JP2000336288A - 表面処理液および表面処理方法 - Google Patents

表面処理液および表面処理方法

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JP2000336288A
JP2000336288A JP11148522A JP14852299A JP2000336288A JP 2000336288 A JP2000336288 A JP 2000336288A JP 11148522 A JP11148522 A JP 11148522A JP 14852299 A JP14852299 A JP 14852299A JP 2000336288 A JP2000336288 A JP 2000336288A
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surface treatment
fine particles
particles
group
treatment liquid
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JP11148522A
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Takako Yamada
貴子 山田
Hirofumi Goto
宏文 後藤
Nobuyuki Ito
信幸 伊藤
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Original Assignee
JSR Corp
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C2222/00Aspects relating to chemical surface treatment of metallic material by reaction of the surface with a reactive medium
    • C23C2222/20Use of solutions containing silanes

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  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 摺動性、耐磨耗性、潤滑性、撥水性、離型
性、非導電性、耐薬品性等を付与する表面処理液および
この表面処理液を用いた表面処理方法を提供する。 【解決手段】 本発明の表面処理液は、重合性化合物お
よび重合体の少なくとも一方からなる電着可能な粒子
(ポリイミド系樹脂等)のエマルジョンと、無機微粒子
(シリカ微粒子、炭化珪素微粒子等)、フッ素含有有機
微粒子(好ましくはポリテトラフルオロエチレン微粒子
等)および架橋有機微粒子(架橋スチレン系ポリマー微
粒子など)から選択された少なくとも一種の微粒子と、
を含有することを特徴とする。さらに、オルガノシラ
ン、該オルガノシランの加水分解物および該加水分解物
の部分縮合物から選択された少なくとも一種を含有する
ことが好ましい。本発明の表面処理方法は、この表面処
理液を電着液に用いて基材表面に皮膜を形成し、次いで
該皮膜を熱処理することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材表面に摺動
性、耐磨耗性、潤滑性、撥水性、離型性、非導電性、耐
薬品性等の性質を付与する表面処理液、および、この表
面処理液を用いて基材表面に前記性質を付与する表面処
理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、基材の表面に摺動性、潤滑性等を
付与するための皮膜を形成する表面処理方法として、例
えば下記の方法が知られている。 無電解ニッケル−リン(Ni−P)メッキなどの金属
メッキ層上にPTFE層を形成する方法。 金属メッキ皮膜中に微粒子状物質を共析させた複合メ
ッキ皮膜を形成する方法。この複合メッキ皮膜として
は、無電解ニッケル−リンメッキ液中にポリテトラフル
オロエチレン(PTFE)等のフッ素含有有機微粒子を
存在させてこれらを共析させた無電解Ni−P/PTF
E複合メッキ皮膜が多く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の方法
によると、金属メッキ層とPTFE層との密着性が不足
してPTFE層が剥離しやすい。また、PTFE層は一
般に硬度が低いため、例えばこの表面処理をベアリング
部材に適用した場合、使用時の摩擦によりPTFE層が
削れてダストとなり、甚だしい場合にはPTFE層が失
われて表面処理の効果がなくなってしまうなど、表面処
理の機械的耐久性が低いという問題がある。さらに、通
常上記PTFE層はキャスト法などの方法により形成さ
れるが、これらの方法によると、ベアリング部材などの
ように円筒状の被処理面に均一なPTFE層を形成する
ことは困難である。
【0004】一方、上記の方法では、PTFE単独の
皮膜を形成する上記の方法とは異なり、PTFEは上
記複合メッキ皮膜において金属中に微粒子として分散し
ている。この複合メッキ皮膜は上記の方法におけるP
TFE層に比べれば硬度が高いので、上記の方法は表
面処理の機械的耐久性に優れる。しかし、この方法によ
ると、複合メッキ皮膜を構成する金属が薬品等により腐
食され、PTFE粒子が脱落して表面処理の効果が低下
したり、脱落したPTFE粒子がダストとなったりする
など、表面処理の化学的安定性が低いという問題があっ
た。また、PTFE粒子が分散された金属は硬いため、
この粒子が衝撃などにより脱落する場合がある。さら
に、上記の方法では基材に摺動性、潤滑性等とともに
非導電性を付与することはできない。
【0005】本発明の目的は、表面処理の機械的耐久性
および化学的耐久性に優れ、また被処理面の形状を問わ
ずその表面に摺動性、耐磨耗性、潤滑性、撥水性、離型
性、非導電性、耐薬品性等を付与する表面処理液、およ
び、この表面処理液を用いて基材表面に前記性質を付与
