JP2011079221A - 異種材複合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属材と繊維強化樹脂材双方の熱膨張係数の相違に起因する熱膨張差を十分に吸収もしくは解消でき、しかも、外力に対してその厚み確保を保障することのできる中間層を具備する、異種材複合体を提供する。
【解決手段】繊維強化樹脂材2と、金属素材からなる金属材1と、該繊維強化樹脂材2と該金属材1を繋ぐ中間層3と、からなる異種材複合体10であり、中間層3は、繊維強化樹脂材2および金属材1に比して相対的に高靭性であり、該繊維強化樹脂材2および該金属材1との接着性を有したマトリックス樹脂層31と、該マトリックス樹脂層31に内包されて圧縮剛性を有するスペーサ32と、からなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、繊維強化樹脂材と、金属素材からなる金属材と、該繊維強化樹脂材と該金属材を繋ぐ中間層と、から構成された、異種材複合体に関するものである。
各種産業で使用されている構造部材や意匠部材においては、たとえば定型の金属材の外周を接着剤層を介して繊維強化樹脂材で包囲させ、一体化してなる異種材複合体が幅広く適用されており、それぞれの素材が有する剛性や靭性(変形性能)、外観意匠性などを有効に利用するべく、該異種材複合体を構成する各異種材が適所に配設されている。
たとえば、鉄や鋼などは、圧縮性能と引張性能に優れており、CFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)、GFRP(ガラスファイバー強化プラスチック)などのFRP材は、引張性能に優れるとともに、金属部材に比して軽量である。さらにCFRPに関して言えば、炭素繊維を含有していることで、部材の疲労破壊時のクリープによる永久伸びを無視できること、耐候性、耐薬品性に優れていること、などの利点を有している。
したがって、たとえば、異種材複合体の内部位置に金属材(金属インサート)を配し、その外周に繊維強化樹脂材を配することで、繊維強化樹脂材の有する高引張性と優れた外観意匠性を有効に利用でき、しかも、製品重量を可及的に軽量とすることができる。この繊維強化樹脂材の外観意匠性に関して言及するに、たとえば炭素繊維やガラス繊維のクロス材を使用し、これらの繊維を経編みもしくは緯編み等したクロス材にマトリックス樹脂を含浸硬化させて表層繊維材を形成し、この表層繊維材にて部材の外観意匠性を醸し出すことができる。
上記のごとく、異種材複合体には多くの利点が存在する一方で、異種材を一体化することで生じ得る課題も存在している。中でも、異種材同士を高温雰囲気下にて成形したり、これが外部からの温度変化を受けた際に、双方の熱膨張係数(もしくは線膨張係数)の相違に起因した熱変形量の相違により、接合界面での剥離が生じ易くなり、複合材の一体化が損なわれるという課題があり、異種材複合体の製造に際して解決されるべき急務の課題の一つである。
ここで、上記課題を解決するための従来の公開技術として、特許文献1,2に開示の積層体の構造、電子機器用筐体を挙げることができる。特許文献1に開示の積層体の構造は、金属棒と樹脂材料との成形界面に、ゴム状弾性材料または繊維の織布の少なくとも一方の面をゴム状弾性材料でコートしたゴム引き布とした緩衝層を介在させ、一体的に構成して積層体を構成したものである。金属棒と樹脂材料のように、線膨張率が全く異なる二種類の材料を積層させて成形する場合において、成形界面に介在させる緩衝層のクッション効果により、樹脂材料のクラックの発生を抑えることができる、というものである。
また、特許文献2に開示の電子機器用筐体は、金属層と繊維強化樹脂層が中間樹脂層を介して接着一体化された金属/繊維強化樹脂複合材料から構成された電子機器用筐体に関し、中間樹脂層が、平均粒径3〜10μmの熱可塑性樹脂の粒子とイミダゾールシラン化合物を含有してなる筐体である。このような組成からなる中間樹脂層を有することで、接着性を大幅に向上でき、層間剥離を生じずに優れた力学特性、電磁波シールド性等の特性を発現できる、というものである。
