JP3701573B2 - 負荷駆動回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、所定の負荷を駆動する負荷駆動回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車においては、従来、図6(第1従来技術)に示すように、ランプ等の負荷1の駆動電流のオンオフ切替を行うスイッチング素子として、メカニカルリレー2を使用しており、また回路保護として、溶断ヒューズ3を使用してきた。そして、マイクロコンピュータチップ(以下「マイコン」と略称する)4でトランジスタ5をオンオフ制御し、このトランジスタ5によりメカニカルリレー2をオンオフ切替する。
【0003】
ところで、近年では、エレクトニクス技術の進展に伴い、このメカニカルリレー2と溶断ヒューズ3に代えて半導体素子を使用することが試みられている。
【0004】
図7は半導体素子を使用したシャント抵抗方式の負荷駆動回路(第2従来技術)を示す図である。この第2従来技術では、半導体スイッチング素子としてMOSFET11が使用され、また溶断フューズに代えて過電流検知回路12が使用されている。
【0005】
第2従来技術では、MOSFET11がオンの状態で、バッテリ(+B)からの電源電圧が負荷1に印加されると、電源ライン2には負荷1の駆動状況(例えばランプの点灯個数等)に応じて駆動電流Iが流れる。この駆動電流Iを過電流検知回路12で検知し、この過電流検知回路12での駆動電流Iの検知結果に基づいてMOSFET11のオンオフ制御を行っている。
【0006】
尚、過電流検知回路12は、バッテリ(+B)と接地電位との間を分圧する第一抵抗13、PNP型トランジスタ14及び第二抵抗15と、バッテリ(+B)と負荷1の間に介在されて駆動電流Iが流れされるシャント抵抗16と、第一抵抗13とPNP型トランジスタ14との接続点P1の電圧が正側入力端子に入力されるとともにシャント抵抗16とMOSFET11の接続点P2の電圧が負側入力端子に入力され且つPNP型トランジスタ14のベースに出力端子が接続されるオペアンプ17と、PNP型トランジスタ14と第二抵抗15の接続点P3の電圧に応じてMOSFET11のオンオフ制御を行うマイコン18とを備える。
【0007】
かかる構成において、過電流検知回路12内のオペアンプ17が、正負両側の入力端子の電圧(即ち、点P1,P2の電圧)を同電位にしようとするため、点P1には、駆動電流Iが流れたときの点P2の電圧と同等の電圧になる電流Ibが流れる。この電流Ibが第二抵抗15に流れることから、マイコン18は電流Ibの電流値と、分圧要素13〜15の各抵抗値とによって決定される点P3の電圧をA/D入力端子から入力し、この点P3の電圧に応じて、過電流があった場合にMOSFET11をオフ切替えする。尚、マイコン18に代えて比較器を用いてP3の電圧を基準電圧と比較する方法もある。
【0008】
図8は、半導体素子を使用したセンスFET方式の負荷駆動回路(第3従来技術)を示す図である。尚、この第3従来技術では、第2従来技術と同様の機能を有する要素については同一符号を付している。
【0009】
この例では、半導体スイッチング素子としてn型のメインFET21が使用されており、このメインFET21のソースに負荷1が接続され、ドレインにバッテリ電源(+B)が接続されており、マイコン18によるゲートの制御によりオンオフ制御される。
【0010】
また、このメインFET21と同一チップ内にセンスFET22が形成されている。センスFET22のゲートはメインFET21のゲートに接続され、センスFET22のドレインはバッテリ電源(+B)に接続され、センスFET22のソースはPNP型トランジスタ14のエミッタに接続されている。
【0011】
この第3従来技術では、両FET21,22の電極間容量の比に基づいて、メインFET21を流れる電流をセンスFET22側に分流し、このセンスFET22側に分流された分岐電流をマイコン18で検知することで、負荷1に流される駆動電流をモニタしている。
【0012】
