JP2002275393A - 表面処理液および表面処理方法 - Google Patents

表面処理液および表面処理方法

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JP2002275393A
JP2002275393A JP2001076487A JP2001076487A JP2002275393A JP 2002275393 A JP2002275393 A JP 2002275393A JP 2001076487 A JP2001076487 A JP 2001076487A JP 2001076487 A JP2001076487 A JP 2001076487A JP 2002275393 A JP2002275393 A JP 2002275393A
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Takako Yamada
貴子 山田
Nobuyuki Ito
信幸 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 摺動性、耐磨耗性、潤滑性、撥水性、離型性
および非導電性などを付与する表面処理液およびこの表
面処理液を用いた表面処理方法を提供する。 【解決手段】 本発明の表面処理液は、重合性化合物お
よび/または重合体からなる電着可能な樹脂(ポリイミ
ド系樹脂など)と、ウィスカー(チタン酸カリウムな
ど)と、を含有することを特徴とする。上記ウィスカー
は平均直径が3μm以下、平均アスペクト比が10〜1
00およびモース硬度が3〜9の針状物質であることが
好ましい。本発明の表面処理方法は、この表面処理液を
電着液に用いて基材表面に電着して電着皮膜を形成し、
次いでこの電着皮膜を熱処理することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材表面に摺動
性、耐磨耗性、潤滑性、撥水性、離型性、非導電性など
の性質を付与する表面処理液、および、この表面処理液
を用いて基材表面に電着することによって前記性質を付
与する表面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、基材の表面に摺動性、潤滑性など
を付与するための皮膜を形成する表面処理方法として、
例えば下記の方法が知られている。 無電解ニッケル−リン(Ni−P)メッキなどの金属
メッキ層上にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)
層を形成する方法 金属メッキ皮膜中に微粒子状物質を共析させた複合メ
ッキ皮膜を形成する方法 この複合メッキ皮膜としては、無電解ニッケル−リンメ
ッキ液中にPTFEなどのフッ素含有有機微粒子を存在
させてこれらを共析させた無電解Ni−P/PTFE複
合メッキ皮膜が多く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の方法
によると、金属メッキ層とPTFE層との密着性が不足
してPTFE層が剥離しやすい。また、PTFE層は一
般に硬度が低いため、例えばこの表面処理をベアリング
部材に適用した場合、使用時の摩擦によりPTFE層が
削れてダストとなり、甚だしい場合にはPTFE層が失
われて表面処理の効果がなくなってしまうなど、表面処
理の機械的耐久性が低いという問題がある。さらに、通
常上記PTFE層はキャスト法などの方法により形成さ
れるが、これらの方法によると、ベアリング部材などの
ように円筒状の被処理面に均一なPTFE層を形成する
ことは困難である。
【0004】一方、上記の方法では、PTFE単独の
皮膜を形成する上記の方法とは異なり、PTFEは上
記複合メッキ皮膜において金属中に微粒子として分散し
ている。この複合メッキ皮膜は上記の方法におけるP
TFE層に比べれば硬度が高いので、上記の方法は表
面処理の機械的耐久性に優れる。しかし、この方法によ
ると、複合メッキ皮膜を構成する金属が薬品などにより
腐食され、PTFE粒子が脱落して表面処理の効果が低
下したり、脱落したPTFE粒子がダストとなったりす
るなど、表面処理の化学的安定性が低いという問題があ
った。また、PTFE粒子が分散された金属は硬いた
め、この粒子が衝撃などにより脱落する場合がある。さ
らに、上記の方法では基材に摺動性、潤滑性などとと
もに非導電性を付与することはできない。
【0005】本発明の目的は、表面処理の機械的耐久性
および化学的耐久性に優れ、また被処理面の形状を問わ
ずその表面に摺動性、耐磨耗性、潤滑性、撥水性、離型
性、非導電性など、特に、耐久性、摺動性および耐磨耗
性を付与する表面処理液、および、この表面処理液を用
いて基材表面に電着することによって前記性質を付与す
る表面処理方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、表面処理
の機械的耐久性および化学的耐久性に優れ、また被処理
面の形状を問わずその表面に摺動性、耐磨耗性、潤滑
性、撥水性、離型性、非導電性などを付与する表面処理
液、および、この表面処理液を用いて基材表面に電着す
ることによって前記性質を付与する表面処理方法につい
て鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、請求項1記載の表面処理液は、
重合性化合物および/または重合体からなる電着可能な
樹脂と、ウィスカーとを含有することを特徴とする。
【0008】上記「電着可能な樹脂」は特に限定されな
いが、好ましい態様は、重合性化合物および重合体の少
なくとも一方からなる粒子が溶液中に分散したエマルジ
ョンである。ここで、上記「重合性化合物」とは重合性
基を有する化合物をいい、硬化前の前駆的重合体、重合
