JP2965278B2 - 熱硬化型ポリイミド樹脂組成物と熱硬化品およびその製造方法 - Google Patents

熱硬化型ポリイミド樹脂組成物と熱硬化品およびその製造方法

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JP2965278B2
JP2965278B2 JP4296319A JP29631992A JP2965278B2 JP 2965278 B2 JP2965278 B2 JP 2965278B2 JP 4296319 A JP4296319 A JP 4296319A JP 29631992 A JP29631992 A JP 29631992A JP 2965278 B2 JP2965278 B2 JP 2965278B2
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広志 山本
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  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高耐熱性を有すると
ともに、靱性、可撓性、接着性等の機械的特性等に優
れ、構造材料、接着材料、成形材料、封止材料、フィル
ム、積層板等に利用される熱硬化型ポリイミド樹脂組成
物、その熱硬化品、および、この熱硬化品の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリイミドは、耐熱性を要求され
る用途に広く使用されている。このポリイミドには、大
別して、前駆体であるポリアミド酸の段階で賦形し、そ
の後に熱処理して、イミド閉環を行わせることにより得
られた第1のタイプと、イミド環を持つオリゴマーを熱
架橋させることにより得られた第2のタイプとがある。
【0003】上記第1のタイプには、ベスペル、カプト
ン、ユーピレックス、Pyralin (いずれも登録商標)等
が属する。これらは、非常に高い耐熱性を持っている
が、成形途中で不溶不融になるため、成形等の取り扱い
が困難である。これに対して、熱可塑性を有するよう
に、分子構造を工夫したポリマーが種々提案されてい
る。しかし、このアプローチでは、成形品は、成形温度
以上では溶融状態となり、耐熱性が大きく低下するた
め、ポリイミド本来の耐熱性を生かした用途への適用は
制限される。
【0004】その点、イミド環を持つオリゴマーを熱架
橋させることにより得られた前記第2のタイプの熱硬化
型ポリイミドは、自由に成形でき、成形品は不溶不融で
あり、しかも高い耐熱性を有しているため、大型コンピ
ュータ用多層プリント基板や、自動車のエンジン内外の
機能部品、宇宙、航空用途の部品等、苛酷な環境下で高
い信頼性を要求される分野に多量に使用されている。
【0005】たとえば、下記一般式化9で表される多官
能不飽和イミド(2官能以上の不飽和イミドを言う。以
下同じ。)は、これを重合、架橋させることによって、
非常に架橋密度の高い硬化品を得ることができる。
【0006】
【化9】
【0007】(式中、Dは炭素−炭素間の二重結合を含
む2価の基を表し、R1 は2官能以上の有機基を表し、
1 は2以上の整数を表す。) この多官能不飽和イミドの代表的なものは、下式化10
で表されるビスマレイミドである。
【0008】
【化10】
【0009】しかし、このビスマレイミドを用いた組成
物は、非常にもろいという欠点を有するため、靱性、加
工性、耐衝撃性に問題がある。そこで、耐熱性は多少劣
るが、このビスマレイミドモノマーを種々の架橋剤で変
性したものを使用している。その代表的なものとして
は、架橋剤としてジアミンを用いることにより得られた
ポリアミノビスマレイミド系樹脂が挙げられ、ケルイミ
ド、キネル(いずれも登録商標)等がこれに属する。こ
れらは、詳しくは、マイケル付加によるビスマレイミド
とジアミンとのオリゴマーを使用し、このオリゴマーを
加熱し、高分子量化と架橋を同時進行させることにより
得られたものである。その他の例としては、架橋剤とし
て前記ジアミンの代わりにポリシアン酸エステル化合物
を用いることにより得られたポリイミド等がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ビスマレイ
ミドモノマーを種々の架橋剤で変性することにより得ら
れた上述のポリイミドは、いずれも、ビスマレイミド単
独の場合に比べて、靱性や可撓性が若干改良されてはい
るが、充分なレベルには至っていない。一般に、熱硬化
性樹脂の靱性や可撓性を改良するために、エラストマー
に代表される可撓性成分を熱硬化性樹脂組成物に添加す
る方法が検討されている。たとえば、両末端にカルボキ
シル基を有する液状ニトリルゴム〔Hycar CTBN(登
録商標)等〕をビスマレイミドに配合した組成物では、
ゴムの球状ドメイン(島)がイミドマトリックス(海)
中に分散した、いわゆる海−島状の相分離構造を形成し
ている。しかし、この手法では、靱性や可撓性は、あま
り改良されない。
【0011】熱硬化型ポリイミド樹脂組成物の靱性や可
撓性を改良する手法として、組成物中に熱可塑性樹脂を
導入する方法が提案されている(特開平2−58569
号および特開平2−305860号の各公報参照)。し
かし、前記特開平2−58569号公報に記載の熱硬化
型ポリイミド樹脂組成物に使用されている熱可塑性樹脂
はポリアリールスルホンであるため、機械加工性の点で
問題があり、また、前記特開平2−305860号公報
に記載の熱硬化型ポリイミド樹脂組成物に使用されてい
る熱可塑性樹脂は低分子量のシロキサンオリゴマーであ
るため、耐熱性が不充分であるという問題があった。
【0012】そこで、この発明は、高耐熱性等の優れた
特性を維持しながら、靱性、可撓性、接着性等の機械的
特性等にも優れた熱硬化型ポリイミド樹脂組成物、その
熱硬化品、および、この熱硬化品の製造方法を提供する
ことを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、発明者らは種々検討を重ねた。その結果、熱硬化型
ポリイミド樹脂組成物中に導入する熱可塑性樹脂として
下記特定のものを用いるようにすれば、高耐熱性等の優
れた特性を維持しながら、靱性、可撓性、接着性等の機
械的特性等を充分なレベルまで改良することが可能にな
ることを実験で確認して、この発明を完成した。
【0014】したがって、この発明にかかる熱硬化型ポ
リイミド樹脂組成物は、下記一般式化11で表される多
官能不飽和イミドと熱可塑性樹脂とを必須成分として含
む熱硬化型ポリイミド樹脂組成物において、前記熱可塑
性樹脂が、前記多官能不飽和イミドとの相溶域を有する
とともに、180℃以上のガラス転移温度、かつ、1万
以上の数平均分子量を有する、ポリエーテルイミド、ポ
リアリレートおよびポリアミドイミドからなる群の中か
ら選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする。
【0015】
【化11】
【0016】(式化11中、Dは炭素−炭素間の二重結
合を含む2価の基を表し、R1 は2官能以上の有機基を
表し、x1 は2以上の整数を表す。) この発明にかかる熱硬化品(物)は、上記熱硬化型ポリ
イミド樹脂組成物の熱硬化品であって、ポリイミドが主
なる組成の相と、熱可塑性樹脂が主なる組成の相に分離
しており、これら両分離相が、ともに連続して規則正し
く絡み合った構造を形成しているものである。
【0017】この発明にかかる、熱硬化品の製造方法
は、上記熱硬化型ポリイミド樹脂組成物を原料として用
い、その多官能不飽和イミドと熱可塑性樹脂とを相溶さ
せた後、前記多官能不飽和イミドを熱硬化させることに
より、ポリイミドが主なる組成の相と熱可塑性樹脂が主
なる組成の相とに分離させ、これら両分離相が、ともに
連続して規則正しく絡み合った構造を形成している熱硬
化品を得るようにする方法である。
【0018】前記一般式化11で表される多官能不飽和
イミド(以下、これを単に「多官能不飽和イミド」と称
する。)としては、特に限定はされないが、たとえば、
マレイン酸N,N′−エチレン−ビス−イミド、マレイ
ン酸N,N′−ヘキサメチレン−ビス−イミド、マレイ
ン酸N,N′−メタフェニレン−ビス−イミド、マレイ
ン酸N,N′−パラフェニレン−ビス−イミド、マレイ
ン酸N,N′−4,4′−ジフェニルメタン−ビス−イ
ミド〔前記式化10で表されるもの、N,N′−メチレ
ンビス(N−フェニルマレイミド)とも言う。〕、マレ
イン酸N,N′−4,4′−ジフェニルエーテル−ビス
−イミド、マレイン酸N,N′−4,4′−ジフェニル
スルフォン−ビス−イミド、マレイン酸N,N′−4,
4′−ジシクロヘキシルメタン−ビス−イミド、マレイ
ン酸N,N′−α,α′−4,4′−ジメチレンシクロ
ヘキサン−ビス−イミド、マレイン酸N,N′−メタキ
シリレン−ビス−イミドおよびマレイン酸N,N′−ジ
フェニルシクロヘキサン−ビス−イミド等が挙げられ
る。これらは、無水マレイン酸と各種ジアミンとを反応
させて、アミド酸を生成させた後、このアミド酸を脱水
閉環反応させることにより得られた多官能不飽和イミド
であるが、無水マレイン酸の代わりに、他の酸無水物、
たとえば、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、テトラ
ヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、ならびに、これ
らのハロゲン置換体、アルキル置換体等を用いることに
より得られた多官能不飽和イミドであってもよい。その
他の多官能不飽和イミドの例としては、下式化12〜1
4で表されるもの等が挙げられる。
【0019】
【化12】
【0020】
【化13】
【0021】
【化14】
【0022】(式化12〜14中、mおよびnはそれぞ
れ正の整数を表す。) 多官能不飽和イミドは、1種のみを用いてもよいし、2
種以上を併用してもよい。この発明では、必要に応じ
て、多官能不飽和イミド以外の熱硬化性樹脂を多官能不
飽和イミドと併用してもよい。多官能不飽和イミド以外
の熱硬化性樹脂としては、この発明の目的の達成を阻害
しないものであれば、特に限定はされないが、たとえ
ば、エポキシ樹脂等を用いることができる。多官能不飽
和イミドの含有率は、熱硬化性樹脂成分全体に対して3
5重量%以上であることが好ましい。多官能不飽和イミ
ドの含有率がこの範囲よりも低いと、耐熱性が低下する
からである。
【0023】この発明にかかる熱硬化型ポリイミド樹脂
組成物は、必要に応じては、架橋剤を含んでいてもよ
い。架橋剤としては、特に限定はされないが、たとえ
ば、下記一般式化15で表されるポリアミン、下記一般
式化16で表されるポリシアン酸エステル化合物、下記
一般式化17で表される多官能不飽和化合物および下記
一般式化18で表される多官能不飽和化合物等が挙げら
れる。
【0024】
【化15】
【0025】(式化15中、R2 は2官能以上の有機基
を表し、x2 は2以上の整数を表す。)
【0026】
【化16】
【0027】(式化16中、R3 は少なくとも1個の芳
香環を有する2官能以上の有機基を表し、x3 は2以上
の整数を表す。)
【0028】
【化17】
【0029】(式化17中、R4 はHまたはCH3 基を
表し、R5 は少なくとも1個の芳香環を有する2官能以
上の有機基を表し、x4 は2以上の整数を表す。)
【0030】
【化18】
【0031】(式化18中、R6 は−CH2 −基または
−CH2 −O−基を表し、R7 は少なくとも1個の芳香
環またはトリアジン環を有する2官能以上の有機基を表
し、x5 は2以上の整数を表す。) これらの架橋剤は、いずれも多官能不飽和イミド中の炭
素−炭素二重結合と反応することにより架橋するもので
あり、それぞれ単独で使用してもよいし、お互いに併用
してもよい。
【0032】前記一般式化15で表されるポリアミンの
具体例としては、特に限定はされないが、たとえば、
4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,4−
ジアミノシクロヘキサン、2,6−ジアミノピリジン、
メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、
4,4′−ジアミノ−ジフェニルメタン、2,2−ビス
−(4−アミノフェニル)プロパン、ベンジジン、4,
4′−ジアミノフェニルオキサイド、4,4′−ジアミ
ノジフェニルサルファイド、4,4′−ジアミノジフェ
ニルスルフォン、ビス−(4−アミノフェニル)ジフェ
ニルシラン、ビス−(4−アミノフェニル)メチルフォ
スフィンオキサイド、ビス−(3−アミノフェニル)メ
チルフォスフィンオキサイド、ビス−(4−アミノフェ
ニル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(4−
アミノフェニル)フェニラミン、1,5−ジアミノナフ
タレン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジア
ミン、1,1−ビス−(パラアミノフェニル)フタラ
ン、ヘキサメチレンジアミンおよび下式化19〜20で
表されるポリアミン等が挙げられる。これらは、1種の
みを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0033】
【化19】
【0034】
【化20】
【0035】(式化19〜20中、nは正の整数を表
す。) 前記一般式化16で表されるポリシアン酸エステル化合
物の具体例としては、特に限定はされないが、たとえ
ば、下式化21〜35で表されるもの等が挙げられる。
【0036】
【化21】
【0037】
【化22】
【0038】
【化23】
【0039】
【化24】
【0040】
【化25】
【0041】
【化26】
【0042】
【化27】
【0043】
【化28】
【0044】
【化29】
【0045】
【化30】
【0046】
【化31】
【0047】
【化32】
【0048】
【化33】
【0049】
【化34】
【0050】
【化35】
【0051】(式化35中、nは正の整数を表す。) しかし、ポリシアン酸エステル化合物は、上記のものに
限定されず、これら化合物の類似品、たとえば、官能基
数がもっと多いものや、アルキル置換体等を用いてもよ
い。ポリシアン酸エステル化合物は、1種のみを用いて
もよいし、2種以上を併用してもよい。
【0052】上記一般式化17で表される多官能不飽和
化合物の具体例としては、特に限定はされないが、たと
えば、下式化36〜41で表されるもの等が挙げられ
る。これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を
併用してもよい。
【0053】
【化36】
【0054】
【化37】
【0055】
【化38】
【0056】
【化39】
【0057】
【化40】
【0058】
【化41】
【0059】(式化40〜41中、nは2以上の整数を
表す。) 前記一般式化18で表される多官能不飽和化合物の具体
例としては、特に限定はされないが、たとえば、下式化
42〜45で表されるものや、下式化46で表されるア
リルエーテル化o−クレゾールノボラック、下式化47
で表されるアリルエーテル化ノボラック、下式化48で
表されるアリル化フェノールノボラック、下式化49で
表される多官能アリル化フェノール、下式化50で表さ
れるo,o′−ジアリル−ビスフェノールA、下式化5
1で表されるアリルエーテル化ビスフェノールA、下式
化52で表されるトリアリルイソシアヌレート(TAI
C)、下式化53で表されるトリアリルトリメリレート
(TAT)および下式化54で表されるジアリルフタレ
ート(DAP)等が挙げられる。これらは、1種のみを
用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0060】
【化42】
【0061】
【化43】
【0062】
【化44】
【0063】
【化45】
【0064】
【化46】
【0065】
【化47】
【0066】
【化48】
【0067】(式化46〜48中、mは正の整数を表
し、nは2以上の整数を表す。)
【0068】
【化49】
【0069】(式化49中、nは正の整数を表す。)
【0070】
【化50】
【0071】
【化51】
【0072】
【化52】
【0073】
【化53】
【0074】
【化54】
【0075】この発明で用いられる熱可塑性樹脂は、ポ
リエーテルイミド、ポリアリレートおよびポリアミドイ
ミドからなる群の中から選ばれた少なくとも1種であっ
て、多官能不飽和イミドとの相溶域を有するとともに、
180℃以上のガラス転移温度(Tg)、かつ、1万以
上の数平均分子量を有するものである。ここで、熱可塑
性樹脂が多官能不飽和イミドとの相溶域を有するとは、
温度および組成の選択により、多官能不飽和イミドと熱
可塑性樹脂とを相溶化させることが可能であることを意
味する。使用できる熱可塑性樹脂の具体例としては、特
に限定はされないが、たとえば、下式化55で表される
ポリエーテルイミド、下式化56で表されるポリアリレ
ートおよび下式化57で表されるポリアミドイミド等が
挙げられる。
【0076】
【化55】
【0077】
【化56】
【0078】
【化57】
【0079】上記式化55〜57中、繰り返し数n1
4 は、それぞれ、正の整数であればよいが、多官能不
飽和イミドとの相溶性または硬化品の耐熱性を良くする
ためには、それぞれ、30〜1000であることが好ま
しく、50〜300であることがより好ましい。熱可塑
性樹脂の配合比については、特に限定はされないが、た
とえば、多官能不飽和イミド100重量部に対して、熱
可塑性樹脂が5〜100重量部であることが好ましく、
10〜50重量部であることがより好ましい。もしも、
熱可塑性樹脂の配合比が上記の範囲を外れる場合は、有
効な相分離構造の制御が困難になるからである。
【0080】架橋剤として前記式化15で表されるポリ
アミンを用いる場合、多官能不飽和イミド(r1:不飽和
イミド基の当量)とポリアミン(r2:アミノ基の当量)
との配合比は、当量比(r1/r2)で1.2以上の範囲内
であることが好ましい。もしも、これらの配合比が、上
記の範囲よりも小さくなると(ポリアミンの量が多くな
りすぎると)、硬化を行う際、硬化時間が短くなり、そ
の結果、靱性等の改善に有効な相分離構造の形成が困難
になるとともに、硬化品の成形も難しくなるからであ
る。
【0081】多官能不飽和イミドとポリアミンは、それ
ぞれ、単独モノマーの形で用いてもよいし、あらかじめ
極性溶媒中で両者を反応させ、プレポリマー化させてお
いたものを用いてもよい。このようなプレポリマー化反
