JP2003012885A - 耐摩耗性フッ素樹脂組成物およびコーティング膜、ならびに定着装置用シームレスパイプ - Google Patents

耐摩耗性フッ素樹脂組成物およびコーティング膜、ならびに定着装置用シームレスパイプ

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JP2003012885A
JP2003012885A JP2001219548A JP2001219548A JP2003012885A JP 2003012885 A JP2003012885 A JP 2003012885A JP 2001219548 A JP2001219548 A JP 2001219548A JP 2001219548 A JP2001219548 A JP 2001219548A JP 2003012885 A JP2003012885 A JP 2003012885A
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JP
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resin
aromatic
coating film
resistant
fluororesin
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JP2001219548A
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English (en)
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Hideyuki Tsutsui
英之 筒井
Masaki Egami
正樹 江上
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NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた非粘着および耐摩耗性を有するととも
に、表面粗さを低下させないコーティング膜として有用
な耐摩耗性フッ素樹脂組成物、およびこの樹脂組成物を
用いたコーティング膜、ならびに表面離型層として該コ
ーティング膜を有する定着装置用シームレスパイプを提
供する。 【解決手段】 フッ素樹脂、特に融点 320℃以下のフッ
素樹脂、さらにはテトラフルオロエチレン・パーフルオ
ロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂に、平均粒径が
10μm 以下の耐熱性樹脂、特に芳香族ポリイミド系樹
脂粉末、芳香族ポリイミド系前駆体から得られる芳香族
ポリイミド系樹脂、あるいは芳香族ポリアミド樹脂粉末
を配合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐摩耗性フッ素樹脂
組成物およびこの樹脂組成物を用いたコーティング膜、
ならびに表面離型層として該コーティング膜を有する定
着装置用シームレスパイプに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、複写機やプリンターなどにおい
て、紙などの記録材上に転写されたトナー像を定着させ
るために、従来用いられてきた定着ローラあるいは加圧
ローラの代わりに薄膜フィルムからなるシームレスパイ
プを用いた定着装置が多用されている。この定着装置用
シームレスパイプを用いた定着装置の一例を図2に示
す。定着装置は従来の定着装置用シームレスパイプ10
と、このシームレスパイプ10を円滑に送るように固定
配置されたローラ5、5と、パイプ10を加熱支持する
ために固定配置されたヒータ6と、ヒータ6にシームレ
スパイプ10を挟んで対向して配置された加圧ローラ7
とから構成される。加圧ローラによって、トナー8が付
着した紙などの記録材9を加圧する。これにより、トナ
ー8がシームレスパイプ10を介してヒータ6によって
加熱され加圧ローラ7によって加圧され記録材9に定着
する。また、ヒータで加熱する代わりに電磁誘導発熱を
利用し、金属製フィルムや金属メッキを施した樹脂製シ
ームレスパイプを使用してシームレスパイプ自体が発熱
する機構のものもある。また、加圧ローラとしてシーム
レスパイプを使用する場合もある。
【0003】従来、この定着装置用シームレスパイプ1
0には、耐熱性の高いポリイミド樹脂などの樹脂フィル
ムやステンレスなどの金属フィルムが使用されており、
トナーと接する外径面には非粘着性が必要なためテトラ
フルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテ
ル共重合体樹脂(以下、PFAと略称する)などのフッ
素樹脂単体からなる非粘着性樹脂層がコーティングされ
ている。また、フッ素樹脂単体に導電性のセラミック
粉、金属粉、金属酸化物粉等の導電性粒子を分散させた
表面離型層を有する加熱装置用フィルムが開示されてい
る(特開平7−199699)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、PFA
単体などを表面離型層としてコーティングした定着装置
用シームレスパイプは、十分な非粘着性を有するが耐摩
耗性に劣るため、記録材との摺動により表面離型層が摩
耗し、非粘着性がなくなって定着ムラが生じ画像が劣化
するという問題がある。また、PFA単体などにセラミ