特開2002−59509号公報 特開2006−297929号公報
特許文献1,2に開示の技術はともに、異種材が一体化された構造に関し、その中間層もしくは介在層に被接合部材双方の熱膨張係数の相違に起因する熱膨張差を吸収可能な性能を発揮させることを目的とし、そのための構成を具体化したものである。しかし、これらの技術では、変形性に優れた中間層が存在することで、被接合部材双方の熱膨張差を吸収できたとしても、中間層自体が十分な剛性を有してないことは明らかであり、したがって、該中間層の厚みを初期の厚みに確保したり、制御することはできない。すなわち、異種材複合体には、各種外力(圧縮、引張、曲げ、せん断、ねじり)などが作用し、これらの外力に対して、高強度な金属材や繊維強化樹脂材などは、その厚みや形状を保持できたとしても、剛性のない中間層がこれらの外力で過度に変形することにより、中間層自体が破損したり、中間層と金属材等の強度部材との界面破壊等が生じ得る。
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、繊維強化樹脂材と、金属素材からなる金属材と、該繊維強化樹脂材と該金属材を繋ぐ中間層と、から構成された、異種材複合体に関し、該中間層は、金属材と繊維強化樹脂材双方の熱膨張係数の相違に起因する熱膨張差を十分に吸収もしくは解消でき、しかも、外力に対してその厚み確保を保障することのできる、異種材複合体を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による異種材複合体は、繊維強化樹脂材と、金属素材からなる金属材と、該繊維強化樹脂材と該金属材を繋ぐ中間層と、からなり、前記中間層は、前記繊維強化樹脂材および前記金属材に比して相対的に高靭性であり、該繊維強化樹脂材および該金属材との接着性を有したマトリックス樹脂層と、該マトリックス樹脂層に内包されて圧縮剛性を有するスペーサと、からなるものである。
この異種材複合体の適用用途は特に限定されるものではないが、たとえば車両部品として使用する場合には、ダッシュパネルやサイドメンバーなどに対衝突用部品や各種足回り部品をボルト等で締結する際の締結部品として使用することができる。
また、この異種材複合体の製造方法も多岐に亘るが、たとえば、金属材の周囲に中間層形成用のマトリックス樹脂(スペーサを含有する)を配し、さらにその外周にマトリックス樹脂を含むプリプレグ繊維を配し、バックで覆うことでシールし、真空雰囲気下で排気した後に、オートプレーブ容器内にこれを収容し、減圧雰囲気を確保しながら加圧し、高温雰囲気下で異種材複合体の全体を製造する方法などを挙げることができる。なお、異種材複合体製造前に、金属材と繊維強化樹脂材の間に介在する中間層のマトリックス樹脂が外部へ流れ出さないように、中間層のマトリックス樹脂は、自身の流れ出し(漏れ出し)を抑止し得る程度の粘性を有しているのが望ましい。
本発明の異種材複合体は、アルミニウムやその合金、銅、鉄、鋼等の金属材と、CFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)、GFRP(ガラスファイバー強化プラスチック)、アラミド繊維樹脂、ボロン繊維樹脂等の繊維強化樹脂材の間に、接着性があり、かつ高靭性のマトリックス樹脂層の内部に圧縮剛性のあるスペーサを有する中間層が介在した構成を有するものであり、この中間層により、金属材および繊維強化樹脂材双方の熱膨張差を吸収しながら、しかも、スペーサの圧縮剛性によって、該中間層の厚み確保を保障するものである。