この第3従来技術によると、メインFET21とセンスFET22とを同一チップ内に構成しているため、温度依存性はメインFET21とセンスFET22とで共に同等に変化すると考えられる。このことから、各FET21,22の電極間容量の比にばらつきが少なくなる。したがって、この第3従来技術は、比較的電流検出精度が良い方式であると言える。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記した第2従来技術では、過電流検知回路12の過電流検知精度がシャント抵抗16の精度によって決定されるが、このシャント抵抗16に負荷1の駆動電流Iが直接流れるため、シャント抵抗16の発熱により抵抗値が変動してしまう。尚、シャント抵抗16は一般に金属で構成されるために、温度環境がマイナス40℃〜150℃の範囲で、抵抗値の変動は1〜5%となる。そして、この変動が過電流の検知誤差となって現れる虞がある。
【0014】
また、第2従来技術の場合、シャント抵抗16以外に、PNP型トランジスタ14及びオペアンプ17等の電子部品が必要となり、部品点数が多くなる。
【0015】
これに対し、第3従来技術では、上述のように、メインFET21とセンスFET22とを同一チップ内に構成しているため、温度依存性はメインFET21とセンスFET22とで共に同等に変化するため、第2従来技術に比べて電流検出精度が向上する。
【0016】
しかしながら、第3従来技術でも、メインFET21とセンスFET22とが同一チップとして製造される必要があるため、専用のチップが必要となり、製造コストが高価になってしまう。
【0017】
また、かかるメインFET21及びセンスFET22のチップに加えて、第2従来技術と同様にPNP型トランジスタ14及びオペアンプ17等の電子部品が必要となり、部品点数が多くなる。
【0018】
そこで、この発明の課題は、過電流の検知精度が良く、且つ部品点数が少なくて済む負荷駆動回路を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、請求項1に記載の発明は、所定の負荷を駆動する負荷駆動回路であって、所定の電源と前記負荷との間に介装されて当該負荷のオンオフ切替を行う半導体スイッチング素子と、前記半導体スイッチング素子の両端の電位差を検知し、その検知結果に基づいて、前記半導体スイッチング素子を流れる前記負荷の駆動電流が予め定義付けされた過電流検知ラインを超えているか否かを監視しながら、当該半導体スイッチング素子のオンオフ制御を行う制御手段と、前記半導体スイッチング素子の温度を検知する温度検知手段とを備え、前記制御手段は、予め所定の記憶手段に記憶された前記半導体スイッチング素子の固体差の情報と、前記温度検知手段での検知結果とに基づいて、前記過電流検知ラインを補正し、前記半導体スイッチング素子の前記個体差の情報が、前記半導体スイッチング素子の抵抗値について予めグルーピングされた複数のグループのうちのいずれであるかの情報であり、前記記憶手段に、前記半導体スイッチング素子の前記抵抗値について予めグルーピングされた複数のグループ毎に、更に前記半導体スイッチング素子の温度に対して複数のグループ分けがなされ、当該半導体スイッチング素子の温度に対しる複数のグループ毎に、前記過電流検知ラインが予め設定され、前記制御手段が、前記記憶手段に記憶された前記半導体スイッチング素子の前記個体差の情報と、前記温度検知手段での検知結果とに基づいて、前記記憶手段内に記憶された複数の前記過電流検知ラインの中のいずれかを選択するものである。
【0020】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の負荷駆動回路であって、前記過電流検知ラインが、前記駆動電流が流れている時間の推移とともに変化するよう定義付けられるものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
<基本原理>