ック粉、金属粉等を分散させた表面離型層を有する加熱
装置用フィルムは、熱伝導性は向上するが、耐摩耗性は
ほとんど向上しないという問題がある。
【0005】フッ素樹脂層の耐摩耗性を向上させるため
には、充填剤の配合量を増加させればよいが、増加させ
るにしたがい非粘着性は低下していくのでその配合量に
は限度がある。また、繊維状充填剤を使用すると耐摩耗
性は向上するが、コーティング面の表面粗さが十分に小
さくならずトナーの定着が不完全になる。さらに、フッ
素樹脂に代えてポリアミドイミド樹脂などの耐摩耗性の
高いベース樹脂を用いてコーティング膜を作製すれば容
易に十分な耐摩耗性を実現できるが、非粘着性が十分で
ないという問題がある。
【0006】本発明は、このような問題に対処するため
になされたもので、優れた非粘着および耐摩耗性を有す
るとともに、表面粗さを低下させないコーティング膜と
して有用な耐摩耗性フッ素樹脂組成物、およびこの樹脂
組成物を用いたコーティング膜、ならびに表面離型層と
して該コーティング膜を有する定着装置用シームレスパ
イプを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の耐摩耗性フッ素
樹脂組成物は、フッ素樹脂に耐熱性樹脂を配合したこと
を特徴とする。また、上記フッ素樹脂が融点 320℃以下
のフッ素樹脂であることを特徴とする。また、上記融点
320℃以下のフッ素樹脂がPFAであることを特徴とす
る。また、上記耐熱性樹脂が芳香族ポリイミド系樹脂で
あることを特徴とする。この芳香族ポリイミド系樹脂
は、芳香族ポリイミド樹脂、芳香族ポリアミドイミド樹
脂、または、芳香族ポリイミド樹脂および芳香族ポリア
ミドイミド樹脂の混合物であることを特徴とする。ま
た、上記耐熱性樹脂が芳香族ポリアミド樹脂であること
を特徴とする。上記芳香族ポリイミド樹脂、芳香族ポリ
アミドイミド樹脂および芳香族ポリアミド樹脂から選ば
れた少なくとも一つの樹脂は、粉末状であって、その平
均粒径が 10μm 以下であることを特徴とする。また、
上記芳香族ポリイミド樹脂および芳香族ポリアミドイミ
ド樹脂から選ばれた少なくとも一つの樹脂は、上記フッ
素樹脂に配合された芳香族ポリイミド系前駆体より得ら
れることを特徴とする。本発明において、芳香族ポリイ
ミド系前駆体とは芳香族ポリイミド系ポリマーを生成す
る前の物質をいう。また、上記耐熱性樹脂が無機粉末を
配合してなることを特徴とする。
【0008】本発明のコーティング膜は、基材表面に非
粘着性および耐摩耗性を付与するコーティング膜であっ
て、該コーティング膜が上述した耐摩耗性フッ素樹脂組
成物からなることを特徴とする。また、基材との接着性
に優れた充填剤が配合されたフッ素系プライマー層を上
記基材表面に有することを特徴とする。
【0009】本発明の定着装置用シームレスパイプは、
フィルム管状体と、このフィルム管状体の外周に表面離
型層が形成されてなり、該表面離型層が上記コーティン
グ膜であることを特徴とする。
【0010】フッ素樹脂に耐熱性樹脂、特に芳香族ポリ
イミド系樹脂粉末、芳香族ポリアミド樹脂粉末を配合す
ることにより、有機物である芳香族ポリイミド系樹脂粉
末等がフッ素樹脂に均一に分散する。そのため、表面粗
さを低下させないコーティング膜が得られる。また、芳
香族ポリイミド系樹脂粉末または芳香族ポリアミド樹脂
粉末により耐摩耗性が向上するとともに、フッ素樹脂に
よる優れた非粘着性が維持される。
【0011】特に、フッ素樹脂が融点 320℃以下のフッ
素樹脂であり、さらにそのフッ素樹脂がPFAであるこ
とにより、コーティング膜としての一体性と芳香族ポリ
イミド系樹脂粉末の均一分散性とが得られる。芳香族ポ
リイミド系樹脂粉末または芳香族ポリアミド樹脂粉末が
粉末状を保持して、その平均粒径を 10μm 以下とする
ことにより、より優れた均一分散性と、小さい表面粗さ
面とが得られる。また、芳香族ポリイミド系樹脂は、そ
の前駆体をフッ素樹脂に配合してコーティングした後、
焼成することにより、フッ素樹脂と均一に混合し、より
表面粗さの小さい膜が得られる。コーティング膜は、基
材との接着性に優れた充填剤が配合されたフッ素系プラ
イマー層を基材表面に形成することにより、密着性がよ
り向上する。本発明のコーティング膜を表面離型層に用
いることにより、優れた耐摩耗性と非粘着性とが得ら
れ、定着ムラが生じ難く、耐久性に優れた定着装置用シ
ームレスパイプが得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に使用できるフッ素樹脂
は、コーティング膜形成能があるフッ素樹脂であれば使
用できる。フッ素樹脂を例示すれば、ポリテトラフルオ
ロエチレン樹脂(以下、PTFEと略称する)、PF
A、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレ
ン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂
(以下、EPEと略称する)、テトラフルオロエチレン
−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂(以下、FE
Pと略称する)、テトラフルオロエチレン−エチレン共
重合体樹脂(以下、ETFEと略称する)、トリフルオ
ロクロロエチレン−エチレン共重合体樹脂(以下、EC
TFEと略称する)、ポリビニルフルオライド樹脂(以
下、PVFと略称する)およびポリビニリデンフルオラ
イド樹脂(以下、PVDFと略称する)等がある。これ
