JP2001316875A - 電着膜の形成方法および電着膜を有する部材 - Google Patents
電着膜の形成方法および電着膜を有する部材Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 非導電材料上、あるいは非導電性材料と導電
性材料とが混在する混成材料からなる基体上に密着性の
良い電着膜を形成する方法、およびこの方法により形成
された電着膜を備えた部材を提供する。 【解決手段】 本発明は、非導電性材料、あるいは非導
電性材料と導電性材料とが混在する混成材料からなる基
体上に電着膜を形成する方法であって、基体表面のうち
少なくとも非導電性材料上に金属蒸着による導電層を形
成した後、樹脂エマルジョンを用いた電着法により電着
膜を形成することを特徴とする。この樹脂エマルジョン
としては、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリ
ル系樹脂およびポリエステル系樹脂から選択された少な
くとも一種の樹脂のエマルジョンを用いることが好まし
い。本発明の部材は、この方法により形成された電着膜
を有することを特徴とする。
性材料とが混在する混成材料からなる基体上に密着性の
良い電着膜を形成する方法、およびこの方法により形成
された電着膜を備えた部材を提供する。 【解決手段】 本発明は、非導電性材料、あるいは非導
電性材料と導電性材料とが混在する混成材料からなる基
体上に電着膜を形成する方法であって、基体表面のうち
少なくとも非導電性材料上に金属蒸着による導電層を形
成した後、樹脂エマルジョンを用いた電着法により電着
膜を形成することを特徴とする。この樹脂エマルジョン
としては、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリ
ル系樹脂およびポリエステル系樹脂から選択された少な
くとも一種の樹脂のエマルジョンを用いることが好まし
い。本発明の部材は、この方法により形成された電着膜
を有することを特徴とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非導電性材料上、
あるいは非導電性材料と導電性材料とが混在する混成材
料からなる基体上に樹脂エマルジョンを用いて電着膜を
形成する方法、およびこの方法により形成された電着膜
を有する部材に関する。
あるいは非導電性材料と導電性材料とが混在する混成材
料からなる基体上に樹脂エマルジョンを用いて電着膜を
形成する方法、およびこの方法により形成された電着膜
を有する部材に関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂、ゴム、セラミックス等の非導電性
材料からなるフィルム、シート、プレート、成形品等
(以下、「基体」または「被処理基体」ともいう。)の
表面に樹脂被膜を形成する方法としては、この樹脂被膜
を形成する材料の溶液またはエマルジョンをスプレー、
はけ、ドクターブレード、コーター等により基体に直接
塗布する方法、他の基体上に形成した被膜を被処理基体
に転写する方法、上記溶液またはエマルジョンに基体を
浸漬して塗布する方法等が一般的である。
材料からなるフィルム、シート、プレート、成形品等
(以下、「基体」または「被処理基体」ともいう。)の
表面に樹脂被膜を形成する方法としては、この樹脂被膜
を形成する材料の溶液またはエマルジョンをスプレー、
はけ、ドクターブレード、コーター等により基体に直接
塗布する方法、他の基体上に形成した被膜を被処理基体
に転写する方法、上記溶液またはエマルジョンに基体を
浸漬して塗布する方法等が一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしこれらの塗布法
は、形成される樹脂被膜の膜厚を精密に制御するには不
向きであり、特に複雑形状の基体表面に薄い樹脂被膜を
均一に形成することは困難であった。また、ポリイミ
ド、ダイヤモンド、シリコン等の難接着性材料からなる
基体に対しては樹脂被膜の密着性が不足しやすく、被膜
の剥がれ、ふくれ等が発生しやすいという問題があっ
た。
は、形成される樹脂被膜の膜厚を精密に制御するには不
向きであり、特に複雑形状の基体表面に薄い樹脂被膜を
均一に形成することは困難であった。また、ポリイミ
ド、ダイヤモンド、シリコン等の難接着性材料からなる
基体に対しては樹脂被膜の密着性が不足しやすく、被膜
の剥がれ、ふくれ等が発生しやすいという問題があっ
た。
【0004】一方、金属等の導電性材料と、樹脂、ゴ
ム、無機材料等の非導電性材料とが混在した混成材料か
らなる基体において、導電性材料からなる部分を酸等の
薬品から保護する等の目的で、導電性材料上に樹脂被膜
を形成する場合がある。この際、被処理基体を一方の電
極とし、樹脂エマルジョンを電着液とした電着法を用い
ることにより、表面に凹凸があるなど複雑形状の基体で
あっても、導電性材料の形状に沿って樹脂被膜を形成す
ることができる。しかし、このような混成材料からなる
基体では、電着法により導電性材料上に形成された樹脂
被膜(以下、電着法により形成された被膜を「電着膜」
ともいう。)と、非導電性材料(通常の電着法による
と、この上には樹脂被膜が形成されない)との密着性が
不十分となりやすく、この界面から浸入した薬品によっ
て導電性材料が侵される場合があった。
ム、無機材料等の非導電性材料とが混在した混成材料か
らなる基体において、導電性材料からなる部分を酸等の
薬品から保護する等の目的で、導電性材料上に樹脂被膜
を形成する場合がある。この際、被処理基体を一方の電
極とし、樹脂エマルジョンを電着液とした電着法を用い
ることにより、表面に凹凸があるなど複雑形状の基体で
あっても、導電性材料の形状に沿って樹脂被膜を形成す
ることができる。しかし、このような混成材料からなる
基体では、電着法により導電性材料上に形成された樹脂
被膜(以下、電着法により形成された被膜を「電着膜」
ともいう。)と、非導電性材料(通常の電着法による
と、この上には樹脂被膜が形成されない)との密着性が
不十分となりやすく、この界面から浸入した薬品によっ
て導電性材料が侵される場合があった。
【0005】本発明の目的は、非導電材料上、あるいは
非導電性材料と導電性材料とが混在する混成材料からな
る基体上に密着性の良い電着膜を形成する方法、および
この方法により形成された電着膜を備えた部材を提供す
ることにある。
非導電性材料と導電性材料とが混在する混成材料からな
る基体上に密着性の良い電着膜を形成する方法、および
この方法により形成された電着膜を備えた部材を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の電着膜の
形成方法は、非導電性材料、あるいは非導電性材料と導
電性材料とが混在する混成材料からなる基体上に電着膜
を形成する方法であって、金属蒸着により上記基体表面
のうち少なくとも上記非導電性材料上に導電層を形成し
た後、樹脂エマルジョンを用いた電着法により電着膜を
形成することを特徴とする。上記樹脂エマルジョンは、
請求項2記載のように、ポリイミド系樹脂、エポキシ系
樹脂、アクリル系樹脂およびポリエステル系樹脂から選
択された少なくとも一種の樹脂のエマルジョンであるこ
とが好ましい。
形成方法は、非導電性材料、あるいは非導電性材料と導
電性材料とが混在する混成材料からなる基体上に電着膜
を形成する方法であって、金属蒸着により上記基体表面
のうち少なくとも上記非導電性材料上に導電層を形成し
た後、樹脂エマルジョンを用いた電着法により電着膜を
形成することを特徴とする。上記樹脂エマルジョンは、
請求項2記載のように、ポリイミド系樹脂、エポキシ系
樹脂、アクリル系樹脂およびポリエステル系樹脂から選
択された少なくとも一種の樹脂のエマルジョンであるこ
とが好ましい。
【0007】また、請求項3記載の部材は、請求項1ま
たは2の方法により形成された電着膜を有することを特
徴とする。以下、本発明につき詳しく説明する。
たは2の方法により形成された電着膜を有することを特
徴とする。以下、本発明につき詳しく説明する。
【0008】(1)被処理基体 本発明の方法により電着膜を形成する基体は、非導電
性材料からなるか、あるいは、非導電性材料と導電性
材料とが混在する混成材料からなる。この非導電性材
料、各種樹脂、ゴム、無機材料等のいずれでもよく、こ
れらの複合材料であってもよい。また、基体の形状も特
に限定されず、例えばフィルム状、シート状、円板状等
の基体に適用することができる。なお、この基体は少な
くとも表面部分が上記または上記の材料からなるも
のであればよく、例えば導電性材料からなるベース上に
上記または上記の材料からなる層を有する基体、非
導電性材料からなるベース上に上記の材料からなる層
を有する基体等も本発明の基体として使用することがで
きる。
性材料からなるか、あるいは、非導電性材料と導電性
材料とが混在する混成材料からなる。この非導電性材
料、各種樹脂、ゴム、無機材料等のいずれでもよく、こ
