JP2002290222A - 負荷駆動回路 - Google Patents

負荷駆動回路

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JP2002290222A JP2001091775A JP2001091775A JP2002290222A JP 2002290222 A JP2002290222 A JP 2002290222A JP 2001091775 A JP2001091775 A JP 2001091775A JP 2001091775 A JP2001091775 A JP 2001091775A JP 2002290222 A JP2002290222 A JP 2002290222A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 負荷のスイッチング素子個体差及び温度差の
激しいMOSFETを使用する場合に、このMOSFE
T自身をシャント抵抗の代替として使用して駆動電流を
監視する。 【解決手段】 マイコン32が、負荷1のスイッチング
素子としてのMOSFET31の両端の電位差を直接検
知し、その検知結果に基づいて、駆動電流Iが予め定義
付けされた過電流検知ラインを超えているか否かを監視
する。この際、予めEPROM等に記憶されたMOSF
ET31自身の固体差の情報と、温度センサ38で検知
されたMOSFET31の温度情報とに基づいて、過電
流検知ラインを補正しながら監視を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、所定の負荷を駆
動する負荷駆動回路に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車においては、従来、図6(第1従
来技術)に示すように、ランプ等の負荷1の駆動電流の
オンオフ切替を行うスイッチング素子として、メカニカ
ルリレー2を使用しており、また回路保護として、溶断
ヒューズ3を使用してきた。そして、マイクロコンピュ
ータチップ(以下「マイコン」と略称する)4でトラン
ジスタ5をオンオフ制御し、このトランジスタ5により
メカニカルリレー2をオンオフ切替する。
【0003】ところで、近年では、エレクトニクス技術
の進展に伴い、このメカニカルリレー2と溶断ヒューズ
3に代えて半導体素子を使用することが試みられてい
る。
【0004】図7は半導体素子を使用したシャント抵抗
方式の負荷駆動回路(第2従来技術)を示す図である。
この第2従来技術では、半導体スイッチング素子として
MOSFET11が使用され、また溶断フューズに代え
て過電流検知回路12が使用されている。
【0005】第2従来技術では、MOSFET11がオ
ンの状態で、バッテリ(+B)からの電源電圧が負荷1
に印加されると、電源ライン2には負荷1の駆動状況
(例えばランプの点灯個数等)に応じて駆動電流Iが流
れる。この駆動電流Iを過電流検知回路12で検知し、
この過電流検知回路12での駆動電流Iの検知結果に基
づいてMOSFET11のオンオフ制御を行っている。
【0006】尚、過電流検知回路12は、バッテリ(+
B)と接地電位との間を分圧する第一抵抗13、PNP
型トランジスタ14及び第二抵抗15と、バッテリ(+
B)と負荷1の間に介在されて駆動電流Iが流れされる
シャント抵抗16と、第一抵抗13とPNP型トランジ
スタ14との接続点P1の電圧が正側入力端子に入力さ
れるとともにシャント抵抗16とMOSFET11の接
続点P2の電圧が負側入力端子に入力され且つPNP型
トランジスタ14のベースに出力端子が接続されるオペ
アンプ17と、PNP型トランジスタ14と第二抵抗1
5の接続点P3の電圧に応じてMOSFET11のオン
オフ制御を行うマイコン18とを備える。
【0007】かかる構成において、過電流検知回路12
内のオペアンプ17が、正負両側の入力端子の電圧(即
ち、点P1,P2の電圧)を同電位にしようとするた
め、点P1には、駆動電流Iが流れたときの点P2の電
圧と同等の電圧になる電流Ibが流れる。この電流Ib
が第二抵抗15に流れることから、マイコン18は電流
