JP2002293783A - 環状ポリスルフィド化合物の製造方法及びそれを含むゴム組成物 - Google Patents
環状ポリスルフィド化合物の製造方法及びそれを含むゴム組成物Info
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Abstract
化合物の製造。 【解決手段】 式:X−R−X(式中、X:ハロゲン原
子、R:置換もしくは非置換のC2〜C18のアルキレン又は
置換もしくは非置換のC2〜C18のオキシアルキレンを
含むアルキレン)のジハロゲン化合物と、式:M2Sx(式
中、M:アルカリ金属、x:2〜6の整数)のアルカリ金属
の多硫化物とを、親水性及び親油性溶媒の非相溶混合溶
媒中で2相系で反応させるか、M2Sxの溶液中にX−R−Xを
両者が界面で反応するような速度で添加して反応させて
式(I): 【化1】 (式中、xは2〜6の整数、nは1〜15の整数、Rは置換もし
くは非置換のC2〜C10のアルキレン基又は置換もしくは
非置換のC2〜C18のオキシアルキレン基を含むアルキ
レン基を示す)で表される環状ポリスルフィドを製造。
Description
化合物及びその製法並びにそれから成るゴム用加硫剤及
びそれを含むゴム組成物に関する。
ド結合を含むため、耐熱性と加硫もどり性が劣る。これ
らの耐熱性と加硫もどり性の問題を改良するため、テト
ラスルフィドポリマーや環状ポリスルフィドなどの加硫
剤が有効であることが知られている(山崎升ら:日本ゴ
ム協会1981年研究発表会要旨集、P.53,2−1
7及び特開平10−120788号公報)。特に環状ポ
リスルフィドは架橋効率の面から好まれるが、いままで
報告されている環状ポリスルフィドの製造法はその長い
製造工程や高い原料が用いられるなどの問題により実用
性に欠けている(特開昭58−122944号公報)。
のような環状ポリスルフィド化合物の製造方法が報告さ
れている。
オールとジチオールの保護基として高いクロロトリメチ
ルシランを2当量反応させなければならず、クロロトリ
メチルシランとS−SiMe3 基は水分により容易に加
水分解されることから、その反応条件は湿気または水分
を除くために、反応装置の乾燥などの処理が必要であ
る。さらに、S3Cl2を別途合成しなければならず、更
に収率が70%以下であるため生成物の精製などの問題
がある。
はジハロゲン化合物と金属の多硫化物からゴム加硫剤と
して有用な環状ポリスルフィド化合物を安価で簡便に製
造することにある。
−R−X(式中、Xはそれぞれ独立にハロゲン原子を表
し、Rは置換もしくは非置換のC2〜C18のアルキレン
基又は置換もしくは非置換のC2〜C18のオキシアルキ
レン基を含むアルキレン基を示す)のジハロゲン化合物
と、式:M2Sx(式中、Mはアルカリ金属であり、xは
2〜6の整数である)のアルカリ金属の多硫化物とを、
親水性及び親油性溶媒の非相溶混合溶媒中で2相系で反
応させて式(I)で表される環状ポリスルフィドを製造
する方法が提供される。
の整数、Rは置換もしくは非置換のC 2〜C18のアルキ
レン基又は置換もしくは非置換のC2〜C18のオキシア
ルキレン基を含むアルキレン基を示す。)
Mはアルカリ金属であり、xは2〜6の整数である)の
アルカリ金属の多硫化物の溶液中に、式:X−R−X
(式中、Xはそれぞれ独立にハロゲン原子を表し、Rは
置換もしくは非置換のC2〜C1 8のアルキレン基又は置
換もしくは非置換のC2〜C18のオキシアルキレン基を
含むアルキレン基を示す)のジハロゲン化合物を、ジハ
ロゲン化合物がアルカリ金属の多硫化物と界面で反応を
生ずるような速度で添加して反応させて前記式(I)で
表される環状ポリスルフィドを製造する方法が提供され
る。
いて、Rが
−CH2CH2OCH2CH2−であり、xが2〜6の整数
であり、nが1〜15の整数である環状ポリスルフィド
が提供される。
フィドからなるゴム用加硫剤が提供される。
0重量部に対して、前記のゴム用加硫剤0.5〜30重
量部、好ましくは0.5〜20重量部を配合して成るゴ
ム組成物が提供される。
環状ポリスルフィドは、前述の如く、式:X−R−X
(式中、Xは、それぞれ独立に、フッ素、塩素、臭素、
ヨウ素、好ましくは塩素、臭素のハロゲン原子を表し、
Rは、置換もしくは非置換のC2〜C18のアルキレン基
又は置換もしくは非置換のC2〜C18のオキシアルキレ
ン基を含むアルキレン基を示す)のジハロゲン化合物と