れらの複合材料であってもよい。また、基体の形状も特
に限定されず、例えばフィルム状、シート状、円板状等
の基体に適用することができる。なお、この基体は少な
くとも表面部分が上記または上記の材料からなるも
のであればよく、例えば導電性材料からなるベース上に
上記または上記の材料からなる層を有する基体、非
導電性材料からなるベース上に上記の材料からなる層
を有する基体等も本発明の基体として使用することがで
きる。
【0009】このうち、上記のように非導電性材料か
らなる基体としては、ポリイミド、ポリテトラフロロエ
チレン(PTFE)等の樹脂からなるフィルムまたはシ
ートが好ましい。
らなる基体としては、ポリイミド、ポリテトラフロロエ
チレン(PTFE)等の樹脂からなるフィルムまたはシ
ートが好ましい。
【0010】一方、上記のように非導電性材料と導電
性材料とが混在する混成材料としては、非導電性材料が
連続相をなし導電性材料が不連続相をなす材料、導電性
材料が連続相をなし導電性材料が不連続相をなす材料、
非導電性材料と導電性材料のいずれも不連続相である材
料のいずれでもよい。このうち、樹脂エマルジョンを用
いた電着工程を容易にするためには、導電性材料が連続
相をなし非導電性材料が不連続相をなす材料が好まし
い。非導電性材料としてはダイヤモンド、金属酸化物、
金属炭化物、金属窒化物等の無機材料が、導電性材料と
してはニッケル、銅、金、アルミニウム、亜鉛、スズ、
コバルト、白金、銀等の単体金属あるいはこれらの合金
が好ましい。これらの混成材料からなる基体としては、
金属等の導電性材料からなるベースプレート上に非導電
性材料からなる砥粒が金属メッキ等の導電性保持層によ
り固定された研磨プレート等が挙げられる。
性材料とが混在する混成材料としては、非導電性材料が
連続相をなし導電性材料が不連続相をなす材料、導電性
材料が連続相をなし導電性材料が不連続相をなす材料、
非導電性材料と導電性材料のいずれも不連続相である材
料のいずれでもよい。このうち、樹脂エマルジョンを用
いた電着工程を容易にするためには、導電性材料が連続
相をなし非導電性材料が不連続相をなす材料が好まし
い。非導電性材料としてはダイヤモンド、金属酸化物、
金属炭化物、金属窒化物等の無機材料が、導電性材料と
してはニッケル、銅、金、アルミニウム、亜鉛、スズ、
コバルト、白金、銀等の単体金属あるいはこれらの合金
が好ましい。これらの混成材料からなる基体としては、
金属等の導電性材料からなるベースプレート上に非導電
性材料からなる砥粒が金属メッキ等の導電性保持層によ
り固定された研磨プレート等が挙げられる。
【0011】以下、本発明の基体として上記「研磨プレ
ート」を用いる場合につき、さらに説明する。この研磨
プレートに用いられる「砥粒」は、非導電性の材料から
なるものであれば特に限定されず、この研磨プレートの
使用目的や加工される材料などに応じて選択することが
できる。通常は硬度2以上のものを使用することが好ま
しい。具体的には、ダイヤモンド、アルミナ、シリカ、
炭化珪素、黒鉛、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、酸化ジルコ
ニウム、酸化セリウム等からなる微粒子が挙げられる。
これらのうち1種のみを用いてもよく、2種以上を併用
してもよい。砥粒の平均粒子径は特に制限されず、研磨
プレートの使用目的などに応じて選択すればよい。通常
は0.01〜500μmであり、0.05〜400μm
であることが好ましく、0.1〜300μmであること
がさらに好ましい。
ート」を用いる場合につき、さらに説明する。この研磨
プレートに用いられる「砥粒」は、非導電性の材料から
なるものであれば特に限定されず、この研磨プレートの
使用目的や加工される材料などに応じて選択することが
できる。通常は硬度2以上のものを使用することが好ま
しい。具体的には、ダイヤモンド、アルミナ、シリカ、
炭化珪素、黒鉛、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、酸化ジルコ
ニウム、酸化セリウム等からなる微粒子が挙げられる。
これらのうち1種のみを用いてもよく、2種以上を併用
してもよい。砥粒の平均粒子径は特に制限されず、研磨
プレートの使用目的などに応じて選択すればよい。通常
は0.01〜500μmであり、0.05〜400μm
であることが好ましく、0.1〜300μmであること
がさらに好ましい。
【0012】研磨プレートに使用する「ベースプレー
ト」は導電性を有する基板であって、その材質は特に限
定されないが、通常は銅、ステンレス、ニッケル、アル
ミ、鉄等の金属が好ましく使用される。また、ベースプ
レートの形状も特に限定されず、ペレット型、リング
型、多角形型、円型などのいずれの形状でもよい。
ト」は導電性を有する基板であって、その材質は特に限
定されないが、通常は銅、ステンレス、ニッケル、アル
ミ、鉄等の金属が好ましく使用される。また、ベースプ
レートの形状も特に限定されず、ペレット型、リング
型、多角形型、円型などのいずれの形状でもよい。
【0013】上記砥粒は、導電性材料からなる「導電性
保持層」によって上記ベースプレート上に固定されてい
る。導電性保持層の例としては、砥粒を固定する金属メ
ッキ層、砥粒と金属とを含むペーストを塗布し焼結して
形成されたメタルボンド層における金属部分、等が挙げ
られる。なお、砥粒の少なくとも一部は導電性保持層か
ら露出しており、この露出部分により研磨等の作用が発
揮される。ただし、導電性保持層中に完全に埋まった砥
粒が存在してもよい。上記導電性保持層の材質は特に限
定されないが、砥粒の固定強度が高くまた導電性保持層
を形成しやすいことから、通常は亜鉛、銅、ニッケル、
スズ、コバルト、金、銀またはこれらの合金からなるこ
とが好ましい。
保持層」によって上記ベースプレート上に固定されてい
る。導電性保持層の例としては、砥粒を固定する金属メ
ッキ層、砥粒と金属とを含むペーストを塗布し焼結して
形成されたメタルボンド層における金属部分、等が挙げ
られる。なお、砥粒の少なくとも一部は導電性保持層か
ら露出しており、この露出部分により研磨等の作用が発
揮される。ただし、導電性保持層中に完全に埋まった砥
粒が存在してもよい。上記導電性保持層の材質は特に限
定されないが、砥粒の固定強度が高くまた導電性保持層
を形成しやすいことから、通常は亜鉛、銅、ニッケル、
スズ、コバルト、金、銀またはこれらの合金からなるこ
とが好ましい。
【0014】上記導電性保持層を金属メッキ層により形
成する場合、その方法は電解メッキ法でも無電解メッキ
法でもよい。電解メッキ法による場合には、例えば青酸
亜鉛、青酸銅等の青酸塩、硫酸銅等を含むメッキ液を使
用することができる。一方、無電解メッキ法による場合
には、ニッケル、ニッケル−リン、ニッケル−ホウ素等
を含むメッキ液を使用することができる。このうち、均
一な膜厚が得られること、高いメッキ速度が得られるこ
と、外観の仕上がりのよいこと、メッキ後の焼結により
高硬度のメッキ層が得られることなどの理由から、ニッ
ケル−リンを含むメッキ液を用いた無電解メッキ法を用
いることが好ましい。また、これらの方法によりメッキ
された金属は、さらに焼結されることが好ましい。
成する場合、その方法は電解メッキ法でも無電解メッキ
法でもよい。電解メッキ法による場合には、例えば青酸
亜鉛、青酸銅等の青酸塩、硫酸銅等を含むメッキ液を使
用することができる。一方、無電解メッキ法による場合
には、ニッケル、ニッケル−リン、ニッケル−ホウ素等
を含むメッキ液を使用することができる。このうち、均
一な膜厚が得られること、高いメッキ速度が得られるこ
と、外観の仕上がりのよいこと、メッキ後の焼結により
高硬度のメッキ層が得られることなどの理由から、ニッ
ケル−リンを含むメッキ液を用いた無電解メッキ法を用
いることが好ましい。また、これらの方法によりメッキ
された金属は、さらに焼結されることが好ましい。
【0015】(2)導電層 上記基体表面のうち「少なくとも非導電性材料上」に、
金属蒸着により上記導電層を形成する。すなわち、基体
表面が非導電性材料のみからなる場合にはその一部また
は全体に導電層を形成することができる。このうち基体
表面の全体に形成することが好ましく、これにより電着
工程が容易となる。また、基体表面において非導電性材
料および導電性材料が混在している場合には、その全体
に導電層を形成してもよく、非導電性材料の一部または
全部の上に導電層を形成し導電性材料上には導電層を形
成しなくてもよい。このうち、蒸着操作が容易であると
ともに、得られる電着膜による導電性材料の保護効果が
確実なものとなることから、基体表面の全体に導電層を
形成することが好ましい。
金属蒸着により上記導電層を形成する。すなわち、基体
表面が非導電性材料のみからなる場合にはその一部また
は全体に導電層を形成することができる。このうち基体
表面の全体に形成することが好ましく、これにより電着
工程が容易となる。また、基体表面において非導電性材
料および導電性材料が混在している場合には、その全体