Ibの電流値と、分圧要素13〜15の各抵抗値とによ
って決定される点P3の電圧をA/D入力端子から入力
し、この点P3の電圧に応じて、過電流があった場合に
MOSFET11をオフ切替えする。尚、マイコン18
に代えて比較器を用いてP3の電圧を基準電圧と比較す
る方法もある。
【0008】図8は、半導体素子を使用したセンスFE
T方式の負荷駆動回路(第3従来技術)を示す図であ
る。尚、この第3従来技術では、第2従来技術と同様の
機能を有する要素については同一符号を付している。
【0009】この例では、半導体スイッチング素子とし
てn型のメインFET21が使用されており、このメイ
ンFET21のソースに負荷1が接続され、ドレインに
バッテリ電源(+B)が接続されており、マイコン18
によるゲートの制御によりオンオフ制御される。
【0010】また、このメインFET21と同一チップ
内にセンスFET22が形成されている。センスFET
22のゲートはメインFET21のゲートに接続され、
センスFET22のドレインはバッテリ電源(+B)に
接続され、センスFET22のソースはPNP型トラン
ジスタ14のエミッタに接続されている。
【0011】この第3従来技術では、両FET21,2
2の電極間容量の比に基づいて、メインFET21を流
れる電流をセンスFET22側に分流し、このセンスF
ET22側に分流された分岐電流をマイコン18で検知
することで、負荷1に流される駆動電流をモニタしてい
る。
【0012】この第3従来技術によると、メインFET
21とセンスFET22とを同一チップ内に構成してい
るため、温度依存性はメインFET21とセンスFET
22とで共に同等に変化すると考えられる。このことか
ら、各FET21,22の電極間容量の比にばらつきが
少なくなる。したがって、この第3従来技術は、比較的
電流検出精度が良い方式であると言える。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記した第2従来技術
では、過電流検知回路12の過電流検知精度がシャント
抵抗16の精度によって決定されるが、このシャント抵
抗16に負荷1の駆動電流Iが直接流れるため、シャン
ト抵抗16の発熱により抵抗値が変動してしまう。尚、
シャント抵抗16は一般に金属で構成されるために、温
度環境がマイナス40℃〜150℃の範囲で、抵抗値の
変動は1〜5%となる。そして、この変動が過電流の検
知誤差となって現れる虞がある。
【0014】また、第2従来技術の場合、シャント抵抗
16以外に、PNP型トランジスタ14及びオペアンプ
17等の電子部品が必要となり、部品点数が多くなる。
【0015】これに対し、第3従来技術では、上述のよ
うに、メインFET21とセンスFET22とを同一チ
ップ内に構成しているため、温度依存性はメインFET
21とセンスFET22とで共に同等に変化するため、
第2従来技術に比べて電流検出精度が向上する。
【0016】しかしながら、第3従来技術でも、メイン
FET21とセンスFET22とが同一チップとして製
造される必要があるため、専用のチップが必要となり、
製造コストが高価になってしまう。
【0017】また、かかるメインFET21及びセンス
FET22のチップに加えて、第2従来技術と同様にP
NP型トランジスタ14及びオペアンプ17等の電子部
品が必要となり、部品点数が多くなる。
【0018】そこで、この発明の課題は、過電流の検知
精度が良く、且つ部品点数が少なくて済む負荷駆動回路
を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、
請求項1に記載の発明は、所定の負荷を駆動する負荷駆
動回路であって、所定の電源と前記負荷との間に介装さ
れて当該負荷のオンオフ切替を行う半導体スイッチング
素子と、前記半導体スイッチング素子の両端の電位差を
検知し、その検知結果に基づいて、前記半導体スイッチ
ング素子を流れる前記負荷の駆動電流が予め定義付けさ
れた過電流検知ラインを超えているか否かを監視しなが
ら、当該半導体スイッチング素子のオンオフ制御を行う
制御手段と、前記半導体スイッチング素子の温度を検知
