JP2002307709A - 液体供給システム、インクジェット記録ヘッド、インクジェット記録装置、および液体充填方法 - Google Patents

液体供給システム、インクジェット記録ヘッド、インクジェット記録装置、および液体充填方法

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Hiroyuki Maeda
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Tetsuhito Kageyama
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Takeaki Shima
丈明 島
Toshihiro Sasaki
俊博 佐々木
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    • B41J2/17503Ink cartridges
    • B41J2/17506Refilling of the cartridge
    • B41J2/17509Whilst mounted in the printer

Abstract

(57)【要約】 【課題】 無駄なインクをできるだけ少なくしつつ、フ
ィルタの下流側に生じる気泡による不具合を防止する。 【解決手段】 記録ヘッド201は、外部から供給され
たインクを蓄えるサブタンク部201bと、サブタンク
部201bから供給されたインクを蓄え、インクを吐出
するノズル201gにインクを直接供給する液室201
fとを有する。サブタンク部201bと液室201fと
の間にはフィルタ201cが設けられる。液室201f
は、液室201f内のインクとフィルタ201cとの間
気体で隔てられるように、所定の量のインクを保持して
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録ヘッド、このインクジェット記録ヘッドを用いたイン
クジェット記録装置、これらに好適に用いられる液体供
給システムに関する。
【0002】
【従来の技術】プリンタ等の記録方式のうち、吐出口
(ノズル)からインクを吐出させて被記録媒体に文字や
画像等を形成するインクジェット記録方式は、低騒音の
ノンインパクト記録方式で高密度かつ高速の記録動作が
可能であるため、近年では広く採用されている。
【0003】一般的なインクジェット記録装置は、イン
クジェット記録ヘッドと、これを搭載するキャリッジを
駆動する手段と、被記録媒体を搬送する手段と、これら
を制御するための制御手段とを備えている。このよう
に、キャリッジを移動させながら記録動作を行うものを
シリアルスキャン型という。一方、インクジェット記録
ヘッドを移動させずに被記録媒体の搬送のみで記録動作
を行うものをライン型という。ライン型のインクジェッ
ト記録装置では、インクジェット記録ヘッドは、被記録
媒体の幅方向全幅にわたって配列された多数のノズルを
有する。
【0004】インクジェット記録ヘッドは、ノズルから
インク滴を吐出させるために、ノズル内のインクに与え
る吐出用のエネルギーを発生するエネルギー発生手段を
有する。エネルギー発生手段としては、ピエゾ素子等の
電気機械変換体素子を用いたもの、発熱抵抗体等の電気
熱変換体素子を用いたもの、あるいは電波やレーザ等の
電磁波を機械的振動または熱に変換する電磁波機械変換
体素子、電磁波熱変換体素子を用いたもの等がある。そ
の中でも、熱エネルギーを利用してインク滴を吐出させ
る方式は、エネルギー発生手段を高密度に配列させるこ
とができるため高解像度の記録を行うことが可能であ
る。特に、電気熱変換体素子をエネルギー発生手段とし
て用いたインクジェット記録ヘッドは、電気機械変換体
素子を用いたものよりも小型化が容易であり、更には、
最近の半導体製造分野において進歩と信頼性の向上が著
しいIC技術やマイクロ加工技術を応用してその長所を
十分に活用することにより、高密度実装化が容易でかつ
製造コストを低くできるという利点がある。
【0005】インクジェット記録ヘッドへのインクの供
給方式としては、インクを収容するインクタンクをイン
クジェット記録ヘッドと一体としたいわゆるヘッドタン
ク一体方式、インクタンクをインクジェット記録ヘッド
と分離したいわゆるヘッドタンク分離方式、インクタン
クとインクジェット記録ヘッドとをチューブで接続した
いわゆるチューブ供給方式、および、インクタンクとイ
ンクジェット記録ヘッドとを別々に設け、必要に応じて
インクジェット記録ヘッドをインクタンクの位置まで移
動させて両者を接続し、その間にインクタンクからイン
クジェット記録ヘッドへインクを供給する、いわゆるピ
ットイン方式がある。
【0006】インクタンクの交換頻度を少なくするため
にインクタンクの容量を大きくすると、インクタンクの
重量が増大する。このことは、シリアルスキャン型のイ
ンクジェット記録装置においては、キャリッジに加わる
重量が増大することを示す。このことを考慮すると、大
判の記録画像を出力する等、大容量のインクタンクを用
いる必要があるシリアルスキャン型のインクジェット記
録装置では、チューブ供給方式やピットイン方式を採用
する場合が多い。中でも、ピットイン方式はインクの供
給中は記録動作を停止させる必要があるため、長時間の
連続記録が可能なチューブ供給方式が多く採用される。
【0007】以下に、チューブ供給方式のインクジェッ
ト記録装置のインク供給系について、図25を参照して
説明する。
【0008】図25に示すインク供給系は、インクを内
部に収納するメインタンク1204と、メインタンク1
204が着脱可能に装着される供給ユニット1205
と、供給チューブ1206を介して供給ユニット120
5と接続されている記録ヘッド1201とを有する。
【0009】供給ユニット1205はインク室1205
cをその内部に有している。インク室1205cは、上
部において大気連通口1205gにより大気に開放され
るとともに、底部において供給チューブ1206と接続
されている。また、供給ユニット1205には、それぞ
れ下端がインク室1205c内に位置し、かつ上端が供
給ユニット1205の上面から突出している中空のイン
ク供給針1205aおよび大気導入針1205bが固定
されている。インク供給針1205aの下端は、大気導
入針1205bの下端よりも低い位置にある。
【0010】メインタンク1204は、メインタンク1
1204の内部を密閉するための、ゴム栓等で構成され
る2つのコネクタ部を底部に有し、メインタンク単独で
は密閉構造となっている。メインタンク1204を供給
ユニット1205に装着する際は、インク供給針120
5aおよび大気導入針1205bがそれぞれコネクタ部
を貫通しメインタンク1204の内部に侵入するように
装着する。インク供給針1205aの下端の位置と大気
導入針1205bの下端の位置は上記のように設定され
ているので、メインタンク1204内のインクはインク
供給針1205aを介してインク室1205cへ供給さ
れ、それによるメインタンク1204内の圧力の減少分
を補うように、大気導入針1205bを介してメインタ
ンク1204内に大気が導入される。大気導入針120
5aの下端がインクに浸かる位置までインク室1205
c内にインクが供給されると、メインタンク1204か
らインク室1205cへのインクの供給が停止する。
【0011】記録ヘッド1201は、一定量のインクを
蓄えるサブタンク部1201bと、インクを吐出する複
数のノズルが配列されたインク吐出部1201gと、サ
ブタンク部1201bとインク吐出部1201gとを接
続する流路1201fとを有する。インク吐出部120
1gではノズルの開口面が下方を向いており、インクは
下向きに吐出される。インク吐出部1201gの各ノズ
ル内には、上述したエネルギー発生手段が設けられてい
る。サブタンク部1201bはインク吐出部1201g
の上方に位置しており、供給チューブ1206はこのサ
ブタンク部1201bと接続されている。サブタンク部
1201bと流路1201fとの間には、インク中の微
細な異物がインク吐出部1201gに侵入することによ
って生じるノズルの目詰まりを防止するために、微細な
メッシュ構造を有するフィルタ1201cが取り付けら
れている。
【0012】フィルタ1201cの面積はインクによる
圧力損失を許容値以下とするように設定される。フィル
タ1201cでの圧力損失は、フィルタ1201cのメ
ッシュが細かいほど、また、フィルタ1201cを通過
するインクの流量が多いほど高くなる。逆に、フィルタ
1201cの面積には反比例する。近年の高速、多ノズ
ル、小ドットの記録ヘッドにおいては圧力損失が高くな
る傾向にあるので、フィルタ1201cの面積をできる
だけ大きくして圧力損失の上昇を抑えている。
【0013】インク吐出部1201gにあるノズルは、
大気に対して開放されており、しかもノズルの開口面は
下方を向いて配置されているので、ノズルからのインク
の漏れを防止するために、記録ヘッド1201の内部は
大気に対して負圧に保たれている必要がある。一方、負
圧が大きすぎるとノズル内に気体が侵入し、ノズルから
インクを吐出することができなくなってしまう。そこ
で、記録ヘッド1201内を適度の負圧状態とするため
に、ノズルの開口面の位置がインク室内1205cでの
インクの液面に対して高さHだけ高い位置になるように
記録ヘッド1201を配置し、記録ヘッド1201内が
高さHの水頭差分の負圧に保たれた状態とする。これに
よりノズルは、開口面にメニスカスを形成した状態でイ
ンクを満たした状態に保たれる。
【0014】ノズルからのインクの吐出は、エネルギー
発生手段の駆動によりノズル内のインクを押し出すこと
によって行われる。インクの吐出後、ノズル内には毛管
力によって流路1201f側からインクが充填される。
記録動作中は、ノズルからのインクの吐出とノズル内へ
のインクの充填とが繰り返され、これによって、インク
は供給チューブ1206を介して随時インク室1205
cから吸い上げられる。
【0015】インク室1205c内のインクが記録ヘッ
ド1201に吸い上げられ、インク室1205c内のイ
ンクの液面位置が大気導入針1205bの下端よりも低
くなると、大気導入針1205bを介してメインタンク
1204内に大気が導入される。これに伴ってメインタ
ンク1204内のインクがインク室1205cに供給さ
れ、大気導入針1205bの下端が再びインク室120
5cのインクに浸かる。こういった挙動を繰り返しなが
ら、記録ヘッド1201からのインクの吐出に伴い、メ
インタンク1204内のインクが記録ヘッド1201へ
供給される。
【0016】ところで、記録ヘッド1201のサブタン
ク部1201bには、供給チューブ1206などの樹脂
材料を透過して侵入した気体や、インク中に溶存してい
た気体が次第に蓄積してくる。サブタンク部1201b
に蓄積した余分な気体を排出するために、サブタンク部
1201bには、排気ポンプ1211aと接続された排
気チューブ1211が接続されている。ただし、上述し
たように記録ヘッド1201内を適度な負圧状態に保つ
ため、排気チューブ1211には弁1211bが設けら
れている。これにより排気動作時にのみ弁1211bを
開くことによって、記録ヘッド1201内の圧力が大気
圧以上にならないようにしている。
【0017】なお、インク吐出部1201g内にインク
の増粘物が詰まった場合や、インク吐出部1201gの
インク中に溶存していた気体が蓄積され気泡となって生
じた場合に、これらを除去するために、インクジェット
記録装置においては回復ユニット1207が一般的に設
けられている。回復ユニット1207は、記録ヘッド1
201のノズルの開口面をキャッピングするキャップ1
207aと、このキャップ1207aに接続された吸引
ポンプ1207cとを有し、キャップ1207aでノズ
ルの開口面をキャッピングした状態で吸引ポンプ120
7cを駆動し、インク吐出部1201g内のインクを強
制的に吸引することで、インクの増粘物や余分な気泡を
インク吐出部1201gから除去する。
【0018】この吸引回復動作の際、インクの流速が速
ければ、インクの増粘物や余分な気泡を効果的に除去で
きるので、流路1201f内でのインクの流速を速くす
るために、流路1201fの断面積は小さくされる。一
方、前述したように、フィルタ1201cの断面積はで
きるだけ大きく設定されるので、フィルタ1201cの
下では流路1201fは断面積を絞った形状とされる。
【0019】以上、チューブ供給方式を例に挙げて従来
のインク供給系を説明したが、ヘッドタンク一体方式や
ヘッドタンク分離方式、およびピットイン方式において
も、インクタンクから記録ヘッドまでのインクの供給経
路に関する構造が異なるだけで、記録ヘッドのフィルタ
から下側の構造は、基本的には上記チューブ供給方式と
同様である。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の構成では、気泡の完全除去ができないおそ
れがあるので、気泡が原因となる不吐出やインク落ち等
の記録品質の劣化が懸念される。
【0021】図25に示したフィルタ1201c下のイ
ンク流路1201fに気泡が溜まった時の従来の構成で
の問題点を以下に示す。
【0022】フィルタ下はインク流路の断面積を絞って
おり、元々記録ヘッドの回復動作を行っても流れのよど
みが生じてしまうため気泡が残ってしまう部分である。
特に、多ノズル、高速化に対応した記録ヘッドでは、フ
ィルタの面積を大きくする必要があるので、インク流れ
のよどみ部分が多くなり、フィルタ下に気泡が残りやす
くなる。特に、重力方向における上下方向にフィルタと
インク流路が配置されている場合には、浮力の働きによ
り気泡がフィルタ下に集まってくる。ところが、フィル
タ下に気泡が接触している部分では、気泡が妨げとなっ
てインクが通過しないので、フィルタの働きを行ってい
る有効面積が減ってしまうという問題点があった。
【0023】また、インク流路は断面積が小さいので、
大きな気泡が生じるとインク流路が気泡で塞がれてしま
い、実質的なインクの流路抵抗が増してノズルへのイン
ク供給が追いつかなくなり、その結果、インク落ち等を
引き起こすおそれもあった。
【0024】さらに、エネルギー発生手段に電気熱変換
素子を用いるインク吐出部内の気泡には、上流(フィル
タ側)から来る気泡、すなわちフィルタをインクが通過
する際に生じる気泡と、インクの吐出による気泡、すな
わち記録動作に伴いノズル内のヒータを加熱し、インク
を発泡させてインクを吐出させた後、発泡した気泡が消
滅する際に、インク中に再溶解しなかった気体が徐々に
蓄積したもとがある。この気泡がやがて大きくなってノ
ズル内に侵入したり、ノズルとインク吐出部との連通部
を塞いでしまったりすることにより、不吐出やインク落
ちが発生してしまうという問題点があった。特にインク
吐出部付近は、ヒータ周辺の温度が上昇し、インク内に
気泡が再溶解し難くなることで微細な気泡が集まり、記
録に悪影響を及ぼすほど大きく気泡が成長しやすくな
る。
【0025】さらには、従来の構成では、インク流路断
面積を絞っているため、記録ヘッドの回復動作でインク
流路内の発生した気泡を排出することが可能である反