ここで、中間層の有する「高靭性」とは、変形性能に優れていることを意味するものであるが、この中間層に要求される靭性は、金属材と繊維強化樹脂材双方の熱変形量、すなわち、一体成形時の高温雰囲気下での双方の熱膨張差や、冷却されて熱収縮した際の双方の熱収縮差を吸収できる程度の靭性を少なくとも有していればよく、そのためには、少なくとも、中間層の靭性は、金属材および繊維強化樹脂材双方の靭性よりも高いものであることを要する。
たとえば、繊維強化樹脂材がCFRPやGFRPの場合には、含有される炭素繊維やガラス繊維により、その熱膨張や熱収縮はほとんど生じない。これに対して、金属素材の金属材では、その素材がアルミニウムの場合には23ppm/K程度、銅の場合には17ppm/K程度、鉄の場合には12ppm/K程度の熱膨張係数に基づく変形量となり、双方の間には、場合によっては数mm程度もの熱変形差が生じる。
そこで、たとえば、これら金属材や繊維強化樹脂材に比して高靭性のマトリックス樹脂を有する中間層を、これらの間に介在させるものであり、このマトリックス樹脂として、エポキシ樹脂を使用する場合には、その熱膨張係数が62ppm/K程度、ポリイミドを使用する場合には54ppm/K程度(以上、熱硬化性樹脂)、ABS樹脂を使用する場合には74ppm/K程度、ポリアミドを使用する場合には80ppm/K程度、PET(ポリエチレンテレフタレート)を使用する場合には60ppm/K程度(以上、熱可塑性樹脂)と、いずれも、繊維強化樹脂材、金属材の双方の熱膨張係数よりも高い熱膨張係数を有するものである。そして、熱変形が殆どない繊維強化樹脂材に比して熱変形量の大きな金属材の熱変形は、この中間層にて効果的に吸収緩和され、しかも、中間層と金属材の界面破壊も効果的に抑制される。なお、高靭性と高接着性双方の特性をともに満足する素材として、中間層用のマトリックス樹脂としてはエポキシ樹脂を使用するのが好ましい。
さらに、この中間層を形成するマトリックス樹脂の内部に、ガラス、鉄、鋼等からなり、少なくとも圧縮剛性を有するスペーサが分散等していることで、たとえば中間層の厚みをこのスペーサの厚みで規定させることができ、既述する種々の外力に対して、中間層内のスペーサがこの外力に抗することで中間層自体の厚み確保を保障するとともに、中間層自体が破損等することなく、外力を繊維強化樹脂材から金属材へ、またはその逆方向に伝達させることが可能となる。
ここで、スペーサの有する「圧縮剛性」とは、想定される外力、特に圧縮力に対して潰れない程度の剛性を意味するものであり、したがって、適用製品や想定外力によって所望する剛性は変化し、剛性を決定する適用素材は変化するものである。想定外力等に抗し得る圧縮剛性を少なくとも備えたスペーサが中間層内に埋設されていることで、該中間層はその厚みを確保することができる。
また、このスペーサの形状は特に限定されるものではないが、たとえば、略球状、多角形体(直方体、立方体など)などを挙げることができる。なお、この「略球状」とは、完全な球体のほか、楕円体、球体に近い多角形体などを含む広い意味である。
そして、スペーサの形状が略球状の場合には、たとえばその形状が立方体や直方体の場合に比して、中間層を介して間接的に一体化される金属材と繊維強化樹脂材の間の接着面積を広くすることができ、接着性に優れた異種材複合体を形成することができる。これは、たとえば球状のスペーサと直方体のスペーサがマトリックス樹脂内に分散配置された状態を想定することで容易に理解できるが、球状スペーサは金属材や繊維強化樹脂材と点接触するのに対して、直方体スペーサは、その側面で面接触することから、金属材と繊維強化樹脂材を接着するマトリックス樹脂の接着領域が球状スペーサに比して狭くなることに依拠するものである。
また、本発明の異種材複合体の好ましい実施の形態として、前記スペーサは、予めシランカップリング剤による表面処理がおこなわれたものであるのがよい。