する温度検知手段とを備え、前記制御手段は、予め所定
の記憶手段に記憶された前記半導体スイッチング素子の
固体差の情報と、前記温度検知手段での検知結果とに基
づいて、前記過電流検知ラインを補正するものである。
【0020】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の負荷駆動回路であって、前記過電流検知ラインが、前
記駆動電流が流れている時間の推移とともに変化するよ
う定義付けられるものである。
【0021】請求項3に記載の発明は、請求項1または
請求項2に記載の負荷駆動回路であって、前記半導体ス
イッチング素子の前記個体差の情報が、前記半導体スイ
ッチング素子の抵抗値について予めグルーピングされた
複数のグループのうちのいずれであるかの情報であり、
前記記憶手段に、前記半導体スイッチング素子の前記抵
抗値について予めグルーピングされた複数のグループ毎
に、更に前記半導体スイッチング素子の温度に対して複
数のグループ分けがなされ、当該半導体スイッチング素
子の温度に対しる複数のグループ毎に、前記過電流検知
ラインが予め設定され、前記制御手段が、前記記憶手段
に記憶された前記半導体スイッチング素子の前記個体差
の情報と、前記温度検知手段での検知結果とに基づい
て、前記記憶手段内に記憶された複数の前記過電流検知
ラインの中のいずれかを選択するものである。
【0022】
【発明の実施の形態】<基本原理>図1はこの発明の一
の実施の形態に係る負荷駆動回路を示す図である。この
負荷駆動回路は、図1の如く、半導体スイッチング素子
を構成するMOSFET31自体をシャント抵抗の代わ
りに使用し、このMOSFET31のドレイン・ソース
間の電位差をマイコン(制御手段)32で検知すること
で、MOSFET31に流れる負荷1の駆動電流Iを監
視し、その監視結果に基づいてマイコン32がMOSF
ET31のオンオフ制御を行う。
【0023】MOSFET31の線形領域での電流電圧
の式は、ドレイン電流をId、ゲート電圧をVg、しき
い値電圧をVT、ドレイン電圧をVdとし、所定の係数
をkとすると、一般的に次の(1)式で表すことができ
る。
【0024】Id=k(Vg−VT)Vd …(1) ここで、MOSFET31の動作時の抵抗値をRon
(=Vd/Id)とすると、次の(2)式が得られ、よ
ってMOSFET31自体を一種の抵抗体とみなすこと
ができる。
【0025】 1/Ron=k(Vg−VT) …(2) したがって、MOSFET31のドレイン・ソース間の
電位差(以下「ソース電位」と称す)をマイコン32の
A/D入力端子等に入力して監視することで、当該MO
SFET31を流れる負荷1の駆動電流Iを監視するこ
とができる。これにより、マイコン32と1個のMOS
FET31だけの簡素な構成で、負荷1に流される駆動
電流Iの過電流検知を行うことが可能であり、図7及び
図8に示した各従来技術に比べて部品点数を低減するこ
とが可能となる。
【0026】ところで、この実施の形態のようにMOS
FET31を一種の抵抗体と見なした場合、以下の問題
がある。
【0027】まず、MOSFET31の個体差により抵
抗値Ronにばらつきが大きく、一般的には約30%程
度の抵抗値Ronのばらつきがある。この抵抗値Ron
のばらつきは、マイコン32で駆動電流Iの監視を行う
場合は、その電流検知精度に大きく影響を及ぼす。
【0028】また、MOSFET31の場合は温度依存
性が高いことが知られており、例えば、100℃の温度
変化に対して60%以上抵抗値Ronが変化する。
【0029】一方、例えば第1従来技術中のヒューズ3
の機能をMOSFET31及びマイコン32を用いて実
現しようとする場合に、必要となる電流検知精度は車室
内で10%程度、エンジンルーム内で30%程度は必要
となる。
【0030】したがって、抵抗体としてMOSFET3
1を使用する場合には、当該MOSFET31の抵抗値
Ronのばらつきを如何に低減するかが問題となる。
【0031】例えば、具体的に、MOSFET31の動
作時の抵抗値Ronは、基準温度での標準的抵抗値Ro