面、流路を寸断するほど早い段階で気泡が成長すると、
ノズルへのインクの供給を妨げてしまう。これを回避す
るためには、頻繁に回復動作を行い、気泡を排出する必
要がある。しかしその結果、回復動作の際にその都度イ
ンクを無駄にしてしまうという問題が生じた。
【0026】そこで、「インク流路が気泡で分断されな
い」、または「インクの流れの淀みやすい部分がなくな
る」ようにインク流路の断面積を拡大した構成したとす
ると、逆に気泡が移動しやすくなり、吸引回復動作で勢
いよくインクを吸引してもインクを吸引するだけで、気
泡がインク流路内を上流側へ移動するため、気泡そのも
のを吸引して排出することが難しくなる。
【0027】さらには、フィルタが微細なメッシュ構造
であるために、フィルタの下に気泡が到達してフィルタ
に吸着すると、結果としてフィルタの目にはサブタンク
部内のインクによるメニスカスが形成される。そのた
め、フィルタ下の気泡はフィルタを通過して上流側へ移
動することができない。よって、気泡がフィルタの下に
蓄積されてしまうことになる。
【0028】気泡がフィルタの下に蓄積されると、この
部分はインクが通過せず、フィルタの有効面積が小さく
なりインクの流抵抗が増大するため、サブタンク部から
インク流路へのインク供給量とインク流路からインク吐
出部へのインク供給量のバランスが崩れて、吐出不良を
引き起こしてしまうおそれがある。さらに、インク供給
部内での気泡の蓄積やサブタンク部からインク供給路へ
のインクの供給不足が更に進行していくと、インク吐出
部内のインクが減少し、ノズルへのインク供給が不能と
なるなど、致命的な問題となってしまう。
【0029】また、フィルタ下に蓄積された微小気泡が
成長して大きな気泡になった場合は、印字等における記
録ヘッドの振動によりこの大きな気泡がフィルタ下を移
動することにより、サブタンク部からインク流路へイン
クを供給するフィルタ有効面積を不安定ながらも確保す
ることができるが、フィルタ下に蓄積された微小気泡が
成長せずに蟹泡状の集合体のままである場合には、印字
等における記録ヘッドの振動でもフィルタ下には微小気
泡が張り付いて移動し難くなるため、サブタンク部から
インク流路へインクを供給するフィルタ有効面積を確保
し難くなる。これによりノズルへのインク供給がままな
らぬ状況になってしまう。
【0030】さらには、上記のような気泡が原因となる
不吐出やインク落ち等の記録品質の劣化を防ぐために
は、フィルタ下に蓄積する気泡を除去する回復手段を頻
繁に繰り返すことが必要となってくる。
【0031】こういった問題は、フィルタでの圧力損失
が大きくなりがちな、サブタンク部からインク流路へイ
ンクを供給する量が多くなる記録ヘッド、いわゆる多ノ
ズル、小ドットの記録ヘッドにおいて顕著である。
【0032】本発明の目的は、無駄なインクをできるだ
け少なくしつつ、フィルタの下流側に生じる気泡による
不具合を防止するインクジェット記録ヘッド、このイン
クジェット記録ヘッドを用いたインクジェット記録装
置、これらに好適に用いられる液体供給システム、およ
び液体充填方法を提供することである。
【0033】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の液体供給システムは、液体の供給方向の下流端
において液体を保持している液体保持部への液体供給経
路を有し、該液体供給経路の途中にフィルタが設けら
れ、重力方向における上下方向に前記フィルタの上流側
から下流側へ液体を供給可能な状態である液体供給シス
テムにおいて、前記フィルタの下流側に接する部分を気
体保持領域と液体保持領域とに区画する部材を有すると
ともに、該気体保持領域に保持された気体は、前記フィ
ルタの下流側から前記下流端の液体保持部との間に存在
する気体と連通状態にあることを特徴とする。
【0034】本発明の液体供給システムによれば、フィ
ルタの下流側では気体保持領域を確保して気体を保持し
ているので、フィルタの下流側で気泡が発生したとして
も、気体保持領域に保持されている気体に比べて微小な
気泡は結果的にはこの気体と合体する。これにより、細
かい気泡が液体供給路内に混入および蟹泡状に残留する
ことがなくなる。また、フィルタの下流側を、この気体
保持領域と液体保持領域とに区画することにより、フィ
ルタの有効面積を安定して確保することが可能となるの
で、液体供給経路の下流端から大量の液体が消費されて
もフィルタの上流側からの液体の供給が不足することな
く安定して行われる。
【0035】フィルタの下流には、気体保持領域を介し
てフィルタの下流側に存在している液体をその表面張力
によって保持することにより、フィルタを介してフィル
タの上流側の液体と連結する液体連結構造を有すること
が好ましい。これにより、液体供給経路の下流端からの
液体の消費時や、環境温度変化等による気体保持領域の
気体の体積変化時に、液体連結構造を介して、フィルタ
の上流側と下流側とで液体がスムーズに移動する。
【0036】液体連結構造は、好ましくは、上下方向に
沿って設けられ、上端がフィルタの下流側の面と略接触
する溝状構造部を有している。この場合、溝状構造部と
フィルタとの間隙tを、0≦t≦1.0mmとすること
で、溝状構造部が保持している液体はフィルタに良好に
接触する。また、フィルタの下流側において、液体供給
経路を、その一側面を構成する蓋部材と、他の面を構成
し蓋部材が接合された本体部材とで構成し、溝状構造部
を、少なくとも蓋部材に設けてもよい。この場合、蓋部
材における溝状構造部を、蓋部材の本体部材との接合面
に対して突出して形成された、液体をその表面張力で保
持するスリット付きの突状部分として設けることで、蓋
部材と本体部材とが接着剤で接合されても、溝状構造部
の液体を保持するスリットに接着剤が流れ込むことが防
止される。
【0037】また、液体供給経路は、フィルタの上流に
第1の液室を有し、フィルタの下流に、上記気体保持領
域を含む第2の液室を有する構成としてもよい。この場
合、第1の液室よりも上流側に弁機構を設けたり、ある
いは第1の液室に開閉可能な大気連通口を設けたりする
ことで、第2の液室内に気体が蓄積した際に、弁機構ま
たは大気連通口を閉じた状態で、第2の液室側からの吸
引により第1の液室および第2の液室を所定の圧力まで
減圧し、その後、弁機構または大気連通口を開くことに
より、第1の液室および第2の液室に気体が蓄積して第
1の液室および第2の液室内の液体量が減少しても、第
1の液室および第2の液室にそれぞれ適量の液体が上流
側から充填される。
【0038】また、液体供給経路の、フィルタの下流に
2つの液室を設けても良い。第2の液室内の気体の膨張
や蒸気圧の上昇により、第2の液室内の液体は、液体供
給経路の下流端へ押し出されるか、またはフィルタを介
して第1の液室へ戻されることになる。しかし、第2の
液室内の液体が液体供給経路の下流端へ不用意に押し出
されるのは好ましくなく、一方、第2の液室内ではフィ
ルタは気体保持領域と接触しているので第2の液室内の
液体がフィルタを介して第1の液室へ戻ることはできな
い。そこで、気体保持領域の気体に隣接する液体保持部
を有する第3の液室を設けることで、第2の液室内の気
体の膨張や蒸気圧の上昇が生じても、第3の液室に保持
されている液体が、フィルタとの接触部を通じてスムー
ズに第1の液室内へ流れるので、第2の液室内の液体が
液体供給経路の下流端から不用意に押し出されることは
なくなる。第3の液室に保持されている液体のフィルタ
との接触領域を、第3の液室に保持されている液体の量
によらずに一定に保つには、第3の液室に液体保持部材
を所望数設けることで達成される。また、この液体保持
部材への液体の保持は、液体の表面張力を利用すること
で達成される。
【0039】本発明のインクジェット記録ヘッドは、フ
ィルタで仕切られ、それぞれ内部に液体を保持する第1
の液室および第2の液室と、前記第2の液室と直接接続
され、前記第2の液室から供給された液体を吐出する液
体吐出部とを有し、前記第1の液室から前記フィルタを
介して前記第2の液室へ液体を供給可能なインクジェッ
ト記録ヘッドにおいて、前記フィルタの前記第2の液室
側に接する部分を気体保持領域と絵気体保持領域とに区
画する部材を有するとともに、該気体保持領域に保持さ
れた気体は、前記第2の液室に存在する気体と連通状態
にあることを特徴とする。
【0040】本発明のインクジェット記録ヘッドでも、
フィルタで仕切られた第1の液室および第2の液室を有
し、第1の液室から第2の液室へ液体を供給可能な状態
において、フィルタの第2の液室側に接する部分を気体
保持領域と液体保持領域とに区画する部材を有するとと
もに、この気体保持領域に保持された気体が、第2の液
室に存在する気体と連通状態にあるので、上述した本発
明の液体供給システムと同様に、フィルタの下流側で発
生する気泡による不具合が解消され、吐出部からのイン
クの吐出が安定して行われる。
【0041】これらにより、気泡が原因となる不吐出や
いわゆるインク落ち等の記録品質の劣化を防ぐことが可
能とすることができ、更にはフィルタ下に蓄積する気泡
を除去する回復手段を行う回数を低減することが可能と
なる。
【0042】また、液体保持領域に保持された液体が第
2の液室と連通することにより、第1の液室の液体と第
2の液室の液体とが可逆的に移動することが可能な構成
とすることにより、第2液室内の気体体積が増加/収縮
を繰り返しても、吐出部からの液体の吐出が安定して行
うことが可能となる。
【0043】本発明のインクジェット記録装置は、上記
本発明のインクジェット記録ヘッドを保持する保持手段
と、前記インクジェット記録ヘッドの液体吐出部から前
記インクジェット記録ヘッド内のインクを強制的に吸引
する吸引手段と、前記インクジェット記録ヘッドの第1
の液室を前記インクジェット記録ヘッドの外部に対して
密閉および開放させる弁機構とを有する。
【0044】本発明のインクジェット記録装置では、吸
引手段と弁機構とを有するので、まず、弁機構を閉じた
状態で、吸引手段を動作させてインクジェット記録ヘッ
ド内を所定の圧力まで減圧し、その後、弁機構を開くこ
とにより、インクジェット記録ヘッドの第1の液室およ
び第2の液室内に気体が蓄積して両液室内のインクの量
が減少した場合でも、第1の液室および第2の液室にそ
れぞれ適量のインクが充填される。
【0045】本発明の液体充填方法は、それぞれ液体を
保持する第1の液室と第2の液室とがフィルタで仕切ら
れるとともに、前記第1の液室から前記第2の液室への
液体の供給方向について前記第2の液室よりも下流側で
液体を保持しており、重力方向における上下方向に前記
フィルタの上流側から下流側へ液体を供給可能な状態に
おいて前記フィルタと前記第2の液室内の液体との間を
隔てる気体保持領域の気体が介在している液体供給シス
テムにおける液体充填方法であって、前記第1の液室を
外部に対して密閉する工程と、前記第1の液室が密閉さ
れた状態で、前記第2の液室の下流側から吸引すること
によって前記第1の液室および前記第2の液室を減圧す
る工程と、前記第1の液室および前記第2の液室の減圧
後、前記第1の液室を外部に対して開放する工程とを有
する。
【0046】これにより、前述したのと同様に、第1の
液室および第2の液室内に気体が蓄積して両液室内の液
体の量が減少しても、第1の液室および第2の液室にそ
れぞれ適量の液体が充填される。
【0047】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。
【0048】(第1の実施形態)図1は、本発明の第1
の実施形態によるインクジェット記録装置の概略の構成
を示す斜視図である。
【0049】図1に示すインクジェット記録装置は、記
録ヘッド201の往復移動(主走査)と、一般記録紙、
特殊紙、OHPフィルム等、記録用シートSの所定ピッ
チごとの搬送(副走査)とを繰り返しつつ、これらの動
きと同期させながら記録ヘッド201から選択的にイン
クを吐出させ、記録用シートSに付着させることで、文
字や記号、画像等を形成するシリアルスキャン型の記録
装置である。
【0050】図1において、記録ヘッド201は、2本
のガイドレールに支持され不図示のモータ等の駆動手段
によりガイドレールに沿って往復移動するキャリッジ2
02に着脱可能に搭載されている。記録用シートSは、
搬送ローラ203により、記録ヘッド201のインク吐
出面に対面し、かつ、インク吐出面との距離を一定に維
持するように、キャリッジ202の移動方向と交差する
方向(例えば、直交する方向である矢印A方向)に搬送
される。
【0051】記録ヘッド201は、それぞれ異なる色の
インクを吐出するために、色別に複数のノズル列を有す
る。記録ヘッド201から吐出されるインクの色に対応
して、複数の独立したメインタンク204が、インク供
給ユニット205に着脱可能に装着される。インク供給
ユニット205と記録ヘッド201とは、それぞれイン
クの色に対応した複数のインク供給チューブ206によ
って接続され、メインタンク204をインク供給ユニッ
ト205に装着することで、メインタンク204内に収
納された各色のインクを、記録ヘッド201の各ノズル
列に独立して供給することが可能となる。
【0052】記録ヘッド201の往復移動範囲内で、か
つ、記録用シートSの通過範囲外の領域である非記録領
域には、回復ユニット207が、記録ヘッド201のイ
ンク吐出面と対面するように配置されている。
【0053】次に、このインクジェット記録装置のイン
ク供給系の詳細な構成について図2を参照して説明す
る。図2は、図1に示すインクジェット記録装置のイン
ク供給経路を説明するための図であり、説明を簡単にす
るため、1色分の経路についてのみ示している。
【0054】まず、記録ヘッド201について説明す
る。
【0055】記録ヘッド201へは、インク供給チュー
ブ206の先端に設けられた液体コネクタが気密接続さ
れるコネクタ挿入口201aからインクが供給される。
コネクタ挿入口201aは記録ヘッド201の上部に形
成されたサブタンク部201bと連通している。サブタ
ンク部201bの重力方向下側には、並列に配列された
複数のノズル201gを有するノズル部にインクを直接
供給する液室201fが形成されている。サブタンク部
201bと液室201fとはフィルタ201cによって
区画されているが、サブタンク部201bと液室201
fとの境界には開口部201dが形成された仕切部20
1eを有し、フィルタ201cはこの仕切部201e上
に設置されている。
【0056】上述の構成により、コネクタ挿入口201
aから記録ヘッド201に供給されたインクは、サブタ
ンク部201b、フィルタ201c、液室201fを経
てノズル201gに供給される。コネクタ挿入口201
aからノズル201gまでの間は大気に対して気密な状
態に保たれている。
【0057】サブタンク部201bの上面には開口部が
形成され、この開口部はドーム状の弾性部材201hで
覆われている。この弾性部材201hで囲まれた空間
(圧力調整室201i)は、サブタンク部201b内の
圧力に応じて容積が変化し、後述するようにサブタンク
部201b内の圧力を調整する機能を有する。
【0058】ノズル201gは、断面幅が20μm程度