性オリゴマー、単量体などを含む意味である。一方、上
記「重合体」とは実質的に重合反応が完了した化合物を
指す。ただし、加熱、湿気などによりこの重合体を電着
後に架橋させることも可能である。
【0009】本発明の表面処理液に基材を浸漬して電極
とし、対極を配して電流を流すことにより、この基材の
表面に電着皮膜が形成される。この電着を可能とするた
めに、上記粒子は表面に電荷を有することが好ましい。
この表面電荷はアニオン型でもカチオン型でもよいが、
基材を陰極として電着することによりこの基材からの金
属の溶出が防止できることから、カチオン型の粒子であ
ることが好ましい。
【0010】上記粒子は、ポリイミド系樹脂、エポキシ
系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素
系樹脂およびシリコン系樹脂から選択された少なくとも
1種からなることが好ましい。また、これらの樹脂に加
えてさらに他の成分を含んでもよい。また、これらの樹
脂は互いに、あるいは他の成分と化学的に結合されてい
てもよい。ここで、上記「ポリイミド系樹脂」とは、電
着後の加熱などにより硬化可能な前駆的重合体(たとえ
ばポリアミック酸など。)、ポリイミド系樹脂の形成に
用いられる単量体、オリゴマーなどをも含む意味であ
り、他の樹脂についても同様である。さらに、この「ポ
リイミド系樹脂」とは、ポリイミド樹脂またはその前駆
的重合体、ポリイミド樹脂の形成に用いられる単量体と
他の単量体との共重合体樹脂またはその前駆的重合体、
ポリイミド樹脂またはその前駆的重合体と他の化合物と
の反応物などをも含む意味であり、他の樹脂についても
同様である。
【0011】以下、主としてポリイミド系樹脂からなる
粒子のエマルジョン(以下、「ポリイミド系樹脂エマル
ジョン」という。)、主としてエポキシ系樹脂からなる
粒子のエマルジョン(以下、「エポキシ系樹脂エマルジ
ョン」という。)、主としてアクリル系樹脂からなる粒
子のエマルジョン(以下、「アクリル系樹脂エマルジョ
ン」という。)、主としてポリエステル系樹脂からなる
粒子のエマルジョン(以下、「ポリエステル系樹脂エマ
ルジョン」という。)、主としてフッ素系樹脂からなる
粒子のエマルジョン(以下、「フッ素系樹脂エマルジョ
ン」という。)および主としてシリコン系樹脂からなる
粒子のエマルジョン(以下、「シリコン系樹脂エマルジ
ョン」という。)の製造方法について説明する。
【0012】上記ポリイミド系樹脂エマルジョンとして
は、例えば、以下のものが挙げられる。 〔A〕有機溶媒可溶性のポリイミド(P)と親水性ポリ
マー(Q)との複合粒子からなるポリイミド系樹脂エマ
ルジョン 〔B〕ポリアミック酸(R)と疎水性化合物(S)との
複合粒子を含有する粒子からなるポリイミド系樹脂エマ
ルジョン
【0013】上記〔A〕および〔B〕のポリイミド系樹
脂エマルジョンを製造する方法としては、上記〔A〕の
方法については特開平11−49951号公報に記載の
方法が、また上記〔B〕の方法については特開平11−
60947号公報に記載の方法が例示される。
【0014】上記〔A〕の方法において使用するポリイ
ミド系樹脂エマルジョンの製造方法についてさらに詳し
く説明する。上記有機溶媒可溶性のポリイミド(P)の
合成法は特に限定されるものではないが、例えば、有機
極性溶媒中、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合
物とを混合して重縮合させて、ポリアミック酸を得たの
ち、該ポリアミック酸を加熱イミド化法または化学イミ
ド化法により脱水閉環反応させることにより、ポリイミ
ドを合成することができる。また、テトラカルボン酸二
無水物とジアミン化合物との重縮合を多段階で行うこと
により、ブロック構造を有するポリイミドを合成するこ
とも可能である。上記有機溶媒可溶性のポリイミド
(P)は、例えば、カルボキシル基、アミノ基、水酸
基、スルホン酸基、アミド基、エポキシ基、イソシアネ
ート基などの反応性基(a)を1種以上有することが好
ましい。反応性基(a)を有するポリイミドの合成方法
としては、例えば、ポリアミック酸の合成に使用される
カルボン酸二無水物、ジアミン化合物、カルボン酸一無
水物、モノアミン化合物などの反応原料として、反応性
基(a)を有する化合物を使用し、脱水閉環反応後に反
応性基(a)を残存させる方法などを挙げることができ
る。
【0015】上記親水性ポリマー(Q)は、親水性基と
して、例えば、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、ス
ルホン酸基、アミド基などを1種以上有し、水に対する
20℃の溶解度が、通常0.01g/100g以上、好
ましくは0.05g/100g以上である親水性ポリマ
ーからなる。前記親水性基に加えて、前記成分(P)中
の反応性基(a)と反応しうる反応性基(b)を1種以
上有することが好ましい。このような反応性基(b)と
しては、例えば、エポキシ基、イソシアネート基、カル
ボキシル基のほか、前記親水性基と同様の基などを挙げ
ることができる。このような親水性ポリマーは、親水性
基および/または反応性基(b)を有するモノビニル単
量体を単独重合または共重合させるか、あるいはこれら
のモノビニル単量体と他の単量体とを共重合させること
により得ることができる。
【0016】上記有機溶媒可溶性のポリイミド(P)と
上記親水性ポリマー(Q)とを、反応性基(a)と反応
性基(b)とが適切な反応性を有する組み合わせとなる
ように選択し、上記ポリイミド(P)と上記親水性ポリ
マー(Q)とを、例えば有機溶媒中にて溶液状態で混合
して、必要に応じて加熱しつつ、反応させたのち、この
反応溶液と水性媒体とを混合し、場合により有機溶媒の