らのフッ素樹脂は、単独または混合物として、溶媒に分
散または溶解させて使用できる。
【0013】上記フッ素樹脂の中で、融点 320℃以下の
フッ素樹脂が溶融性に優れ、コーティング膜形成能に優
れるので好ましい。融点 320℃以下のフッ素樹脂として
は、上記フッ素樹脂群よりPTFEを除いたフッ素樹脂
が挙げられる。また、融点 320℃以下のフッ素樹脂の中
でも、PFAが加工性、非粘着性、および耐熱性に優れ
るため、本発明の耐摩耗性フッ素樹脂組成物に好適であ
る。PFAは、テトラフルオロエチレンとパーフルオロ
アルキルビニルエーテルの共重合体であれば特に限定さ
れるものではなく、その製造方法が溶液重合でも、乳化
重合や懸濁重合であってもよい。また、コーティング膜
が形成できれば、分子量や結晶化度も特に限定されるも
のではないが、いずれも高い方が耐摩耗性に優れるため
好ましい。また、コーティング用の場合、水や有機溶剤
に分散または溶解させることにより、コーティング膜の
表面粗さが調節しやすくなり好ましい。代表的なPFA
市販品としては、三井デュポン・フロロケミカル社製P
FAエナメル500シリーズ、旭硝子社製フルオンAD
シリーズが挙げられる。
【0014】本発明で使用できる耐熱性樹脂は、上記融
点 320℃以下のフッ素樹脂が溶融する温度、例えば約 2
00℃より高い耐熱性を有する樹脂であれば使用できる。
また、定着温度より高い温度で機械的強度を維持できる
樹脂であれば使用できる。耐熱性樹脂としては、芳香族
ポリイミド系樹脂、芳香族ポリベンズイミダゾール樹
脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、
ポリアリ−レンスルフィド樹脂、ポリエーテルケトン樹
脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルニ
トリル樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂等を挙げること
ができ、これらの耐熱性樹脂は単独でも混合しても使用
することができる。
【0015】耐熱性樹脂の中でも、フッ素樹脂の優れた
非粘着性を維持して耐摩耗性を付与できる、芳香族ポリ
イミド系樹脂または芳香族ポリアミド樹脂が好ましい。
芳香族ポリイミド系樹脂は、少なくとも芳香環に連結し
たイミド環を分子内に含む樹脂をいい、芳香族ポリイミ
ド樹脂、芳香族ポリアミドイミド樹脂、芳香族ポリエス
テルイミド樹脂、芳香族ポリベンズイミダゾールイミド
樹脂等が挙げられる。本発明においては、耐熱性および
工業的に入手のしやすさから芳香族ポリイミド樹脂、芳
香族ポリアミドイミド樹脂が特に好ましい。
【0016】芳香族ポリイミド樹脂は、芳香族テトラカ
ルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの反応、芳香族テ
トラカルボン酸二無水物と芳香族ジイソシアネートとの
反応等によって得られる。芳香族ポリイミド樹脂の生成
過程を化1に示す。化1は芳香族テトラカルボン酸二無
水物と芳香族ジアミンとをモノマーとして用いる場合の
例である。
【化1】 第一段階として、芳香族テトラカルボン酸二無水物(T
CDA)と芳香族ジアミン(DA)とは、極性溶媒中で
の付加反応により、芳香族ポリアミック酸(PA)を生
成する(反応I)。この芳香族ポリアミック酸の分子内
脱水閉環反応により、芳香族ポリイミド(PI)が生成
する(反応II)。一部の特殊な分子構造を有する芳香
族ポリイミドを除いて、芳香族ポリイミド(PI)は、
通常不溶不融であり溶媒に溶解しないため、可溶性であ
る芳香族ポリアミック酸(PA)を経て合成される。
【0017】上記芳香族ポリイミド(PI)の場合、芳
香族ポリアミック酸(PA)が前駆体となる。また、芳
香族ポリアミック酸(PA)の一部が閉環して芳香族ポ
リイミド成分を含む場合であっても、沈殿物が生成した
り、全体がゲル状となったりしないで、溶液状態を保っ
ている場合は前駆体として使用できる。
【0018】芳香族ポリイミド樹脂は、芳香族テトラカ
ルボン酸二無水物と芳香族ジイソシアナートとの付加・
脱炭酸反応によっても得られる。また、芳香族テトラカ
ルボン酸の酸塩化物と芳香族ジアミンとの反応によって
も得られる。
【0019】本発明で使用できる芳香族ポリイミド樹脂
粉末は、上記芳香族ポリイミド(PI)樹脂粉末であ
り、R1およびR2がともに芳香族基である。芳香族テト
ラカルボン酸二無水物(TCDA)としては、3、4、
3´、4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
2、3、3´、4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物などのビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロ
メリット酸二無水物、3、4、3´、4´−ベンゾフエ
ノンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカル
ボン酸二無水物、ビス(ジカルボキシフェニル)プロパ
ン二無水物、ビス(ジカルボキシフェニル)スルホン二
無水物、ビス(ジカルボキシフェニル)エ−テル二無水
物等が例示できる。これらは単独あるいは、これらの混
合物として用いられる。また、芳香族ジアミン(DA)
としては、4、4´−ジアミノジフェニルメタン、4、
4´−ジアミノジフェニルエ−テル、2、6−トルイレ