に導電層を形成してもよく、非導電性材料の一部または
全部の上に導電層を形成し導電性材料上には導電層を形
成しなくてもよい。このうち、蒸着操作が容易であると
ともに、得られる電着膜による導電性材料の保護効果が
確実なものとなることから、基体表面の全体に導電層を
形成することが好ましい。
【0016】蒸着する金属としては、金、銀、銅、アル
ミニウム、白金等を用いることが好ましい。なお、金属
蒸着の条件等は常法に従えばよい。形成する導電層の厚
さは特に限定されないが、好ましくは1〜200nm、
より好ましくは10〜100nmである。導電層が薄す
ぎると、この上に電着膜を形成することが困難になる。
一方、導電層が厚すぎると蒸着に要する時間が長くなり
生産性が低下する。
ミニウム、白金等を用いることが好ましい。なお、金属
蒸着の条件等は常法に従えばよい。形成する導電層の厚
さは特に限定されないが、好ましくは1〜200nm、
より好ましくは10〜100nmである。導電層が薄す
ぎると、この上に電着膜を形成することが困難になる。
一方、導電層が厚すぎると蒸着に要する時間が長くなり
生産性が低下する。
【0017】(3)樹脂エマルジョン 上記導電層を形成した基体(以下、「導電層付基体」と
もいう。)に、樹脂エマルジョンを用いた電着法により
電着膜を形成する。この樹脂エマルジョンとしては通
常、重合性化合物および重合体の少なくとも一方を含む
「電着性粒子」が水性媒体に分散したものを用いる。上
記電着性粒子は表面に電荷を有することが好ましい。こ
の表面電荷はアニオン型でもカチオン型でもよいが、基
体側を陰極として電着することによりこの基体または導
電層からの金属の溶出が防止できることから、カチオン
型の電着性粒子であることが好ましい。ここで、「重合
性化合物」とは重合性基を有する化合物を指し、完全硬
化前の前駆的重合体、重合性オリゴマー、単量体などを
含む意味である。一方、「重合体」とは実質的に重合反
応が完了した化合物を指す。ただし、加熱、湿気などに
よりこの重合体を電着後に架橋させることも可能であ
る。
もいう。)に、樹脂エマルジョンを用いた電着法により
電着膜を形成する。この樹脂エマルジョンとしては通
常、重合性化合物および重合体の少なくとも一方を含む
「電着性粒子」が水性媒体に分散したものを用いる。上
記電着性粒子は表面に電荷を有することが好ましい。こ
の表面電荷はアニオン型でもカチオン型でもよいが、基
体側を陰極として電着することによりこの基体または導
電層からの金属の溶出が防止できることから、カチオン
型の電着性粒子であることが好ましい。ここで、「重合
性化合物」とは重合性基を有する化合物を指し、完全硬
化前の前駆的重合体、重合性オリゴマー、単量体などを
含む意味である。一方、「重合体」とは実質的に重合反
応が完了した化合物を指す。ただし、加熱、湿気などに
よりこの重合体を電着後に架橋させることも可能であ
る。
【0018】上記電着性粒子は、ポリイミド系樹脂、エ
ポキシ系樹脂、アクリル系樹脂およびポリエステル系樹
脂から選択される一種または二種以上からなることが好
ましい。また、これらの樹脂に加えてさらに他の成分を
含んでもよい。また、これらの樹脂は互いに、あるいは
他の成分と化学的に結合されていてもよい。本発明の方
法においては、耐薬品性、耐熱性、電気絶縁性、機械的
特性等に優れた電着膜を形成し得ることから、ポリイミ
ド系樹脂を主成分とする電着性粒子の樹脂エマルジョン
を用いることが特に好ましい。ここで、「ポリイミド系
樹脂」とは、ポリイミド樹脂または電着後の加熱などに
より硬化可能な前駆的重合体(たとえばポリアミック酸
など。)、ポリイミド樹脂の形成に用いられる単量体と
他の単量体との共重合体樹脂またはその前駆的重合体、
ポリイミド樹脂またはその前駆的重合体と他の化合物と
の反応物、さらにポリイミド系樹脂の形成に用いられる
単量体、オリゴマーなどをも含む意味であり、他の樹脂
についても同様である。
ポキシ系樹脂、アクリル系樹脂およびポリエステル系樹
脂から選択される一種または二種以上からなることが好
ましい。また、これらの樹脂に加えてさらに他の成分を
含んでもよい。また、これらの樹脂は互いに、あるいは
他の成分と化学的に結合されていてもよい。本発明の方
法においては、耐薬品性、耐熱性、電気絶縁性、機械的
特性等に優れた電着膜を形成し得ることから、ポリイミ
ド系樹脂を主成分とする電着性粒子の樹脂エマルジョン
を用いることが特に好ましい。ここで、「ポリイミド系
樹脂」とは、ポリイミド樹脂または電着後の加熱などに
より硬化可能な前駆的重合体(たとえばポリアミック酸
など。)、ポリイミド樹脂の形成に用いられる単量体と
他の単量体との共重合体樹脂またはその前駆的重合体、
ポリイミド樹脂またはその前駆的重合体と他の化合物と
の反応物、さらにポリイミド系樹脂の形成に用いられる
単量体、オリゴマーなどをも含む意味であり、他の樹脂
についても同様である。
【0019】以下、主としてポリイミド系樹脂からから
なる電着性粒子のエマルジョン(以下、「ポリイミド系
樹脂エマルジョン」という。)、主としてエポキシ系樹
脂からなる電着性粒子のエマルジョン(以下、「エポキ
シ系樹脂エマルジョン」という。)、主としてアクリル
系樹脂からなる電着性粒子のエマルジョン(以下、「ア
クリル系樹脂エマルジョン」という。)および主として
ポリエステル系樹脂からなる電着性粒子のエマルジョン
(以下、「ポリエステル系樹脂エマルジョン」とい
う。)の製造方法について説明する。
なる電着性粒子のエマルジョン(以下、「ポリイミド系
樹脂エマルジョン」という。)、主としてエポキシ系樹
脂からなる電着性粒子のエマルジョン(以下、「エポキ
シ系樹脂エマルジョン」という。)、主としてアクリル
系樹脂からなる電着性粒子のエマルジョン(以下、「ア
クリル系樹脂エマルジョン」という。)および主として
ポリエステル系樹脂からなる電着性粒子のエマルジョン
(以下、「ポリエステル系樹脂エマルジョン」とい
う。)の製造方法について説明する。
【0020】ポリイミド系樹脂エマルジョン 本発明の方法に用いる樹脂エマルジョンとしては、ポリ
イミド系樹脂エマルジョンが特に好ましい。このポリイ
ミド系樹脂エマルジョンの好ましい例としては下記の二
種類が挙げられる。 〔1〕(A)有機溶媒可溶性のポリイミドと(B)親水
性ポリマーとの複合粒子からなるポリイミド系樹脂エマ
ルジョン。例えば特開平11−49951公報に記載の
方法により好ましく製造される。 〔2〕(C)ポリアミック酸と(D)疎水性化合物との
複合粒子を含む粒子からなるポリイミド系樹脂エマルジ
ョン。例えば特開平11−60947号公報に記載の方
法により好ましく製造される。 これらのポリイミド系樹脂エマルジョンは、水性分散体
としての保存安定性に優れるとともに、このエマルジョ
ン中の粒子を電着することによりポリイミド本来の耐熱
性、電気絶縁性、機械的特性、耐薬品性等が保持された
電着膜を形成可能であるため好ましい。
イミド系樹脂エマルジョンが特に好ましい。このポリイ
ミド系樹脂エマルジョンの好ましい例としては下記の二
種類が挙げられる。 〔1〕(A)有機溶媒可溶性のポリイミドと(B)親水
性ポリマーとの複合粒子からなるポリイミド系樹脂エマ
ルジョン。例えば特開平11−49951公報に記載の
方法により好ましく製造される。 〔2〕(C)ポリアミック酸と(D)疎水性化合物との
複合粒子を含む粒子からなるポリイミド系樹脂エマルジ
ョン。例えば特開平11−60947号公報に記載の方
法により好ましく製造される。 これらのポリイミド系樹脂エマルジョンは、水性分散体
としての保存安定性に優れるとともに、このエマルジョ
ン中の粒子を電着することによりポリイミド本来の耐熱
性、電気絶縁性、機械的特性、耐薬品性等が保持された
電着膜を形成可能であるため好ましい。
【0021】上記〔1〕のポリイミド系樹脂エマルジョ
ンの製造方法についてさらに詳しく説明する。 (A)有機溶媒可溶性のポリイミドの合成法は特に限定
されるものではないが、例えば、有機極性溶媒中、テト
ラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを混合して重
縮合させて、ポリアミック酸を得たのち、該ポリアミッ
ク酸を加熱イミド化法または化学イミド化法により脱水
閉環反応させることにより、ポリイミドを合成すること
ができる。また、テトラカルボン酸二無水物とジアミン
化合物との重縮合を多段階で行うことにより、ブロック
構造を有するポリイミドを合成することも可能である。
この有機溶媒可溶性のポリイミドは、例えば、カルボキ
シル基、アミノ基、水酸基、スルホン酸基、アミド基、
エポキシ基、イソシアネート基等の反応性基(a)を1
種以上有することが好ましい。反応性基(a)を有する
ポリイミドの合成方法としては、例えば、ポリアミック
酸の合成に使用されるカルボン酸二無水物、ジアミン化
合物、カルボン酸一無水物、モノアミン化合物等の反応
原料として、反応性基(a)を有する化合物を使用し、
脱水閉環反応後に反応性基(a)を残存させる方法等を
挙げることができる。