本発明者等によれば、たとえばスペーサがガラスからなり(ガラスビーズ)、中間層のマトリックス樹脂がエポキシ樹脂からなる場合において、このガラスビーズ表面を予めシランカップリング剤にて処理しておくことで、その界面のマトリックス樹脂との接着強度が向上し、中間層を構成するスペーサとマトリックス樹脂の一体性が高められることが分かっている。このことはすなわち、金属材や繊維強化樹脂材の熱変形を中間層が吸収する際や、異種材複合体に外部からの圧縮等が作用した際に、中間層内部でのスペーサとマトリックス樹脂の界面剥離等が生じ難く、したがって、これらの曲げ剛性や圧縮剛性も高く、もって、異種材複合体全体の機械的強度の向上に繋がるものである。
また、本発明の異種材複合体の好ましい実施の形態として、前記繊維強化樹脂材と前記中間層双方のマトリックス樹脂が同素材からなるのがよい。
中間層と繊維強化樹脂材双方のマトリックス樹脂が同素材のものからなることで、双方の界面のなじみが良好となり、中間層と繊維強化樹脂材の一体性が一層向上する。
さらに、本発明の異種材複合体の好ましい実施の形態として、前記中間層における前記スペーサの含有量が20質量%以上であるのがよい。
一般に、中間層の厚みがスペーサの寸法で規定できるとしても、スペーサの含有量が少なすぎては、中間層全体のスペーサによる厚み確保が保障できず、厚み確保が保障されない領域が生じ易くなる。
本発明者等の検証によれば、スペーサとマトリックス樹脂の全体に対するスペーサの含有比率が20質量%以上に調整されることで、中間層全体の厚み確保が保障できることが分かっている。中間層が全体として、その厚みが所望厚に制御されることで、該中間層全体の変形性能(変形量)が保障され(変形量は、中間層の熱膨張係数(線膨張係数)と厚みに依存するため)、したがって、金属材および繊維強化樹脂材の熱膨張差吸収性能を担保することができる。
一方、スペーサの含有比率が多すぎると、今度は、異種材複合体自体の寸法および重量が多くなってしまう。本発明者等の経験則によれば、許容できる全体重量増の観点から、中間層内に占めるスペーサ含有比率の上限として50質量%が特定されている。
以上の説明から理解できるように、本発明の異種材複合体によれば、金属材と繊維強化樹脂材の間に、該金属材および繊維強化樹脂材よりも相対的に高靭性なマトリックス樹脂を有し、かつ、少なくとも外力に対して潰れない程度の圧縮剛性を有するスペーサを有した中間層が介在することで、金属材および繊維強化樹脂材双方の熱変形量を効果的に吸収し、もって熱変形差を効果的に緩和でき、しかも、外力が作用した際の異種材複合体の構成部材間の界面強度が保障され、全体の厚み確保が保障されるとともに、機械的強度に優れた、異種材複合体を提供することができる。
本発明の異種材複合体の一実施の形態を示した縦断面図である。 金属材と繊維強化樹脂材が熱変形した際に、中間層がそれらの熱変形量を吸収するメカニズムを説明した図である。 スペーサの形状によって金属材と繊維強化樹脂材双方の接着面積が相違することを説明した図であって、(a)は球状スペーサの場合を示した図であり、(b)は方形スペーサの場合を示した図である。 シランカップリング剤とスペーサ(無機粒子:ガラスビーズ)の反応メカニズムを説明した模式図である。 表面にシランカップリング剤による表面処理が施されたスペーサと、樹脂と、からなるユニットの剛性向上を検証した実験結果を示す図である。 中間層中のスペーサの含有比率と中間層の厚みの関係を示した実験結果である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、図示例は、ねじ溝を有する金属材と、中間層、繊維強化樹脂材からなる異種材複合体を示しているが、少なくとも、その一部に、金属材と中間層と繊維強化樹脂材からなるラミネート構造を有するものであれば、具体的な実施形態は図示例に限定されるものではない。また、図示例は、中間層を構成するマトリックス樹脂層内に球状のスペーサが分散した形態を示しているが、スペーサの外形は球状に限定されるものでなく、楕円形、球形に近い多角形など、その形状は任意である。