ンジアミン、2、4−トルイレンジアミン、メタフェニ
レンジアミン、パラフェニレンジアミン、キシリレンジ
アミン、4、4´−ジアミノジフェニルスルホン、4、
4´−ジアミノジフェニルサルファイド、4、4´−ジ
アミノベンゾフェノン、2、6−ジアミノナフタレン、
2、7−ジアミノナフタレン、1、4−ジアミノナフタ
レン、1、5−ジアミノナフタレン、4、4´−ジアミ
ノジフェニル、3、3´−ジメチル−4、4´−ジアミ
ノジフェニル、3、3´−ジカルボキシ−4、4´−ジ
アミノジフェニル、3、3´−ジメトキシ−4、4´−
ジアミノジフェニル等が例示できる。これらは単独ある
いは、これらの混合物として用いられる。また芳香族ジ
イソシアネ−トとしては上記芳香族ジアミンのアミノ基
をイソシアネート基に置換した化合物が単独あるいは、
混合物として用いられる。
【0020】非粘着性と耐摩耗性とを付与できる芳香族
ポリイミド樹脂粉末として、本発明においては、R
1が、3、4、3´、4´−ビフェニルテトラカルボン
酸二無水物残基、2、3、3´、4´−ビフェニルテト
ラカルボン酸二無水物残基、またはこれらの混合酸二無
水物残基であり、R2が、パラフェニレンジアミン残
基、メタフェニレンジアミン残基、ジアミノジフェニル
エーテル残基、ジアミノジフェニルメタン残基、または
これらの混合ジアミン残基であることが好ましい。
【0021】芳香族ポリイミド樹脂の市販品としては、
宇部興産社製ユーピレックスRおよびユーピレックス
S、レンジング社製P84一HT、東レ社製TI−30
00、デュポン社製べスペル、三井化学社製オーラムが
挙げられる。また、芳香族ポリイミド前駆体の市販品と
しては、宇部興産社製U−ワニスA、U−ワニスS、お
よびユピファインが挙げられる。
【0022】芳香族ポリアミドイミド樹脂は、芳香族ト
リカルボン酸無水物または芳香族トリカルボン酸ハライ
ドと、芳香族ジアミンとの反応により、あるいは芳香族
トリカルボン酸無水物と芳香族ジイソシアナートとの付
加・脱炭酸反応により得られる。芳香族ポリアミドイミ
ド樹脂の生成過程を化2に示す。化2は芳香族トリカル
ボン酸無水物と芳香族ジイソシアナートとをモノマーと
して用いる場合の例である。
【化2】 芳香族トリカルボン酸無水物(TMA)と芳香族ジイソ
シアナート(DI)とは、極性溶媒中での付加・脱炭酸
反応により、芳香族ポリアミドイミド(PAI)が生成
する。なお、上記反応において、芳香族トリカルボン酸
無水物(TMA)の一部を芳香族テトラカルボン酸二無
水物(TCDA)に置換することにより、イミド結合を
多く含む芳香族ポリアミドイミドが得られ、芳香族トリ
カルボン酸無水物(TMA)の一部を芳香族ジカルボン
酸に置換することにより、アミド結合を多く含む芳香族
ポリアミドイミドが得られる。
【0023】芳香族ポリアミドイミド樹脂の前駆体とし
ては、初期反応生成物、またはアミド基含有芳香族ジア
ミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物とから得られる
芳香族ポリアミック酸などが挙げられる。
【0024】本発明で使用できる芳香族ポリアミドイミ
ド樹脂粉末は、上記芳香族ポリアミドイミド(PAI)
樹脂粉末であり、R3およびR4がともに芳香族基であ
る。芳香族トリカルボン酸無水物(TMA)としては、
トリメリット酸無水物、2、3、6−ピリジントリカル
ボン酸無水物、1、4、5−ナフタリントリカルボン酸
無水物、3、4、4´−ジフェニルトリカルボン酸無水
物、3、4、4´−ベンゾフェノントリカルボン酸無水
物、3、4、4´−ジフェニルスルホントリカルボン酸
無水物、3、4、4´−ベンズアニリドトリカルボン酸
無水物等が例示できる。また、芳香族ジアミン、芳香族
ジイソシアナートは、上述した芳香族ポリイミド樹脂に
例示した材料を使用できる。
【0025】非粘着性と耐摩耗性とを付与できる芳香族
ポリイミド樹脂粉末として、本発明においては、R
3が、トリメリット酸無水物残基であり、R4が、ジフェ
ニルメタンジイソシアナート残基であることが好まし
い。
【0026】芳香族ポリアミドイミド樹脂の市販品とし
ては、アモコ社製トーロン400TF、東レ社製TIシ
リーズが挙げられる。芳香族ポリアミドイミド樹脂溶液
としては、東洋紡社製パイロマックス、日立化成工業社
製パイワニス等が挙げられる。
【0027】芳香族ポリアミド樹脂は、芳香族ジカルボ
ン酸またはその誘導体と、芳香族ジアミンまたはその誘
導体との反応により得られる。芳香族ジカルボン酸とし
ては、イソフタル酸、テレフタル酸、これらの芳香族環
の一個以上の水素をハロゲン、ニトロ基、アルキル基、
またはフェニル基で置換した芳香族ジカルボン酸、また
はハロゲン化イソフタロイルなどの誘導体が、芳香族ジ
アミンまたはその誘導体としては、上述した芳香族ポリ
イミド樹脂に例示した材料を使用できる。また、芳香族
ポリアミド樹脂として、内部にシリカや層状粘土鉱物な
どを 1〜500nm 、好ましくは 1〜100nm の平均粒径で配
合したハイブリット材またはナノコンポジット材が好適
に使用できる。このようなハイブリット材またはナノコ
ンポジット材の市販品としては、大日本インキ化学工業
社製S・アミド−Rなどが挙げられる。
【0028】芳香族ポリイミド系樹脂粉末または芳香族
ポリアミド樹脂粉末が配合された耐摩耗性フッ素樹脂組
成物を表面離型層として用いた定着装置用シームレスパ
イプの場合、トナーの定着性を考慮し、コーティング膜
表面の表面粗さ(Ra)を小さくする必要があるので、