応をあらかじめ行う場合は、多官能不飽和イミドのホモ
ポリマーの生成を防止するため、60〜95℃の温度で
プレポリマー化させることが好ましい。また、このプレ
ポリマー化反応は、長時間行わせると、得られるプレポ
リマーの分子量が大きくなりすぎ、その結果、熱可塑性
樹脂との相溶性が阻害されるので、好ましくない。そこ
で、分子量が1万を超える成分が10%以内である状態
で反応を止めることが好ましい。
【0082】架橋剤として前記式化16で表されるポリ
シアン酸エステル化合物を用いる場合、多官能不飽和イ
ミド(r1:不飽和イミド基の当量)とポリシアン酸エス
テル化合物(r3:シアネート基の当量)との配合比は、
当量比(r1/r3)で0.5以上の範囲内であることが好
ましい。もしも、これらの配合比が、上記の範囲よりも
小さくなると(ポリシアン酸エステル化合物の量が多く
なりすぎると)、硬化を行う際、有効な相分離構造の形
成が困難になるとともに、ベース硬化物のガラス転移温
度Tgが低くなり、耐熱性が低くなるからである。
【0083】架橋剤として前記一般式化17または18
で表される多官能不飽和化合物を用いる場合のそれら架
橋剤の配合比については、特に限定はされないが、多官
能不飽和イミド(r1:不飽和イミド基の当量)と架橋剤
(r4:多官能不飽和化合物中の不飽和基の当量)との当
量比(r1/r4)が0.1〜10の割合であることが好ま
しく、0.25〜1の割合であることがより好ましい。
もしも、その割合が0.1よりも少ないと、架橋剤の添
加効果が得られなくなり、10よりも多いと、硬化品の
耐熱性が低くなるからである。
【0084】この発明の熱硬化型ポリイミド樹脂組成物
は、必要に応じては、その硬化反応を促進させる目的
で、触媒を含んでいてもよい。使用できる触媒として
は、特に限定はされないが、たとえば、以下に列記する
もの等が挙げられる。有機塩基、たとえば、N,N−ジ
メチルアニリン、N,N−ジメチルトルイジン、N,N
−ジメチル−p−アニシジン、p−ハロゲノ−N,N−
ジメチルアニリン、2−N−エチルアニリノエタノー
ル、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、キノリン、N
−メチルモルホリン、トリエタノールアミンや、2−ウ
ンデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダ
ゾール、ベンジルジメチルアミンイミダゾール類、ベン
ツイミダゾール類等の第3級アミン類およびそれらのア
ンモニウム塩;トリフェニルホスフィン等のリン化合
物;フェノ ール、クレゾール、キシレノール、レゾルシ
ン、フロログルシン等のフェノール類;ナフテン酸鉛、
ステアリン酸鉛、ナフテン酸亜鉛、オレイン酸スズ、ジ
ブチル錫マレエート、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸
コバルト等の有機金属塩;SnCl2 、ZnCl2 、A
lCl3 等の塩化物;アルカリ金属化合物等のイオン触
媒;アゾビスイソブチロニトリルや、ジクミルパーオキ
サイド等の有機過酸化物等のラジカル触媒;アセチルア
セトナートおよびその遷移金属塩;等の触媒である。
【0085】これらの触媒の使用量については、使用す
る触媒の種類、硬化品の用途、硬化条件等によっても著
しく相違し、一概に規定し得ないが、一般的な意味での
触媒量、たとえば、熱硬化性樹脂成分に対して、5重量
%以下の割合であることが好ましい。なお、硬化系と硬
化温度との組み合わせによっては、硬化速度が遅すぎる
ために、相分離が固定できずに、硬化品の相分離構造が
粗大化または不規則化してしまう場合があるが、その場
合は、硬化促進剤の使用が有効である。しかし、この硬
化促進剤の使用は、あくまで、相分離と硬化をバランス
良く行わせるための硬化速度の調節に用いる補助手段で
あって、この発明の必須要件ではない。
【0086】この発明の熱硬化型ポリイミド樹脂組成物
は、必要に応じては、通常用いられる離型剤、顔料等の
各種添加剤、充填材(フィラー)等を含んでいてもよ
い。また、溶剤に溶解したワニスの形でガラスクロス等
の基材に含浸させたプリプレグの形で積層板、SMC、
FRP等の用途のために成形してもよい。次に、この発
明の熱硬化品における相分離構造の発現の原理およびこ
の相分離構造の確認手段について説明する。
【0087】一般に、異なる2種類の有機物AとBを混
合した場合、これらの組成比および温度に対して「相
図」と呼ばれる図を描くことができる。実用的な全領域
について相溶する場合や、逆に全領域で相溶しない場合
があるが、ある領域で相溶し、別の領域で相分離状態と
なる場合もある。この現象は、相溶した場合の自由エネ
ルギーが、相溶しない2相における自由エネルギーの合
計に比べて低いかどうか、すなわち、ΔGmix がどのよ
うな組成依存性を持っているかで決定される。
【0088】相図の例を図25に示す。この相図は、L
CST型と呼ばれるものであり、同一組成では、低温側
で相溶しやすくなる例である。しかし、これとは逆に、
高温側で相溶する例もあり、その場合は、UCST相図
と呼ばれている。このような非相溶領域と相溶領域を区
別する相図上の曲線は、バイノーダル曲線と呼ばれる
(図26参照)。図26にみる相図中で、もう一つ、∂
ΔGmix/∂φ=0の点を結び合わせると、頂点
部がバイノーダル曲線と一致し、非相溶領域側に入り込
んだスピノーダル曲線(図中、破線で示している。)を
描くことができる。スピノーダル曲線の内側では、∂
ΔGmix/∂φ<0であり、外側では、∂ ΔG
mix/∂φ>0となっている。
【0089】非相溶領域の中でも、スピノーダル曲線の
内側を不安定領域、スピノーダル曲線とバイノーダル曲
線に挟まれた領域を準安定領域と呼ぶことにする。詳細
な理論によれば、図27にみるように、一旦、温度T1
で安定相溶領域で均一に相溶している混合系の温度をT
2 まで急速に上げて不安定領域内にもってくると、共存
組成φ1 、φ2 に急速に相分離を開始する。その際、図
28にみるように、濃度は、一定の波長Λm (構造周
期)を持って、両分離相が共に連続して規則正しく絡み
合った構造が形成される。このような構造は「変調構
造」と呼ばれ、この変調構造の周期Λm は、相図上の位
置(φ、T2 )によって、熱力学的に下式のように規定
される。
【0090】 Λm ≒2πL〔3|TS −T2 |/TS -1/2 ここで、Lは、分子間の相互作用距離であり、通常、3
0nm前後の値をとる。このような構造を2次元的に顕微
鏡で観察すると、図29にみるような唐草模様が得られ
ることが、計算機シミュレーションにより明らかにされ
ている。実際にも、種々の系でこのような構造が確認さ
れている。
【0091】通常、この過程は、スピノーダル分解と呼
ばれる中の初期の現象であり、末期には、相似的な構造
肥大化が起こり、ついには、図29にみるような構造で
はなく、海島構造が検出されるようになる。スピノーダ
ル分解による相互連続構造を固定化するためには、急冷
等による短時間での一方または両方の成分の固定化が有
効であるが、再度、温度を上昇させると、海島構造に転
じて、実用的には、あまり意味のあるものではなかっ
た。
【0092】しかし、一方が熱硬化する成分である場
合、スピノーダル分解初期で、熱硬化相が反応によって
自由に運動できなくなることから、構造固定が永続的に
起こることが、最近、示されている。熱硬化性樹脂とし
てエポキシ樹脂を用い、熱可塑性樹脂との変調構造を固
定した例は、すでに知られている〔文献(1): K. Yamana
ka, et al., Polymer,30, 662 (1989); および文献(2):
山本ら著、第40回高分子年会予稿集II−11−05 (199
1) 等参照〕。
【0093】しかし、熱硬化性樹脂としてポリイミド樹
脂を用い、熱可塑性樹脂との変調構造を固定した例は、
学術文献上では、まだ報告されていない。一方、図26
中の準安定領域では、初期から海島構造が形成されてし
まうため、この発明の効果が得られない。前述したよう
に、この発明は、多官能不飽和イミドと特定の熱可塑性
樹脂を必須成分とし、硬化時に、これら多官能不飽和イ
ミドと熱可塑性樹脂との相分解から、変調構造、すなわ
ち、これら2つの分離相が共に連続して規則正しく絡み
合った構造を形成する組成物およびその熱硬化品であ
る。このような構造を確認するためには、下記および
の2点が重要である。
【0094】規則的な周期構造が観測されること。こ
の項目は、通常、光学的な方法で達成される。光散乱測
定において、散乱極大が現れることが、ある周期を持っ
た規則正しい相分離構造を持つ証明であり、その周期Λ
m は、光散乱の照射光波長λ、硬化物の屈折率N、散乱
極大を与える散乱角θm を用いて、次式により計算する
ことができる。
【0095】Λm =(λ/2N)/ sin(θm /2) 通常、スピノーダル分解の変調構造を固定化できた場合
のΛm は、0.01〜10μmの範囲であり、10μm
を超えるものについては、海島構造にまで、構造が肥大
化していることが疑われる。 光学顕微鏡観察により、図29に示したような構造が
観察されること。
【0096】これに対して、海島構造では、一方の成分
が球状に分散した構造が観察される。さらに、上記お
よびのような直接確認の他、 組成物が、硬化前に、一旦、完全相溶していること、 硬化品を、熱可塑性樹脂が溶解する溶剤で表面エッチ