nの中央値をRref、抵抗値Ronの個体差をδR、抵
抗値Ronの温度依存性をαf、MOSFET31の温
度(後述の接合温度)をTj、基準温度をTrefとする
と、次の(3)式のように与えられる。
【0032】 Ron=Rref(1+δR){1+αf(Tj−Tref)} …(3) 抵抗値Ronの個体差δRが25%程度であり、抵抗値
Ronの温度依存性αfが0.7%/deg程度であり、M
OSFET31の温度Tjが120℃を想定すると、M
OSFET31の温度Tjが25℃の場合に比較して、
MOSFET31の抵抗値Ronが約2倍に増大してし
まう。即ち、電流検知精度を考えると、100%程度の
精度しか得られないことになる。
【0033】図5は、負荷1を連続して駆動したとき
の、時間軸(横軸)に対する各部の許容電流値を例示し
た図である。電線の発煙Laについては、時間が経過す
るにつれて耐電流が低下する。また、MOSFET31
の安全動作限界Lbは、最初のうちは一定であるが、一
定時間が経過した時点(t2)で耐電流が低下し始め
る。ただし、いずれの曲線La,Lbも、時間がかなり
経過した時点で、一定の耐電流の値に収束する。
【0034】尚、図5においては、第1従来技術で使用
していたヒューズ3の溶断電流Lcの変化についても併
せて示している。このヒューズ3の溶断電流Lcは、t
4の時点以降で、半導体スイッチング素子としてのMO
SFET31の安全動作限界Lbよりも上回っている。
したがって、t4の時点以降では、ヒューズ3を用いて
MOSFET31を保護することができないことが解
る。また、ヒューズ3の溶断電流Lcは、t5の時点以
降で、電線の発煙Laよりも上回っている。したがっ
て、t5の時点以降では、ヒューズ3の切断を利用して
電線の発煙を防止することができないことが解る。
【0035】そこで、この実施の形態においては、個体
差による抵抗値Ronのばらつきと、経時的な温度変化
に依存するMOSFET31の抵抗値Ron及び安全動
作限界の変化について、マイコン32での演算処理によ
り適正に補正を行うようにする。
【0036】<個体差による抵抗値のばらつきの補正>
MOSFET31の個体差に関して、例えば、出荷検査
時に一定電流を通電して、個々のMOSFET31の抵
抗値Ronを予め測定しておく。そして、このときの測
定結果を、過電流検知におけるアルゴリズムにおいて、
既知の値として扱う。
【0037】この際、予め抵抗値Ronについて一定範
囲幅の抵抗値Ron範囲毎にグルーピングしておき、各
グループ毎にその上限値及び下限値を設定しておいて、
出荷検査時の抵抗値Ron測定において上限値及び下限
値と比較する。
【0038】例えば、MOSFET31の抵抗Ronに
関して、例えば、通常−25%〜+25%であるものを
例えば以下の5グループに分割する ・−25〜−15%:中央値−20% ・−15〜−5%:中央値−10% ・−5〜+5%:中央値0% ・+5〜+15%:中央値+10% ・+15〜+25%:中央値+20% 上記のようにすることによって、FETのばらつきを±
5%に抑えることが可能となる。尚、この例では5グル
ープに分割しているが、4グループ等の他のグループ数
に分割しても差し支えない。
【0039】このようなグルーピングを、工場出荷時の
検査で行い、そのグルーピングの結果をマイコン32に
接続されたEPROM等の外部記憶装置(図示省略:記
憶手段)に記憶させておく。また、このグルーピングさ
れたそれぞれのグループに対して、過電流検知ラインの
テ−ブルを所定の不揮発性メモリ内に記憶しておく。
【0040】そして、実動作時には、搭載されているM
OSFET31がどのグループに属しているのかを外部
記憶装置から読み取り、その読み取り結果に応じた過電
流検知ラインを認識し、この過電流検知ラインに基づい
て、マイコン32が過電流検知を行う。ただし、この際
には、後述の温度変化による抵抗値の変化の補正をも加
味して、マイコン32が過電流検知を行うことになる。
【0041】あるいは、グルーピングの結果を外部記憶
装置に記憶する代わりに、マイコン32の所定のポート
にプルアップ抵抗またはプルダウン抵抗を接続してお