する表面処理方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、摺動性、
潤滑性等を与える微粒子が金属中に分散した複合メッキ
皮膜を形成する従来の表面処理方法とは異なり、上記微
粒子が重合体中に分散した皮膜を形成することにより上
記の課題が解決されることを見出し、この皮膜を形成す
る表面処理液および表面処理方法を見出して本発明を完
成した。
【0007】すなわち、請求項1記載の表面処理液は、
重合性化合物および重合体の少なくとも一方からなる電
着可能な粒子のエマルジョンと、無機微粒子、フッ素含
有有機微粒子および架橋有機微粒子から選択された少な
くとも一種の微粒子と、を含有することを特徴とする。
【0008】請求項2記載の表面処理液は、請求項1記
載の表面処理液が、さらに上記式(1)で示されるオル
ガノシラン、該オルガノシランの加水分解物および該加
水分解物の部分縮合物(以下、「オルガノシラン縮合物
等」という。)から選択された少なくとも一種を含有す
ることを特徴とする。これにより、この表面処理液から
形成される表面処理層の硬度および耐薬品性を向上させ
ることができる。本発明の表面処理液中においてこのオ
ルガノシラン縮合物等は、上記電着可能な粒子との複合
粒子を形成した状態で含有されることが好ましい。
【0009】上記電着可能な粒子は、粒子表面に電荷を
有し、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系
樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂およびシリコ
ン系樹脂から選択された少なくとも一種の樹脂からなる
ことが好ましい。
【0010】そして、本発明の表面処理方法は、請求項
1から3のいずれか一項に記載の表面処理液を電着液に
用いて基材表面に皮膜を形成し、次いで該皮膜を熱処理
することを特徴とする。
【0011】以下、本発明につきさらに詳しく説明す
る。 〔無機微粒子〕本発明において用いられる無機微粒子
は、特に限定されるものではないが、その硬度は2以上
(より好ましくは硬度3以上、さらに好ましくは硬度4
以上)であることが好ましい。無機微粒子の例として
は、アルミナ、シリカ、炭化珪素、黒鉛、フッ化黒鉛、
窒化ホウ素等から選択される一種または二種以上からな
る微粒子が挙げられ、一般に固体潤滑剤といわれる物質
からなるものが好ましく使用される。特に炭化珪素また
はシリカを用いることが好ましい。
【0012】〔フッ素含有有機微粒子〕本発明において
用いられるフッ素含有有機微粒子は、摺動性、潤滑性等
の性質を付与しうるものであれば特に限定されるもので
はない。フッ素含有有機微粒子の例としては、ポリテト
ラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチ
レン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、
テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニル
エーテル共重合体(PFA)等から選択される一種また
は二種以上からなる微粒子が挙げられる。このフッ素含
有有機微粒子は、架橋していてもしていなくてもよい。
【0013】〔架橋有機微粒子〕本発明において用いら
れる架橋有機微粒子(ただし、フッ素を含有する有機微
粒子を除く。)は、特に限定されるものではないが、例
えば、ベンゾグアナミン、ジビニルベンゼン等の架橋性
単量体(以下、「単量体a」ともいう。)の単独重合
体、単量体aおよび単量体aと共重合可能な他の単量体
(以下、「単量体b」ともいう。)の共重合体からなる
微粒子が挙げられる。単量体aと単量体bとの好ましい
使用割合は、単量体a(重量%)/単量体b(重量%)
=5〜100/0〜95、より好ましい割合は20〜1
00/0〜80、さらに好ましい割合は40〜100/
0〜60である。上記単量体bの好ましい例としては、
スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合
物、メチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エス
テル等が挙げられる。
【0014】単量体aを必須成分として得られた重合体
からなる好ましい架橋有機微粒子としては、下記〜
で示される重合体からなるものが挙げられる。 単量体aの単独重合体。 単量体aと、芳香族ビニル化合物を必須成分とする単
量体bと、の共重合体。 単量体aと、(メタ)アクリル酸エステルを必須成分
とする単量体bと、の共重合体。 単量体aと、芳香族ビニル化合物および(メタ)アク
リル酸エステルを必須成分とする単量体bと、の共重合
体。
【0015】これらの無機微粒子、フッ素含有有機微粒
子および架橋有機微粒子の平均粒子径は特に制限される
ものではないが、通常は0.01〜100μmであり、
0.01〜30μmであることが好ましく、0.05〜
10μmであることがより好ましい。
【0016】〔電着性粒子〕本発明の表面処理液は、
「重合性化合物および重合体の少なくとも一方からなる
電着可能な粒子」(以下、「電着性粒子」ともいう。)
のエマルジョンを含有する。ここで、「重合性化合物」
とは重合性基を有する化合物を指し、完全硬化前の前駆
的重合体、重合性オリゴマー、単量体などを含む意味で
ある。一方、「重合体」とは実質的に重合反応が完了し
た化合物を指す。ただし、加熱、湿気などによりこの重
合体を電着後に架橋させることも可能である。
【0017】上記表面処理液に被処理材を浸漬して電極
とし、対極を配して電流を流すことにより、この被処理
材の表面に上記電着性粒子と上記微粒子とが共析して複
合電着皮膜が形成される。この皮膜により表面処理効果
が発揮される。なお、上記電着性粒子は、必要に応じて
電着後に加熱処理等を行うことにより、上記複合電着皮
膜中において高分子樹脂または高分子ゴム(好ましくは
高分子樹脂)となっている。この電着を可能とするため
に、上記電着性粒子は表面に電荷を有することが好まし
い。この表面電荷はアニオン型でもカチオン型でもよい