の筒状の構造を持ち、ノズル201g内のインクに吐出
エネルギーを与えることでインクをノズル201gから
吐出させ、インクの吐出後、ノズル201gの毛管力に
よりノズル201g内にインクが満たされる。通常は、
この吐出を20kHz以上のサイクルで繰り返し、微細
で高速な画像形成を行っている。ノズル201g内のイ
ンクに吐出エネルギーを与えるために、記録ヘッド20
1は、ノズル201gごとにエネルギー発生手段を有す
る。本実施形態では、エネルギー発生手段として、ノズ
ル201g内のインクを加熱する発熱抵抗素子(電気熱
変換体素子)を用いており、記録ヘッド201の駆動を
制御するヘッド制御部(不図示)からの指令により発熱
抵抗素子を選択的に駆動し、所望のノズル201g内の
インクを膜沸騰させ、これにより生じる気泡の圧力を利
用してノズル201gからインクを吐出させている。
【0059】ノズル201gは、インクを吐出する先端
(吐出口)を下向きにして配列されているが、その吐出
口を閉鎖する弁機構は設けられておらず、インクは吐出
口にてメニスカスを形成した状態でノズル201g内を
満たしている。そのため、記録ヘッド201の内部、特
に液室201f内は大気圧に対して負圧の状態に保たれ
ている。ただし、負圧が小さすぎると、ノズル201g
の先端に異物やインクが付着した場合、インクの吐出口
におけるメニスカスが破れてインクがノズル201gか
ら漏れ出てしまうことがある。またこの逆に負圧が大き
すぎると、吐出時にインクに与えられるエネルギーより
もノズル201g内(液室201f内)にインクを引き
戻す力が強くなってしまい、吐出不良となってしまう。
よって、液室201f内における負圧は、大気圧よりも
若干低い一定の範囲に保たれる。この負圧の範囲は、ノ
ズル201gの数、断面積、発熱抵抗素子の性能等によ
り異なるが、本発明者らの実験結果によれば、−20m
mAq(約−0.0020atm=−0.2027kP
a) 〜 −200mmAq(約−0.0200atm=
−2.0265kPa)(ただし、インクの比重≒水の
比重とする)の範囲が好ましい。
【0060】本実施形態では、インク供給ユニット20
5と記録ヘッド201とをインク供給チューブ206で
接続しており、インク供給ユニット205に対する記録
ヘッド201の位置を比較的に自由に設定できるので、
記録ヘッド201内を負圧とするために、記録ヘッド2
01をインク供給ユニット205よりも高い位置に配置
している。この高さについて詳しくは後述する。
【0061】フィルタ201cは、ノズル201gを詰
まらせるような異物がサブタンク部201bから液室2
01fへ流出するのを防止するための、ノズル201g
の断面幅よりも小さい10μm以下の微細孔を有する金
属メッシュで構成される。フィルタ201cは、フィル
タ201cの一方の面のみにインクが接触すると各微細
孔に表面張力によるインクのメニスカスが形成され、気
体の流れは困難な性質を持っている。微細孔のサイズが
小さいほどメニスカスの強度は強くなり、より気体を通
しにくくなる。
【0062】本実施形態で用いたようなフィルタ201
cでは、気体を透過させるのに必要な圧力は0.1at
m(10.1325kPa)程度(実験値)である。そ
のため、記録ヘッド1内でのインクの移動方向に関して
フィルタ201cの下流に位置する液室201fに気体
が存在すると、気体は気体自身の浮力程度ではフィルタ
201cを通過することができないので、液室201f
内の気体は液室201f内に留まる。本実施形態におい
てはこの現象を利用しており、液室201fをインクで
満たさず、液室201f内のインクとフィルタ201c
との間に気体の層が存在しこの気体保持領域の気体によ
って液室201f内のインクとフィルタ201cとが隔
てられるように、所定の量のインクを液室201f内に
蓄えている。この気体保持領域の気体は、ノズル201
gからフィルタ201cへの気泡の移動を遮断するよう
に、液室201fに存在している。
【0063】液室201f内に蓄えられる最低限必要な
インクの量は、ノズル201gをインクで満たす量であ
る。ノズル201g内に液室201fからの気体が侵入
すると、インク吐出後のノズル201gにインクが補充
されず吐出不良をおこすため、ノズル201g内は常に
インクで満たされている必要がある。
【0064】フィルタ201cの上面にはサブタンク部
201b内のインクが接触しているが、このフィルタ2
01cの上面のインクと下面のインクとが接触している
部分においてのみ、インクがフィルタ201cを介して
連通するため、この連通可能な面積部分がフィルタ20
1cの有効面積となる。従来の技術でも述べたようにフ
ィルタ201cによる圧力損失はフィルタ201cの有
効面積に依存している。本実施形態では、面積が大きい
フィルタ201cを記録ヘッド201の使用状態におい
て略水平となるように配置し、フィルタ201cの上面
全体にインクを接触させて、フィルタ下面のインクと連
通する領域を多く取ることによりフィルタの有効面積を
最大とし、圧力損失を低くしている。
【0065】圧力調整室201iは、内部の負圧が大き
くなるにつれてその容積が縮小する部屋であり、圧力調
整室201iが本実施形態のように弾性部材201hで
構成される場合は、弾性部材201hとしてはゴム材等
が好ましく用いられる。また、弾性部材201hの他
に、プラスチックシートとばねとの組み合わせによって
構成してもよい。圧力調整室201iの容積は、この記
録ヘッド201が使用される環境温度やサブタンク部2
01bの容積等に応じて設定されるが、本実施形態では
約0.5mlとした。
【0066】圧力調整室201iを設けない場合、サブ
タンク部201b内の圧力は、インクがメインタンク2
04、インク供給ユニット205、およびインク供給チ
ューブ206を通過する際の圧力損失による抵抗を直接
受ける。そのため、全てのノズル201gよりインクを
吐出するなど、高い割合でインクを吐出するいわゆる高
デューティ(duty)の場合には、吐出されるインク
に対して記録ヘッド201に供給されるインクが不足状
態となり、負圧が急激に上昇してしまう。ノズル201
gの負圧が、前述した限界値である−200mmAq
(約−2.0265kPa)を越えると、吐出が不安定
になり画像形成の上で不都合な状態となる。
【0067】本実施形態のような、シリアルスキャン型
の記録装置においては、高デューティでの画像形成であ
ってもキャリッジ202(図1参照)の反転の際にイン
クの吐出を中断する状態が存在する。圧力調整室201
iは、インクの吐出中には容積を縮小させてサブタンク
部201b内の負圧の上昇を緩和し、反転時に復元する
といった、コンデンサのような役割を果たす。
【0068】例えば、圧力調整室201iの容積の縮小
に対する負圧の変化の割合をK=−1.01325kP
a/ml、サブタンク部201bの容積をVs=2ml
とすると、吐出されたインクに対して供給されたインク
がΔV=0.05ml不足した場合を考える。この場
合、圧力調整室201iがなければ、「PV=一定」の
原理により、サブタンク部201b内の負圧の変化はΔ
P=Vs/(Vs+ΔV)−1=−2.47kPaとな
り、前述した限界値を越えてしまうため、吐出が不安定
になる。これに対し、圧力調整室201iがあると、Δ
P=K×ΔV=−0.51kPaとなり、負圧の上昇が
抑制され、安定した吐出が可能となる。
【0069】上述のように、圧力調整室201iによ
り、インクの吐出の安定化を図るとともに、メインタン
ク204から記録ヘッド201までのインクの供給経路
での圧力損失の影響が抑えられる。そのため、キャリッ
ジ202に従動させるインク供給チューブ206も直径
の細いものを使用することができ、キャリッジ202の
移動の負荷低減にも貢献する。
【0070】次に、インク供給ユニット205およびメ
インタンク204について説明する。
【0071】メインタンク204は、供給ユニット20
5に対して着脱可能な構成であり、その底部に、ゴム栓
204bで密封されたインク供給口と、ゴム栓204c
で密封された大気導入口とを有する。メインタンク20
4は、単体では気密な容器であり、インク209はメイ
ンタンク204内にそのまま収容される。
【0072】一方、インク供給ユニット205は、メイ
ンタンク204からインク209を取り出すためのイン
ク供給針205aと、メインタンク204内へ大気を導
入させるための大気導入針205bとを有する。インク
供給針205aおよび大気導入針205bはともに中空
の針であり、メインタンク204のインク供給口および
大気導入口の位置に対応させて針先を上方に向けて配置
されており、メインタンク204がインク供給ユニット
205に装着されることで、インク供給針205aおよ
び大気導入針205bがそれぞれゴム栓204b,20
4cを貫通し、メインタンク204の内部に侵入する構
成となっている。
【0073】インク供給針205aは、液路205c、
遮断弁210、および液路205dという経路を経て、
インク供給チューブ206と接続される。大気導入針2
05bは、液路205e、バッファ室205f、大気連
通口205gを経て大気と連通する。インク供給針20
5aからインク供給チューブ206までのインク供給経
路のうち最も高さの低い位置にある液路205cと、大
気導入針205bから大気連通口205gまでの経路の
うち最も高さの低い位置にある液路205eとは、とも
に同じ高さである。インク供給針205aおよび大気導
入針205bは、本実施形態では、インクの流動抵抗を
抑えるため、内径が1.6mmの太いものを使用し、ま
た、針穴についても直径を1〜1.5mmとした。
【0074】遮断弁210は、ゴム材からなるダイアフ
ラム210aを有し、このダイアフラム210aを変位
させることにより2つの液路205c,205d間の開
閉を行う。ダイアフラム210aの上面には、押圧ばね
210cを内部に保持する筒状のばねホルダ210bが
取り付けられており、この押圧ばね210cによりダイ
アフラム210aを押し潰すことにより、液路205
c,205d間が遮断される。ばねホルダ210bは、
後述する回復ユニット207のリンク207eにより動
作されるレバー210dが係合するフランジを有する。
レバー210dを動作させて、押圧ばね210cのばね
力に抗してばねホルダ210bを持ち上げることで、液
路205c,205d間が連通する。遮断弁210は、
記録ヘッド201がインクを吐出している状態では開か
れ、待機中および休止中は閉じられ、後述するインク充
填動作時には、回復ユニット207とタイミングを合わ
せて開閉される。
【0075】上述したインク供給ユニット205の構成
は、レバー210dを除き、メインタンク204ごと、
すなわちインクの色ごとに設けられている。レバー21
0dは全ての色に共通のものであり、全ての色について
の遮断弁210を同時に開閉させる。
【0076】以上の構成により、記録ヘッド201内の
インクが消費されると、その負圧により、インクが随時
メインタンク204からインク供給ユニット205およ
びインク供給チューブ206を介して記録ヘッド201
へ供給される。その際、メインタンク204から供給さ
れたインクと同量の気体が、大気連通口205gからバ
ッファ室205f、大気導入針205bを経て、メイン
タンク204内に導入される。
【0077】バッファ室205fは、メインタンク20
4内の気体の膨張によりメインタンク204から流出し
たインクを一時的に保持する目的の空間であり、大気導
入針205bの下端はバッファ室205fの底部に位置
している。インクジェット記録装置の待機中または休止
中に環境温度が上昇したり外気圧が低下したりする等、
メインタンク204内の気体が膨張した場合は、遮断弁
210は閉じられているため、メインタンク204内の
インクが大気導入針205bから液路205eを経てバ
ッファ室205fへ流出する。逆に、環境温度が低下す
る等、メインタンク204内の気体が収縮した場合は、
バッファ室205f内に流出していたインクはメインタ
ンク204へ戻る。また、バッファ室205fにインク
が存在している状態で記録ヘッド201からインクを吐
出させると、まず、バッファ室205f内のインクがメ
インタンク204へ戻り、バッファ室205f内のイン
クがなくなった後、メインタンク204内に気体が導入
される。
【0078】バッファ室205fの容積Vbは、製品の
使用環境を満足するように設定する。例えば、5℃(2
78K)〜35℃(308K)の温度範囲内での使用を
前提とする製品であれば、メインタンク204の容量を
100mlとすると、Vb=100×(308−27
8)/308=9.7ml以上として設定される。
【0079】ここで、メインタンク204の基本水頭
と、メインタンク204内に気体が導入される際のイン
ク供給ユニット205の液路内での気体およびインクの
挙動について、図3を用いて説明する。
【0080】図3(a)に、メインタンク204から記
録ヘッド201(図2参照)へインクを供給可能な通常
の状態を示す。この状態では、メインタンク204内
は、バッファ室205fを除いて気密状態であるためメ
インタンク204内は大気圧に対して負圧に保たれ、イ
ンクの先端209aは、液路205eの途中に留まって
いる。インクの先端209aの圧力は、大気と接してい
るため大気圧(=0mmAq)である。インクの先端2
09aが位置する液路205cとインク供給チューブ2
06(図2参照)に連通する液路205eとは同じ高さ
であり、両液路205c,205e間はインクのみで連
通されているので、液路205cの圧力も大気圧とな
る。これはインクの先端209aと液路205cとの高
さの関係で決まるものであり、メインタンク204内の
インク209の量には影響されない。
【0081】メインタンク204内のインクが消費され
ると、図3(b)に示すように、インクの先端209a
は徐々に大気導入針205bへ向かって移動し、大気導
入針205bの直下に達した時点で、図3(c)に示す
ように、気泡となって大気導入針205b内を浮上し、
メインタンク204内に導入される。これと入れ替え
に、メインタンク204内のインクが大気導入針205
b内に侵入し、インクの先端209aは図3(a)に示
した元の状態に戻る。
【0082】図3(d)に、バッファ室205f内にイ
ンクが溜まった状態を示す。この場合、インクの先端2
09aはバッファ室205fの高さ方向中間の、液路2
05cよりもh1(mm)だけ高い位置に位置してお
り、液路205cの圧力が−h1(mmAq)となって
いる。
【0083】以上より、本実施形態において、ノズル2
01g(図2参照)にかかる水頭差による圧力は、図4
に示すように流路205cからサブタンク部201b内
のインク上面209bまでの高さをh2(mm)、フィ
ルタ201cからサブタンク部201b内のインク上面
209bまでの高さをh3(mm)、ノズル201gの
下端から液室201f内のインク上面209cまでの高
さをh4(mm)とすると、ノズル201g下端での負
圧Pnは、通常の状態では、Pn≒−9.8×(h2−h
3−h4)Paとなり、バッファ室205fにインクが
溜まった状態ではPn≒−9.8×(h2−h1−h3