少なくとも一部を除去することにより、上記ポリイミド
(P)と上記親水性ポリマー(Q)とを相互に結合して
同一粒子内に含む複合粒子からなるポリイミド系樹脂エ
マルジョンを得ることができる。
【0017】次に、上記〔B〕の方法において使用する
ポリイミド系樹脂エマルジョンの製造方法についてさら
に詳しく説明する。ポリイミドの前駆体であるポリアミ
ック酸(R)の合成法は、特に限定されるものではない
が、例えば、有機極性溶媒中、テトラカルボン酸二無水
物とジアミン化合物との重縮合反応によりポリアミック
酸を得ることができる。また、テトラカルボン酸二無水
物とジアミン化合物との重縮合反応を多段階で行うこと
により、ブロック構造を有するポリアミック酸を合成す
ることも可能である。なお、ポリアミック酸を脱水閉環
させることにより部分的にイミド化したポリアミック酸
も使用可能である。
【0018】上記疎水性化合物(S)は、上記ポリアミ
ック酸(R)中の少なくともアミド酸基と反応しうる基
(以下、「反応性基」という。)を有する化合物であ
る。この反応性基としては、例えば、エポキシ基、イソ
シアナト基、カルボジイミド基、水酸基、メルカプト
基、ハロゲン基、アルキルスルホニル基、アリールスル
ホニル基、ジアゾ基、カルボニル基などを挙げることが
できる。これらの反応性基は、疎水性化合物中に1種以
上存在することができる。なお、「疎水性」とは、水に
対する20℃の溶解度が、通常、0.05g/100g
未満、好ましくは0.01/100g未満、さらに好ま
しくは0.005g/100g未満であることを意味す
る。
【0019】上記疎水性化合物(S)としては、例え
ば、エポキシ化ポリブタジエン、ビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂、フルオレン系
エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジル
エステル型エポキシ樹脂、アリルグリシジルエーテル、
グリシジル(メタ)アクリレート、1,3,5,6−テ
トラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,
N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシレンジアミ
ン、トリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルカル
ボジイミド、ポリカルボジイミド、コレステロール、ベ
ンジルアルコールp−トルエンスルホン酸エステル、ク
ロロ酢酸エチル、トリアジントリチオール、ジアゾメタ
ン、ジアセトン(メタ)アクリルアミドなどから選択さ
れる1種または2種以上を使用することができる。
【0020】上記ポリアミック酸(R)と上記疎水性化
合物(S)とを、例えば、有機溶媒中にて溶液状態で混
合して反応させたのち、この反応溶液を水性媒体と混合
し、場合により有機溶媒の少なくとも一部を除去するこ
とにより、上記ポリアミック酸(R)と上記疎水性化合
物(S)とを同一粒子内に含む複合粒子からなるポリイ
ミド系樹脂エマルジョンを得ることができる。
【0021】なお、上記〔A〕および上記〔B〕の方法
において用いられるテトラカルボン酸二無水物は特に限
定されるものではなく、その例としては、ブタンテトラ
カルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテ
トラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシク
ロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−ト
リカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3
a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ
−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2
−c]−フラン−1,3−ジオンなどの脂肪族テトラカ
ルボン酸二無水物あるいは脂環式テトラカルボン酸二無
水物;ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−
ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,
4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水
物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物;などを挙げ
ることができる。これらのテトラカルボン酸二無水物
は、単独でまたは2種以上を混合して使用することがで
きる。
【0022】また、上記〔A〕および上記〔B〕の方法
において用いられるジアミン化合物は特に限定されるも
のではなく、その例としては、p−フェニレンジアミ
ン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビ
ス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
などの芳香族ジアミン類;1,1−メタキシリレンジア
ミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジア
ミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミ
ン)などの脂肪族ジアミンあるいは脂環式ジアミン類;
2,3−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノ−6−ジ
メチルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジア
ミノ−5−フェニルチアゾール、ビス(4−アミノフェ
ニル)フェニルアミンなどの、分子内に2つの第一級ア
ミノ基および該第一級アミノ基以外の窒素原子を有する
ジアミン類;モノ置換フェニレンジアミン類;ジアミノ
オルガノシロキサン;などを挙げることができる。これ
らのジアミン化合物は、単独であるいは2種以上を組み
合わせて使用することができる。
【0023】上記エポキシ系樹脂エマルジョンの製造方
法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法、例
えば特開平9−235495号公報、同9−20886
5号公報に記載の方法などによればよい。
【0024】上記アクリル系樹脂エマルジョンの製造方
法は特に限定されるものではないが、例えば通常の乳化
重合法により製造できる。単量体としては一般的なアク
リル系および/またはメタクリル系単量体から選択され
る1種あるいは2種以上を用いればよい。このとき、粒
子を電着可能とするために、アミノ基、アミド基などの
カチオン性基を有する単量体、またはカルボキシル基、
スルホン酸基などなどのアニオン性基を有する単量体を
共重合させることが好ましく、その共重合量は使用する
単量体全体に対して5〜80重量%(より好ましくは1
0〜50重量%)とすることが好ましい。上記アミノ基
を有する単量体の好ましい具体例としては、ジメチルア
ミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアク
リルアミドなどが挙げられる。
【0025】上記ポリエステル系樹脂エマルジョンの製
造方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方
法、例えば特開昭57−10663号公報、同57−7
0153号公報、同58−174421号公報に記載の
方法などによればよい。上記フッ素系樹脂エマルジョン
の製造方法は特に限定されるものではなく、従来公知の
方法、例えば特開平7−268163号公報に記載の方
法などによればよい。
【0026】上記シリコン系樹脂エマルジョンの製造方
法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法、例
えば特開平10−60280号公報に記載の方法などに
よればよい。上記例示したエマルジョンのうち、ポリイ
ミド系樹脂エマルジョンが好ましく用いられる。また、
これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用
いることができる。
【0027】上記「ウィスカー」は針状結晶であれば特
に限定されない。上記ウィスカーの平均直径は、好まし
くは3μm以下、より好ましくは2μm以下、さらに好
ましくは1μm以下とすることができる。但し下限は、
通常0.3μmである。上位平均直径が3μmを超える
と薄膜形成が困難であり好ましくない。また、上記ウィ
スカーの平均アスペクト比は、好ましくは10〜10
0、より好ましくは15〜40、さらに好ましくは20
〜35とすることができる。上記アスペクト比が10未
満では耐久性および耐磨耗性が不十分であり、一方、1
00を超えると薄膜形成時に異方性が問題となりいずれ
も好ましくない。さらに、上記ウィスカーのモース硬度
は、好ましくは3〜9、より好ましくは4〜8とするこ
とができる。上記モース硬度が3未満では電着皮膜の硬
度が低くなるため、耐久性、耐磨耗性が不十分であり、
一方、9を超えると相手基材を傷つけることがありいず
れも好ましくない。
【0028】上記ウィスカーの例としては、チタン酸カ
リウム、ホウ酸アルミニウム、酸化チタン、塩基性硫酸
マグネシウム、炭酸カルシウム、窒化珪素、炭化珪素、
アルミナ、ホウ酸マグネシウムなどが挙げられるが、こ
れらのうち、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、
ホウ酸マグネシウムが好ましい。
【0029】上記電着可能な樹脂および上記ウィスカー
の含有割合は、これらの合計を100質量部とすると、
好ましくは(70〜97)/(30〜3)質量部、より
好ましくは(85〜95)/(15〜5)質量部、さら
に好ましくは(80〜93)/(20〜7)質量部であ
る。上記電着可能な樹脂の含有量が70質量部未満ある
いは上記ウィスカーの含有量が30質量部を超えると、
電着可能な樹脂中でウィスカーが沈降して分散不良を起
こし、好ましくない。一方、上記電着可能な樹脂の含有
量が97質量部を超えるかあるいは上記ウィスカーの含
有量が3質量部未満では、耐久性、摺動性および耐磨耗
性を付与することが期待できないため好ましくない。
【0030】本発明の表面処理液には、さらにフッ素含
有有機微粒子および架橋有機微粒子から選択された少な
くとも1種の微粒子を含有することができる。
【0031】上記フッ素含有有機微粒子は、摺動性、潤
滑性などの性質を付与しうるものであれば特に限定され
ない。また、未架橋でも架橋していてもいずれでもよ
い。上記フッ素含有有機微粒子の例としては、ポリテト
ラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチ
レン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、
テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニル
エーテル共重合体(PFA)などからなる微粒子が挙げ
られる。これらは1種単独であるいは2種以上を組み合
わせて用いることができる。また、上記フッ素含有有機