が、被処理材を陰極として電着することによりこの被処
理材からの金属の溶出が防止できることから、カチオン
型の粒子であることが好ましい。上記電着性粒子と上記
微粒子とを共析させる際の上記微粒子の共析量は、特に
制限されるものではないが、5〜70重量%であること
が好ましく、10〜50重量%であることがより好まし
い。上記微粒子の共析量が5重量%未満では、良好な摺
動性、潤滑性が得られない場合がある。一方、上記微粒
子の共析量が70重量%を超えると、複合電着皮膜の強
度が不十分となってこの皮膜が剥がれ落ちる等の現象が
起こる場合がある。
【0018】上記電着性粒子は、ポリイミド系樹脂、エ
ポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、
フッ素系樹脂およびシリコン系樹脂から選択される一種
または二種以上からなることが好ましい。また、これら
の樹脂に加えてさらに他の成分を含んでもよい。また、
これらの樹脂は互いに、あるいは他の成分と化学的に結
合されていてもよい。本発明においては、強固な皮膜を
形成できることから、ポリイミド系樹脂を主成分とする
電着性粒子を用いることが特に好ましい。ここで、「ポ
リイミド系樹脂」とは、電着後の加熱などにより硬化可
能な前駆的重合体(たとえばポリアミック酸など。)、
ポリイミド系樹脂の形成に用いられる単量体、オリゴマ
ーなどをも含む意味であり、他の樹脂についても同様で
ある。さらに、この「ポリイミド系樹脂」とは、ポリイ
ミド樹脂またはその前駆的重合体、ポリイミド樹脂の形
成に用いられる単量体と他の単量体との共重合体樹脂ま
たはその前駆的重合体、ポリイミド樹脂またはその前駆
的重合体と他の化合物との反応物などをも含む意味であ
り、他の樹脂についても同様である。
【0019】本発明の表面処理方法においては、上記電
着性粒子を電着した皮膜をさらに熱処理することが好ま
しい。この熱処理により、十分な硬度および耐薬品性を
もつとともに被処理材への密着性の高い複合電着皮膜が
得られる。熱処理の条件は特に限定されるものではない
が、好ましい加熱温度は100℃以上であり、特に好ま
しくは150〜300℃である。加熱温度が100℃未
満であると、硬化が不十分であるため十分な皮膜強度が
得られず、また被処理材への十分な密着力が得られない
場合がある。一方、加熱温度が400℃を超えると、こ
の皮膜を構成する化合物が分解しやすいので好ましくな
い。本発明においては、主としてポリイミド系樹脂前駆
体またはエポキシ系樹脂前駆体からなる粒子を電着し、
次いでこれを熱処理して複合電着皮膜を形成することが
好ましい。
【0020】本発明の表面処理液または表面処理方法に
より形成する複合電着皮膜の厚さは、この皮膜の組成や
表面処理目的等により異なるが、0.1μm〜100μ
mとすることが好ましく、1〜70μmとすることがよ
り好ましい。複合電着皮膜の厚さが上記範囲未満である
と、表面処理効果が十分に発揮されない場合がある。一
方、複合電着皮膜の厚さが大きすぎると、本発明の微粒
子がこの皮膜中に埋没しやすくなり、本発明が目的とす
る性能が得られにくい。
【0021】以下、主としてポリイミド系樹脂からから
なる電着性粒子のエマルジョン(以下、「ポリイミド系
樹脂エマルジョン」という。)、主としてエポキシ系樹
脂からなる電着性粒子のエマルジョン(以下、「エポキ
シ系樹脂エマルジョン」という。)、主としてアクリル
系樹脂からなる電着性粒子のエマルジョン(以下、「ア
クリル系樹脂エマルジョン」という。)、主としてポリ
エステル系樹脂からなる電着性粒子のエマルジョン(以
下、「ポリエステル系樹脂エマルジョン」という。)、
主としてフッ素系樹脂からなる粒子のエマルジョン(以
下、「フッ素系樹脂エマルジョン」という。)および主
としてシリコン系樹脂からなる粒子のエマルジョン(以
下、「シリコン系樹脂エマルジョン」という。)の製造
方法について説明する。
【0022】ポリイミド系樹脂エマルジョン 本発明の表面処理液または表面処理方法により形成され
た複合電着皮膜は、上記微粒子とポリイミド系樹脂とか
らなることが特に好ましい。このような皮膜を形成する
好ましい方法としては下記の二種類が挙げられる。 〔1〕(A)有機溶媒可溶性のポリイミドと(B)親水
性ポリマーとの複合粒子からなるポリイミド系樹脂エマ
ルジョンおよび上記微粒子を含有する表面処理液を用い
て、この複合粒子と上記微粒子とを電着により共析させ
る方法。 〔2〕(C)ポリアミック酸と(D)疎水性化合物との
複合粒子を含む粒子からなるポリイミド系樹脂エマルジ
ョンおよび上記微粒子を含有する表面処理液を用いて、
この複合粒子と上記微粒子とを電着により共析させ、そ
の後、電着されたポリアミック酸を加熱により脱水閉環
する方法。 これらの方法において使用するポリイミド系樹脂エマル
ジョンを製造する方法としては、上記〔1〕の方法につ
いては特開平11−49951公報に記載の方法が、ま
た上記〔2〕の方法については特開平11−60947
号公報に記載の方法が例示される。
【0023】上記〔1〕の方法において使用するポリイ
ミド系樹脂エマルジョンの製造方法についてさらに詳し
く説明する。 (A)有機溶媒可溶性のポリイミドの合成法は特に限定
されるものではないが、例えば、有機極性溶媒中、テト
ラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを混合して重
縮合させて、ポリアミック酸を得たのち、該ポリアミッ
ク酸を加熱イミド化法または化学イミド化法により脱水
閉環反応させることにより、ポリイミドを合成すること
ができる。また、テトラカルボン酸二無水物とジアミン
化合物との重縮合を多段階で行うことにより、ブロック
構造を有するポリイミドを合成することも可能である。
この有機溶媒可溶性のポリイミドは、例えば、カルボキ
シル基、アミノ基、水酸基、スルホン酸基、アミド基、
エポキシ基、イソシアネート基等の反応性基(a)を1
種以上有することが好ましい。反応性基(a)を有する
ポリイミドの合成方法としては、例えば、ポリアミック
酸の合成に使用されるカルボン酸二無水物、ジアミン化
合物、カルボン酸一無水物、モノアミン化合物等の反応