ングした際に、残存するイミド相が入り組んだ珊瑚状の
構造が観察できること、 等も確認に役立つ。
【0097】参考までに、エポキシ系での変調構造を記
載した前記文献(1) 中に示されているエポキシ硬化相
(熱可塑性樹脂を溶解する溶剤でエッチングした表面)
の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図30に、その立
体模式図を図31にそれぞれ示す。この発明は、多官能
不飽和イミドと特定の熱可塑性樹脂を必須成分として含
有し、硬化物が相互に連続な相分離を行う組成物および
その熱硬化品であり、その硬化過程や製造方法等につい
ては、特に制限を受けない。しかし、上記発現機構で記
述したように、一旦相溶化させることが前提となってお
り、たとえば、粉体混合した場合には、硬化しない程度
の温度で、相溶するまで放置しておくことが必要とな
る。しかし、一旦、共通溶媒で均一に分子オーダーで混
合し、溶媒を除去するキャスティング法を採る場合に
は、相溶領域では、一瞬にして均一に相溶するため、一
切の製造条件限定は必要ではない。また、硬化速度は、
たとえば、硬化温度の調節や、前述した硬化促進剤の使
用の有無等により調節される。硬化速度の調節は、相分
離の構造周期を制御する手段となる。要は、この発明の
範囲内で、ポリイミドを主とする相と、熱可塑性樹脂を
主とする相の両分離相が、相互に連続した構造をとるこ
とができるような硬化物作製条件をとればよいのであ
る。硬化物作製条件の典型的な例を以下に述べるが、こ
の条件は、系の組成等によって異なり、限定されるもの
ではない。
【0098】まず、塩化メチレン、ジメチルアセトアミ
ド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ジ
メチルホルムアミド、メチルセロソルブ等の極性溶剤を
1種または2種以上用いて、全成分を混合溶解し、濃度
5〜60重量%の溶液を調製する。得られた溶液をキャ
スティングフィルムの形にして、溶剤を除去する。
【0099】得られたフィルムを、140〜250℃の
条件で1分〜5時間、硬化させて、構造を固化する。さ
らに、高温200〜300℃で1〜3時間、後硬化させ
【0100】
【作用】多官能不飽和イミドと前記特定の熱可塑性樹脂
とを必須成分として含ませることにより組成物を構成
し、この組成物を原料として用い、その多官能不飽和イ
ミドと熱可塑性樹脂とを相溶させた後、前記多官能不飽
和イミドを熱硬化させるようにすると、ポリイミドが主
なる組成の相と熱可塑性樹脂が主なる組成の相とに分離
し、これら両分離相が、ともに連続して規則正しく絡み
合った構造を形成している熱硬化品が生成する。この熱
硬化品は、上記のような構造を持つため、ポリイミドに
由来する高耐熱性と、熱可塑性樹脂に由来する靱性、可
撓性、接着性等の機械的特性とを併せ持ったものとな
る。
【0101】この発明では、熱可塑性樹脂として、多官
能不飽和イミドとの相溶域を有するとともに、180℃
以上のガラス転移温度、かつ、1万以上の数平均分子量
を有する、ポリエーテルイミド、ポリアリレートおよび
ポリアミドイミドからなる群の中から選ばれた少なくと
も1種を用いるようにしている。もしも、多官能不飽和
イミドとの相溶域を有しない熱可塑性樹脂を用いた場
合、前述の変調構造を有する硬化品を得ることができな
くなる。
【0102】180℃未満のガラス転移温度または1万
未満の数平均分子量を有する熱可塑性樹脂を用いた場
合、硬化品の耐熱性が低下する。ポリエーテルイミド、
ポリアリレートおよびポリアミドイミド以外の熱可塑性
樹脂としては、たとえば、ポリフェニレンオキサイド
(PPO)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ
エーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレン
サルファイト(PPS)、ポリアセタール(POM)、
ナイロン、ポリカーボネート(PC)等があるが、この
発明では、これらの熱可塑性樹脂は用いることができな
い。これらは、耐熱性、溶媒または相溶域の点で不適切
であるからである。たとえば、ポリフェニレンオキサイ
ドおよびポリフッ化ビニリデンは多官能不飽和イミドと
の相溶域を有しない。ポリエーテルエーテルケトンおよ
びポリフェニレンサルファイトは、好ましい溶媒の選択
が困難である。ポリアセタールおよびナイロンは、好ま
しい溶媒の選択が困難であり、しかもガラス転移温度が
180℃よりも低いため耐熱性を低下させる。ポリカー
ボネートは、多官能不飽和イミドとの相溶域を有する
が、ガラス転移温度が180℃よりも低いため耐熱性を
低下させる。
【0103】
【実施例】以下に、この発明の具体的な実施例および比
較例を示すが、この発明は、下記実施例に限定されな
い。 −実施例1− 前記式化10で表されるN,N′−メチレンビス(N−
フェニルマレイミド)〔三井東圧化学(株)製、BMI
−S〕100重量部、ポリエーテルイミド〔GE製、ウ
ルテム(登録商標)1000、ガラス転移温度Tg21
7℃、数平均分子量12000、重量平均分子量300
00〕30重量部およびジアミノジフェニルメタン2
7.7重量部を配合し、塩化メチレンの10重量%溶液
とした。この溶液をカバーガラス上にキャストし、室温
で24時間、減圧下で溶媒を除去して、薄膜を得た。
【0104】この薄膜を150℃で硬化させ、時間を追
って、光散乱の測定を行うとともに、光学顕微鏡による
観察を行った。なお、光散乱測定は、オプテック(株)
製のGP−5を用い、キャストフィルムの光散乱を30
秒毎に測定することによって行った(以下の実施例も同
様)。光散乱測定により、そのプロフィールには、散乱
極大が現れた。これは、試料が、ある周期を持った規則
正しい相分離構造を有することを示す(以下同じ)。
【0105】−実施例2− 実施例1と同様にして得られた薄膜を170℃で硬化さ
せて、光散乱測定のための試料とした。光散乱測定によ
り、そのプロフィールには、散乱極大が現れた。 −実施例3− 実施例1と同様にして得られた薄膜を200℃で硬化さ
せて、光散乱測定のための試料とした。
【0106】光散乱測定により、そのプロフィールに
は、散乱極大が現れた。図1は、前記実施例1〜3の試
料を硬化させる際、散乱極大を示す角度から求められる
構造周期Λm の経時変化を観察した結果を併せて示すグ
ラフである。ただし、各試料の硬化温度は、実施例1が
150℃、実施例2が170℃、実施例3が200℃で
あった。この図にみるように、いずれの試料も、時間の
経過に伴い、相分離構造が大きくなり、ある時間が経過
した後は、相分離構造が固定されることが確認された。
【0107】図2〜4は、それぞれ、実施例1〜3の試
料の最終硬化物の相分離構造を光学顕微鏡により観察し
た結果を示す。ただし、これらの図において、12mmの
長さが実際には20μmの長さ(倍率600)に相当す
る。これらの図にみるように、前記の光散乱の結果(図
1参照)とよく対応する周期構造が観察された。図5
は、実施例1〜3の試料の最終硬化物の構造周期Λm
硬化温度との関係を示すグラフである。この図にみるよ
うに、硬化温度が高い程、構造周期が大きくなることが
確認された。
【0108】また、実施例2の試料の最終硬化物を、液
体窒素を用いて完全に冷却した後、破断した。この試料
の破断面に対し、ポリエーテルイミドを容易に溶かす溶
媒である塩化メチレンを用いて、室温で24時間エッチ
ングを行うことによって、ポリエーテルイミド相を除去
した。このようなエッチングを行った試料表面を、走査
型電子顕微鏡(SEM)により観察し、その結果を図6
に示した(倍率2000)。この図にみるように、連結
粒子構造が観察された。
【0109】−実施例4− 実施例1において、下記表1に示す通りに各成分を配合
して、ジメチルホルムアミド(DMF)の10重量%溶
液を調製するとともに、この溶液をキャスティングした
後、乾燥させる時間を72時間に変更した以外は実施例
1と同様にして、薄膜を得た。
【0110】得られた薄膜を200℃で硬化させて、光
散乱測定のための試料とした。光散乱測定により、その
プロフィールには、散乱極大が現れた。試料の最終硬化
物を光学顕微鏡により観察した結果、構造周期を有する
相分離構造が確認された。この最終硬化物の構造周期
は、1.0μmであった。 −実施例5〜9− 実施例1において、下記表1および2に示す通りに各成
分を配合して、塩化メチレンの10重量%溶液を調製し
た以外は実施例1と同様にして、薄膜を得た。
【0111】得られた薄膜を200℃で硬化させて、光
散乱測定のための試料とした。光散乱測定により、その
プロフィールには、散乱極大が現れた。試料の最終硬化
物を光学顕微鏡により観察した結果、構造周期を有する
相分離構造が確認された。各実施例の最終硬化物の構造
周期は、下記表1および2に示した。
【0112】−実施例10− 前記式化10で表されるN,N′−メチレンビス(N−
フェニルマレイミド)〔三井東圧化学(株)製、BMI
−S〕100重量部および実施例1で用いたポリエーテ
ルイミド30重量部を配合し、塩化メチレンの10重量
%溶液とした。この溶液を用い、実施例1と同様にして
得られた薄膜を170℃で硬化させて、光散乱測定のた
めの試料とした。
【0113】光散乱測定により、そのプロフィールに
は、散乱極大が現れた。試料の最終硬化物を光学顕微鏡