樹脂粉末の平均粒径は 10μm 以下が好ましい。また、
平均粒径 5μm 以下のポリイミド系樹脂粉末は工業的に
生産性が劣り、また分子量も小さくなるので、最も好ま
しい平均粒径は 5μm から 10μm である。一方、芳香
族ポリアミド樹脂粉末の中でハイブリット材またはナノ
コンポジット材は、粉末状であれば、平均粒径が 5μm
以下であっても使用できる。
【0029】芳香族ポリイミド系樹脂粉末または芳香族
ポリアミド樹脂粉末の配合割合は、樹脂組成物全体に対
して、1 容量%以上、50 容量%未満、好ましくは 3〜4
0 容量%である。1 容量%未満では耐摩耗性が向上せ
ず、50 容量%以上であると非粘着性が劣り、また表面
粗さが大きくなる。
【0030】耐摩耗性フッ素樹脂組成物は、上記ポリイ
ミド系樹脂粉末または芳香族ポリアミド樹脂粉末に加え
て、非粘着性、表面粗さまたは耐摩耗性を低下させない
範囲内で各種機械的性質や熱的性質を向上させるために
適当な他の充填剤を添加できる。例えば、ポリテトラフ
ルオロエチレン樹脂粉末、黒鉛粉末、ポリオキシベンゾ
イルポリエステル樹脂粉末、ポリベンゾイミダゾール樹
脂粉末、液晶樹脂粉末、炭化珪素粉末、多孔質シリカ粉
末、窒化硼素粉末、二硫化モリブデン粉末、二硫化タン
グステン粉末、炭酸カルシウム粉末、リン酸リチウム粉
末、炭酸リチウム粉末、硫酸カルシウム粉末、夕ルク粉
末、シリカ粉末、炭素粉末、クレー粉末、マイカ等の鉱
物粉末、酸化チタンウィスカ、チタン酸カリウムウィス
カ、ホウ酸アルミニウムウィスカ、硫酸カルシウムウィ
スカ、ガラス繊維、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊
維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、アルミナ繊維、
ボロン繊維、、炭化珪素繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素
繊維、各種金属繊維等を添加してもよい。また、上記充
填剤を複数組み合わせて使用することもできる。なお、
この発明の効果を阻害しない範囲で合成樹脂に広く適用
されている添加剤を併用してもよい。例えば離型剤、難
燃剤、帯電防止剤、耐候性改良剤、酸化防止剤、着色
剤、工業用潤滑剤等を適宜添加してもよく、これらを添
加する方法も特に限定されない。
【0031】上記充填剤の中でも、特に無機粉末を配合
することが、シームレスバイプのコーティング膜に用い
たときに、摩耗量を小さくでき、耐久性が優れるため好
ましい。
【0032】耐摩耗性フッ素樹脂組成物は、ポリイミド
系樹脂粉末を配合する方法に代えて、芳香族ポリイミド
系前駆体をフッ素樹脂に配合し、樹脂組成物形成時、例
えばコーティング膜形成時に前駆体が芳香族ポリイミド
系樹脂に変換されることによっても得られる。この場
合、ポリイミド系樹脂粉末を最初に配合する方法より、
表面粗さがより小さいコーティング膜が得られる。ま
た、芳香族ポリイミド系前駆体にアルコール性水酸基を
有する化合物を加えた後に、フッ素樹脂と配合すること
により、表面粗さが小さい均一な分散性を有するコーテ
ィング膜が得られる。これは芳香族ポリイミド系前駆体
の遊離カルボキシル基の安定化および脱水閉環時の水分
離のしやすさと考えられる。
【0033】芳香族ポリイミド系前駆体をフッ素樹脂に
配合する場合の配合比率は、上記芳香族ポリイミド系樹
脂を配合する場合と同一である。また、非粘着性、表面
粗さまたは耐摩耗性を低下させない範囲内で各種機械的
性質や熱的性質を向上させるために適当な他の上述した
充填剤を添加できる。
【0034】本発明の耐摩耗性フッ素樹脂組成物は、優
れた耐摩耗性と非粘着性を有するコーティング膜を形成
するための樹脂組成物として好適である。耐摩耗性フッ
素樹脂組成物は、ボールミル、ヘンシェルミキサー、ジ
ューサーミキサー、ホモジナイザーなど公知の方法を用
いて樹脂同士、あるいは樹脂と溶媒等を混合して得られ
る。コーティング組成物として使用する場合、コーティ
ング方法としては、スプレー法、ディッピング法、ロー
ラコート法、スピンコート法、静電塗装法、流動浸漬法
等、公知の方法を用いることができる。また、耐摩耗性
フッ素樹脂組成物の潤滑性を損なわない限り、中間製品
または最終製品の形態において、例えばアニール処理等
の化学的または物理的な処理によってコーティング膜お
よびこのコーティング膜を有する製品の性質を改善でき
る。
【0035】本発明に使用できる基材としては、金属フ
ィルム、耐熱樹脂フィルム、耐熱樹脂フィルムにメッ
キ、蒸着、接着、キャスティング、圧着などにより銅や
ニッケルなどの金属層を設けたもの、これらのフィルム
にシリコーンゴムなどの弾性層を設けたものなどが例示
できる。また、基材の形状としてはフィルム状、シーム
レスパイプが例示できる。
【0036】コーティング膜を形成する場合、特に芳香
族ポリイミド系樹脂粉末または芳香族ポリアミド樹脂粉
末を配合する場合は、フッ素系プライマー層を基材表面
に設けることが好ましい。フッ素樹脂系プライマーとし
ては、基材との接着性に優れた充填剤が配合されたプラ
イマーであれば、フッ素樹脂の種類を特に限定するもの
ではなく、上述したPTFE、PFA、EPE、FE
P、ETFE、ECTFE、PVF、PVDF等を単独
あるいは混合物として使用できる。また、基材との接着
性に優れた充填剤としては、基材の種類によっても変わ
るが、基材が耐熱樹脂フィルムの場合、ポリイミドワニ