原料として、反応性基(a)を有する化合物を使用し、
脱水閉環反応後に反応性基(a)を残存させる方法等を
挙げることができる。
【0024】(B)親水性ポリマーは、親水性基とし
て、例えば、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、スル
ホン酸基、アミド基等を1種以上有し、水に対する20
℃の溶解度が、通常0.01g/100g以上、好まし
くは0.05g/100g以上である親水性ポリマーか
らなる。前記親水性基に加えて、前記(A)成分中の反
応性基(a)と反応しうる反応性基(b)を1種以上有
することが好ましい。このような反応性基(b)として
は、例えば、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキ
シル基のほか、前記親水性基と同様の基等を挙げること
ができる。このような親水性ポリマーは、親水性基およ
び/または反応性基(b)を有するモノビニル単量体を
単独重合または共重合させるか、あるいはこれらのモノ
ビニル単量体と他の単量体とを共重合させることにより
得ることができる。
【0025】この(A)有機溶媒可溶性のポリイミドと
(B)親水性ポリマーとを、反応性基(a)と親水性ポ
リマー中の反応性基(b)とが適切な反応性を有する組
み合わせとなるように選択し、該ポリイミドと該親水性
ポリマーとを、例えば有機溶媒中にて溶液状態で混合し
て、必要に応じて加熱しつつ、反応させたのち、この反
応溶液と水性媒体とを混合し、場合により有機溶媒の少
なくとも一部を除去することにより、該ポリイミドと該
親水性ポリマーとを相互に結合して同一粒子内に含む複
合粒子からなるポリイミド系樹脂エマルジョンを得るこ
とができる。
【0026】次に、上記〔2〕の方法において使用する
ポリイミド系樹脂エマルジョンの製造方法についてさら
に詳しく説明する。ポリイミドの前駆体である(C)ポ
リアミック酸の合成法は、特に限定されるものではない
が、例えば、有機極性溶媒中、テトラカルボン酸二無水
物とジアミン化合物との重縮合反応によりポリアミック
酸を得ることができる。また、テトラカルボン酸二無水
物とジアミン化合物との重縮合反応を多段階で行うこと
により、ブロック構造を有するポリアミック酸を合成す
ることも可能である。なお、ポリアミック酸を脱水閉環
させることにより部分的にイミド化したポリアミック酸
も使用可能である。
【0027】一方、(D)疎水性化合物は、前記ポリア
ミック酸中の少なくともアミド酸基と反応しうる基(以
下、「反応性基」という。)を有する化合物である。こ
の反応性基としては、例えば、エポキシ基、イソシアナ
ト基、カルボジイミド基、水酸基、メルカプト基、ハロ
ゲン基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル
基、ジアゾ基、カルボニル基等を挙げることができる。
これらの反応性基は、疎水性化合物中に1種以上存在す
ることができる。なお、「疎水性」とは、水に対する2
0℃の溶解度が、通常、0.05g/100g未満、好
ましくは0.01/100g未満、さらに好ましくは
0.005g/100g未満であることを意味する。
【0028】このような疎水性化合物としては、例え
ば、エポキシ化ポリブタジエン、ビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂、フルオレン系
エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジル
エステル型エポキシ樹脂、アリルグリシジルエーテル、
グリシジル(メタ)アクリレート、1,3,5,6−テ
トラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,
N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシレンジアミ
ン、トリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルカル
ボジイミド、ポリカルボジイミド、コレステロール、ベ
ンジルアルコールp−トルエンスルホン酸エステル、ク
ロロ酢酸エチル、トリアジントリチオール、ジアゾメタ
ン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等から選択され
る1種または2種以上を使用することができる。
【0029】この(C)ポリアミック酸と(D)疎水性
化合物とを、例えば、有機溶媒中にて溶液状態で混合し
て反応させたのち、この反応溶液を水性媒体と混合し、
場合により有機溶媒の少なくとも一部を除去することに
より、ポリアミック酸と疎水性化合物とを同一粒子内に
含む複合粒子からなるポリイミド系樹脂エマルジョンを
得ることができる。
【0030】なお、上記〔1〕および〔2〕の方法にお
いて用いられるテトラカルボン酸二無水物は特に限定さ
れるものではなく、その例としては、ブタンテトラカル
ボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラ
カルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘ
キシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカ
ルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,
4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−
2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−
c]−フラン−1,3−ジオン等の脂肪族テトラカルボ
ン酸二無水物あるいは脂環式テトラカルボン酸二無水
物;ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベ
ンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,