微粒子は、架橋していてもしていなくてもよい。
【0032】上記架橋有機微粒子(ただし、フッ素を含
有する有機微粒子を除く。)は、特に限定されないが、
例えば、ベンゾグアナミン、ジビニルベンゼンなどの架
橋性単量体(以下、「単量体a」ともいう。)の単独重
合体、単量体aおよび単量体aと共重合可能な他の単量
体(以下、「単量体b」ともいう。)の共重合体などか
らなる微粒子が挙げられる。単量体aと単量体bとの好
ましい使用割合は、単量体a(重量%)/単量体b(重
量%)=5〜100/0〜95、より好ましい割合は2
0〜100/0〜80、さらに好ましい割合は40〜1
00/0〜60である。上記単量体bの好ましい例とし
ては、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニ
ル化合物、メチルメタクリレートなどの(メタ)アクリ
ル酸エステルなどが挙げられる。
【0033】単量体aを必須成分として得られた重合体
からなる好ましい架橋有機微粒子としては、例えば、下
記(i)〜(iv)で示される重合体からなるものが挙
げられる。 (i)単量体aの単独重合体 (ii)単量体aと、芳香族ビニル化合物を必須成分と
する単量体bと、の共重合体 (iii)単量体aと、(メタ)アクリル酸エステルを
必須成分とする単量体bと、の共重合体 (iv)単量体aと、芳香族ビニル化合物および(メ
タ)アクリル酸エステルを必須成分とする単量体bと、
の共重合体
【0034】上記フッ素含有有機微粒子および上記架橋
有機微粒子の平均粒子径は、通常、0.01〜100μ
mであり、好ましくは0.01〜30μm、より好まし
くは0.05〜10μmである。
【0035】本発明の表面処理液に上記微粒子を含有さ
せる場合には、その含有割合は、上記電着可能な樹脂お
よび上記ウィスカーの合計100質量部に対して、好ま
しくは10〜90質量部、より好ましくは30〜85質
量部、さらに好ましくは50〜80質量部とすることが
できる。上記微粒子の含有量が10質量部未満では良好
な潤滑性および摺動性が得られない場合があり、一方、
90質量部を超えるとウィスカーによる耐久性および耐
磨耗性向上の効果を低下させる場合があり、いずれも好
ましくない。
【0036】請求項5記載の表面処理方法は、請求項1
から4のいずれかに記載の表面処理液を電着液に用いて
基材表面に電着皮膜を形成し、次いで該電着皮膜を熱処
理することを特徴とする。
【0037】前記電着可能な樹脂に前記ウィスカーを含
有させた表面処理液を電着液に用いると、前記電着可能
な樹脂と前記ウィスカーとが共析して複合電着皮膜が形
成される。前記電着可能な樹脂と前記ウィスカーとを共
析させる際の前記ウィスカーの共析量は、好ましくは3
〜30質量%、より好ましくは5〜25質量%、さらに
好ましくは7〜20質量%である。前記ウィスカーの共
析量が3質量%未満では電着皮膜の硬度が低下するため
耐磨耗性が不十分であり、一方、30質量%を超えると
電着皮膜中からウィスカーが剥がれ落ちる場合があり、
いずれも好ましくない。
【0038】また、上記表面処理液に、さらに前記微粒
子を含有させた表面処理液を電着液に用いると、前記電
着可能な樹脂と前記ウィスカーおよび前記微粒子とが共
析して複合電着皮膜が形成される。前記ウィスカーの共
析量に対する前記微粒子の共析量は、前記ウィスカーと
前記微粒子の共析量の合計を100質量部とすると、好
ましくは10〜90質量部、より好ましくは30〜88
質量部、さらに好ましくは50〜85質量部である。前
記微粒子の共析量が10質量部未満では、良好な潤滑性
および摺動性が得られない場合があり、一方、90質量
部を超えると電着皮膜の高度が低下するため耐久性およ
び耐磨耗性が不十分となり、いずれも好ましくない。
【0039】本発明の表面処理方法においては、上記電
着皮膜がさらに熱処理されるが、この熱処理により、十
分な硬度をもつとともに基材への密着性の高い複合電着
皮膜が得られる。熱処理の条件は特に限定されないが、
好ましい加熱温度は100℃以上であり、特に好ましく
は150〜300℃である。加熱温度が100℃未満で
あると、硬化が不十分であるため十分な皮膜強度が得ら
れず、また基材への十分な密着力が得られない場合があ
る。一方、加熱温度が400℃を超えると、この皮膜を
構成する化合物が分解しやすいので好ましくない。
【0040】熱処理を施された上記電着皮膜の厚さは、
この皮膜の組成や表面処理目的などにより異なるが、
0.1μm〜100μmとすることが好ましく、1〜7
0μmとすることがより好ましい。上記電着皮膜の厚さ
が上記範囲未満であると、表面処理効果が十分に発揮さ
れない場合がある。一方、厚さが大きすぎると、前記ウ
ィスカーがこの皮膜中に埋没しやすくなり、本発明が目
的とする性能が得られにくい。
【0041】本発明の表面処理液または表面処理方法に
よると、摺動性、潤滑性などを与える微粒子と「金属」
とからなる複合メッキ皮膜を形成する従来の表面処理方
法とは異なり、ウィスカーと「重合体」とからなる複合
電着皮膜を形成することができる。この複合電着皮膜に
よると基材表面を非導電性とすることができる。この複
合電着皮膜は、微粒子を金属により固定した場合に比べ
てウィスカー固定の耐衝撃性が高く、またPTFE単独
の層を形成する従来の表面処理方法に比べて表面の硬度
を高くすることができるので表面処理の機械的耐久性が
高い。したがって、本発明の表面処理液または表面処理
方法により処理された表面はダストを発生しにくい(低
発塵性)。さらに、この複合電着皮膜は電着工程により
形成されるので、基材の形状を問わず均一な皮膜を容易
に形成することができる。
【0042】本発明の表面処理方法により形成される皮
膜は、鉛筆硬度でH以上、好ましくは2H以上とするこ
とができ、動的摩擦係数を0.3以下、好ましくは0.