図1はこの発明の一の実施の形態に係る負荷駆動回路を示す図である。この負荷駆動回路は、図1の如く、半導体スイッチング素子を構成するMOSFET31自体をシャント抵抗の代わりに使用し、このMOSFET31のドレイン・ソース間の電位差をマイコン(制御手段)32で検知することで、MOSFET31に流れる負荷1の駆動電流Iを監視し、その監視結果に基づいてマイコン32がMOSFET31のオンオフ制御を行う。
【0023】
MOSFET31の線形領域での電流電圧の式は、ドレイン電流をId、ゲート電圧をVg、しきい値電圧をVT、ドレイン電圧をVdとし、所定の係数をkとすると、一般的に次の(1)式で表すことができる。
【0024】
Id=k(Vg−VT)Vd …(1)
ここで、MOSFET31の動作時の抵抗値をRon(=Vd/Id)とすると、次の(2)式が得られ、よってMOSFET31自体を一種の抵抗体とみなすことができる。
【0025】
1/Ron=k(Vg−VT) …(2)
したがって、MOSFET31のドレイン・ソース間の電位差(以下「ソース電位」と称す)をマイコン32のA/D入力端子等に入力して監視することで、当該MOSFET31を流れる負荷1の駆動電流Iを監視することができる。これにより、マイコン32と1個のMOSFET31だけの簡素な構成で、負荷1に流される駆動電流Iの過電流検知を行うことが可能であり、図7及び図8に示した各従来技術に比べて部品点数を低減することが可能となる。
【0026】
ところで、この実施の形態のようにMOSFET31を一種の抵抗体と見なした場合、以下の問題がある。
【0027】
まず、MOSFET31の個体差により抵抗値Ronにばらつきが大きく、一般的には約30%程度の抵抗値Ronのばらつきがある。この抵抗値Ronのばらつきは、マイコン32で駆動電流Iの監視を行う場合は、その電流検知精度に大きく影響を及ぼす。
【0028】
また、MOSFET31の場合は温度依存性が高いことが知られており、例えば、100℃の温度変化に対して60%以上抵抗値Ronが変化する。
【0029】
一方、例えば第1従来技術中のヒューズ3の機能をMOSFET31及びマイコン32を用いて実現しようとする場合に、必要となる電流検知精度は車室内で10%程度、エンジンルーム内で30%程度は必要となる。
【0030】
したがって、抵抗体としてMOSFET31を使用する場合には、当該MOSFET31の抵抗値Ronのばらつきを如何に低減するかが問題となる。
【0031】
例えば、具体的に、MOSFET31の動作時の抵抗値Ronは、基準温度での標準的抵抗値Ronの中央値をRref、抵抗値Ronの個体差をδR、抵抗値Ronの温度依存性をαf、MOSFET31の温度(後述の接合温度)をTj、基準温度をTrefとすると、次の(3)式のように与えられる。
【0032】
Ron=Rref(1+δR){1+αf(Tj−Tref)} …(3)
抵抗値Ronの個体差δRが25%程度であり、抵抗値Ronの温度依存性αfが0.7%/deg程度であり、MOSFET31の温度Tjが120℃を想定すると、MOSFET31の温度Tjが25℃の場合に比較して、MOSFET31の抵抗値Ronが約2倍に増大してしまう。即ち、電流検知精度を考えると、100%程度の精度しか得られないことになる。
【0033】
図5は、負荷1を連続して駆動したときの、時間軸(横軸)に対する各部の許容電流値を例示した図である。電線の発煙Laについては、時間が経過するにつれて耐電流が低下する。また、MOSFET31の安全動作限界Lbは、最初のうちは一定であるが、一定時間が経過した時点(t2)で耐電流が低下し始める。ただし、いずれの曲線La,Lbも、時間がかなり経過した時点で、一定の耐電流の値に収束する。
【0034】
尚、図5においては、第1従来技術で使用していたヒューズ3の溶断電流Lcの変化についても併せて示している。このヒューズ3の溶断電流Lcは、t4の時点以降で、半導体スイッチング素子としてのMOSFET31の安全動作限界Lbよりも上回っている。したがって、t4の時点以降では、ヒューズ3を用いてMOSFET31を保護することができないことが解る。また、ヒューズ3の溶断電流Lcは、t5の時点以降で、電線の発煙Laよりも上回っている。したがって、t5の時点以降では、ヒューズ3の切断を利用して電線の発煙を防止することができないことが解る。