アルカリ金属の多硫化物M2Sx(式中、Mはアルカリ金
属、例えばナトリウム、カリウム、リチウムなどであ
り、xは2〜6の整数である)とを、親水性及び親油性
溶媒の非相溶の混合溶媒中で2相系で反応させることに
よってか、又はM2Sx の溶液(溶媒としては水及びC1
〜C4 脂肪族アルコールを用いることができ、水の使
用が最も好ましい)中にX−R−XをM2 Sx とX−R
−Xとが界面で反応するような速度で添加して反応させ
ることによって、製造される。なお、後者の方法でX−
R−Xの添加速度が速すぎると、X−R−Xの濃度が高
くなり、界面以外での反応も起こり、分子間の反応が優
先され鎖状になるので好ましくない。従って、M2 Sx
とX−M−Xの反応をできるだけ不均一系で界面だけで
反応させることが環状ポリスルフィドを得るのに好まし
い。
としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、
ペンチレン、ヘキシレン、オクチレン、ノニレン、デシ
レン、1,2−プロピレンなどの直鎖又は分岐鎖のアル
キレン基があげられ、これらのアルキレン基はフェニル
基、ベンジル基などの置換基で置換されていてもよい。
基Rとしては更にオキシアルキレン基を含むアルキレン
基、例えば基(CH2CH2O)p及び基(CH2)q
(式中、pは1〜5の整数であり、qは0〜2の整数で
ある)が任意に結合したオキシアルキレン基を含むアル
キレン基とすることができる。好ましい基Rは
り、特にxは平均として3.0〜5.0が好ましく、
3.5〜4.5がさらに好ましい。nは好ましくは1〜
10、より好ましくは1〜5である。
多硫化物との反応は、当量反応であり、実用的には両化
合物を0.95:1.0〜1.0:0.95(当量比)
で反応させ、好ましくは50〜120℃、更に好ましく
は70〜100℃の温度で実施する。
については特に限定はなく、実際の反応系において非相
溶で2相を形成する任意の溶媒を用いることができる。
具体的には、例えば親水性溶媒としては、水の他、メタ
ノール、エタノール、エチレングリコール、ジエチレン
グリコール等のアルコール類をあげることができ、これ
らは任意の混合物として使用することもできる。また親
油性溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン等の
芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化
水素類、ジオキサン、ジブチルエーテル等のエーテル
類、酢酸エチル等のエステル類などをあげることがで
き、これらは任意の混合物として使用することもでき
る。
の多硫化物との界面での反応は、当量反応であり、実用
的には両化合物を0.95:1〜1:0.95(当量
比)で反応させ、反応温度は好ましくは50〜120
℃、更に好ましくは70〜100℃である。
場合によって触媒として4級アンモニウム塩、ホスホニ
ウム塩、クラウンエーテルなどを用いることができる。
例えば、(CH3)4N+Cl-,(CH3)4N+Br-,
(C4H9)4N+Cl-,(C4H 9)4N+Br-,C12H25
N+(CH3)3Br-,(C4H9)4P+Br-,CH3P+
(C6H5)3I-,C16H33P+(C4H9)3Br-,15
−crown−5,18−crown−6,Benzo
−18−crown−6等が挙げられる。
ム100重量部に対して、前記式(I)のゴム用加硫剤
0.5〜30重量部、好ましくは0.5〜20重量部を
配合する。本発明のゴム用加硫剤は従来の硫黄などの加
硫剤と併用することができる。本発明のゴム用加硫剤の
配合量が少な過ぎると十分な加硫効果が得られず加硫ゴ
ムの強度低下などが発生するので好ましくなく、逆に多
過ぎると加硫ゴムが固くなるので好ましくない。
ン系ゴムとしては、例えばタイヤ用原料ゴムとして使用
することができる任意のジエン系ゴムを含み、かかる代
表的なジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、ポリ
イソプレンゴム(IR)、各種ポリブタジエンゴム(B
R)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SB
R)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム
(EPDM)などをあげることができる。これは単独又
は任意のブレンドとして使用することができる。
須成分に加えて、カーボンブラック、シリカなどの補強
剤(フィラー)、加硫促進剤、各種オイル、老化防止
剤、可塑性剤、シランカップリング剤などのタイヤ用、
その他一般ゴム用に一般的に配合されている各種添加剤
を配合することができ、かかる配合物は一般的な方法で
混練して組成物とし、加硫するのに使用することができ
る。これらの添加剤の配合量も本発明の目的に反しない
限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
が、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでな
いことは言うまでもない。
(0.15mol)と30%多硫化ソーダ(Na2S4)水溶
液89.76g(0.155mol)を水150g及びトル
エン100gの非相溶系混合溶媒中にて90℃で5時間
反応させた。反応終了後、有機相を分離し、減圧下に9
0℃で濃縮して、式(I)において、R=(CH2)2O
(CH2)2O(CH2)2、x(平均)=4及びn=1〜
5の環状ポリスルフィド(加硫剤1)34.3g(収率
94%)を得た。得られた環状ポリスルフィドの数平均
分子量は500であり、そのNMRのデータは以下の通
りであった。
9〜3.2(4H,CH2Sx),3.7〜4.0(8
H,CH2O)。
(0.155mol)、エタノール150g及びトルエン1
00gの混合液中に、1,2−ビス(2−クロロエトキ
シ)エタン28.1g(0.15mol)をトルエン30g
に溶解した溶液を90℃で2時間滴下し、さらに3時間
反応させた。反応終了後、有機相を分離し、減圧下90
℃にて濃縮して、式(I)において、R=(CH2)2O
(CH2)2O(CH2)2、x(平均)=4及びn=1〜
2の環状ポリスルフィド35.0g(収率96%)を得
た。得られた環状ポリスルフィドの数平均分子量は30
0であり、そのNMRのデータは以下の通りであった。
9〜3.2(4H,CH2Sx),3.7〜4.0(8
H,CH2O)。
30%多硫化ソーダ(Na2S4)水溶液89.76g
(0.155mol)をエタノール120g及びトルエン1
00gの混合溶媒中にて、90℃で5時間反応させた。
反応終了後、有機相を分離し、減圧下90℃で濃縮し
て、式(I)において、R=(CH2)6、x(平均)=
4及びn=1〜5の環状ポリスルフィド(加硫剤2)3
1.2g(収率98%)を得た。得られた環状ポリスル
フィドの数平均分子量は500であり、そのNMRのデ
ータは以下の通りであった。
4〜1.9(4H,CH2Sx),3.7〜4.0(8
H,CH2)。
ル)に水100gを加え希釈した後、これに1,2−ビ
ス(2−クロロエトキシ)メタン25.9g(0.15
モル)を90℃で2時間かけて滴下し、同温度で更に3
時間反応させた。反応終了後、水不溶部を水洗後、減圧
下、100℃で2時間乾燥させ、式(I)において、R
=−CH2 CH2 OCH2 OCH2 CH2 −、x(平
均)=4およびn=1〜5の環状ポリスルフィド(加硫
剤3)33.2g(収率96%)を得た。得られた環状
ポリスルフィドの数平均分子量は600であり、そのN
MRデータは以下の通りであった。1 H−NMR(重クロロホルム)δ:2.9〜3.3
(4H,CH2S),3.7〜4.0(4H,CH2
O)、4.8(2H,OCH2 O)。実施例5〜8及び比較例1 本発明のゴム加硫剤の配合物性を評価するため以下の試
験を行なった。ゴムへの配合処方(重量部)は表Iに示
す通りである。 表I 比較例1 実施例5 実施例6 実施例7 実施例8 ポリイソプレンゴム*1 100 100 100 100 100 カーボンブラック*2 50 50 50 50 50 酸化亜鉛 3 3 3 3 3 ステアリン酸 1 1 1 1 1 老化防止剤*3 1 1 1 1 1 NS*4 0.8 0.8 0.8 0.8 0.8 硫黄*5 1.5 0 0.75 0 0 加硫剤1*6 − 3 1.5 − − 加硫剤2*7 − − − 3 − 加硫剤3*8 − − − − 3
製) *2:シーストKH(東海カーボン製) *3:SANTOFLEX 6PPD(フレキシス製) *4:(N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフ
ェンアミド) *5:不溶性硫黄(アクゾ・カシマ製) *6:実施例1で製造した加硫剤 *7:実施例3で製造した加硫剤 *8:実施例4で製造した加硫剤
物を8インチのオープンロールで混合した後、160℃
及び20分の加硫条件でゴムを加硫した。その結果を表
IIに示す。表IIの結果から明らかなように、比較例1の
ゴム組成物に比べ、本発明の実施例4〜6のゴム組成物
は、100℃×3日間の促進熱老化後も破断強度(T
B)および破断伸び(EB)について良好な保持率を示
し、熱安定性に優れていることが確認された。
(160℃、60分) 試験方法 100%及び300%モジュラス:JIS K6251
(ダンベル状3号形)に準拠して測定した。 破断強度(TB)及び破断伸び(EB):JIS K6
251(ダンベル状3号形)に準拠して測定した。
例5(加硫剤1加硫)及び実施例7(加硫剤2加硫)の
ゴム組成物についてレオメータ(加硫試験機)を用いて
160℃で60分間試験した。結果をトルクの時間変化
曲線として図1に示した。図1の結果から本発明に係る
ゴム加硫剤を用いた実施例5及び7ではリバージョン
(加硫戻り)が認められず、既存な加硫状態を示した。
ハロゲン化合物とアルカリ金属多硫化物との反応を親水
性及び親油性溶媒の非相溶系混合溶媒中で2相系で反応
させることにより、環状ポリスルフィドを安価で簡便に
製造することができる。また、本発明の環状ポリスルフ
ィドはゴム用加硫剤として用いた場合に、通常の硫黄加
硫系に比べ、リバージョンを起すことなく最適加硫状態
を与え、また加硫ゴムの熱安定性を向上させることもで
きる。
(160℃×60分)の試験結果を示すグラフ図であ
る。
Claims (7)
- 【請求項1】 式:X−R−X(式中、Xはそれぞれ独
立にハロゲン原子を表し、Rは置換もしくは非置換のC
2〜C18のアルキレン基又は置換もしくは非置換のC2〜
C18のオキシアルキレン基を含むアルキレン基を示す)
のジハロゲン化合物と、式:M2Sx(式中、Mはアルカ
リ金属であり、xは2〜6の整数である)のアルカリ金
属の多硫化物とを、親水性及び親油性溶媒の非相溶混合
溶媒中で2相系で反応させることを特徴とする式
(I): 【化1】 (式中、xは2〜6の整数、nは1〜15の整数、Rは
置換もしくは非置換のC 2〜C18のアルキレン基又は置
換もしくは非置換のC2〜C18のオキシアルキレン基を
含むアルキレン基を示す)で表される環状ポリスルフィ
ドの製造方法。 - 【請求項2】 前記ジハロゲン化合物と前記アルカリ金
属多硫化物との反応をジハロゲン化合物100重量部当
り親水性及び親油性溶媒をそれぞれ10〜2000重量
部含む非相溶混合溶媒系で50〜120℃の温度で実施
する請求項1に記載の製造方法。 - 【請求項3】 式:M2Sx(式中、Mはアルカリ金属で
あり、xは2〜6の整数である)のアルカリ金属の多硫
化物の溶液中に、式:X−R−X(式中、Xはそれぞれ
独立にハロゲン原子を表し、Rは置換もしくは非置換の
C2〜C18のアルキレン基又は置換もしくは非置換のC2
〜C18のオキシアルキレン基を含むアルキレン基を示
す)のジハロゲン化合物を、ジハロゲン化合物がアルカ
リ金属の多硫化物と界面で反応を生ずるような速度で添
加して反応させることを特徴とする式(I): 【化2】 (式中、xは2〜6の整数、nは1〜15の整数、Rは
置換もしくは非置換のC 2〜C18のアルキレン基又は置
換もしくは非置換のC2〜C18のオキシアルキレン基を
含むアルキレン基を示す)で表される環状ポリスルフィ
ドの製造方法。 - 【請求項4】 前記界面での反応を50〜120℃の温
度で実施する請求項3に記載の製造方法。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方
法により製造された前記式(I)の化合物からなるゴム
用加硫剤。 - 【請求項6】 式(II): 【化3】 (式中、xは2〜6の整数、nは1〜15の整数、Rは
置換もしくは非置換のC 2〜C18のアルキレン基又は置
換もしくは非置換のC2〜C18のオキシアルキレン基を
含むアルキレン基を示す)で表される環状ポリスルフィ
ド化合物からなるゴム用加硫剤。 - 【請求項7】 ジエン系ゴム100重量部に対して、請
求項5又は6に記載のゴム用加硫剤0.5〜30重量部
を配合して成るゴム組成物。
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