き、工場出荷時の検査でのグルーピングの結果を、この
プルアップ抵抗またはプルダウン抵抗をマイコン32で
オンオフ切替するようにして保持してもよい。
【0042】<温度変化による抵抗値の変化の補正>M
OSFET31の温度を測定し、この温度測定結果に基
づいて、MOSFET31の抵抗値Ronを補正する。
【0043】例えば、図2に示したように、複数の負荷
をそれぞれオンオフ切替する複数のMOSFET31
を、伝熱特性の高い共通のヒートスプレッタ34に接触
させ、このヒートスプレッタ34から絶縁シート35を
介してアルミニウム製等の放熱板36に熱伝達する場合
を考える。
【0044】このように、複数のMOSFET31が存
在する場合には、MOSFET31の接合温度に対し
て、その表面温度や電線の温度が、外気温度に影響を受
けるため、各部位によって温度環境が異なる。したがっ
て、これらの全てを温度センサで測定して補正してもよ
いが、基本的にはこれらの各部位同士の位置関係が固定
されているため、その温度変化の相互の相対的関係を予
め測定しておくことで、例えば、ヒートスプレッタ34
の温度を測定するだけで、その他の部位の温度を推定で
きる。これにより、全体としての部品点数を低減でき
る。このことを考慮し、この実施の形態においては、ヒ
ートスプレッタ34のみに単一の温度センサ(温度検知
手段)38を取り付け、その他の部位については推定し
た温度値を用いて、マイコン32が各部位の温度特性に
よる補正を行う。
【0045】このマイコン32によるMOSFET31
の温度補正の考え方を説明する。ここでは、温度を一定
の範囲の複数の温度領域に予め分割しておき、その分割
された各温度領域毎に、MOSFET31の抵抗値Ro
nの上限値及び下限値を設定しておき、かかる範囲の各
抵抗値Ronをテーブルとして所定の外部記憶装置に記
憶させている。
【0046】図3及び図4は、周囲温度Taと、MOS
FET31の接合温度Tjと、ヒートスプレッタ34上
での温度センサ38による温度モニタ値Tmの関係を示
す図である。
【0047】ヒートスプレッタ34の温度をTs、温度
センサ38の測定誤差をδTm(10deg程度)とする
と、次の(4)式が得られる。
【0048】 Ts−δTm<Tm<Ts+δTm …(4) また、ヒートスプレッタ34の温度Tsと周囲温度Ta
との間の最大温度差をδTsa(25deg程度)とする
と、次の(5)式のようになる。
【0049】Ts−δTsa<Ta<Ts …(5) さらに、MOSFET31の接合温度Tjは、ヒートス
プレッタ34の温度Tsと接合温度Tjの最大温度差を
δTsj(10deg程度)とすると、次の(6)式のよ
うになる。
【0050】Ts<Tj<Ts+δTsj …(6) 尚、自動車の場合、周囲温度Taの最小値がTamin
(−40℃程度)より大きく、最大値がTamax(85
℃程度)未満であるとすると、周囲温度Taは次の
(7)式のようになる。
【0051】Tamin<Ta<Tamax …(7) さらに、図4より、次の(8)〜(11)式を得ること
ができる。
【0052】 Tamin<Tm−δTm−δTsa<Ta …(8) Ta<Tm+δTm<Tamax …(9) Tamin<Tm+δTm<Tj …(10) Tj<Tm+δTm+δTsj<Tjmax …(11) ここで、TjmaxはMOSFET31の接合温度の最大
値であり、約150℃程度である。
【0053】ところで、この例では、上述のように予め
温度を一定の範囲の複数の温度領域に分割しておく。例
えば、T1〜T2の温度領域、T2〜T3の温度領域…
というように温度領域を分割した場合において、仮にT
1〜T2の温度領域内にTmがあるものとする(即ち、
T1<Tm<T2)。この場合、次の(12)〜(1
5)式が得られる。
【0054】Tamax=T2+δTm …(12) Tamin=T1−δTm−δTsa …(13) Tjmax=T2+δTm+δTsj …(14) Tjmin=T1−δTm …(15) となる。
【0055】これにより、各部分の温度がモニタ温度と
関係づけられる。当然、分割された温度領域よりも、想
定される各部分の温度範囲は大きくなる。
