JP2005060453A - 路面標示用塗料 - Google Patents
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Abstract
【課題】路面標示用塗料の表面に散布された再帰反射材の保持力に優れた路面標示用塗料を提供する。
【解決手段】路面2上に合成樹脂の分散液としてのアクリル樹脂エマルジョンと、充填材としての磁器粉砕物とを有する路面標示用塗料が塗布されて塗膜3が形成されている。該路面標示用塗料の塗膜3の表面には再帰反射材としてのガラスビーズ4が保持されており、前記ガラスビーズ4の周縁部に保持部3aが形成されている。路面標示用塗料の塗膜3の硬度は、鉛筆硬度で4B〜4Hである。
【選択図】 図1
【解決手段】路面2上に合成樹脂の分散液としてのアクリル樹脂エマルジョンと、充填材としての磁器粉砕物とを有する路面標示用塗料が塗布されて塗膜3が形成されている。該路面標示用塗料の塗膜3の表面には再帰反射材としてのガラスビーズ4が保持されており、前記ガラスビーズ4の周縁部に保持部3aが形成されている。路面標示用塗料の塗膜3の硬度は、鉛筆硬度で4B〜4Hである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、コンクリートやアスファルト等の路面に種々の道路標示をするために使用される路面標示用塗料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の路面標示用塗料としては、ホットメルト塗料(例えば、特許文献1参照。)、溶剤塗料、水性塗料(例えば、特許文献2参照。)等が挙げられる。また、塗料以外で路面に標示をする方法としては、シートの貼着(例えば、特許文献3参照。)等が挙げられる。これら路面標示用塗料の表面には、特に夜間における歩行者や車両運転者に注意を喚起するため、再帰反射材が散布される(例えば、特許文献4参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−57174号公報(第2〜3頁、第1図、第2図、第3図、第4図)
【特許文献2】
特開平9−169944号公報(第2〜6頁)
【特許文献3】
特開平8−269366号公報(第2〜4頁)
【特許文献4】
特開平5−263015号公報(第2〜3頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特に交通量の激しい路面においては、自動車等のタイヤ等による摩耗によって、路面標示用塗料の表面に散布された再帰反射材が保持されずに脱落してしまうことがあった。
【0005】
この発明は前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、表面に散布された再帰反射材の保持力に優れた路面標示用塗料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、路面に塗布され、乾燥する前にその表面に再帰反射材が散布された後、乾燥することによって路面上に塗膜が形成される路面標示用塗料であって、合成樹脂の溶液又は分散液と、充填材とを含有し、塗膜の鉛筆硬度が4B〜4Hであることを要旨とした。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記合成樹脂の分散液がアクリル樹脂エマルジョンであることを要旨とした。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記充填材のモース硬度が5〜10であることを要旨とした。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記充填材が磁器粉砕物であることを要旨とした。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。なお、本発明において塗膜とは、路面標示用塗料が乾燥又は固化して流動性を失った状態をいう。
【0010】
図1に示すように、塗装断面1は、コンクリート製の路面2に路面標示用塗料が塗布され、該路面標示用塗料の乾燥前に再帰反射材としてのガラスビーズ4が散布され、路面標示用塗料が乾燥して塗膜3が形成されて構成されている。路面標示用塗料の塗膜3の表面にはガラスビーズ4が保持されている。該ガラスビーズ4は球状にあって、路面との垂直方向円形断面の直径の6/10が路面標示用塗料中に埋め込まれ、残りの4/10が外部に露出している。実際には多数のガラスビーズ4が保持されているが、説明を容易にするために、1つのガラスビーズ4についてだけを図示した。
【0011】
前記路面2はコンクリート製に限らず、一般の路面に用いられるものを使用することができる。例えば、アスファルト、石畳、レンガ等でも良い。
前記路面標示用塗料の塗布方法は特に限定されず、ローラー、ハケ、スプレー等、一般に使用するものを用いても良い。また、その塗布量は特に限定されず、任意の塗布量で良い。前記ガラスビーズの散布方法は特に限定されず、手動でも自動でも良い。また、その散布量は特に限定されず、任意の散布量で良い。
【0012】
前記ガラスビーズ4の周縁部においては、路面標示用塗料の塗膜3がガラスビーズ4の表面に沿って上方に盛り上がってガラスビーズ4の保持部3aを形成している。路面標示用塗料の塗膜3がガラスビーズ4の保持部3aを有していることにより、ガラスビーズ4と塗膜3との接触面積が大きくなり、ガラスビーズ4の保持力に優れる。
【0013】
路面標示用塗料の塗膜3の表面からガラスビーズ4を同じ面積だけ露出させようとする場合を考える。ガラスビーズ4の周縁部において、図4(a)に示すように、路面標示用塗料の塗膜3が前記保持部3aを有している場合には、ガラスビーズ4の保持力を得るために必要な路面標示用塗料の塗膜3の膜厚が薄くてすみ、路面標示用塗料の使用量が少なく経済的である。図4(b)に示す路面標示用塗料の塗膜3が盛り上がっていない場合や、図4(c)に示す路面標示用塗料の塗膜3が窪んでいる場合には、路面標示用塗料の塗膜3の膜厚を厚くする必要がある。
【0014】
次に、路面標示用塗料の塗膜3が同じ膜厚である場合を考えると、ガラスビーズ4の周縁部において、図5(a)に示すように、路面標示用塗料の塗膜3が前記保持部3aを有している場合には、ガラスビーズ4と塗膜3との接触面積が大きいため、ガラスビーズ4の保持力に優れる。図5(b)に示す路面標示用塗料の塗膜3が盛り上がっていない場合や、図5(c)に示す路面標示用塗料の塗膜3が窪んでいる場合には、ガラスビーズ4と塗膜3との接触面積が小さいため、ガラスビーズ4の保持力が十分でない。
【0015】
再帰反射材とは反射光が入射光と同じ方向に反射する性質を持った素材のことで、路面2に路面標示用塗料が塗布され乾燥するまでの間に路面標示用塗料の表面に散布され、路面標示用塗料の乾燥後はその塗膜3に保持される。
【0016】
前記ガラスビーズ4の粒径は106〜850μmである。特にこの粒径に限定されず、あらゆる粒径のものを使用できる。散布性及び路面標示用塗料の表面の充填性から、100〜1700μmの範囲のものが好ましい。
【0017】
ガラスビーズ4の埋め込み深さ、即ち球状のガラスビーズ4が路面標示用塗料の塗膜3の表面から、塗膜3に被覆されている状態部分の大きさは、路面2との垂直方向円形断面の直径を10/10として、好ましくは4/10〜7/10、より好ましくは5/10〜6/10である。この範囲にあるとき、ガラスビーズ4の保持力に優れ、かつ、露出部分では外部からの光の反射効率に優れている。図4において(a)、(b)、(c)では、埋め込み深さは同一にして、塗膜3に被覆される部分の形状が異なるものの例を示している。
【0018】
前記路面標示用塗料は合成樹脂の溶液又は分散液あるいは合成樹脂そのものと充填材とを含有しており、その組成は例えば以下のようなものである。
路面標示用塗料の組成: 合成樹脂の分散液としてのアクリル樹脂エマルジョン200質量部、充填材としての炭酸カルシウム150質量部、充填材としての磁器粉砕物100質量部、着色顔料としての二酸化チタン50質量部、界面活性剤20質量部、増粘剤1質量部、増膜助剤としての2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート10質量部、希釈剤としての水250質量部、希釈剤としてのメタノール20質量部。
【0019】
路面標示用塗料の組成中、合成樹脂は、路面2と、ガラスビーズ4と、充填材とを結合させるための結合材としての役割を持つ。合成樹脂の溶液とは、希釈剤としての有機溶媒に合成樹脂を溶解させたものをいう。有機溶媒には例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸ブチル等の一般の塗料に使用されるものが挙げられる。合成樹脂の分散液とは、合成樹脂をエマルジョン又はサスペンションの形態にしたものをいう。