【0035】
そこで、この実施の形態においては、個体差による抵抗値Ronのばらつきと、経時的な温度変化に依存するMOSFET31の抵抗値Ron及び安全動作限界の変化について、マイコン32での演算処理により適正に補正を行うようにする。
【0036】
<個体差による抵抗値のばらつきの補正>
MOSFET31の個体差に関して、例えば、出荷検査時に一定電流を通電して、個々のMOSFET31の抵抗値Ronを予め測定しておく。そして、このときの測定結果を、過電流検知におけるアルゴリズムにおいて、既知の値として扱う。
【0037】
この際、予め抵抗値Ronについて一定範囲幅の抵抗値Ron範囲毎にグルーピングしておき、各グループ毎にその上限値及び下限値を設定しておいて、出荷検査時の抵抗値Ron測定において上限値及び下限値と比較する。
【0038】
例えば、MOSFET31の抵抗Ronに関して、例えば、通常−25%〜+25%であるものを例えば以下の5グループに分割する
・−25〜−15%:中央値−20%
・−15〜−5%:中央値−10%
・−5〜+5%:中央値0%
・+5〜+15%:中央値+10%
・+15〜+25%:中央値+20%
上記のようにすることによって、FETのばらつきを±5%に抑えることが可能となる。尚、この例では5グループに分割しているが、4グループ等の他のグループ数に分割しても差し支えない。
【0039】
このようなグルーピングを、工場出荷時の検査で行い、そのグルーピングの結果をマイコン32に接続されたEPROM等の外部記憶装置(図示省略:記憶手段)に記憶させておく。また、このグルーピングされたそれぞれのグループに対して、過電流検知ラインのテ−ブルを所定の不揮発性メモリ内に記憶しておく。
【0040】
そして、実動作時には、搭載されているMOSFET31がどのグループに属しているのかを外部記憶装置から読み取り、その読み取り結果に応じた過電流検知ラインを認識し、この過電流検知ラインに基づいて、マイコン32が過電流検知を行う。ただし、この際には、後述の温度変化による抵抗値の変化の補正をも加味して、マイコン32が過電流検知を行うことになる。
【0041】
あるいは、グルーピングの結果を外部記憶装置に記憶する代わりに、マイコン32の所定のポートにプルアップ抵抗またはプルダウン抵抗を接続しておき、工場出荷時の検査でのグルーピングの結果を、このプルアップ抵抗またはプルダウン抵抗をマイコン32でオンオフ切替するようにして保持してもよい。
【0042】
<温度変化による抵抗値の変化の補正>
MOSFET31の温度を測定し、この温度測定結果に基づいて、MOSFET31の抵抗値Ronを補正する。
【0043】
例えば、図2に示したように、複数の負荷をそれぞれオンオフ切替する複数のMOSFET31を、伝熱特性の高い共通のヒートスプレッタ34に接触させ、このヒートスプレッタ34から絶縁シート35を介してアルミニウム製等の放熱板36に熱伝達する場合を考える。
【0044】
このように、複数のMOSFET31が存在する場合には、MOSFET31の接合温度に対して、その表面温度や電線の温度が、外気温度に影響を受けるため、各部位によって温度環境が異なる。したがって、これらの全てを温度センサで測定して補正してもよいが、基本的にはこれらの各部位同士の位置関係が固定されているため、その温度変化の相互の相対的関係を予め測定しておくことで、例えば、ヒートスプレッタ34の温度を測定するだけで、その他の部位の温度を推定できる。これにより、全体としての部品点数を低減できる。このことを考慮し、この実施の形態においては、ヒートスプレッタ34のみに単一の温度センサ(温度検知手段)38を取り付け、その他の部位については推定した温度値を用いて、マイコン32が各部位の温度特性による補正を行う。
【0045】
このマイコン32によるMOSFET31の温度補正の考え方を説明する。ここでは、温度を一定の範囲の複数の温度領域に予め分割しておき、その分割された各温度領域毎に、MOSFET31の抵抗値Ronの上限値及び下限値を設定しておき、かかる範囲の各抵抗値Ronをテーブルとして所定の外部記憶装置に記憶させている。