ンの製造方法についてさらに詳しく説明する。 (A)有機溶媒可溶性のポリイミドの合成法は特に限定
されるものではないが、例えば、有機極性溶媒中、テト
ラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを混合して重
縮合させて、ポリアミック酸を得たのち、該ポリアミッ
ク酸を加熱イミド化法または化学イミド化法により脱水
閉環反応させることにより、ポリイミドを合成すること
ができる。また、テトラカルボン酸二無水物とジアミン
化合物との重縮合を多段階で行うことにより、ブロック
構造を有するポリイミドを合成することも可能である。
この有機溶媒可溶性のポリイミドは、例えば、カルボキ
シル基、アミノ基、水酸基、スルホン酸基、アミド基、
エポキシ基、イソシアネート基等の反応性基(a)を1
種以上有することが好ましい。反応性基(a)を有する
ポリイミドの合成方法としては、例えば、ポリアミック
酸の合成に使用されるカルボン酸二無水物、ジアミン化
合物、カルボン酸一無水物、モノアミン化合物等の反応
原料として、反応性基(a)を有する化合物を使用し、
脱水閉環反応後に反応性基(a)を残存させる方法等を
挙げることができる。
【0022】(B)親水性ポリマーは、親水性基とし
て、例えば、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、スル
ホン酸基、アミド基等を1種以上有し、水に対する20
℃の溶解度が、通常0.01g/100g以上、好まし
くは0.05g/100g以上である親水性ポリマーか
らなる。前記親水性基に加えて、前記(A)成分中の反
応性基(a)と反応しうる反応性基(b)を1種以上有
することが好ましい。このような反応性基(b)として
は、例えば、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキ
シル基のほか、前記親水性基と同様の基等を挙げること
ができる。このような親水性ポリマーは、親水性基およ
び/または反応性基(b)を有するモノビニル単量体を
単独重合または共重合させるか、あるいはこれらのモノ
ビニル単量体と他の単量体とを共重合させることにより
得ることができる。
て、例えば、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、スル
ホン酸基、アミド基等を1種以上有し、水に対する20
℃の溶解度が、通常0.01g/100g以上、好まし
くは0.05g/100g以上である親水性ポリマーか
らなる。前記親水性基に加えて、前記(A)成分中の反
応性基(a)と反応しうる反応性基(b)を1種以上有
することが好ましい。このような反応性基(b)として
は、例えば、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキ
シル基のほか、前記親水性基と同様の基等を挙げること
ができる。このような親水性ポリマーは、親水性基およ
び/または反応性基(b)を有するモノビニル単量体を
単独重合または共重合させるか、あるいはこれらのモノ
ビニル単量体と他の単量体とを共重合させることにより
得ることができる。
【0023】この(A)有機溶媒可溶性のポリイミドと
(B)親水性ポリマーとを、反応性基(a)と親水性ポ
リマー中の反応性基(b)とが適切な反応性を有する組
み合わせとなるように選択し、該ポリイミドと該親水性
ポリマーとを、例えば有機溶媒中にて溶液状態で混合し
て、必要に応じて加熱しつつ、反応させたのち、この反
応溶液と水性媒体とを混合し、場合により有機溶媒の少
なくとも一部を除去することにより、該ポリイミドと該
親水性ポリマーとを相互に結合して同一粒子内に含む複
合粒子からなるポリイミド系樹脂エマルジョンを得るこ
とができる。
(B)親水性ポリマーとを、反応性基(a)と親水性ポ
リマー中の反応性基(b)とが適切な反応性を有する組
み合わせとなるように選択し、該ポリイミドと該親水性
ポリマーとを、例えば有機溶媒中にて溶液状態で混合し
て、必要に応じて加熱しつつ、反応させたのち、この反
応溶液と水性媒体とを混合し、場合により有機溶媒の少
なくとも一部を除去することにより、該ポリイミドと該
親水性ポリマーとを相互に結合して同一粒子内に含む複
合粒子からなるポリイミド系樹脂エマルジョンを得るこ
とができる。
【0024】次に、上記〔2〕のポリイミド系樹脂エマ
ルジョンの製造方法についてさらに詳しく説明する。ポ
リイミドの前駆体である(C)ポリアミック酸の合成法
は、特に限定されるものではないが、例えば、有機極性
溶媒中、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物と
の重縮合反応によりポリアミック酸を得ることができ
る。また、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物
との重縮合反応を多段階で行うことにより、ブロック構
造を有するポリアミック酸を合成することも可能であ
る。なお、ポリアミック酸を脱水閉環させることにより
部分的にイミド化したポリアミック酸も使用可能であ
る。
ルジョンの製造方法についてさらに詳しく説明する。ポ
リイミドの前駆体である(C)ポリアミック酸の合成法
は、特に限定されるものではないが、例えば、有機極性
溶媒中、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物と
の重縮合反応によりポリアミック酸を得ることができ
る。また、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物
との重縮合反応を多段階で行うことにより、ブロック構
造を有するポリアミック酸を合成することも可能であ
る。なお、ポリアミック酸を脱水閉環させることにより
部分的にイミド化したポリアミック酸も使用可能であ
る。
【0025】一方、(D)疎水性化合物は、前記ポリア
ミック酸中の少なくともアミド酸基と反応しうる基(以
下、「反応性基」という。)を有する化合物である。こ
の反応性基としては、例えば、エポキシ基、イソシアナ
ト基、カルボジイミド基、水酸基、メルカプト基、ハロ
ゲン基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル
基、ジアゾ基、カルボニル基等を挙げることができる。
これらの反応性基は、疎水性化合物中に1種以上存在す
ることができる。なお、「疎水性」とは、水に対する2
0℃の溶解度が、通常、0.05g/100g未満、好
ましくは0.01/100g未満、さらに好ましくは
0.005g/100g未満であることを意味する。
ミック酸中の少なくともアミド酸基と反応しうる基(以
下、「反応性基」という。)を有する化合物である。こ
の反応性基としては、例えば、エポキシ基、イソシアナ
ト基、カルボジイミド基、水酸基、メルカプト基、ハロ
ゲン基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル
基、ジアゾ基、カルボニル基等を挙げることができる。
これらの反応性基は、疎水性化合物中に1種以上存在す
ることができる。なお、「疎水性」とは、水に対する2
0℃の溶解度が、通常、0.05g/100g未満、好
ましくは0.01/100g未満、さらに好ましくは
0.005g/100g未満であることを意味する。
【0026】このような疎水性化合物としては、例え
ば、エポキシ化ポリブタジエン、ビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂、フルオレン系
エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジル
エステル型エポキシ樹脂、アリルグリシジルエーテル、
グリシジル(メタ)アクリレート、1,3,5,6−テ
トラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,
N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシレンジアミ
ン、トリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルカル
ボジイミド、ポリカルボジイミド、コレステロール、ベ
ンジルアルコールp−トルエンスルホン酸エステル、ク
ロロ酢酸エチル、トリアジントリチオール、ジアゾメタ
ン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等から選択され
る1種または2種以上を使用することができる。
ば、エポキシ化ポリブタジエン、ビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂、フルオレン系
エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジル
エステル型エポキシ樹脂、アリルグリシジルエーテル、
グリシジル(メタ)アクリレート、1,3,5,6−テ
トラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,
N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシレンジアミ
ン、トリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルカル
ボジイミド、ポリカルボジイミド、コレステロール、ベ
ンジルアルコールp−トルエンスルホン酸エステル、ク
ロロ酢酸エチル、トリアジントリチオール、ジアゾメタ
ン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等から選択され
る1種または2種以上を使用することができる。
【0027】この(C)ポリアミック酸と(D)疎水性
化合物とを、例えば、有機溶媒中にて溶液状態で混合し
て反応させたのち、この反応溶液を水性媒体と混合し、
場合により有機溶媒の少なくとも一部を除去することに
より、ポリアミック酸と疎水性化合物とを同一粒子内に
含む複合粒子からなるポリイミド系樹脂エマルジョンを
得ることができる。
化合物とを、例えば、有機溶媒中にて溶液状態で混合し
て反応させたのち、この反応溶液を水性媒体と混合し、
場合により有機溶媒の少なくとも一部を除去することに
より、ポリアミック酸と疎水性化合物とを同一粒子内に
含む複合粒子からなるポリイミド系樹脂エマルジョンを
得ることができる。
【0028】なお、上記〔1〕および〔2〕のエマルジ
ョンの製造において用いられるテトラカルボン酸二無水
物は特に限定されるものではなく、その例としては、ブ
タンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シク
ロブタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,
4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水
物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−
(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−
ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン等の脂
肪族テトラカルボン酸二無水物あるいは脂環式テトラカ
ルボン酸二無水物;ピロメリット酸二無水物、3,
3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無
水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラ
カルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水
物;等を挙げることができる。これらのテトラカルボン
酸二無水物は、単独でまたは2種以上を混合して使用す
ることができる。
ョンの製造において用いられるテトラカルボン酸二無水
物は特に限定されるものではなく、その例としては、ブ
タンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シク
ロブタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,
4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水
物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−
(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−
ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン等の脂
肪族テトラカルボン酸二無水物あるいは脂環式テトラカ
ルボン酸二無水物;ピロメリット酸二無水物、3,
3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無
水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラ
カルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水
物;等を挙げることができる。これらのテトラカルボン
酸二無水物は、単独でまたは2種以上を混合して使用す
ることができる。
【0029】また、上記〔1〕および〔2〕のエマルジ
ョンの製造において用いられるジアミン化合物は特に限
定されるものではなく、その例としては、p−フェニレ
ンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル]プロパン等の芳香族ジアミン類;1,1−メタキシ
リレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメ
チレンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキ
シルアミン)等の脂肪族ジアミンあるいは脂環式ジアミ
ン類;2,3−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノ−
6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4
−ジアミノ−5−フェニルチアゾール、ビス(4−アミ
ノフェニル)フェニルアミン等の、分子内に2つの第一
級アミノ基および該第一級アミノ基以外の窒素原子を有
するジアミン類;モノ置換フェニレンジアミン類;ジア
ミノオルガノシロキサン;等を挙げることができる。こ
れらのジアミン化合物は、単独でまたは2種以上を混合
して使用することができる。
ョンの製造において用いられるジアミン化合物は特に限
定されるものではなく、その例としては、p−フェニレ
ンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル]プロパン等の芳香族ジアミン類;1,1−メタキシ
リレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメ
チレンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキ
シルアミン)等の脂肪族ジアミンあるいは脂環式ジアミ
ン類;2,3−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノ−
6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4
−ジアミノ−5−フェニルチアゾール、ビス(4−アミ
ノフェニル)フェニルアミン等の、分子内に2つの第一
級アミノ基および該第一級アミノ基以外の窒素原子を有
するジアミン類;モノ置換フェニレンジアミン類;ジア
ミノオルガノシロキサン;等を挙げることができる。こ
れらのジアミン化合物は、単独でまたは2種以上を混合
して使用することができる。
【0030】エポキシ系樹脂エマルジョン エポキシ系樹脂エマルジョンの製造方法は特に限定され
るものではなく、従来公知の方法、例えば特開平9−2
35495号公報、同9−208865号公報に記載の
方法などによればよい。
るものではなく、従来公知の方法、例えば特開平9−2
35495号公報、同9−208865号公報に記載の
方法などによればよい。
【0031】アクリル系樹脂エマルジョン アクリル系樹脂エマルジョンの製造方法は特に限定され
るものではないが、例えば通常の乳化重合法により製造
できる。単量体としては一般的なアクリル系および/ま
たはメタクリル系単量体から選択される一種または二種
以上を用いればよい。このとき、粒子を電着可能とする
ために、アミノ基、アミド基などのカチオン性基を有す
る単量体、またはカルボキシル基、スルホン酸基等など
のアニオン性基を有する単量体を共重合させることが好
ましく、その共重合量は使用する単量体全体に対して5
〜80重量%(より好ましくは10〜50重量%)とす
ることが好ましい。上記アミノ基を有する単量体の具体
例としては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメ
チルアミノプロピルアクリルアミドなどが好ましく使用
される。
るものではないが、例えば通常の乳化重合法により製造
できる。単量体としては一般的なアクリル系および/ま
たはメタクリル系単量体から選択される一種または二種
以上を用いればよい。このとき、粒子を電着可能とする
ために、アミノ基、アミド基などのカチオン性基を有す
る単量体、またはカルボキシル基、スルホン酸基等など
のアニオン性基を有する単量体を共重合させることが好
ましく、その共重合量は使用する単量体全体に対して5
〜80重量%(より好ましくは10〜50重量%)とす
ることが好ましい。上記アミノ基を有する単量体の具体
