JP7246978B2 - 液体吐出装置及び液体充填方法 - Google Patents
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Description
サブタンクにインクを初期充填するために、チョーク吸引と呼ばれる吸引方法が採られることがある。チョーク吸引は以下の手順で行われる。まず、チューブに設けたチョーク機構でチューブを部分的に閉止し、その状態で、チューブのチョーク機構の下流側を吸引によって負圧にする。その後、インクの供給圧を急速に上昇させてチョーク機構を開放する。これによって、チューブに滞留するインクが吐出口から一気に排出されるとともに、サブタンクにインクが充填される。特許文献1には、チョーク吸引を吐出口の回復動作に適用した例が開示されている。
本発明は、簡易な機構でサブタンクに液体を充填できる液体吐出装置を提供することを目的とする。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る記録装置1の模式図である。記録装置1は、キャリッジ2と、搬送ローラー3と、チューブ4と、キャップユニット7と、第1の軸8と、第2の軸9と、記録ヘッド10と、液体タンク11と、サブタンク12と、を有している。記録ヘッド10とサブタンク12はキャリッジ2に設けられ、液体タンク11は記録装置1の本体部に設けられている。記録媒体6は搬送ローラー3によって記録媒体6の送り方向Aに動かされる。これと同期して、キャリッジ2に支持された記録ヘッド10が、第1の軸8および第2の軸9に沿って往復移動しながら記録媒体6に印刷を行う。記録ヘッド10はサブタンク12を介し、チューブ4によって液体タンク11と接続され、インクが液体タンク11から記録ヘッド10に供給される。液体タンク11はブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色の液体タンク11A,11B,11C,11Dからなり、各液体タンク11A,11B,11C,11Dには第1の大気開放手段21が設けられている。なお、液体タンク11の色の数は4色に限定されず、任意の数であってよい。
液体タンク11の液体室13には、インクボトル31などに充填されたインクが充填可能である。液体室13の上面にインクボトル31の先端が挿入されるインク充填口28が設けられている。インク充填口28は第1の栓24によって閉止可能であり、第1の栓24はインク充填時に取り外される。
図2(b)はインクの充填が完了した状態を示している。インクの充填の完了は例えば、作業者が液体タンク11に設けられた目印にインクの液面が達したことを目視確認することによって知ることができる。インクは液体室13にフル充填されることが好ましいが、少なくともサブタンク12の底面より高い位置まで充填されればよい。液体タンク11へのインクの充填が完了したら、インク充填口28を第1の栓24で密閉する。
さらに、記録ヘッド10の内部の吐出口15Aの上流には、インクに含まれる塵埃を除去するためのフィルター(図示せず)が設置されることがある。チョーク吸引を行うとインクに空気が混入しやすくなり、インクと空気の混合流がフィルターを通過する際にフィルター面に微小な泡が発生しやすくなる。この泡は印刷品質を低下させ、場合によってはインク不吐を発生させる。本実施形態ではチョーク吸引のような急激なインク流が生じないため、泡が発生しにくく、印刷品質の低下を抑制することができる。
図3は本発明の第2の実施形態を表す模式図である。第1の実施形態と同様の構成については説明を省略し、第1の実施形態との差異を中心に説明する。上述のように、第1及び第2の弁21,22を開き液体タンク11とサブタンク12を大気開放することによって、液体タンク11のインクの液面はサブタンク12のインクの液面と一致する。しかし、サブタンク12の最大液体充填高さまたはサブタンク12の上面が低い位置にあると、両者の液面が一致する前にサブタンク12の液面がサブタンク12の最大液体充填高さまたはサブタンク12の上面に達してしまう可能性がある。これによって、第2の弁22からインクが漏れ出す可能性がある。
本実施形態では、液体タンク11の上面、すなわち液体タンク11の最大液体充填高さは、サブタンク12の最大液体充填高さまたはサブタンク12の上面よりも低くされている。このため、両者の液面は常にサブタンク12の最大液体充填高さより下方またはサブタンク12の上面より下方で一致する。つまり、液体タンク11からサブタンク12に移動したインクは、第2の弁22から漏れ出すことなく、必ずサブタンク12に充填されるので、サブタンク12からのインクの漏洩を防止し、記録装置1の信頼性を高めることができる。