により観察した結果、構造周期を有する相分離構造が確
認された。この最終硬化物の構造周期は、下記表2に示
した。 −実施例11− 実施例10と同様にして得られた薄膜を200℃で硬化
させて、光散乱測定のための試料とした。
【0114】光散乱測定により、そのプロフィールに
は、散乱極大が現れた。試料の最終硬化物を光学顕微鏡
により観察した結果、構造周期を有する相分離構造が確
認された。この最終硬化物の構造周期は、下記表2に示
した。 −実施例12− 前記式化10で表されるN,N′−メチレンビス(N−
フェニルマレイミド)〔三井東圧化学(株)製、BMI
−S〕100重量部、実施例1で用いたポリエーテルイ
ミド30重量部および後記式化65で表される2,2−
ビス(シアネートフェニル)プロパン〔東京化成(株)
製〕52重量部を配合し、塩化メチレンの10重量%溶
液とした。この溶液を用い、実施例1と同様にして得ら
れた薄膜を140℃で硬化させて、光散乱測定のための
試料とした。
【0115】光散乱測定により、そのプロフィールに
は、散乱極大が現れた。試料の最終硬化物を光学顕微鏡
により観察した結果、構造周期を有する相分離構造が確
認された。この最終硬化物の構造周期は、下記表2に示
した。 −実施例13− 実施例12と同様にして得られた薄膜を170℃で硬化
させて、光散乱測定のための試料とした。
【0116】光散乱測定により、そのプロフィールに
は、散乱極大が現れた。試料の最終硬化物を光学顕微鏡
により観察した結果、構造周期を有する相分離構造が確
認された。この最終硬化物の構造周期は、下記表3に示
した。 −実施例14− 実施例12と同様にして得られた薄膜を200℃で硬化
させて、光散乱測定のための試料とした。
【0117】光散乱測定により、そのプロフィールに
は、散乱極大が現れた。試料の最終硬化物を光学顕微鏡
により観察した結果、構造周期を有する相分離構造が確
認された。この最終硬化物の構造周期は、下記表3に示
した。 −実施例15− 実施例1において、下記表3に示す通りに各成分を配合
して、塩化メチレンの10重量%溶液を調製した以外は
実施例1と同様にして、薄膜を得た。
【0118】得られた薄膜を200℃で硬化させて、光
散乱測定のための試料とした。光散乱測定により、その
プロフィールには、散乱極大が現れた。試料の最終硬化
物を光学顕微鏡により観察した結果、構造周期を有する
相分離構造が確認された。この最終硬化物の構造周期
は、下記表3に示した。 −実施例16− 実施例1において、下記表3に示す通りに各成分を配合
して、ジメチルホルムアミド(DMF)の10重量%溶
液を調製するとともに、この溶液をキャスティングした
後、乾燥させる時間を72時間に変更した以外は実施例
1と同様にして、薄膜を得た。
【0119】得られた薄膜を200℃で硬化させて、光
散乱測定のための試料とした。光散乱測定により、その
プロフィールには、散乱極大が現れた。試料の最終硬化
物を光学顕微鏡により観察した結果、構造周期を有する
相分離構造が確認された。この最終硬化物の構造周期
は、下記表3に示した。 −実施例17− 実施例1において、下記表3に示す通りに各成分を配合
して、塩化メチレンの10重量%溶液を調製した以外は
実施例1と同様にして、薄膜を得た。
【0120】得られた薄膜を200℃で硬化させて、光
散乱測定のための試料とした。光散乱測定により、その
プロフィールには、散乱極大が現れた。試料の最終硬化
物を光学顕微鏡により観察した結果、構造周期を有する
相分離構造が確認された。この最終硬化物の構造周期
は、下記表3に示した。 −実施例18− 実施例1において、下記表3に示す通りに各成分を配合
して、ジメチルホルムアミド(DMF)の10重量%溶
液を調製するとともに、この溶液をキャスティングした
後、乾燥させる時間を72時間に変更した以外は実施例
1と同様にして、薄膜を得た。
【0121】得られた薄膜を200℃で硬化させて、光
散乱測定のための試料とした。光散乱測定により、その
プロフィールには、散乱極大が現れた。試料の最終硬化
物を光学顕微鏡により観察した結果、構造周期を有する
相分離構造が確認された。この最終硬化物の構造周期
は、下記表3に示した。 −実施例19〜22− 実施例1において、下記表4に示す通りに各成分を配合
して、塩化メチレンの10重量%溶液を調製した以外は
実施例1と同様にして、薄膜を得た。
【0122】得られた薄膜を下記表4に示す温度で硬化
させて、光散乱測定のための試料とした。光散乱測定に
より、そのプロフィールには、散乱極大が現れた。試料
の最終硬化物を光学顕微鏡により観察した結果、構造周
期を有する相分離構造が確認された。各実施例の最終硬
化物の構造周期は、下記表4に示した。
【0123】−比較例1〜3− 下記表5に示す通りに各成分を配合して、塩化メチレン
の10重量%溶液を調製した。屈曲試験を行うために、
カバーガラスではなく、ブリキ板上にキャストを行い、
実施例1と同様の方法で薄膜を得た。この薄膜を、下記
表5に示した条件で硬化させ、試料とした。ただし、比
較例1では、硬化後、徐冷時にひびわれが発生したた
め、試料は作製できなかった。
【0124】このようにして得られた比較例2〜3の試
料、ならびに、前記実施例2、13および10の試料
(硬化物)について、JIS−K5400-1979
従い、耐屈曲性試験(折り曲げ径10φ)を行った。そ
の結果、ひび割れ発生時の折り曲げ角度は、下記の通り
であった。 実施例2…45° 比較例2…25° 実施例13…45° 比較例3…25° 実施例10…20°
【0125】
【表1】
【0126】
【表2】
【0127】
【表3】
【0128】
【表4】
【0129】
【表5】
【0130】なお、上記表1〜5中、「熱硬化型ポリイ
ミド樹脂組成物の配合」の欄の各物質の詳細は、下記の
通りである。 多官能不飽和イミドA:前記式化10で表されるN,
N′−メチレンビス(N−フェニルマレイミド)〔三井
東圧化学(株)製、BMI−S〕。 多官能不飽和イミドB:下記式化58で表されるもの
〔三井東圧化学(株)製、BMI−DA〕。
【0131】
【化58】
【0132】多官能不飽和イミドC:下記式化59で表
されるもの〔三井東圧化学(株)製、BMI−MP〕。
【0133】
【化59】
【0134】多官能不飽和イミドD:下記式化60で表
されるもの〔三井東圧化学(株)製〕。
【0135】
【化60】
【0136】ポリアミンA:下記式化61で表される
4,4′−ジアミノジフェニルメタン〔東京化成(株)
製試薬〕。
【0137】
【化61】
【0138】ポリアミンB:下記式化62で表される
4,4′−ジアミノジフェニルスルホン〔東京化成
(株)製試薬〕。
【0139】
【化62】
【0140】ポリアミンC:下記式化63で表される
4,4′−ジアミノジフェニルエーテル〔東京化成
(株)製試薬〕。
【0141】
【化63】
【0142】ポリアミンD:下記式化64で表されるも
の〔東京化成(株)製試薬〕。
【0143】
【化64】
【0144】ポリシアン酸エステル:下記式化65で表
される2,2−ビス(シアネートフェニル)プロパン
〔東京化成(株)製〕。
【0145】
【化65】
【0146】ポリエーテルイミド:GE製、ウルテム
(登録商標)1000、ガラス転移温度Tg217℃、
数平均分子量12000、重量平均分子量30000。 ポリアリレート:ユニチカ製、Uポリマー(登録商
標)、U100、ガラス転移温度Tg190℃、数平均
分子量1万以上〔GPC(ゲル浸透クロマトグラフィ
ー;以下同じ)で確認〕。
【0147】ポリアミドイミド:アモコジャパン製、ト
ーロン(登録商標)4000T、ガラス転移温度Tg2
89℃、数平均分子量1万以上〔GPCで確認〕。ま
た、表1〜5の注釈は、下記の通りである。 ※1:各例における硬化は、この欄に示す温度で3時間
行った。 ※2:各例において、この欄に示す温度で6時間、後硬
化を行った(この後硬化の間、相分離構造の大きさは変
わらなかった)。
【0148】※3:光学顕微鏡により、キャストフィル
ムを昇温しながら観察し、透明化する最低温度を記録し
た。 −実施例23− 前記式化10で表されるN,N′−メチレンビス(N−
フェニルマレイミド)〔三井東圧化学(株)製、BMI
−S〕100重量部、ポリエーテルイミド〔GE製、ウ
ルテム(登録商標)1000、ガラス転移温度Tg21
7℃、数平均分子量12000、重量平均分子量300
00〕30重量部、前記式化46で表されるアリルエー
テル化o−クレゾールノボラック〔住友化学(株)製、
A-4L (Part A) 、m/n=5/5 、アリル当量270〜280
g/eq. 、OH当量270〜280g/eq. 〕39重量部お
よび2−エチル−4−メチルイミダゾール〔東京化成
(株)製〕2.78重量部を配合し、塩化メチレンの1
0重量%溶液とした。この溶液をカバーガラス上にキャ
ストし、室温で24時間、減圧下で溶媒を除去して、薄
膜を得た。この薄膜を150℃で硬化させて、光散乱測
定のための試料とした。
【0149】光散乱測定により、そのプロフィールに
は、散乱極大が現れた。 −実施例24− 実施例23と同様にして得られた薄膜を170℃で硬化
させて、光散乱測定のための試料とした。光散乱測定に
より、そのプロフィールには、散乱極大が現れた。
【0150】−実施例25− 実施例23と同様にして得られた薄膜を200℃で硬化
させて、光散乱測定のための試料とした。光散乱測定に