【0046】
図3及び図4は、周囲温度Taと、MOSFET31の接合温度Tjと、ヒートスプレッタ34上での温度センサ38による温度モニタ値Tmの関係を示す図である。
【0047】
ヒートスプレッタ34の温度をTs、温度センサ38の測定誤差をδTm(10deg程度)とすると、次の(4)式が得られる。
【0048】
Ts−δTm<Tm<Ts+δTm …(4)
また、ヒートスプレッタ34の温度Tsと周囲温度Taとの間の最大温度差をδTsa(25deg程度)とすると、次の(5)式のようになる。
【0049】
Ts−δTsa<Ta<Ts …(5)
さらに、MOSFET31の接合温度Tjは、ヒートスプレッタ34の温度Tsと接合温度Tjの最大温度差をδTsj(10deg程度)とすると、次の(6)式のようになる。
【0050】
Ts<Tj<Ts+δTsj …(6)
尚、自動車の場合、周囲温度Taの最小値がTamin(−40℃程度)より大きく、最大値がTamax(85℃程度)未満であるとすると、周囲温度Taは次の(7)式のようになる。
【0051】
Tamin<Ta<Tamax …(7)
さらに、図4より、次の(8)〜(11)式を得ることができる。
【0052】
Tamin<Tm−δTm−δTsa<Ta …(8)
Ta<Tm+δTm<Tamax …(9)
Tamin<Tm+δTm<Tj …(10)
Tj<Tm+δTm+δTsj<Tjmax …(11)
ここで、TjmaxはMOSFET31の接合温度の最大値であり、約150℃程度である。
【0053】
ところで、この例では、上述のように予め温度を一定の範囲の複数の温度領域に分割しておく。例えば、T1〜T2の温度領域、T2〜T3の温度領域…というように温度領域を分割した場合において、仮にT1〜T2の温度領域内にTmがあるものとする(即ち、T1<Tm<T2)。この場合、次の(12)〜(15)式が得られる。
【0054】
Tamax=T2+δTm …(12)
Tamin=T1−δTm−δTsa …(13)
Tjmax=T2+δTm+δTsj …(14)
Tjmin=T1−δTm …(15)
となる。
【0055】
これにより、各部分の温度がモニタ温度と関係づけられる。当然、分割された温度領域よりも、想定される各部分の温度範囲は大きくなる。
【0056】
そして、このモニタ温度の違いを基に、予め複数のグループにグルーピングしておく。このグループは、それぞれ後述の過電流検知ラインを決定するものであり、上述したMOSFET31の個体差についての各グループ毎に求められる。
【0057】
<過電流検知ライン>
次に、上述したMOSFET31の個体差の各グループ毎に、さらにグルーピングされた上述のモニタ温度のグループ毎に、図5に示したような過電流検知ラインLxを予め求めておき、EPROM等の外部記憶装置(図示省略:記憶手段)に記憶させておく。
【0058】
この場合、各部位の電流許容値は、駆動電流Iを流して負荷1を駆動し始めてからの時間の推移によって変化する。そこで、この時間の推移に伴う電流許容値の変化を考慮して、過電流検知ラインLxを決定しておく。
【0059】
基本的な過電流検知ラインLxの求め方を説明する。図5において、まず、時間tを無限大にした場合の電線の発煙電流Iwire0を想定して、検知ラインのうちのS1の上限を決める。尚、時間tを無限大にした場合には、前述のように、曲線La,Lbも、時間がかなり経過した時点で、一定の耐電流の値に収束するため、この収束した各値を考慮することとする。
【0060】
電線の抵抗値をrwire、発煙温度をTfire、電線の熱抵抗をRwとすると、JASOの式では、電線の発煙電流Iwire0は次の(16)式のようになる。
【0061】
Iwire0^2・rwire=(Tfire−Ta)/Rw …(16)
検知ラインの上限をS1uplimとすると、次の(17)〜(20)式を得ることができる。ただし、ここでは基準温度Trefを25℃と仮定している。
【0062】
許容電流をIlmaxとし、検知ラインの下限界をS1dnlimとすると、次の(21)〜(23)式を得ることができる。