例としては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメ
チルアミノプロピルアクリルアミドなどが好ましく使用
される。
【0032】ポリエステル系樹脂エマルジョン ポリエステル系樹脂エマルジョンの製造方法は特に限定
されるものではなく、従来公知の方法、例えば特開昭5
7−10663号公報、同57−70153号公報、同
58−174421号公報に記載の方法などによればよ
い。
されるものではなく、従来公知の方法、例えば特開昭5
7−10663号公報、同57−70153号公報、同
58−174421号公報に記載の方法などによればよ
い。
【0033】(4)電着膜 この樹脂エマルジョンからなる電着液に導電層付基体を
浸漬して電極とし、対極を配して電流を流すことによ
り、上記電着性粒子が上記導電層付基体の表面に電着さ
れて電着樹脂層が形成される。このときの電着条件は特
に限定されず、電着液の組成、被処理基体の状態、形成
しようとする電着膜の厚さ等に応じて調整することがで
きる。この電着樹脂層をそのまま本発明の電着膜として
用いてもよいが、さらに加熱硬化させて硬化電着膜とす
ることが好ましい。加熱硬化の条件は特に限定されるも
のではないが、好ましい加熱温度は100℃〜400℃
であり、より好ましくは150〜300℃である。ま
た、好ましい加熱時間は5分以上であり、より好ましく
は10分以上である。この加熱処理により、電着膜の耐
薬品性、機械的特性等が向上する。
浸漬して電極とし、対極を配して電流を流すことによ
り、上記電着性粒子が上記導電層付基体の表面に電着さ
れて電着樹脂層が形成される。このときの電着条件は特
に限定されず、電着液の組成、被処理基体の状態、形成
しようとする電着膜の厚さ等に応じて調整することがで
きる。この電着樹脂層をそのまま本発明の電着膜として
用いてもよいが、さらに加熱硬化させて硬化電着膜とす
ることが好ましい。加熱硬化の条件は特に限定されるも
のではないが、好ましい加熱温度は100℃〜400℃
であり、より好ましくは150〜300℃である。ま
た、好ましい加熱時間は5分以上であり、より好ましく
は10分以上である。この加熱処理により、電着膜の耐
薬品性、機械的特性等が向上する。
【0034】本発明の方法により形成する電着膜の厚さ
は、この電着膜の形成した部材の用途等により異なる
が、0.1μm〜100μmとすることが好ましく、1
〜70μmとすることがより好ましい。厚さが上記範囲
未満では、電着膜を形成したことによる効果が十分に発
揮されない場合がある。一方、電着膜の厚さが大きすぎ
ると電着に長時間を要するため製造効率が低下する。な
お、電着工程の終了後あるいは電着膜の形成後に、電着
膜および/または導電層の一部を除去することにより、
非導電性材料の一部等を露出させてもよい。電着膜およ
び/または導電層を除去するには、ケミカルエッチン
グ、レーザー加工、プラズマ加工等の方法を用いること
ができる。
は、この電着膜の形成した部材の用途等により異なる
が、0.1μm〜100μmとすることが好ましく、1
〜70μmとすることがより好ましい。厚さが上記範囲
未満では、電着膜を形成したことによる効果が十分に発
揮されない場合がある。一方、電着膜の厚さが大きすぎ
ると電着に長時間を要するため製造効率が低下する。な
お、電着工程の終了後あるいは電着膜の形成後に、電着
膜および/または導電層の一部を除去することにより、
非導電性材料の一部等を露出させてもよい。電着膜およ
び/または導電層を除去するには、ケミカルエッチン
グ、レーザー加工、プラズマ加工等の方法を用いること
ができる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、実施例および比較例により
本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下におい
て、特記しない限り、「部」および「%」は重量基準で
ある。
本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下におい
て、特記しない限り、「部」および「%」は重量基準で
ある。
【0036】(1)樹脂エマルジョンの合成 (合成例1;アクリル系樹脂エマルジョン)イオン交換
水200部、「コータミン24」(花王株式会社製、界
面活性剤の商品名)1部を反応器に仕込み、窒素気流下
で系を60℃まで昇温した後、「V−50」(和光純薬
株式会社製、開始剤の商品名)を仕込んで重合反応をス
タートさせた。反応開始後直ちに、イオン交換水30
部、ブチルアクリレート20部、メチルメタクリレート
77部、「DMAPAA−Q」3部(興人株式会社製の
製)、「コータミン24」0.3部、「エマルゲンE−
920」(花王株式会社製、界面活性剤の商品名)2部
からなるモノマーエマルジョンを、3時間かけて連続的
に滴下した。滴下終了後、系を65℃に昇温してさらに
3時間反応させることによって、カチオン性のアクリル
系樹脂を主成分とする電着性粒子のエマルジョンを得
た。
水200部、「コータミン24」(花王株式会社製、界
面活性剤の商品名)1部を反応器に仕込み、窒素気流下
で系を60℃まで昇温した後、「V−50」(和光純薬
株式会社製、開始剤の商品名)を仕込んで重合反応をス
タートさせた。反応開始後直ちに、イオン交換水30
部、ブチルアクリレート20部、メチルメタクリレート
77部、「DMAPAA−Q」3部(興人株式会社製の
製)、「コータミン24」0.3部、「エマルゲンE−
920」(花王株式会社製、界面活性剤の商品名)2部
からなるモノマーエマルジョンを、3時間かけて連続的
に滴下した。滴下終了後、系を65℃に昇温してさらに
3時間反応させることによって、カチオン性のアクリル
系樹脂を主成分とする電着性粒子のエマルジョンを得
た。
【0037】(合成例2;ポリエステル系樹脂エマルジ
ョン)ジメチルテレフタレート466部、ジメチルイソ
フタレート388部、5−ナトリウムスルホイソフタル
酸ジメチル178部、エチレングリコール443部、ネ
オペンチルグリコール400部、酢酸亜鉛0.44部、
酢酸ナトリウム0.04部、三酸化アンチモン0.43
部を反応器に仕込み、140〜220℃で4時間かけて
エステル交換反応を行った。次に、260℃、20mm
Hgの真空下で重縮合反応を1時間行ってポリエステル
樹脂を得た。このポリエステル樹脂30部をイソプロパ
ノール14部と水56部との混合液中に入れ、70〜7
5℃で3時間かけて分散させることによって、カチオン
性のポリエステル系樹脂を主成分とする電着性粒子のエ
マルジョンを得た。
ョン)ジメチルテレフタレート466部、ジメチルイソ
フタレート388部、5−ナトリウムスルホイソフタル
酸ジメチル178部、エチレングリコール443部、ネ
オペンチルグリコール400部、酢酸亜鉛0.44部、
酢酸ナトリウム0.04部、三酸化アンチモン0.43
部を反応器に仕込み、140〜220℃で4時間かけて
エステル交換反応を行った。次に、260℃、20mm
Hgの真空下で重縮合反応を1時間行ってポリエステル
樹脂を得た。このポリエステル樹脂30部をイソプロパ
ノール14部と水56部との混合液中に入れ、70〜7
5℃で3時間かけて分散させることによって、カチオン
性のポリエステル系樹脂を主成分とする電着性粒子のエ
マルジョンを得た。
【0038】(合成例3;エポキシ系樹脂エマルジョ
ン)「コロネートL」(日本ポリウレタン社製の商品
名)および2−エチルヘキサノールからなるブロックイ
ソシアネート46.3部と、「エピコート828」(油
化シェルエポキシ社製の商品名)とジエチルアミンとを
反応させて得られたエポキシアミン付加物89.3部と
を混合し、pH調節剤として酢酸3.8部を加えた。こ
れを、イオン交換水1200部中に攪拌しながら投入す
ることによって、カチオン性のエポキシ系樹脂前駆体を
主成分とする電着性粒子のエマルジョンを得た。
ン)「コロネートL」(日本ポリウレタン社製の商品
名)および2−エチルヘキサノールからなるブロックイ
ソシアネート46.3部と、「エピコート828」(油
化シェルエポキシ社製の商品名)とジエチルアミンとを
反応させて得られたエポキシアミン付加物89.3部と
を混合し、pH調節剤として酢酸3.8部を加えた。こ
れを、イオン交換水1200部中に攪拌しながら投入す
ることによって、カチオン性のエポキシ系樹脂前駆体を
主成分とする電着性粒子のエマルジョンを得た。
【0039】(合成例4;ポリイミド系樹脂エマルジョ
ン)テトラカルボン酸二無水物として3,3’,4,
4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物3
2.29g(90ミリモル)および1,3,3a,4,
5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−
ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フ