より、そのプロフィールには、散乱極大が現れた。図7
は、前記実施例23〜25の試料を硬化させる際の構造
周期Λm の経時変化を実施例1と同様にして観察した結
果を併せて示すグラフである。ただし、各試料の硬化温
度は、実施例23が150℃、実施例24が170℃、
実施例25が200℃であった。この図にみるように、
いずれの試料も、時間の経過に伴い、相分離構造が大き
くなり、ある時間が経過した後は、相分離構造が固定さ
れることが確認された。
【0151】図8〜10は、それぞれ、実施例23〜2
5の試料の最終硬化物の相分離構造を光学顕微鏡により
観察した結果を示す。ただし、これらの図において、1
2mmの長さが実際には20μmの長さ(倍率600)に
相当する。これらの図にみるように、前記の光散乱の結
果(図7参照)とよく対応する周期構造が観察された。
【0152】図11は、実施例23〜25の試料の最終
硬化物の構造周期Λm と硬化温度との関係を示すグラフ
である。この図にみるように、硬化温度が高い程、構造
周期が大きくなることが確認された。また、実施例24
の試料の最終硬化物を、液体窒素を用いて完全に冷却し
た後、破断した。この試料の破断面に対し、ポリエーテ
ルイミドを容易に溶かす溶媒である塩化メチレンを用い
て、室温で24時間エッチングを行うことによって、ポ
リエーテルイミド相を除去した。このようなエッチング
を行った試料表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)によ
り観察し、その結果を図12に示した(倍率350
0)。この図にみるように、連結粒子構造が観察され
た。
【0153】−実施例26〜28− 実施例23において、後記表6および7に示す通りに各
成分を配合して、塩化メチレンの10重量%溶液を調製
した以外は実施例23と同様にして、薄膜を得た。得ら
れた薄膜を170℃で硬化させて、光散乱測定のための
試料とした。
【0154】光散乱測定により、そのプロフィールに
は、散乱極大が現れた。試料の最終硬化物を光学顕微鏡
により観察した結果、構造周期を有する相分離構造が確
認された。各実施例の最終硬化物の構造周期は、下記表
6および7に示した。 −実施例29− 前記式化10で表されるN,N′−メチレンビス(N−
フェニルマレイミド)〔三井東圧化学(株)製、BMI
−S〕100重量部、実施例23で用いたポリエーテル
イミド30重量部および前記式化49で表される多官能
アリル化フェノール〔三菱油化(株)製、SH150AR 、ア
リル当量110〜120g/eq. 、OH当量135〜14
5g/eq. 、軟化点45〜55℃〕64重量部を配合し、
塩化メチレンの10重量%溶液とした。この溶液を用
い、実施例23と同様にして得られた薄膜を150℃で
硬化させて、光散乱測定のための試料とした。
【0155】光散乱測定により、そのプロフィールに
は、散乱極大が現れた。 −実施例30− 実施例29と同様にして得られた薄膜を170℃で硬化
させて、光散乱測定のための試料とした。 −実施例31− 実施例29と同様にして得られた薄膜を200℃で硬化
させて、光散乱測定のための試料とした。
【0156】光散乱測定により、そのプロフィールに
は、散乱極大が現れた。図13は、前記実施例29〜3
1の試料を硬化させる際の構造周期Λm の経時変化を実
施例1と同様にして観察した結果を併せて示すグラフで
ある。ただし、各試料の硬化温度は、実施例29が15
0℃、実施例30が170℃、実施例31が200℃で
あった。この図にみるように、いずれの試料も、時間の
経過に伴い、相分離構造が大きくなり、ある時間が経過
した後は、相分離構造が固定されることが確認された。
【0157】図14〜16は、それぞれ、実施例29〜
31の試料の最終硬化物の相分離構造を光学顕微鏡によ
り観察した結果を示す。ただし、これらの図において、
12mmの長さが実際には20μmの長さ(倍率600)
に相当する。これらの図にみるように、前記の光散乱の
結果(図13参照)とよく対応する周期構造が観察され
た。
【0158】図17は、実施例29〜31の試料の最終
硬化物の構造周期Λm と硬化温度との関係を示すグラフ
である。この図にみるように、硬化温度が高い程、構造
周期が大きくなることが確認された。また、実施例30
の試料の最終硬化物を、液体窒素を用いて完全に冷却し
た後、破断した。この試料の破断面に対し、ポリエーテ
ルイミドを容易に溶かす溶媒である塩化メチレンを用い
て、室温で24時間エッチングを行うことによって、ポ
リエーテルイミド相を除去した。このようなエッチング
を行った試料表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)によ
り観察し、その結果を図18に示した(倍率150
0)。この図にみるように、連結粒子構造が観察され
た。
【0159】−実施例32− 実施例23において、後記表7に示す通りに各成分を配
合して、塩化メチレンの10重量%溶液を調製した以外
は実施例23と同様にして、薄膜を得た。得られた薄膜
を170℃で硬化させて、光散乱測定のための試料とし
た。光散乱測定により、そのプロフィールには、散乱極
大が現れた。
【0160】試料の最終硬化物を光学顕微鏡により観察
した結果、構造周期を有する相分離構造が確認された。
最終硬化物の構造周期は、1.9μmであった。 −実施例33− 実施例23において、後記表7に示す通りに各成分を配
合して、塩化メチレンの10重量%溶液を調製した以外
は実施例23と同様にして、薄膜を得た。
【0161】得られた薄膜を200℃で硬化させて、光
散乱測定のための試料とした。光散乱測定により、その
プロフィールには、散乱極大が現れた。試料の最終硬化
物を光学顕微鏡により観察した結果、構造周期を有する
相分離構造が確認された。最終硬化物の構造周期は、
2.1μmであった。 −実施例34− 前記式化10で表されるN,N′−メチレンビス(N−
フェニルマレイミド)〔三井東圧化学(株)製、BMI
−S〕100重量部、実施例23で用いたポリエーテル
イミド30重量部、前記式化50で表されるo,o′−
ジアリル−ビスフェノールA〔三井東圧化学(株)製、
BPA-CA〕75重量部および2−フェニルイミダゾール
〔東京化成(株)試薬〕1.75重量部を配合し、塩化
メチレンの10重量%溶液とした。この溶液を用い、実
施例23と同様にして得られた薄膜を150℃で硬化さ
せて、光散乱測定のための試料とした。
【0162】光散乱測定により、そのプロフィールに
は、散乱極大が現れた。 −実施例35− 実施例34と同様にして得られた薄膜を170℃で硬化
させて、光散乱測定のための試料とした。 −実施例36− 実施例34と同様にして得られた薄膜を200℃で硬化
させて、光散乱測定のための試料とした。
【0163】光散乱測定により、そのプロフィールに
は、散乱極大が現れた。図19は、前記実施例34〜3
6の試料を硬化させる際の構造周期Λm の経時変化を実
施例1と同様にして観察した結果を併せて示すグラフで
ある。ただし、各試料の硬化温度は、実施例34が15
0℃、実施例35が170℃、実施例36が200℃で
あった。この図にみるように、いずれの試料も、時間の
経過に伴い、相分離構造が大きくなり、ある時間が経過
した後は、相分離構造が固定されることが確認された。
【0164】図20〜22は、それぞれ、実施例34〜
36の試料の最終硬化物の相分離構造を光学顕微鏡によ
り観察した結果を示す。ただし、これらの図において、
12mmの長さが実際には20μmの長さ(倍率600)
に相当する。これらの図にみるように、前記の光散乱の
結果(図19参照)とよく対応する周期構造が観察され
た。
【0165】図23は、実施例34〜36の試料の最終
硬化物の構造周期Λm と硬化温度との関係を示すグラフ
である。この図にみるように、硬化温度が高い程、構造
周期が大きくなることが確認された。また、実施例35
の試料の最終硬化物を、液体窒素を用いて完全に冷却し
た後、破断した。この試料の破断面に対し、ポリエーテ
ルイミドを容易に溶かす溶媒である塩化メチレンを用い
て、室温で24時間エッチングを行うことによって、ポ
リエーテルイミド相を除去した。このようなエッチング
を行った試料表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)によ
り観察し、その結果を図24に示した(倍率200
0)。この図にみるように、連結粒子構造が観察され
た。
【0166】−実施例37〜40− 実施例23において、後記表8に示す通りに各成分を配
合して、塩化メチレンの10重量%溶液を調製した以外
は実施例23と同様にして、薄膜を得た。得られた薄膜
を後記表8に示す温度で硬化させて、光散乱測定のため
の試料とした。
【0167】光散乱測定により、そのプロフィールに
は、散乱極大が現れた。試料の最終硬化物を光学顕微鏡
により観察した結果、構造周期を有する相分離構造が確
認された。各実施例の最終硬化物の構造周期は、後記表
8に示した。 −実施例41〜45− 実施例23において、後記表9に示す通りに各成分を配
合して、塩化メチレンの10重量%溶液を調製した以外
は実施例23と同様にして、薄膜を得た。
【0168】得られた薄膜を後記表9に示す温度で硬化
させて、光散乱測定のための試料とした。光散乱測定に
より、そのプロフィールには、散乱極大が現れた。試料