【0063】
S1dnlim=Ilmax・Ron
=Ilmax・Rfet・(1+δR)・{1+αf・(Tjmax−25)}…(21)
T1<Tm<T2 …(22)
Tjmax=T2+20deg …(23)
次に、マイコン32内でのA/D変換処理における誤差を考慮する。このマイコン32においては温度依存性はないが、電源電圧依存性がある。
【0064】
ここで、使用するMOSFET31の個体によるばらつきを例えば4つのグループに分割し、その各グループにおけるその最大値をRfetmax、最小値Rfetminとし、ばらつきの低減を図る。そのとき、検知ラインS1adは次の(24)式として求められる。
【0065】
次に、A/D変換値であるS1adを用いて、(16)式から(24)式までの計算を逆に実行する。ただし、この場合、A/D変換値S1adは、次の(25)式及び(26)式に示した値で計算を開始する。この場合、A/D変換値S1adの小数点以下は切り下げる。
【0066】
最小値:S1ad−1 …(25)
最大値:S1ad …(26)
このようにして、最終的に得られた電流値の最小値及び最大値のそれぞれについて、図5に示した電線の許容電流値Ld及び発煙電流Laと比較し、適正なS1(図5)の値を求める。
【0067】
また、図5中のS2,S3…の値に関しては、例えば次の(27),(28)式のように所定の演算式を用いて決定する。
【0068】
S2=S1×1.5 …(27)
S3=S1×2 …(28)
勿論、これらのS2,S3…の値に対応して、時間t1,t2,t3…を決定し、図5中の過電流検知ラインLxを決定する。
【0069】
尚、MOSFET31の安全動作限界Lbについては、ヒートスプレッタ34や放熱板36の寸法等と、MOSFET31自身の熱抵抗及び熱容量と、放熱板36の熱抵抗及び熱容量等の諸因子を考慮して得る。
【0070】
そして、かかる過電流検知ラインLxは、上述したMOSFET31の個体差についてのグループ毎に、更に設定された上述の温度差についてのグループ毎に、それぞれ決定されるものであり、これらは全て、EPROM等の所定の外部記憶装置内に格納される。
【0071】
<動作>
上記構成の負荷駆動回路において、マイコン32は、搭載されているMOSFET31が、外部記憶装置内に格納された情報を読み出し、この情報に基づいて、MOSFET31の個体差による抵抗値Ronのばらつきについて、どのグループに属しているのかを判断する。
【0072】
次に、その個体差のグループの中で、どの温度状況のグループに属するかを判断する。具体的には、ヒートスプレッタ34に設置された温度センサ38の温度検知結果に基づいて、各部位の温度状況を推定し、この推定結果に基づいて、温度状況のグループを選択する。
【0073】
そして、マイコン32は、ここで選択された温度状況のグループに対応した過電流検知ラインLxを選択して読み出す。
【0074】
しかる後、マイコン32は、MOSFET31の両端の電位差により当該MOSFET31に流れる負荷1の駆動電流Iを検知し、この駆動電流Iが、上記のように選択された過電流検知ラインLxを超過したときに、駆動電流Iが過電流であるものと判断し、MOSFET31をオフ切替する。
【0075】
以上のように、実際に搭載されたMOSFET31の個体差、実稼働時の温度状況、及び実稼動時間の推移に応じた過電流検知を行うことができるので、半導体スイッチング素子としてのMOSFET31そのものをシャント抵抗として使用しても、実条件に応じた正確な過電流検知を行うことができる。
【0076】
尚、上記実施の形態では、半導体スイッチング素子としてMOSFET31を使用していたが、トランジスタ等のオンオフ切替を行うことが可能な半導体素子であればどのような部品を使用しても差し支えない。