図4は本発明の第3の実施形態を示す模式図であり、図3と同様、インクの初期充填プロセスを時系列的に示している。第1の実施形態と同様の構成については説明を省略し、第1の実施形態との差異を中心に説明する。液体室13の上面には、第1の実施形態と同じ構成の第1の弁21(第1の大気開放手段)と、インク充填用のジョイント32と、が設けられている。ジョイント32は、液体タンク11の液体室13の上面に設けられたインク充填口28を貫通し、インクの充填時にインクボトル31などの外部の液体充填手段と連通する。ジョイント32は、インクが流入する液体流入路33と、液体タンク11の内部の空気を排出する空気排出路34とを備えている。液体流入路33は空気排出路34よりも下方まで延びている。サブタンク12の上面は、液体タンク11の上面よりも低く、空気排出路34の下端よりも高い位置にある。
本実施形態によれば、インクの液体タンク11への充填が自動的に停止するため、ユーザーの利便性を高めることができる。
図6は本発明の第4の実施形態を表す模式図である。第1の実施形態と同様の構成については説明を省略し、第1の実施形態との差異を中心に説明する。本実施形態では第1の弁21が省略されており、第1の大気開放手段は液体タンク11に設けられたインク充填口28である。すなわち、本実施形態ではインク充填口28が第1の大気開放手段21を兼用している。また、第2の大気開放手段として第2の弁22の代わりに第2の栓27が用いられている。本実施形態では、これらの変更によって構造の簡素化が図られている。
図7は本発明の第5の実施形態を示す模式図である。第1の実施形態と同様の構成については説明を省略し、第1の実施形態との差異を中心に説明する。図7(a)は液体タンク11へのインクの充填が完了した状態を示す、図2(b)に対応する図である。図7(b)は第1及び第2の弁21,22を開き、サブタンク12にインクが移行し、液体タンク11の液面がサブタンク12の液面と一致した状態を示す、図2(c)に対応する図である。本実施形態では、液体タンク11の水平方向における断面積bは、サブタンク12の水平方向における断面積aよりも大きくされている。このため、サブタンク12にインクが充填される際の液体タンク11のインクの液面の変化が小さくなる。これによって液体タンク11の高さを抑えられるため、記録装置1の低背化が可能となる。サブタンク12の断面積aに対する液体タンク11の断面積bの比b/aは大きいほど効果があり、例えば2以上とすることが好ましい。
図8は本発明の第6の実施形態を示す模式図であり、図3と同様、インクの初期充填プロセスを時系列的に示している。第1の実施形態と同様の構成については説明を省略し、第1の実施形態との差異を中心に説明する。本実施形態では第1の大気開放手段21に替えて、液体タンク11の液体室13の上面に第1の加圧手段41が設けられている。第1の加圧手段41は例えばポンプによって構成することができる。ポンプの吐出部に接続されたチューブないし配管(図示せず)が液体タンク11の上部空間に接続されている。第2の大気開放手段は第1の加圧手段41の加圧圧力P1より小さい開放圧力P2で開く逆止弁29である。
10 記録ヘッド
11 液体タンク
12 サブタンク
21 第1の大気開放手段
22 第2の大気開放手段
Claims (13)
- 液体を吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドに接続され、前記記録ヘッドに供給される前記液体を一時的に貯蔵するサブタンクと、前記サブタンクと連通し、前記液体が充填可能な液体タンクと、前記液体タンクに設けられた第1の大気開放手段と、前記サブタンクに設けられた第2の大気開放手段と、を有し、
前記第2の大気開放手段は、液体が前記液体タンクに充填されるときに閉止可能であり、前記第1の大気開放手段と第2の大気開放手段は、前記液体タンクに充填された液体が水頭圧によって前記サブタンクに充填されるときに、前記液体タンクと前記サブタンクをそれぞれ大気開放させることが可能である、液体吐出装置。 - 前記第1の大気開放手段は、前記液体タンクに設けられた第1の弁である、請求項1に記載の液体吐出装置。
- 前記第1の大気開放手段は、前記液体タンクに設けられた前記液体の充填口である、請求項1に記載の液体吐出装置。
- 液体を吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドに接続され、前記記録ヘッドに供給される前記液体を一時的に貯蔵するサブタンクと、前記サブタンクと連通し、前記液体を外部から充填可能な液体タンクと、前記液体タンクに設けられた第1の加圧手段と、前記サブタンクに設けられた第2の大気開放手段と、を有し、