−h4)Paとなる。Pnの値は、前述した負圧の範囲
(−0.2027kPa〜−2.0265kPa)の範
囲に収まるように設定される。
【0084】再び図2を参照すると、インク供給針20
5aと大気連通針205bとにはインクの電気抵抗を測
定する回路205hが接続されており、メインタンク2
04内のインクの有無を検出可能となっている。この回
路205hは、メインタンク204内にインクが存在し
ている状態では、メインタンク204内のインクを介し
て回路205hに電流が流れるため電気的クローズを検
出し、インクが存在しないまたはメインタンク204が
装着されていない状態では電気的オープンを検出する。
検出電流は微弱であるため、インク供給針205aと大
気導入針205bとの絶縁は重要であり、本実施形態で
は、インク供給針205aから記録ヘッド201までの
経路と、大気連通針205bから大気連通口205gま
での経路とを完全に独立させ、メインタンク204内の
インクのみの電気抵抗を測定可能なように配慮してい
る。
【0085】次に、回復ユニット207について説明す
る。
【0086】回復ユニット207は、ノズル201gか
らのインクや気体の吸引と、遮断弁210の開閉を行う
ものであり、記録ヘッド201のインク吐出面(ノズル
201gが開口した面)をキャッピングする吸引キャッ
プ207aと、遮断弁210のレバー210dを動作さ
せるリンク207eとを有する。
【0087】吸引キャップ207aは、少なくともイン
ク吐出面と接触する部分がゴム等の弾性部材で構成さ
れ、インク吐出面を密閉する位置と記録ヘッド201か
ら退避した位置との間を移動可能に設けられている。吸
引キャップ207aには、中間部位にチューブポンプ式
の吸引ポンプ207cを有するチューブが接続されてお
り、ポンプモータ207dによって吸引ポンプ207c
を駆動することで、連続吸引が可能である。また、ポン
プモータ207dの回転量に応じて吸引量を変えること
が可能である。本実施形態では、−0.8atm(8
1.060kPa)まで減圧可能な吸引ポンプ207c
を用いている。
【0088】カム207bは吸引キャップ207aを動
作させるものであり、カム制御モータ207gにより、
リンク207eを動作させるカム207fと同期して回
転される。カム207bのa〜cの位置がそれぞれ吸引
キャップ207aと接触するタイミングは、カム207
fのa〜cの位置がそれぞれリンク207eと接触する
タイミングと一致している。aの位置では、カム207
bは吸引キャップ207aを記録ヘッド201のインク
吐出面から離間させ、カム207fはリンク207eを
押しつけてレバー210dを押し上げ、遮断弁210を
開かせる。bの位置では、カム207bは吸引キャップ
207aをインク吐出面に密着させ、カム207fはリ
ンク207eを引き戻して遮断弁を閉じさせる。cの位
置では、カム207bは吸引キャップ207aをインク
吐出面に密着させ、カム207fはリンク207eを押
しつけて遮断弁210を開かせる。
【0089】記録動作の際は、カム207b,207f
をaの位置とし、ノズル201gからのインクの吐出、
およびメインタンク204から記録ヘッド201へのイ
ンクの供給を可能とする。待機中および休止中を含む非
動作時は、カム207b,207fをbの位置とし、ノ
ズル201gの乾燥を防止するとともに、記録ヘッド2
01からのインクの流出を防止する(特に装置自身の移
動時は、装置が傾けられてインクが流出する場合もあ
る)。カム207b,207fのcの位置は、以下に説
明する、記録ヘッド201へのインク充填動作時に用い
られる。
【0090】以上、メインタンク204から記録ヘッド
201までのインク供給経路を説明したが、図2に示し
たような構成では、長期にわたって見ると、記録ヘッド
201内に気体が蓄積してしまう。
【0091】サブタンク部201bにおいては、インク
供給チューブ206や弾性部材201hを透過して侵入
する気体や、インク内に溶存していた気体が蓄積する。
インク供給チューブ206や弾性部材201hを透過す
る気体については、それらを構成する材料としてガスバ
リア性の高いものを使用すればよいが、ガスバリア性の
高い材料は高価であり、大量生産される民生用の機器で
は、コスト面の都合上、高性能な材料を容易に使用する
ことはできない。本実施形態では、インク供給チューブ
206には低コストかつ柔軟性が高く使い易いポリエチ
レンチューブを用い、弾性部材201hにはブチルゴム
を使用している。
【0092】一方、液室201fにおいては、ノズル2
01gからのインクの吐出によって発生する気泡、すな
わち記録動作に伴いノズル201g内のインクを発泡さ
せてインクを吐出させた後、気泡が消泡する際に、イン
ク中に再溶解しなかった気泡が液室201fに戻った
り、インク中に溶存している微細な気泡がノズル201
g内のインクの温度上昇により集まって大きな気泡とな
ったりすることにより、徐々に気体が蓄積する。
【0093】本発明者らが行った実験によると、本実施
形態に示した構成においては、サブタンク部201b内
での気体の蓄積量は1ヶ月当たり約1ml、液室201
f内での気体の蓄積量は1ヶ月当たり約0.5mlであ
った。
【0094】サブタンク部201b内および液室201
f内での気体の蓄積量が多いと、サブタンク部201b
および液室201fが各々収納しているインク量が減少
してしまう。サブタンク部201bにおいては、インク
が不足すると、フィルタ201cが気体に露出してフィ
ルタ201cの有効面積が減少し、その結果としてフィ
ルタ201cの圧力損失が上昇し、最悪の場合は液室2
01fへインクが供給できなくなってしまう。一方、液
室201fにおいては、ノズル201gの上端が気体に
露出すると、ノズル201gへのインク供給が不能とな
る。このように、サブタンク部201bおよび液室20
1fのいずれも、一定量以上のインクが収納されていな
いと致命的な問題が生じる。
【0095】そこで、所定の期間ごとにサブタンク部2
01bおよび液室201fの各々に適量のインクを充填
することで、ガスバリア性の高い材料を使用しなくても
インクの吐出機能を長期間にわたって安定して維持する
ことができる。例えば本実施形態の場合、1ヶ月当たり
に蓄積する気体の量に充填時のばらつきをプラスした量
を、サブタンク部201bおよび液室201fにそれぞ
れ1ヶ月ごとに充填すればよい。
【0096】サブタンク部201bおよび液室201f
へのインクの充填は、回復ユニット207による吸引動
作を利用して行う。すなわち、吸引キャップ207aで
記録ヘッド201のインク吐出面を密閉した状態で吸引
ポンプ207cを駆動し、記録ヘッド201内のインク
をノズル201gから吸引することによって行う。ただ
し、単にノズル201gからインクを吸引しただけで
は、ノズル201gから吸引したインクとほぼ同量のイ
ンクがサブタンク部201bから液室201fへ流れ込
み、同様に、サブタンク201bから流出したインクと
ほぼ同量のインクがメインタンク204からサブタンク
部201bへ流れ込むだけで、吸引前と状況はほとんど
変わらない。
【0097】したがって、本実施形態では、フィルタ2
01cで仕切られたサブタンク部201bと液室201
fとに各々適量のインクを充填するために、遮断弁21
0を利用してサブタンク部201bおよび液室201f
を所定の圧力まで減圧し、サブタンク部201bおよび
液室201fの容積設定を行う。
【0098】以下に、サブタンク部201bと液室20
1fとへのインク充填動作、および容積設定について説
明する。
【0099】インク充填動作は、まず、記録ヘッド20
1が吸引キャップ207aと対向する位置までキャリッ
ジ202(図1参照)を移動させ、回復ユニット207
のカム制御モータ207gを駆動してカム207b,2
07fを、それぞれbの位置が吸引キャップ207aお
よびリンク207eと接触するまで回転させる。これに
より、記録ヘッド201のインク吐出面が吸引キャップ
207aにより密閉され、遮断弁210はメインタンク
204から記録ヘッド201までのインク経路を閉じた
状態となる。
【0100】この状態でポンプモータ207dを駆動
し、吸引ポンプ207cにより吸引キャップ207aか
ら吸引を行う。この吸引により、記録ヘッド201内に
残留しているインクおよび気体がノズル201gを通し
て吸引され、記録ヘッド201内が減圧される。吸引ポ
ンプ207cによる吸引量が所定の量に達した時点で、
吸引ポンプ207cを停止させ、カム制御モータ207
gを駆動してカム207b,207fをそれぞれcの位
置が吸引キャップ207aおよびリンク207eと接触
するまで回転させる。これにより、吸引キャップ207
aによるインク吐出面の密閉状態はそのままで、遮断弁
210が開かれる。吸引ポンプ207cによる吸引量
は、記録ヘッド201内の圧力が、サブタンク部201
bおよび液室201f内に適量のインクを充填するのに
必要な所定の圧力となる吸引量であり、これは計算や実
験等によって求めることができる。
【0101】記録ヘッド201内が減圧されると、イン
ク供給チューブ206を介して記録ヘッド201内にイ
ンクが流れ込み、サブタンク部201bおよび液室20
1fの各々にインクが充填される。充填されるインクの
量は、減圧されているサブタンク部201bおよび液室
201fがほぼ大気圧に戻るのに必要な体積であり、サ
ブタンク部201bおよび液室201fの容積および圧
力により決定される。
【0102】サブタンク部201bおよび液室201f
へのインクの充填は、遮断弁210が開かれてから約1
秒程度で完了する。インクの充填が完了すると、カム制
御モータ207gを駆動してカム207b,207fを
aの位置がそれぞれ吸引キャップ207aおよびリンク
207eと接触する位置まで回転させる。これにより吸
引キャップ207aを記録ヘッド201から離間させ、
再び吸引ポンプ207cを駆動して吸引キャップ207
a内に残ったインクを吸引する。またこの状態では遮断
弁210は開いた状態であるので、ノズル201gから
インクを吐出して記録用シートS(図1参照)へ文字や
画像等を形成可能な状態となる。なお、待機中および休
止中の場合は、カム制御モータ207gを再び駆動して
カム207b,207fをそれぞれbの位置が吸引キャ
ップ207aおよびリンク207eと接触する位置まで
回転させ、記録ヘッド201のインク吐出面を吸引キャ
ップ207aで密閉するとともに、遮断弁210を閉じ
る。
【0103】サブタンク部201bおよび液室201f
内のインクの量が長期間にわたって不足することがなけ
れば、回復ユニット207による吸引動作を頻繁に行う
必要もなく、インクを無駄にする機会も減る。さらに、
サブタンク部201bおよび液室201fの両方にイン
クの充填が必要な場合であっても1回の充填動作で済む
のでインクを節約することができる。
【0104】ここで、サブタンク部201bの容積をV
1、サブタンク部201bに充填すべきインクの量をS
1、サブタンク部201b内の圧力をP1(大気圧から
の相対値)とする。ここで、「PV=一定」の原理によ
り、これらの関係をV1=S1/│P1│となるように
設定することにより、充填動作によりサブタンク部20
1bに対して適量のインクを充填することができる。同
様に、液室201fの容積をV2、液室201fに充填
すべきインクの量をS2、液室201f内の圧力をP2
(大気圧からの相対値)としたとき、これらの関係をV
2=S2/│P2│となるように設定することにより、
充填動作により液室201fに対して適量のインクを充
填することができる。
【0105】また、サブタンク部201bと液室201
fとを区画するフィルタ201cは微細なメッシュ構造
であり、前述したようにメニスカスが形成された状態で
は気体の流れが困難な性質を持っている。ここで、メニ
スカスが形成されたフィルタ201cに対して気体を透
過させるのに必要な圧力をPmとする。回復ユニット2
07によりノズル201gから吸引した場合、液室20
1f内の圧力P2は、フィルタ201cを通してサブタ
ンク部201b内の気体を透過させるために、サブタン
ク部201b内の圧力P1よりも上記圧力Pm分だけ低
くなる。よって、この関係を、サブタンク部201bお
よび液室201fの容積を決定する際に用いると、充填
動作の条件を容易に決定することができる。
【0106】ここで、上述した充填動作および容積設定
についての具体的な例を説明する。
【0107】インクの充填は、1ヶ月に1回実施し、1
ヶ月間で蓄積する気体の量は、サブタンク部201bで
1ml、液室201fで0.5mlとする。また、サブ
タンク部201bにおいてフィルタ201cを気体に露
出させないようにするために必要なインクの量は0.5
ml、液室201fにおいてノズル201gを気体に吐
出させないようにするために必要なインクの量は0.5
ml、インクの充填量のばらつきは、サブタンク部20
1b、液室201fとも0.2mlとする。これらの数
値は、実験によって求められたものである。以上より、
1回の充填で充填すべきインクの量はこれらの合計値で
あり、サブタンク部201bでは1.7ml、液室20
1fでは1.2mlと設定される。
【0108】記録ヘッド201内の減圧圧力は、回復ユ
ニット207の能力を超えない範囲で設定される。本実
施形態では吸引ポンプ207cの実力限界が−0.8a
tm(81.060kPa)であるため、余裕を持たせ
て、吸引キャップ207a内の圧力が−0.5atm
(−50.6625kPa)となるように、吸引ポンプ
207cの吸引量が実験により求められて設定され、ポ
ンプモータ207dの回転量として制御を行う。
【0109】ここで、ノズル201gのメニスカスによ
る気体を透過させるのに必要な圧力は実験値で−0.0
5atm(−5.06625kPa)であるので、吸引
キャップ207a内の圧力と液室201f内の圧力との
間にノズル201gの抵抗分の差が生じ、液室201f
内の圧力が吸引キャップ207a内の圧力よりも0.0
5atm(5.06625kPa)だけ高くなる。同様
に、フィルタ201cのメニスカスによる気体を透過さ
せるのに必要な圧力は実験値で−0.1atm(−1
0.1325kPa)なので、液室201f内の圧力と
サブタンク部201b内の圧力との間にフィルタ201
cの抵抗分の差が生じ、サブタンク部201b内の圧力
が液室201f内の圧力よりも0.1atm(10.1
325kPa)だけ高くなる。よって、吸引キャップ2
07a内の圧力を−0.5atm(−50.6625k
Pa)に設定すると、液室201f内の圧力は−0.4
5atm(−45.5963kPa))、サブタンク部
201b内の圧力は−0.35atm(−35.463
8kPa)となる。
【0110】サブタンク部201bに1.7mlのイン
クを充填するためには、内圧がほぼ1atm(101.
325kPa)となっているサブタンク部201bから
1.7mlだけインクを吸引した時点で内圧が−0.3
5atm(−35.4638kPa)となるように、サ
ブタンク部201bの容積V1を設定する。すなわち、
V1=1.7/0.35=4.85mlとなる。同様に
して、液室201fの容積V2についても、V2=1.