【0020】
本実施形態においては合成樹脂としてアクリル樹脂を使用したが、特にこれに限定されず、酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、プロピオン酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、塩化ビニル樹脂、臭化ビニル樹脂、石油樹脂、生ロジン、マレイン化ロジン、マレイン化ロジンエステル、ポリアミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、キシレン樹脂等を使用することもできる。これらは単独で用いても良いし、これらの樹脂を形成する単量体の2以上を共重合させて用いても良い。これらの合成樹脂のうち、(メタ)アクリル酸メチル樹脂、(メタ)アクリル酸エチル樹脂、(メタ)アクリル酸ブチル樹脂、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル樹脂、アクリロニトリル樹脂、メタクリロニトリル樹脂等の(メタ)アクリル樹脂を使用することが好ましい。この(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル単量体を主成分とし、その他の単量体を共重合させて得られる(メタ)アクリル系樹脂を含む概念である。合成樹脂として(メタ)アクリル樹脂を使用することで路面標示用塗料の塗膜3が適度の柔軟性及び密着性を示し、かつ塗布作業性に優れる。
【0021】
前記合成樹脂の固形分の含有量は、路面標示用塗料の固形分100質量部に対して、好ましくは10〜50質量部であり、より好ましくは15〜30質量部である。合成樹脂の固形分の含有量が10質量部未満の場合には、塗膜3が十分に形成されず、塗膜3の鉛筆硬度が十分でない。逆に50質量部を超える場合には、路面標示用塗料の耐摩耗性が十分でない。
【0022】
再帰反射材としてガラスビーズ4を使用する場合には、前記合成樹脂はエマルジョンの形態で使用することが好ましい。エマルジョンの形態で使用することにより、ガラス表面に対する密着性が向上し、ガラスビーズ4の保持力に優れる。合成樹脂をエマルジョンの形態で使用しない場合には、図5(c)に示すように、ガラスビーズ4の周縁部で路面標示用塗料が窪んでしまうため、ガラスビーズ4との接触面積が小さくなり、保持力が不足する。
【0023】
前記ガラスビーズ4の大きさは特に限定されないが、塗膜3の厚みに対するガラスビーズ4の直径の比は1/4〜2/1であることが好ましい。この範囲にあるとき、塗膜3はガラスビーズ4の保持力に優れる。また、ガラスビーズ4の散布量は、特に限定されず、任意の散布量に設定することができるが、塗布した路面標示用塗料の表面全体に散布することが好ましい。表面全体に散布することにより、塗装断面1は再起反射性に優れる。
【0024】
充填材は路面標示用塗料の塗膜3の耐摩耗性を向上させるために塗膜3に混入させて使用される。充填材としては炭酸カルシウムや磁器粉砕物に限らず、種々のものを使用できる。例えば、珪砂、寒水砂、タルク、カスミ石、石英粉(フリント)、ガラス等が挙げられる。
【0025】
これらの充填材うち、モース硬度が5〜10のものを使用することが好ましく、7〜10のものを使用することがより好ましい。モース硬度とは鉱物の硬さを測定する基準で、タルクを1とし、ダイヤモンドを10とした標準物質に対して、該当する物の硬さがどの鉱物の硬さに該当するかという指標である。充填材のモース硬度が5〜10であることにより、路面標示用塗料の塗膜3が削れにくくなるため、塗膜3の耐摩耗性に優れる。
【0026】
モース硬度が5〜10のものとしては、例えば、磁器粉砕物(モース硬度約7)、ガラス(モース硬度約5)、カスミ石(モース硬度5.5〜6)、石英粉(モース硬度7)等が挙げられる。これらのうち、入手が容易で、モース硬度が約7と高く、吸水性がないことから、磁器粉砕物を使用することが好ましい。磁器粉砕物を使用することにより、吸収された水が気温の変化によって膨張収縮することによる風化が生じないため、塗膜の耐久性に優れる。
【0027】
前記磁器粉砕物の粒径は好ましくは0.10〜1.00mm、より好ましくは0.30〜0.15mmである。磁器粉砕物の粒径が0.10mm未満の場合、粉砕工程の工程数及び粉砕に要するエネルギーが増大する。逆に1.00mmを超えると路面標示用塗料の塗膜3の平滑性が低下する。
【0028】
前記充填材の含有量は、合成樹脂の固形分100質量部に対して、好ましくは120〜480質量部であり、より好ましくは200〜300質量部である。充填材の含有量が120質量部未満の場合には、塗膜3の耐摩耗性が十分でない。逆に480重量部を超える場合には、充填材の周囲を取り囲む合成樹脂が少ないため、充填材を塗膜3中に規制する結合力が十分でなく、塗膜3の鉛筆硬度が十分でない。
【0029】
合成樹脂の種類を適切に選択し、かつ、合成樹脂の固形分の含有量が路面標示用塗料の固形分100質量部に対して、10〜50質量部であり、充填材の含有量が合成樹脂の固形分100質量部に対して、120〜480質量部であるとき、塗膜3の鉛筆硬度を4B〜4Hに調整できる。
【0030】
前記磁器粉砕物の充填材に占める割合は、好ましくは10〜70質量%であり、より好ましくは20〜50質量%である。磁器粉砕物の充填材に占める割合が10質量%未満の場合には、塗膜3の耐摩耗性が十分ではなく、逆に70質量%を超える場合には、磁器粉砕物はダイラタント性を持つため、路面標示用塗料の流動性が低下し、塗布することが困難になる。
【0031】
着色顔料は路面標示用塗料を着色するために使用される。着色顔料としては二酸化チタンに限らず、亜鉛華、リトポン等の白色顔料、黄鉛、チタニウムイエロー等の黄色顔料等、一般の塗料に用いられるものを使用することができる。界面活性剤、増粘剤、増膜助剤等の添加剤は一般の塗料に用いられるものを使用することができる。添加剤としてはこの他に、防腐剤、消泡剤等が挙げられる。
【0032】
前記希釈剤は、路面標示用塗料の塗布作業性を向上させるために使用される。前記組成例においては、希釈剤として水及びメタノールを使用したが、特に限定されるものではない。合成樹脂の形態により種々のものを用いることができる。希釈剤としては、水、アルコール等の無機溶剤、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸ブチル等の有機溶剤が挙げられる。
【0033】
再帰反射材としてガラスビーズ4が使用される場合には、前記希釈剤は、水酸基を有するものを用いるのが好ましい。水酸基を有する希釈剤を使用することで、ガラスビーズ4表面の水酸基と希釈剤の水酸基とが水素結合により結合する。しかも、希釈剤は路面標示用塗料中に均一に混合されているため、ガラスビーズ4と路面標示用塗料との間に表面張力が働く。その結果、図1に示すように、前記ガラスビーズ4の周縁部において、路面標示用塗料がガラスビーズ4の表面に沿って上方に盛り上がって保持部3aが形成され、ガラスビーズ4と路面標示用塗料との接触面積が大きくなる。この形状は希釈剤が揮発して塗膜3が形成された後も維持される。ガラスビーズ4と路面標示用塗料の塗膜3との接触面積が大きいことにより、ガラスビーズ4の保持力に優れる。希釈剤が水酸基を有しない場合には、ガラスビーズ4の周縁部における路面標示用塗料の状態は、図5(b)に示す平坦状、又は図5(c)に示す窪んだ状態となり、ガラスビーズ4の保持力が不足する。
【0034】
水酸基を有する希釈剤の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール、2−メトキシエタノール等のアルコールエーテル等が挙げられ、これらに類似する希釈剤として水が挙げられる。これらのうち、水とアルコールとを併用することが好ましく、水と炭素数1〜3の一価アルコールとを併用することがより好ましい。水とアルコールとを併用することにより、ガラスビーズ4と路面標示用塗料の塗膜3との接触面積が最適になると同時に路面標示用塗料の乾燥性に優れる。
【0035】
希釈剤として水とアルコールとを併用する場合には、水100質量部に対するアルコールの配合量は好ましくは2〜20質量部、より好ましくは3〜10質量部、最も好ましくは5〜8質量部である。この範囲で配合することにより、ガラスビーズ4と路面標示用塗料の塗膜3との接触面積が最適になると同時に路面標示用塗料の乾燥性により優れる。
【0036】
路面標示用塗料100質量部に対する水酸基を有する希釈剤の配合量は好ましくは15〜100質量部、より好ましくは20〜80質量部、最も好ましくは25〜70質量部である。
【0037】
再帰反射材がガラスビーズ4である場合、ガラスビーズ4に対する路面標示用塗料の接触角は15〜90°であることが好ましい。この範囲にあるとき、ガラスビーズ4の周縁部に保持部3aが形成され、路面標示用塗料とガラスビーズ4の接触面積が大きくなるため、ガラスビーズ4の保持力に優れる。