前記第2の大気開放手段は、液体が前記液体タンクに充填されるときに閉止可能であり、前記第2の大気開放手段は、前記液体タンクに充填された液体が前記加圧手段によって前記サブタンクに充填されるときに、前記サブタンクを大気開放させることが可能である、液体吐出装置。 - 前記液体タンクを前記サブタンクに接続するチューブを有し、前記第2の大気開放手段は、前記チューブの移動によって前記サブタンクの内部に発生する搖動圧より大きく且つ前記第1の加圧手段の加圧圧力より小さい圧力で開く逆止弁である、請求項4に記載の液体吐出装置。
- 前記液体タンクに設けられた前記液体の充填口を貫通し、前記液体の充填時に外部の液体充填手段と連通するジョイントを有し、前記ジョイントは、前記液体を前記液体タンクに流入させる液体流入路と、前記液体タンクの内部の空気を排出する空気排出路とを備え、前記サブタンクの上面は前記空気排出路の下端よりも高い位置にある、請求項1から5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
- 前記記録ヘッドは、液体が吐出する吐出口が形成された吐出口形成面を有し、
前記液体タンクは、前記液体が貯蔵される液体室と、液体の流通が遮断され圧力の伝播が許容される気液交換口で前記液体室と接続されたバッファ室と、前記バッファ室に設けられた第3の大気開放手段と、を有し、
前記気液交換口の底部は前記吐出口形成面より下方に位置する、請求項1から6のいずれか1項に記載の液体吐出装置。 - 前記液体タンクの上面は、前記サブタンクの最大液体充填高さまたは前記サブタンクの上面よりも低い、請求項1から7のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
- 前記液体タンクの水平方向における断面積は、前記サブタンクの水平方向における断面積よりも大きい、請求項1から8のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
- 液体を吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドに接続され、前記記録ヘッドに供給される前記液体を一時的に貯蔵するサブタンクと、前記サブタンクと連通し、前記液体を外部から充填可能な液体タンクと、前記液体タンクに設けられた第1の大気開放手段と、前記サブタンクに設けられた第2の大気開放手段と、を有する液体吐出装置における液体充填方法であって、
前記第2の大気開放手段が閉止された状態で、前記液体タンクに前記サブタンクの底面より高い位置まで液体を充填することと、
前記第1の大気開放手段と前記第2の大気開放手段によって前記液体タンクと前記サブタンクがそれぞれ大気開放された状態で、前記液体タンクに充填された液体を水頭圧によって前記サブタンクに充填することと、を有する液体充填方法。 - 前記記録ヘッドは、液体が吐出する吐出口が形成された吐出口形成面を有し、
前記液体タンクは、前記液体が貯蔵される液体室と、液体の流通が遮断され圧力の伝播が許容される気液交換口で前記液体室と接続され、前記吐出口形成面より下方に位置するバッファ室と、前記バッファ室に設けられた第3の大気開放手段と、を有し、
前記気液交換口の底部は前記吐出口形成面より下方に位置しており、
前記液体が前記サブタンクに充填された後、前記第1及び第2の大気開放手段が閉止され、その後、前記第3の大気開放手段が開放される、請求項10に記載の液体充填方法。 - 液体を吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドに接続され、前記記録ヘッドに供給される前記液体を一時的に貯蔵するサブタンクと、前記サブタンクと連通し、前記液体を外部から充填可能な液体タンクと、前記液体タンクに設けられた第1の加圧手段と、前記サブタンクに設けられた第2の大気開放手段と、を有する液体吐出装置における液体充填方法であって、
前記第2の大気開放手段が閉止された状態で、前記液体タンクに前記サブタンクの底面より高い位置まで液体を充填することと、
前記第1の加圧手段で前記液体タンクを加圧するとともに前記第2の大気開放手段を大気開放することにより、前記液体タンクに充填された液体を前記サブタンクに充填することと、を有する液体充填方法。 - 前記記録ヘッドは、液体が吐出する吐出口が形成された吐出口形成面を有し、
前記液体タンクは、前記液体が貯蔵される液体室と、液体の流通が遮断され圧力の伝播だけが許容される気液交換口で前記液体室と接続され、前記吐出口形成面より下方に位置するバッファ室と、前記バッファ室に設けられた第3の大気開放手段と、を有し、
前記気液交換口の底部は前記吐出口形成面より下方に位置しており、
前記液体が前記サブタンクに充填された後、前記第1の加圧手段を停止することによって前記第2の大気開放手段が閉止され、その後、前記第3の大気開放手段が開放される、請求項12に記載の液体充填方法。
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