2/0.45=2.67mlと設定する。
【0111】以上の条件で記録ヘッド201内を減圧し
た後、遮断弁210を開くことで、負圧となっている記
録ヘッド201内へインクが流れ込む。より詳しく説明
すると、まず、サブタンク部201b内にインクが流れ
込み、減圧によってV1まで膨張していた気体がほぼ大
気圧まで復元する。そのときのサブタンク部201b内
での気体の体積をV1aとすると、V1a=V1×(1−
0.35)=3.15mlであり、サブタンク部201
bにV1−V1a=1.7mlのインクが充填された時
点で落ち着く。同様に液室201fについても、サブタ
ンク部201bからインクが流れ込み、減圧によってV
2まで膨張していた気体がほぼ大気圧まで復元する。そ
のときの液室201f内での気体の体積をV2aとする
と、V2a=V2×(1−0.45)=1.47mlで
あり、液室201fにV2−V2a=1.2mlのイン
クが充填された時点で落ち着く。
【0112】以上のように、サブタンク部201bおよ
び液室201fの各々の容積と減圧する圧力とを設定す
ることにより、フィルタ201cで仕切られたサブタン
ク部201bと液室201fとに各々適量のインクを1
回の充填動作で充填することができ、気体が記録ヘッド
201内に蓄積する状況下であってもその吸引動作なし
に、長期間にわたって正常に稼働させることができる。
【0113】また、前述したように、フィルタ201c
と液室201f内のインクの上面との間には気体保持領
域の気体が介在しているが、この気体保持領域の気体の
体積は回復ユニット207による吸引動作での吸引圧力
で任意に設定することが可能である。つまり、気体保持
領域の気体は体積を管理することが可能な気体である。
【0114】そのため、従来、フィルタとノズルとの間
に発生した気泡が原因となって起こっていた吐出不良に
対する信頼性を大幅に向上させることができる。すなわ
ち、管理できない気泡がフィルタの下に存在することに
よってフィルタの有効面積が変化(低減)するという従
来の問題に対しては、本実施形態においては、フィルタ
201c下面は初めから管理された部分(図2の開口部
201d)で気体保持領域の気体と接しており、フィル
タ201cの有効面積はほとんど変化しない。よって、
フィルタ201cの必要な有効面積は、設計段階よりこ
のことを考慮しておけばコントロールすることが可能と
なるので、信頼性を高めることができる。
【0115】また、フィルタとノズルとの間の流路を気
泡が塞いでしまうという問題に対しては、液室201f
内に存在し得る気泡の直径に対して液室201fの断面
積を十分に大きく構成しているので、液室101f内の
気泡がインクの流れを妨げることはなくなる。
【0116】さらに、液室内の気泡がノズル内に侵入し
たり、液室とノズルとの間の連通部を塞いでしまったり
するとによる問題に関しては、上述したように液室20
1fの断面積が十分に大きいので、液室201f内に生
じた気泡はその浮力により液室201f内のインク中を
上昇し、気体保持領域の気体と合体するので、ノズル2
01g内に侵入することはなくなる。しかも、液室20
1f内に生じた気泡が気体保持領域の気体と合体して
も、この気体保持領域の気体は上述のように管理可能な
気体であるため、フィルタ201cの有効面積は変化し
ない。
【0117】すなわち、フィルタ201cでサブタンク
部201bと仕切られた液室201fを以上のように構
成することで、液室201f内に気泡が生じたり、生じ
た気泡が移動したりすることが原因となって発生してい
た吐出不良に対する信頼性を大幅に向上させることがで
きる。
【0118】次に、本発明の更なる特徴について説明す
る。
【0119】本実施形態の構成では、遮断弁210を閉
じた場合、記録ヘッド201の内部は、ノズル201g
の表面のメニスカス圧力だけでインクを保持した、閉じ
た系となっている。例えば、低温環境下で遮断弁210
を閉じ、しばらくして環境温度が上昇してきた場合を考
える。この場合、フィルタ201cに対してノズル20
1gと反対側の空間であるサブタンク部201b内に
は、温度上昇や外気圧の低下等による気体の膨張と蒸気
圧の上昇等が発生する。この気体の膨張分や蒸気圧の上
昇分は、圧力調整室201iで吸収することができる。
【0120】しかし、フィルタ201cに対してノズル
201g側の空間である液室201fには、圧力調整室
201iのような、気体の膨張分や蒸気圧の上昇分を吸
収する空間とは連通しておらず、容積は一定である。液
室201fは、ノズル201gと直接連通しているた
め、微細なゴミすら存在が許されない。圧力調整室20
1iのような空間を液室21fに設けることは原理的に
は不可能ではないが、ゴムのような、不純物の発生する
ものや変形してゴミを発生させやすいものを液室201
fに設けるのは、製造コストを考えると現実的ではな
い。
【0121】したがって、液室201f内で膨張した気
体は、液室201f内のインクを液室201fの外部へ
押し出すことになる。ここで、液室201f内のインク
の一部でも、例えば表面張力の働きなどにより液室20
1fの壁面を上ってフィルタ201cと接触していれ
ば、フィルタ201cを透過してサブタンク部201b
へ逃げることができる。
【0122】しかし、フィルタ201cの液室201f
側の面が全面にわたって気体にされされており、インク
と接触していない場合、フィルタ201cのサブタンク
部201b側の面がインクに接していることによりフィ
ルタ201cにはメニスカスが形成されているので、こ
のメニスカスを破らなければインクはサブタンク部20
1bへ逃げることはできない。
【0123】一方で、ノズル201gにもメニスカスが
形成されており、このノズル201gでのメニスカスの
保持力が、フィルタ201cでのメニスカスの保持力に
比べて小さいと、インクはノズル201gから漏れてし
まうことになる。しかも、ノズル201gのメニスカス
が一度破れると、簡単には戻らず、液室201f内のイ
ンクを、気体の膨張分や蒸気圧の上昇分だけ吹き出して
しまうことになる。
【0124】そこで、本実施形態では、このような不具
合を防止するため、サブタンク部201bと液室201
fとの境界に設けられてフィルタ201cが設置される
仕切部201eの構造を工夫し、フィルタ201cの液
室201f側の面に確実にインクが接するような構造と
している。これによって、(ノズル201gに形成され
ているメニスカスを破る力)≧(フィルタ201cへイ
ンクが移動する力)を実現して、ノズル201gからの
インクの漏れを防ぐ。以下にこの構造について図5およ
び6を参照して説明する。
【0125】図5は、図2に示す記録ヘッドの内部構造
を詳細に示す断面図であり、図6は、図2に示す記録ヘ
ッドを、サブタンク部の上壁および一部のフィルタを除
いた状態で上方から見た斜視図である。なお、図5では
ノズル201gの詳細な断面構造は省略している。
【0126】図5および図6に示すように、仕切部20
1eの周縁部には、サブタンク部201bに向かって延
びる側壁221aが形成されており、実際にはフィルタ
201cは側壁221aの上に載せられている。これに
より、側壁221aで囲まれた領域内にもインクを保持
することが可能な構造となっている。すなわち仕切部2
01eは、サブタンク部201bと液室201fとの間
の補助液室を構成する。側壁221aの高さは、仕切部
201e内に保持されたインクのが表面張力により常に
フィルタ201cの下面に接触することができる高さで
ある(図面では説明をわかりやすく図示しているため、
側壁221aで囲まれた領域内に保持されたインクの大
部分は表面張力によってフィルタ201cの下面に接触
している)。
【0127】また、側壁221aで囲まれた領域の内側
には複数のリブ221c,221dが設けられている。
これらリブ221c,221dの高さは側壁221aの
高さと同じであり、リブ221c,221dの上端もフ
ィルタ201cの下面と接触している。これにより、毛
細管現象によりリブ221c,221dに沿って上昇し
たインクもフィルタ201cの下面と接触し、フィルタ
201cの下面で接触するインクの量をより多くしてい
る。
【0128】開口部201dの周囲では、その少なくと
も一部で側壁221aの高さが低くなっている。側壁2
21aの高さの低い部分はフィルタ201cと接触して
おらず、この部分を介して仕切部201eの中と液室2
01fとが連通している。これにより、気体保持領域を
確保することが可能となる。
【0129】上述の構成において、ノズル201gから
のインクの吐出により液室201f内のインクが消費さ
れていくと、液室201fの負圧が徐々に上昇する。液
室201fと仕切部201eの中とは連通しているの
で、液室201fの負圧の上昇と同様に仕切部201e
の中の負圧も上昇する。
【0130】液室201fおよび仕切部201e内の負
圧が上昇すると、サブタンク部201bからフィルタ2
01cを通して液室201f内にインクが流れ込む。こ
の際、仕切部201e内では221a、221c、22
1d等によって保持されているインクが表面張力によっ
てフィルタ201cの下面と接触しているため、この部
分でインクが流れやすくなっている。したがって、図7
に矢印で示すように、サブタンク部201b内のインク
は、フィルタ201cの、下面がインクと接触している
部分から側壁221aやリブ221c,221dを伝わ
って仕切部201e内へ流れ込み、流れ込んだインクが
開口部201dの周囲の側壁221aから溢れ出ること
によって、液室201fに流れ込む。
【0131】ここで、遮断弁210(図2参照)を閉じ
た状態で環境温度が上昇したり、外気圧が低下したりす
るなど、記録ヘッド201内の気体の膨張や蒸気圧の上
昇が発生した場合のインクの流れについて、図8を用い
て説明する。
【0132】液室201f内の気体の膨張や蒸気圧の上
昇が発生すると、膨張や圧力上昇分の気体体積は、フィ
ルタ201cを通じてサブタンク部201bに逃げる
か、または液室201f内のインク(仕切部201e内
のインクも含む)を外部へ押し出すことになるが、前述
したようにサブタンク部201b内のインクと接触して
いるフィルタ201cは液室201f内の気体を透過さ
せ難いので、インクを外部へ押し出すことになる。ここ
で、仕切部201e内では221a、221c、221
d等によって保持されているインクが表面張力によりフ
ィルタ201cと接触しており、この部分でインクはフ
ィルタ201cを透過しやすいので、液室201f内の
気体の膨張や蒸気圧上昇が発生すると、仕切部201e
内のインクが、側壁221aやリブ221c,221d
を伝わり、フィルタ201cを通ってサブタンク部20
1bへ流れ込む。
【0133】一方、サブタンク部201bにおいては、
前述したように、圧力調整室201iが設けられている
ので、液室201fと同様に気体の膨張や蒸気圧の上昇
が発生し、さらに、フィルタ201cを透過したインク
が流れ込んだとしても、それによる体積増加分は圧力調
整室201iで吸収される。
【0134】この際、仕切部201e内のインクがなく
ならないようにするために、仕切部201e内でのイン
クの保持容積Vfと、液室201f内での気体の最大増
加容積ΔVmaxとの関係が、Vf>ΔVmaxである必要が
ある。ΔVmaxは、記録ヘッド201内の気体の膨張や
蒸気圧上昇が温度上昇によって生じる場合は、液室20
1f内の気体の容積×想定される最大温度変化量比で与
えられる。
【0135】以上説明した仕切部201eの構造によれ
ば、フィルタ201cの液室201f側の面にも常にイ
ンクを接触させた状態とすることができるので、環境温
度の上昇等により液室201f内の気体の膨張や蒸気圧
上昇が発生しても、増加した気体体積分のインクを、フ
ィルタ201cを通じてサブタンク部201bへスムー
ズに移動させることができ、ノズル201gからインク
が吹き出る現象を防止することができる。しかも、仕切
部201eでのインクのフィルタ201cとの接触は側
壁221aやリブ221c,221dによる毛細管現象
を利用して接触しているのでこの部分に気泡が発生する
ことはないし、また、フィルタ201cの下面とインク
との接触領域は一定の領域であるので、フィルタ201
cの有効面積も殆ど一定である。
【0136】また、本実施形態では、フィルタ201c
の液室201f側の面にインクを接触させるための構造
を、フィルタ201cが設置される仕切部201eを利
用して構成しているため、そのための特別な部材や特別
な製造工程も特に必要とせず容易にしかも安価に構成す
ることができる。リブ221c,221dの数や位置は
特に制限はないが、より多くのインクを仕切部201e
で保持し、より多くのインクをフィルタ201cと接触
させるためには、リブの数を増やし、また、リブの間隔
を狭くすることが好ましい。
【0137】仕切部201eにおける開口部201dの
位置は任意であるが、開口部201dの全周を毛細管現
象を発生させるための側壁として利用できるように、サ
ブタンク部201bまたは液室201fの内壁面から離
れた位置に開口部201dを設け、仕切部201eを、
いわば開口部201dが中央部に位置する回廊構造とす
ることが好ましい。また、仕切部201e内でのインク
の保持量が少なくて済む場合には、仕切部201eを平
板状としてフィルタ201cを平面で支持し、その支持
している領域で直接毛細管現象を発生させてもよい。
【0138】(第2の実施形態)図9は、本発明の第2
の実施形態によるインクジェット記録装置のインク供給
経路を示す図である。また、図10は、図9に示す記録
ヘッドの内部構造を詳細に示す断面図であり、図11
は、図9に示す記録ヘッドを、サブタンク部の上壁およ
び一部のフィルタを除いた状態で上方から見た斜視図で
ある。なお、図10ではノズル301gの詳細な断面構
造は省略している。
【0139】本実施形態のインクジェット記録装置も、
第1の実施形態と同様のシリアルスキャン型のインクジ
ェット記録装置であり、全体の構成は図1と同様であ
る。また、複数色のインクを吐出することによりカラー
の画像等を形成することについても本実施形態は第1の
実施形態と同様であるが、図9では、図2と同様に1色
分のインク供給経路のみを示している。
【0140】本実施形態では、記録ヘッド301の構成
が第1の実施形態と異なっている。その他、記録ヘッド
301へのインクの供給が、メインタンク304からイ
ンク供給ユニット305およびインク供給チューブ30
6を介して行われる点や、記録ヘッド301にインクを
充填する際や記録ヘッド301からインクの増粘物等を
除去する際に記録ヘッド301のノズル301gから強
制的にインク等を吸引するための、吸引キャップ307
aおよび吸引ポンプ307c等を有する回復ユニット3
07が設けられている点等は第1の実施形態と同様であ
る。また、これらメインタンク304、インク供給ユニ
ット305、インク供給チューブ306、および回復ユ
ニット307の構成についても第1の実施形態と同様な
ので、以下ではこれらの説明は省略し、記録ヘッド30
1について詳細に説明する。
【0141】記録ヘッド301は、インク供給チューブ
306の液体コネクタが接続されるコネクタ挿入口30
1aおよび圧力調整用の圧力調整室301iが設けられ
たサブタンク部301bと、サブタンク部301bの重
力方向下側に設けられた、ノズル301gにインクを直
接供給する液室301fと、サブタンク部301bと液
室301fとの間に設置されたフィルタ301cとを有
する。そして、液室301fには、液室301f内のイ
ンクとフィルタ301cとの間に液室301fとフィル
タ301c、および液室溝構造301jにより形成され
た気体保持領域が、ノズル301gからフィルタ301
cへの気泡の移動を遮断するように気体を確保し、かつ
所定量のインクが蓄えられている。
【0142】ただし、液室301fの内側の側壁には、
サブタンク部301bから液室301fへのインクの供
給方向すなわち上下方向に沿って設けられ、液室301
fの底部からフィルタ301cに略接触する位置まで延
びる液室溝構造301jが設けられている。液室301
fは、略長方形の横断面形状を有し、前記液室溝構造3
01jは、この液室301fの横断面における長手方向
両端に設けられている。液室溝構造301jは、詳しく
は後述するが、液室301f内のインクがその表面張力
によって液室溝構造301jに保持されることでフィル
タ301cの下面に接触させることのできる寸法および