【0038】
ここで接触角とは、図3に示すように、水平に置いたガラス板5の表面に路面標示用塗料の液滴6を付着させたとき、断面が円弧状の液滴6の端部における接線7とガラス板5の表面5aとがなす液滴6側の角度αをいう。接触角が15°未満のときは、ガラスビーズ4表面の大部分を路面標示用塗料が覆ってしまうため、再帰反射性が低下する。逆に接触角が90°を超えるときには、図5(b)又は(c)に示すように、路面標示用塗料とガラスビーズ4の接触面積が小さいため、ガラスビーズ4の保持力が十分ではない。
【0039】
ガラスに対する路面標示用塗料の接触角は、路面標示用塗料としての合成樹脂エマルジョン中の合成樹脂、希釈剤、界面活性剤の種類及び配合量を適切に選択することにより、上記範囲に調整することができる。
【0040】
このように構成された塗装断面1において、図2に示すように、自動車等のタイヤ等によって矢印の方向に応力が加わると、ガラスビーズ4は塗膜3を変形させる。路面標示用塗料の塗膜3は粘弾性を有するため、応力が解除されると、徐々に図1に示すような元の形状に戻る。
【0041】
粘弾性とは力が加わると徐々に変形し、力が解除されると徐々に元の形に戻る性質をいい、貯蔵弾性率、損失弾性率、tanδの数値で表わされる。路面標示用塗料の塗膜3に正弦的に変化する応力を与えると、歪は同じ周波数で位相がδだけ遅れた正弦波形となる。貯蔵弾性率、損失弾性率、tanδは次式によって計算される。
【0042】
貯蔵弾性率=|σ/ε|cosδ
損失弾性率=|σ/ε|sinδ
tanδ=損失弾性率/貯蔵弾性率
ここで、σは応力(周波数)、εは歪、δは位相差を表わす。貯蔵弾性率は1周期あたりに貯蔵され完全に回復されるエネルギーを、損失弾性率は1周期あたり熱として失われるエネルギーを表わす。
【0043】
路面標示用塗料の塗膜3の25℃、1Hzにおける損失弾性率/貯蔵弾性率の比(tanδ)は好ましくは0.30以下、より好ましくは0.15以下である。この範囲にあるとき、ガラスビーズ4の保持力が最も優れる。tanδが0.30を超えるときには、塗膜に応力が加わったときに熱として失われるエネルギーが大きすぎるため、塗膜が変形したまま元に戻らず、ガラスビーズ4の保持力が低下する。
【0044】
路面標示用塗料の塗膜3の損失弾性率/貯蔵弾性率の比(tanδ)は、路面標示用塗料の組成中、合成樹脂、充填材、その他造膜助剤の種類及び配合量を適切に選択することにより、上記範囲に調整することができる。
【0045】
前記造膜助剤は、路面標示用塗料の組成中の合成樹脂を軟化させるために用いられる。造膜助剤を使用することで、低温時でも塗膜3を形成させることができるとともに、塗膜3の硬度を調整することができる。造膜助剤には例えば、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、ブタノール、オクタノール、ジメチロールプロパン、フタル酸ジ−n−ブチル、N−メチルピロリドン、リン酸トリフェニル、ジオクチルフタレート等の有機溶剤が挙げられる。
【0046】
路面標示用塗料の塗膜3の硬度は、鉛筆硬度で4B〜4Hであることが必要であり、B〜3Hであることがより好ましい。この範囲にあるとき、再帰反射材としてのガラスビーズ4の保持力に優れる。鉛筆硬度とは、JIS K 5600―1999に規定する鉛筆引っかき値を指し、塗膜3の表面を6Bから9Hの種々の硬さの鉛筆で引っかくことにより、塗膜の表面にわずかに食い込むような傷ができたときの鉛筆の硬度(6B〜9H)をいう。このときの鉛筆と路面標示用塗料の塗膜3との接触角は約45°である。
【0047】
鉛筆硬度が4B未満である場合には、路面標示用塗料の塗膜3が柔らかすぎて耐洗浄性に劣り、また、埃が付着する。逆に鉛筆硬度が4Hを超える場合には路面標示用塗料の塗膜3が硬すぎて、ガラスビーズ4の保持力が不足する。これは、図6に示すように、自動車等のタイヤ等によってガラスビーズ4に矢印の方向に応力が加わったとき、路面標示用塗料の塗膜3が硬すぎて応力を吸収し変形することができず、ガラスビーズ4が脱落してしまうためである。
【0048】
さて、塗装断面1を形成するためには、以上のように構成された路面標示用塗料をコンクリート製の路面2にスプレー等によって塗布し、乾燥する前にその表面にガラスビーズ4を散布する。その後、希釈剤としての水及びメタノールが揮発することによって路面標示用塗料は乾燥し、路面2上に塗膜3が形成され、塗装断面1が形成される。この塗装断面1は、図1に示すように、ガラスビーズ4の周縁部において保持部3aを有している。
【0049】
図2に示すように、塗装断面1に自動車等のタイヤ等によってガラスビーズ4に矢印の方向に応力が加わると、塗膜3は変形する。すなわち、塗膜3は柔軟性を有していることから、応力が加えられた側の保持部3aが小さくなる一方、応力が加えられた側と反対側の保持部3aが盛り上がって高くなり、ガラスビーズ4が塗膜3から抜け出すのを規制する。しかも、塗膜3を構成するアクリル樹脂は接着性に優れていることから、塗膜3の表面とガラスビーズ4の裏面との間の界面における結合力が高く維持される。その後、応力が解除されると、ガラスビーズ4は塗膜3に対して徐々に図1に示すような元の形状に戻って、ガラスビーズ4は塗膜3に強固に保持される。
【0050】
本実施形態は以下に示す効果を発揮することができる。
・本実施形態の路面標示用塗料は合成樹脂の溶液又は分散液と、充填材とを含有し、前記路面標示用塗料の塗膜3の鉛筆硬度が4B〜4Hである。この範囲にあるとき、塗膜3はガラスビーズ4に応力が加わった場合に、応力を吸収し変形することができる。従って、再帰反射材としてのガラスビーズ4の保持力に優れている。
【0051】
・前記合成樹脂の分散液がアクリル樹脂エマルジョンであることにより、塗膜3が適度の柔軟性を示し、塗布性に優れ、ガラス表面に対する密着性が向上し、ガラスビーズ4の保持力を向上させることができる。
【0052】
・前記充填材のモース硬度が5〜10であることにより、塗膜3が削れにくくなるため、塗膜3の耐摩耗性に優れている。
・前記充填材が磁器粉砕物であることにより、吸収された水が気温の変化によって膨張収縮することによる風化が生じないため、塗膜3の耐久性に優れている。
【0053】
・ガラスビーズ4の周縁部に保持部3aが形成されることにより、ガラスビーズ4と塗膜3との接触面積が大きくなり、ガラスビーズ4の保持力に優れている。
【0054】
・再帰反射材としてガラスビーズ4を使用する場合において、路面標示用塗料のガラスビーズ4に対する接触角が15〜90°であることにより、ガラスビーズ4の周縁部に保持部3aが形成され、路面標示用塗料とガラスビーズ4の接触面積が大きくなるため、ガラスビーズ4の保持力に優れている。
【0055】
・希釈剤として水とアルコール類とを併用する場合には、水100質量部に対してアルコール類を2〜20質量部の割合で配合することにより、ガラスビーズ4と路面標示用塗料の塗膜3との接触面積が最適であると同時に路面標示用塗料の乾燥性に優れている。
【0056】
【実施例】
以下、前記実施形態を具体化した実施例及び比較例について説明する。
なお、再帰反射材の保持力試験は以下のように行った。
【0057】
再帰反射材の保持力試験の試験体は、アスファルトの路面に、幅20cm、長さ5mの範囲に路面標示用塗料を400μmの厚みで塗布し、該路面標示用塗料の表面全体に直径106〜850μmの再帰反射材であるガラスビーズを散布した後、24時間乾燥させて試験に供した。
【0058】
再帰反射材の保持力試験は、乗用車(トヨタ自動車(株)製、ハイエースワゴン、車両質量2520kg)にて、上記のように作成した試験体の上を100回往復し、再帰反射材の保持状態を目視により観測することによって行った。
【0059】
また、塗膜3の耐摩耗性については、JIS K 5665−2002に規定する耐摩耗性試験に従って実施した。
(実施例1)
実施例1の路面標示用塗料の組成は、合成樹脂の分散液としてのメタクリル系樹脂エマルジョン(メタクリル酸メチル・スチレン共重合樹脂、固形分50%)200質量部、充填材としての炭酸カルシウム100質量部、充填材としての磁器粉砕物150質量部、着色顔料としての二酸化チタン50質量部、界面活性剤としてのポリカルボン酸アンモニウム塩20質量部、増粘剤1質量部、増膜助剤10質量部、希釈材としての水250質量部、希釈材としてのメタノール20質量部を混合したものである。
【0060】
このようにして得られた路面標示用塗料をスプレーにて路面2に塗布し、乾燥する前にその表面にガラスビーズ4を散布した後、路面標示用塗料を乾燥させて塗装断面1を得た。前記路面標示用塗料の塗膜3は、ガラスビーズ4の周縁部において保持部3aを有していた。路面標示用塗料の塗膜3の鉛筆硬度は2Hであり、ガラスビーズ4に対する接触角は46°であった。
