウムイオンの挿入及び脱離時の歪の発生を抑制し、
電極の破壊を防止する。かかる作用の結果、本発明の活
物質を用いた二次電池は、大電流を流せ、急速充電が可
能で、しかも高容量と長寿命を達成した。
【0023】
【実施例】 (実施例1)pHを11.5としたアンモニア水にヘキ
サコバルト(III) 酸ナトリウムを加えて撹拌、溶解さ
せ、不溶物を除去した後95℃に加熱したら析出物を生
じた。この析出物を取り出し、水洗、乾燥後、元素分析
した結果、コバルト含有量が64.2wt%で、3価の
コバルトを64.0wt%、水素を1.2wt%、酸素
を33.8wt%含有していることがわかり、この黒褐
色の析出物はほぼCoOOHであると判断された。この
CoOOHの91.8gとLi2 Oを15g、水100
gを混合し、95℃にて撹拌した、1時間後、乾固した
粉体を取り出し、さらに100℃にて2時間乾燥して、
リチウムコバルト複合酸化物前駆体粒子105.5gを
得た。この前駆体粒子を700℃にて3時間焼成した
ら、97.1gのLiCoO2が得られた。図1はその
X線回折パターンであり、図2はその走査電子顕微鏡写
真である。これら二つの図は結晶性良好なLiCoO2
の特徴を明確に示している。また、レーザー散乱法によ
る平均粒径は5.6μmであり、図3から粒径の揃った
ものであることがわかる。さらに窒素吸着法により求め
た比表面積は0.6m3 /gであった。
【0024】 なお、図4は原料としたCoOOHのX線
回折パターンであり、その平均粒径は10.4μmであ
った。
【0025】 (比較例1)2.3重量%の水を含有した
Co(OH)2 の95gを800℃にて2時間加熱処理
し、平均粒径11.2μmのCo34 を78.5g得
た。これに36.1gのLi2 CO3 と100gの水を
加えて混合し、実施例1と同様にして125.5gリチ
ウムコバルト複合化合物前駆体粒子を調整した。この前
駆体粒子を700℃にて2時間焼成した後X線回折を測
定したが、LiCoO2 の六方晶系に基づく(003)
や(104)といった特徴的な強い反射はほとんど観察
されなかった。なお図5は、ここで使用したCo(O
H)2 のX線回折パターンであり、図6はCo34
X線回折パターンである。
【0026】 (比較例2)比較例1と同様にして調整し
たリチウムコバルト複合酸化物前駆体粒子を900℃に
て24時間焼成し、LiCoO2 の合成を試みた。しか
しながら、図7に示したように焼成物のX線回折を測定
した結果、Co34 に基づく特徴的な反射が観察さ
れ、まだ反応の完結していないことがわかった。
【0027】 (実施例2)実施例1と同様にして調整し
たリチウムコバルト複合酸化物前駆体粒子を380℃に
て15時間焼成し、LiCoO2 の合成した。図8はこ
のもののX線回折パターンで、結晶性良好なLiCoO
2 の特徴を示していた。またその平均粒径は10.8μ
m、比表面積は35.1m2 /gであった。
【0028】 (実施例3)実施例1と同様のCoOOH
を91.8g、及びLi2 CO3 の37.0gを乳鉢に
取り、撹拌、粉砕しながら混合した後、600℃で3時
間加熱処理して、95.8gのLiCoO2 を得た。こ
のLiCoO2 の90部、カーボン5部、及びポリフッ
化ビニリデン5部に20部のN−メチルピロリドンを加
えて混練りして、ペーストとした。このペーストをアル
ミ箔に塗布して乾燥後、圧延して所定の大きさに打ち抜
き、正極板とした。
【0029】 次に、95部のカーボンと5部のポリフッ
化ビニリデンに20部のN−メチルピロリドンを加えて
混練りしてペーストとした。このペーストを銅箔に塗布
して乾燥後、圧延して所定の大きさに打ち抜き、負極板
とした。こうして得られた正極板、負極板にそれぞれリ
ード線を取り付け、ポリオレフィン系セパレータを介し
てステンレス製セルケースに収納した。続いて、エチレ
ンカーボネートとジエチレンカーボネートの混合液に六
フッ化リン酸リチウムを1モル/リットル溶かした電解
質溶液を注入し、モデルセルとした。電池特性は、充放
電測定装置を用い、25℃において、最大充電電流0.
20mAで電池電圧4.2Vになるまで充電した後、同
一電流で2.7Vになるまで放電する充放電の繰返しを
行い、初期放電容量と100サイクル後の放電容量とを
求めて評価した。
【0030】 その結果を表1にした。なお、容量保持率
は式2で求めた。
【式2】
【表1】 表1より本モデルセルは、電気容量が大きく、サイクル
寿命の長いことがわかる。
【0031】 (実施例4)実施例3と同様に、91.8
gのCoOOHと42.1gのLiOH・H2 Oを撹
拌、粉砕して混合し、500℃で10時間加熱処理し
て、96.0gのLiCoO2 を得た。このLiCoO
2 を用いたことを除き、実施例4と同様にしてモデルセ
ルを作成し、その電池特性を調べた。その結果を表2に
示した。
【表2】 表2より本モデルセルは、電気容量が大きく、サイクル
寿命の長いことがわかる。
【0032】
【発明の効果】本発明の方法によれば、微細で、強固に
発達した層状の結晶構造、及び高い比表面積とを有する
リチウムコバルト複合酸化物が、250〜1000℃と
いう広い温度範囲で安定して製造できる。また、かかる
リチウムコバルト複合酸化物は高い充填率を持つことか
ら、リチウム二次電池用電極活物質として特に優れてい
る。そして、本発明の方法で製造されたLiCoO2
電極活物質としたリチウム二次電池は、電気容量が大き
く、エネルギ密度と充放電効率が高いうえ、寿命が長い
というすぐれた効果を有している。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不定形もしくは多形の3価コバルト化合
    物の一方または両方とリチウム化合物の混合体を加熱処
    理して製造されることを特徴とするリチウムコバルト複
    合酸化物の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記3価コバルト化合物がCoOOH及
    び/Co23 ・H2 Oであることを特徴とする請求項
    1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記リチウム化合物が、リチウムの酸化
    物、水酸化物及び塩類のうちから選ばれた少なくとも1
    種であることを特徴とする請求項1あるいは2の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記の加熱処理が250〜1000℃の
    温度範囲で行われることを特徴とする請求項1〜3いず
    れか1項の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項の方法で製
    造されたことを特徴とするリチウムコバルト複合酸化
    物。
  6. 【請求項6】 請求項5のリチウムコバルト複合酸化物
    を含有したことを特徴とする電極活物質。
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