4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水
物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物;等を挙げるこ
とができる。これらのテトラカルボン酸二無水物は、単
独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0031】また、上記〔1〕および〔2〕の方法にお
いて用いられるジアミン化合物は特に限定されるもので
はなく、その例としては、p−フェニレンジアミン、
4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス
[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等
の芳香族ジアミン類;1,1−メタキシリレンジアミ
ン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミ
ン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)
等の脂肪族ジアミンあるいは脂環式ジアミン類;2,3
−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノ−6−ジメチル
アミノ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−
5−フェニルチアゾール、ビス(4−アミノフェニル)
フェニルアミン等の、分子内に2つの第一級アミノ基お
よび該第一級アミノ基以外の窒素原子を有するジアミン
類;モノ置換フェニレンジアミン類;ジアミノオルガノ
シロキサン;等を挙げることができる。これらのジアミ
ン化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用する
ことができる。
【0032】エポキシ系樹脂エマルジョン エポキシ系樹脂エマルジョンの製造方法は特に限定され
るものではなく、従来公知の方法、例えば特開平9−2
35495号公報、同9−208865号公報に記載の
方法などによればよい。
【0033】アクリル系樹脂エマルジョン アクリル系樹脂エマルジョンの製造方法は特に限定され
るものではないが、例えば通常の乳化重合法により製造
できる。単量体としては一般的なアクリル系および/ま
たはメタクリル系単量体から選択される一種または二種
以上を用いればよい。このとき、粒子を電着可能とする
ために、アミノ基、アミド基などのカチオン性基を有す
る単量体、またはカルボキシル基、スルホン酸基等など
のアニオン性基を有する単量体を共重合させることが好
ましく、その共重合量は使用する単量体全体に対して5
〜80重量%(より好ましくは10〜50重量%)とす
ることが好ましい。上記アミノ基を有する単量体の好ま
しい具体例としては、ジメチルアミノエチルアクリレー
ト、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどが挙げ
られる。
【0034】ポリエステル系樹脂エマルジョン ポリエステル系樹脂エマルジョンの製造方法は特に限定
されるものではなく、従来公知の方法、例えば特開昭5
7−10663号公報、同57−70153号公報、同
58−174421号公報に記載の方法などによればよ
い。
【0035】フッ素系樹脂エマルジョン フッ素系樹脂エマルジョンの製造方法は特に限定される
ものではなく、従来公知の方法、例えば特開平7−26
8163号公報に記載の方法などによればよい。
【0036】シリコン系樹脂エマルジョン シリコン系樹脂エマルジョンの製造方法は特に限定され
るものではなく、従来公知の方法、例えば特開平10−
60280号公報に記載の方法などによればよい。
【0037】〔オルガノシラン縮合物等〕本発明の表面
処理液は、請求項2記載のように、上記電着性粒子およ
び上記微粒子に加えて、下記式(1)で示されるオルガ
ノシラン、このオルガノシランの有する加水分解性基の
一部または全部が加水分解された加水分解物およびこの
加水分解物が部分的に脱水縮合した部分縮合物から選択
される少なくとも一種(以下、「オルガノシラン縮合物
等」という。)と、を含有することが好ましい。この表
面処理液を用いて形成された複合電着皮膜は、特に電着
後に加熱硬化させた場合には、皮膜中でオルガノシラン
縮合物等が架橋することにより、硬度および耐薬品性に
優れたものとなる。
【0038】
【化2】 (R1nSi(OR24-n (1) (式中、R1は水素原子または炭素数1〜8の一価の有
機基を示し、R2は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数
1〜6のアシル基またはフェニル基を示し、nは1また
は2の整数である。R1およびR2は同一であってもよい
し、異なっていてもよい。)
【0039】上記式(1)において、R1の炭素数1〜
8の有機基としては、直鎖または分岐を有するアルキル
基、ハロゲン置換されたアルキル基、ビニル基、フェニ
ル基及び3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基等を
挙げることができる。なお、R1はカルボニル基を有し
ていてもよい。なお、R1は炭素数1〜4のアルキル基
またはフェニル基であることが好ましい。R2の炭素数
1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基とし
ては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロ
ピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、アセチル
基、プロピオニル基、ブチリル基等が挙げられる。な
お、R2は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ま
しい。
【0040】好ましく使用されるオルガノシランの例と
しては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキ
シシラン、イソブチルトリメトキシシラン及びフェニル
トリエトキシシランが挙げられる。これらのオルガノシ
ランは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用
してもよい。
【0041】上記「オルガノシラン縮合物等」は、本発
明の表面処理液中に、電着性粒子と複合体粒子を形成し
た状態で含有されていることが好ましい。この「複合体
粒子」とは、上記電着性粒子を構成する化合物とオルガ
ノシラン縮合物等とが化学的に結合したもの、上記電着
性粒子の表面または内部にオルガノシラン縮合物等が吸
着したものなどを指す。このオルガノシラン縮合物等の
使用量は、上記電着性粒子を100重量部として0.1
〜250重量部とすることが好ましく、0.5〜70重
量部とすることがより好ましく、1〜30重量部とする
ことがさらに好ましい。オルガノシラン縮合物等の使用
量が0.1重量部未満では所望の効果が得られない場合
があり、一方250重量部を超えると複合体粒子の電着
性が低下する場合がある。
【0042】このような複合体粒子は、下記〔1〕また
は〔2〕の方法等によって製造することができる。な
お、これらの方法を組み合わせてもよい。 〔1〕上記電着性粒子のエマルジョンに上記オルガノシ
ランを添加し、オルガノシランの少なくとも一部を上記
粒子に吸収させた後、このオルガノシランの加水分解反
応および縮合反応を進行させる。 〔2〕水系媒体に分散された上記オルガノシラン縮合物
等の存在下で上記電着性粒子を生成させる反応を行う。
【0043】上記〔1〕の方法においてオルガノシラン
を電着性粒子に吸収させるには、エマルジョン中にオル
ガノシランを添加して十分に攪拌するなどの方法によれ
ばよい。このとき、添加したオルガノシランの10重量
%以上(より好ましくは30重量%以上)を粒子に吸収
させることが好ましい。吸収が不十分な段階でオルガノ
シランの加水分解・縮合反応が進んでしまうのを避ける
ために、反応系のpHを通常4〜10、好ましくは5〜
10、さらに好ましくは6〜8に調製することができ
る。オルガノシランを粒子に吸収させるための処理温度
は70℃以下とすることが好ましく、より好ましくは5
0℃以下、さらに好ましくは0〜30℃である。処理時
間は通常5〜180分であり、20〜60分程度とする
ことが好ましい。吸収されたオルガノシランを加水分解
・縮合させる際の温度は、通常20℃以上、好ましくは
30〜100℃、より好ましくは40〜90℃であり、
好ましい重合時間は0.3〜15時間、より好ましくは
1〜8時間である。
【0044】また、上記〔2〕の方法においては、上記
オルガノシランを、ホモミキサーまたは超音波混合機等
を用いて、アルキルベンゼンスルホン酸等の強酸性乳化
剤の水溶液中で混合し、加水分解・縮合させることによ
って、水系媒体に分散されたオルガノシラン縮合物等が
得られる。このオルガノシラン縮合物等の存在下で、好
ましくは乳化重合により上記粒子を生成させればよい。
【0045】(作用および効果)本発明の表面処理液ま
たは表面処理方法によると、摺動性、潤滑性等を与える
微粒子と「金属」とからなる複合メッキ皮膜を形成する
従来の表面処理方法とは異なり、このような微粒子と
「重合体」とからなる複合電着皮膜を形成することがで
きる。この複合電着皮膜を構成する重合体部分は、通常
の金属に比べて耐薬品性に優れた(すなわち、化学的安
定性の高い)ものとすることができる。また、この複合
電着皮膜によると基材表面を非導電性とすることができ
る。この複合電着皮膜は、微粒子を金属により固定した
場合に比べて微粒子固定の耐衝撃性が高く、またPTF
E単独の層を形成する従来の表面処理方法に比べて表面
の硬度を高くすることができるので表面処理の機械的耐
久性が高い。したがって、本発明の表面処理液または表
面処理方法により処理された表面はダストを発生しにく
い(低発塵性)。さらに、この複合電着皮膜は電着工程
により形成されるので、被処理剤の形状を問わず均一な
皮膜を容易に形成することができる。
【0046】
【発明の実施の形態】以下、実施例および比較例により
本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下におい
て、特記しない限り、「部」および「%」は重量基準で
ある。
【0047】(1)エマルジョンの合成 以下の合成例1〜5により、電着性粒子のエマルジョン
を合成した。
【0048】(合成例1:ポリイミド系樹脂エマルジョ
ン)テトラカルボン酸二無水物として3,3’,4,
4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物3
2.29g(90ミリモル)および1,3,3a,4,
5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−
ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フ
ラン−1,3−ジオン3.00g(10ミリモル)、ジ
アミン化合物として2,2−ビス[4−(4−アミノフ
ェノキシ)フェニル]プロパン36.95g(90ミリ
モル)およびオルガノシロキサンLP7100(信越化
学製の商品名)2.49g(10ミリモル)を、N−メ
チル−2−ピロリドン450gに溶解して、室温で12
時間反応させた。その後、この反応溶液に、ピリジン3
2gおよび無水酢酸71gを添加し、100℃で3時間
脱水閉環反応を行った。次いで、反応溶液を減圧留去し
て精製し、固形分10%のポリイミド溶液を得た。ジエ
チレングリコールモノエチルエーテル100部を入れた
反応容器を、窒素ガス雰囲気下で85℃に保持し、この
反応容器に、n−ブチルアクリレート65部、ジメチル
アミノエチルアクリレート30部、グリシジルメタアク
リレート5部およびアゾビスイソブチロニトリル1部か
らなる混合液を5時間かけて連続的に添加しつつ、撹拌
下で溶液重合を行なった。滴下終了後、85℃でさらに
2時間撹拌を続けて、溶液重合を完結させ、固形分50
%のアクリルポリマー溶液を得た。ポリイミド溶液50
部(固形分)とアクリルポリマー溶液30部(固形分)