【0061】
試験の結果、ガラスビーズ4は90%が保持されており、塗膜3の摩耗減量は52mgであった。
(実施例2)
実施例2の路面標示用塗料の組成は、合成樹脂の分散液としてのメタクリル系樹脂エマルジョン(メタクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合樹脂、固形分50%)200質量部、充填材としての炭酸カルシウム50質量部、充填材としての石英粉250質量部、着色顔料としての二酸化チタン50質量部、界面活性剤としてのポリカルボン酸アンモニウム塩20質量部、増粘剤1質量部、増膜助剤10質量部、希釈材としての水250質量部、希釈材としてのエタノール50質量部を混合したものである。
【0062】
このようにして得られた路面標示用塗料をスプレーにて路面2に塗布し、乾燥する前にその表面にガラスビーズ4を散布した後、路面標示用塗料を乾燥させて塗装断面1を得た。前記路面標示用塗料の塗膜3は、ガラスビーズ4の周縁部において保持部3aを有していた。路面標示用塗料の塗膜3の鉛筆硬度は4Hであり、ガラスビーズ4に対する接触角は18°であった。
【0063】
試験の結果、ガラスビーズ4は90%が保持されており、塗膜3の摩耗減量は48mgであった。
(実施例3)
実施例3の路面標示用塗料の組成は、合成樹脂の分散液としてのアクリル系樹脂エマルジョン(アクリル酸ブチル・スチレン共重合樹脂、固形分50%)200質量部、充填材としての磁器粉砕物250質量部、着色顔料としての二酸化チタン50質量部、界面活性剤としてのポリカルボン酸ナトリウム塩20質量部、増粘剤1質量部、増膜助剤10質量部、希釈材としての水250質量部、希釈材としてのメタノール5質量部を混合したものである。
【0064】
このようにして得られた路面標示用塗料をスプレーにて路面2に塗布し、乾燥する前にその表面にガラスビーズ4を散布した後、路面標示用塗料を乾燥させて塗装断面1を得た。前記路面標示用塗料の塗膜3は、ガラスビーズ4の周縁部において保持部3aを有していた。路面標示用塗料の塗膜3の鉛筆硬度はHBであり、ガラスビーズ4に対する接触角は74°であった。
【0065】
試験の結果、ガラスビーズ4は90%が保持されており、塗膜3の摩耗減量は51mgであった。
(実施例4)
実施例4の路面標示用塗料の組成は、合成樹脂の溶液としてのポリ酢酸ビニル樹脂(固形分30%)300質量部、充填材としての炭酸カルシウム250質量部、着色顔料としての二酸化チタン50質量部、増粘剤1質量部、増膜助剤20質量部、希釈材としてのキシレン300質量部を混合したものである。
【0066】
このようにして得られた路面標示用塗料をスプレーにて路面2に塗布し、乾燥する前にその表面に再帰反射材としてのポリメタクリル酸メチル樹脂ビーズを散布した後、路面標示用塗料を乾燥させて塗装断面1を得た。前記路面標示用塗料の塗膜3は、ガラスビーズ4の周縁部において保持部3aを有していた。路面標示用塗料の塗膜3の鉛筆硬度は4Bであった。
【0067】
試験の結果、ポリメタクリル酸メチル樹脂ビーズは70%が保持されており、塗膜3の摩耗減量は121mgであった。
(比較例1)
比較例1の路面標示用塗料の組成は、合成樹脂の分散液としてのメタクリル系樹脂エマルジョン(メタクリル酸メチル・スチレン共重合樹脂、固形分50%)200質量部、充填材としての炭酸カルシウム500質量部、着色顔料としての二酸化チタン50質量部、界面活性剤としてのポリカルボン酸アンモニウム塩20質量部、増粘剤1質量部、増膜助剤60質量部、希釈材としての水250質量部、希釈材としてのメタノール20質量部を混合したものである。
【0068】
このようにして得られた路面標示用塗料をスプレーにて路面2に塗布し、乾燥する前にその表面にガラスビーズ4を散布した後、路面標示用塗料を乾燥させて塗装断面1を得た。前記路面標示用塗料の塗膜3は、ガラスビーズ4の周縁部において保持部3aを有していた。路面標示用塗料の塗膜3の鉛筆硬度は5Bであり、ガラスビーズ4に対する接触角は35°であった。
【0069】
試験の結果、ガラスビーズ4は90%が保持されており、塗膜3の摩耗減量は210mgであった。
(比較例2)
合成樹脂としてのアルキド樹脂エマルジョン(固形分50%)200質量部、充填材としての炭酸カルシウム500質量部、着色顔料としての二酸化チタン50質量部、増膜剤1質量部、安定剤1質量部、希釈剤としてのトルエン150質量部、希釈剤としてのキシレン20質量部、希釈剤としての酢酸エチル20質量部を混合したものである。
【0070】
このようにして得られた路面標示用塗料をスプレーにて路面2に塗布し、乾燥する前にその表面にガラスビーズ4を散布した後、路面標示用塗料を乾燥させて塗装断面1を得た。前記路面標示用塗料の塗膜3は、ガラスビーズ4の周縁部において保持部3aを有していた。路面標示用塗料の塗膜3の鉛筆硬度は5Bであり、ガラスビーズ4に対する接触角は73°であった。
【0071】
試験の結果、ガラスビーズ4は90%が保持されており、塗膜3の摩耗減量は267mgであった。
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
【0072】
・前記実施形態においては、再帰反射材としてガラスビーズ4を使用したが、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂等の透明樹脂ビーズ、セラミック粉、石英、ダイヤモンド等の再帰反射性を有する素材であれば特に限定されず、任意のものを使用しても良い。
【0073】
・再帰反射材の形状は特に限定されず、球や多面体でも良い。
・再帰反射材としてガラスビーズ4を使用する場合において、ガラスビーズ4の表面にシランカップリング剤を塗布してから散布しても良い。
【0074】
このように構成した場合、シランカップリング剤の親水基がガラスビーズ4と結合するとともに、疎水基が塗膜3の合成樹脂とも結合して接着剤の役割を果たすため、ガラスビーズ4の保持力をより高めることができる。
【0075】
・再帰反射材としてガラスビーズ4を使用する場合において、ガラスビーズ4の表面に、酸化スズや酸化タリウムなどの膜を被覆しても良い。
このように構成した場合、ガラスビーズ4表面が固くなり、傷の発生による乱反射が抑制されるため、再帰反射性の持続力が向上する。
【0076】
次に、前記実施形態から把握できる請求項に記載した発明以外の技術的思想について、それらの効果と共に記載する。
(1)前記再帰反射材がガラスビーズであり、該ガラスビーズに対する接触角が15〜90°であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の路面標示用塗料。
【0077】
このように構成した場合、ガラスビーズの周縁部に塗膜の保持部が形成され、路面標示用塗料とガラスビーズの接触面積が大きくなるため、ガラスビーズの保持力を向上させることができる。
【0078】
(2)請求項1から請求項4及び上記(1)のいずれか一項に記載の路面標示用塗料が塗布され、塗膜が形成されている塗装断面において、前記再帰反射材の周縁部に塗膜の保持部が形成されていることを特徴とする塗装断面。
【0079】
このように構成した場合、再帰反射材と塗膜との接触面積が大きいため、再帰反射材の保持力に優れる。また、再帰反射材の十分な保持力を得るために必要な路面標示用塗料の膜厚が少なくてすみ、路面標示用塗料の使用量が少なく経済的である。
【0080】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明の路面標示用塗料によれば、再帰反射材の保持力に優れている。
【0081】
請求項2に記載の発明の路面標示用塗料によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、再帰反射材の保持力を向上させることができる。
請求項3に記載の発明の路面標示用塗料によれば、請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の発明の効果に加え、塗膜の耐摩耗性に優れている。
【0082】
請求項4に記載の発明の路面標示用塗料によれば、請求項3に記載の発明の効果に加え、塗膜の耐久性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である、路面に対して路面標示用塗料が塗布され、その表面に再帰反射材としてのガラスビーズが散布された塗装断面を示す図。
【図2】図1の状態から水平方向に応力が加わった状態を示す断面図。
【図3】ガラス板表面に滴下した路面標示用塗料の液滴を示す断面図。
【図4】(a)〜(c)はそれぞれ再帰反射材の露出面積を一定にした場合の塗装断面を示す断面図。
【図5】(a)〜(c)はそれぞれ路面標示用塗料の膜厚を一定にした場合の塗装断面を示す断面図。