の最終硬化物を光学顕微鏡により観察した結果、構造周
期を有する相分離構造が確認された。各実施例の最終硬
化物の構造周期は、後記表9に示した。
【0169】−実施例46− 前記式化12で表される多官能不飽和イミド〔三井東圧
化学(株)製、BMI−M20〕100重量部および実
施例23で用いたポリエーテルイミド30重量部を配合
し、塩化メチレンの10重量%溶液とした。この溶液を
用い、実施例23と同様にして得られた薄膜を150℃
で硬化させて、光散乱測定のための試料とした。
【0170】光散乱測定により、そのプロフィールに
は、散乱極大が現れた。試料の最終硬化物を光学顕微鏡
により観察した結果、構造周期を有する相分離構造が確
認された。この最終硬化物の構造周期は、後記表9に示
した。 −実施例47〜49− 実施例23において、後記表9および10に示す通りに
各成分を配合して、塩化メチレンの10重量%溶液を調
製した以外は実施例23と同様にして、薄膜を得た。
【0171】得られた薄膜を後記表9および10に示す
温度で硬化させて、光散乱測定のための試料とした。光
散乱測定により、そのプロフィールには、散乱極大が現
れた。試料の最終硬化物を光学顕微鏡により観察した結
果、構造周期を有する相分離構造が確認された。各実施
例の最終硬化物の構造周期は、後記表9および10に示
した。
【0172】−実施例50− 実施例23において、後記表10に示す通りに各成分を
配合して、DMF(N,N′−ジメチルホルムアミド)
の10重量%溶液を調製するとともに、この溶液をキャ
スティングした後、乾燥させる時間を72時間に変更し
た以外は実施例23と同様にして、薄膜を得た。
【0173】得られた薄膜を200℃で硬化させて、光
散乱測定のための試料とした。光散乱測定により、その
プロフィールには、散乱極大が現れた。試料の最終硬化
物を光学顕微鏡により観察した結果、構造周期を有する
相分離構造が確認された。この最終硬化物の構造周期
は、2.7μmであった。 −比較例4〜7− 下記表10に示す通りに各成分を配合して、塩化メチレ
ンの10重量%溶液を調製した。
【0174】屈曲試験を行うために、カバーガラスでは
なく、ブリキ板上にキャストを行い、実施例23と同様
の方法で薄膜を得た。この薄膜を、下記表10に示した
条件で硬化させ、試料とした。ただし、比較例7では、
フィルムがもろすぎるために、硬化後、徐冷時にひびわ
れが発生したので、試料は作製できなかった。このよう
にして得られた比較例4〜6の試料、ならびに、前記実
施例24、30および35の試料(硬化物)について、
JIS−K5400-1979 に従い、耐屈曲性試験
(折り曲げ径10φ)を行った。その結果、ひび割れ発
生時の折り曲げ角度は、下記の通りであった。
【0175】実施例24…45° 比較例4 …25° 実施例30…45° 比較例5 …25° 実施例35…45° 比較例6 …25°
【0176】
【表6】
【0177】
【表7】
【0178】
【表8】
【0179】
【表9】
【0180】
【表10】
【0181】なお、上記表6〜10中、「熱硬化型ポリ
イミド樹脂組成物の配合」の欄の各物質の詳細は、下記
の通りである。 多官能不飽和イミドA:前記式化10で表されるN,
N′−メチレンビス(N−フェニルマレイミド)〔三井
東圧化学(株)製、BMI−S〕。 多官能不飽和イミドB:前記式化58で表されるもの
〔三井東圧化学(株)製、BMI−DA〕。
【0182】多官能不飽和イミドC:前記式化60で表
されるもの〔三井東圧化学(株)製、BMI−BAP
P〕。 多官能不飽和イミドD:前記式化12で表されるもの
〔三井東圧化学(株)製、BMI−M20〕。 架橋剤A:前記式化46で表されるアリルエーテル化o
−クレゾールノボラック〔住友化学(株)製、A-4L (Pa
rt A) 、m/n=5/5 、アリル当量270〜280g/eq. 、
OH当量270〜280g/eq. 〕。
【0183】架橋剤B:前記式化47で表されるアリル
エーテル化ノボラック〔住友化学(株)製〕。 架橋剤C:前記式化48で表されるアリル化フェノール
ノボラック〔住友化学(株)製〕。 架橋剤D:前記式化49で表される多官能アリル化フェ
ノール〔三菱油化(株)製、SH150AR 、アリル当量11
0〜120g/eq. 、OH当量135〜145g/eq. 、軟
化点45〜55℃〕。
【0184】架橋剤E:前記式化50で表されるo,
o′−ジアリル−ビスフェノールA〔三井東圧化学
(株)製、BPA-CA〕。 架橋剤F:前記式化51で表されるアリルエーテル化ビ
スフェノールA〔三井東圧化学(株)製、BPA-AE〕。 架橋剤G:前記式化52で表されるトリアリルイソシア
ヌレート(TAIC)〔東京化成(株)製試薬〕。
【0185】熱可塑性樹脂A:前記式化55で表される
ポリエーテルイミド〔GE製、ウルテム(登録商標)1
000、ガラス転移温度Tg217℃、数平均分子量1
2000、重量平均分子量30000〕。 熱可塑性樹脂B:前記式化56で表されるポリアリレー
ト〔ユニチカ製、Uポリマー(登録商標)、U100、
ガラス転移温度Tg190℃、数平均分子量1万以上
(GPCで確認)〕。
【0186】熱可塑性樹脂C:前記式化57で表される
ポリアミドイミド〔アモコジャパン製、トーロン(登録
商標)4000T、ガラス転移温度Tg289℃、数平
均分子量1万以上(GPCで確認)〕。また、表6〜1
0の注釈は、下記の通りである。 ※1:2UZは2−ウンデシルイミダゾール〔東京化成
(株)製試薬〕を表し、2E4MZは2−エチル−4−
メチルイミダゾール〔東京化成(株)製〕を表し、2P
Zは2−フェニルイミダゾール〔東京化成(株)試薬〕
を表し、DCPはジクミルパーオキサイドを表す。
【0187】※2:各例における硬化は、この欄に示す
温度で3時間行った。 ※3:各例において、この欄に示す温度で2〜6時間、
後硬化を行った(この後硬化の間、相分離構造の大きさ
は変わらなかった)。 ※4:光学顕微鏡により、キャストフィルムを昇温しな
がら観察し、透明化する最低温度を記録した。
【0188】−実施例51− 前記式化10で表されるN,N′−メチレンビス(N−
フェニルマレイミド)〔三井東圧化学(株)製、BMI
−S〕52重量部、エポキシ樹脂(油化シェル(株)
製、EP−828、2官能エポキシ樹脂、エポキシ当量
190g/eq. )48重量部、前記式化61で表される
4,4′−ジアミノジフェニルメタン〔東京化成(株)
製試薬〕26.9重量部および前記式化55で表される
ポリエーテルイミド〔GE製、ウルテム(登録商標)1
000、ガラス転移温度Tg217℃、数平均分子量1
2000、重量平均分子量30000〕30重量部を配
合し、塩化メチレンの10重量%溶液とした。この溶液
を用い、実施例23と同様にして得られた薄膜を150
℃で3時間硬化させた後、230℃で3時間、後硬化さ
せることにより、試料(硬化物)を得た。
【0189】−比較例8− 実施例51において、N,N′−メチレンビス(N−フ
ェニルマレイミド)を全く用いないとともに、エポキシ
樹脂および4,4′−ジアミノジフェニルメタンの配合
量を、それぞれ、100重量部、26重量部に変更した
こと以外は実施例51と同様の操作を行って、薄膜を得
た。この薄膜を150℃で3時間硬化させた後、230
℃で3時間、後硬化させることにより、試料(硬化物)
を得た。
【0190】−比較例9− 前記式化10で表されるN,N′−メチレンビス(N−
フェニルマレイミド)〔三井東圧化学(株)製、BMI
−S〕100重量部およびポリカーボネート〔三菱瓦斯
化学製、H4000、ガラス転移温度Tg150℃、数
平均分子量1万以上(GPCで確認)、粘度平均分子量
15000、重量平均分子量18000〕30重量部を
配合し、塩化メチレンの10重量%溶液とした。この溶
液を用い、実施例51と同様の操作を行うことにより薄
膜を得た。この薄膜を160℃で3時間硬化させた後、
230℃で3時間、後硬化させることにより、試料(硬
化物)を得た。
【0191】前記実施例1、実施例10、実施例12、
実施例15、実施例16、実施例23、実施例51、比
較例8〜9で得られた試料について、耐熱性を調べた。
耐熱性は、室温での弾性率E1 と180℃での弾性率E
2 を測定し、これらの比E3(=E2 /E1 )で評価し
た。このE3 の値が高い程、耐熱性が高いことを表す。
その結果、各試料のE3 の値は、実施例1、実施例1
0、実施例12、実施例15、実施例16および実施例
23については1.0、実施例51については0.2と
いずれも高いものであったのに対し、比較例8〜9につ
いてはいずれも0.01と低いものであった。
【0192】
【発明の効果】この発明にかかる熱硬化型ポリイミド樹
脂組成物の熱硬化品は、従来のポリイミド樹脂硬化品に
比べて、ポリイミドに由来する高耐熱性等の優れた特性
を維持しながら、靱性、可撓性、接着性等の機械的特性
等にも優れている。そのため、この熱硬化品は、構造材
料、接着材料、成形材料、封止材料、フィルム、積層板
等に利用した際、優れた性能を発揮することができる。
【0193】この発明にかかる熱硬化品の製造方法によ
れば、上記の優れた熱硬化品を容易に得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の試料を150℃で、実施例2の試料
を170℃で、実施例3の試料を200℃で、それぞれ
硬化させる際の構造周期の経時変化を併せて示すグラフ