形状に設定されている。これにより、液室301f内の
インクは、液室溝構造301jおよびフィルタ301c
を介してサブタンク部301b内のインクと連結してい
る。したがって、液室301f内に蓄えられる最低限必
要なインクの量は、ノズル301gをインクで満たし、
液室301fとフィルタ301c、および液室溝構造3
01jにより形成された気体保持領域により所望の気体
を確保し、かつ、液室溝構造301jおよびフィルタ3
01cを介してサブタンク部301b内のインクと連結
する量である。また、液室溝構造301jには表面張力
によりインクが保持されているため、気体保持領域にあ
る気体がインク表面張力を打ち破って液室溝構造301
j内に進入することはない。
【0143】このように、液室301fに液室溝構造3
01jを設け、フィルタ301cの上面にはサブタンク
部301b内のインクが接触し、下面には気体保持領域
を形成して所望の気体を保持し、これに隣接して液室溝
構造301jを介して表面張力によりインクがフィルタ
301cと接触する構造とすることで、フィルタ301
cの上下面のインクが接触している部分においてインク
はフィルタ301cを介して連通する。フィルタ301
cのこのインクが連通可能な面積部分が、フィルタ30
1cの有効面積となる。本実施形態では、液室溝構造3
01jを液室301fの横断面における長手方向両端に
それぞれ複数ずつ設けており、これによってフィルタ3
01cの有効面積を大きくとり、圧力損失を低くしてい
る。
【0144】上述の構成において、ノズル301gから
のインクの吐出により液室301f内のインクが消費さ
れていくと、液室301f内の負圧が徐々に上昇する。
液室301f内のインクは、液室溝構造301jおよび
フィルタ301cを介してサブタンク部301b内のイ
ンクと連結しており、この部分でインクが移動し易くな
っている。したがって、液室301f内の負圧が上昇す
ると、サブタンク部301b内のインクは、フィルタ3
01cの、下面がインクと接触している部分から液室溝
構造301jを伝わって液室301fに流れ込む。
【0145】ここで、長期期間が経過すると、記録ヘッ
ド301内に気体が蓄積してしまい、これによって種々
の問題が生じることは第1の実施形態と同様であるが、
この気体の蓄積に対して、本実施形態でも第1の実施形
態と同様に、メインタンク304からサブタンク部30
1bおよび液室301fにインクを充填することによっ
て、インクの吐出機能を長期間にわたって安定して維持
することができる。メインタンク304からサブタンク
部301bおよび液室301fへのインクの充填、およ
びそれぞれの容積の設定は、基本的には第1の実施形態
と同様であるが、本実施形態ではサブタンク部301b
内のインクと液室301f内のインクとが、液室溝構造
301jおよびフィルタ301cを介して接触している
構造となっているので、インク充填条件およびそれぞれ
の容積の具体的な数値は、第1の実施形態とは異なる。
【0146】以下に、本実施形態における、サブタンク
部301bと液室301fとへのインク充填動作、およ
び容積設定の具体的な例を説明する。
【0147】インクの充填は、第1の実施形態と同様
に、1ヶ月に1回実施し、1ヶ月間で蓄積する気体の量
は、サブタンク部301bで1ml、液室301fで
0.5mlとする。また、サブタンク部301bにおい
てフィルタ201cを気体に露出させないようにするた
めに必要なインクの量は0.5ml、液室301fにお
いてノズル201gを気体に吐出させないようにするた
めに必要なインクの量は0.5ml、インクの充填量の
ばらつきは、サブタンク部301b、液室301fとも
0.2mlとする。これらの数値は、実験によって求め
られたものである。以上より、1回の充填で充填すべき
インクの量はこれらの合計値であり、サブタンク部20
1bでは1.7ml、液室201fでは1.2mlと設
定される。なお、吸引ポンプ307cとしては、0.8
atm(81.060kPa)まで減圧可能なものを用
いた。
【0148】以上の条件のもと、記録ヘッド301内の
減圧圧力は、吸引ポンプ307cの実力限界に基づき、
吸引キャップ307a内の圧力が−0.6atm(−6
0.795kPa)となるように、吸引ポンプ307c
の吸引量が設定される。
【0149】ここで、ノズル301gのメニスカスによ
る気体を透過させるのに必要な圧力は実験値で−0.0
5atm(−5.06625kPa)であり、第1の実
施形態と同様に、液室301f内の圧力は吸引キャップ
307a内の圧力よりも0.05atm(5.0662
5kPa)だけ高くなる。同様に、フィルタ301cの
メニスカスによる気体を透過させるのに必要な圧力は実
験値で−0.1atm(−10.1325kPa)であ
り、サブタンク部301b内の圧力は液室301f内の
圧力よりも0.1atm(10.1325kPa)だけ
高くなる。よって、吸引キャップ307a内の圧力を−
0.6atm(−60.795kPa)に設定すると、
液室301f内の圧力は−0.55atm(−55.7
2875kPa)、サブタンク部301b内の圧力は−
0.45atm(−45.59625kPa)となる。
【0150】サブタンク部301bに1.7mlのイン
クを充填するためには、内圧がほぼ1atm(101.
325kPa)となっているサブタンク部301bから
1.7mlだけインクを吸引した時点で内圧が−0.4
5atm(−45.59625kPa)となるように、
サブタンク部301bの容積V1を設定する。すなわ
ち、V1=1.7/0.45=3.78mlとなる。同
様にして、液室301fの容積V2についても、V2=
1.2/0.55=2.18mlと設定する。
【0151】以上の条件で記録ヘッド301内を減圧し
た後、インク供給ユニット305の遮断弁310を開く
ことで、負圧となっている記録ヘッド301内へインク
が流れ込む。より詳しく説明すると、まず、サブタンク
部301b内にインクが流れ込み、減圧によってV1ま
で膨張していた気体がほぼ大気圧まで復元する。そのと
きのサブタンク部301b内での気体の体積をV1a
すると、V1a=V1×(1−0.45)=2.08m
lであり、サブタンク部301bにV1−V1a=1.
7mlのインクが充填された時点で落ち着く。同様に液
室301fについても、サブタンク部301bからイン
クが流れ込み、減圧によってV2まで膨張していた気体
がほぼ大気圧まで復元する。そのときの液室301f内
での気体の体積をV2aとすると、V2a=V2×(1−
0.55)=0.98mlであり、液室201fにV2
−V2a=1.2mlのインクが充填された時点で落ち
着く。
【0152】以上のように、サブタンク部301bおよ
び液室301fの各々の容積と減圧する圧力とを設定す
ることにより、フィルタ301cで仕切られたサブタン
ク部301bと液室301fとに各々適量のインクを1
回の充填動作で充填することができ、気体が記録ヘッド
301内に蓄積する状況下であってもその吸引動作なし
に、長期間にわたって正常に稼働させることができる。
【0153】また、本実施形態では、フィルタ301c
下面で液室溝構造301jとの間に表面張力にてインク
が保持されている面積と気体保持領域の気体が接してい
る面積とは略決まっていることから、フィルタ301c
の有効面積は略変化しない。よって、フィルタ301c
の必要な有効面積は、設計段階よりこのことを考慮して
おけばコントロールすることが可能なので、第1の実施
形態と同様に、液室301f内に気泡が生じたり、生じ
た気泡が移動したりすることが原因となって起こってい
た吐出不良に対する信頼性を大幅に向上させることがで
きる。
【0154】本実施形態における液室溝構造301j
は、第1の実施形態における仕切部201e(図5参
照)と同様の働きを行う。つまり、液室溝構造301j
は、インク供給ユニット305の遮断弁310が閉じら
れており、記録ヘッド301の内部が、ノズル301g
の表面のメニスカス圧力だけでインクを保持するという
閉じた系となっている状態で、環境温度が上昇したと
き、この温度上昇による液室301f内の気体の膨張や
蒸気圧上昇に伴う圧力上昇を調整する働きをする。
【0155】記録ヘッド301が閉じた系となった状態
で液室301f内の気体の膨張や蒸気圧の圧力上昇が発
生すると、膨張や蒸気圧の上昇分の気体の体積により、
液室301f内のインクを外部へ押し出す。ここで、液
室溝構造301jが保持しているインクはフィルタ30
1cと接触しており、この部分でインクがフィルタ30
1cを透過しやすいので、(ノズル301gに形成され
ているメニスカスを破る力)≧(フィルタ301cへイ
ンクが移動する力)を実現するので、液室301f内の
インクは、液室溝構造301jおよびフィルタ301c
を通ってサブタンク部301bへ流れ込む。一方、サブ
タンク部301bにおいては、第1の実施形態と同様
に、環境温度によるサブタンク部301b内の気体の膨
張分や蒸気圧の上昇分、および液室301fからのイン
クの流れ込みによる体積の増加分は、圧力調整室301
iで吸収される。
【0156】以上説明したように、本実施形態の液室溝
構造301jによれば、フィルタ301cの液室301
f側の面にも常にインクを接触させた状態とすることが
可能となるので、環境温度の上昇等により液室301f
内の気体の膨張や蒸気圧の上昇分が発生しても、増加し
た体積分のインクを、フィルタ301cを通じてサブタ
ンク部301bへスムーズに移動させることができ、ノ
ズル301gからインクが吹き出る現象を防止すること
ができる。液室溝構造301jの位置や数は特に制限さ
れないが、より多くのインクを保持し、より多くのイン
クをフィルタ301cと接触させるためには、液室溝構
造301jの数を増やし、また、液室溝構造301jの
間隔を狭くすることが好ましい。
【0157】本実施形態では、フィルタ301cの下面
の一部にインクを接触させるための構造である液室溝構
造301jを液室301fに設けた例を示したが、この
液室溝構造301jを第1の実施形態で示した構造と組
み合わせることも可能である。図12に、この場合の記
録ヘッドの内部構造の断面図を示す。
【0158】図12に示す記録ヘッド401では、フィ
ルタ401cが載せられる仕切部401eを、第1の実
施形態と同様に構成している。すなわち、仕切部401
eの上面に複数のリブ421cが設けられており、フィ
ルタ401cは、それらのリブ421cの上に載せられ
ている。これにより、所望の気体保持領域を形成する。
その他、液室301fの内側の側壁に液室溝構造401
jが設けられている点は、図10と同様である。
【0159】このように、仕切部401eの上面にリブ
421cを設けることで、液室溝構造401jの他に、
第1の実施形態でも説明したように、リブ421cの間
でもインクを保持し、フィルタ401cの下面に接触さ
せることができる。その結果、フィルタ401cの下面
でのインクとの接触領域が増え、サブタンク部401b
から液室401fへのインクの移動、および液室401
f内の気体の膨張や蒸気圧の上昇が発生したときの液室
401fからサブタンク部401bへのインクの移動
を、よりスムーズに行うことができる。液室401fに
設けられた、フィル401cの下面の一部にインクを接
触させるための構造を液室溝構造401jと言うなら
ば、仕切部401e上の複数のリブ421cは、仕切部
溝構造とも言うことができる。
【0160】(その他の実施形態)上述した実施形態に
適用可能な細部の構造に関して、以下に説明する。
【0161】〈フィルタと溝構造との位置関係〉図13
は、溝構造の上端部における溝構造とフィルタとの位置
関係を示す側面図である。図13では、フィルタ501
cは、その周縁部で支持されており、フィルタ501c
と溝構造501hとの間には、間隙tが存在している。
ここでいう溝構造501hとは、インクの表面張力によ
ってインクを保持し、フィルタ501cの下面にインク
を接触させることのできる構造を総称していうもので、
具体的には、第1の実施形態で示した、仕切部上の複数
のリブや、第2の実施形態で示した、液室内の液室溝構
造、仕切部上の複数のリブをいう。以下の説明でも、単
に「溝構造」という場合も同様である。
【0162】図13に斜線で示すように、フィルタ50
1cと溝構造501hとの間には、表面張力によりイン
クが保持されている状態となっている。フィルタ501
cと溝構造501hとの間隙tが大きくなると、表面張
力が低下するため、表面張力によるフィルタ501cと
溝構造501hとの間のインク保持状態が、インク自身
の自重や振動等によって維持できなくなり、切れてしま
う。
【0163】以下に、間隙tと、フィルタ501cと溝
構造501hとの間のインク保持状態との関係につい
て、本発明者らの検討結果を示す。
【0164】この検討では、奥行き(図13において、
溝構造501hの右端から左端までの長さ)が2mm、
開口幅(溝幅)が0.5mmの溝構造501hを、前述
の実施形態に示した記録ヘッドに設け、表面張力が35
mN/mのインクを前述の実施形態に従って充填した。
この記録ヘッドを、5℃から60℃まで温度変化させた
ときに、ノズルからのインク漏れの有無について実験を
行った。
【0165】その結果を表1に示す。
【0166】
【表1】
【0167】表1において、「ヘッド静止状態」での温
度上昇は、記録ヘッドを設置した周囲の環境温度を5℃
から60℃まで変化させている。これに対し、「ヘッド
駆動状態」での温度上昇は、5℃の環境下で記録ヘッド
を搭載したインクジェット記録装置を動作させて、イン
クの吐出による記録ヘッドの昇温によって、記録ヘッド
を60℃まで変化させている。
【0168】実験の結果、「ヘッド静止状態」では、間
隙t=1.0mmからインク漏れが発生した。これに対
し、「ヘッド駆動状態」では、間隙t=1.0mmまで
インク漏れは発生しなかった。これは、「ヘッド駆動状
態」では、液室内にあるインクが消費されるために、サ
ブタンク部からフィルタ501cを通して液室へインク
が流れる力が働くことによって、フィルタ501cと溝
構造501hとの間のインク保持状態が保たれているか
らであると考えられる。
【0169】上記結果より、フィルタ501cと溝構造
501hとの間の間隙tは、0≦t≦1.0mmとする
と、インク漏れは発生しない。より望ましくは、0≦t
≦0.8mmである。
【0170】フィルタは、例えば、溶着により接合する
ことができる。図14(a)に、フィルタ501cを溶
着により接合する前の状態の、溝構造501kの近傍で
の側面図を示す。図14(a)に示すように、フィルタ
501cを支持する支持面532には溶着リブ532a
が設けられている。フィルタ501cの溶着接合は、フ
ィルタ501cを溶着リブ532aに載せた状態で、不
図示の溶着ホーンによって、フィルタ501cを支持面
532に押し付けながら溶着用ブ532aを溶かし、押
し潰すことによって行う。フィルタ501cの溶着接合
後の状態を図14(b)に示す。フィルタ501cが溶
着接合された状態では、溶着条件、溶着リブ532aの
形状、フィルタ501cの形状にもよるが、溶着リブ5
32aの潰し残りやフィルタ501cの変形等により、
フィルタ501cと溝構造501kとの間に隙間が生じ
る場合がある。特に、フィルタ501cと溝構造501
kとの間隔が大きい場合には、溶着接合後のフィルタ5
01cの凹凸形状によって、この隙間が変わる。この隙
間をなるべく小さくする(上記の間隙tの範囲内に収め
る)ためには、例えば図14(c)に示すように、溝構
造501kを、支持面532aに対してフィルタ501
c側へ0.1mm程度突出させて設け、常にフィルタ5
01cと溝構造501kとが接するようにする手法があ
る。
【0171】上述のようにフィルタ501cと溝構造5
01kとの隙間をコントロールする手法は、フィルタ5
01cを溶着接合する場合のみならず、他の方法で接合
する場合にも、同様の考え方が成り立つ。ただし、接着
剤を用いた接合では、接着剤の粘度が低いと接着剤が溝
構造501kに流れ込み、溝構造501kの効果が十分
に発揮できないおそれがあるので、注意が必要である。
【0172】〈溝構造の形状〉インクの表面張力をT、
溝構造でのインクの接触角をθとすると、溝構造におい
て表面張力でインクを持ち上げる力Fは、溝構造におい
てインクが接する領域の周囲長をLとすると、 F=L×T×cosθ となる。
【0173】これにより、持ち上がったインクの高さを
i、インクの密度をρ、重力加速度をg、溝構造にお