15以下とすることができる。
【0043】
【発明の実施の形態】以下、実施例および比較例により
本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下におい
て、特記しない限り、「部」および「%」は質量基準で
ある。
【0044】〔1〕電着可能な樹脂の合成 以下の合成例1〜5により、各種電着可能な樹脂エマル
ジョンを合成し、合成例6により電着可能な樹脂溶液を
合成した。
【0045】合成例1:ポリイミド系樹脂エマルジョン テトラカルボン酸二無水物として3,3’,4,4’−
ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物32.2
9g(90ミリモル)および1,3,3a,4,5,9
b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキ
ソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−
1,3−ジオン3.00g(10ミリモル)、ジアミン
化合物として2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル]プロパン36.95g(90ミリモル)
およびオルガノシロキサンLP7100(信越化学製の
商品名)2.49g(10ミリモル)を、N−メチル−
2−ピロリドン450gに溶解して、室温で12時間反
応させた。その後、この反応溶液に、ピリジン32gお
よび無水酢酸71gを添加し、100℃で3時間脱水閉
環反応を行った。次いで、反応溶液を減圧留去して精製
し、固形分10%のポリイミド溶液を得た。ジエチレン
グリコールモノエチルエーテル100部を入れた反応容
器を、窒素ガス雰囲気下で85℃に保持し、この反応容
器に、n−ブチルアクリレート65部、ジメチルアミノ
エチルアクリレート30部、グリシジルメタアクリレー
ト5部およびアゾビスイソブチロニトリル1部からなる
混合液を5時間かけて連続的に添加しつつ、撹拌下で溶
液重合を行なった。滴下終了後、85℃でさらに2時間
撹拌を続けて、溶液重合を完結させ、固形分50%のア
クリルポリマー溶液を得た。ポリイミド溶液50部(固
形分)とアクリルポリマー溶液30部(固形分)とエピ
コート828(油化シェルエポキシ社製の商品名)20
部を混合し、70℃×3時間反応させた後、酢酸3部を
徐々に添加して混合し、pH調整を行った。次いで、蒸
留水1000部を徐々に添加しつつ強く撹拌して、カチ
オン性のポリイミド系樹脂エマルジョンを得た。
【0046】合成例2:ポリアミック酸エマルジョン テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカル
ボキシシクロペンチル酢酸二無水物22.4g(100
ミリモル)、ジアミン化合物として2,2−ビス〔4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン41.1
g(100ミリモル)を、N−メチル−2−ピロリドン
450gに溶解させ、60℃で6時間反応させた。減圧
留去により、濃縮を行い、固形分15%のポリアミック
酸溶液を得た。前記ポリアミック酸の溶液70部(固形
分)に対して、エピコート828(油化シェルエポキシ
社製)30部を添加して十分混合し、80℃×60分反
応させたのち、トリエタノールアミン10部を添加した
蒸留水1000部に徐々に加えながら強く撹拌して、ア
ニオン性のポリアミック酸エマルジョン(ポリイミド系
樹脂エマルジョンの一例である)を得た。
【0047】合成例3:エポキシ系樹脂エマルジョン トリレンジイソシアネートおよび2−エチルヘキサノー
ルからなるブロックイソシアネート46.3部と、エピ
コート828(油化シェルエポキシ社製の商品名)とジ
エチルアミンとを反応させて得られたエポキシアミン付
加物89.3部とを混合し、pH調節剤として酢酸3.
8部を加えた。これを、イオン交換水1200部中に攪
拌しながら投入することによって、カチオン性のエポキ
シ系樹脂前駆体を主成分とする分散粒子のエマルジョン
を得た。
【0048】合成例4:アクリル系樹脂エマルジョン イオン交換水200部、コータミン24(花王株式会社
製、界面活性剤の商品名)1部を反応器に仕込み、窒素
気流下で系を60℃まで昇温した後、V−50(和光純
薬株式会社製、開始剤の商品名)を仕込んで重合反応を
開始させた。反応開始直後から、イオン交換水30部、
ブチルアクリレート20部、メチルメタクリレート77
部、DMAPAA−Q3部(興人株式会社製の商品
名)、コータミン24 0.3部、エマルゲンE−92
0(花王株式会社製、界面活性剤の商品名)2部からな
るモノマーエマルジョンを、3時間かけて連続的に滴下
した。滴下終了後、系を65℃に昇温してさらに3時間
反応させることによって、カチオン性のアクリル系樹脂
重合体を主成分とする分散粒子のエマルジョンを得た。
【0049】合成例5:ポリエステル系樹脂エマルジョ
ン ジメチルテレフタレート466部、ジメチルイソフタレ
ート388部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメ
チル178部、エチレングリコール443部、ネオペン
チルグリコール400部、酢酸亜鉛0.44部、酢酸ナ
トリウム0.04部、三酸化アンチモン0.43部を反
応器に仕込み、140〜220℃で4時間かけてエステ
ル交換反応を行った。次に260℃20mmHgの真空
下で重縮合反応を1時間行ってポリエステル系樹脂を得
た。このポリエステル系樹脂30部をイソプロパノール
14部と水56部の混合液中に入れ、70〜75℃で3
時間かけて分散させることによって、カチオン性のポリ
エステル系樹脂重合体を主成分とする分散粒子のエマル
ジョンを得た。
【0050】合成例6:ポリイミド系樹脂溶液 テトラカルボン酸二無水物として、3,3’,4,4’
−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物32.