【0056】そして、このモニタ温度の違いを基に、予
め複数のグループにグルーピングしておく。このグルー
プは、それぞれ後述の過電流検知ラインを決定するもの
であり、上述したMOSFET31の個体差についての
各グループ毎に求められる。
【0057】<過電流検知ライン>次に、上述したMO
SFET31の個体差の各グループ毎に、さらにグルー
ピングされた上述のモニタ温度のグループ毎に、図5に
示したような過電流検知ラインLxを予め求めておき、
EPROM等の外部記憶装置(図示省略:記憶手段)に
記憶させておく。
【0058】この場合、各部位の電流許容値は、駆動電
流Iを流して負荷1を駆動し始めてからの時間の推移に
よって変化する。そこで、この時間の推移に伴う電流許
容値の変化を考慮して、過電流検知ラインLxを決定し
ておく。
【0059】基本的な過電流検知ラインLxの求め方を
説明する。図5において、まず、時間tを無限大にした
場合の電線の発煙電流Iwire0を想定して、検知ライン
のうちのS1の上限を決める。尚、時間tを無限大にし
た場合には、前述のように、曲線La,Lbも、時間が
かなり経過した時点で、一定の耐電流の値に収束するた
め、この収束した各値を考慮することとする。
【0060】電線の抵抗値をrwire、発煙温度をTfir
e、電線の熱抵抗をRwとすると、JASOの式では、
電線の発煙電流Iwire0は次の(16)式のようにな
る。
【0061】 Iwire0^2・rwire=(Tfire−Ta)/Rw …(16) 検知ラインの上限をS1uplimとすると、次の(17)
〜(20)式を得ることができる。ただし、ここでは基
準温度Trefを25℃と仮定している。
【0062】 S1uplim=Iwire0・Ron =sqrt{(Tfire−Ta)/(Rw・rwire)} ・{Rfet・(1+δR)・(1+αf・(Tj−25)} =sqrt{Tfire−Tamax)/(Rw・rwire)} ・Rfet・(1+δR)・{1+αf・(Tjmin−25)} …(17) T1<Tm<T2 …(18) Tamax=T2+10deg …(19) Tjmin=T1−10deg …(20) 許容電流をIlmaxとし、検知ラインの下限界をS1dnl
imとすると、次の(21)〜(23)式を得ることがで
きる。
【0063】 S1dnlim=Ilmax・Ron =Ilmax・Rfet・(1+δR)・{1+αf・(Tjmax−25)}…(21) T1<Tm<T2 …(22) Tjmax=T2+20deg …(23) 次に、マイコン32内でのA/D変換処理における誤差
を考慮する。このマイコン32においては温度依存性は
ないが、電源電圧依存性がある。
【0064】ここで、使用するMOSFET31の個体
によるばらつきを例えば4つのグループに分割し、その
各グループにおけるその最大値をRfetmax、最小値Rfe
tminとし、ばらつきの低減を図る。そのとき、検知ライ
ンS1adは次の(24)式として求められる。
【0065】S1ad=2^8−{(S1uplim/CADmax) +(S1dnlim/CADmin)}/2 …(24) 次に、A/D変換値であるS1adを用いて、(16)式
から(24)式までの計算を逆に実行する。ただし、こ
の場合、A/D変換値S1adは、次の(25)式及び
(26)式に示した値で計算を開始する。この場合、A
/D変換値S1adの小数点以下は切り下げる。
【0066】最小値:S1ad−1 …(25) 最大値:S1ad …(26) このようにして、最終的に得られた電流値の最小値及び
最大値のそれぞれについて、図5に示した電線の許容電
流値Ld及び発煙電流Laと比較し、適正なS1(図
5)の値を求める。
【0067】また、図5中のS2,S3…の値に関して
は、例えば次の(27),(28)式のように所定の演
算式を用いて決定する。
【0068】S2=S1×1.5 …(27) S3=S1×2 …(28) 勿論、これらのS2,S3…の値に対応して、時間t
1,t2,t3…を決定し、図5中の過電流検知ライン
Lxを決定する。
【0069】尚、MOSFET31の安全動作限界Lb