とエピコート828(油化シェルエポキシ社製の商品
名)20部を混合し、70℃×3時間反応させた後、酢
酸3部を徐々に添加して混合し、pH調整を行った。次
いで、蒸留水1000部を徐々に添加しつつ強く撹拌し
て、カチオン性のポリイミド系樹脂エマルジョンを得
た。
【0049】(合成例2;ポリアミック酸エマルジョ
ン)テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリ
カルボキシシクロペンチル酢酸二無水物22.4g(1
00ミリモル)、ジアミン化合物として2,2−ビス
〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン4
1.1g(100ミリモル)を、N−メチル−2−ピロ
リドン450gに溶解させ、60℃で6時間反応させ
た。減圧留去により、濃縮を行い、固形分15%のポリ
アミック酸溶液を得た。前記ポリアミック酸の溶液70
部(固形分)に対して、エピコート828(油化シェル
エポキシ社製)30部を添加して十分混合し、80℃×
60分反応させたのち、トリエタノールアミン10部を
添加した蒸留水1000部に徐々に加えながら強く撹拌
して、アニオン性のポリアミック酸エマルジョン(ポリ
イミド系樹脂エマルジョンの一例である)を得た。
【0050】(合成例3:エポキシ系樹脂エマルジョ
ン)トリレンジイソシアネートおよび2−エチルヘキサ
ノールからなるブロックイソシアネート46.3部と、
エピコート828(油化シェルエポキシ社製の商品名)
とジエチルアミンとを反応させて得られたエポキシアミ
ン付加物89.3部とを混合し、pH調節剤として酢酸
3.8部を加えた。これを、イオン交換水1200部中
に攪拌しながら投入することによって、カチオン性のエ
ポキシ系樹脂前駆体を主成分とする分散粒子のエマルジ
ョンを得た。
【0051】(合成例4:アクリル系樹脂エマルジョ
ン)イオン交換水200部、コータミン24(花王株式
会社製、界面活性剤の商品名)1部を反応器に仕込み、
窒素気流下で系を60℃まで昇温した後、V−50(和
光純薬株式会社製、開始剤の商品名)を仕込んで重合反
応を開始させた。反応開始直後から、イオン交換水30
部、ブチルアクリレート20部、メチルメタクリレート
77部、DMAPAA−Q3部(興人株式会社製の商品
名)、コータミン24 0.3部、エマルゲンE−92
0(花王株式会社製、界面活性剤の商品名)2部からな
るモノマーエマルジョンを、3時間かけて連続的に滴下
した。滴下終了後、系を65℃に昇温してさらに3時間
反応させることによって、カチオン性のアクリル系樹脂
重合体を主成分とする分散粒子のエマルジョンを得た。
【0052】(合成例5:ポリエステル系樹脂エマルジ
ョン)ジメチルテレフタレート466部、ジメチルイソ
フタレート388部、5−ナトリウムスルホイソフタル
酸ジメチル178部、エチレングリコール443部、ネ
オペンチルグリコール400部、酢酸亜鉛0.44部、
酢酸ナトリウム0.04部、三酸化アンチモン0.43
部を反応器に仕込み、140〜220℃で4時間かけて
エステル交換反応を行った。次に260℃20mmHg
の真空下で重縮合反応を1時間行ってポリエステル系樹
脂を得た。このポリエステル系樹脂30部をイソプロパ
ノール14部と水56部の混合液中に入れ、70〜75
℃で3時間かけて分散させることによって、カチオン性
のポリエステル系樹脂重合体を主成分とする分散粒子の
エマルジョンを得た。
【0053】(2)表面処理 〔実施例1〕合成例1で得たポリイミド系樹脂エマルジ
ョンに、微粒子として粒径0.3μmのPTFE粒子
を、ポリイミド系樹脂エマルジョンの固形分とこの微粒
子との合計重量に占める微粒子の重量比が25%となる
ように添加して表面処理液を作成した。被処理材として
は希酸で洗浄した銅板を用い、上記表面処理液にこの銅
板を浸漬して、定電圧法により陰極側の銅板上にポリイ
ミド系樹脂粒子とPTFE粒子とを共析させて皮膜(熱
硬化性薄膜)を形成した。その後、この薄膜を100℃
で10分間加熱したのち、さらに250℃で30分間加
熱してポリイミド系樹脂を硬化させることにより、銅板
上に膜厚20μm、PTFE共析量20%の複合電着皮
膜を形成する表面処理を行った。
【0054】〔実施例2〕実施例1で用いたポリイミド
系樹脂エマルジョンに代えて合成例3で得たエポキシ系
樹脂エマルジョンを用い、微粒子として架橋スチレン系
ポリマー(ジビニルベンゼンの単独重合体)からなる微
粒子(平均粒径0.3μm)を用いた点以外は、実施例
1と同様にして表面処理液を作成した。この表面処理液
を使用し、薄膜を硬化させる温度を250℃から200
℃に変更した点以外は、実施例1と同様に電着および加
熱処理を行って複合電着皮膜を形成する表面処理を行っ
た。
【0055】〔実施例3〕実施例1で用いたポリイミド
系樹脂エマルジョンに代えて合成例4で得たアクリル系
樹脂エマルジョンを用いた点以外は実施例1と同様にし
て表面処理液を作成した。この表面処理液を使用し、薄
膜を硬化させる温度を250℃から200℃に変更した
点以外は、実施例1と同様に電着および加熱処理を行っ
て複合電着皮膜を形成する表面処理を行った。
【0056】〔実施例4〕実施例1で用いたポリイミド
系樹脂エマルジョンに代えて合成例5で得たポリエステ
ル系樹脂エマルジョンを用い、微粒子として平均粒径
0.3μmの炭化珪素を用いた点以外は実施例1と同様
にして表面処理液を作成した。この表面処理液を使用
し、薄膜を硬化させる温度を250℃から200℃に変
更した点以外は、実施例1と同様に電着および加熱処理
を行って複合電着皮膜を形成する表面処理を行った。
【0057】〔実施例5〕合成例1で得たポリイミド系
樹脂エマルジョンに、メチルトリエトキシシランを、ポ
リイミド系樹脂エマルジョンの固形分100部に対して
20部添加して70℃×3時間反応させることにより、
ポリイミド系樹脂とメチルトリエトキシシラン縮合物等
とからなる複合体粒子のエマルジョンを得た。実施例1
で用いたポリイミド系樹脂エマルジョンに代えてこの複
合体粒子のエマルジョンを用い、微粒子として平均粒径