2g(90ミリモル)および1,3,3a,4,5,9
b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキ
ソ−3−フラニル)ナフト[1,2−c]−フラン−
1,3−ジオン3.00g(10ミリモル)、ジアミン
化合物として2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル]プロパン32.84g(80ミリモ
ル)、そして、オルガノシロキサンLP7100(信越
化学製の商品名)2.49g(10ミリモル)および
3,4−ジアミノ安息香酸1.55g(10ミリモル)
を、N−メチル−2−ピロリドン450gに溶解して、
室温で12時間反応させた。その後、この反応溶液にピ
リジン32gおよび無水酢酸71gを添加し、100℃
で3時間脱水閉環反応を行った。次いで、反応溶液を減
圧留去して精製し、固形分10%のポリイミド溶液を得
た。この10%ポリイミド溶液50部に、25%トリメ
チルアンモニウムハイドライド0.4部とN−メチル−
2−ピロリドン6.6部を混合した溶液を添加してアニ
オン性のポリイミド系樹脂溶液を得た。
【0051】〔2〕表面処理および評価(実施例1〜
7、比較例1〜3) 実施例1 合成例1で得たポリイミド系樹脂エマルジョンに、フッ
素含有有機微粒子として粒子径0.3μmのPTFE粒
子および、ウィスカーとしてチタン酸カリウムウィスカ
ー(平均直径0.3〜0.6μm、平均長10〜20μ
m、平均アスペクト比30、モース硬度4)を、全固形
分中に占めるPTFE粒子の重量比が45%、チタン酸
カリウムの重量比が10%となるように添加して表面処
理液を作製した。基材としては希酸で洗浄した銅板を用
い、上記表面処理液にこの銅板を浸漬して、定電圧法に
より陰極側の銅板上にポリイミド系樹脂粒子とPTFE
粒子および、チタン酸カリウムウィスカーとを共析させ
て皮膜(熱硬化性薄膜)を形成した。その後、この薄膜
を100℃で10分間加熱したのち、さらに250℃で
30分間加熱してポリイミド系樹脂を硬化させることに
より、銅板上に膜厚20μm、PTFE共析量40%、
チタン酸カリウム共析量8%の複合電着皮膜を形成する
表面処理を行った。
【0052】実施例2 実施例1で用いたポリイミド系樹脂エマルジョンに代え
て合成例3で得たエポキシ系樹脂エマルジョンを用い、
ウィスカーとしてホウ酸マグネシウムウィスカー(平均
直径0.5〜1μm、平均長10〜40μm、平均アス
ペクト比30、モース硬度7)を用いた以外は、実施例
1と同様にして表面処理液を作製した。この表面処理液
を使用し、薄膜を硬化させる温度を250℃から200
℃に変更した以外は、実施例1と同様に電着および加熱
処理を行って複合電着皮膜を形成する表面処理を行っ
た。
【0053】実施例3 合成例6で得たポリイミド系樹脂溶液に、フッ素含有有
機微粒子として粒子径0.3μmのPTFE粒子およ
び、ウィスカーとしてチタン酸カリウムウィスカー(平
均直径0.3〜0.6μm、平均長10〜20μm、平
均アスペクト比30、モース硬度4)をN−メチル−2
−ピロリドンに分散させた溶液を、全固形分中に占める
PTFE粒子の質量比が45%、チタン酸カリウムの質
量比が10%となるように添加して表面処理液を作製し
た。この表面処理液を使用し、実施例1とは電極の正負
を逆転させて熱硬化性薄膜を形成させた以外は、実施例
1と同様に電着および加熱処理を行って複合皮膜を形成
する表面処理を行った。
【0054】実施例4 実施例1で用いたポリイミド系樹脂エマルジョンに代え
て合成例4で得たアクリル系樹脂エマルジョンを用い、
ウィスカーとしてホウ酸アルミニウムウィスカー(平均
直径1μm、平均アスペクト比30、モース硬度7)を
用い、PTFEに代えて、架橋有機微粒子として架橋ス
チレン系ポリマー(ジビニルベンゼンの単独重合体)か
らなる微粒子を用いた以外は実施例1と同様にして表面
処理液を作製した。この表面処理液を使用し、薄膜を硬
化させる温度を250℃から200℃に変更した以外
は、実施例1と同様に電着および加熱処理を行って複合
電着皮膜を形成する表面処理を行った。
【0055】実施例5 実施例1で用いたポリイミド系樹脂エマルジョンに代え
て合成例5で得たポリエステル系樹脂エマルジョンを用
い、PTFE粒子を添加しなかった以外は実施例1と同
様にして表面処理液を作製した。この表面処理液を使用
し、薄膜を硬化させる温度を250℃から200℃に変
更した以外は、実施例1と同様に電着および加熱処理を
行って複合電着皮膜を形成する表面処理を行った。
【0056】実施例6 実施例1で用いたポリイミド系樹脂エマルジョンに代え
て合成例2で得たポリアミック酸エマルジョンを用い、
PTFE粒子を添加しなかった以外は実施例1と同様に
して表面処理液を作製した。この表面処理液を使用し、
実施例1とは電極の正負を逆転させて熱硬化性薄膜を形
成した。また、この薄膜を硬化させる温度を250℃か
ら350℃に変更した。これら以外は実施例1と同様に
して複合電着皮膜を形成する表面処理を行った。
【0057】実施例7 ウィスカーとして炭化珪素ウィスカー(平均直径0.3