【0077】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、制御手段が、半導体スイッチング素子の両端の電位差を検知し、その検知結果に基づいて、半導体スイッチング素子を流れる負荷の駆動電流が予め定義付けされた過電流検知ラインを超えているか否かを監視する場合に、予め所定の記憶手段に記憶された半導体スイッチング素子の固体差の情報と、温度検知手段での検知結果とに基づいて、過電流検知ラインを補正しながら監視を行うので、個体差及び温度による抵抗値の変化が生じやすい半導体スイッチング素子を使用しても、この半導体スイッチング素子をシャント抵抗の代替として駆動電流を精度良くモニタできる。したがって、スイッチング素子として半導体スイッチング素子を使用しながらも、第2従来技術及び第3従来技術に比べて部品点数を低減でき、設備コストを低減することが可能となる。
【0078】
請求項2に記載の発明によれば、電線や半導体スイッチング素子の電流許容値が時間とともに変化しても、この変化に対応するように過電流検知ラインを変化させて駆動電流をモニタできるため、実状に応じた精度良い過電流検知を行うことができる。
【0079】
請求項1に記載の発明によれば、半導体スイッチング素子の個体差と温度状況の両方の因子について予めグルーピングしておき、この各グループ毎に過電流検知ラインを設定しているので、制御手段が過電流検知ラインを選択するだけで精度良い過電流検知を行うことができる。したがって、制御手段での制御処理負荷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一の実施の形態に係る負荷駆動回路を示すブロック図である。
【図2】MOSFETがヒートスプレッタ上に搭載されている状態を示す図である。
【図3】周囲温度とMOSFETの接合温度とヒートスプレッタ上での温度センサによる温度モニタ値との関係を示す図である。
【図4】周囲温度とMOSFETの接合温度とヒートスプレッタ上での温度センサによる温度モニタ値との関係を示す図である。
【図5】時間の推移に伴って各部位の許容電流値が変化する様子を示す図である。
【図6】第1従来技術の負荷駆動回路を示すブロック図である。
【図7】第2従来技術の負荷駆動回路を示すブロック図である。
【図8】第3従来技術の負荷駆動回路を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 負荷
31 MOSFET(半導体スイッチング素子)
32 マイコン(制御手段)
34 ヒートスプレッタ
38 温度センサ(温度検知手段)
Claims (2)
- 所定の負荷を駆動する負荷駆動回路であって、
所定の電源と前記負荷との間に介装されて当該負荷のオンオフ切替を行う半導体スイッチング素子と、
前記半導体スイッチング素子の両端の電位差を検知し、その検知結果に基づいて、前記半導体スイッチング素子を流れる前記負荷の駆動電流が予め定義付けされた過電流検知ラインを超えているか否かを監視しながら、当該半導体スイッチング素子のオンオフ制御を行う制御手段と、
前記半導体スイッチング素子の温度を検知する温度検知手段と
を備え、
前記制御手段は、予め所定の記憶手段に記憶された前記半導体スイッチング素子の固体差の情報と、前記温度検知手段での検知結果とに基づいて、前記過電流検知ラインを補正し、
前記半導体スイッチング素子の前記個体差の情報が、前記半導体スイッチング素子の抵抗値について予めグルーピングされた複数のグループのうちのいずれであるかの情報であり、
前記記憶手段に、前記半導体スイッチング素子の前記抵抗値について予めグルーピングされた複数のグループ毎に、更に前記半導体スイッチング素子の温度に対して複数のグループ分けがなされ、当該半導体スイッチング素子の温度に対しる複数のグループ毎に、前記過電流検知ラインが予め設定され、
前記制御手段が、前記記憶手段に記憶された前記半導体スイッチング素子の前記個体差の情報と、前記温度検知手段での検知結果とに基づいて、前記記憶手段内に記憶された複数の前記過電流検知ラインの中のいずれかを選択することを特徴とする負荷駆動回路。 - 請求項1に記載の負荷駆動回路であって、
前記過電流検知ラインが、前記駆動電流が流れている時間の推移とともに変化するよう定義付けられることを特徴とする負荷駆動回路。
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