図1は、本発明の異種材複合体の一実施の形態を示した縦断面図である。図示する異種材複合体10は、その内側にねじ溝11が開設されたアルミニウム素材の金属材1と、この金属材1に接着する中間層3と、同様に中間層3に接着する繊維強化樹脂材2と、からなり、これらが中間層3を介して一体に形成されたものである。この異種材複合体10は、ダッシュパネルやサイドメンバーなどに対衝突用部品や各種足回り部品をボルト等で締結する際の締結部品であり、ねじ溝11に不図示のボルトが螺合されるようになっている。
ここで、繊維強化樹脂材2は、CFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)、GFRP(ガラスファイバー強化プラスチック)等のFRPからなるものであり、炭素繊維やガラス繊維によって高い引張耐力を有しており、金属材1に比して軽量である。また、繊維強化樹脂材2のマトリックス樹脂にはエポキシ樹脂が適用されている。
一方、アルミニウム製の金属材1は、引張耐力、圧縮耐力、曲げ耐力がともに高く、ねじ溝11に螺合される不図示のボルトを介して作用する外力に抗し得る、高い剛性を有するものである。
さらに、金属材1と繊維強化樹脂材2を間接的に接着一体化させる中間層3は、そのマトリックス樹脂層31に繊維強化樹脂材2と同素材であって、かつ接着性に優れたエポキシ樹脂が適用されており、このマトリックス樹脂層31内に、球状スペーサ32が分散姿勢で埋設されている。
ここで、スペーサ32は、ガラス、鉄、鋼などからなる高剛性部材であり、これが中間層3の剛性を高め、かつ、外力が作用した際の中間層3の厚み確保を保障するようになっている。
また、繊維強化樹脂材2のマトリックス樹脂と中間層3のマトリックス樹脂層31がともに同素材のエポキシ樹脂からなることで、双方の界面のなじみが良好となり、界面強度の高い接着構造が形成される。
また、中間層3の厚み:tは、構成部材であるスペーサ32の径:φで規定されるものであり、中間層3の全体に対してスペーサ32が20質量%以上含有され、分散姿勢で埋設されていることで、中間層3全体の厚み確保が保障されている。したがって、たとえば、中間層3の厚みが1mmの実施例においては、球状スペーサ32の径もおよそ1mmのものが適用される。
図2は、金属材と繊維強化樹脂材が熱変形した際に、中間層がそれらの熱変形量を吸収するメカニズムを説明した図であり、さらには、外力として圧縮力が作用した場合をともに示したものである。
アルミニウム製の金属材1は、その熱膨張係数が23ppm/K程度であるのに対して、CFRPやGFRPからなる繊維強化樹脂材2は、それらの繊維配向にもよるが、熱膨張係数は0か0に近似した値となり得る。したがって、この異種材複合体10をオートプレーブ法にて高温雰囲気下、加圧成形する際には、繊維強化樹脂材2の熱変形量:δ2が僅かであるのに対して、金属材1の熱変形量:δ1は格段に大きな値となり、双方の熱変形差も自ずと大きくなる。
しかし、中間層3を構成するエポキシ樹脂からなるマトリックス樹脂層31は、その熱膨張係数が62ppm/K程度であり、スペーサ32の径:φで規定される中間層3の厚み:tが所望に調整されることで、この熱膨張係数と厚みで決定される中間層3の変形能(靭性)は、金属材1や繊維強化樹脂材2に比して格段に高い。
そのため、中間層3のうち、相対的に変形量の大きな金属材1側の領域では、この金属材1の熱変形に追随しながら(変形量:δ3a)、該熱変形を吸収緩和することができ、僅かな熱変形を呈する繊維強化樹脂材2側の領域も同様にして、この熱変形に容易に追随しながら(変形量:δ3b)、これを吸収緩和することができる。したがって、金属材1と繊維強化樹脂材2の双方で相違する熱変形量はともに高靭性な中間層3によって効果的に吸収され、異種材複合体10全体として、これらの熱変形差に起因した界面破壊や部材内破壊等の発生が抑止される。