については、ヒートスプレッタ34や放熱板36の寸法
等と、MOSFET31自身の熱抵抗及び熱容量と、放
熱板36の熱抵抗及び熱容量等の諸因子を考慮して得
る。
【0070】そして、かかる過電流検知ラインLxは、
上述したMOSFET31の個体差についてのグループ
毎に、更に設定された上述の温度差についてのグループ
毎に、それぞれ決定されるものであり、これらは全て、
EPROM等の所定の外部記憶装置内に格納される。
【0071】<動作>上記構成の負荷駆動回路におい
て、マイコン32は、搭載されているMOSFET31
が、外部記憶装置内に格納された情報を読み出し、この
情報に基づいて、MOSFET31の個体差による抵抗
値Ronのばらつきについて、どのグループに属してい
るのかを判断する。
【0072】次に、その個体差のグループの中で、どの
温度状況のグループに属するかを判断する。具体的に
は、ヒートスプレッタ34に設置された温度センサ38
の温度検知結果に基づいて、各部位の温度状況を推定
し、この推定結果に基づいて、温度状況のグループを選
択する。
【0073】そして、マイコン32は、ここで選択され
た温度状況のグループに対応した過電流検知ラインLx
を選択して読み出す。
【0074】しかる後、マイコン32は、MOSFET
31の両端の電位差により当該MOSFET31に流れ
る負荷1の駆動電流Iを検知し、この駆動電流Iが、上
記のように選択された過電流検知ラインLxを超過した
ときに、駆動電流Iが過電流であるものと判断し、MO
SFET31をオフ切替する。
【0075】以上のように、実際に搭載されたMOSF
ET31の個体差、実稼働時の温度状況、及び実稼動時
間の推移に応じた過電流検知を行うことができるので、
半導体スイッチング素子としてのMOSFET31その
ものをシャント抵抗として使用しても、実条件に応じた
正確な過電流検知を行うことができる。
【0076】尚、上記実施の形態では、半導体スイッチ
ング素子としてMOSFET31を使用していたが、ト
ランジスタ等のオンオフ切替を行うことが可能な半導体
素子であればどのような部品を使用しても差し支えな
い。
【0077】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、制御手
段が、半導体スイッチング素子の両端の電位差を検知
し、その検知結果に基づいて、半導体スイッチング素子
を流れる負荷の駆動電流が予め定義付けされた過電流検
知ラインを超えているか否かを監視する場合に、予め所
定の記憶手段に記憶された半導体スイッチング素子の固
体差の情報と、温度検知手段での検知結果とに基づい
て、過電流検知ラインを補正しながら監視を行うので、
個体差及び温度による抵抗値の変化が生じやすい半導体
スイッチング素子を使用しても、この半導体スイッチン
グ素子をシャント抵抗の代替として駆動電流を精度良く
モニタできる。したがって、スイッチング素子として半
導体スイッチング素子を使用しながらも、第2従来技術
及び第3従来技術に比べて部品点数を低減でき、設備コ
ストを低減することが可能となる。
【0078】請求項2に記載の発明によれば、電線や半
導体スイッチング素子の電流許容値が時間とともに変化
しても、この変化に対応するように過電流検知ラインを
変化させて駆動電流をモニタできるため、実状に応じた
精度良い過電流検知を行うことができる。
【0079】請求項3に記載の発明によれば、半導体ス
イッチング素子の個体差と温度状況の両方の因子につい
て予めグルーピングしておき、この各グループ毎に過電
流検知ラインを設定しているので、制御手段が過電流検
知ラインを選択するだけで精度良い過電流検知を行うこ
とができる。したがって、制御手段での制御処理負荷を
抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一の実施の形態に係る負荷駆動回路
を示すブロック図である。
【図2】MOSFETがヒートスプレッタ上に搭載され
ている状態を示す図である。
【図3】周囲温度とMOSFETの接合温度とヒートス
プレッタ上での温度センサによる温度モニタ値との関係
を示す図である。