ラン−1,3−ジオン3.00g(10ミリモル)、ジ
アミン化合物として2,2−ビス[4−(4−アミノフ
ェノキシ)フェニル]プロパン36.95g(90ミリ
モル)およびオルガノシロキサン「LP7100」(信
越化学製の商品名)2.49g(10ミリモル)を、N
−メチル−2−ピロリドン450gに溶解して、室温で
12時間反応させた。その後、この反応溶液に、ピリジ
ン32gおよび無水酢酸71gを添加し、100℃で3
時間脱水閉環反応を行った。次いで、反応溶液を減圧留
去して精製し、固形分10%のポリイミド溶液を得た。
ジエチレングリコールモノエチルエーテル100部を入
れた反応容器を、窒素ガス雰囲気下で85℃に保持し、
この反応容器に、n−ブチルアクリレート65部、ジメ
チルアミノエチルアクリレート30部、グリシジルメタ
アクリレート5部およびアゾビスイソブチロニトリル1
部からなる混合液を5時間かけて連続的に添加しつつ、
撹拌下で溶液重合を行なった。滴下終了後、85℃でさ
らに2時間撹拌を続けて、溶液重合を完結させ、固形分
50%のアクリルポリマー溶液を得た。ポリイミド溶液
50部(固形分)とアクリルポリマー溶液30部(固形
分)、および「エピコートYL980」(油化シェルエ
ポキシ社製の商品名)20部を混合し、70℃で3時間
反応させた後、酢酸3部を徐々に添加して混合し、pH
調整を行った。次いで、蒸留水1000部を徐々に添加
しつつ強く撹拌して、カチオン性のポリイミド系樹脂を
主成分とする電着性粒子のエマルジョンを得た。
ン)テトラカルボン酸二無水物として3,3’,4,
4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物3
2.29g(90ミリモル)および1,3,3a,4,
5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−
ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フ
ラン−1,3−ジオン3.00g(10ミリモル)、ジ
アミン化合物として2,2−ビス[4−(4−アミノフ
ェノキシ)フェニル]プロパン36.95g(90ミリ
モル)およびオルガノシロキサン「LP7100」(信
越化学製の商品名)2.49g(10ミリモル)を、N
−メチル−2−ピロリドン450gに溶解して、室温で
12時間反応させた。その後、この反応溶液に、ピリジ
ン32gおよび無水酢酸71gを添加し、100℃で3
時間脱水閉環反応を行った。次いで、反応溶液を減圧留
去して精製し、固形分10%のポリイミド溶液を得た。
ジエチレングリコールモノエチルエーテル100部を入
れた反応容器を、窒素ガス雰囲気下で85℃に保持し、
この反応容器に、n−ブチルアクリレート65部、ジメ
チルアミノエチルアクリレート30部、グリシジルメタ
アクリレート5部およびアゾビスイソブチロニトリル1
部からなる混合液を5時間かけて連続的に添加しつつ、
撹拌下で溶液重合を行なった。滴下終了後、85℃でさ
らに2時間撹拌を続けて、溶液重合を完結させ、固形分
50%のアクリルポリマー溶液を得た。ポリイミド溶液
50部(固形分)とアクリルポリマー溶液30部(固形
分)、および「エピコートYL980」(油化シェルエ
ポキシ社製の商品名)20部を混合し、70℃で3時間
反応させた後、酢酸3部を徐々に添加して混合し、pH
調整を行った。次いで、蒸留水1000部を徐々に添加
しつつ強く撹拌して、カチオン性のポリイミド系樹脂を
主成分とする電着性粒子のエマルジョンを得た。
【0040】(2)電着膜の形成 (実施例1)電着膜の形成方法は、大きく2つの工程に
分けられる。まず第1の工程で、基体としての50μm
厚カプトンフィルム(東レ・デュポン社製の商品名)の
一方の表面全体に、常法により10nm厚の銅蒸着層を
形成した。第2の工程では、上記第1の工程で得られた
銅蒸着フィルムを、合成例1で得られたアクリル系樹脂
エマルジョンを含む電着液に浸漬し、定電圧法により陰
極側の銅蒸着フィルム上に電着樹脂層を形成して、銅蒸
着層をポリマーで被覆した。その後、電着樹脂層を10
0℃で10分間加熱した後、さらに250℃で30分間
加熱して硬化させることにより、銅蒸着層上に膜厚20
μmの硬化電着膜を形成した。
分けられる。まず第1の工程で、基体としての50μm
厚カプトンフィルム(東レ・デュポン社製の商品名)の
一方の表面全体に、常法により10nm厚の銅蒸着層を
形成した。第2の工程では、上記第1の工程で得られた
銅蒸着フィルムを、合成例1で得られたアクリル系樹脂
エマルジョンを含む電着液に浸漬し、定電圧法により陰
極側の銅蒸着フィルム上に電着樹脂層を形成して、銅蒸
着層をポリマーで被覆した。その後、電着樹脂層を10
0℃で10分間加熱した後、さらに250℃で30分間
加熱して硬化させることにより、銅蒸着層上に膜厚20
μmの硬化電着膜を形成した。
【0041】(実施例2)実施例1のカプトンフィルム
に代えて、SUS製のベースプレート上にニッケルメッ
キによりダイヤモンド砥粒(直径250μm)を固定し
た研磨プレートを基体に用い、この基体の表面全体に常
法により10nm厚の金蒸着層を形成した。この金蒸着
プレートを、合成例4で得たポリイミド系樹脂エマルジ
ョンを含む電着液に浸漬し、実施例1と同様に電着およ
び加熱硬化を行って硬化電着膜を形成した。
に代えて、SUS製のベースプレート上にニッケルメッ
キによりダイヤモンド砥粒(直径250μm)を固定し
た研磨プレートを基体に用い、この基体の表面全体に常
法により10nm厚の金蒸着層を形成した。この金蒸着
プレートを、合成例4で得たポリイミド系樹脂エマルジ
ョンを含む電着液に浸漬し、実施例1と同様に電着およ
び加熱硬化を行って硬化電着膜を形成した。
【0042】(実施例3)基体の表面全体に銅を蒸着し
た実施例1とは異なり、ライン/スペース=100μm
の微細パターンマスク(SUS製)を介して白金をパタ
ーン蒸着した。また、樹脂エマルジョンとしては合成例
3で得たエポキシ系樹脂エマルジョンを用いた。その他
の点については実施例1と同様にして硬化電着膜を形成
した。
た実施例1とは異なり、ライン/スペース=100μm
の微細パターンマスク(SUS製)を介して白金をパタ
ーン蒸着した。また、樹脂エマルジョンとしては合成例
3で得たエポキシ系樹脂エマルジョンを用いた。その他
の点については実施例1と同様にして硬化電着膜を形成
した。
【0043】(実施例4)金属蒸着に銀を、樹脂エマル
ジョンとして合成例2で得たポリエステル系樹脂エマル
ジョンを用いた以外は、実施例1と同様にして硬化電着
膜を形成した。
ジョンとして合成例2で得たポリエステル系樹脂エマル
ジョンを用いた以外は、実施例1と同様にして硬化電着
膜を形成した。
【0044】(実施例5)基体として50μm厚の「B
Tレジン」(三菱ガス化学株式会社製の商品名)、金属
蒸着にアルミニウムを、樹脂エマルジョンとして合成例
4で得たポリイミド系樹脂エマルジョンを用いた点以外
は、実施例1と同様にして硬化電着膜を形成した。
Tレジン」(三菱ガス化学株式会社製の商品名)、金属
蒸着にアルミニウムを、樹脂エマルジョンとして合成例
4で得たポリイミド系樹脂エマルジョンを用いた点以外
は、実施例1と同様にして硬化電着膜を形成した。
【0045】(比較例1)実施例1と同じカプトンフィ
ルム上に、合成例1で得たアクリル系樹脂エマルジョン
をバーコーターで塗布し、100℃で10分間加熱した
後、さらに250℃で30分間加熱して硬化させること
により、カプトンフィルム上に膜厚20μmの硬化被膜
を形成した。
ルム上に、合成例1で得たアクリル系樹脂エマルジョン
をバーコーターで塗布し、100℃で10分間加熱した
後、さらに250℃で30分間加熱して硬化させること
により、カプトンフィルム上に膜厚20μmの硬化被膜
を形成した。
【0046】(3)性能評価 上記実施例1〜5および比較例1により得られた被膜の
性能を下記の方法により評価した。その結果を表1およ
び表2に示す。〔耐薬品性〕実施例1〜5および比較例
1により基体上に被膜を形成した部材を、5重量%塩酸
水溶液、5重量%硫酸水溶液、10重量%硝酸水溶液、
5重量%水酸化ナトリウム水溶液および42重量%塩化
第二鉄水溶液に、それぞれ常温で24時間浸漬し、浸漬
の前後における外観の変化を見ることにより耐薬品性を
評価した。評価結果は、○;変化なし、×;被膜の剥離
や膨れが見られる、の2段階で示す。 〔接着性〕実施例1、4、5および比較例1により得ら
れた被膜につき、JIS D0202の碁盤目試験に準
拠して行った。
性能を下記の方法により評価した。その結果を表1およ
び表2に示す。〔耐薬品性〕実施例1〜5および比較例
1により基体上に被膜を形成した部材を、5重量%塩酸
水溶液、5重量%硫酸水溶液、10重量%硝酸水溶液、
5重量%水酸化ナトリウム水溶液および42重量%塩化
第二鉄水溶液に、それぞれ常温で24時間浸漬し、浸漬
の前後における外観の変化を見ることにより耐薬品性を
評価した。評価結果は、○;変化なし、×;被膜の剥離