また、金属材1と繊維強化樹脂材2の双方から、外力である圧縮力:Qが中間層3に作用した場合でも、高剛性のスペーサ32によって中間層3全体の潰れが抑止され、その厚み:tの確保が保障される。
次に、図3を参照して、最適なスペーサ形状を説明する。図3はスペーサの形状によって金属材と繊維強化樹脂材双方の接着面積が相違することを説明した図であり、図3aは球状スペーサの場合を示した図を、図3bは方形スペーサの場合をそれぞれ示したものである。
中間層3を構成するマトリックス樹脂層31内に分散されたスペーサ32は、これが図3aで示すように直径:φの球状スペーサ32の場合には、該球状スペーサ32と金属材1および繊維強化樹脂材2とは一般に点接触し(接触点:P)、隣接する球状スペーサ32,32間のマトリックス樹脂層31が金属材1と繊維強化樹脂材2を繋ぐ幅は、図示するL1となる。
これに対して、図3bで示すようにスペーサが球状スペーサ32の直径と同寸法:φの辺長を有する方形スペーサ32’(たとえば6面体を成す直方体、立方体)の場合には、方形スペーサ32’が金属材1および繊維強化樹脂材2と線接触(実際には3次元的に面接触)することから、隣接する方形スペーサ32’,32’間のマトリックス樹脂層31が金属材1と繊維強化樹脂材2を繋ぐ幅は、図示するL2となり、幅:L1に比して格段に狭幅となる。
したがって、金属材1と繊維強化樹脂材2を間接的に繋ぐ中間層3の接着作用の観点からすれば、立方体や直方体をなすスペーサではなく、図示のごとき球状のスペーサや、楕円体のスペーサ、球状に近似した多角形体のスペーサなどであるのが好ましい。
次に、図4を参照して、シランカップリング剤による表面処理が施こされたスペーサを適用した際の効果について説明する。
無機粒子であるガラスビーズからなる球状スペーサ32にシランカップリング剤を表面処理すると、図4で示すように、ガラスビーズ表面のOH基とシランカップリング剤のOH基が水素結合し、これがさらに脱水されることで、強固な共有結合を形成する。表面に共有結合にて繋がれたシランカップリング剤をガラスビーズが有していることで、これと中間層をなすマトリックス樹脂との結合強度(もしくは密着性)が増し、中間層を形成する異種材料間の一体性が高められる。
[表面にシランカップリング剤による表面処理が施されたスペーサと、樹脂と、からなるユニットの剛性向上を検証した実験とその結果]
本発明者等は、一般に使用されているガラス繊維強化エポキシ樹脂(GFRP)に関し、このガラス繊維表面にシランカップリング剤による表面処理を施したGFRPを製作し(エポキシの種類を変化させて、実施例1、実施例2)、さらに、シランカップリング剤による表面処理が施されていない従来のGFRPを製作し(比較例)、これらの初期の曲げ剛性と、72時間煮沸後の曲げ剛性を比較する実験を試みた。この実験はGFRPの曲げ剛性を検証したものであるが、ガラス繊維はガラスビーズ製のスペーサに置き換えることで、シランカップリング剤による表面処理が施されたスペーサとマトリックス樹脂とからなる中間層の曲げ剛性を検証することとなり得、また、曲げ剛性の向上要否は、圧縮剛性の向上要否に直結するものである。実験結果を図5に示している。
同図より、初期値では、比較例が400MPa程度であるのに対して、実施例1,2はそれぞれ600MPa程度、670MPa程度と、1.5倍以上の曲げ強度の向上が確認された。さらに、煮沸後の状態においては、比較例が200MPa程度であるのに対して、実施例1,2はそれぞれ480MPa程度、520MPa程度と、2.4倍以上の曲げ強度の向上が確認された。
この結果より、ガラスビーズ等の無機粒子(スペーサ)に対してシランカップリング剤による表面処理を施し、次いでエポキシ樹脂等のマトリックス樹脂で中間層を形成することで、異種材であるスペーサとマトリックス樹脂間の接着強度が増し、中間層全体の曲げ剛性、圧縮剛性が向上することが実証された。