0.3μmのシリカを用いた点以外は実施例1と同様に
して表面処理液を作成し、この表面処理液を用いて実施
例1と同様に複合電着皮膜を形成する表面処理を行っ
た。
【0058】〔実施例6〕合成例1で得たポリイミド系
樹脂エマルジョンに代えて合成例2で得たポリアミック
酸エマルジョンを用い、このポリアミック酸エマルジョ
ンにメチルトリエトキシシランを、ポリアミック酸エマ
ルジョンの固形分100部に対して20部添加して70
℃×3時間反応させた。また、微粒子としては平均粒径
0.3μmのPTFE粒子を用いて表面処理液を作成
し、実施例1とは電極の正負を逆転させて熱硬化性薄膜
を形成した。また、この薄膜を硬化させる温度を250
℃から350℃に変更した。これらの点以外は実施例5
と同様にして複合電着皮膜を形成する表面処理を行っ
た。
【0059】〔比較例1〕表面処理液としてNi−PT
FE複合液(上村工業製、商品名「ニムフロン」)を用
い、無電解メッキ法により膜厚20μm、PTFE共析
量20%の複合電着皮膜を形成する表面処理を行った。
なお、電着後の加熱処理は行わなかった。
【0060】〔比較例2〕PTFE粒子を添加しなかっ
た点以外は実施例1と同様にして表面処理液を作成し、
この表面処理液を用いて皮膜を形成する表面処理を行っ
た。
【0061】(3)性能評価 上記実施例1〜6および比較例1、2により行われた表
面処理の性能を下記の方法により評価した。その結果を
表1および表2に示す。
【0062】〔鉛筆硬度〕JIS K 5400に準拠
して測定した。
【0063】〔摩擦係数および耐磨耗性〕下記試験条件
により摩擦係数および磨耗量(mg/cm2)を測定し
た。 荷 重 :50N/cm2 速 度 :1m/分 相手材 :SUS304 往復揺動試験:ストローク200mm 試験サイクル:100×104(400km)
【0064】〔耐薬品性〕上記実施例および比較例によ
り表面処理を施した銅板を、5重量%塩酸水溶液、5重
量%硫酸水溶液、20重量%リン酸水溶液、10重量%
硝酸水溶液および5重量%水酸化ナトリウム水溶液に、
それぞれ常温で24時間浸漬し、表面の皮膜の状態を目
視評価することにより耐薬品性を調べた。 ○;皮膜に異常なし ×;全面に腐食有り
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】(考察)表1および表2から判るように、
従来の表面処理方法であるNi−PTFE複合メッキ皮
膜を形成した比較例1に比べて、実施例1〜6の表面処
理方法によると、耐薬品性、摩擦係数、磨耗量のいずれ
においても同等以上の性能が得られた。また、実施例1
の表面処理方法によると、PTFE粒子を添加しない比
較例2と同等の硬度を維持しながら、摩擦係数および磨
耗量を大幅に低減させることができた。さらに、オルガ
ノシラン縮合物等との複合体粒子を用いた実施例5およ
び6では、鉛筆硬度2Hという高硬度の複合電着皮膜が
形成された。
【0068】
【発明の効果】本発明の表面処理液または表面処理方法
によると、被処理面の形状を問わず、その表面に摺動
性、耐磨耗性、潤滑性、撥水性、離型性、非導電性、耐
薬品性等を付与することができる。この表面処理は硬
度、耐磨耗性などの機械的耐久性が高く、低発塵性であ
り、かつ耐薬品性などの化学的耐久性にも優れる。した
がって本発明の表面処理液または表面処理方法は、ベア
リング、摺動部材、金型、シューターなどの表面処理に
おいて有用である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 22/00 C23C 22/00 Z (72)発明者 伊藤 信幸 東京都中央区築地二丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 Fターム(参考) 4D075 BB21Z BB89X CA02 CA07 CA09 CA23 CA36 CA44 EB39 EB42 EC03 EC07 4J038 CD091 CD092 CG141 DB001 DD001 DJ021 DL022 DL031 DL032 EA011 KA08 KA20 MA02 MA08 MA10 4K026 AA02 BA01 BB03 BB04 BB10 CA37 CA39 CA41 DA01 EB11

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合性化合物および重合体の少なくとも
    一方からなる電着可能な粒子のエマルジョンと、 無機微粒子、フッ素含有有機微粒子および架橋有機微粒
    子から選択された少なくとも一種の微粒子と、 を含有することを特徴とする表面処理液。
  2. 【請求項2】 下記式(1)で示されるオルガノシラ
    ン、該オルガノシランの加水分解物および該加水分解物
    の部分縮合物から選択された少なくとも一種を含有する
    請求項1記載の表面処理液。 【化1】 (R1nSi(OR24-n (1) (式中、R1は水素原子または炭素数1〜8の一価の有
    機基を示し、R2は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数
    1〜6のアシル基またはフェニル基を示し、nは1また
    は2の整数である。R1およびR2は同一であってもよい
    し、異なっていてもよい。)
  3. 【請求項3】 上記電着可能な粒子は、粒子表面に電荷
    を有し、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル
    系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂およびシリ
    コン系樹脂から選択された少なくとも一種の樹脂からな
    る請求項1または2記載の表面処理液。
  4. 【請求項4】 請求項1から3のいずれか一項に記載の
    表面処理液を電着液に用いて基材表面に皮膜を形成し、
    次いで該皮膜を熱処理することを特徴とする表面処理方
    法。
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