スやポリアミドイミドワニス、ポリエーテルサルホンな
どを例示できる。
【0037】本発明のコーティング膜は、非粘着性およ
び耐摩耗性を要求される部位に用いることができる。例
としては、電子写真装置に用いられる部品のコーティン
グ膜があり、特にその定着装置に用いられるシームレス
パイプまたは加圧ローラ等に好適に用いることができ
る。
【0038】定着装置用シームレスパイプの一例を図1
に示す。図1(a)は定着装置用シームレスパイプの斜
視図であり、図1(b)はA−A一部拡大断面図であ
る。また、図1(c)はプライマー層がない場合のA−
A一部拡大断面図である。定着装置用シームレスパイプ
1は、耐熱性樹脂フィルムあるいはステンレスなどの金
属フィルム管状体2と、その外周表面にプライマー層3
と表面離型層4とが順に形成されている。表面離型層4
に上記本発明のコーティング膜が用いられている。な
お、図示を省略したがプライマー層の他にゴム弾性体
層、電磁誘導発熱層など複数の層がフィルム管状体2の
外周表面と表面離型層4との間に存在してもよい。ま
た、本発明のコーティング膜が芳香族ポリイミド系前駆
体とフッ素樹脂液とを配合してなるコーティング液から
得られる場合、接着力に優れるので、プライマー層がな
くても表面離型層を形成できる。
【0039】本発明の定着装置用シームレスパイプ1
は、上述した図2に示す定着装置において、従来のシー
ムレスパイプ10の代わりに用いられる。また、加圧ロ
ーラ7は、定着装置用シームレスパイプ1と同様に非粘
着性や耐摩耗性、および表面粗さを要求されるが、アル
ミニウム合金などで作製された加圧ローラ7表面に本発
明のコーティング膜を設けることにより、高性能化およ
び長寿命化が図れる。コーティング膜は、プライマー層
単独あるいはプライマー層の他にゴム弾性体層など複数
の層を介して設けてもよい。さらに、従来から用いられ
ているアルミニウム合金などで作製された定着ローラに
コーティングして用いることもできる。また、本発明の
耐摩耗性フッ素樹脂組成物をチューブ状に成形してお
き、加圧ローラや定着ローラ等の外径部に装着して用い
ることもできる。
【0040】上記定着装置用シームレスパイプを使用す
る形態としては、フィルム定着方式の電子写真装置用定
着部であれば特に限定されるものではなく、フィルム送
りローラやヒータ、電磁コイルおよび加圧ローラの個数
や形状はどのようなものであってもよい。また、加圧ロ
ーラの構造としても特に限定されるものではない。
【0041】
【実施例】実施例と比較例とに用いた諸原材料を一括し
て示すと次の通りである。表1に各成分の配合割合を示
す。なお、各成分の配合割合は固形分での割合でありす
べて容量%である。また、[ ]内は表1に示す略称で
ある。 (1)PFA[PFA] 三井・デュポンフロロケミカル社製:PFAエナメル5
10CL、固形分 40重量% (2)芳香族ポリイミド樹脂粉末1[PI粒径 10μm
] 宇部興産社製:ユーピレックスR粉末、平均粒径 10μm (3)芳香族ポリイミド樹脂粉末2[PI粒径 25μm
] 宇部興産社製:ユーピレックスR粉末、平均粒径 25μm (4)芳香族ポリイミド前駆体[PI前駆体] 宇部興産社製:U−ワニスA (5)芳香族ポリアミドイミド樹脂粉末1[PAI粒径
10μm ] アモコ社製:トーロン400TF、平均粒径 10μm(分
級品) (6)芳香族ポリアミドイミド樹脂粉末2[PAI粒径
25μm ] アモコ社製:トーロン400TF、平均粒径 25μm(分
級品) (7)芳香族ポリアミドイミド前駆体[PAI前駆体] 東洋紡社製:パイロマックス (8)炭化珪素粉末[SIC] 和光純薬製炭化珪素粉末、平均粒径 0.28μm (9)多孔質シリカ[SIO] 旭硝子社製:サンスフェアH33、平均粒径 3μm (10)芳香族ポリアミド樹脂−シリカハイブリット材
粉末[PAR] 大日本インキ化学工業社製:S・アミド−R、シリカ 4
0 %配合、平均粒径 1μm
【0042】実施例1〜3、および比較例1〜6 PFAエナメルの固形分に対し各種充填剤を表1に記載
の割合でボールミルにて十分均一分散するまで混合して
コーティング液を作製した。ポリイミド樹脂フィルム
(宇部興産社製:ユーピレックスフィルム)にプライマ
ー液(三井・デュポンフロロケミカル社製:PR420
−703BK)を塗布した後乾燥させてプライマー層を
設けた。このプライマー層上に上記コーティング液をス
プレー法にてコーティングして、100℃で数分間乾燥し
て 380℃で 1 時間焼成して試験片を作製した。コーテ
ィング膜の厚さは、コーティングガンの吐出量や吹き付
け時間を調整して 20〜30μm とした。なお、比較例1
は充填剤を配合しないコーティング膜を用いた従来の定
着装置用シームレスパイプの試験片の例である。
【0043】得られた試験片を摩耗試験、純水の接触角
測定、表面粗さ測定により評価した。摩耗試験は、上記
フィルム状試験片を回転軸の端面に固定し、リング状相
手材をリングの径中心が回転軸と同軸になるように、リ
ング端面をフィルム状試験片の表面に接触させ、加圧お
よび加熱して、フィルム状試験片とリング状相手材とを
摺動させた。試験条件は、面圧 50KPa、速度 15/min.、
温度 200℃、相手材の材質SUS304(Ra 0.4μm
)、試験時間は 20 時間とした。結果を表1に示す。
【0044】実施例4〜7 芳香族ポリイミド前駆体(宇部興産社製:U−ワニス
A)を純水とフルフリルアルコールと界面活性剤の混合
液中にホモジナイザーを用いて十分に均一分散させ、そ