【図6】従来例の塗装断面に水平方向に応力が加わった状態を示す断面図。
【符号の説明】
2…路面、3…路面標示用塗料の塗膜、4…再帰反射材としてのガラスビーズ。
【発明の属する技術分野】
この発明は、コンクリートやアスファルト等の路面に種々の道路標示をするために使用される路面標示用塗料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の路面標示用塗料としては、ホットメルト塗料(例えば、特許文献1参照。)、溶剤塗料、水性塗料(例えば、特許文献2参照。)等が挙げられる。また、塗料以外で路面に標示をする方法としては、シートの貼着(例えば、特許文献3参照。)等が挙げられる。これら路面標示用塗料の表面には、特に夜間における歩行者や車両運転者に注意を喚起するため、再帰反射材が散布される(例えば、特許文献4参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−57174号公報(第2〜3頁、第1図、第2図、第3図、第4図)
【特許文献2】
特開平9−169944号公報(第2〜6頁)
【特許文献3】
特開平8−269366号公報(第2〜4頁)
【特許文献4】
特開平5−263015号公報(第2〜3頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特に交通量の激しい路面においては、自動車等のタイヤ等による摩耗によって、路面標示用塗料の表面に散布された再帰反射材が保持されずに脱落してしまうことがあった。
【0005】
この発明は前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、表面に散布された再帰反射材の保持力に優れた路面標示用塗料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、路面に塗布され、乾燥する前にその表面に再帰反射材が散布された後、乾燥することによって路面上に塗膜が形成される路面標示用塗料であって、合成樹脂の溶液又は分散液と、充填材とを含有し、塗膜の鉛筆硬度が4B〜4Hであることを要旨とした。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記合成樹脂の分散液がアクリル樹脂エマルジョンであることを要旨とした。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記充填材のモース硬度が5〜10であることを要旨とした。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記充填材が磁器粉砕物であることを要旨とした。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。なお、本発明において塗膜とは、路面標示用塗料が乾燥又は固化して流動性を失った状態をいう。
【0010】
図1に示すように、塗装断面1は、コンクリート製の路面2に路面標示用塗料が塗布され、該路面標示用塗料の乾燥前に再帰反射材としてのガラスビーズ4が散布され、路面標示用塗料が乾燥して塗膜3が形成されて構成されている。路面標示用塗料の塗膜3の表面にはガラスビーズ4が保持されている。該ガラスビーズ4は球状にあって、路面との垂直方向円形断面の直径の6/10が路面標示用塗料中に埋め込まれ、残りの4/10が外部に露出している。実際には多数のガラスビーズ4が保持されているが、説明を容易にするために、1つのガラスビーズ4についてだけを図示した。
【0011】
前記路面2はコンクリート製に限らず、一般の路面に用いられるものを使用することができる。例えば、アスファルト、石畳、レンガ等でも良い。
前記路面標示用塗料の塗布方法は特に限定されず、ローラー、ハケ、スプレー等、一般に使用するものを用いても良い。また、その塗布量は特に限定されず、任意の塗布量で良い。前記ガラスビーズの散布方法は特に限定されず、手動でも自動でも良い。また、その散布量は特に限定されず、任意の散布量で良い。
【0012】
前記ガラスビーズ4の周縁部においては、路面標示用塗料の塗膜3がガラスビーズ4の表面に沿って上方に盛り上がってガラスビーズ4の保持部3aを形成している。路面標示用塗料の塗膜3がガラスビーズ4の保持部3aを有していることにより、ガラスビーズ4と塗膜3との接触面積が大きくなり、ガラスビーズ4の保持力に優れる。
【0013】
路面標示用塗料の塗膜3の表面からガラスビーズ4を同じ面積だけ露出させようとする場合を考える。ガラスビーズ4の周縁部において、図4(a)に示すように、路面標示用塗料の塗膜3が前記保持部3aを有している場合には、ガラスビーズ4の保持力を得るために必要な路面標示用塗料の塗膜3の膜厚が薄くてすみ、路面標示用塗料の使用量が少なく経済的である。図4(b)に示す路面標示用塗料の塗膜3が盛り上がっていない場合や、図4(c)に示す路面標示用塗料の塗膜3が窪んでいる場合には、路面標示用塗料の塗膜3の膜厚を厚くする必要がある。
【0014】
次に、路面標示用塗料の塗膜3が同じ膜厚である場合を考えると、ガラスビーズ4の周縁部において、図5(a)に示すように、路面標示用塗料の塗膜3が前記保持部3aを有している場合には、ガラスビーズ4と塗膜3との接触面積が大きいため、ガラスビーズ4の保持力に優れる。図5(b)に示す路面標示用塗料の塗膜3が盛り上がっていない場合や、図5(c)に示す路面標示用塗料の塗膜3が窪んでいる場合には、ガラスビーズ4と塗膜3との接触面積が小さいため、ガラスビーズ4の保持力が十分でない。
【0015】
再帰反射材とは反射光が入射光と同じ方向に反射する性質を持った素材のことで、路面2に路面標示用塗料が塗布され乾燥するまでの間に路面標示用塗料の表面に散布され、路面標示用塗料の乾燥後はその塗膜3に保持される。
【0016】
前記ガラスビーズ4の粒径は106〜850μmである。特にこの粒径に限定されず、あらゆる粒径のものを使用できる。散布性及び路面標示用塗料の表面の充填性から、100〜1700μmの範囲のものが好ましい。
【0017】
ガラスビーズ4の埋め込み深さ、即ち球状のガラスビーズ4が路面標示用塗料の塗膜3の表面から、塗膜3に被覆されている状態部分の大きさは、路面2との垂直方向円形断面の直径を10/10として、好ましくは4/10〜7/10、より好ましくは5/10〜6/10である。この範囲にあるとき、ガラスビーズ4の保持力に優れ、かつ、露出部分では外部からの光の反射効率に優れている。図4において(a)、(b)、(c)では、埋め込み深さは同一にして、塗膜3に被覆される部分の形状が異なるものの例を示している。
【0018】
前記路面標示用塗料は合成樹脂の溶液又は分散液あるいは合成樹脂そのものと充填材とを含有しており、その組成は例えば以下のようなものである。
路面標示用塗料の組成: 合成樹脂の分散液としてのアクリル樹脂エマルジョン200質量部、充填材としての炭酸カルシウム150質量部、充填材としての磁器粉砕物100質量部、着色顔料としての二酸化チタン50質量部、界面活性剤20質量部、増粘剤1質量部、増膜助剤としての2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート10質量部、希釈剤としての水250質量部、希釈剤としてのメタノール20質量部。
【0019】
路面標示用塗料の組成中、合成樹脂は、路面2と、ガラスビーズ4と、充填材とを結合させるための結合材としての役割を持つ。合成樹脂の溶液とは、希釈剤としての有機溶媒に合成樹脂を溶解させたものをいう。有機溶媒には例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸ブチル等の一般の塗料に使用されるものが挙げられる。合成樹脂の分散液とは、合成樹脂をエマルジョン又はサスペンションの形態にしたものをいう。
【0020】
本実施形態においては合成樹脂としてアクリル樹脂を使用したが、特にこれに限定されず、酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、プロピオン酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、塩化ビニル樹脂、臭化ビニル樹脂、石油樹脂、生ロジン、マレイン化ロジン、マレイン化ロジンエステル、ポリアミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、キシレン樹脂等を使用することもできる。これらは単独で用いても良いし、これらの樹脂を形成する単量体の2以上を共重合させて用いても良い。これらの合成樹脂のうち、(メタ)アクリル酸メチル樹脂、(メタ)アクリル酸エチル樹脂、(メタ)アクリル酸ブチル樹脂、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル樹脂、アクリロニトリル樹脂、メタクリロニトリル樹脂等の(メタ)アクリル樹脂を使用することが好ましい。この(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル単量体を主成分とし、その他の単量体を共重合させて得られる(メタ)アクリル系樹脂を含む概念である。合成樹脂として(メタ)アクリル樹脂を使用することで路面標示用塗料の塗膜3が適度の柔軟性及び密着性を示し、かつ塗布作業性に優れる。