[中間層内におけるスペーサ含有量の最適範囲を検証した実験とその結果]
本発明者等はさらに、ガラスビーズからなるスペーサの中間層(マトリックス樹脂にはエポキシ樹脂を適用)に対する混合量を種々変化させ、中間層の厚みの変動を実測する実験を試みた。その実測結果を図6に示している。なお、ガラスビーズ混合量ごとに複数の中間層テストピースを試作しており、各ガラスビーズ混合量において、その実測値には実測幅(レンジ)が存在している。
同図より、ガラスビーズの混合量が10質量%の場合には、およそ600〜900μmの実測レンジとなっており、800μm以下の実測平均値となっている。
一方、ガラスビーズの混合量が20質量%の場合、および30質量%の場合には、ともに実測レンジの下限値が700μmとなっており、実測平均も800μmを上回っている。
本発明者等によれば、この実測レンジと実測平均値より、所望する中間層の厚みを確保できるガラスビーズ(高剛性スペーサ)の混合量として、20質量%以上が望ましいとの結論に至っている。
さらに、本発明者等の経験則によれば、ガラスビーズの混合量が50質量%を上回ってしまうと、今度は、中間層自体の重量が重くなり過ぎることと、マトリックス樹脂の混合量が少な過ぎて、各ガラスビーズとマトリックス樹脂の間の接着性が低下すること、が分かっており、このような観点から、ガラスビーズの混合量の上限値として50質量%が望ましいとの結論に至っている。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…金属材(金属インサート)、2…繊維強化樹脂材、3…中間層、31…マトリックス樹脂層、32…スペーサ(球状スペーサ)、10…異種材複合体

Claims (7)

  1. 繊維強化樹脂材と、金属素材からなる金属材と、該繊維強化樹脂材と該金属材を繋ぐ中間層と、からなり、
    前記中間層は、前記繊維強化樹脂材および前記金属材に比して相対的に高靭性であり、該繊維強化樹脂材および該金属材との接着性を有したマトリックス樹脂層と、該マトリックス樹脂層に内包されて圧縮剛性を有するスペーサと、からなる、異種材複合体。
  2. 前記スペーサは略球状を呈している、請求項1に記載の異種材複合体。
  3. 前記スペーサは、予めシランカップリング剤による表面処理がおこなわれたものである、請求項1または2に記載の異種材複合体。
  4. 前記中間層における前記スペーサの含有量が20質量%以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の異種材複合体。
  5. 前記繊維強化樹脂材と前記中間層双方のマトリックス樹脂が同素材からなる、請求項1〜4のいずれかに記載の異種材複合体。
  6. 定型の前記金属材の周囲に前記中間層が形成され、該中間層の周囲に前記繊維強化樹脂材が形成されている、請求項1〜5のいずれかに記載の異種材複合体。
  7. 前記繊維強化樹脂材は、CFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)、GFRP(ガラスファイバー強化プラスチック)、アラミド繊維樹脂、ボロン繊維樹脂のいずれか一種からなり、
    前記金属材は、アルミニウム、もしくはその合金、のいずれか一種からなり、
    前記中間層を形成するマトリックス樹脂層は、シリコーンエポキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン・エポキシ樹脂のいずれか一種からなり、前記スペーサは、ガラス、鉄、鋼のいずれか一種からなる、請求項1〜6のいずれかに記載の異種材複合体。
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