の後にPFAエナメルとをボールミルにて十分均一分散
するまで混合してコーティング液を作製した。なお、実
施例6および実施例7は無機粉末を配合してコーティン
グ液を作製した。これらのコーティング液を用いて、実
施例4、実施例6および実施例7は実施例1と同様にし
て、実施例5はプライマー層を設けない以外は実施例1
と同様にして、定着装置用シームレスパイプの試験片を
作製した。得られた試験片を実施例1と同様にして評価
した。結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】表1に示す結果より明らかなように、実施
例1〜7は、ポリイミド樹脂粉末またはポリイミド前駆
体を経たポリイミド樹脂が所定量配合されているため、
比摩耗量が小さく十分な耐久性があり、接触角が大きい
ので、定着装置用シームレスパイプに用いてもトナーが
付着することもなく、表面粗さも小さいのでトナーを均
一に定着できる。実施例5は、プライマー層を設けなく
ても各実施例と同等の特性を示した。実施例6および実
施例7は、ポリイミド前駆体を経たポリイミド樹脂と無
機粉末とを配合することにより、表面粗さも小さく、優
れた耐摩耗性改善を示した。
【0047】一方、充填剤が配合されていない従来使用
されていた比較例1は、接触角が大きく非粘着性があ
り、表面粗さは小さくトナーを均一に定着できるが、比
摩耗量が大きいため長期間初期の性能を保つことができ
ない。また従来、耐摩耗性改善のために考えられてきた
炭化珪素粉末を配合した比較例2は、充填剤が配合され
ていない比較例1に比べると比摩耗量は小さいが、耐摩
耗性は改善されていない。比較例3はポリイミド樹脂粉
末の配合量が所定量より少ないために比摩耗量が大き
い。比較例4はポリイミド樹脂粉末の配合量が所定量よ
り多いため、比摩耗量は小さいが接触角が小さく表面粗
さが大きい。比較例5はポリイミド樹脂粉末の粒径が大
きいため表面粗さが大きくなる。比較例6は、ポリイミ
ド前駆体を経たポリイミド樹脂が配合されていないた
め、比摩耗量が大きかった。
【0048】実施例8〜12、および比較例7〜10 PFAエナメルの固形分に対し各種充填剤を表2に記載
の割合でボールミルにて十分均一分散するまで混合して
コーティング液を作製した。ポリイミド樹脂フィルム
(宇部興産社製:ユーピレックスフィルム)にプライマ
ー液(三井・デュポンフロロケミカル社製:PR420
−703BK)を塗布した後乾燥させてプライマー層を
設けた。このプライマー層上に上記コーティング液をス
プレー法にてコーティングして、100℃で数分間乾燥し
て 380℃で 1 時間焼成して試験片を作製した。コーテ
ィング膜の厚さは、コーティングガンの吐出量や吹き付
け時間を調整して 20〜30μm とした。得られた試験片
を実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
なお、比較例1を表2に同時に示す。
【0049】
【表2】
【0050】表2に示す結果より明らかなように、実施
例8〜11は、ポリアミドイミド樹脂粉末またはポリア
ミドイミド前駆体を経たポリアミドイミド樹脂が所定量
配合されているため、比摩耗量が小さく十分な耐久性が
あり、接触角が大きいので、定着装置用シームレスパイ
プに用いてもトナーが付着することもなく、表面粗さも
小さいのでトナーを均一に定着できる。実施例12は、
芳香族ポリアミド樹脂−シリカハイブリット材粉末が配
合されているため、実施例8〜11と同等の特性が得ら
れた。一方、耐摩耗性改善のために考えられてきた炭化
珪素粉末を配合した比較例7は、充填剤が配合されてい
ない比較例1に比べると比摩耗量は小さいが、耐摩耗性
は改善されていない。比較例8はポリアミドイミド樹脂
粉末の配合量が所定量より少ないために比摩耗量が大き
い。比較例9はポリアミドイミド樹脂粉末の配合量が所
定量より多いため、比摩耗量は小さいが接触角が小さく
表面粗さが大きい。比較例10はポリアミドイミド樹脂
粉末の粒径が大きいため表面粗さが大きくなる。
【0051】
【発明の効果】本発明の耐摩耗性フッ素樹脂組成物は、
フッ素樹脂に耐熱性樹脂、特に芳香族ポリイミド系樹脂
粉末を配合したので、非粘着性と耐摩耗性に優れる。ま
た、フッ素樹脂が融点 320℃以下のフッ素樹脂であり、
特にPFAであるので、コーティング膜形成能に優れ、
表面粗さの小さいコーティング膜が得られる。また、芳
香族ポリイミド系樹脂粉末または芳香族ポリアミド樹脂
粉末の平均粒径が 10μm 以下であるので、より優れた
表面粗さが得られる。また、上記芳香族ポリイミド系樹
脂は、上記フッ素樹脂に配合された芳香族ポリイミド系
前駆体より得られるので、優れた表面粗さと基材への密
着性とに優れる。また、上記芳香族系樹脂と無機粉末を
併用することにより、優れた表面粗さと耐摩耗性に優れ
る。
【0052】本発明のコーティング膜は、上記樹脂組成
物を用いるので、基材表面に非粘着性および耐摩耗性を
付与できる。また、フッ素系プライマー層を設けるの
で、基材との密着性に優れる。特に、芳香族ポリイミド
系前駆体を配合したコーティング膜は、フッ素系プライ
マー層を設けない場合であっても基材との密着性に優れ
る。
【0053】本発明の定着装置用シームレスパイプは、
表面離型層が上記コーティング膜で形成されてなるの
で、十分な非粘着性および表面の平滑性を備え、かつ優
れた耐摩耗性を有するので初期の性能を長期間持続でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】定着装置用シームレスパイプの一例を示す図で