【0021】
前記合成樹脂の固形分の含有量は、路面標示用塗料の固形分100質量部に対して、好ましくは10〜50質量部であり、より好ましくは15〜30質量部である。合成樹脂の固形分の含有量が10質量部未満の場合には、塗膜3が十分に形成されず、塗膜3の鉛筆硬度が十分でない。逆に50質量部を超える場合には、路面標示用塗料の耐摩耗性が十分でない。
【0022】
再帰反射材としてガラスビーズ4を使用する場合には、前記合成樹脂はエマルジョンの形態で使用することが好ましい。エマルジョンの形態で使用することにより、ガラス表面に対する密着性が向上し、ガラスビーズ4の保持力に優れる。合成樹脂をエマルジョンの形態で使用しない場合には、図5(c)に示すように、ガラスビーズ4の周縁部で路面標示用塗料が窪んでしまうため、ガラスビーズ4との接触面積が小さくなり、保持力が不足する。
【0023】
前記ガラスビーズ4の大きさは特に限定されないが、塗膜3の厚みに対するガラスビーズ4の直径の比は1/4〜2/1であることが好ましい。この範囲にあるとき、塗膜3はガラスビーズ4の保持力に優れる。また、ガラスビーズ4の散布量は、特に限定されず、任意の散布量に設定することができるが、塗布した路面標示用塗料の表面全体に散布することが好ましい。表面全体に散布することにより、塗装断面1は再起反射性に優れる。
【0024】
充填材は路面標示用塗料の塗膜3の耐摩耗性を向上させるために塗膜3に混入させて使用される。充填材としては炭酸カルシウムや磁器粉砕物に限らず、種々のものを使用できる。例えば、珪砂、寒水砂、タルク、カスミ石、石英粉(フリント)、ガラス等が挙げられる。
【0025】
これらの充填材うち、モース硬度が5〜10のものを使用することが好ましく、7〜10のものを使用することがより好ましい。モース硬度とは鉱物の硬さを測定する基準で、タルクを1とし、ダイヤモンドを10とした標準物質に対して、該当する物の硬さがどの鉱物の硬さに該当するかという指標である。充填材のモース硬度が5〜10であることにより、路面標示用塗料の塗膜3が削れにくくなるため、塗膜3の耐摩耗性に優れる。
【0026】
モース硬度が5〜10のものとしては、例えば、磁器粉砕物(モース硬度約7)、ガラス(モース硬度約5)、カスミ石(モース硬度5.5〜6)、石英粉(モース硬度7)等が挙げられる。これらのうち、入手が容易で、モース硬度が約7と高く、吸水性がないことから、磁器粉砕物を使用することが好ましい。磁器粉砕物を使用することにより、吸収された水が気温の変化によって膨張収縮することによる風化が生じないため、塗膜の耐久性に優れる。
【0027】
前記磁器粉砕物の粒径は好ましくは0.10〜1.00mm、より好ましくは0.30〜0.15mmである。磁器粉砕物の粒径が0.10mm未満の場合、粉砕工程の工程数及び粉砕に要するエネルギーが増大する。逆に1.00mmを超えると路面標示用塗料の塗膜3の平滑性が低下する。
【0028】
前記充填材の含有量は、合成樹脂の固形分100質量部に対して、好ましくは120〜480質量部であり、より好ましくは200〜300質量部である。充填材の含有量が120質量部未満の場合には、塗膜3の耐摩耗性が十分でない。逆に480重量部を超える場合には、充填材の周囲を取り囲む合成樹脂が少ないため、充填材を塗膜3中に規制する結合力が十分でなく、塗膜3の鉛筆硬度が十分でない。
【0029】
合成樹脂の種類を適切に選択し、かつ、合成樹脂の固形分の含有量が路面標示用塗料の固形分100質量部に対して、10〜50質量部であり、充填材の含有量が合成樹脂の固形分100質量部に対して、120〜480質量部であるとき、塗膜3の鉛筆硬度を4B〜4Hに調整できる。
【0030】
前記磁器粉砕物の充填材に占める割合は、好ましくは10〜70質量%であり、より好ましくは20〜50質量%である。磁器粉砕物の充填材に占める割合が10質量%未満の場合には、塗膜3の耐摩耗性が十分ではなく、逆に70質量%を超える場合には、磁器粉砕物はダイラタント性を持つため、路面標示用塗料の流動性が低下し、塗布することが困難になる。
【0031】
着色顔料は路面標示用塗料を着色するために使用される。着色顔料としては二酸化チタンに限らず、亜鉛華、リトポン等の白色顔料、黄鉛、チタニウムイエロー等の黄色顔料等、一般の塗料に用いられるものを使用することができる。界面活性剤、増粘剤、増膜助剤等の添加剤は一般の塗料に用いられるものを使用することができる。添加剤としてはこの他に、防腐剤、消泡剤等が挙げられる。
【0032】
前記希釈剤は、路面標示用塗料の塗布作業性を向上させるために使用される。前記組成例においては、希釈剤として水及びメタノールを使用したが、特に限定されるものではない。合成樹脂の形態により種々のものを用いることができる。希釈剤としては、水、アルコール等の無機溶剤、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸ブチル等の有機溶剤が挙げられる。
【0033】
再帰反射材としてガラスビーズ4が使用される場合には、前記希釈剤は、水酸基を有するものを用いるのが好ましい。水酸基を有する希釈剤を使用することで、ガラスビーズ4表面の水酸基と希釈剤の水酸基とが水素結合により結合する。しかも、希釈剤は路面標示用塗料中に均一に混合されているため、ガラスビーズ4と路面標示用塗料との間に表面張力が働く。その結果、図1に示すように、前記ガラスビーズ4の周縁部において、路面標示用塗料がガラスビーズ4の表面に沿って上方に盛り上がって保持部3aが形成され、ガラスビーズ4と路面標示用塗料との接触面積が大きくなる。この形状は希釈剤が揮発して塗膜3が形成された後も維持される。ガラスビーズ4と路面標示用塗料の塗膜3との接触面積が大きいことにより、ガラスビーズ4の保持力に優れる。希釈剤が水酸基を有しない場合には、ガラスビーズ4の周縁部における路面標示用塗料の状態は、図5(b)に示す平坦状、又は図5(c)に示す窪んだ状態となり、ガラスビーズ4の保持力が不足する。
【0034】
水酸基を有する希釈剤の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール、2−メトキシエタノール等のアルコールエーテル等が挙げられ、これらに類似する希釈剤として水が挙げられる。これらのうち、水とアルコールとを併用することが好ましく、水と炭素数1〜3の一価アルコールとを併用することがより好ましい。水とアルコールとを併用することにより、ガラスビーズ4と路面標示用塗料の塗膜3との接触面積が最適になると同時に路面標示用塗料の乾燥性に優れる。
【0035】
希釈剤として水とアルコールとを併用する場合には、水100質量部に対するアルコールの配合量は好ましくは2〜20質量部、より好ましくは3〜10質量部、最も好ましくは5〜8質量部である。この範囲で配合することにより、ガラスビーズ4と路面標示用塗料の塗膜3との接触面積が最適になると同時に路面標示用塗料の乾燥性により優れる。
【0036】
路面標示用塗料100質量部に対する水酸基を有する希釈剤の配合量は好ましくは15〜100質量部、より好ましくは20〜80質量部、最も好ましくは25〜70質量部である。
【0037】
再帰反射材がガラスビーズ4である場合、ガラスビーズ4に対する路面標示用塗料の接触角は15〜90°であることが好ましい。この範囲にあるとき、ガラスビーズ4の周縁部に保持部3aが形成され、路面標示用塗料とガラスビーズ4の接触面積が大きくなるため、ガラスビーズ4の保持力に優れる。
【0038】
ここで接触角とは、図3に示すように、水平に置いたガラス板5の表面に路面標示用塗料の液滴6を付着させたとき、断面が円弧状の液滴6の端部における接線7とガラス板5の表面5aとがなす液滴6側の角度αをいう。接触角が15°未満のときは、ガラスビーズ4表面の大部分を路面標示用塗料が覆ってしまうため、再帰反射性が低下する。逆に接触角が90°を超えるときには、図5(b)又は(c)に示すように、路面標示用塗料とガラスビーズ4の接触面積が小さいため、ガラスビーズ4の保持力が十分ではない。
【0039】
ガラスに対する路面標示用塗料の接触角は、路面標示用塗料としての合成樹脂エマルジョン中の合成樹脂、希釈剤、界面活性剤の種類及び配合量を適切に選択することにより、上記範囲に調整することができる。
【0040】