いてインクが接する領域の断面積をSiとすると、持ち
上がったインクの重量Wは、 W=Si×hi×ρ×g となる。
【0174】よって、F=Wの関係より、 L×T×cosθ=Si×hi×ρ×g なる関係が得られ、この式より、 hi=L/Si×(Tcosθ/ρg) …(式1) となる。従って、溝構造の高さをdとしたとき、d≦h
iとなるように溝構造を設定することで、溝構造が保持
したインクはその表面張力で溝構造の上端まで達するこ
とができ、それによって、インクをフィルタの下面に接
触させることができる。
【0175】ここで、図15に示すような、壁部601
mと接して設けられた2つの四角柱部601nで構成さ
れた、高さd、奥行きe、開口幅fの、凹型の溝構造6
01kを考える。これを(式1)に当てはめると、 hi=(2e+f)/ef×(Tcosθ/ρg) =(1/e+2/f)×(Tcosθ/ρg) …(式2) が得られる。
【0176】一方、図16に示すような、壁部611m
と距離jだけ離れた位置に設けられた2つの四角柱部6
11nで構成された、高さd、奥行きe、開口幅fの、
角柱型の溝構造611kを考える。これを(式1)に当
てはめると、 hi=(2e)/ef×(Tcosθ/ρg) =2/f×(Tcosθ/ρg) …(式3) が得られる。
【0177】以上より、溝構造におけるインクの接触角
が異ならない限り、hiは、定数A=L/Sに比例す
る。
【0178】図17〜図22に、溝構造の形状の各種変
形例を示す。
【0179】図17示す溝構造621kは、横断面が楔
型の溝形状を有する。図18に示す溝構造631kは、
横断面が半楕円型の溝形状を有する。図19に示す溝構
造641kは円筒状であり、その中空部が、表面張力に
よりインクを保持する部分として作用する。図21に示
す溝構造661kは、横断面が星型であり、インクと接
する面が鋭角で交わっている部分が、表面張力によりイ
ンクを保持する部分として作用する。横断面が星型の溝
構造661kは、楔型の溝構造の集合体と考えることが
でき、奥行きeや開口幅fは、凹となっている部分で規
定する。また、図20および図22には、それぞれ断面
が円形および星型の複数の穴(中空部)を形成した部品
として構成した溝構造651k,671kを示す。この
ように、図20および図22に示したような部品をフィ
ルタの直下に設置することによって、フィルタの下面に
インクを接触させる構造とすることもできる。以上、溝
構造の種々の形態を示したが、これらの形状、数、設置
位置、および組み合わせについては、本発明の趣旨を逸
脱しない範囲で変更することができる。
【0180】表2に、上述した各種形状のうちの幾つか
について、奥行きe=2mmの場合の、上記の定数A、
および開口幅fを0.3mmから2.0mmまで0.2
mmごとに変化させたときの、インクが持ち上がる高さ
i(溝構造の最大高さ)との関係を示す。
【0181】
【表2】
【0182】なお、「角柱型」の溝構造における「A」
の値は、開口幅b=1.6mmとして求めている。ま
た、「半楕円型」においては、長径の半分の値を奥行き
e、短径を開口幅fとした。
【0183】開口幅fと、インクが持ち上がる高さhi
との関係をグラフ化したものを図23に示す。図23に
おいて、f=2.0mmのときに、「角柱型」の溝構造
でのインクが持ち上がる高さhiは3mmとなり、f=
1.6mmのときには、hi=4mmとなる。このhi
3mmという値は、フィルタ下にある気体保持領域の気
体が少なくとも必要な厚みに相当する値である。さら
に、各構成部材の寸法公差を加味するのであれば、hi
=4mmが必要である。このときの定数Aの値は、A=
1250m-1である。(式3)に示すように、「角柱
型」の溝構造の奥行きは、インクが持ち上がる高さには
影響を及ぼさないので、「角柱型」の溝構造の定数A
は、奥行きの影響がある他の形状の溝構造の下限である
といえる。つまり、より気体保持領域の気体の厚みがあ
る場合には、「楔型」や「凹型」で、かつ開口幅fが狭
い溝構造を用いることにより対処することができる。よ
って、定数Aの値がA=1000m-1以上、望ましくは
A=1250m-1以上あることが、本発明を実現するた
めに好ましい。
【0184】また、溝構造のコーナー部に微小な気泡が
トラップされると、その気泡が溝構造でのインクの移動
を妨げる。これを防ぐには、溝構造のインクが移動する
部分、および周囲部を面取りまたは丸め加工して気泡の
トラップを防止するのが好ましい。さらには、フィルタ
のコーナー部も面取りまたは丸め加工し、この部分での
気泡のトラップも防止するのがより好ましい。
【0185】〈液室蓋〉例えば図10に示したとおり、
液室301fの一側面は、他の部分とは別の部材である
蓋部材701で構成することもできる。図10に示した
例では、蓋部材701は、液室溝構造301jが設けら
れる面を構成している。図24に、この蓋部材701の
斜視図を示す。
【0186】図24に示すように、液室蓋701には、
その液室301f(図10参照)の内壁を構成する側の
面に、縦スリット711が形成された溝構造710が、
液室301fの数に応じた数だけ、突出して設けられて
いる。これにより、液室蓋701が、液室301fの主
要部を構成する部材である液室本体部材720(図10
参照)に接合された状態では、各溝構造710は、それ
ぞれ対応する液室301f内に位置する。縦スリット7
11は、液室301f内のインクをその表面張力によっ
て保持する構造として作用する。また、各溝構造710
の根元部分には、それぞれ横スリット712が形成され
ている。一方、液室本体部材720の液室蓋701が接
合される側の面が、液室蓋701と同じように液室30
1fの一側面の一部を構成する場合には、液室本体部材
720のその面にも、液室蓋701の溝構造710の縦
スリット711および横スリット712と合致するスリ
ットが形成される。これら液室蓋701の溝構造710
と液室本体部材720のスリットとにより、液室溝構造
301j(図10参照)が形成される。なお、液室蓋7
01の各溝構造710は、液室301fに応じてそれぞ
れ異なった形状で形成されていてもよい。
【0187】次に、液室本体部材720と液室蓋701
との接合工程について、図10および図24を参照し
て、接着剤を用いて接合する場合を例に挙げて説明す
る。
【0188】液室301fの内部にゴミなどの異物が存
在すると、その異物がノズル301gへ移動してノズル
301gの目詰まりを起こす。これを防ぐために、液室
蓋701を接着する前に、予め、液室本体部材720お
よび液室蓋701を、アルカリ溶剤や純水などで十分に
洗浄する。次いで、液室本体部材720の液室蓋701
との接合面に接着剤を塗布する。この工程においても、
ゴミなどが発生しない工程が必要となる。本実施形態で
は、接着剤としてエポキシ系の熱硬化性接着剤を用いた
が、インクに侵されることなく、十分なシール性および
接着強度が得られるものであれば、いかなる接着剤を用
いてもよい。続いて、液室本体部材720に蓋部材70
1を圧接し、加熱硬化炉において接着剤を加熱硬化させ
る。本実施形態では、105℃で5時間の加熱硬化を行
った。
【0189】液室蓋701を圧接した後、加熱硬化炉に
おいて温度を上昇させると、接着剤の粘度が一時的に低
下して、接着剤が流動し始める。仮に、液室蓋701の
縦スリット711が接着面に近い位置に存在していた場
合、流動した接着剤が縦スリット711に侵入し、縦ス
リット711を埋めてしまうことが懸念される。そこ
で、本実施形態のように、縦スリット711を、液室蓋
701の接着面に対して突出して設けた溝構造710に
設けることにより、接着剤が縦スリット711に侵入す
ることを防止できる。本発明者等が実験したところ、縦
スリット711の根元が、液室蓋701の接着面よりも
2mm以上突出した位置にあると、流動した接着剤が縦
スリット711に侵入しないことが確認された。さら
に、溝構造710の根元部に横スリット712を設ける
ことにより、流動した接着剤を横スリット712で保持
することが可能となり、接着剤が縦スリット711まで
移動するおそれをより低減することができる。
【0190】以上、本発明の好ましい実施形態について
説明したが、本発明はこれらに限られるものではなく、
負圧状態で液体を保持し、途中にフィルタが設けられた
液体供給経路を有する種々の液体供給システムに適用可
能である。
【0191】また、この液体供給システムをインクジェ
ット記録装置に適用した場合の、記録ヘッドへのインク
の供給方式についても、上述した各実施形態のようなチ
ューブ供給式に限らずピットイン方式にも適用すること
ができ、同様の効果を有する。さらには、サブタンク部
をメインのインクタンクとして考えると、ヘッドタンク
一体式の記録ヘッドにも適用可能である。この場合に
は、ヘッドタンク一体式の記録ヘッド自体がインク供給
システムとして構成される。すなわち、サブタンク部
に、不図示の弁機構によって開閉が制御可能な大気連通
口を設け、液室へのインク充填時には、この大気連通口
を閉じた状態で、ノズルからの吸引により記録ヘッド内
を所望の圧力に減圧した後、大気連通口を開放すれば、
上述したのと同様に適量のインクが液室内へ供給され
る。
【0192】また、上述した各実施形態ではシリアルス
キャン型のインクジェット記録装置を例に挙げて説明し
たが、ノズル列が被記録媒体の幅方向全幅にわたって設
けられたライン型のインクジェット記録ヘッドを搭載す
るインクジェット記録装置にも、本発明は適用可能であ
る。
【0193】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、フ
ィルタの下流側において、フィルタと液体との間を気体
保持領域の気体で隔てた構成とすることで、フィルタの
下流側に気泡が発生した場合でも、この気泡が原因で生
じていた、フィルタの上流側から下流側への液体の供給
に関する不具合を解消することができる。特にインクジ
ェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置におい
ては、フィルタの下流側へのインクの供給不足によるイ
ンクの吐出不良を防止し、インクの吐出に対する信頼性
を大幅に向上することができる。また、フィルタの下流
に、気体保持領域の気体を介してフィルタの下流側に存
在する液体をその表面張力によって保持してフィルタの
上流側の液体と連結する構造や、フィルタの下流側の面
の一部に液体が接触するように液体を保持する液室を設
けることで、気体保持領域の気体が膨張した場合に、フ
ィルタの下流側で保持されている液体をフィルタを通し
て上流側へ逃がすことができるので、液体供給流路の下
端またはインクジェット記録ヘッドの場合には吐出部か
ら不用意に液体が流出するのを防止することができる。
【0194】また、本発明の液体充填方法によれば、第
1の液室および第2の液室に気体が蓄積し液体の量が減
少したとしても、それぞれ適量の液体を充填することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態によるインクジェット
記録装置の概略の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示すインクジェット記録装置の、1色分
についてのインク供給経路を説明するための図である。
【図3】図2に示すインク供給経路での、メインタンク
内に気体が導入される際の、インク供給ユニットの液路
内での気体およびインクの挙動を説明する図である。
【図4】図2に示すインク供給経路での、ノズルにかか
る水頭差による圧力を説明する図である。
【図5】図2に示す記録ヘッドの内部構造を詳細に示す
断面図である。
【図6】図2に示す記録ヘッドを、サブタンク部の上壁
および一部のフィルタを除いた状態で上方から見た斜視
図である。
【図7】サブタンク部から液室までのインクの流れを説
明するための、図5と同様の断面図である。
【図8】密閉状態でのインクおよび気体の流れを説明す
るための、図5と同様の断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態によるインクジェット
記録装置のインク供給経路を示す図である。
【図10】図9に示す記録ヘッドの内部構造を詳細に示
す断面図である。
【図11】図9に示す記録ヘッドを、サブタンク部の上
壁および一部のフィルタを除いた状態で上方から見た斜
視図である。
【図12】図9に示す記録ヘッドの一変形例を示す図で
ある。
【図13】本発明に適用可能な溝構造の上端部におけ
る、溝構造とフィルタとの位置関係を示す側面図であ
る。
【図14】本発明に適用可能なフィルタの接合構造を示
す側面図である。
【図15】本発明に適用可能な溝構造の形状の一例を示
す斜視図である。
【図16】本発明に適用可能な溝構造の形状の他の例を
示す斜視図である。
【図17】本発明に適用可能な溝構造の形状の他の例を
示す斜視図である。
【図18】本発明に適用可能な溝構造の形状の他の例を
示す斜視図である。
【図19】本発明に適用可能な溝構造の形状の他の例を
示す斜視図である。
【図20】本発明に適用可能な溝構造の形状の他の例を
示す斜視図である。
【図21】本発明に適用可能な溝構造の形状の他の例を
示す斜視図である。
【図22】本発明に適用可能な溝構造の形状の他の例を
示す斜視図である。
【図23】本発明に適用可能な溝構造の種々の形状にお
ける、開口幅とインクが持ち上がる高さとの関係を示す
グラフである。
【図24】本発明における溝構造を構成する蓋部材の斜
視図である。
【図25】従来のチューブ供給方式のインクジェット記
録装置におけるインク供給系の図である。
【符号の説明】
201,301,401 記録ヘッド 201a,301a コネクタ挿入口 201b,301b,401b サブタンク部 201c,301c,401c,501c フィルタ 201d 開口部 201e,401e 仕切部 201f,301f,401f 液室 201g,301g ノズル 201h 弾性部材 201i,301i 圧力調整室 202 キャリッジ 203 搬送ローラ 204,304 メインタンク 204b、204c ゴム栓 205,305 インク供給ユニット 205a インク供給針 205b 大気導入針 205c、205d、205e 液路 205f バッファ室 205g 大気連通口 205h 回路 206,306 インク供給チューブ 207,307 回復ユニット 207a,307a 吸引キャップ 207b、207f カム 207c,307c 吸引ポンプ 207d ポンプモータ 207e リンク 207g カム制御モータ 209 インク 209a 先端 209b、209c インク上面 210,310 遮断弁 210a ダイアフラム 210b ホルダ 210c 押圧ばね 210d レバー 221a 側壁 221c、221d,421c リブ 301j,401j 液室溝構造 501k,601k,611k,621k,631k,
641k、651k,661k,671k,710
溝構造 701 蓋部材 711 縦スリット 712 横スリット 720 液室本体部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 蔵田 満 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 但馬 裕基 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 蔭山 徹人 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 島 丈明 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 佐々木 俊博 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 渡部 格生 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 河野 健 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 後藤 顕 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 飯島 康 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 小泉 寛 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA15 EA25 EC18 EC24 EC49 FA03 FA10 JA13 JC20 KB04 KB08 KB27 KB37 KC02 KC09 KC13 KC16 KC21 KC27