ある。
【図2】シームレスパイプを用いた定着装置を示す図で
ある。
【符号の説明】
1 定着装置用シームレスパイプ 2 フィルム管状体 3 プライマー層 4 表面離型層 5 ローラ 6 ヒータ 7 加圧ローラ 8 トナー 9 記録材 10 定着装置用シームレスパイプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 127/18 C09D 127/18 177/10 177/10 179/08 179/08 B Z G03G 15/20 103 G03G 15/20 103 Fターム(参考) 2H033 AA09 AA23 BA11 BA25 BB05 BB18 BB23 BB28 4J002 BD121 BD141 BD151 BD161 CF162 CH092 CL062 CM022 CM042 CN012 DA016 DA026 DA066 DC006 DE136 DE146 DE186 DE226 DG026 DG056 DH046 DJ006 DJ016 DJ036 DJ046 DJ056 DK006 DL006 FA046 FA066 FD016 GH00 4J038 CD091 CD101 CD111 CD121 CD131 DD002 DF052 DH002 DJ002 DJ022 DJ052 DK002 KA08 KA19 KA20 MA02 MA12 MA14 NA10 NA11 PB09 PC02

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ素樹脂に耐熱性樹脂を配合したこと
    を特徴とする耐摩耗性フッ素樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記フッ素樹脂が融点 320℃以下のフッ
    素樹脂であることを特徴とする請求項1記載の耐摩耗性
    フッ素樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記融点 320℃以下のフッ素樹脂がテト
    ラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエー
    テル共重合体樹脂であることを特徴とする請求項2記載
    の耐摩耗性フッ素樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記耐熱性樹脂が芳香族ポリイミド系樹
    脂であることを特徴とする請求項1、請求項2または請
    求項3記載の耐摩耗性フッ素樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 前記芳香族ポリイミド系樹脂が芳香族ポ
    リイミド樹脂および芳香族ポリアミドイミド樹脂から選
    ばれた少なくとも一つの樹脂であることを特徴とする請
    求項4記載の耐摩耗性フッ素樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 前記耐熱性樹脂が芳香族ポリアミド樹脂
    であることを特徴とする請求項1、請求項2または請求
    項3記載の耐摩耗性フッ素樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 前記芳香族ポリイミド樹脂、芳香族ポリ
    アミドイミド樹脂および芳香族ポリアミド樹脂から選ば
    れた少なくとも一つの樹脂は、粉末状であって、その平
    均粒径が 10μm 以下であることを特徴とする請求項5
    または請求項6記載の耐摩耗性フッ素樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 前記芳香族ポリイミド樹脂および芳香族
    ポリアミドイミド樹脂から選ばれた少なくとも一つの樹
    脂は、前記フッ素樹脂に配合された芳香族ポリイミド系
    前駆体より得られることを特徴とする請求項5記載の耐
    摩耗性フッ素樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 前記耐熱性樹脂が無機粉末を配合してな
    ることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3
    記載の耐摩耗性フッ素樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 基材表面に非粘着性および耐摩耗性を
    付与するコーティング膜であって、該コーティング膜が
    請求項1ないし請求項9のいずれか一項記載の耐摩耗性
    フッ素樹脂組成物からなることを特徴とするコーティン
    グ膜。
  11. 【請求項11】 前記コーティング膜は、基材との接着
    性に優れた充填剤が配合されたフッ素系プライマー層を
    前記基材表面に有することを特徴とする請求項10記載
    のコーティング膜。
  12. 【請求項12】 フィルム管状体と、このフィルム管状
    体の外周に表面離型層が形成されてなる定着装置用シー
    ムレスパイプであって、前記表面離型層が請求項10ま
    たは請求項11記載のコーティング膜であることを特徴
    とする定着装置用シームレスパイプ。
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