このように構成された塗装断面1において、図2に示すように、自動車等のタイヤ等によって矢印の方向に応力が加わると、ガラスビーズ4は塗膜3を変形させる。路面標示用塗料の塗膜3は粘弾性を有するため、応力が解除されると、徐々に図1に示すような元の形状に戻る。
【0041】
粘弾性とは力が加わると徐々に変形し、力が解除されると徐々に元の形に戻る性質をいい、貯蔵弾性率、損失弾性率、tanδの数値で表わされる。路面標示用塗料の塗膜3に正弦的に変化する応力を与えると、歪は同じ周波数で位相がδだけ遅れた正弦波形となる。貯蔵弾性率、損失弾性率、tanδは次式によって計算される。
【0042】
貯蔵弾性率=|σ/ε|cosδ
損失弾性率=|σ/ε|sinδ
tanδ=損失弾性率/貯蔵弾性率
ここで、σは応力(周波数)、εは歪、δは位相差を表わす。貯蔵弾性率は1周期あたりに貯蔵され完全に回復されるエネルギーを、損失弾性率は1周期あたり熱として失われるエネルギーを表わす。
【0043】
路面標示用塗料の塗膜3の25℃、1Hzにおける損失弾性率/貯蔵弾性率の比(tanδ)は好ましくは0.30以下、より好ましくは0.15以下である。この範囲にあるとき、ガラスビーズ4の保持力が最も優れる。tanδが0.30を超えるときには、塗膜に応力が加わったときに熱として失われるエネルギーが大きすぎるため、塗膜が変形したまま元に戻らず、ガラスビーズ4の保持力が低下する。
【0044】
路面標示用塗料の塗膜3の損失弾性率/貯蔵弾性率の比(tanδ)は、路面標示用塗料の組成中、合成樹脂、充填材、その他造膜助剤の種類及び配合量を適切に選択することにより、上記範囲に調整することができる。
【0045】
前記造膜助剤は、路面標示用塗料の組成中の合成樹脂を軟化させるために用いられる。造膜助剤を使用することで、低温時でも塗膜3を形成させることができるとともに、塗膜3の硬度を調整することができる。造膜助剤には例えば、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、ブタノール、オクタノール、ジメチロールプロパン、フタル酸ジ−n−ブチル、N−メチルピロリドン、リン酸トリフェニル、ジオクチルフタレート等の有機溶剤が挙げられる。
【0046】
路面標示用塗料の塗膜3の硬度は、鉛筆硬度で4B〜4Hであることが必要であり、B〜3Hであることがより好ましい。この範囲にあるとき、再帰反射材としてのガラスビーズ4の保持力に優れる。鉛筆硬度とは、JIS K 5600―1999に規定する鉛筆引っかき値を指し、塗膜3の表面を6Bから9Hの種々の硬さの鉛筆で引っかくことにより、塗膜の表面にわずかに食い込むような傷ができたときの鉛筆の硬度(6B〜9H)をいう。このときの鉛筆と路面標示用塗料の塗膜3との接触角は約45°である。
【0047】
鉛筆硬度が4B未満である場合には、路面標示用塗料の塗膜3が柔らかすぎて耐洗浄性に劣り、また、埃が付着する。逆に鉛筆硬度が4Hを超える場合には路面標示用塗料の塗膜3が硬すぎて、ガラスビーズ4の保持力が不足する。これは、図6に示すように、自動車等のタイヤ等によってガラスビーズ4に矢印の方向に応力が加わったとき、路面標示用塗料の塗膜3が硬すぎて応力を吸収し変形することができず、ガラスビーズ4が脱落してしまうためである。
【0048】
さて、塗装断面1を形成するためには、以上のように構成された路面標示用塗料をコンクリート製の路面2にスプレー等によって塗布し、乾燥する前にその表面にガラスビーズ4を散布する。その後、希釈剤としての水及びメタノールが揮発することによって路面標示用塗料は乾燥し、路面2上に塗膜3が形成され、塗装断面1が形成される。この塗装断面1は、図1に示すように、ガラスビーズ4の周縁部において保持部3aを有している。
【0049】
図2に示すように、塗装断面1に自動車等のタイヤ等によってガラスビーズ4に矢印の方向に応力が加わると、塗膜3は変形する。すなわち、塗膜3は柔軟性を有していることから、応力が加えられた側の保持部3aが小さくなる一方、応力が加えられた側と反対側の保持部3aが盛り上がって高くなり、ガラスビーズ4が塗膜3から抜け出すのを規制する。しかも、塗膜3を構成するアクリル樹脂は接着性に優れていることから、塗膜3の表面とガラスビーズ4の裏面との間の界面における結合力が高く維持される。その後、応力が解除されると、ガラスビーズ4は塗膜3に対して徐々に図1に示すような元の形状に戻って、ガラスビーズ4は塗膜3に強固に保持される。
【0050】
本実施形態は以下に示す効果を発揮することができる。
・本実施形態の路面標示用塗料は合成樹脂の溶液又は分散液と、充填材とを含有し、前記路面標示用塗料の塗膜3の鉛筆硬度が4B〜4Hである。この範囲にあるとき、塗膜3はガラスビーズ4に応力が加わった場合に、応力を吸収し変形することができる。従って、再帰反射材としてのガラスビーズ4の保持力に優れている。
【0051】
・前記合成樹脂の分散液がアクリル樹脂エマルジョンであることにより、塗膜3が適度の柔軟性を示し、塗布性に優れ、ガラス表面に対する密着性が向上し、ガラスビーズ4の保持力を向上させることができる。
【0052】
・前記充填材のモース硬度が5〜10であることにより、塗膜3が削れにくくなるため、塗膜3の耐摩耗性に優れている。
・前記充填材が磁器粉砕物であることにより、吸収された水が気温の変化によって膨張収縮することによる風化が生じないため、塗膜3の耐久性に優れている。
【0053】
・ガラスビーズ4の周縁部に保持部3aが形成されることにより、ガラスビーズ4と塗膜3との接触面積が大きくなり、ガラスビーズ4の保持力に優れている。
【0054】
・再帰反射材としてガラスビーズ4を使用する場合において、路面標示用塗料のガラスビーズ4に対する接触角が15〜90°であることにより、ガラスビーズ4の周縁部に保持部3aが形成され、路面標示用塗料とガラスビーズ4の接触面積が大きくなるため、ガラスビーズ4の保持力に優れている。
【0055】
・希釈剤として水とアルコール類とを併用する場合には、水100質量部に対してアルコール類を2〜20質量部の割合で配合することにより、ガラスビーズ4と路面標示用塗料の塗膜3との接触面積が最適であると同時に路面標示用塗料の乾燥性に優れている。
【0056】
【実施例】
以下、前記実施形態を具体化した実施例及び比較例について説明する。
なお、再帰反射材の保持力試験は以下のように行った。
【0057】
再帰反射材の保持力試験の試験体は、アスファルトの路面に、幅20cm、長さ5mの範囲に路面標示用塗料を400μmの厚みで塗布し、該路面標示用塗料の表面全体に直径106〜850μmの再帰反射材であるガラスビーズを散布した後、24時間乾燥させて試験に供した。
【0058】
再帰反射材の保持力試験は、乗用車(トヨタ自動車(株)製、ハイエースワゴン、車両質量2520kg)にて、上記のように作成した試験体の上を100回往復し、再帰反射材の保持状態を目視により観測することによって行った。
【0059】
また、塗膜3の耐摩耗性については、JIS K 5665−2002に規定する耐摩耗性試験に従って実施した。
(実施例1)
実施例1の路面標示用塗料の組成は、合成樹脂の分散液としてのメタクリル系樹脂エマルジョン(メタクリル酸メチル・スチレン共重合樹脂、固形分50%)200質量部、充填材としての炭酸カルシウム100質量部、充填材としての磁器粉砕物150質量部、着色顔料としての二酸化チタン50質量部、界面活性剤としてのポリカルボン酸アンモニウム塩20質量部、増粘剤1質量部、増膜助剤10質量部、希釈材としての水250質量部、希釈材としてのメタノール20質量部を混合したものである。
【0060】
このようにして得られた路面標示用塗料をスプレーにて路面2に塗布し、乾燥する前にその表面にガラスビーズ4を散布した後、路面標示用塗料を乾燥させて塗装断面1を得た。前記路面標示用塗料の塗膜3は、ガラスビーズ4の周縁部において保持部3aを有していた。路面標示用塗料の塗膜3の鉛筆硬度は2Hであり、ガラスビーズ4に対する接触角は46°であった。
【0061】
試験の結果、ガラスビーズ4は90%が保持されており、塗膜3の摩耗減量は52mgであった。
(実施例2)
実施例2の路面標示用塗料の組成は、合成樹脂の分散液としてのメタクリル系樹脂エマルジョン(メタクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合樹脂、固形分50%)200質量部、充填材としての炭酸カルシウム50質量部、充填材としての石英粉250質量部、着色顔料としての二酸化チタン50質量部、界面活性剤としてのポリカルボン酸アンモニウム塩20質量部、増粘剤1質量部、増膜助剤10質量部、希釈材としての水250質量部、希釈材としてのエタノール50質量部を混合したものである。
【0062】
このようにして得られた路面標示用塗料をスプレーにて路面2に塗布し、乾燥する前にその表面にガラスビーズ4を散布した後、路面標示用塗料を乾燥させて塗装断面1を得た。前記路面標示用塗料の塗膜3は、ガラスビーズ4の周縁部において保持部3aを有していた。路面標示用塗料の塗膜3の鉛筆硬度は4Hであり、ガラスビーズ4に対する接触角は18°であった。