である。
【図2】実施例1の試料を150℃で硬化させた場合の
最終硬化物の相分離構造(粒子構造)を示す光学顕微鏡
写真である。
【図3】実施例2の試料を170℃で硬化させた場合の
最終硬化物の相分離構造(粒子構造)を示す光学顕微鏡
写真である。
【図4】実施例3の試料を200℃で硬化させた場合の
最終硬化物の相分離構造(粒子構造)を示す光学顕微鏡
写真である。
【図5】実施例1〜3の試料の最終硬化物の構造周期Λ
m と硬化温度との関係を示すグラフである。
【図6】実施例2の試料の最終硬化物の破断面を溶剤で
エッチング処理した後の粒子構造を示す走査型電子顕微
鏡(SEM)写真である。
【図7】実施例23の試料を150℃で、実施例24の
試料を170℃で、実施例25の試料を200℃で、そ
れぞれ硬化させる際の構造周期の経時変化を併せて示す
グラフである。
【図8】実施例23の試料を150℃で硬化させた場合
の最終硬化物の相分離構造(粒子構造)を示す光学顕微
鏡写真である。
【図9】実施例24の試料を170℃で硬化させた場合
の最終硬化物の相分離構造(粒子構造)を示す光学顕微
鏡写真である。
【図10】実施例25の試料を200℃で硬化させた場
合の最終硬化物の相分離構造(粒子構造)を示す光学顕
微鏡写真である。
【図11】実施例23〜25の試料の最終硬化物の構造
周期Λm と硬化温度との関係を示すグラフである。
【図12】実施例24の試料の最終硬化物の破断面を溶
剤でエッチング処理した後の粒子構造を示す走査型電子
顕微鏡(SEM)写真である。
【図13】実施例29の試料を150℃で、実施例30
の試料を170℃で、実施例31の試料を200℃で、
それぞれ硬化させる際の構造周期の経時変化を併せて示
すグラフである。
【図14】実施例29の試料を150℃で硬化させた場
合の最終硬化物の相分離構造(粒子構造)を示す光学顕
微鏡写真である。
【図15】実施例30の試料を170℃で硬化させた場
合の最終硬化物の相分離構造(粒子構造)を示す光学顕
微鏡写真である。
【図16】実施例31の試料を200℃で硬化させた場
合の最終硬化物の相分離構造(粒子構造)を示す光学顕
微鏡写真である。
【図17】実施例29〜31の試料の最終硬化物の構造
周期Λm と硬化温度との関係を示すグラフである。
【図18】実施例30の試料の最終硬化物の破断面を溶
剤でエッチング処理した後の粒子構造を示す走査型電子
顕微鏡(SEM)写真である。
【図19】実施例34の試料を150℃で、実施例35
の試料を170℃で、実施例36の試料を200℃で、
それぞれ硬化させる際の構造周期の経時変化を併せて示
すグラフである。
【図20】実施例34の試料を150℃で硬化させた場
合の最終硬化物の相分離構造(粒子構造)を示す光学顕
微鏡写真である。
【図21】実施例35の試料を170℃で硬化させた場
合の最終硬化物の相分離構造(粒子構造)を示す光学顕
微鏡写真である。
【図22】実施例36の試料を200℃で硬化させた場
合の最終硬化物の相分離構造(粒子構造)を示す光学顕
微鏡写真である。
【図23】実施例34〜36の試料の最終硬化物の構造
周期Λm と硬化温度との関係を示すグラフである。
【図24】実施例35の試料の最終硬化物の破断面を溶
剤でエッチング処理した後の粒子構造を示す走査型電子
顕微鏡(SEM)写真である。
【図25】低温で均一な溶液を形成し(相溶し)、昇温
することにより2相に分離する系において、その組成と
温度との相関関係を表す低温溶解型相図(LCST型相
図)である。
【図26】上記の相図において、バイノーダル曲線とス
ピノーダル曲線を示す図である。
【図27】上記の相図において、均一に相溶している混
合系の温度を急速に上げた時の相分離の過程を説明する
図である。
【図28】構造周期Λm を有する3次元変調構造と濃度
ゆらぎを模式的に表す図である。
【図29】構造周期Λm を有する2次元変調構造を模式
的に表す図である。
【図30】変調構造を有する従来のエポキシ樹脂/熱可
塑性樹脂混合系の硬化物の表面を溶剤エッチングした後
の粒子構造を表す、文献(1) 記載の走査型電子顕微鏡
(SEM)写真である。
【図31】変調構造を有する従来のエポキシ樹脂/熱可
塑性樹脂混合系の硬化物の表面を溶剤エッチングした後
のエポキシ樹脂部の粒子構造を表す立体模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−172325(JP,A) 特開 平2−53826(JP,A) 特開 平2−124971(JP,A) 特開 昭54−162749(JP,A) 特開 昭64−54064(JP,A) 特開 昭56−90824(JP,A)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式化1で表される不飽和イミド
    と熱可塑性樹脂とを必須成分として含む熱硬化型ポリイ
    ミド樹脂組成物において、前記熱可塑性樹脂は、前記不
    飽和イミドとの共通溶媒に可溶であり、前記共通溶媒が
    存在しない状態でも記不飽和イミドと互いに均一に混
    和し合うことのできる領域である相溶域を有するととも
    に、180℃以上のガラス転移温度、かつ、1万以上の
    数平均分子量を有する、ポリエーテルイミド、ポリアリ
    レートおよびポリアミドイミドからなる群の中から選ば
    れた少なくとも1種であり、前記不飽和イミド100重
    量部に対し10〜50重量部の割合で配合されているこ
    とを特徴とする熱硬化型ポリイミド樹脂組成物。 【化1】 (式化1中、Dは炭素−炭素間の二重結合を含む2価の
    基を表し、Rは2官能以上の有機基を表し、xは2
    以上の整数を表す。)
  2. 【請求項2】 前記不飽和イミド中の炭素−炭素二重結
    合と反応する架橋剤をさらに含む請求項1記載の熱硬化
    型ポリイミド樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記架橋剤が、下記一般式化2で表され
    るポリアミン、下記一般式化3で表されるポリシアン酸
    エステル化合物、下記一般式化4で表される多官能不飽
    和化合物および下記一般式化5で表される不飽和化合物
    からなる群の中から選ばれた少なくとも1種である請求
    項2記載の熱硬化型ポリイミド樹脂組成物。 【化2】 (式化2中、Rは2官能以上の有機基を表し、x
    2以上の整数を表す。) 【化3】 (式化3中、Rは少なくとも1個の芳香環を有する2
    官能以上の有機基を表し、xは2以上の整数を表
    す。) 【化4】 (式化4中、RはHまたはCH基を表し、Rは少
    なくとも1個の芳香環を有する2官能以上の有機基を表
    し、xは2以上の整数を表す。) 【化5】 (式化5中、Rは−CH−基または−CH−O−
    基を表し、Rは少なくとも1個の芳香環またはトリア
    ジン環を有する2官能以上の有機基を表し、xは2以
    上の整数を表す。)
  4. 【請求項4】飽和イミドの含有率が熱硬化性樹脂成
    分全体に対して35重量%以上である請求項1から3ま
    でのいずれかに記載の熱硬化型ポリイミド樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 ポリエーテルイミドが下式化6で表され
    るものである請求項1から4までのいずれかに記載の熱
    硬化型ポリイミド樹脂組成物。 【化6】 (式化6中、nは正の整数を表す。)
  6. 【請求項6】 ポリアリレートが下式化7で表されるも
    のである請求項1から5までのいずれかに記載の熱硬化
    型ポリイミド樹脂組成物。 【化7】 (式化7中、nは正の整数を表す。)
  7. 【請求項7】 ポリアミドイミドが下式化8で表される
    ものである請求項1から6までのいずれかに記載の熱硬
    化型ポリイミド樹脂組成物。 【化8】 (式化8中、nおよびnは正の整数を表す。)
  8. 【請求項8】 請求項1から7までのいずれかに記載の
    熱硬化型ポリイミド樹脂組成物の熱硬化品であって、ポ
    リイミドが大部分を占める組成の相と、熱可塑性樹脂が
    大部分を占める組成の相に分離しており、これら両分離
    相が、ともに連続して下記の周期Λ をもって絡み合っ
    た構造を形成している熱硬化品。Λ =(λ/2N)sin(θ /2) (上式中、λは光散乱法の照射光波長、Nは硬化物の屈
    折率、θ は散乱極大を与える散乱角を表す。)
  9. 【請求項9】 請求項1から7までのいずれかに記載の
    熱硬化型ポリイミド樹脂組成物を原料として用い、そ
    飽和イミドと熱可塑性樹脂とを互いに溶け合わせてお
    いて、前記不飽和イミドを熱硬化させることにより、ポ
    リイミドが大部分を占める組成の相と熱可塑性樹脂が
    部分を占める組成の相とに分離させ、これら両分離相
    が、ともに連続して下記の周期Λ をもって絡み合った
    構造を形成している熱硬化品を得るようにする熱硬化品
    の製造方法。Λ =(λ/2N)sin(θ /2) (上式中、λは光散乱法の照射光波長、Nは硬化物の屈
    折率、θ は散乱極大を与える散乱角を表す。)
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