や膨れが見られる、の2段階で示す。 〔接着性〕実施例1、4、5および比較例1により得ら
れた被膜につき、JIS D0202の碁盤目試験に準
拠して行った。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】表1および表2から判るように、本発明の
方法により形成した電着膜はいずれも基体との接着性
(密着性)が高かった。また、耐薬品性も良好であり、
電着膜の下に形成された蒸着金属が薬品に侵されるよう
なことはなかった。一方、比較例1の被膜は、基体に対
する密着性が不足しており、薬品により被膜の剥離や膨
れが発生した。
方法により形成した電着膜はいずれも基体との接着性
(密着性)が高かった。また、耐薬品性も良好であり、
電着膜の下に形成された蒸着金属が薬品に侵されるよう
なことはなかった。一方、比較例1の被膜は、基体に対
する密着性が不足しており、薬品により被膜の剥離や膨
れが発生した。
【0050】なお、実施例2で電着膜を形成した部材
(研磨プレート)につき、上記耐薬品性試験における浸
漬後の部材重量を浸漬前と比較したところ、いずれの薬
品に対しても重量減少量は1mg/mm2未満であっ
た。また、浸漬後における研磨プレートからの砥粒の脱
落は5%未満であり、電着膜による保護効果が十分に発
揮されていた。これに対して、金属蒸着を行わない点以
外は実施例2と同様にして電着膜を形成した研磨プレー
トでは、いずれの薬品に対しても重量減少量1mg/m
m2以上と砥粒を固定する金属メッキ層(導電性保持
層)が薬品に溶解し、その結果として砥粒の5%以上が
脱落した。これは、金属蒸着による導電層を形成しない
場合には電着膜とダイヤモンド砥粒(非導電性材料)と
の密着性が低く、この界面から金属メッキ層へと薬品が
浸入したためと推察される。
(研磨プレート)につき、上記耐薬品性試験における浸
漬後の部材重量を浸漬前と比較したところ、いずれの薬
品に対しても重量減少量は1mg/mm2未満であっ
た。また、浸漬後における研磨プレートからの砥粒の脱
落は5%未満であり、電着膜による保護効果が十分に発
揮されていた。これに対して、金属蒸着を行わない点以
外は実施例2と同様にして電着膜を形成した研磨プレー
トでは、いずれの薬品に対しても重量減少量1mg/m
m2以上と砥粒を固定する金属メッキ層(導電性保持
層)が薬品に溶解し、その結果として砥粒の5%以上が
脱落した。これは、金属蒸着による導電層を形成しない
場合には電着膜とダイヤモンド砥粒(非導電性材料)と
の密着性が低く、この界面から金属メッキ層へと薬品が
浸入したためと推察される。
【0051】
【発明の効果】本発明の電着膜の形成方法によると、非
導電性材料、あるいは非導電性材料と導電性材料とが混
在する混成材料からなる基体上に、電着法によって、接
着性のよい被膜(電着膜)を形成することができる。こ
の電着膜は耐薬品性等の性能にも優れるため、基体の保
護層として好適である。したがって、本発明の電着膜の
形成方法は、電子機器、電子部品およびそれらの製造装
置や、研磨加工用または研削加工用部材等の表面処理方
法(保護膜の形成等)として利用することができる。例
えば、非導電性材料からなる砥粒が金属メッキ層により
固定された研磨プレート上に、本発明の方法で電着膜を
形成した場合には、非導電性材料との密着性の良い電着
膜が形成されるので、この電着膜を保護層として金属メ
ッキ層の腐食を抑え、砥粒の脱落を防止することができ
る。また、本発明の方法により形成された電着膜を有す
る部材は、電子機器、電子部品、半導体装置およびそれ
らの製造装置や検査装置、研磨加工用または研削加工用
部材等として好適である。
導電性材料、あるいは非導電性材料と導電性材料とが混
在する混成材料からなる基体上に、電着法によって、接
着性のよい被膜(電着膜)を形成することができる。こ
の電着膜は耐薬品性等の性能にも優れるため、基体の保
護層として好適である。したがって、本発明の電着膜の
形成方法は、電子機器、電子部品およびそれらの製造装
置や、研磨加工用または研削加工用部材等の表面処理方
法(保護膜の形成等)として利用することができる。例
えば、非導電性材料からなる砥粒が金属メッキ層により
固定された研磨プレート上に、本発明の方法で電着膜を
形成した場合には、非導電性材料との密着性の良い電着
膜が形成されるので、この電着膜を保護層として金属メ
ッキ層の腐食を抑え、砥粒の脱落を防止することができ
る。また、本発明の方法により形成された電着膜を有す
る部材は、電子機器、電子部品、半導体装置およびそれ
らの製造装置や検査装置、研磨加工用または研削加工用
部材等として好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B05D 7/24 302 B05D 7/24 302V B32B 15/08 B32B 15/08 H C25D 13/16 C25D 13/16 B 13/20 13/20 A (72)発明者 佐藤 穂積 東京都中央区築地二丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 Fターム(参考) 4D075 BB85X BB89Y DB31 DB35 EB22 EB33 EB35 EB39 4F100 AA17A AA17B AA37 AB01A AB01B AB04 AB10 AB17 AK01A AK01C AK18 AK25C AK41C AK49 AK49C AK53C AR00A BA03 BA10A BA10C CA22A CA23A EH66B GB41 GB48 JG01A JG01B JG04A JM01C
Claims (3)
- 【請求項1】 非導電性材料、あるいは非導電性材料と
導電性材料とが混在する混成材料からなる基体上に電着
膜を形成する方法であって、金属蒸着により上記基体表
面のうち少なくとも上記非導電性材料上に導電層を形成
した後、樹脂エマルジョンを用いた電着法により電着膜
を形成することを特徴とする電着膜の形成方法。 - 【請求項2】 上記樹脂エマルジョンは、ポリイミド系
樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂およびポリエス
テル系樹脂から選択された少なくとも一種の樹脂のエマ
ルジョンである請求項1記載の電着膜の形成方法。 - 【請求項3】 請求項1または2の方法により形成され
た電着膜を有することを特徴とする部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000131305A JP2001316875A (ja) | 2000-04-28 | 2000-04-28 | 電着膜の形成方法および電着膜を有する部材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000131305A JP2001316875A (ja) | 2000-04-28 | 2000-04-28 | 電着膜の形成方法および電着膜を有する部材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001316875A true JP2001316875A (ja) | 2001-11-16 |
Family
ID=18640220
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000131305A Pending JP2001316875A (ja) | 2000-04-28 | 2000-04-28 | 電着膜の形成方法および電着膜を有する部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001316875A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008184552A (ja) * | 2007-01-30 | 2008-08-14 | Toshiba Corp | ワンコート電着塗料、その塗装方法および塗装物 |
-
2000
- 2000-04-28 JP JP2000131305A patent/JP2001316875A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008184552A (ja) * | 2007-01-30 | 2008-08-14 | Toshiba Corp | ワンコート電着塗料、その塗装方法および塗装物 |
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A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080731 |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090623 |
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