〜0.6μm、平均長5〜15μm、平均アスペクト比
20、モース硬度9)を用い、PTFE粒子を添加しな
かった以外は実施例1と同様にして表面処理液を作製
し、この表面処理液を用いて皮膜を形成する表面処理を
行った。
【0058】比較例1 表面処理液としてNi−PTFE複合液(上村工業社
製、商品名「ニムフロン」)を用い、無電解メッキ法に
より膜厚20μm、PTFE共析量20%の複合電着皮
膜を形成する表面処理を行った。なお、電着後の加熱処
理は行わなかった。
【0059】比較例2 PTFE粒子を添加しなかった以外は実施例1と同様に
して表面処理液を作製し、この表面処理液を用いて皮膜
を形成する表面処理を行った。
【0060】比較例3 実施例1で用いたポリイミド系樹脂エマルジョンに代え
て合成例4で得たアクリル系樹脂エマルジョンを用い、
ウィスカーの代わりに球状ホウ酸アルミニウム粒子(平
均粒子径3μm、モース硬度7)を用い、PTFE粒子
を添加しなかった以外は実施例1と同様にして表面処理
液を作製し、この表面処理液を用いて皮膜を形成する表
面処理を行った。
【0061】上記実施例1〜7および比較例1〜3によ
り行われた表面処理の性能を下記の方法により評価し
た。その結果を表1および表2に示す。
【0062】〔鉛筆硬度〕JIS K 5400に準拠
して測定した。 〔摩擦係数および耐磨耗性〕下記試験条件により摩擦係
数および磨耗量(mg/cm2)を測定した。 荷 重 :50N/cm2 速 度 :1m/分 相手材 :SUS304 往復揺動試験:ストローク200mm 試験サイクル:100×104(400km)
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】実施例1〜7、比較例1〜3の効果 表1および表2から判るように、従来の表面処理方法で
あるNi−PTFE複合メッキ皮膜を形成した比較例1
では、十分な硬度が得られなかった。比較例2ではウィ
スカーが含有せず、磨耗量が多かったのに加え、摩擦係
数も非常に高かった。また、比較例3は、ウィスカーを
含有せず、ホウ酸アルミニウム粒子としたものである
が、硬度は優れていたが、摩擦係数が高かった。一方、
実施例1〜7の表面処理方法によると、摩擦係数、磨耗
量のいずれにおいても、優れた性能が得られた。特にウ
ィスカーおよびフッ素含有有機微粒子の両方を添加し
た、実施例1〜3の表面処理方法によると、2H以上の
鉛筆硬度を保持しながら、摩擦係数および磨耗量を大幅
に低減させることができた。実施例5〜7では、微粒子
を添加しないものであるが、摩擦係数が小さく、磨耗量
も少なかった。
【0066】
【発明の効果】本発明の表面処理液または表面処理方法
によると、被処理面の形状を問わず、その表面に摺動
性、耐磨耗性、潤滑性、撥水性、離型性、非導電性など
を付与することができる。この表面処理は硬度、耐磨耗
性などの機械的耐久性が高く、低発塵性であり、化学的
耐久性にも優れる。したがって本発明の表面処理液また
は表面処理方法は、ベアリング、摺動部材、金型、シュ
ーターなどの表面処理において有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C25D 15/00 C25D 15/00 D 15/02 15/02 N F Fターム(参考) 4J038 CD091 CG001 DB001 DD001 DJ021 DL031 HA076 HA216 HA246 HA286 HA306 HA376 HA476 KA20 MA03 MA08 MA10 NA02 NA07 NA11 NA12 NA21 PA04 PC02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合性化合物および/または重合体から
    なる電着可能な樹脂と、ウィスカーとを含有することを
    特徴とする表面処理液。
  2. 【請求項2】 上記電着可能な樹脂は、表面に電荷を有
    する粒子を構成し、該粒子がポリイミド系樹脂、エポキ
    シ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ
    素系樹脂およびシリコン系樹脂から選択された少なくと
    も1種からなる請求項1記載の表面処理液。
  3. 【請求項3】 更にフッ素含有有機微粒子および架橋有
    機微粒子から選択された少なくとも1種の微粒子を含有
    する請求項1または2に記載の表面処理液。
  4. 【請求項4】 上記ウィスカーが、平均直径3μm以
    下、平均アスペクト比10〜100およびモース硬度3
    〜9の針状物質である請求項1から3のいずれかに記載
    の表面処理液。
  5. 【請求項5】 請求項1から4のいずれかに記載の表面
    処理液を電着液に用いて基材表面に電着して電着皮膜を
    形成し、次いで該電着皮膜を熱処理することを特徴とす
    る表面処理方法。
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