【0063】
試験の結果、ガラスビーズ4は90%が保持されており、塗膜3の摩耗減量は48mgであった。
(実施例3)
実施例3の路面標示用塗料の組成は、合成樹脂の分散液としてのアクリル系樹脂エマルジョン(アクリル酸ブチル・スチレン共重合樹脂、固形分50%)200質量部、充填材としての磁器粉砕物250質量部、着色顔料としての二酸化チタン50質量部、界面活性剤としてのポリカルボン酸ナトリウム塩20質量部、増粘剤1質量部、増膜助剤10質量部、希釈材としての水250質量部、希釈材としてのメタノール5質量部を混合したものである。
【0064】
このようにして得られた路面標示用塗料をスプレーにて路面2に塗布し、乾燥する前にその表面にガラスビーズ4を散布した後、路面標示用塗料を乾燥させて塗装断面1を得た。前記路面標示用塗料の塗膜3は、ガラスビーズ4の周縁部において保持部3aを有していた。路面標示用塗料の塗膜3の鉛筆硬度はHBであり、ガラスビーズ4に対する接触角は74°であった。
【0065】
試験の結果、ガラスビーズ4は90%が保持されており、塗膜3の摩耗減量は51mgであった。
(実施例4)
実施例4の路面標示用塗料の組成は、合成樹脂の溶液としてのポリ酢酸ビニル樹脂(固形分30%)300質量部、充填材としての炭酸カルシウム250質量部、着色顔料としての二酸化チタン50質量部、増粘剤1質量部、増膜助剤20質量部、希釈材としてのキシレン300質量部を混合したものである。
【0066】
このようにして得られた路面標示用塗料をスプレーにて路面2に塗布し、乾燥する前にその表面に再帰反射材としてのポリメタクリル酸メチル樹脂ビーズを散布した後、路面標示用塗料を乾燥させて塗装断面1を得た。前記路面標示用塗料の塗膜3は、ガラスビーズ4の周縁部において保持部3aを有していた。路面標示用塗料の塗膜3の鉛筆硬度は4Bであった。
【0067】
試験の結果、ポリメタクリル酸メチル樹脂ビーズは70%が保持されており、塗膜3の摩耗減量は121mgであった。
(比較例1)
比較例1の路面標示用塗料の組成は、合成樹脂の分散液としてのメタクリル系樹脂エマルジョン(メタクリル酸メチル・スチレン共重合樹脂、固形分50%)200質量部、充填材としての炭酸カルシウム500質量部、着色顔料としての二酸化チタン50質量部、界面活性剤としてのポリカルボン酸アンモニウム塩20質量部、増粘剤1質量部、増膜助剤60質量部、希釈材としての水250質量部、希釈材としてのメタノール20質量部を混合したものである。
【0068】
このようにして得られた路面標示用塗料をスプレーにて路面2に塗布し、乾燥する前にその表面にガラスビーズ4を散布した後、路面標示用塗料を乾燥させて塗装断面1を得た。前記路面標示用塗料の塗膜3は、ガラスビーズ4の周縁部において保持部3aを有していた。路面標示用塗料の塗膜3の鉛筆硬度は5Bであり、ガラスビーズ4に対する接触角は35°であった。
【0069】
試験の結果、ガラスビーズ4は90%が保持されており、塗膜3の摩耗減量は210mgであった。
(比較例2)
合成樹脂としてのアルキド樹脂エマルジョン(固形分50%)200質量部、充填材としての炭酸カルシウム500質量部、着色顔料としての二酸化チタン50質量部、増膜剤1質量部、安定剤1質量部、希釈剤としてのトルエン150質量部、希釈剤としてのキシレン20質量部、希釈剤としての酢酸エチル20質量部を混合したものである。
【0070】
このようにして得られた路面標示用塗料をスプレーにて路面2に塗布し、乾燥する前にその表面にガラスビーズ4を散布した後、路面標示用塗料を乾燥させて塗装断面1を得た。前記路面標示用塗料の塗膜3は、ガラスビーズ4の周縁部において保持部3aを有していた。路面標示用塗料の塗膜3の鉛筆硬度は5Bであり、ガラスビーズ4に対する接触角は73°であった。
【0071】
試験の結果、ガラスビーズ4は90%が保持されており、塗膜3の摩耗減量は267mgであった。
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
【0072】
・前記実施形態においては、再帰反射材としてガラスビーズ4を使用したが、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂等の透明樹脂ビーズ、セラミック粉、石英、ダイヤモンド等の再帰反射性を有する素材であれば特に限定されず、任意のものを使用しても良い。
【0073】
・再帰反射材の形状は特に限定されず、球や多面体でも良い。
・再帰反射材としてガラスビーズ4を使用する場合において、ガラスビーズ4の表面にシランカップリング剤を塗布してから散布しても良い。
【0074】
このように構成した場合、シランカップリング剤の親水基がガラスビーズ4と結合するとともに、疎水基が塗膜3の合成樹脂とも結合して接着剤の役割を果たすため、ガラスビーズ4の保持力をより高めることができる。
【0075】
・再帰反射材としてガラスビーズ4を使用する場合において、ガラスビーズ4の表面に、酸化スズや酸化タリウムなどの膜を被覆しても良い。
このように構成した場合、ガラスビーズ4表面が固くなり、傷の発生による乱反射が抑制されるため、再帰反射性の持続力が向上する。
【0076】
次に、前記実施形態から把握できる請求項に記載した発明以外の技術的思想について、それらの効果と共に記載する。
(1)前記再帰反射材がガラスビーズであり、該ガラスビーズに対する接触角が15〜90°であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の路面標示用塗料。
【0077】
このように構成した場合、ガラスビーズの周縁部に塗膜の保持部が形成され、路面標示用塗料とガラスビーズの接触面積が大きくなるため、ガラスビーズの保持力を向上させることができる。
【0078】
(2)請求項1から請求項4及び上記(1)のいずれか一項に記載の路面標示用塗料が塗布され、塗膜が形成されている塗装断面において、前記再帰反射材の周縁部に塗膜の保持部が形成されていることを特徴とする塗装断面。
【0079】
このように構成した場合、再帰反射材と塗膜との接触面積が大きいため、再帰反射材の保持力に優れる。また、再帰反射材の十分な保持力を得るために必要な路面標示用塗料の膜厚が少なくてすみ、路面標示用塗料の使用量が少なく経済的である。
【0080】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明の路面標示用塗料によれば、再帰反射材の保持力に優れている。
【0081】
請求項2に記載の発明の路面標示用塗料によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、再帰反射材の保持力を向上させることができる。
請求項3に記載の発明の路面標示用塗料によれば、請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の発明の効果に加え、塗膜の耐摩耗性に優れている。
【0082】
請求項4に記載の発明の路面標示用塗料によれば、請求項3に記載の発明の効果に加え、塗膜の耐久性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である、路面に対して路面標示用塗料が塗布され、その表面に再帰反射材としてのガラスビーズが散布された塗装断面を示す図。
【図2】図1の状態から水平方向に応力が加わった状態を示す断面図。
【図3】ガラス板表面に滴下した路面標示用塗料の液滴を示す断面図。
【図4】(a)〜(c)はそれぞれ再帰反射材の露出面積を一定にした場合の塗装断面を示す断面図。
【図5】(a)〜(c)はそれぞれ路面標示用塗料の膜厚を一定にした場合の塗装断面を示す断面図。
【図6】従来例の塗装断面に水平方向に応力が加わった状態を示す断面図。
【符号の説明】
2…路面、3…路面標示用塗料の塗膜、4…再帰反射材としてのガラスビーズ。
Claims (4)
- 路面に塗布され、乾燥する前にその表面に再帰反射材が散布された後、乾燥することによって路面上に塗膜が形成される路面標示用塗料であって、合成樹脂の溶液又は分散液と、充填材とを含有し、塗膜の鉛筆硬度が4B〜4Hであることを特徴とする路面標示用塗料。
- 前記合成樹脂の分散液が(メタ)アクリル樹脂エマルジョンであることを特徴とする請求項1に記載の路面標示用塗料。
- 前記充填材のモース硬度が5〜10であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の路面標示用塗料。
- 前記充填材が磁器粉砕物であることを特徴とする請求項3に記載の路面標示用塗料。
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