【図4】周囲温度とMOSFETの接合温度とヒートス
プレッタ上での温度センサによる温度モニタ値との関係
を示す図である。
【図5】時間の推移に伴って各部位の許容電流値が変化
する様子を示す図である。
【図6】第1従来技術の負荷駆動回路を示すブロック図
である。
【図7】第2従来技術の負荷駆動回路を示すブロック図
である。
【図8】第3従来技術の負荷駆動回路を示すブロック図
である。
【符号の説明】
1 負荷 31 MOSFET(半導体スイッチング素子) 32 マイコン(制御手段) 34 ヒートスプレッタ 38 温度センサ(温度検知手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H03K 19/003 G05F 1/10 304L // G05F 1/10 304 H03K 17/687 A (72)発明者 星野 孝志 愛知県名古屋市南区菊住1丁目7番10号 株式会社オートネットワーク技術研究所内 (72)発明者 高木 幸一 愛知県名古屋市南区菊住1丁目7番10号 株式会社オートネットワーク技術研究所内 Fターム(参考) 5G004 AA04 AB02 BA04 DA04 DC03 DC04 DC14 EA01 5H410 CC02 DD02 EA11 EB01 EB25 EB37 FF03 FF14 FF16 FF23 GG03 LL06 LL19 5J032 AB02 AC12 AC18 5J055 AX34 AX55 AX64 BX16 CX28 DX22 DX53 EX07 EX12 EX21 EY21 EZ00 EZ39 FX12 FX17 FX35 GX01 GX02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の負荷を駆動する負荷駆動回路であ
    って、 所定の電源と前記負荷との間に介装されて当該負荷のオ
    ンオフ切替を行う半導体スイッチング素子と、 前記半導体スイッチング素子の両端の電位差を検知し、
    その検知結果に基づいて、前記半導体スイッチング素子
    を流れる前記負荷の駆動電流が予め定義付けされた過電
    流検知ラインを超えているか否かを監視しながら、当該
    半導体スイッチング素子のオンオフ制御を行う制御手段
    と、 前記半導体スイッチング素子の温度を検知する温度検知
    手段とを備え、 前記制御手段は、予め所定の記憶手段に記憶された前記
    半導体スイッチング素子の固体差の情報と、前記温度検
    知手段での検知結果とに基づいて、前記過電流検知ライ
    ンを補正することを特徴とする負荷駆動回路。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の負荷駆動回路であっ
    て、 前記過電流検知ラインが、前記駆動電流が流れている時
    間の推移とともに変化するよう定義付けられることを特
    徴とする負荷駆動回路。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の負荷駆
    動回路であって、 前記半導体スイッチング素子の前記個体差の情報が、前
    記半導体スイッチング素子の抵抗値について予めグルー
    ピングされた複数のグループのうちのいずれであるかの
    情報であり、 前記記憶手段に、前記半導体スイッチング素子の前記抵
    抗値について予めグルーピングされた複数のグループ毎
    に、更に前記半導体スイッチング素子の温度に対して複
    数のグループ分けがなされ、当該半導体スイッチング素
    子の温度に対しる複数のグループ毎に、前記過電流検知
    ラインが予め設定され、 前記制御手段が、前記記憶手段に記憶された前記半導体
    スイッチング素子の前記個体差の情報と、前記温度検知
    手段での検知結果とに基づいて、前記記憶手段内に記憶
    された複数の前記過電流検知ラインの中のいずれかを選
    択することを特徴とする負荷駆動回路。
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