Claims (52)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体の供給方向の下流端において液体を
    保持している液体保持部への液体供給経路を有し、該液
    体供給経路の途中にフィルタが設けられ、重力方向にお
    ける上下方向に前記フィルタの上流側から下流側へ液体
    を供給可能な状態である液体供給システムにおいて、 前記フィルタの下流側に接する部分を気体保持領域と液
    体保持領域とに区画する部材を有するとともに、該気体
    保持領域に保持された気体は、前記フィルタの下流側か
    ら前記下流端の液体保持部との間に存在する気体と連通
    状態にあることを特徴とする液体供給システム。
  2. 【請求項2】 前記気体保持領域に保持された液体が前
    記液体保持部の液体と連通することにより、前記フィル
    タの上流の液体と下流の液体とが可逆的に移動すること
    が可能となっている、請求項1に記載の液体供給システ
    ム。
  3. 【請求項3】 前記フィルタの下流側から前記下流端の
    液体保持部の上流側との間に存在する気体は、前記液体
    保持部から前記フィルタへの気泡の移動を遮断するよう
    に配されている、請求項1または2に記載の液体供給シ
    ステム。
  4. 【請求項4】 前記液体供給経路の前記フィルタの下流
    に、前記気体保持領域の気体を介して前記フィルタの下
    流側に存在している液体をその表面張力によって保持
    し、前記フィルタを介して前記フィルタの上流側の液体
    と連結する液体連結構造を有する、請求項1ないし3の
    いずれか1項に記載の液体供給システム。
  5. 【請求項5】 前記液体連結構造は、上下方向に沿って
    設けられ、上端が前記フィルタの下流側の面と略接触す
    る溝状構造部を有する、請求項4に記載の液体供給シス
    テム。
  6. 【請求項6】 前記溝状構造部と前記フィルタとの間隙
    tが、0≦t≦1.0mmの範囲内である、請求項5に
    記載の液体供給システム。
  7. 【請求項7】 前記溝状構造部は凹型の横断面を有す
    る、請求項5または6に記載の液体供給システム。
  8. 【請求項8】 前記溝状構造部は楔型の横断面を有す
    る、請求項5または6に記載の液体供給システム。
  9. 【請求項9】 前記溝状構造部は液体を保持する面が弧
    状である、請求項5または6に記載の液体供給システ
    ム。
  10. 【請求項10】 前記溝状構造部は、液体を保持するた
    めの複数の中空部が形成された部材を有し、該部材が前
    記フィルタの下流に設置されている、請求項5または6
    に記載の液体供給システム。
  11. 【請求項11】 前記溝状構造部は、前記溝状構造部で
    液体が接する領域の周囲長をL、前記溝状構造部で液体
    が接する領域の断面積をSとしたとき、 L/S≧1000 の関係を満たす、請求項5ないし10のいずれか1項に
    記載の液体供給システム。
  12. 【請求項12】 前記溝状構造部の周囲部が面取り加工
    または丸め加工されている、請求項5ないし11のいず
    れか1項に記載の液体供給システム。
  13. 【請求項13】 前記溝状構造部は、前記フィルタの下
    流側で前記液体供給路を構成する部材と一体に設けられ
    ている、請求項5ないし12のいずれか1項に記載の液
    体供給システム。
  14. 【請求項14】 前記フィルタの下流側では、前記液体
    供給経路は、前記液体供給経路の一側面を構成する蓋部
    材と、前記液体供給経路の他の面を構成し、前記蓋部材
    が接合された本体部材とを有し、前記溝状構造部は少な
    くとも前記蓋部材に設けられている、請求項5ないし1
    3のいずれか1項に記載の液体供給システム。
  15. 【請求項15】 前記蓋部材と前記本体部材とは接着剤
    で接合され、前記蓋部材に設けられた溝状構造部は、前
    記蓋部材の前記本体部材との接着面に対して突出して形
    成された、液体をその表面張力で保持するスリット付き
    の突状部分として設けられている、請求項14に記載の
    液体供給システム。
  16. 【請求項16】 前記突状部分には、前記蓋部材の前記
    本体部材との接着面と、前記スリットとの間に、前記接
    着剤を受容するための溝が形成されている、請求項15
    に記載の液体供給システム。
  17. 【請求項17】 前記液体供給経路は、前記フィルタの
    上流に第1の液室を有し、前記フィルタの下流に、前記
    気体保持領域の気体を含む第2の液室を有する、請求項
    1ないし16のいずれか1項に記載の液体供給システ
    ム。
  18. 【請求項18】 前記第1の液室は、前記第1の液室内
    の圧力変動を吸収する圧力調整手段を有する、請求項1
    7に記載の液体供給システム。
  19. 【請求項19】 前記液体供給経路の、前記第1の液室
    よりも上流側に、通常の液体供給時には開かれ、前記下
    流端からの吸引により前記第2の液室内に液体を充填す
    る際には閉じられる弁機構を有する、請求項17または
    18に記載の液体供給システム。
  20. 【請求項20】 前記第1の液室には、前記下流端から
    の吸引により前記第2の液室内に液体を充填する際に閉
    じられるように開閉可能な大気連通口が設けられてい
    る、請求項17に記載の液体供給システム。
  21. 【請求項21】 前記液体供給経路の前記フィルタの下
    流に、前記フィルタの下流側の面の一部に液体が接触す
    るように液体を保持する第3の液室を有する、請求項1
    7ないし20のいずれか1項に記載の液体供給システ
    ム。
  22. 【請求項22】 前記第3の液室は、保持している液体
    をその表面張力によって保持して前記フィルタの下流側
    の面に接触させる構造を有する、請求項21に記載の液
    体供給システム。
  23. 【請求項23】 前記第3の液室の液体を前記フィルタ
    の下流側の面に接触させる構造は、先端が前記フィルタ
    の下流側の面に接触するように設けられた少なくとも一
    つのリブを有する、請求項22に記載の液体供給システ
    ム。
  24. 【請求項24】 前記第3の液室で保持可能な液体の量
    は、想定される使用環境中での前記気体保持領域の気体
    の体積の変化量よりも多い、請求項21ないし23のい
    ずれか1項に記載の液体供給システム。
  25. 【請求項25】 前記第3の液室は、前記フィルタと前
    記第2の液室とを連通する開口部の周囲を取り囲むよう
    に設けられている、請求項21ないし23のいずれか1
    項に記載の液体供給システム。
  26. 【請求項26】 フィルタで仕切られ、それぞれ内部に
    液体を保持する第1の液室および第2の液室と、 前記第2の液室と直接接続され、前記第2の液室から供
    給された液体を吐出する液体吐出部とを有し、 前記第1の液室から前記フィルタを介して前記第2の液
    室へ液体を供給可能なインクジェット記録ヘッドにおい
    て、 前記フィルタの前記第2の液室側に接する部分を気体保
    持領域と絵気体保持領域とに区画する部材を有するとと
    もに、該気体保持領域に保持された気体は、前記第2の
    液室に存在する気体と連通状態にあることを特徴とする
    インクジェット記録ヘッド。
  27. 【請求項27】 前記液体保持領域に保持された液体が
    前記第2の液室の液体と連通することにより、前記第1
    の液室の液体と前記第2の液体の液体とが可逆的に移動
    することが可能となっている、請求項26に記載のイン
    クジェット記録ヘッド。
  28. 【請求項28】 前記第2の液室内に存在する気体は、
    前記液体吐出部から前記フィルタへの気泡の移動を遮断
    するように配されている、請求項26または27に記載
    のインクジェット記録ヘッド。
  29. 【請求項29】 前記第2の液室に、前記気体保持領域
    の気体を介して前記第2の液室に存在している液体をそ
    の表面張力によって保持し、前記フィルタを介して前記
    第1の液室の液体と連結する液体連結構造を有する、請
    求項26ないし28のいずれか1項に記載のインクジェ
    ット記録ヘッド。
  30. 【請求項30】 前記液体連結構造は、前記第1の液室
    から前記第2の液室への液体の供給方向に沿って設けら
    れ、一端が前記フィルタの下流側の面と略接触する溝状
    構造部を有する、請求項29に記載のインクジェット記
    録ヘッド。
  31. 【請求項31】 前記溝状構造部と前記フィルタとの間
    隙tが、0≦t≦1.0mmの範囲内である、請求項3
    0に記載のインクジェット記録ヘッド。
  32. 【請求項32】 前記溝状構造部は凹型の横断面を有す
    る、請求項30または31に記載のインクジェット記録
    ヘッド。
  33. 【請求項33】 前記溝状構造部は楔型の横断面を有す
    る、請求項30または31に記載のインクジェット記録
    ヘッド。
  34. 【請求項34】 前記溝状構造部は液体を保持する面が
    弧状である、請求項30または31に記載のインクジェ
    ット記録ヘッド。
  35. 【請求項35】 前記溝状構造部は、液体をその表面張
    力で保持するための複数の中空部が形成された部材を有
    し、該部材が前記フィルタの下流に設置されている、請
    求項30または31に記載のインクジェット記録ヘッ
    ド。
  36. 【請求項36】 前記溝状構造部は、前記溝状構造部で
    液体が接する領域の周囲長をL、前記溝状構造部でイン
    クが接する領域の断面積をSとしたとき、 L/S≧1000 の関係を満たす、請求項30ないし35のいずれか1項
    に記載のインクジェット記録ヘッド。
  37. 【請求項37】 前記溝状構造部の周囲部が面取り加工
    または丸め加工されている、請求項30ないし36のい
    ずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  38. 【請求項38】 前記溝状構造部は、前記第2の液室を
    構成する部材と一体に設けられている、請求項30ない
    し37のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッ
    ド。
  39. 【請求項39】 前記第2の液室は、前記第2の液室の
    一側面を構成する蓋部材と、前記第2の液室の他の面を
    構成し、前記蓋部材が接合された本体部材とを有し、前
    記溝状構造部は少なくとも前記蓋部材に設けられてい
    る、請求項30ないし38のいずれか1項に記載のイン
    クジェット記録ヘッド。
  40. 【請求項40】 前記蓋部材と前記本体部材とは接着剤
    で接合され、前記蓋部材に設けられた溝状構造部は、前
    記蓋部材の前記本体部材との接着面に対して突出して形
    成された、液体をその表面張力で保持するスリット付き
    の突状部分として設けられている、請求項39に記載の
    インクジェット記録ヘッド。
  41. 【請求項41】 前記突状部分には、前記蓋部材の前記
    本体部材との接着面と、前記スリットとの間に、前記接
    着剤を受容するための溝が形成されている、請求項40
    に記載のインクジェット記録ヘッド。
  42. 【請求項42】 前記第1の液室は、前記第1の液室内
    の圧力変動を吸収する圧力調整手段を有する、請求項2
    6ないし41のいずれか1項に記載のインクジェット記
    録ヘッド。
  43. 【請求項43】 前記第1の液室への液体供給手段が着
    脱可能に連結される連結部を有する、請求項26ないし
    40のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッ
    ド。
  44. 【請求項44】 前記第1の液室と前記第2の液室との
    間に、前記フィルタの前記第2の液室側の面の一部に液
    体が接触するように液体を保持する第3の液室を有す
    る、請求項26ないし43のいずれか1項に記載のイン
    クジェット記録ヘッド。
  45. 【請求項45】 前記第3の液室は、保持している液体
    をその表面張力によって保持して前記フィルタに接触さ
    せる構造を有する、請求項44に記載のインクジェット
    記録ヘッド。
  46. 【請求項46】 前記第3の液室の液体を前記フィルタ
    に接触させる構造は、先端が前記フィルタの前記第2の
    液室側の面に接触するように設けられた少なくとも一つ
    のリブを有する、請求項45に記載のインクジェット記
    録ヘッド。
  47. 【請求項47】 前記第3の液室で保持可能な液体の量
    は、想定される使用環境中での前記気体保持領域の気体
    の体積の変化量よりも多い、請求項44ないし46のい
    ずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  48. 【請求項48】 前記第3の液室は、前記フィルタと前
    記第2の液室とを連通する開口部の周囲を取り囲むよう
    に設けられている、請求項44ないし47のいずれか1
    項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  49. 【請求項49】 請求項26ないし48のいずれか1項
    に記載のインクジェット記録ヘッドを保持する保持手段
    と、 前記インクジェット記録ヘッドの液体吐出部から前記イ
    ンクジェット記録ヘッド内の液体を強制的に吸引する吸
    引手段と、 前記インクジェット記録ヘッドの第1の液室を前記イン
    クジェット記録ヘッドの外部に対して密閉および開放さ
    せる弁機構とを有するインクジェット記録装置。
  50. 【請求項50】 インクを収容するインクタンクが着脱
    自在に装着され、前記インクタンク内のインクを、チュ
    ーブを介して前記インクジェット記録ヘッドに供給する
    インク供給ユニットを有し、前記弁機構は前記インクタ
    ンクから前記インクジェット記録ヘッドまでのインク供
    給経路に設けられている、請求項49に記載のインクジ
    ェット記録装置。
  51. 【請求項51】 前記第1の液室には大気連通口が設け
    られ、前記弁機構は前記大気連通口の開閉を制御する、
    請求項49に記載のインクジェット記録装置。
  52. 【請求項52】 それぞれ液体を保持する第1の液室と
    第2の液室とがフィルタで仕切られるとともに、前記第
    1の液室から前記第2の液室への液体の供給方向につい
    て前記第2の液室よりも下流側で液体を保持しており、
    重力方向における上下方向に前記フィルタの上流側から
    下流側へ液体を供給可能な状態において、前記フィルタ
    の下流側に接する部分を気体保持領域と液体保持領域と
    に区画する部材を有するとともに、該気体保持領域に保
    持された気体は、前記フィルタの下流側から前記下流端
    の液体保持部の上流側との間に存在する気体と連通状態
    にある液体供給システムにおける液体充填方法であっ
    て、 前記第1の液室を外部に対して密閉する工程と、 前記第1の液室が密閉された状態で、前記第2の液室の
    下流側から吸引することによって前記第1の液室および
    前記第2の液室を減圧する工程と、 前記第1の液室および前記第2の液室の減圧後、前記第
    1の液室を外部に対して開放する工程とを有する液体充
    填方法。
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